デイリーニュース

HOME > デイリーニュース > バックナンバー
H21.11.30
清 算 所 得 課 税
その計算についての諸説

 会社が解散した後の法人税の計算は、解散の翌日から清算結了までの「清算所得に対して課税」します。この清算所得の課税は、法人が解散して清算した場合にまだ課税されていない[資産の含み益]に対して課税することを目的としています。
この清算所得に対する法人税の課税標準は、残余財産の価額から「解散時の資本金等の額と利益積立金額等の合計額」を控除した金額とされています。次のような算式になります。
残余財産の価額-(資本金等の額+利益積立金額等)=清算所得の金額
この残余財産の価額とは、解散時に現存する債権の回収及び財産を処分し、そこから債務の弁済をした後に残った財産です。
そこで、問題は、清算所得を求める際、利益積立金がマイナスの場合(設例参照)、これをどのように処理するかです。

資産      500   債務    500
(売却時価) 1,500  資本金   1,000
             利益積立金 △2,000


 上記設例を前提に、残余財産の価額を計算すると「1,500(売却時価)−500(債務)」で1,000となります。そして、マイナスの利益積立金をゼロとすると、清算所得の金額は、残余財産の価額1,000−(資本金等の額1,000+利益積立金等の額0)でゼロです。これでは、資産の含み益は1,000なのに清算所得の課税がないことになります。


 設例では、資本金1,000と利益積立金△2,000でその合計額は△1,000です。そして、残余財産1,000からこのマイナス1,000を控除するとマイナスのマイナスでプラスになり、清算所得は2,000となります「残余財産の価額1,000−(資本金1,000+△2,000=−1,000)=2,000」。
 資産の含み益が1,000なのに清算所得が2,000では理屈にあいません。


 この前提で計算すると、清算所得は1,000となります「残余財産の価額1,000−(資本金1,000+△2,000=0)=1,000」。
設例では、たまたま「含み益」と「清算所得」が一致しましたが、この解釈の方が清算所得課税の趣旨に合致しているように思います。





H21.11.27
債務超過の会社
有 償 減 資 の 効 力

 減資には有償減資と無償減資がありますが、無償減資の場合には、減資資本金がその他資本剰余金に振り変わるだけで、法人税法上、資本金等の額(資本金+資本剰余金)は不変です。結果、法人県民税及び市民税における「均等割額」は、資本金を減額しても当初のまま不変です。
 資本金等の額を減ずる方法としては、「有償減資」と「自己株式の取得」があります。
資本金が大で債務超過の会社にとっては、均等割額の負担はできるだけ回避したいところです。

債務超過の会社の有償減資の手続

 まず、株主総会で資本金の減資の決議をし、債権者異議催告手続が終了すると、減資の効力が発生します。
 資本金××/その他資本剰余金××
 次に、その他資本剰余金を配当原資として、総会で剰余金の配当の決議をしますが、債務超過のため配当金は未払いとします。
その他資本剰余金××/未払金××
 なお、この未払金ですが、株主にとっては回収困難な債権ですので、当該債権を会社に現物出資します(「債務の株式化です」)。もちろん、債権(未払金)の評価は、回収可能性で判断しなければなりませんので、その価額は1円とします。
未払金××/資本金 1円
         債務免除益××
この債務免除益ですが、一定の場合を除き、法人税の課税対象になりますが、7年以内の欠損金の範囲内であれば無税です。

会社法上の大きな障壁
会社法上、剰余金の配当には財源規制があります。当然、債務超過会社には「分配可能利益」は存在しません。ここが有償減資実施上の大きな障壁です。また、法人税法における「一般に公正妥当と認められる会計基準」への準拠にも疑義があります。
しかし、債務超過会社にとって、上記のような処理及び手続は、会社を取り巻く利害関係人を害するとは思えませんし、また、課税上の弊害があるようにも思われません。むしろ、会社の実体に即した均等割額の課税を考慮すべきと思います。





H21.11.26
民主党政策集INDEX 2009
最大の変革項目は贈与税

政権交代が一種の合法的な革命のような印象を受けるこの秋の目まぐるしい政治ニュースの後で、来年度予算編成に伴う税制改正大綱づくりがいよいよ本格化してきました。税制も革命的な大変革をとげるのでしょうか。

予測のための公開資料では
民主党はマニュフェストをさらに具体化した「政策集 INDEX 2009」を公表しておりますので、それをつぶさに読んでみると、大きな変革項目が沢山ありますが、中でも質的に最も大きな変革とならざるを得ない改正項目は贈与税です。そのまま実行されたら天地逆転のような改正になります。

