デイリーニュース

HOME > デイリーニュース > バックナンバー

H22.11.30
税調の審議が気になる
還付加算金の減額も

還付加算金は、納めすぎていた税金に対する一種の利息で、還付加算金を計算する際の起算日については、国税通則法に還付金及び過誤納金(還付金等)の区分によりその起算日が定められています。

適用法律で起算日に差異
また、国税通則法では、他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間とし、個別税法の優先の規定をおいています。
通則法では、職権による更正の場合の申告納税額の過誤納金の起算日は、その更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日とし、また、更正の請求による場合の過誤納金の起算日は、更正の請求があった日の翌日から起算して3月を経過する日とその更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日とのいずれか早い日の翌日、と定めています。
一方、法人税法、消費税法では、同じ職権による更正であっても、もちろん、還付が過誤納金か還付金かの違いはありますが、中間納付額の還付又は控除不足額の還付に対する起算日は、中間納付額の納付の日(納付が納期限前であれば納期限)の翌日からその還付のための支払を決定する日と定めています。少なくとも、起算日から還付日までの日数は6ヶ月以上あります。

更正(職権)に基づく中間納付額の還付
 このように、更正に基づく中間納付額の還付金の起算日は、法人税法及び消費税法で定められた期間は長く、結果、還付加算金も多くなります。これは適用法律の違いによる差異であって、法律上、何が問題となるのか、ということも言えますが、会計検査院は次のような指摘をしました。

会計検査院の指摘
更正に基づく中間納付額の還付金及び申告納税額の過誤金は、いずれも確定申告により適法に確定し納付された国税を還付するもので、また、いずれも税務当局において還付金等の発生が認識できないものであり、かつ、手続き的にも同じである。にもかかわらず、還付の対象が納税額本体の場合は国税通則法が適用され、その対象が中間納付額の場合は各税法が適用されている。これでは、制度適用の均衡を欠いており、かつ、税の節減も図られていない。
会計検査院は、この起算日の適用の仕方に問題があると指摘し、財務大臣に是正を求めました。これからの税調の審議が気になるとろです。





H22.11.29
若年に発生?職場の新型うつ

 今までのイメージとは異なる新型うつ病
 最近、若年層を中心に従来のうつ病とは違うタイプのうつ病が職場で増加しています。従来のうつ病は真面目、几帳面、秩序を重んじ、責任感が強く、少し融通が利かないという性格の方が発症しやすいとされ「メランコリー型うつ病」と呼ばれています。これに対し、もともと仕事熱心な方ではなく、規範に閉じ込められる事を嫌がって職場不適応を起こす新型の「非定形型うつ病」がひろがりつつあります。

わがまま、それとも新型うつ病?
 うつ病は働き盛りの中高年に発生しやすいと考えられてきましたが、新型うつ病は比較的若年層に発症しやすい傾向があります。
 従来の、「メランコリー型」は例えば責任感が強いので、仕事を休むように勧めても、周囲に迷惑をかけたくない、申し訳ないという自罰的な気持ちを抱く人が多く、無気力感や倦怠感で意欲の低下が見られるという特徴があります。
 「非定形型うつ病」は従来型ほど深刻な気分の落ち込みはないもののなんとなく気分がすぐれない状態が長期間継続する等、社会的スキルの未熟な人に多く他罰的であり、例えば、○○のせいでうつ病になった、○○部に異動しなければ治らない等と発言するなど、社会の規範、規則はストレスと考える傾向にあります。休んでいるときは楽しく過ごせるため、休むよう勧めるとすぐに納得して休むというケースもありますが、休職中に旅行に行くなど一見病気に見えない行為もあるようです。

対応は就業規則と慣例で範囲を決めて
 「新型うつ病」には、単なるわがままでは?と思われるような行為が見受けられます。しかし本人は深刻に悩んでいるので会社としては感情的にならずに主治医等に病状の確認をする事が必要になるでしょう。
 会社は自分勝手と思えるような要求に対し翻弄されないよう就業規則や従来型への対応等の慣例に従い職場での支援や配慮が出来る範囲を明らかにし、それ以上の対処が必要であれば、労務提供が不可能であるという判断を下す事も必要になるかもしれません。





H22.11.26
年末調整よもやま話 日本の年末調整制度

日本における所得税と源泉徴収制度の起源
日本における所得税の導入はイギリスに範をとって行われ、明治20年(1887年)に導入され、課税の対象者はわずかな富裕層に限られておりました。
その後、幾度かの税制改正を経て昭和15年(1940年)の税制改正により勤労所得に対する源泉徴収制度を導入したときにはナチスドイツに範をとりました。

戦雲急のもとでの大衆課税と有償徴税事務
昭和15年、勤労所得の基礎控除を1,000円から720円に引き下げ、これにより課税対象者を飛躍的に増やし、同時に国の徴税事務の効率化を目的として勤労所得に対する源泉徴収制度を導人しました。
なお、源泉徴収義務者は国から徴税事務を委託された代行人と位置付けられ、納税者一人当たり当初10銭の徴税代行手数料の交付を受けることができました。その後20銭になり、最終的には50銭になっています。
この交付金制度は昭和22年(1947年)に、申告納税制度と年末調整制度の導入に際して、廃止されました。

