港区 税理士法人 大沢会計
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2008年5月

2008/05/31

H20.5.30

医療費控除に認められるメタボ診断費用

医療費や社会保険の問題が社会的に大きな話題となっていますが、働き盛りの中高年にとっては、いわゆるメタボリックシンドロームと呼ばれる状態は、体力の衰え等が気になってくる年齢ということもあり、深刻な問題となっています。

平成20年度の税制改正では、このメタボリックシンドロームを基因とした、生活習慣病の発症リスクを軽減するため、医療費控除の対象範囲に特定健康指導のうちの一定の積極的支援にかかる自己負担分が加えられました。

厚生労働省ではこの改正に関連し、国税庁に対して、特定健康診査と特定健康指導の自己負担費用の医療費控除の取扱いについて照会を行い、国税庁はこの回答をHPに公表しました。

それによると、いわゆるメタボであるか否かを検査する特定健康診査のための自己負担費用は、医療費には該当しませんが、検査の結果、生活習慣病の発症リスクが高いと診断され、引き続き特定健康診査を行った医師の指示に基づき、特定保健指導が行われる場合には、特定健康診査と特定保健指導料の自己負担分が、医療費控除の対象に認められるとされています。

よって、それらの領収書を確定申告書に添付して申告することで、医療費控除の計算の対象に認められます。
ただし、医療費控除の対象に認められるのは、あくまでも特定健康診査と特定保健指導にかかる自己負担分の費用であり、指導に基づいて行った運動の施設使用料や、食品の購入費用は、医療費控除の対象にはなりません。

H20.5.29

サマータイム、今度こそ導入なるか

ここ数年、毎年のようにサマータイムの導入を巡る論議が続けられています。以前は仕事を早く終わらせることで消費を喚起し、景気拡大を目指すことを目的とする議論が主流でしたが、最近ではエコロジーの観点からサマータイムを導入するべきであるとする意見が目立つようになっています。

今年もここにきて、官房長官や首相からサマータイムを導入するべきだとする意見が出されるなど、導入に向けて動き始めています。

サマータイムは夏季に時計の針を一時間進めるというもので、夕方の明るい時間が一時間増えることから照明の節約にもつながるのではないかと期待されています。

超党派による「サマータイム制度推進議連」はサマータイム導入法案を今国会に提出する方針です。同議連では2010年からの導入を目指していますが、実際に導入されるとなると、企業では労働時間の管理を巡って勤怠管理システムの変更が必要となる可能性があります。OECD諸国ではほとんどの国で導入されており、いよいよ導入が現実的になってきました。

H20.5.28

赤道(あかみち)の払下げ許可を取り付けることで広大地評価が可能に

現行の道路法では道路として認定されていない「赤道(あかみち)」が通っている土地が広大地に該当するか否かをめぐり、納税者と税務署との間で見解が相違する事案が散見されている。

こうしたトラブルを回避する有効手段として注目されているのが、納税者がその赤道部分を買い取ることを市町村等へ申請し許可を取り付けることにより、その土地全体を一団の土地として広大地評価を適用できるようにする方法だ。赤道をその所有者である市町村等からいつでも買い取れる状況にしておくことで、赤道によって土地を分断されることを回避することが狙いだ。赤道を境界線として区分される土地ごとに評価することを指導する課税当局への一つの対抗手段ともいえよう。

周知のとおり、広大地評価が適用できるとなればその評価減の割合は格段に大きいだけに、課税当局と納税者との攻防は加熱する一方だ。一団の土地が広大地に該当するのか否かがその主な争点だが、土地上を貫く赤道によって区分して評価するか否かをめぐる争いが最近、頻発している。赤道に関係なく一体としてその土地全体に広大地評価を適用したい納税者と、赤道によって土地を区分することによって広大地そのものを否認したい課税当局とのせめぎ合いである。

その解決策の一つとして考えられるのが、赤道をその所有者である市町村から買い取ることを申請することである。買取許可を取り付けることができれば、納税者はいつでも赤道を払い下げることができる状況にあることになる。となれば、赤道で区分して評価すべきとする道理はない。他の所有者に属する赤道があることを根拠に区分評価すべきとする課税当局の主張も、買取申請の許可が下りたことをもって赤道の存在もろとも、消し飛ぶことになるというわけだ。