遺産課税方式採用の連鎖
 INDEX 2009では「贈与税のあり方も見直します」と書かれているだけなので、見直しの内容は不明です。
 しかし、贈与税は相続税の補完税であり、相続税のあり方が変わると自ずと変わらざるを得ないものです。
現行相続税は、相続人に課税する遺産取得者課税制度なので、贈与税についても贈与を受けた人に課税する受贈者課税制度になっています。
 INDEX 2009は、相続税について「遺産課税方式」への転換を唱っています。遺産課税というのは、遺産取得者ではなく、遺産そのものに課税する方式です。

アメリカの相続・贈与税・譲渡税
 アメリカの相続税は遺産課税で贈与税は贈与者課税です。また、相続財産は死亡時に被相続人が相続人に譲渡したような扱いになり、相続人が取得する相続財産に付せられる取得価額は相続時の時価となります。
 日本では、相続取得財産には相続税が課せられたとしても、それを売却するときの取得価額は被相続人の取得価額とされているので、相続による時価課税と売却による時価課税という2回課税がされることになっています。

自覚されている気配はなさそうだが
 民主党がなぜ遺産課税を唱えるのか不明ですが、2008/12/24公表の「税制抜本改革アクションプログラム」によると、格差拡大抑制策として相続財産の一部を相続人からではなく遺産そのものから社会還元させることが適当、としています。
 遺産課税方式採用の連鎖を自覚しているのかどうか、それとも連鎖はないのか、関心を抱かざるを得ないところです。





H21.11.25
民法の不常識と税務対応

 不動産取引の危険負担
不動産取引では、売買契約をしてから、実際に土地や建物の引渡しを受けるまでに数週間〜数か月がかかります。もしこの間に契約した建物が売主買主のどちらにも責任のない原因(類焼や放火)で焼失してしまったとしたらどうなるでしょうか?
 誰が損害の責任を取るかということですが、常識的には、契約は解除されるだけ、と思うのではないでしょうか。すなわち、売主責任です。

危険負担の民法の定め
 ところが、民法は意外にも、買主責任と規定しています。
 たとえ売買対象の建物が無くなってしまっても、買主は売買代金のすべてを支払わなくてはなりません。これに対して、売主は損害賠償も代わりの建物も用意する必要がありません。
買主にとっては怖い規定です。

実際の契約では
民法のこの規定は強行規定ではないので、実際の不動産の売買契約書ではほとんど、常識に合わせて、民法と異なる特約条項を定めるようにしています。
すなわち、引渡しまでは売主、引渡し以降は買主の責任とし、買主に解除権を与えています。

税と会計の売買処理時期
 会計の売買処理の認識時期の原則は物件の引渡しのときです。税法も同じ考えで、引渡しのときに売上日、取得日とすることを原則としています。
 すなわち、現実の不動産取引の常識多数派の基準と一致しています。ただし、特約の有無にかかわらず、です。

特約なしの場合は
 買主に危険負担がある契約書の場合、物件の引渡しの有無にかかわらず、売主には売却代金が確実に入ってくることになり、買主は確実に物件代金の支払義務を履行しなければなりません。
 そうすると、この場合には、契約日を売上日、取得日とすることが理にかなっているようにみえます。

税の例外取扱い
 そういうことを踏まえて、契約の日を収入計上時期としてもよい、という税務通達があります。税は民法基準にも歩調を合わせています。特約があった場合も、です。





H21.11.24
配偶者控除を考える

民主党政権の「控除から手当へ」の転換による子ども手当創設に伴い、廃止される予定の配偶者控除ですが、子どものいない専業主婦世帯では負担が増えるということで賛否あります。
そもそも、配偶者控除とは、どのようなものでしょうか?

創設の経緯
配偶者控除は、事業所得者が家族従業員
に支払う給料を必要経費に算入することとのバランスから、サラリーマン世帯の妻が家事育児など家庭において夫を助けるといった内助の功を評価するという立法趣旨のもと、1961年に創設されました。
そのため、青色申告専従者給与の受給者や事業専従者は控除対象配偶者になることはできません。

不合理な規定
サラリーマンの場合、妻のパート年収が103万円以下であれば配偶者控除を受けられるのに対し、個人事業主の場合、妻への給料支給額が103万円以下でも、配偶者控除を受けられません。
個人事業主の妻も、夫の事業に従事した上で家事を行っているのが普通だと思います。サラリーマンの妻や専業主婦の家事のみを内助の功として評価するのは、明らかに不合理です。