日本における年末調整制度の成立
戦前には勤労大衆課税としての源泉徴収制度はありましたが、納税額の精算の観念はなく、ナチスドイツではすでに採用していた雇用主(企業)が徴収税額の過不足を精算する年末調整制度を導入するには至っておりませんでした。
昭和22年(1947年)のGHQ軍政下での税制改正で、申告納税制度の採用に当って納税額の精算の観念が生ずると、年収5万円(同年に再改正があり8万円)以下の給与所得者に対しての税額精算は年末調整制度で済ませることにし、確定申告を省略させることにしました。

GHQもシャウプも年調嫌い
GHQはアメリカ流の民主的申告納税制度の例外となる年末調整制度の導入を渋っていたが、日本政府に押し切られたといわれており、1949年のシャウプ税制勧告では、年末調整事務は税務署にできるだけ速やかに移管すべきとしておりました。
年末調整対象外の給与所得者の人数割合は0.1%〜1.2%の範囲内に収まって現在まで推移してきています。すでに60年余の年末調整史が刻まれ、日本人の風土に合っているのか、国民の中に年調廃止の気運は高くありません。





H22.11.25
年末調整よもやま話 世界の年末調整制度

 源泉徴収はともかくとして、年末調整は世界で日本だけにしかない制度だ、という神話があります。その神話について、ちょっと調べてみました。

各種年末調整の制度がある国ない国
 ドイツでは、12月31日に10人以上を雇用している雇用主に対して、賃金税(給与所得者にかかる所得税に相当)の年末調整義務を定めています。処理の期限は翌年3月末日です。ただし、被用者が希望しない場合は直接税務署に申告します。
 欧州大陸では、その他にノルウェーとポルトガルにも年末調整制度があります。
 イギリスでは、年末調整というよりもその都度調整というべき制度(PAYE)により、給与の各支払い時にそれまでの支払額の累計額に対して、人的控除などにも配慮した税額表を基に、給与所得の年税額に帳尻が合う形で源泉徴収を行うので、大部分の給与所得者は申告の必要がないことになっています。
イギリス型のPAYEは植民地を含む旧英連邦の国々で多く採用されています。
 韓国にも年末調整制度がありますが、時期は年末ではなく、3月に行われ、また日本なら確定申告ですべきことも悉く年末調整で完了させることになっているので、完全進化型と言うべきものかもしれません。
 アメリカ、フランス、イタリアなどその他の多くの国では源泉徴収はするものの年末調整の制度は持っていません。また、給与については源泉徴収するだけで税額が確定することになっている国も二つ三つあります。

源泉徴収と年末調整の起源
 源泉徴収制の起源をひもとくとイギリスが1799年にナポレオン戦争の戦費調達のために貴族階級を課税対象に創設した所得税の徴収に始まり、所得税と源泉徴収はその後廃止されたのち1803年に給与所得、利子配当所得などに対する制度として復活し、現在に至っています。
ただし、広く国民大衆を相手にする源泉徴収制度を制度として機能させたのはナチスドイツで、ナチスドイツは税制に対してはかなり先進的で、扶養控除や住宅促進税制など、第二次世界大戦後多くの先進諸国に影響を与えた制度を考案していました。
 源泉徴収も年末調整も日本の発明ではありません。日本だけの孤独な制度というのはやはり神話のようです。





H22.11.24
追加されていた更正の請求対象

 過日の年金二重課税判決(最高裁)のように、判決等により「国税庁長官の法令解釈」に変更が生じた場合、法定申告期限から1年以内であれば「更正の請求」により納税者は救済されます。しかし、更正の請求期限を過ぎたもの、つまり、法定申告期限から1年を超え5年以内の年分については、還付請求権の5年間の行使はあるものの、平成17年までのその取扱いは、納税者の嘆願申請により、税務署長の職権による減額更正で還付を実施し納税者を救済してきました。

更正の請求に基づく還付請求権
 平成18年度の税制改正で、判決等により国税庁長官の法令解釈に変更が生じ、過去に遡って取扱いの変更を受ける場合には、その変更も「後発的事由」による更正の請求の対象に追加しました。
 具体的には、「変更後の解釈が国税庁長官より公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なる取扱いを受けることとなることを知った場合には、その知った日の翌日から起算して2ヶ月以内に更正の請求ができる」という内容です。
過日の年金二重課税に伴う更正の請求は、この取扱いによります。
この改正により、納税者は、法令上の手続きである「更正の請求」の行使に基づき、法定申告期限から1年を超え5年以内年分の過誤納金について還付請求権を取得することができるようになりました。

還付請求権と職権による減額更正
 法令上の手続きである更正の請求の行使に基づく還付請求権と職権による減額更正による還付と実質的に何が異なるかです。
税務署長の職権による減額更正は、法令上、あくまで納税者の嘆願による過誤納金の返還請求で、この嘆願(申請)を受けて税務署長が還付するかどうかを決定します。したがってそれは、法令上、納税者に付与された正当な権利ではありません。
一方、更正の請求の行使に基づく還付請求権は、法令上、納税者に付与された正当な権利です。この還付請求権には、一身専属性はなく、一般私法上の金銭請求権と同様であると解されています。それ故、当然に相続の対象になり、また、一定の要件(譲渡の事前通知と確定日付)を具備することによって第三者に譲渡することもできます。     
過日の年金二重課税に伴う還付請求権も例外ではありません。