財産評価に精通したある税理士によれば、赤道を買い取ることにつき市町村に申請すれば「大体は許可される」という。市町村によってはそれまでの使用料を上乗せして買取価格を請求するところもあるようだが、基本的には払下げに応じる傾向にあるといえよう。

注意すべきは、実際にその対価を支払うことをしなくても足りるという点だ。買い取りの許可を取り付けておきさえすれば、いつでも買い取れる状況にあるため、赤道は存在しないも同然という主張も成り立ちうるためだ。実務的な勘所として銘記しておきたいところであろう。

H20.5.27

中企庁、6月に「下請取引適正化特別推進月間」の取組を実施

中小企業庁では、来月6月を「下請取引適正化特別推進月間」として、下記の取組を実施することとしています。

1.下請取引適正化特別推進講習会の開催
中小企業庁及び公正取引委員会、全国中小企業取引振興協会それぞれの主催により、親事業者の下請取引担当者等を対象に、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の趣旨・内容についての講習会を全国で開催し、周知徹底を図る。

2.普及・啓発事業の内容
(1)下請事業者と親事業者の間のあるべき理想的な取引(ベストプラクティス)を示し「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」について,普及啓発を行う。
(2)取引に起因した中小企業者の様々な悩み,相談に対する「かけこみ寺」として,本年4月に全国的な規模で立ち上げた「下請かけこみ寺」事業について,普及啓発を行う。
(3)下請事業者の取引先拡大や販路開拓等を支援するビジネス・マッチング・ステーション(BMS)の周知活動を通じて,参加企業の増大を図る。

【問い合わせ先】
中小企業庁事業環境部取引課 電話:03-3501-1669(直通)
ホームページ:http://www.chusho.meti.go.jp

H20.5.26

住宅省エネ改修工事のローン控除制度~4月居住ケースから適用スタート

平成20年度改正では、マイホームの省エネ改修工事に係るローン控除制度が創設されました(住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例。改正租税特別措置法第41条の3の2)。

これは、個人が、マイホーム用家屋について、エネルギーの使用の合理化に資する一定の改修工事──いわゆる「省エネ改修工事」を含む一定の増改築等を行った場合において、そのマイホームを「平成20 年4月1日から平成20 年12 月31 日までの間」に自身居住の用に供したときは、一定の要件の下で、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高(1,000 万円が限度)の一定割合を所得税の額から控除するものです。

対象となる「省エネ改修工事」とは、①居室のすべての窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事などで、合計額が30 万円を超えることなど一定要件を満
たすものが該当します。控除期間は5年、控除率については、特定の省エネ改修工事にあっては2.0% それ以外の改修工事は1.0%です。

なお、一定の要件を満たす場合には、この省エネ改修工事のローン残高につき、選択により既存の住宅借入金等特別控除の計算規定による適用も認められます。

H20.5.23

名目だけの管理職対応始まる

大手外食チェーン店の店長に残業代を支払わないのは違法だとする判決は記憶に新しいところですが、その判決は各企業に大きな波紋を広げています。

昨今、コンプライアンスという言葉をよく聞くようになりましたが、この判決によってそのような名目だけの管理監督者に対して、残業代などを支払わないことについてもコンプライアンス上、問題があるという認識をする企業が増えています。

各社でまず自社の管理監督者の勤務実態や経営についての関与の度合いなど、その実態について確認した上で、労働基準法に定める管理監督者に該当するかどうかを判断したところ、残業代などの支払い義務がない管理監督者とは言えないのではないかと結論づける企業が増えています。

そのような企業では単純に該当者に対して残業代などの支払いを開始するなどの措置をとることもありますが、それは人件費の増加に直結します。そのため、人事制度や賃金体系自体を見直し、巨額な人件費増につながらないような措置をとる企業も出始めています。

H20.5.22

中小企業庁が20年度版中小企業施策利用ガイドブックを刊行

中小企業庁はこのほど、平成20年度版の「中小企業施策利用ガイドブック」とリーフレットを刊行しました。
ガイドブックは、中小企業が中小企業施策を利用する際の手引書とするために作成されたもので、中小企業関係の施策について、施策の概要や支援策が紹介されています。