内縁の妻は?
所得税法は、民法の規定による配偶者と限定していますので、社会保険の扶養に入っていたり、家族手当の支給対象になっていたとしても、内縁の妻は控除対象配偶者にはできません。これも不合理と言えます。

一夫多妻の場合は?
アフリカなどの一部の国では一夫多妻制を認めています。日本では、婚姻の成立は各当事者の本国法によることとされているので、一夫多妻は法的に認められます。
では、配偶者控除を38万×妻の人数分受けられるかというとそうではありません。
なぜなら、所得税法では、控除対象配偶者を「有する場合」には38万円を控除すると規定されているからです。ちなみに、扶養控除の場合は、扶養親族一人につき38万円を控除すると規定されています。





H21.11.20
少子化に歯止めはかかるか?子ども手当

09年、合計特殊出生率 1.37
 日本の出生率の減少は再び始まり、政府発表では2009年上半期の出生数は前年同期比1万1008人減少の53万8,369人で、08年に出生率が少し回復したものの、今年は減少に転じています。新政権は子ども手当の支給や保育所の整備で少子化に歯止めをかけたい、又、直接給付により個人消費も喚起したいと考えているようです。人口維持に必要な出生率は2.08といわれており、その対策は急務といえましょう。

財源の確保が最重要課題
 政権公約の目玉でもあった子ども手当は、15歳以下の子どもに一律月2万6千円を支給(2010年は1万3千円)するというものですが、まず問題は財源の確保でしょう。
 子ども手当を対象全世帯に支給した場合、国庫負担金は5.3兆円必要といわれています。これは、防衛関連費(4.8兆円)を上回る財政支出です。現在の児童手当は所得制限があり今回の案より支給額も低いのですが、それでも09年予算では1兆160億円とされており、今後財源確保の継続性が問題となるところでしょう。
新政権では無駄な予算の削減、特別会計の「埋蔵金」などに財源を求め、さらに児童手当や所得税の配偶者控除や扶養控除の廃止を表明しています。これら控除の廃止がなされた場合、共働き世帯では影響は少ないものの、専業主婦世帯では子どもがいなかったり、又、子どもの年齢によっても収入が減る事になるでしょう。

政権内で意見の調整 所得制限
 連立政権の間でも所得制限についてそれぞれ意見があり、調整を計っているようです。所得制限なしで支給する案や制限をしたり、支給額をおさえて浮いた予算を保育施設の増設等に当てたらというような案もあるようです。
家計の所得減少や男女共同参画の進展で、子どもを保育所に預けて働きたい親が増えており、総合的な育児支援ということなら手当にとどまらず、子どもを産んでも安心して育てられる、雇用情況の改善や育児環境の整備も待たれるところです。





H21.11.19
利子ゼロの住宅ローン

預金連動型住宅ローン
銀行ローン残高のうち同銀行にある普通預金口座の残高と同額までの部分の利息を普通預金利息と同率とし、それを超える部分の利息は同銀行における一般の住宅ローン利率とするものを預金連動型住宅ローンといいます。
銀行によっては、連動普通預金はローン申込者本人名義口座のみならず、同居家族名義口座でも可としており、また、ローン利率を普通預金利率まで下げる方式と、普通預金とローンの各利率をゼロとして両利息を実質相殺する方式とがあります。

ゼロ又は1%未満利率ローンの扱い
ここで気になるのは、1%未満利率ローンの住宅借入金等特別控除の適用対象外の規定です。しかし、この除外規定は、給与所得者がその勤務する会社から貸付けを受ける場合を対象にしており、一般の住宅ローンについてはたとえゼロ利率であっても除外の対象になりません。

利率差は銀行からの贈与?
一般的な住宅ローンの利率によって計算した利息と連動型ローン利息との差額としての経済的利益が課税対象になるかどうかも気になるところです。
しかし、これも、住宅ローン契約が、民法上の金銭消費貸借契約であり、その約定利息は当事者間の契約によって(いわゆる利息制限法や貸金業規制法に抵触しない範囲で)自由に設定することが可能とされているかぎり、個々の契約内容の違いの程度に過ぎないものなので、課税対象となる経済的利益とすることは困難です。

連動預金家族からの贈与は?
同居家族名義口座を連動対象口座にした場合、ローン利息の優遇を受けることができることから、家族間の贈与があったものとして課税関係が生じるようにも考えられます。でも、贈与税が課税されるのは、贈与により財産を取得した場合ですから、課税できる条件にはなっていません。
 ただし、住宅ローンの支払利息と家族名義連動対象口座の受取利子が相殺される場合には、「債務の代位弁済」と見る余地がありますので、みなし贈与には当たります。本人の預金以外の利子との相殺契約だけは避けるべきでしょう。