H22.11.22
内容証明郵便のお話

 何を「証明」するのか?
近時すっかりポピュラーになった感のある内容証明郵便ですが、そもそも何を証明するのでしょうか。これは、「文書が存在するということ」と「その文書にどういう内容が記載されたか」を郵便事業鰍ェ公的な第三者として証明するものです。
 その性質から、支払等一定の行為を請求する場合やクーリングオフ、相殺通知のように一方的な意思表示により完結する場合に、必須の手段となっております。

実際の効用は何か?
 それは、紛争解決を促す契機となることです。内容証明郵便そのものは裁判書類ではなく、その点で他の手紙と変わりません。しかし、放置すると次なる手段として裁判等法的手段に出る可能性は高いことから、何らかのリアクションをせざるをせず、それが程度の差こそあれ、相手方をして紛争に向き合わせることになります。

利用上の主な注意点
@ 避けた方がよい場合もある
取引先や信頼関係のあった相手方に対し、初めての書面が内容証明郵便では、相手方に威圧的な印象を与えて、徒らに態度を硬化させ、却って紛争をこじらせます。

A 雛形は万能ではない
賃料や給料の請求等単純なものならともかく、例えば損害賠償のように具体的な事実関係を記しながら請求する場合には、雛形からカスタマイズするのは困難です。

B 単なる脅し、ハッタリなら止めるべき
 既に厳しい対立関係にある場合、昔ならばいざ知らず、内容証明郵便だけで「参った」となることは少ないでしょう。裁判に至った場合、そのまま証拠となりますので、拙劣な主張を展開していたことに気づき、後で撤回、修正するようでは、結論は自ずと見えてしまいます。

C いろいろ決まり事がある
 紙面の都合上省略しますが、一枚当たりの字数の制限、差出人・宛名の表示、印鑑の押し方、部数、宛名入り封筒の作成、受付郵便局の限定(集配局等大きな郵便局に限られる)等、いろいろな決まり事がありますので、事前に確認しておくべきです。

電子内容証明郵便
なお、最近インターネットによる内容証明もできるようになりました!
*事前の登録等の準備が必要です。





H22.11.19
創出できる株式譲渡損

合法損金の創出プランの紹介
親会社から子会社へ現金を寄附し、その後子会社から親会社への配当としてその寄附金相当額の現金をそのまま戻し、その後、子会社株式を他に譲渡すると、その寄附金分だけ株式譲渡損が膨らみます。
最近、こんな節税スキームが税務専門誌で紹介されています。この10月1日から施行されている新グループ法人税制の解説の中にです。

寄附金の新規定と株式簿価修正という新規定
新グループ法人税制では、法人による完全支配関係にある会社間で寄附・贈与が行われた場合、贈与法人・受贈法人いずれにおいても、そのことによる損益はないものとすることになりました。寄附金の損金不算入と受贈益の益金不算入です。
同時に、贈与をして蛻(もぬけ)の殻にしてしまった子会社を売却して、売却損を計上するような手法、を排除するための「子会社株式簿価修正」という節税封じの新規定も用意されました。

節税封じが節税新手法を誘う
立法時の想定の裏をかくのが冒頭のスキームです。益金にならない贈与を受けて膨らんだ子会社の株式簿価を新規定により膨らませておいた上で、次に配当によりペシャンコにしてしまって、ペシャンコの会社をその会社の時価で売却すると、膨張させた株式簿価は自ずと大きな譲渡損を創出する原因となる、ということです。
税務専門誌では、節税の抜け穴がこんなところにあることに立法当局が気付いていないことを不思議としています。

規制する規定はないのか
寄附された金額を配当で戻すことへの制限は特に存在せず、通達や政省令で勝手に規制規定を設けることも不可能です。規制があるとすれば、「同族会社の行為計算否認」規定の発動だけのようです。
しかし、この程度の抜け穴については、当局は最初から想定の範囲にしている、という人もおります。また、誰でも気付く抜け穴なら、それの利用は租税公平主義には反しないし、多くの利用が想定されるなら異常な法形式とも言えなくなるので、「同族会社の行為計算否認」規定の発動も困難となってしまいそうです。





H22.11.18
どこから課税?通勤手当

範囲内は非課税対象
毎日の通勤に電車やバスなどの公共機関はもちろん、マイカーや自転車を利用する方は多いでしょう。
 役員や使用人の通勤にかかる費用は、通勤手当や通勤用定期乗車券として通常の給与所得に加算して支給されます。これらは、「合理的な運賃等の額」の範囲内である限り課税されないことになっており、1カ月あたりの非課税となる限度額を超えなければ源泉徴収の対象となりません。この限度額はどのように定められているのでしょうか。

通勤に電車やバスなどの交通機関だけを利用している場合
この場合の非課税限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。なお、当該金額が10万円を超える場合は10万円が非課税限度額となっています。また、遠距離通勤者が新幹線を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的方法」ということであれば限度額までは非課税対象です。しかし、グリーン車の特別車両料金は非課税対象に含まれません。

マイカーや自転車のみで通勤している場合
 マイカーなどで通勤している人のガソリン代や駐車場代の非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて各々定められています。また、片道15キロメートル以上の人が電車やバスを利用して通勤しているとみなした時の定期券1カ月の金額が、それぞれの限度額を超える時はその金額が限度額となります。更に、この場合に他に利用できる交通機関がなければ10万円を限度として通勤距離に応じたJRの地方交通線の通勤定期券1カ月当たりの金額で判定することもできます。

電車やバスと合わせてマイカーを使う場合
この場合も非課税となる限度額は電車等の通勤定期券等の金額とマイカー等の片道の距離による非課税額を合計したものとなりますが、10万円を限度として超過金額は給与として課税されます。





H22.11.17
専業主婦は、幾らまで仕事をしたら良いのか?