また「インデックス」により、利用者のニーズに応じた支援策の検索ができます。
インデックスでは、「地域経済の発展に寄与したい」「ITを活用したい」「事業承継を円滑にしたい」「担保・不動産担保に依存しない資金供給を受けたい」「企業を再生したい」「創業したい」など、利用者のニーズごとに、「融資・リース・保証」「補助金・税金・出資」「情報提供・相談」「セミナー・研修・イベント」「救済制度・法律に基づく支援」という項目に応じた支援策等が示され、掲載ページが記載されています。

リーフレットは、施策分類ごとの支援策を簡単に紹介しており、13種類作成されています。いずれも中小企業庁のHPより入手でき、中小企業庁窓口での冊子の入手も可能です。

H20.5.21

東京高裁、生活の本拠をめぐる争いで納税者の主張を全面的に認める

このほど東京高裁は、外国で生活する納税者が日本での課税を受ける「居住者」に該当するか否かの裁判で、一審の東京地裁判決(平成19年9月14日)に引き続き、納税者の主張を全面的に認める判決を下した(平成20年2月28日判決)。

所得税法では居住者を「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう」と定義しているが、「住所」の意義に関しては明確な規定はない。その者の住居や職業、親族、資産等の所在、つまり「生活の本拠」を総合的にみて判断することとなっている。

課税庁は、本件納税者のシンガポール滞在と日本滞在には、日数においてほとんど差はなく、親族・資産もそのほとんどは日本に存在すること、また納税者のシンガポールにおける職業(企業の特別顧問)は実態のない架空のものであることから、シンガポール滞在は株式譲渡益に係る所得税を租税回避するために行われたものと認定、所得税決定処分・無申告加算税賦課決定処分を行った。

東京高裁は、①納税者はシンガポールにおいてアパートを賃借していたが、同アパートの賃貸借期間は長期にわたり、キッチンなど日常生活を送るに十分な設備があったこと、②日本滞在中はホテルに起居していたこと、③納税者のシンガポールにおける業務により多くの収入を上げ、顧問契約した会社も業績が改善していること、④納税者の親族に対しては経済的支援はあったものの「生活を一にする」とまでいえる親族が日本にはいなかったこと、⑤資産の大半は日本に存在することは認められるが、必ずしも納税者が日本にいなければ資産の管理等が困難であったとは認められないこと――等から、納税者の生活の本拠が日本にあったとは認められないとした一審の判決を支持。また、租税回避の指摘に関しては「株式譲渡の時期がシンガポールへの転居直後となったことは、諸々の事情が重なった偶然であった」と認定し、課税庁の主張を全面的に斥けた。

国側はこの判決を受けて上告を断念しており、本件は確定している。

H20.5.20

審判所・確定申告時期の入院による期限後申告でも無申告加算税やむなし

期限内に納税申告が行われなかった場合、ペナルティーとして納付税額の15%相当額の無申告加算税が課されます。ただし、「期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合」は、免除されます(国税通則法第66条)。

この点に関し、確定申告時期の入院が、期限後申告の「正当な理由」に当たるか否かをめぐり争われた最近の裁決事例で、国税不服審判所は、「正当な理由」には当たらないとして税務署の処分を支持する裁決を下しています(平成19年2月28日裁決)。

審査請求人である会社代表者は、消費税及び地方消費税の確定申告書が期限後申告となったのは、平成18年3月9日から同月19日まで入院中であったためであり、「正当な理由」があるとして、無申告加算税の取り消しを求めていました。

これに対し審判所は、「審査請求人が会計事務所に確定申告書の作成を依頼したのは平成18年2月頃であり、入院の翌日である同年3月10日には、本件確定申告書ができあがっていた」「入院は、突発的な事態によるものでなく、毎年定期的に受けていた術後検査を受けるためのものであった」「審査請求人は自社の経理課長から法定申告期限が平成18年3月15日であることを知らされた際、申告期限にはこだわらず、本件確定申告書を退院後に提出する意思を有していたことが認められること」──等々から、「正当な理由があったとは認められない」としています。

H20.5.19

「事業化助成金」の平成20年度の申し込みは5月7日~6月6日

独立行政法人・中小企業基盤整備機構(中小機構)では、平成20年度の「事業化助成金」の募集を下記要領で実施します。同助成金は今回の募集をもって終了となりますので、ご留意ください。

●事業化助成金は、優れた技術シーズ・ビジネスアイデアはあるものの、新事業開拓に取り組むことが困難な状況にある創業者または中小企業に対して、資金面での助成等を行うものです。

