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H22.7.30
二重課税につき取消せ

年金保険への課税の現況
 相続税法では、年金は年金受給権として評価され、相続財産として課税されます。その後、年々の年金受給が始まると、雑所得として所得税が課税されていました。
ただし、年金で受けとるのではなく、一時金で受け取ることにした保険金については、相続税がかかるだけで、所得税はかからないことになっていました。

年金と保険一時金の相違
 一時金なら非課税ということは通達に書かれていたのですが、その通達は、所得税法に、「相続により取得するものには所得税を課さない」という規定があったことに根拠を置いています。
でも、法律には、年金の場合は課税できる、との規定はありませんでした。国側の解釈は、相続税と所得税の課税のタイミングが同時のもので、いかにも二重課税が明白なものに限定しての非課税規定、というものでした。

長崎からの告発
 税理士も、なんとなくへんだ、と思いつつ、所得税法の解釈について、国の言うことに流されていたところでしたが、長崎の相続未亡人とその関与税理士は、国の言うことに納得せず、相続課税後の年金所得に所得税をかけるのは二重課税であると主張して裁判に訴えました。
裁判の経過は次の通りでした。
平成18年11月 7日 長崎地裁 勝訴
平成19年10月25日 福岡高裁 敗訴
平成22年 7月 6日  最高裁 勝訴
最高裁での二重課税禁止判決はニュースで大きく取り上げられましたので、ご存じのことと思います。

国税のすばやい対応
最高裁の判決後、類似のケースには、過去5年分につき、更正手続により還付し、もっと古い分については、立法的に手当てすることを検討する、と財務大臣が即座に表明しています。
この素早い対応は、判決への国税庁の真摯な姿勢のように見えますが、穿った見方からすれば、判決の及ぼす税制への衝撃を、年金問題だけに食い止めようとしている思惑にも思えます。なぜなら、相続税と所得税との二重課税は、年金だけのところにあるわけではないからです。




h22.7.29
居住者?OR 非居住者?あなたはどちら?


  居住者か非居住者の何れかに該当するかによって、税務上の取り扱いが異なります。

居住者とは
 所得税法上「居住者」とは、「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう」としています(所法2@三)。一方、非居住者とは「居住者以外の個人」をいいます(所法2一五)。それでは「住所」の意義はどのように考えればよいのでしょうか。民法22条によれば、「生活の本拠」としています。具体的には、住まい、仕事、滞在、預貯金、家族などの状況について総合的に考え、判断します。それでも判断しにくい場合には、OECDモデル条約4条では、二重住居者について振り分け規定があります。

課税上の取り扱いの違い
 日本の税法上の居住者であれば、国内源泉所得・国外源泉所得について、日本で課税されます。一方、非居住者であれば、国内源泉所得のみが課税されます。

具体的な2つの事例
 1つめは、武富士事件です。消費者金融大手の武富士会長夫妻から会長の長男が海外法人株の生前贈与を受けましたが、香港に住所があるので日本の贈与税は課されないとして申告しませんでした。ところが課税庁は会長の長男を日本の居住者であるとして、約1,600億円の申告漏れを指摘しました。東京地裁平成19年5月23日の判決では納税者勝訴、一方、東京高裁平成20年1月23日の判決では納税者敗訴でした。「生活の本拠」をどのように判断するのかが、争点となっています。
 2つめは、ハリーポッター事件です。世界的ベストセラー「ハリーポッター」の日本語訳を手がけた翻訳家の松岡氏が、スイス居住者であるとして日本で20%の源泉徴収のみで申告をしていませんでした。2006年に課税庁は、松岡氏を日本の居住者であるとして、35億円の申告漏れを指摘しました。松岡氏が頻繁に帰国し、出版・PR業務をしていたこと、日本の会社の社長であったことなどを理由に、生活の本拠は日本にあると認定したものです。その後2007年には政府間協議により、最終的には日本の居住者であるとの判断が下されました。この事件において、源泉徴収では20%、申告では約50%(必要経費控除後)と税率が異なり、慎重な判断が要求されます。




H22.7.28
シリーズ グループ法人税制 大会社の子会社は大会社


 資本金1億円以下の会社に認められている法人税法の優遇措置のうち、以下の特例が、資本金5億円以上の法人の完全支配関係のグループ法人には認められなくなりました。

@ 中小企業の軽減税率
所得800万円までは基本法人税率30%が18%に軽減されております。

A 特定同族会社の留保金課税の不適用
特定同族会社(1株主グループが50%以上株を所有している同族会社)には、会社内部に留保した利益に対して特別な税金(留保金課税)が課せられていますが、資本金1億円以下の特定同族会社には適用がありません。