専業主婦の妻がパートで働きに出た場合は幾らまでなら稼いでよいのか? という質問をよくいただきます。
専業主婦がパートで働く場合年収「100万円」「103万円」「130万円」の3つのハードルがあります。これは「妻に住民税がかかる。」「妻に所得税がかかる」「社会保険の扶養から外れる」ということを意味します。

100万円のわけ
住民税がかかってきます。しかも住民税の基礎控除は、33万円ですから、100.1万円の給与があった場合は、給与所得控除は65万円ですから、100.1-65-33=2.1万円に住民税の所得割2,100円と均等割4,000円がかかってきますので、手取りは返って減ってしまうことになります。

103万円のわけ
一番よく耳にする数字だと思います、これは所得税の課税されない上限です。給与所得から給与所得控除65万円と基礎控除38万円が引けますので、65+38=103ということになります。これを超えなければ所得税がかかりません。夫は配偶者控除を受けられます。しかし103万円を超えても夫の年収が、1,000万円以下ならば配偶者特別控除が使えます。141万円まで概ね5万円刻みで控除は少なくなりますが、夫の税金負担増を合わせても、住民税のような、負担逆転現象は起きませんので、必要以上に気にする必要はありません。但し夫の年収が1,000万円超の場合は配偶者特別控除が使えませんのでご留意下さい。

130万円のわけ
妻の収入が130万円以下の場合は夫の扶養として夫の会社の健康保険に加入出来るからです。妻の収入が130万円を超えると妻の勤務先の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入する必要があります。妻が40歳以上だと介護保険料の負担もあります。妻が仮に132万(月11万円)パート収入があったとすると勤務先で健康保険に加入して年間約7万円の保険料負担になります。
さらに、年金保険料の負担も発生します。
今までは専業主婦でしたから夫の年金に相乗りできましたが、パート先の厚生年金保険に加入するか、国民年金の被保険者として保険料の納付が必要になります。厚生年金保険の場合は、年間約10.6万円(8,831円×12ヶ月)の保険料負担になります。





H22.11.16
21年国税統計から見る
民間給与と日本の実相

給与所得者の総数の給与と税金
民間給与所得者数は、5,388万人(前年比86万人減)で、給与総額は192.5兆円(前年比8.8兆円減)、源泉徴収された所得税額は7.6 兆円(前年比1.6兆円減)です。
日本の経済規模が平成20年以降全面的に縮小傾向に転じていますが、それに加速度がついてきています。

税負担の偏りの縮小傾向
 1年を通じて勤務した給与所得者は4,506万人(前年比82万人減)で、うち3,683 万人(前年比減154万人)が源泉徴収により所得税を納税しており、またその税額は7兆1,240億円(前年比1兆4,311億円減)です。
それを800万円超の者に限ると362万人(前年比85万人減)で、その税額は4兆3,149億円(前年比1兆1,815億円減)、8.0%(前年比1.7%減)で60.6%(前年比3.6%減)の税負担をしていることがわかりますが、勢いがないですね。

給与水準別人数の減収化推移
1年を通じて勤務した給与所得者 4,506万人について、給与水準別分布をみると、300万円超400万円以下の者が 815万人(前年比38万人増)構成比18.1%(前年比1.15%増)で最も多く、次いで200万円超300万円以下の者が790万人(前年比38万人増)構成比17.5%(前年比1.14%増)となっています。
400万円以下の人数は全体の60.0%(前年比3.4%増)を占め、400万円超の人数は40.0%(前年比6.6%減)を占めています。
中高収入の層がどんどん委縮しており、400万円超の層で増加している層は皆無で600万円超700万円以下の層が最も著しい崩壊状況を呈しています。

業種別平均給与
平均給与が最も高い電気・ガス・熱供給・水道業では800万円超の者が28.2%(前年比9.2%減)と最も多く、それに次ぐ金融業,保険業でも800万円超の者が26.0%(前年比17.2%減)を占めています。
平均給与が最も低い宿泊飲食サービス業では100万円以下の者が26.2%(前年比1.4%増)、200万円以下が26.1%(前年比1.0%減)、300万円以下が19.2%(前年比1.2%増)、400万円以下が12.4%(前年比0.4%減)、400万円以下計83.9%(前年比1.2%増)となっています。





H22.11.15
年末調整
実施は年末だけではない


 今年も年末調整の時期がやってきましたが、年末調整は年末だけに実施されるわけではありません。
 最近では、中小企業でも海外子会社の設立、海外企業との合弁があり、従業員の海外勤務の機会が格段に増加しています。年の中途で1年以上の予定での海外勤務にもなると所得税の取扱が様変わりします。