●募集期間:平成20年5月7日~平成20年6月6日17時(※期間内の郵送到着分のみの受付となります)
●助成対象者:創業者、個人事業者、中小企業者、企業組合、協業組合
●助成対象事業:新製品・新技術・新サービスなどの開発成果の事業化などで、本助成金による助成期間完了後、2年以内に事業化が達成できるもの。
●助成金額・事業の種類に応じて100万円~500万円(※左記金額に最大300万円上乗せあり)
●助成率:助成対象と認められる経費の1/2以内の額

<問い合わせ>中小企業基盤整備機構HP
http://www.smrj.go.jp/utility/inquiry/index.html 

H20.5.16

経営承継の円滑化法が成立し10月1日より施行

5月9日に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」が成立しました。これは、事業承継者不足が大きな問題となっている中小企業の事業承継を支援するための柱となる法律です。
この経営承継の円滑化法は平成20年10月1日より施行されることとなっていますが、税制面での手当ても、同日からの予定となっています。

実際のところ、まだ税制面での法整備は特に行われていませんが、平成21年度の税制改正で、事業継続を要件に後継者が取得した株式等の80%に対応する相続税の納税猶予制度の創設と、相続税の課税方式を現行の併用方式から遺産取得課税方式に改めることが予定されており、10月1日に遡及適用されることとなります。
このことは、昨年の税制改正大綱に明記されていたことから、気の早い話ではありますが、来年の改正に伴う相続税の課税方式の見直しも、改正の目玉の一つとして注目されるところです。

この事業承継に関する法律では、遺留分に関して民法の特例を設け、認定を受けた株式を遺留分の算定基礎財産から除外することや、その株式の評価額をあらかじめ固定することが可能となります。

この民法の特例は、新しく設けられる制度ということもあり、法律の施行である10月1日以降に適用が開始されることになるようです。

H20.5.15

20年版「中小企業の会計指針」公表~棚卸基準やリース会計に対応

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会は5月2日、「中小企業の会計に関する指針(平成20年版)」を公表しました。

今回の会計指針の改正は、企業会計基準委員会が公表した「棚卸資産の評価に関する会計基準」「リース取引に関する会計基準」に対応したほか、法人税法の改正や金融商品取引法の施行を踏まえた所要の修正を行いました。

このうち、棚卸資産の評価については、会計基準を踏まえて、「原価法・低価法」の選択適用から、収益性の低下を反映させる評価基準に変更となりました。

具体的には、棚卸資産の期末の時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とすることとされました。

また、リース取引については、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手の処理は、通常の売買処理とされた(賃貸借処理は不可)ことに対応、中小企業ということに配慮して、未経過リース料の注記を条件に、賃貸借処理も認めています。

H20.5.14

経営者は社員の定着には興味なし?

大学を卒業後、就職する若者たちの多くは3年以内に転職するという昨今の状況下、経営者としてはせっかく採用した社員の定着について関心がないとは言えないでしょう。しかし、先ほど行われた調査では日本の経営者は社員の定着について意識が低いことが明らかとなりました。

この調査は国際会計事務所であるグラント・ソントンが行ったもので、日本の中堅企業の経営者を対象に社員の勤務形態などについての意識を調査したものです。

調査結果では日本の中堅企業の経営者430人が回答していますが、この中で社員の定着率を高めるための対策としてフレックスタイム制度や在宅勤務制度などの導入による体制の整備に熱心な経営者は30%にとどまっています。

欧米の企業では、同様の質問についてもっと高い回答が寄せられており、日本の経営者は社員の勤務形態を整備することによる定着率向上についてはあまり興味がないという結果となりました。働き方の多様化などもあり、多様な勤務形態が求められています。

H20.5.13

単年度の教育訓練費の総額から税額控除

人材投資促進税制は、2008年度税制改正において、これまでの教育訓練費の増加額に対する25%の税額控除制度から、対象を中小企業者に限定して、教育訓練費の増減に関わらず、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除する簡素な制度(「総額型」)に改組され、中小企業等基盤強化税制のなかに位置づけられた。一方で、大企業分については、2008年3月31日の適用期限をもって廃止された。