H21.11.18
債権回収方法としての商品引き揚げ


代金未払の自社商品の引き揚げ
 自社商品を掛け売りしたが、支払期日が来ても支払がなく、問い詰めても「もうちょっと待ってくれ」と全くのれんに腕押し。
 そうこうするうちに、売掛先の業績が悪く、倒産の噂も聞こえてきた。他方、自社商品が一定期間は倉庫に保管されていることも分かっている。
そのような場合に、訴訟や差押えといった法的措置によらない、手っ取り早い方法は、自社商品を管理する倉庫等を訪れ、自社商品を引き揚げるという方法です。

「うちの商品を引き揚げて何が悪い?」
 ここで注意すべき点は、窃盗罪という勇み足にならないようにすることです。
 もっとも、自社の商品を引き揚げてなぜ窃盗なのかという疑問が出てくるかもしれません。代金の完済までは所有権を留保するという契約ならば、ますますそういう思いに駆られるかも知れません。
 しかし、窃盗罪が処罰する行為は、一言で言えば「相手の占有を奪う行為」で、所有権を侵害する行為ではありません。仮に所有権が手許に残っていても、相手方が事実上その物を支配する状態、つまり、占有状態がある場合には相手方の意思に反して奪い返すことはできないのです。

相手からの了承を取り付ける
 したがって、商品の引き揚げにあたっては、担当者に簡潔に用件を伝え、了承を得てこれを実行すればよいことになります。
 そして、引き揚げた商品の処理としては、赤伝を切ってもらうこと、つまり、商品売買の合意解除をします。あるいは、未払代金債務の代物弁済として処理することでもよいでしょう。

管理者がいなかった場合は? 
これに対し、担当者がいない場合、明確に拒否された場合、鍵が掛かって入れない場合には、商品の引き揚げは断念せざるを得ません。





H21.11.17
売上の割に儲からないのは?

社員40名の外科手術顕微鏡等製造業H社は、従来から積み重ねてきた望遠鏡製造の要素技術・レンズの焦点合わせ、メカのつくりこみなどを組み合わせて、他社に真似が出来ない製品を生み出して販売し、利益を得る体質を作りあげています。つまり、独自の製品開発が同社の5%を超える売上高経常利益率を支えているのです。

売上高経常利益率をチェックする
「売上高経常利益率(%)=経常利益/売上高」は企業が、存続・発展するために適正な利益が得られているかどうかを示す指標で、本業と財務基盤を含めた総合的な収益力を示す数値です。
中小企業約80万社の財務データを分析した中小企業庁の「中小企業の財務指標2005年決算期)」によれば「売上高経常利益率」の業種別平均値は次の通りとなっています。

【業種別売上高経常利益率(平均)】
建設業:0.9、製造業:1.7、情報通信業:1.6、運輸業:1.1、
卸売業:0.8、小売業:0.3、不動産業:4.1、飲食・宿泊業:0.2、
サービス業:1.3

自社の「売上高経常利益率」が低いと感じたら、収益低迷の原因を探して手を打つ必要があります。
その方法として「売上高総利益率」の変化をチェックしましょう。この数値が低い場合、低い販売単価、相対的に高い売上原価などがその原因であり、商品力のチェックやコストダウン対策が必要です。
「売上高総利益率」は低くないにもかかわらず、「売上高経常利益率」が低い場合は「販売費・一般管理費・支払利息」などの経費による高コスト体質が考えられますから不要不急な経費の削減などを検討する必要があります。前述のH社は商品力で戦略的に手を打っているケースです。

政府の支援施策
 ここでは、技術力の強化によって「売上高総利益率」を高めるための政府の「中小企業技術革新制度」(SBIR)を紹介します。問い合わせ先は、中小企業庁創業・技術課(03-3501-1816)です。 





H21.11.16
支払事実による医療費控除

療養上の世話の対価
療養上の世話を受けるため家政婦さんなどに支払ったときは、医療費控除の対象となります。
親族に対しての支払いはどうでしょうか。

国税不服審判所の裁決
平成9年5月16日の裁決では、親族に対して療養上の世話の対価を支払ったとしても、家族介護費についてはそもそも医療費控除の適用はないとの税務署側主張を無視し、支払の事実の有無のみを問題にしていました。現実の支払の事実が認められれば医療費控除の適用がありそうにも読める裁決でした。