居住者と非居住者
居住者とは、国内に住所を有しているか、又は現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有する個人をいい、非居住者とは居住者以外の個人をいいます。居住者は全世界で得た所得に対して所得税が課され、非居住者は国内源泉の所得についてのみ課税されます。以上が、我が国の所得税の取扱いです。

年の中途で年末調整
 年の中途で1年以上の予定で海外勤務となった場合、その者は居住者から非居住者になりますので、その年初から海外勤務となる日までの期間について、所得税の清算が必要になります。すなわち、収入が給料だけの場合には、会社は年末調整し、居住者であった期間の所得税を確定しなければなりません。通常、年末調整は12月に実施しますが、年の中途で非居住者となる場合には、その時点で実施します。
 ちなみに、年末調整の仕方は、通常、12月に実施する内容と同じであり、準備すべき資料、生命保険控除証明書や地震保険
控除証明書、扶養控除の異動などを含めて勤務先に提出します。
 また、勤務先からの給料以外の他に不動産所得などがある場合には、居住者期間の所得を清算するため、年末調整済みの給与所得と不動産所得を合算、出国時までに確定申告する必要があります。
 なお、出国とは、納税管理人を定めないで国内に住所及び居所を有しなくなることを言います。従って、給料以外に所得のある人は、納税管理人を定めれば、給与については年末調整をした上で、年の中途であっても、確定申告は翌年2月16日から3月15日まですればよいことになります。

住民税の課税
 住民税は、その年の1月1日における国内の住所地及び居所地の市区町村が課税します。従って、海外勤務となった年の翌年1月1日には国内に住所等を有していませんので住民税の課税はないことになります。





H22.11.12
会計検査院の税制改正意見

会計検査院の税制改正要望
 最近は、会計検査院が税制改正を促す意見を関係官庁に表示することが目立っています。昨年は、自販機設置等によるマンション建築消費税還付手法への意見表示をし、即座に消費税法の改正につなげています。
 会計検査院の仕事は、税金の無駄遣いに目を光らせるところと思われていますが、法律上の権限として、法令、制度、行政に関し改善要求することができることにもなっています。

以前から税制改正意見を出していたか
会計検査院は、従来から税制についても重要な指摘をしていますが、主として行政執行上の不適切さの監査や税の使途の監視であり、直接の税制改正を企図した意見はあまり多くはありませんでした。
昭和51年度の社会保険診療報酬に係る医師優遇税制への意見と昨年のマンション還付消費税とが特に目立つものです。

今年の税制への意見は二つ
@予定納税の還付加算金への過剰優遇
A高所得中小企業への軽減税率の適用
今年の会計検査院からの税制改正がらみの意見は主にこの二つです。Aの高所得中小企業への軽減税率適用については、制度のワリキリが生む過剰サービスなので、より適切な制度設計が可能なら、そうすればよいだけのことですが、@は還付加算金という利息についてで、還付金の中の予定納税のみの優遇については、本来はそれが優遇になってしまう他の条件が問題なのです。

会計検査院の単視眼
 会計検査院は意見の提出の目的を「公平」とともに支払いの「節減」に置いていて、支払節減になるように公平にせよといっています。公平の前に、法的正義・社会的合理性の判断があるべきです。
更正の請求で、過剰納付税金の還付があったら、納付時点からの利息をつけるのが本筋です。請求してから3ケ月も、還付が決まってから1ヶ月も利息がつかない、という方が不合理です。予定納税の還付がその納期限からの利息付き、ということの方が法的常識です。
 また、このゼロ金利時代に14.6%(優遇部分7.3%や4.5%)などという延滞税率の非情な高率が放置されていることや、これらペナルテイー税率とは異なる経費性のある利子税も7.3%(4.5%)と同じ率であることも問題なのです。これらが、世間常識と離れすぎているから、逆に還付加算金も非常識な高額となっているのです。





H22.11.11
相続税法の改正の方向性

 政府税調の相続税法改正議論の論点
 政府税調のホームページで確認できるところによると、相続税・贈与税の改正につき次の論点があげられています。
@相続税基礎控除を60%カットする
A10億円超につき最高税率を60%にする
B退職金・保険金の500万円非課税枠廃止
C贈与税の基礎控除のアップ
D遺産税体系への切り替え

昭和50年代の相続税
 昭和50年代から60年代はじめにおいては<2000万円+400万円×相続人数>が相続税の基礎控除でした。それがバブルの到来とともに昭和63年に一気に2倍になり、その6年後現在の2.5倍になっています。
地価が昭和50年代の水準に下落しているのに、基礎控除が高いまま据え置かれていることは不合理であり、50年代水準に戻すべき、との説明資料が公開されています。

最高税率と500万円非課税枠
 相続税の最高税率は以前70%とか75%とかでしたが、現在は50%です。昭和63年以降数次にわたり、最高税率の引下げを含む累進構造の緩和が行われてきており、相続税の資産再分配機能が低下している、とコメントされています。
 会計検査院の「平成18年度決算検査報告」を引用して、「死亡保険金の非課税措置については、高所得者も適用しており、節税目的と思慮されるものも見受けられる」と述べ、退職金・保険金の500万円非課税枠廃止の意向を明らかにしています。