B 貸倒引当金の法定繰入率による繰入
製造業は8/1000とか、小売・卸売りは10/1000とかの簡便な法定繰入率をつかえます。

C 交際費等の損金不算入制度における定額控除
年間600万円までは、交際費等のうち90%を経費として認められております。

D 欠損金の繰り戻しによる還付制度
前期黒字で今期赤字の場合は、前期の税金の還付が受けられます。


要は、資本金1億円以下の法人でも、資本金5億円以上の法人の完全支配関係にある法人は、税務的には資本金1億円超の法人と同じとみなして課税することとなりました。

この改正は平成22年4月1日以後開始する事業年度からの適用となります。




H22.7.27
シリーズ グループ法人税制 グループ法人間の寄付金

寄付金認定とは
 税務調査では、従来グループ法人間の取引で、特に問題とされたのが、寄付金の認定の問題です。
グループ法人間の取引は、第三者間のように利害が対立していない分、ややもすると恣意的になりがちです。
例えば、同じ場所に本社がある、グループ法人のA社とB社が、その家賃は儲かっているA社が負担し、赤字のB社から相応の家賃を取得していなかった場合などは、A社からB社に家賃相当分の寄付があったとされ、以下の処分が下されておりました。
@ A社はB社に相当の家賃をもらった後に、その金銭を寄付したと考えますから。
「寄付金/受取家賃」 とされ、家賃の一部が収入とされ、その代わり寄付金が認められます。しかし寄付金は税務上限度計算があり、経費として認められるのはその限度までですから、限度を超えた分は全く経費になりません。
A B社はA社に相当の家賃を払った後に、その金銭を、A社より寄付として返してもらったと考えられますから。
「地代家賃/雑収入(寄付金)」とされ損益に影響はありません。
結果としては寄付金の損金不算入部分の所得が増えると言うことでした。

今後はどうなるか?
 完全支配関係にあるグループ法人間のこう言った取引は、次のようになります。
@ A社の寄付金は全額否認されます。よってA社は、相当の家賃分が課税されます。
A B社の寄付金は全額無かったものとされます。よってB社には相当の家賃分の経費が認められます。

A社もB社も利益を出していれば、グループとしての税金は行って来いで変わりませんが、A社が黒字、B社が赤字の場合は、B社の赤字が増えて、A社の利益が増えると言う結果となります。

またこの改正は法人が完全支配している場合に適用されますが、個人が完全支配している場合や、個人と法人で完全支配している場合には適用されませんのでご留意下さい。




H22.7.26
育児休業終了後の保険料優遇制度

 
職場に働く人が育児のため休業し、職場に復帰した際、短時間勤務や残業しない場合は、休業前より賃金が下がるケースがあります。このような時に社会保険では、保険料や給付面で本人に不利にならないような制度が設けられています。

育児休業等終了時月額変更届
社会保険の被保険者が育児休業を終了し、復帰した際本人の申し出で、短時間勤務等や残業免除等で休業前に比べて賃金が変動した場合(育休の対象の子を引き続き養育し、3歳未満である場合)報酬変動が随時改定(月額変更届)に該当しない時でも、標準報酬の改定を申し出る事ができます。改定は育児休業終了月の翌日の属する月以後3カ月のうち支給基準日数17日以上の日の平均額を計算します。随時改定と異なり、固定的賃金の変動を伴わない場合や、従前の標準報酬月額との差が1等級であっても適用となります。改定が1月から6月にあった場合はその年の8月まで、7月から12月にあった場合は翌年の8月までが適用とされます。

厚生年金養育期間標準報酬月額特例申出書
 3歳未満の子を養育する被保険者又は被保険者であった人で養育期間中の各月の標準報酬月額が養育期間開始月の前月の標準報酬を下回る場合、申し出により、従前の標準報酬で将来の年金額が計算されるような特例措置を受けることができます。添付書類は子の生年月日や本人との身分関係が明らかになる、戸籍抄本等と養育確認のための住民票の写し等が必要です。

住民税の徴収猶予
育休をとる本人の申し出により、休業中の1年以内の期間、一時に納税するのが困難であると市区町村の長が認める場合、その間は徴収免除されます。住民税は復帰後に延滞金とともに納税しますが延滞金は2分の1相当額が免除となっています。(市区町村によっては全額免除の場合も有)




H22.7.23
極めて有利な寄付金 ふるさと納税


 平成22年度の税制改正において、所得税の寄付金控除の適用下限額は、改正前の5千円から2千円に引き下げられました。
 一方、住民税(道府県民税+市町村民税)においては、改正はありませんでした。
寄付金の取扱に関しては、所得税では所得控除(政党等寄付金は除く)ですが、住民税は税額控除です(政党等寄付金の税額控除はありません)。

住民税の寄付金税額控除の方法
税額控除額は、通常、{寄付金額の合計(総所得金額等の30%が限度)−5千円}×10%です(基本控除額)。
寄付金額4万円であれば、住民税の税額控除額は、3,500円「(4万円−5千円)×10%」です。
ところが、寄付金がふるさと納税といった地方公共団体の場合には、上記控除額(基本控除額)に「特例控除額」が加算されます。この「特例控除額」とは、次の算式で求められます。
(寄付金額−5千円)×(90%−所得税の限界税率)所得税の限界税率とは、所得税の税率です。
なお、特例控除額は、住民税所得割額の10%が上限です。

