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H22.9.30
急に上がった最低賃金


 都道府県別に定められている地域最低賃金が、東京都の場合10月24日から改定され、1年間適用されます。
最低賃金は約50年の歴史があり、はじめは昭和34年頃、静岡県の缶詰工業会が働き手を集めるために業界団体で最低賃金を協定したのが始まりと云われ、現在では「最低賃金法」として法制化され、約5,000万人が適用されている「地域別最低賃金」と、約380万人が適用されている「特定(産業別)最低賃金」があります。
 ここではセーフティーネット機能を持ち、パート・アルバイトを含めて全ての労働者に適用され、中小零細企業にとっても影響が大きい「地域別最低賃金」(以下最賃)について解説致します。

平成19年からの急速な最賃上昇
 最賃額は全国加重平均で、2009年度は710円(時間額)でしたが、2008年6月の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」政労使3者合意があり、「中小企業底上げ戦略」の一つして、中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的引き上げが合意されました。
 その中で「生活保護基準」より「最賃」の方が低い逆転現象が問題として浮上し、その是正が改正最賃法に盛り込まれました。
その結果、東京都の場合で見ると、平成5年に620円、毎年の改定で平成18年の719円まで、13年間で約100円の上昇でしたが、
その後2010年までの4年間で約100円と急速な上昇で821円になりました。
 生活保護基準との逆転現象は2009年度で47都道府県中、東京・神奈川など12ありましたが、是正されつつあると言えます。

これからが大変な最賃
 民主党の2009年度衆院選マニュフェストは、
・最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
・全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。
・景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1,000円を目指す。
・中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。
としておりますが、厚生労働省の公労使委員会も合意形成が困難になりつつあり、景気回復の動向や中小企業の生産性との整合性などこれから目が離せない大変な状況が続きそうです。  




H22.9.29
年次有給休暇の事後請求


後から請求してきた年休はどう扱う
 社員が、年次有給休暇を会社に請求するには一般的には就業規則等に書面で事前申請するとなっていると思いますが、本人の都合で、先に休暇を取り、後から休んだ日を年休にしたいと言ってきた時に、会社としては年休行使を認めなければならないのでしょうか。

正当な事由であれば年休拒否もできる
 労働基準法第39条4項但し書では、「事業の正常な運営を妨げる場合」を条件として社員の時季指定に対し、変更権の行使をする事が出来ます。但し、年休取得の請求は拒めない事とされています。たとえ、就業規則に義務付けられている手続きに違反していても「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当せず、社員の申し出た事由が休みを年休として処理する事が妥当な場合に認めない事は不合理であるとされています(東京貯金事務センター事件)
 しかし、社員の身勝手な行いであると思える場合には、次のような事も考えてみる必要があります。事業運営の妨げになる場合であったのか。妨げになった場合であれば、会社は時季変更権の行使ができなかったとし、年休を認めない事もできるでしょう。又、事前申請が不可能な急病や、同居家族の看護等に該当するのか等も考慮する必要があるでしょう。(普通は就業規則にもやむを得ない時には事後申請も認めるとなっていると思いますが。)

事後振り替えは会社の裁量
 結局事案ごとに考え方も扱いも変わってきます。年休を事前申請しなかったからと言って一律に欠勤扱いと決められませんが、使用者の裁量に委ねられているところも多いので、必ずしも認めなければならないという事でもありません。つまり、年休として振り替えるのが妥当なケースを認めない事は問題ですが、社員の勝手な行動と判断されるような場合には年休の事後承認を拒否しても差し支えないという事となるでしょう。




H22.9.28
損出し規制 抱合株式って何〜だ!

会社法上、抱合株式という種類株式はありませんが、法人税法にその定義があります。一般的には、合併存続法人(合併法人)が合併前に保有している合併消滅法人(被合併法人)の株式のことです。合併手続きは、合併法人が被合併法人の権利義務を含む一切の財産を承継する対価として、被合併法人の株主に合併法人の株式等(金銭等も含む)を交付することです。

会社法上の取り扱い
合併における問題点は、この抱合株式に対して合併法人の新株等を交付するか否か、すなわち「割当てるか」否かです。会社法の結論は、「割当てない」です。結果、合併法人が有する抱合株式の帳簿価額は、合併により受入れた「その他資本剰余金」と相殺することになります。