改正前の制度は、その年度の教育訓練費が、直前2年間に損金算入された教育訓練費の平均額を超えた場合には、その超過額の25%を税額控除するものだった。継続的な教育訓練費の増加や、3年分の帳簿から教育訓練費を洗い出す手間が必要であり、中小企業にとっては使いにくい制度との指摘があった。こうしたことから、中小企業の生産性向上のため、人材投資の底上げが必要との観点から今回改正されたものだ。

具体的には、適用事業年度(単年度)の労働費用(給与、法定福利費、教育訓練費)に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合は、その割合に応じて教育訓練費の総額の8~12%に相当する額を税額控除する仕組みに改められた。法定福利費について、改正政令では、事業主が負担する健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料(雇用・労災)、児童手当拠出金に加え休業補償費のほか財務省令で定める費用としている。

改正の結果、例えば、1人あたり労働費用を450万円とすると、その0.15%相当額は6750円だから、従業員数が10人の場合、総額6万7500円以上支出すれば減税対象となる。また、単年度計算により適用の有無が判断されるため、事務負担も軽減される。経済産業省では、制度改正によって、中小企業の教育訓練費の底上げが期待できるとして、減収額の約1.31倍~1.47倍の教育訓練投資の増大効果があるとの試算を示している。

H20.5.12

減価償却資産の償却方法の選定・変更に注意!!

減価償却制度については、2008年度税制改正において法定耐用年数の抜本的見直しが行われたが、忘れてはならないのが、250%定率法の導入や100%償却など昨年40年ぶりに大改正された新減価償却制度の実際の適用が、3月決算法人の決算整理の実務から始まっていることだ。

なかでも、減価償却方法の選定や変更に関する取扱いは、目前の決算に大きく影響するので注意したいところだ。

減価償却方法は、新減価償却制度が施行された2007年4月1日以後に取得した新規資産だけでなく、施行前に取得した既存の資産についても、決算後2ヵ月の確定申告期限までに届け出れば選定・変更することができる。したがって、今期に限っては、決算状況を考慮しながら自由に償却方法を選ぶことができる。節税したいのなら償却率の高い定率法を、利益を確保したいなら定額法をと、自由に選択・変更できる。

まず、新減価償却制度施行後に取得した新規資産については、原則、その事業年度に係る確定申告の提出期限までに所轄税務署長に届け出た償却方法による償却が認められる。例えば、3月決算法人であれば、5月末までに償却方法を届け出ればいいことになる。したがって、新規取得資産について250%定率法によって償却するか、定額法によるかを決めかねている場合は、決算状況を見極めながら選択することができるわけだ。

また、既存資産の償却方法の変更については、従来、変更しようとする事業年度開始の前日までに所轄税務署長に届け出る必要があったが、2007年4月1日以後最初に終了する事業年度に限っては経過措置が設けられ、既存資産の償却方法を変更しようとする場合は、確定申告書の提出期限までに一定の事項を記載した償却方法の変更届出書を所轄税務署長に提出すれば、承認があったものとみなされることとされている。

もちろん、既存資産の償却方法を250%定率法などの新償却方法に変更することはできないが、旧定額法を旧定率法に変更できれば、多少なりとも早期償却が期待できる。逆に黒字を確保したいのであれば、旧定率法から旧定額法への変更も検討できる。ともあれ、償却方法の変更届出書の提出期限が確定申告期限までとされていることから、決算状況を見ながら減価償却費をどの程度計上するか自由に裁量できることを考慮したい。

H20.5.9

平成20年度税制改正法案が成立

4月30日に衆議院の再可決により「所得税法等の一部を改正する法律案(平成20年度税制改正法案)」が成立しました。

ガソリンの暫定税率をめぐり与野党が対立したため、2月29日に衆議院で可決された税制改正法案は、参議院では4月になるまでその審議が行われませんでしたが、憲法の60日条項により、衆議院が法案は参議院で否決されたものとみなし、今回の法案成立に至ったというわけです。

よって、例年より1月遅れで税制改正法が公布・施行されたわけですが、気になるその適用関係については、政令の附則によって定められました。

これについては、3月末日に成立したいわゆるつなぎ法にその旨が盛り込まれていました。つなぎ法は、3月末に適用期限を迎える7項目について、その期限を2月ほど延長する内容になっていましたが、改正税法の施行が4月1日後になる場合には、政令の附則で適用関係について定めることも定められていました。