具体的な税額控除額の計算
例えば、給与収入700万円で夫婦子2人、ふるさと納税(寄付金)4万円のケース(住民税所得割296,000円、所得税の限界税率10%)で試算してみましょう。
 @住民税の基本控除額
 (4万円−5千円)×10%=3,500円
 A住民税の特例控除額
 (4万円−5千円)×(90%−10%)
  35,000円×80%=28,000円
 住民税所得割の10%は29,600円なので28,000円は限度額の範囲内です。
 計算の結果、税額控除額は31,500円(@+A)となります。
 全く同じ条件で同額の寄付金でも、ふるさと納税など地方公共団体以外の寄付金であれば、負担率91.25%(40,000円−3,500円/40,000円)、一方、寄付金がふるさと納税であれば負担率21.25%(40,000円−31,500/40,000円)です。さらに、所得税(実効税率10%)を考慮すると負担率11.75%と軽減されます。ふるさと納税の寄付金の有利性が際立っています。上限はありますが、この負担率は、所得とふるさと納税の寄付が増えるにつれて軽減します。




H22.7.22
利子割税と源泉税

税務P/Lと税務B/Sへの記載
 会社決算書の貸借対照表をB/Sと、損益計算書をP/Lと言ったりしますが、これを税務的に修正表現したものが、法人税申告書の別表四(税務P/L)であり、別表五(税務B/S)です。
 利子割税も源泉所得税も、一般的には損金不算入なので、別表四(税務P/L)に記載されます。
 また、利子割税も源泉所得税も、一般的には、納付税金に充当され、あるいは納付額を超えているときは還付を受けます。
ところが、別表五(税務B/S)に還付未収税金として記載されるのは、利子割税だけです。
 なぜ、扱いが異なるのでしょうか?

利子割税とはどんな税金か?
 都道府県民税利子割税は、銀行などの金融機関から利子等の支払いを受ける際に5%の税率で課される税金で、15%の税率の所得税と同時に源泉徴収されます。
 利子割税についてはその発生時点で納付が済んでいるのに、法人都道府県民税の計算では納付済利子割は損金不算入とされ、二重課税になってしまいます。それで、法人都道府県民税の前払いという扱いをして、充当又は還付とするので、還付のときは還付未収税金が認識されることになります。

源泉所得税とどこが違う?
 一般的には、源泉所得税も損金不算入なので、二重課税排除の手続きとして、法人税の前払いの扱いを受け、法人税に充当もしくは還付ということになります。
 ただし、これは一般的なケースのことであり、利子割には損金不算入の扱いしかないのに比べ、源泉所得税には納税者の選択による損金算入の余地があるので、必ずしも二重課税になるとは限りません。
 それからもう一つ、源泉所得税の損金不算入選択のタイミングが申告の時点であり、決算期末時点ではない、ということです。
それで、損金不算入を選択しても、利子割と異なり期末時では還付未収税金が税務上認識されないのです。

自治体間の調整は内部で
法人に対して課税されたそれぞれの自治体ごとに発生した利子割税はその発生した地域の自治体への納付税額から控除すべきものですが、規定としては、本店所在地の自治体への納税額から控除もしくは還付とされ、その後各自治体間でその負担を振り分けることになっています。




H22.7.21
適年廃止と中退共

適格退職年金制度の廃止後の移行先は
 退職金積立の適格退職年金は平成24年3月までに他の制度に移行するか廃止しなければならないこととなっています。移行先は何種類かありますが50%の企業が、中小企業退職金共済[以下中退共]を選んでいると言われています。中退共制度は昭和34年に制定され、国が作った従業員のための退職金制度として、勤労者退職金共済機構が運営しています。

中退共のメリット・デメリット
中退共に移行した場合の長所としては、
@適格退職年金から移行する時に退職金の積み立て不足があっても移行可能。
A毎月の掛金は5千円から3万円まで、16種もあり、変更もできるのでポイント退職金制度等にも利用でき、パートタイマーには月2千円から4千円の特別掛金もある。
B新規加入(移行は対象外)の企業には掛金月額の2分の1を1年間、助成があること。
C積み立て不足があっても追加拠出掛金は行われないこと。
D積立金に特別法人税が課せられないこと。
E積立金はポータビリティができ、他の中退共に加入している企業との通算も可能。
F申込みは金融機関等で簡単にできること。
G退職金は60歳未満でも受給できること。
全額を中退共に移行しない企業の場合は、
@掛金が1年未満では退職しても掛け捨てになってしまうことと、2年未満でも掛金を下回った額しか支給されないこと。
A現在運用利回りは1%であるが、利回りの変動で受取額が定まりにくいこと。
(但、予定運用利回りを上回った場合は付加金が付く)
B 退職金は企業を経由せず、本人の口座に直接振り込まれる。それゆえ「懲戒解雇」の場合でも本人に全額が渡ってしまい、たとえ減額できた場合でも企業には戻らず国庫金となる。
 このような事を想定し、一部は社内積み立てや民間保険の利用等と併用している企業もあります。