従来の解説
税の解説書では、療養の対価として付添え人に支払うものは医療費控除の対象となるが、感謝の気持ちの謝礼は対価ではないから対象外としています。そして、家族介護への謝礼は労務の提供への対価の性質をもつものではないから、医療費控除の対象とならない、としています。

核家族社会の果てに
老後生活費も、介護も、生活扶助も本来は家族の助け合いを基本に置くべきことなのですが、助け合うべき集団としての家族は崩壊し、個族化が進行していると言われています。
他人への支払いは優遇し、家族への支払いは無視するような行政の姿勢も、ここまで家族制度が危機に瀕してくると、危機を助長する役割を果たすことになってしまいます。

対価として親族に支払う
従来の行政側の見解を整理してみると、療養上の世話への費用が医療費控除の対象となるか否かのポイントは、事前に労務の提供の対価としての支払いの約束をした上で、労務の提供がなされ、現実に支払いを履行している、という事実があるかどうか、にあるといえそうです。

家族に優しい税制へ
納税者サイドでも、制度への配慮を施しながら、行政の許容枠を拡げる姿勢があるとよいのかもしれません。
なお、対価の受け取り側は所得を得たことになりますから、場合によっては所得税の申告をしなければなりません。というよりも、積極的に所得申告することにより、医療費支払事実の裏付けとすべきでしょう。





H21.11.13
家族介護への税制配慮

市区町村の家族介護者支援手当
介護保険法で一定の要介護者として認定を受けている在宅要介護者を介護している同居家族に対して、「家族介護者支援手当」を支給する条例を制定している市区町村が増えています。
 この家族介護者支援手当の受給該当者には、自治体により異なりますが、要介護の認定の程度に応じ、何万円かの金額が毎月支給されます。

介護保険法上の税制措置では扱えない
介護保険法では、保険給付として支給を受けた金品に対して租税その他の公課を課することができないものとしています。
なお、介護保険制度においては、市町村の判断で、介護保険法で定められたサービス以外のサービスを保険サービスに加えたり、居宅サービス等の区分支給限度額を引き上げたり、介護者の支援や、介護予防事業等の「保健福祉事業」を制度内で実施してもいます。
しかし、家族介護者支援手当は、@金銭で支給されるものであること、A要介護者以外の者に支給されるものであるから、介護保険法上非課税とされる保険給付や市町村特別給付に該当しません。

市区町村からの照会への非課税回答
市区町村としては、給付した金銭に課税されたのでは給付の効果が限定的になってしまうので、非課税扱いにできる方途がないか国税当局に問い合わせしたところ、非課税でよいとの回答を得ています。
公表されてはいないのですが、情報公開法による開示情報で明らかにされました。

いきなはからい
家族介護者支援手当を非課税とすることに特に根拠を見出せなかったのか、奥の手として、継続需給にもかかわらず、「災害等の見舞金で、その金額が社会通念上相当と認められるもの」に該当し、非課税所得として取り扱うのが相当である、との理由を示しました。

時代の流れに掉さすな
家族が崩壊し、個族化が進行している時代に、家族の助け合いを回復する方向への制度的支援は促進されるべきです。
むしろ、家族崩壊への流れを助長する役割を果たしている行政制度は少なくありません。立ち止まって再考したいものです。





H21.11.12
直接支払制度で出産費用負担軽減

支給額が4万円引き上げられる
 健康保険の被保険者や被扶養者が出産した時に支給される「出産育児一時金」は、38万円となっていましたが、平成21年10月から42万円に引き上げられました。産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合で、それ以外では35万円から4万円引き上げられ、39万円となります。

4万円上乗せ助成は23年3月まで
 対象となる出産は妊娠4カ月(85日)以降の分娩、死産等です。4万円の追加支給は緊急少子化対策として、平成23年3月までに出産する方を対象としています。
又、新政権のマニフェストによると今後ほぼ自己負担なしに出産できるようにと、一時金は55万円まで助成を行う事が案として出されています。出産時の費用負担が軽くなるのは助かりますが、子ども手当の財源確保も難しい中、実現はかなうのでしょうか。

手続きは医療機関等へ直接
 今までは原則として出産後に、被保険者が申請し、本人に「出産一時金」を支給していましたが、10月からは被保険者が医療機関等に「直接支払い制度」を利用する旨の合意を申し出て、医療機関が出産一時金相当額を本人に代わって協会けんぽ等保険者に請求する仕組みとなりました。
 まとまった出産費用を事前に用意する必要はなく、出産費用が一時金の額を超えていた時は、差額だけを支払えばよいので、一度に大きな額を負担する事がなくなりました。又、退職日まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、退職日から6カ月以内に出産した場合で、在職中に加入していた健康保険からの出産一時金の支給を希望する場合は「資格喪失証明書」を医療機関等へ提出する事で直接支払制度を利用する事ができます。かかった費用が一時金より少なかった時は「出産育児一時金支給申請書」に「領収明細書」を添えて、協会けんぽ等保険者に差額を請求します。