相続税重課と贈与税軽課
 高齢化社会になり、相続の発生が長期に繰り延べられていることを踏まえ、現役世代への生前贈与促進による消費の振興は従来からの政策でした。
相続税の重課と贈与税の軽課は消費促進的であるとの立場が今年は一層鮮明で、贈与税の軽課策としての基礎控除のアップと相続時精算課税の孫への適用拡大が提案されています。

民主党は遺産税体系
 現行相続税が、遺産税と遺産取得税の折衷方式であるところ、民主党は遺産税体系に体系変更することを打ち出していました。
最高裁判決で所得税との二重課税が禁止されたことを踏まえると、アメリカ的遺産税方式の方が清算的課税をしやすいので、それへの傾向が強くなっている印象を受けます。





H22.11.10
所得税復権の大改正序章


所得税法の大幅改正が企図された
 当初、政府税調のホームページでは考え方の大きな転換を打ち出していました。特に給与所得者を弱者と見る立場を改め、87%を占める給与所得者への課税を中心に所得税の復権と所得再配分機能の回復を果たそうというパラダイム転換です。
次が当初の具体的な中心的改正項目です。
@ 給与所得控除の大幅縮減
A 退職所得控除の減と2分の1課税の廃止
B 成年扶養親族控除の廃止的制度改変
C 配偶者控除適用の廃止
D 税率構造の小刻み化による増税

給与所得控除の第一次改革か?
 公開資料のグラフをみていると、財務省の意図が10%の定率控除と、100万円の最低控除、200万円の上限とするあたりを最終形にしたがっている印象でしたが、今年は格差是正だけの改正として、給与2000万円で控除270万円の現行制度を上限とするあたりだけになりそうです。

退職所得の特別扱いへのブレーキは?
 退職所得については控除額の縮小と2分の1課税の廃止が唱えられていましたが、今年は、外資系企業にみられる短期間在職予定者について、給与を少なくし退職金を多額にする節税中心的人件費プランを無効にする施策だけになりそうです。

特別成年扶養控除の創設と税額控除化
 高所得者ほど20歳代、30歳代の子を扶養親族にしているとの統計データを示しつつ、23歳から69歳までの成年扶養控除を廃止し、特別成年扶養税額控除の創設を唱えていて、障害者・要介護者・難病者・長期入院者などに限定するようですが、どうなるでしょうか。

配偶者控除・配特控除は単純に廃止か
 夫が配偶者控除を受け、妻が基礎控除を受けるのは、控除の二重計上で、就労への税制中立に反し、又夫の収入が低いほど妻の就労割合が高い、との統計値を示し全廃を匂わせていましたが、今年は所得1000万円超の層のみの廃止にするようです。

最高税率は維持、税率構造は多段階に
税率をもし1%刻みにしたら、10%税率の人の中には19%の課税になる人が出てきます。また、この10%以下層が圧倒的に多数派で、所得税収の増加策としての税率構造の多段階化は極めて有効です。
最高税率のアップは国際比較の上からは日本が最高なので、ありそうにありません。





H22.11.9
希望的観測


 “希望的観測”とは信念の一形態であり、証拠や合理性ではなく、「そうあって欲しい」とか「そうだったらいいな」と言う希望に基づいて判断を行うことで、誤謬の一種ともみなされ、事柄の真偽を事実に基づかずに希望に基づいて決定する場合を指す、とされています。

“希望的観測”の恐ろしさ
 近年の世界経済に巨大な負の影響を与えた“希望的観測”の代表は、アメリカに於いて「金融工学」と「住宅が必ず値上がりする、と言う希望的観測」が結びついた「サブプライムローン問題」でしょう。
 このような問題は、世界経済だけに現れる訳ではなく、企業の事業計画に於いても経済・技術革新・法令改正の動向など外部環境に影響される以上、“希望的観測”が起因して「あてが外れる」土壌があります。
 また、顧客との取引に於いても常に“希望的観測”が生まれる可能性があります。“希望的観測”は誤りだと分かった時に大小の損失を招く怖さ・恐ろしさがありますが、それでは“希望的観測”は本質的に避けるべきことなのでしょうか。
 実は“希望的観測”も必要なのです。

“楽観論”と“悲観論”のバランス
 事業を進める上で常に楽観的な見方と悲観的な見方は両方とも必要です。
 例えば高齢化が進行する外部環境の下で事業展開を考えると、「高齢者の真の生活ニーズは何か」に迫り、それに応えることによって儲ける“希望的観測”(楽観論)は大いに持つべきもので、同時に「高齢者の財布の紐は堅いぞ」と慎重に考える悲観論の
見方も必要と言えます。
事業ではできるだけ外部環境の変化を兆候的な事実から的確に予測することが大切ですが、それでも予測しきれない政治動向や市場環境の不透明性が残ります。
したがって実際問題として的確にビジネスチャンスを生かし、利益を確保するには楽観的予測(希望的観測)を持って準備を積極的に行い、一方で悲観的予測も考慮に入れて、状況を見ながら柔軟に対応する慎重さをあわせ持つバランス感覚が必要であると言えます。





H22.11.8
売買契約済み土地、引渡し前に相続開始
これも二重課税では!