家族従業員も加入対象者に
 今までは加入できなかった同居の親族のみを使用する事業に使用される者で、使用従属関係があり、賃金の支払いを受けている者は新たに加入できることに改正されました。




H22.7.20
復活している繰戻還付

繰戻還付という制度
 所得に課税する法人税や所得税には、所得が赤字だった時の、赤字の翌期以降への繰り越しの制度があるとともに、赤字の前期への繰り戻しという制度もあります。
 法人税の繰戻制度は過去長らく適用停止になっていましたが、昨年の税制改正で資本金が1億円以下の法人につき制度復活がありました。ただし、今年の税制改正で、適用法人のうち資本金5億円以上の法人と完全支配関係にある法人の場合は対象から除かれることになりました。

税務調査があるという噂があるが
 繰戻還付の請求があると、「必要な事項について調査し、その調査したところにより」還付する、との税法規定があるので、繰戻還付請求をきっかけに、必ず税務調査があると言われていました。でも、調査と言っても、机上調査とか電話確認調査とかも「調査」の類なので、実際はこのような軽い調査で済んでいる事例が多そうです。

還付額の計算の仕方
 還付請求ができる金額は、前期法人税額に当期欠損金額を掛け前期所得金額で割って算出します。
 前期の課税所得が1000万円だったとすると、前期税額は次のようになります。
800万円×18%=144万円
200万円×30%= 60万円
      計 204万円
当期に欠損金が 400万円だったとすると、
204万円×400万円÷1000万円=81.6万円
還付請求税額は、このように計算されます。

地方税は要注意
 法人事業税、法人住民税には繰戻制度はありません。繰戻制度を適用すると法人税ではその分繰り越しの赤字は消滅してしまいますが、法人事業税では消滅せず、翌期以降7年間に亘り繰り越されます。
法人住民税では、課税標準は所得額ではなく法人税額なので、翌期以降の課税標準となる法人税額から繰戻還付法人税額を控除します。
繰戻還付適用による新たな添付書類
 法人税で欠損金の繰戻還付を受けるときは、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」、翌期の法人住民税では「控除対象還付法人税額の控除明細書」の添付が必要です。




H22.7.16
自己株式の公開買付案内


 上場会社の自己株式公開買付案内をみていると、公開買付価格は直近データを参考に決定しているものの、多くの場合1割ぐらいのディスカウント価格に設定しています。逆に、ディスカウントのない買付価格設定の場合には、公開買付期間の株価が1割ぐらい上昇する傾向にあります。

公開買い付けに対する税法
 会計では、公開買付への応募を単なる株式の譲渡としつつ、自己株式の取得は資本出資の反対の行為なので、会社の部分的な清算とも考えます。税法では、その部分清算だとする考え方を徹底させています。即ち、当初出資額を超える回収は清算配当所得、満たない分は清算損失です。当初出資額を超えた値段で株価を取得していたとすると、その超価額も清算損失です。

公開買い付けに応じた法人の税務
 単位当たり公開買付価格が500で、当初出資額が200で、株式簿価が550だとすると、清算配当所得は500−200=300、清算損失は550−200=350です。
 配当とされた300は法人税法では50%が益金不算入とされており、清算損失350は単純な損金です。税負担が40%とすると(350−300×50%)×40%=80の節税になります。
 公開買付応募で50損したのに、資金ベースでは80−50=30得したことになります。公開買付価格が市場価格より割安でも応募者不足とならない理由はここにあります。

公開買い付けに応じた個人の税務
 個人の場合は、先の清算配当所得と書いたものについては配当所得課税、清算損失と書いた部分は株式分離所得の譲渡損として扱われ、多くの場合譲渡損は切り捨てとなってしまうので、最高税率課税となる可能性もある配当課税だけが標的にされてしまいます。
 これでは、個人の公開買付応募に税制が邪魔していることになるので、単純な株式譲渡と扱うという特別立法があります。

今年9月、12月まで
 法人の税務では、今年の10月から、公開買付を予定して取得した株式に係るみなし配当は100%益金算入になり、個人の株式譲渡課税の特別立法は今年いっぱいで廃止となります。




H22.7.15
人材育成戦略

「企業は人なり」は、経営者にとって基本的で共通の認識ですが、その戦略や具体策は企業によって多様です。
 ここでは、経営の役に立つ人材育成について、実践的な考え方と方法をご紹介しましょう。
 