直接支払制度を希望しない場合
 従来通り、先に医療機関等へ被保険者が費用を支払い、後日支給申請書を協会けんぽ等保険者に請求する事も出来ます。その場合には医療機関等で直接支払制度を利用していない事が明示された「代理契約に関する文書」及び「領収明細書」を申請書に添付します。





H21.11.11
「士」業の源泉所得税


平成8年12月以前に旧姓で年金加入の方
 消えた年金記録、いわゆる持ち主不明であった「5,000万件」のうち、「500万件」を超える件数が婚姻等により、氏名を変更した方々の記録であるといわれています。
 女性の場合、多くは婚姻時に姓を変えており、婚姻前に旧姓で勤務していた期間が年金記録から抜けている場合があるようです。年金特別便や定期便等が自宅に送られてきた際には、その期間に漏れがないか確認をして見ましょう。昔加入していた期間1年分が見つかれば、年2万円余りが増額されます。以前は厚生年金番号と国民年金の被保険者番号が異なっていたので、結婚をして厚生年金から国民年金に加入した場合、年金番号が変わったのでこのような問題も起きたのです。平成9年1月以降に初めて年金加入された方は、基礎年金番号の導入により年金記録は一元化されたので、このような事態は減ってきています。

記録漏れ訂正で年金返納はせず
 サラリーマンの妻の年金記録訂正によるもうひとつの問題点として、厚生年金の加入記録漏れを訂正した際に既に受け取った年金の返納を求められるケースがありました。妻が専業主婦から一時的に会社勤めをし、退職して再び専業主婦となった時には「第3号被保険者」の届出が必要でした。しかし、届出漏れをしていた場合「第3号被保険者」期間は未加入扱いとなります。事後に届出も認められていますが、年金受給額に反映されるのは届出後であるため3号の届出漏れをしていた場合、受給資格にも年金額にも反映されないので、受け取った年金は払いすぎていたとして返還を求められるケースもありました。
 しかし、厚労省は最近になってこのようなケースは返還を求めないし、既に返還した方には払い戻す事を発表しました。対象となった方は、払戻しの申請をしておきましょう。
 妻の3号被保険者の届出は手続き漏れが多いため、平成14年4月から夫の健康保険の被扶養者となる手続きの際、同時に届出る事となっていますので、現在は届出漏れは少なくなっている事でしょう。





H21.11.10
社員がやる気を出す評価の仕方


 社員70名の化学薬品製造業B社では賃金テーブルと評価項目を社員に公開しており、4半期毎に社長が管理職全員の出席する席で「○○課は、外部環境が厳しくなった中で良く頑張ったので5段階評価のAランク」「△△課は、競合の状況が好転したのに機会の活用が不足したので、Dランク」と、具体的な根拠を挙げて評価を発表し、半期ごとの賞与に反映するとともに、年度の評価では昇給や処遇で報いていますので、課長達は発奮し、おおいに頑張って競争し、好業績をあげています。

上手な人事考課制度づくり
 人事考課制度は
@ 業績などに応じた公正な評価で賞与や昇給に反映させる。
A 能力の発揮度合を評価して、社員の能力開発・育成を図る。
と言う二つの目的があります。
制度づくりのポイントは
@ 評価項目を、「会社の業績への貢献」「対人関係能力(顧客や部下とのコミュニケーション能力の発揮度)」「技術・技能・ノウハウの活用度」「意欲・勤務態度」で構成し、自社の業務実態に合った分かりやすい表現にすること
A 評価項目・評価結果の賃金や処遇への反映ルールを公開すること
B 評価結果の公正性・納得性を保つこと
にあります。

評価のコツ
その評価結果の公正性・納得性を持たせるコツは次の3点です。
@ なるべくホットな(結果がでたら早めに)評価結果を伝える。
A 評価の根拠事実をキチンと伝える。
B 全員が自分の評価の社内に於ける位置付けが解るように伝える。
それは大変難しく、多くの企業が苦労していますが、事例のB社は上手にやって、社員がやる気を出す効果をあげているのです。

政府の支援施策
人材育成に関して、職業能力の向上のための支援制度として「キャリア形成促進助成金制度」があり、問い合わせ先は独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センター(電話:0570-00154)です。