法人税法上の取り扱い
一方、法人税では、抱合株式については、会社法と反対に「割当」がない場合でも「割当てた」とみなして課税関係を取扱っています。
理由は、合併によって合併法人に移転する被合併法人の純資産価額に対応する被合併法人の株式(旧株)はすべて一旦譲渡され、その対価として合併法人の新株等の交付を受けるもとして課税関係を律しているからです。それ故、株式以外の資産が交付される合併(非適格)の場合には、原則、抱合株式には、「みなし配当」と「株式の譲渡損益」が生じます。
 例えば、「抱合株式の簿価60、割当てたとみなされる資産(株式及び金銭等)の価額80、被合併法人の資本金等の額40」
 この場合、抱合株式には、みなし配当40(みなし割当資産の価額80−資本金等の額40)、株式譲渡損20(旧株の譲渡対価40−旧株簿価60)が発生し、合併法人に課税関係が生じることになりますが、みなし配当40は益金不算入、株式譲渡損20は損金算入となり、抱合せ株式の簿価如何によっては一定の節税効果も期待できます。

改正で譲渡損益はないものに
 今年度の法人税法の改正で、みなし割当てによって生ずる株式の譲渡損益は生じないもとして課税が律せられました。理由は定かではありませんが、合併前に被合併法人の株式をプレミアム付で買収、その後、株式以外の資産の交付で非適格合併を画策、結果生ずる多額の株式譲渡損の計上よる租税回避が放置できなかったのでしょうか。




H22.9.27
失敗こそ宝

日本の高度成長期に、メーカーのモノづくりの体験の中から「失敗こそ宝」と言う経営哲学が生まれました。
 これは、現在の経営においても役に立つ普遍的な重要性を持っています。

失敗の性質と対策
 一口に「失敗」と言っても、その性質はいくつかあります。代表的な失敗は
@日常業務の手違いや実行した結果の確認漏れなど平凡なミスで、お客様や関係部門に迷惑をかけた失敗
A課題解決のために積極的に挑戦した結果生じた失敗
B社員に経験を積ませるために、はじめから分かっていながら、あえてさせる失敗
で、ケースに応じて失敗の意味を考え、対策をとる必要があります。
@の失敗は、一度は許しても、きちんと失敗した当人に注意を与え、再発させないようにする「しつけ」が大切です。勿論仕事の標準を改定し、再度徹底することが必要になる場合もあります。
Aの失敗は、課題解決策を企画する段階で、担当者と上司が良く話し合い、成功した場合のメリット、失敗した場合の対応策まで考えた上で挑戦することが大切です。
Bは新人教育・配置転換の初期などに意図的に失敗を織り込んで仕事に取り組ませるケースで、失敗した場合の原因分析と再発防止対策を本人にきちんと考えさせ、同じ失敗を再発させないことが目的に叶います。

トップ主導で失敗を宝にする留意点
@社員に「顧客ご満足」向上のための挑戦を求め、そのために失敗が起きても責任を問わず、その体験から学ぶ。
A一人の失敗はみんなの問題として原因や再発防止対策を考えさせる。
B本人が再起不能になるような致命的失敗はさせない。
トップがこのような姿勢を示す企業で
は、社員が“挑戦”の価値を覚え、失敗を隠すようなことがなくなり、「失敗を宝にすることが“善”であると言う社風」が形成されて事業の発展が図れます。




H22.9.24
最高裁二重課税判決の算数

小学校の算数の復習
 算数の得意な人にとっては常識的なことなのですが、一般には意外に思われるものに、0乗の値があります。
 2の1乗は2で、2の2乗は4、2の3乗は8です。それで、2の0乗の値は何だと思いますか。0ではありません。
 エクセルなどで計算するとき、2の2乗の算式は「+2^2」と入力します。答えは4と表示されます。それでは、「+2^0」と入力したらどうなるでしょうか。答えは1と表示されます。

複利計算では乗数計算が必須
 昭和の時代には7%の利率の定期預金なんて珍しくありませんでした。100万円を7%の複利で10年定期預金すると10年後には元利合計でいくらになるでしょうか。
 普通の電卓でも10年後の金額を計算できますが、エクセルに「1.07^10」という算式を入力すると、1,967,151円と答えを出してくれます。ほぼ倍になります。
 逆に、10年後に1,967,151円を確保しておくために今7%の10年定期を組むとしたらいくら預金すればよいか、という計算式は1,967,151円÷1.07^10とします。
 掛け算に使うと複利の結果の値(複利終価)を出し、割り算にすると複利の元金の値(複利現価)を出してくれます。