人材育成の“解は現場にあり”
 大変重要な視点は、人材育成の“解は現場にあり”です。
 仕事の現場、例えば販売店の店頭、営業の接客現場、販売企画の現場・モノづくりの設計現場・製造現場等々で、多くの問題を克服し、工夫・改善の課題解決を図る実体験を通じて育つようにすることが自然であり、最も効果的です。
 このようにオン・ザ・ジョブトレーニング(OJT)が大切であることは、良く知られていますが、その効果を高めるための方法・仕組み化に様々な企業の創意・工夫が見られます。
 例えば、テレビ番組「カンブリア宮殿」で良く紹介される靴の製造・販売業・ABCマートの人材育成法は、有名な例のひとつで、
・現場の重視
・強力な販売力
・強いリーダーシップとチームワーク
を特長とし、販売の目標達成・課題解決と人材育成が不可分に結びついています。
 
人材育成戦略のポイント
 先進的な人材育成施策を活用している企業に共通しているのは、「企業は人なり」を自社業種・業態・現場に落とし込んで、巧みな仕組みを構築・運用している点にあり、そのポイントは次の通りです。
@本来、人は主体性・挑戦意欲を持っていると信じ、それを引き出そうとする経営者の人間観
A仕事と人材育成を一体化し、現場体験を通じて人を育てる
Bリーダーシップとチームワーク(例えば先輩と後輩のペア制など)の重視
C目標設定と業績評価・表彰制度
D明るく、賢く(創意工夫し)、真剣に取り組む雰囲気づくり・ITを評価に活用




H22.7.14
シリーズ グループ法人税制 資産の譲渡は損益なし

 平成22年10月1日以降、完全支配関係のある法人間で譲渡損益調整資産を移転した場合、その移転により生じた損益は、課税を繰り延べることとなりました。

読んで字の如くなのですが、意味の解らない言葉が多いので解説します。

移転って何?
移転とは、売買(譲渡)のほか交換や贈与現物出資などが含まれます。

譲渡損益調整資産って何?
譲渡損益調整資産とは、固定資産・土地等有価証券・金銭債権・繰延資産です。
棚卸資産のほか売買目的有価証券と移転直前の帳簿価格が1,000万円未満の資産は除外されます(但し不動産屋さんの土地は除外されません。)

課税の繰延って何?
課税の繰延とは、移転のあったときは課税しませんということです。
課税しませんということは、利益が出たときの話ですが、損が出たときも認めませんということです。

ではいつ課税するの?
その資産が他へ譲渡される他、減価償却されたり、除却されたり等一定の条件に該当したときに、課税します。課税しますとは損も認めますと言うことです。

事例
@ A社が5億円で買った土地が値下がりしてしまったのでグループ内の法人B社に2億円で買ってもらった。この場合の損3億円は損として認められません。
A そのうちB社も資金が必要になり、土地も若干上がったので、C社に3億円で買ってもらいました。
B この時点でB社に1億円の利益が出る代わりに、A社の3億円の損が認められます。




H22.7.13
賭博と刑法と経済取引と税金


「賭博」と刑法
「賭博」をした者は刑法によって罰せられます。ただし、一時の娯楽に供する物を賭ける程度の行為ならば罰するに及ばないとされています。常習者や賭博の胴元には懲役刑が課せられます。
なお、他の法律で合法化されているものには、刑法規定は及びません。

合法賭博
富くじは刑法に富くじ禁止規定があるものの、賭博禁止規定の対象になっていないので、宝くじには賭博との認識がないようで、購入や払い戻しに法令上年齢制限規定がありません。
スポーツ振興くじ(サッカーくじ)の購入は19歳未満禁止で、競馬、競輪、オートレース、競艇の4つの公営ギャンブル競技はどれも未成年者禁止です。パチンコは風俗営業法により認められている遊技ですが、一般的にはギャンブルと認識されており、18歳以上という年齢制限があります。

非合法賭博
 合法賭博以外は非合法です。公営競技であったとしても、その開催を利用した私設の券の売買に係わるノミ行為は非合法です。一時の娯楽でも程度を超えた金銭を賭けると非合法の色が濃くなります。相撲の世界を震撼させている野球賭博になると、その延長線を大分超えていそうで、さらに常習性もありそうです。

ギャンブル的な取引はいっぱいある
 ところで、事故に遭遇する確率に金銭を賭けるのが保険です。各種商品相場の先物取引や株式の信用取引やFX取引、あるいは最近の世界不況の引き金となったデリバティブ取引など、ハイリスク・ハイリターンな取引は、ギャンブルそのものです。
 これらは賭博罪に抵触しないのでしょうか? そんな疑問が湧くものの、これらは「法令又は正当な業務による行為は罰しない」(刑法35条)により、違法性はないものとされています。

賭博と税金
税金との関わりでみると、賭博による収入は、合法、非合法、公営、民営を問わず、原則として課税対象です。例外として、宝くじとサッカーくじが非課税です。宝くじが賭博に分類されないとしたら、サッカーくじは唯一の非課税賭博です。