H21.11.9
留保金課税と配当の流出時期


 一定の同族会社には、通常の法人税の他に「特別の税金」が課されることがあります。このことを「特定同族会社の留保金課税」と言います。この留保金課税の是非はともかく、現行法では、資本金1億円以下の会社にはこの課税の適用はありませんので、多くの中小企業ではこの規定の存在を意識する必要はなくなりました。しかし、商法から会社法に変わったことにより、留保金課税の規定が一部改正されています。

(1)配当の流出時期
 税務において、当期の留保所得の金額を計算する際、期中に配当として社外に流出した金額をいつの事業年度の所得から控除するか、すなわち、配当による利益積立金(利益剰余金)が減額される時点についての明確な規定はありませんでした。
旧商法では、配当(中間配当は除く)は事業年度終了後の定時株主総会で利益処分が可決されて確定することを明文で規定していました。
そこで、税法は、この商法の規定に準拠し、「確定決算において利益の処分として流出される配当は、翌期に確定するが、その効果は当該事業年度末にさかのぼり、当該事業年度の社外流失」として取り扱ってきました。

(2)会社法ではいつでも配当できる
 会社法では、定時株主総会に限らず配当(自己株式の取得も含む)は期中でも行うことができるようになりました。これを受けて税務では、従来の取り扱いでは運用できなくなり、「利益積立金(利益剰余金)を減額するのは配当の基準日ではなく剰余金の配当等の効力が生ずる日」としました。

(3)配当の流出時期のみなし規定
 具体的には、従来の定時株主総会の配当決議によると同様な留保課税の実務が踏襲できるよう、「配当の額は、当該基準日に属する事業年度に支払われたものとする」、みなし規定を設けました。
 このみなし規定の対象となる配当は、配当決議の日がその支払に係る基準日の属する事業年度終了の日の翌日から当該基準日の属する事業年度に係る決算確定日までの期間内にあるものに限るとされています。
 この規定の適用を受けるためには、株主資本等変動計算書の配当に関する注記において配当基準日及び効力発生日について適切な開示を行う必要があります。





H21.11.6
年金保険料の控除のあり方

所得計算の原則
 税法でいう所得とは利益のことで、収入から必要経費を差し引いた残額のことです。
必要経費とは収入を得るために支出した金額のことです。
年金収入についても必要経費相当額を差し引いてその所得を算出することになっています。ただし、公的年金収入については支払年金保険料を必要経費にできないことになっています。

事業主負担分社会保険料の税の扱い
 公的年金に係る支払年金保険料の半分は本人ではなく給与の負担者たる事業主が支払い、事業主の必要経費になります。
また、それは給与所得者の将来の年金所得の受給原資になりますので、給与所得収入に含めるべきものですが、税法上はそういう扱いになっていません。
収入は無いものと扱われ、従って年金保険料の支払いも無いものと扱われます。収入控除の扱いともいえます。

社会保険料の控除の理論的なあり方
公的年金に係る支払年金保険料の残り半分は給与所得者本人が支払いますが、それは給与所得者に課せられた法的義務に基づく金銭負担なので給与所得の必要経費になるべきものです。さもなければ、事業主負担と同じく収入控除扱いにすべきものです。

所得控除にすることの不整合
 公的年金等に係る支払保険料はすべて課税所得を減額しつつ支出されているので、年金収入の必要経費にはならないことは理解できます。
 しかし、事業主負担分は収入控除扱いで、本人負担分は所得控除というのでは扱いに一貫性を欠きます。
 一貫性に着目するなら本人負担分も通勤交通費と同じく収入控除扱いにすべきです。
 必要経費性を重視するなら、事業主負担を含めすべて給与収入に計上し、給与に係る必要経費にすべきです。

問題は給与所得控除
 支払年金保険料を給与所得の必要経費と理解するならば所得控除の現制度は二重控除を制度化していることになります。
 給与収入控除が是との立場でも、現制度では給与所得控除額を過大にしているということになります。
 給与に係る必要経費でありながら実質は架空経費である給与所得控除の存在が問題解決を困難にしています。





H21.11.5
年金負担と個人起業

国民年金の被保険者
 被用者年金制度(厚生年金保険・共済組合)に加入できない自営業、農林漁業、学生、無職の人などが国民年金の主たる加入対象者、保険料支払者です。
税理士や弁護士や医師も多くは個人事業者で国民年金の被保険者です。