 先の年金受給権二重課税禁止の最高裁判決は、その解釈によっては、現行所得税体系の根幹を揺るがしかねないと言えます。
 相続税と所得税の二重課税を招来させる課税事象は幾つかありますが、その1つ、「土地の売買契約締結後、その引渡し前に相続開始」の課税関係も二重課税にあたるのではないかと思料されます。

相続における課税財産は何か
上記のように売買契約後、引渡し前に相続開始が起こったとき、相続における課税財産は「土地の所有権」なのか、それとも「売買代金(残代金)請求権」なのか。最高裁は、「残代金請求権」とし、その評価(価額)は、当該売買契約により顕在している契約上の取引価額であると判示しました。
 また、課税当局も「国税庁資産税課情報」を発遣し、概ねこの最高裁の判決を踏襲し現在に至っています。

譲渡所得の申告者は誰
 相続人は、引き渡すべき「土地」を相続していませんが、相続した残代金請求権を実現するために、当然ですが、売買契約上の土地を引渡す義務を負います。その結果、原則、相続人に譲渡所得の申告義務が発生します。

年金受給権=残代金請求権
この「売買契約締結後、引渡し前に相続開始」における、相続税と所得税の取扱いは、年金受給権の二重課税の問題と本質的に異なるところはありません。
 年金受給権も残代金請求権もいずれも相続開始と同時に承継する「債権」であり、単にその価額(評価方法)において違いがあるだけです。
そして、債権たる受給権・請求権が具体的に金銭の給付という形で実現した時に所得税の課税義務を負う。まさに、所得の区分、雑所得か譲渡所得かの違いだけで全くその本質は同じです。
 このように、「売買契約締結後、引渡し前に相続が開始」した場合における相続税の課税財産を「残代金請求権」とする課税上の取扱いが存続する限り、それに伴って派生する「譲渡所得の申告」は「相続税」と「所得税」の二重課税を招来するものと言わざるを得ません。
 もっとも、譲渡所得の申告に関して、契約ベースで申告(被相続人の準確定申告)すればこの二重課税の問題は生じませんが、それは、本質的な議論とは言えません。





H22.11.5
急浮上した繰越赤字の半分の利用制限案

赤字会社数過去最高
 直近の国税庁公開統計情報によると法人の黒字申告割合は25.5%で過去最低だそうです。公務員と大企業の正社員中心主義社会を維持する上で下請け中小企業の利益が圧迫されることが必然となっている構造下では赤字法人比率は中小企業に不可避的に高くなっていると思われます。

赤字会社の欠損控除を制限する案
 税制調査会のホームページに公開されている経済産業省からの税制改正要望によると、大企業の法人税率を30%から25%に引き下げるための財源の一つとして繰越欠損金の使用制限を上げており、この財源確保のために中小企業の税率18%の11%への引き下げも行うとしています。
 大企業税率5%引下げに要する所要財源は約1兆円で、中小企業税率の引下げ財源は1600億円だとも書かれています。

繰欠の半分制限という新聞報道
 日本経済新聞10月29日1面の報道によると、企業が欠損金を翌期以降に繰り越して課税所得と相殺できる制度について、課税所得の「半分まで」に利用を制限することがたたき台となっているとのことです。
 欠損金の大部分は中小企業において発生していること、財源発掘の目的が大企業税率の引き下げであることの相互の関係からして、これは穏やかならざる情報です。

多数派中小企業のメリットか?
 中小企業の反発を抑えるための口実として中小企業の税率18%の11%への引き下げも提案されていますが、これは赤字の企業には直接的には関係ない話です。
 また、交換条件として、赤字の繰越期間7年を大幅に延長するとの案や、相殺できる赤字の範囲を拡大するとの案が出ています。そうなると、従来の考え方からすると、それだけ更正可能期間も延長になります。

繰欠の半分制限が実施されると
繰欠半分制限の提案通りとなると、繰越赤字がいくらたまっていようと、損失発生年以外においては、法人税の課税所得はゼロには決してならないことになります。課税所得が半分に圧縮されることを限度として赤字の利用ができる、にすぎなくなるからです。
 突然湧き出た今年の税制改正をめぐる中小企業にとっての大問題です。





H22.11.4
アメリカの相続税嫌い

 2010年に死んだ人には相続税がかからない、というアメリカ事情はちょっと驚きですが、2011になるとまた再び適用停止になっていた2001年時の60%という最高税率の「連邦遺産税」という名の相続税法が復活する、というのも更に驚きです。

アメリカ相続税法の歴史
 アメリカにおける相続税は、最初の立法が南北戦争前の1862年で8年後に廃止され、その後1894年、1898年、1916年、1924年と立法がなされるもののそれぞれ数年にして廃止となってきました。
最初の戦費調達目的の相続税を除き、その後は立法される都度、相続課税は合衆国憲法に違反するのではないかとの訴訟が起きており、1894年の相続税法は憲法違反との最高裁判決により1年で廃止となっております。その後の立法については合憲判断を得ているものの、みな短命でした。

アフガン・イラクが相続税を復活
最後の相続税立法は1932年で、数次の改正を経つつ現在に至っていましたが、1990年代のアメリカの保守化の潮流に乗ってブッシュ大統領が登場してきて2001年に時限立法としての相続税廃止法が可決成立しました。
とは言え、この廃止法は時限立法だったので、時限消滅を止める手立てをする予定だったと思われますが、アフガン・イラク戦争の泥沼化により政権への国民支持が離反してしまい、予定が狂ってしまいました。時間の経過とともに廃止法が廃止となることになってしまいそうです。
アメリカが共和党支持に振れるときには相続税は嫌われ、民主党支持に振れるときには相続税が復活するようです。