H22.7.12
年金相談を受ける時のポイント


年金に関する相談は主に三つ
 最近2年位の間にねんきん特別便や定期便が年金加入者の自宅に送られてきて、近頃は企業の人事担当者が社員から年金についての相談を受ける事も多くなってきているようです。年金相談の中身はいろいろありますが、相談の中でも特に多いのが次の3つです。
@ 年金の受給権について
A 年金を受け取る時期について
B 在職老齢年金について

知っておきたい相談に関する基礎知識

@の受給権については、次の3つの要件のどれかに該当する必要があります。ア.原則として保険料納付期間と保険料免除期間を合わせて25年、イ.厚生年金、船員保険、共済組合を合わせて20年、ウ.厚生年金だけで男性は40歳以降、女性は35歳以降15年〜19年(生年月日により適用の有無が有)以上の3つの要件は押さえておきたいところです。

Aの受取時期については、サラリーマンが受ける年金は60歳〜65歳までに支給される報酬比例相当の老齢厚生年金と特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)とに分かれています。65歳からは本来の老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。生年月日と性別により受け取る年金の種類と支給開始年齢が違うので生年月日を確認する事が大事です。

Bの在職老齢年金については企業の人事担当者が一番知っておく必要がある事だと思います。60歳台前半の場合は、
ア.基本月額(年金額÷12)と総報酬月額相当分(月給+直近賞与1年分の1/12)の合計が28万円以下の場合は支給停止されません。
イ.基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円を超えた時は4パターンの計算式があり、どの式に該当するか見極める必要があります。

また、65歳以降は基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円(4月より支給停止基準額は48万円から改定)以下の場合、支給停止はありませんが超えた時は超えた額の1/2が停止額となります。
 他にも妻の加入履歴等に関する質問等も多々あると思いますが基本的には3つのポイントを押さえておけば、社員の質問にも答える事ができるものと思います。




H22.7.9
シリーズ グループ法人税制
グループ法人て何?


平成22年の改正税法により、グループ法人税制が創設されました。

グループ法人とは、直接間接を問わず100%の支配関係のある法人を言います。
こういった状態を税法では、完全支配関係といいます。

どういったケースが完全支配になるの

@ 最も簡単な場合は法人の100%子会社です。当然孫会社や、子会社同士が持ち合っている関連会社も完全支配関係となります。
A 同族で支配しているグループ会社です。
この場合は親と子供が別々の会社を持っていたとしても、完全支配関係ということになります。

どういった場合が完全支配関係に無いの

@ まず全くの他人が株式を1株でも持っている場合
但し全くの他人といっても、従業員や役員の場合は若干注意が必要です。
従業員持株会や、役員等が一定の条件で保有する株式に関しては、5%に満たない場合は、完全支配関係を判定する場合に除かれます。
A 完全支配関係の無い法人が1株でも持っている場合

ではグループ法人は何が問題なの?

グループ法人になると税法の適用が今までとは違ってきます。ではその違った適用は全て納税者にとって不利なのかというと、そうでもありません。メリット・デメリットが沢山あります。
今後はシリーズでメリットとデメリットをお届けしたいと思います。




H22.7.8
訴訟の先にある解決とは?

「勝訴判決=問題解決」?
例えば、相手が支払いをしない場合、あるいは、立ち退かない場合に、事態を打開すべく訴訟を起こすとします。その場合、勝訴判決さえ出れば、支払われる、あるいは、立ち退くと思っていませんか。
しかし、判決は、あくまで訴えた請求に対して裁判所が下す判断であって、相手があえてこれを無視した場合には、権利の実現のためには、次なる手段が必要です。

強制執行も自己責任で
判決に従わない相手に対しては、裁判所の力を借りて強制的に実現させる手続、すなわち、強制執行をかけることになります。例えば、債権回収の手段として不動産に対して強制執行をかけるならば、不動産を差し押さえて、競売にかけ、売却代金から配当を得ることになります。売掛債権に対する強制執行であれば、その債権を差し押さえ、当該債権の債務者に対して直接取り立て、回収に充てます。
このように、強制執行は、めぼしい相手の財産を自ら見つけ、選択し、しかるべき方式で申し立てなければなりません。裁判所は相手の財産を探し、職権で強制執行をしてくれません。
他方、強制執行の対象となりうる財産が見当たらなければ、判決は事実上絵に描いた餅となります。

判決ばかりが解決ではない
このように、訴訟に勝つことと、権利の実現とはイコールではないのです。
例えば、裁判所から訴訟の途中で減額を内容とする和解勧告があったとします。ここで、満額回答に固執してこれを拒否した場合、相手が「好きにしろ」と開き直れば、仮に所望の判決を得ても、任意の支払はなされず、また、手間暇かけて強制執行をかけても、回収が実を結ぶとは限りません。それならば、当初の和解により、たとえ減額でも相手より任意に支払わせる方が得策なこともあるのです。
また、もともとみるべき財産がない場合には、そもそも訴訟を起こすべきか否か自体を考えざるを得ません。