原則的に、改正税法は4月1日からの適用とされていますが、不利益不遡及という憲法の解釈規定があることから、この政令附則では、その関係を明らかにする内容となっており、「使途秘匿金の追加課税」と「繰越欠損金の繰戻還付制度」については不利益遡及がないことが明らかにされています。

よって、使途秘匿金については、平成20年4月1日以後4月29日までに支出されたものは、追加課税が行われないことになります。

また、欠損金の繰戻しによる還付については、平成20年4月1日以後4月29日までに終了した事業年度は、制度の適用を受けられることになります。

H20.5.8

「中小企業白書2008年版」が公表されました

中小企業庁は、このほど、「中小企業白書2008年版」をとりまとめ、公表しました。
白書は、「平成19年度中小企業の動向」と「平成20年度中小企業施策」から成っており、前者は「第1部.2007年度における中小企業の動向」、「第2部.中小企業の生産性の向上に向けて」「第3部.地域経済と中小企業の活性化」により構成されています。

そのなかで、原油・原材料価格の高騰、建築着工件数の減少等を背景として、中小企業の業況が悪化している現状を確認し、中小企業の労働生産性の向上に向けて、①サービス産業の取引環境の整備、②人材育成等、③中小企業によるITの有効活用、④グローバル化への対応──等の課題について分析しています。

また、地域間で景況感にばらつきが生じている中で、地域経済の活性化が重要であるとの認識の下、開廃業の動向を示すとともに、中小企業の事業再生、地域における中小企業金融の機能強化、中小企業の連携やネットワークの強化等に向けた課題について展開しています。

こうした分析を受けて、「平成20年度中小企業施策」では、①付加価値の創造、②経営力の向上、③事業環境の整備を柱として、平成20年度において経済産業省・中小企業庁が講じる施策が解説されています。

問い合わせ€中小企業庁事業環境部調査室 電話:03-3501-1511(内線 5241~5)03-3501-1764(直通)

H20.5.7

本田技研工業、中国子会社への利益移転に係る自社の課税リスクを公表

本田技研工業は、「中国四輪事業の移転価格に関する税務調査について」と銘打ったコメントを、4月25日付けで公表しました。そのなかで、現在、東京国税局により移転価格に関する税務調査を受けており、2002年3月期から2006年3月期までの5年間について中国四輪事業から得られる収益が日本側に過小に配分されている、との主張が当局からなされていることを自ら明らかにしました。

同社は、米国会計基準に基づいて連結財務諸表を作成しており、今回の公表は、その解釈指針第48号(FIN48)に基づいたものです。FIN48では、会社が行った法人税等に関する税務処理が最終的に認められない可能性がある場合、関連負債を認識する必要があると定めています。

同社では、中国の合弁会社との取引条件について、「日本・中国両国の法令等を遵守し、適切な取引価格が実現されるよう努め、日本・中国両国において適正に納税を行っている」としています。

税務調査の中でもその旨を主張しているものの、期末である2008年3月31日およびコメント公表時点(4月25日)で、当局との見解の隔たりは解消されていないため、移転価格課税によるリスクにつき「2008年3月31日時点の見積もり額を、関連負債および税金費用として2008年3月期の連結財務諸表に反映した」と説明しています。

H20.5.1

企業健保の負担増続く

後期高齢者医療制度が4月1日からスタートしました。年金の不払いはあるのに、保険料だけしっかりと天引きされる、高齢者の負担が増えるなどといった高齢者からの批判も根強い同制度ですが、この医療制度が開始したことにより、企業の健康保険組合が負担する拠出金も増えることになっています。

厚生労働省によると、今回スタートした後期高齢者医療制度に伴い、健康保険組合が拠出する高齢者の医療費のための負担金額は前年度より4,300億円増の約2兆7,000億円に達することがわかりました。これにより、141の保険組合が保険料の引上げに踏み切ったそうです。実際には4月からの医療制度改正で新たに増えた負担金額は約1,800億円で残りの2,500億円は高齢者にかかる医療費の自然増ということです。

いずれにしても、高齢化に歯止めがかからない現状を考えると、健保組合の負担増路線は当面続くものと思われます。そのため、被保険者にかかる保険料も増え続けることが予想されている上、財政的に運営が困難となり破綻する組合も出そうな状況です。