アメリカと日本のアベコベ
 アメリカの相続税は遺産そのものを課税対象にする財産税なので相続人には納税義務はありません。それなのに、相続人の取得する相続財産の取得費は相続時時価です。
日本の相続税は「相続税」という名の一種の所得税なので、納税義務は相続財産を取得する相続人にあります。それなのに、相続人の取得する相続財産の取得費は相続税の課税評価額ではありません。(ただし、最高裁の二重課税禁止判決が出たので、今後は二重課税にならないように規定の解釈と適用をすることになると思われます。)





H22.11.2
相続税の廃止 2010年相続税ゼロ

 2010年相続税ゼロは、アメリカ合衆国の連邦遺産税の話です。これは事実で、アメリカ合衆国では、どんな大金持ちでも2010年に亡くなった人には連邦遺産税(遺産税)は課されません。
この遺産税廃止は、前政権ブッシュJrの時代に立法化されましたが、この法律が日本でいうところの「時限立法」だったことから、本年限りでその効力は失い、2011年から遺産税は復活し,現段階では2001年以前の規定に戻る予定です。

遺産税の特徴
 遺産税は日本の相続税にあたるものですが、日本の相続税のように遺産を取得した者が相続税を納めるというのではなく、遺産そのものを対象に課税しますので、相続人の数や遺産分割の内容によって税負担が影響を受けるということはありません。
実際には、故人に代って遺産財団が組まれ、遺産管理人又は遺言執行者が納税をも含めた相続業務を遂行します。申告期限は、原則、亡くなった日から9ヶ月以内です。

相続により取得した遺産の取得価額
 遺産の取得価額は、原則、被相続人の死亡日における当該資産の公正な市場価額、つまり相続開始日の時価です。この時価引継をステップアップ方式と言っています。この場合、相続開始後、期間を置かず取得した遺産を譲渡してもキャピタル・ゲイン課税(含み益課税)は生じません。
 しかし、遺産税廃止年度に限って、キャリーオーバー方式と言って、被相続人の取得価額を引継ぐことになっています。この場合、遺産の譲渡に際して、一般的には、キャピタル・ゲイン課税が生じます。
 この取得価額の引継ですが、厳密には、被相続人の取得価額と死亡時の時価とのいずれか低い方になりますが、一定の要件を満たす場合には、加算調整が行われ、被相続人の取得価額に一定額(130万ドル、配偶者300万ドル)の加算が行われます。

遺産税と所得税の二重課税
 年金二重課税禁止の最高裁判決で話題になっている「相続税」と「所得税」の二重課税の問題ですが、この二重課税の範囲をどこまでとするかは別として、我が国のような相続により取得した財産に相続税を課し、その後の譲渡で所得税を課する税制とは異なり、少なくとも、アメリカ合衆国の場合は、上記のように、「遺産税」と「所得税」の二重課税は排除されています。





H22.11.1
新卒者に対する就職支援助成金

 新卒者に対する就職支援の強化
長引く不況の影響もあってか今年の大学新卒の就職率55.8%(9月1日現在)との報道を日常的に目にする今日この頃ですが厚生労働省は、将来ある新卒者の就職の実現に全力で取り組む事として、全都道府県労働局に新卒者等が利用し易い専門のハローワーク、「新卒応援ハローワーク」を設置しました。
既卒者の就職を促進するため「新卒者就職実現プロジェクト」として、大学・高校等を卒業後3年以内の既卒者を正規雇用へ向けて育成するため、有期で雇用し、その後正規雇用へ移行させる事業主に対する助成金を創設しました。

3年以内既卒者トライアル雇用奨励金
⇒対象事業主
既卒者トライアル求人をハローワークまたは新卒応援ハローワークに提出し、それらの紹介により、原則3ヵ月の有期雇用をし、その後に正規雇用で雇い入れた事業主
⇒奨励金支給額
(1)有期雇用期間(原則3ヵ月)10万円/月/1人(MAX30万円)
(2)有期雇用終了後の正規雇用での雇入れ・・・50万円/1人/(雇入れから3ヵ月後に支給)
⇒支給対象労働者
大学等を卒業後3年以内の既卒者で1年以上、同一事業主に正規雇用された経験のない人。ハローワークに求職登録している人でH20年3月以降の新規学卒者、中学・高校・高専・大学・大学院・専修学校等卒業者が対象です。

3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金
⇒対象事業主
大学等の既卒者を正規雇用する事業主、又は卒業後3年以内の大学等の既卒者も応募可能な新卒求人を、ハローワーク又は新卒応援はハローワークに提出しそこからの紹介で正規雇用した事業主
⇒奨励金支給額
正規雇用での雇入れから6ヵ月経過後に、100万円を支給(同一事業所の支給は1回限り)
⇒支給対象労働者
3年以内既卒者トライアル雇用の場合と同じ要件ですがこの助成金の大学等とは短大・大学・大学院・高専及び専修学校卒業者となっています。