訴訟のゴールを見極める
このように、権利実現の手段として訴訟提起を起こすにしても、それによりどのようにして権利を実現させるかというゴールを考えなければなりません。




H22.7.7
住宅資金贈与の非課税枠拡大

 直系尊属(父母、祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠についての今年の改正点を整理します。

1000万円の期限切れ廃止
 適用者は少ないと思いますが、相続時精算課税選択者に適用されていた、通常の特別控除2,500万円にさらに住宅資金特別控除額1,000万円を上積みする制度は昨年末を以て期限切れとなって廃止されています。
 廃止の理由は、役割を終えたからというよりも、もっと広い対象者への制度に変更したことに拠ります。

A.昨年立法の非課税制度は生きている
21年1月1日から平成22年12月31日までの間の住宅取得資金贈与の非課税枠を500万円とする新設立法が平成21年6月26日になされましたが、この法律は今でもそのまま生きています。
この制度には、資金受贈者についての要件として年初で満20才以上の者としているだけで、所得制限はありませんでした。

B.昨年立法の非課税制度に対する変更
 上記の非課税枠500万円の制度につき、昨年中すでに適用を受けている人に対して、平成21〜22年中の累積贈与限度額を1,500万円と設定し直す改正がなされました。
 但し、平成22年における贈与については、年初で満20才以上の者との従来要件の外に、合計所得金額が2,000万円以下であることとの受贈者制限が付加されました。

C.新規非課税制度を別途立法
@ 平成22〜23年中の贈与  1,500万円
A 平成23年中のみの贈与  1,000万円
受贈者要件は前記のものと同じで、年初で満20才以上、受贈年の合計所得金額が2,000万円以下、です。

A、B、Cの選択適用関係
昨年中に500万円非課税制度の適用を受けた人の場合は、A又はBの選択となります。Cの選択肢はありません。追加の受贈は平成22年中に終わらさなければなりません。選択の基準は所得制限に抵触するかどうか、です。
昨年の制度の適用を受けてなかった人の場合には、AとCの選択になります。BよりもCが確実に有利ですので、Bの選択肢がないことは不都合ではありません。ここでも選択の基準は所得制限です。
なお、いずれのケースにおいても、贈与者の側には特に年齢制限要件はありません。




H22.7.6
革新を阻む先入観


 トップや幹部社員が「うちの社員はどうも前向きじゃない・問題意識が低い・改善センスがない」などと心の中で嘆いているとしたら、それは先入観・偏見である可能性が高いと言えるでしょう。 
 先入観は一般に「人や物事に関する不確かで曖昧な情報から、憶測してネガティブに評価する決め付け」によって生ずるもので、誰もがよほど気を付けていないと、陥りやすい誤りです。

先入観が経営革新を邪魔する
 経営革新を図る重要な局面で、このような先入観・偏見があると、社員のやる気や、改革手段の有効性について、トップの的確な状況判断を誤らせ、「社員が本当はやる気満々なのに、社内に何らかのネガティブな環境圧力が働いていて生かされていない。 社員からせっかく役に立つ革新対策が提案されているのに、上司の先入観・偏見で眼が曇って採用されない。」と言った残念な結果に陥り、経営革新が頓挫してしまいます。

社員の善性を生かす
 経営革新を成功させる基本的な要件は、本来前向きな社員の力を生かすことにあります。
 人は本来「誰かの役に立ちたい、良い行いをして感謝されたい」と言う善性をもつ一方、「できれば楽をして稼ぎたい」と言う弱性を併せ持っています。
 経営革新は、社員とその集まりである組織の善性を生かし、弱性を抑制することが
基本になります。

トップの人間観で経営革新
したがってトップが社員の力を結集して経営革新を図るためには、改めてご自身や幹部の人間観を問い直し、次のようなポジティブな行動をとれば社員は挑戦意欲を高めて主体的に貢献してくれるでしょう。
@ 社員の善性と力を信じ、経営革新への積極的参加を求め、その場をつくる。
A 社員に「問題の所在を“三現主義”で指摘し、改善具体策は具体的根拠を付けて提案する」ように求める。
B 社員それぞれの基本的役割分担は決めるが、単独行動だけでなく、相互のコミュニケーションを活発にして、協力して成し遂げるように誘導する。




H22.7.5
小規模宅地等の評価の見直し


 今年の税制改正で、相続税の小規模宅地に関して大きな見直しがなされました。

事業又は居住の不継続の場合の50%
被相続人が事業又は居住の用に供していた宅地等については、事業又は居住の継続を問わず、200平方メートルまでにつき50%の減額ができる、という制度が廃止されました。
ただし例外があります。いわゆる『家なき子』の相続取得に関してのみは、居住物件について非居住のままでも、申告期限まで所有継続であれば、特定居住用宅地等の特例の適用(減額割合80%)を容認しつづけています。