個人事業所での社会保険
個人事業所は従業員5人以上のとき社会保険の強制適用事業所となります。5人未満の事業所の従業員は国民年金・国民健保への加入となりますが、その規模の事業所でも社会保険への任意加入はできます。
なお、社会保険は被用者保険ですから、従業員は厚生年金・健康保険の被保険者になり、そしてその保険料の半分は事業主の負担になるものの、個人事業主はこれら社会保険の被保険者にはなれません。

年金保険の保険金の落差
個人事業主の加入する国民年金の保険金は最高にもらえても年額80万円未満です。
雇われている被用者が入る厚生年金の場合、平均的な人のモデル年金は月額24万円とされています。
この数字の差には唖然とするものがあります。自分の事業所で働いている従業員は将来月額24万円の年金を受け取れるのに、その保険料の半分を負担している自分は月額6万6千円しかもらえない、ということなのですから。

日本再生は活発な個人起業がないと
多くの脱藩官僚は政治家に学者に評論家になっています。勤め先で力をつけて大きな組織から自立して起業することができれば素晴らしいことです。こういう自立が羨ましがられる社会であるべきです。
 しかし年金制度は、個人起業者が輩出し、成功とともに法人成りして大企業になっていくジャパニーズドリームに水をさしています。

給付つき年金保険料税額控除の提案
 自立して頑張っている個人事業者が、他人を雇用して給与を支払った場合、支払給与に係る社会保険料の事業主負担分は経費としてではなく、「給付つき税額控除」とすることができる、というような制度にでもなれば、起業インセンティブが効いて日本再生の特効薬になるかもしれません。





H21.11.4
4 つ の 壁

パートタイム奥さんの収入調整の時期になっています。調整の前に立ちはだかる4つの壁について考えてみます。

100万円の壁
 住民税の納税義務が発生するのは、給与年収が100万円を超えた場合です。100万5000円の年収の場合、所得控除が基礎控除のみだったら、均等割4,000円、所得割1,250円となり収入増加額以上の税負担になります。
壁超過額5,000円程度では入りと出は逆転です。ただし、これは小さな壁です。

103万円の壁
○妻自身の所得税はゼロ
○夫の所得税で配偶者控除の対象となる
こういう扱いとなるのが給与年収103万円までです。
例えば、夫の所得税の税率が20%の場合夫の所得税額が配偶者控除により76,000円減ります。
 妻の給与年収が128万円で所得控除が基礎控除のみだったら、本人の均等割4,000円、所得割27,500円、所得税12,500円、夫の配偶者特別控除による減額は32,000円となります。壁超過額25万円で41,500円の負担増となります。入りと出に逆転はありませんので、気にする必要のない壁と言えます。

130万円の壁
妻の収入が130万円以上になると、社会保険料を妻自身で負担することになります。会社の社会保険に加入するか、市区町村の国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。
130万円になり会社の社会保険に加入した場合に負担する額は厚生年金保険料15.704%と健康保険料8.18%と介護保険料1.19%の各半分なので、概算で年間163,000円となります。
 国民年金・国民健保加入の場合は、国民年金保険料175,920円、国保81,340円がそれぞれの年額となります。
 この壁は巨大で突然の負担増により著しい支出超過となります。

配偶者手当内規の壁
 所得の少ない配偶者に内助の功手当として月に数万円支給する会社があります。この内規の壁は無視できない大きい壁といえます。





H21.11.2
安全余裕率を高めよう!

 化学薬品製造業・P社は設備投資に慎重で、製品の市場地位が確立できるまでは外注を活用し、長期の取引安定が見込まれる場合にNPV法(正味現在価値法)で投資対効果の経済計算を行い、自社設備を購入することにしています。
 また、設備を購入してからは、同業他社からの製造外注も受けて、設備稼働率の維持・向上に努めています。
 
安全余裕率とは
 「安全余裕率=1−損益分岐点売上高/売上高」で、仮に安全余裕率分だけ売上高が下がったとしても赤字にはならないことを意味します。不況に対する抵抗力を示すこの比率が高ければ高いほど、簡単には赤字にはならない経営体質を持っていることになります。
 安全余裕率を高めるには、売上高を上げることや変動費率を下げることも必要ですが、仮に売上高が上がらない場合を考えると、固定費の削減や変動費化を図ることが必要になります。
 固定費は短期的に減らすことが出来ない
ので、その分利益低下の要因になるからです。
 
安全余裕率を高めるには
 そこで、安全余裕率を高めるには、過度な設備投資を控え固定費を下げる、パート・アルバイトを活用して人件費を変動費化することなどが重要です。
一方でコア人材は企業の長期的な競争力が決まる重要な経営資源であり、採用・育成に力を入れ、技術・ノウハウの蓄積・活用を図ることを忘れないことが重要です。