一人でも特例適用者がいれば
一の宅地等について共同相続があった場合には、その共同相続人のなかに、配偶者または居住継続相続人がいれば、その人の相続分割持分がたとえ百万分の1であったとしても、他の持分者全員に特例適用(減額割合80%)される、という制度が廃止されました。
改正後は、取得者ごとに適用要件を判定することになり、おいしい類が及んでいた非居住継続相続人には特例適用不可となりました。

一部でも特定居住用宅地であれば
一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに、特定居住用宅地の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、すなわち、マンションの一部が居住用で他が貸付用その他というように、わずかの一部でも特定居住用宅地等の要件に該当していれば、建物全部について特例適用(減額割合80%)される、という制度が廃止されました。
改正後は、特例適用部分ごとに按分して軽減割合を計算することになりました。

居住物件は複数でもよかった
特定居住用宅地等については、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確にしました。 従来は複数の居住用宅地の存在が許容されるような規定振りであったため、係争が起き、当局が敗訴の憂き目をみたところでした。

3月以前相続の場合は
これらの改正は、平成22年4月1日以後に開始する相続について適用されます。申告がこれからのものでも、3月以前に相続発生のものは以前の有利な規定がまだ使えます。




H22.7.2
自己株取得とみなし配当


グループとして複数の同族会社があり、株式の持ち合いがある場合などでは、自己株式の取得ということも時にはあります。
 そういう場合に関する税法の改正が今年ありました。

自己株取得関係の税制改正
(1) 完全支配関係にある内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する場合の譲渡損益は計上できないことになりました。
(2) 自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得された際に生ずるみなし配当については、受取配当等の益金不算入制度は適用できないことになりました。

自己株取得税制改正のわけ
A社の資本金1千万円として、その発行済み株式の3割を同じ同族のB社が3千万円で買い取っていたような場合、その後A社に、その3割の株式全部を同額で買い取らせたとしたら、B社にみなし配当収入
3千万円−1千万円×3割=2700万円と、
3千万円−(3000−2700)万円=2700万円の株式譲渡損が発生します。会計的には損益同額で利益ゼロです。
しかし税法では、このみなし配当は100%益金不算入ですから、実質譲渡損のみが残るようなことになります。
 こういうところに法人税制の一種の制度欠陥があったので、新たな制度に置き換えなおした、ということです。

ダブルパンチはないのか
 先の(1)では、譲渡損否認でみなし配当も益金不算入で所得はゼロです。(2)では、みなし配当は益金のままで、譲渡損も損金のままなので、所得はゼロです。
それでは、(1)も(2)も適用で、(1)で譲渡損否認、(2)でみなし配当が益金のまま、ということにはならないか、と心配になりますが、(1)に該当のときは(2)は適用除外なので、こういうダブルパンチはありません。

予定されているものの取得とは
 予定されていた事由については政令で定める、と法律に書いてあります。それで、政令をみると、組織再編で取得した株式で買い戻しが当初から予定されていたようなもの、のほかは法律で予定しているもの、と堂々巡りの規定を置いています。
 改正の狙いは組織再編を使った自己株取得節税スキーム潰し、なのでしょうか。




H22.7.1
共同経営者も加入可能に


小規模企業共済法の一部改正
 小規模企業共済制度は、個人事業主などが廃業退職した後の、生活資金を積み立てておく退職金制度です。これまでは事業主しか加入できなかった共済制度に、共同経営者として配偶者や後継者などの専従者が一事業所新たに2名までの加入が認められる改正案が国会で成立しました。近年、小規模企業者の7割を占める個人事業主の数は減少の一途を辿っており、金融危機に伴う経済状況は一層悪化に向かっています。個人事業主の数は86年の389万件から99年には306万件、さらに06年には257万件にまで減少しています。厳しい経営環境に対し、個人事業主が少しでも安心して事業に専念でき、事業承継環境整備にもなるような制度改正が行われました。

小規模共済制度の概要
 加入できる人は常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主または会社の役員等の方です。今回の改正で、事業の経営に携わる共同経営者が新たに加入できるようになり、事業主と一体となって経営を行っている給与の支払いのある配偶者や後継者も対象となりました。家族従業員も将来への安心を確保することで経営基盤強化につながる事でしょう。
 掛金は月額1千円から7万円までの範囲内(5百円単位)で選ぶ事ができ、加入後の増額・減額もできます。掛金は全額が課税対象所得金額から控除されるので節税になります。又、受け取る時は、退職所得控除の対象にもなります(分割受け取りの時は公的年金等の雑所得扱いとなる)。受取は、廃業及び老齢(65歳以上)により給付されます。
 但し、小規模企業共済は短期加入で解約するとメリットが少ないので、加入の際はよく検討する必要があるでしょう。
 又、納付した掛金の合計額の範囲内で事業資金貸付制度は以前からありましたが、新たに事業承継における資金確保を目的に「事業承継貸付(金利0.9%)」の創設もされます。
 施行期日は公布の日から1年以内に政令で定める日としています。