最高裁二重課税禁止判決の算数
二重課税禁止判決での年金は、総額2300万円の年金の現在価値を1380万円と評価して相続税課税を受けた後、230万円ずつ10年間に亘り年金として受け取るというもので、その際に、相続税で課税済みの部分まで所得税の課税をすることは禁止するというものでした。
 判決では、被相続人の死亡日を支給日とする第1回目の年金230万円の相続税課税済部分は230万円としています。収入と同額ということです。
なぜかというと、死亡日が支給日ですから、定期預金ならば預け入れ当日ということで、運用期間ゼロ日での複利現価の計算をするわけです。先ほどの複利現価の計算式での割り算では0乗とすることになります。利率如何に拘わらず0乗の値は1ですから、1で割った数字が230万円になります。

2回目以降は厄介数学
しかし、2回目以降の課税済み部分の値を計算する年金複利現価率の求め方はなかなか難解です。最高裁の二重課税禁止判決は厄介な宿題を課してくれました。




H22.9.22
2年目のねんきん定期便

ねんきん定期便の見方と注意点
 「ねんきん定期便」は厚生年金や国民年金の加入者に年金の加入履歴を通知して、本人に確認をしてもらう事、又年金制度の理解を深めてもらうため平成21年4月から実施されました。今年度は2年目に当たり、誕生月にA4版又は長3定形版の封筒で日本年金機構から加入者の自宅に送られてきます。

最初の「ねんきん定期便」を見てみると
 1年目の定期便は、普通の通知の方は水色の封筒、記録漏れや標準報酬の改ざんの恐れのある方の定期便はオレンジ色の封筒で送られてきていました。
定期便の内容は@年金加入期間(加入月数・納付月数等)A年金見込額(50歳未満の方は加入実績による年金見込額、50歳以上の方はその時加入している年金制度に引き続き加入し続けた時の年金見込額) 但、年金受給者や在職老齢年金受給者の方には見込額は通知されていません。B保険料納付額C年金加入履歴D厚生年金の全加入期間の月額標準報酬、平成15年4月以降の賞与額、保険料納付額E国民年金の全期間の月ごとの保険料納付状況(納付・未納・免除等)
 以上のような通知を受け、履歴欄に「空いている期間があります」と書かれていたときはその当時の年金加入状況を思い出してみましょう。

今年度の通知は直近の加入記録が来る
 今年度の定期便は、節目年齢の35歳・45歳・55歳の方には、前年と同様の通知がなされますが、それ以外の方には、加入期間や見込額保険料納付額は更新されていますが「最近の月別状況です」の用紙により、まとめて直近13カ月分の加入の履歴や標準報酬、月別保険料納付状況が載っています。このデータは誕生月の4カ月前までの分が作成されています。
 勤務先や資格取得・喪失月日、加入月数、納付月数、標準報酬月額を確認してみましょう。
 もし漏れや誤りを見つけた時は、薄黄色の回答票に内容を記載して回答しましょう。




H22.9.21
10月下旬から還付開始

離婚時財産分与と同じ理由
離婚の際に財産分与を受ける場合、財産分与請求権がすでにあれば、その請求債権の弁済として財産を受け入れているだけだから、受ける側に課税はない、というのと同じ理由で、最高裁は二重課税禁止判決を出しています。
年金も、相続によって年金受給の請求権が相続人に発生したことによって、その請求権が相続税の対象になった以上、その後、年々受け取る年金は、その年金請求権の分割払いによる回収に過ぎないのだから、超過回収分を除き課税はない、ということです。

超過回収分への課税の二つの意味
所得とは、経費をかけて収入を得たときの、投下経費を超過する回収額のことです。これが所得税の対象です。
もともと、年金も年金収入のうち、支払保険料を超過する部分に課税される、ということになっていました。
相続税課税済みの年金請求権の額を超過する回収額、と言うときの超過額は投下経費超過額の意味とは異なります。前者の意味は二重課税にならないということであり、後者の意味は所得の発生ということです。

二つの超過の重複部分
今年の税制改正で、年金の評価の原則が解約返戻金ベースということになりました。
そうすると、一時払保険料による年金などの場合、相続税評価額よりも支払保険料のほうがずっと高くなることがあり、所得がほとんどない場合もあります。これで、相続税評価額超過分全部に所得税を課するとなると、所得なきところに課税することになり、不合理です。
投下経費の無視が不合理の源です。投下経費としての支払保険料は、収入全体を得るための経費であったわけなので、相続税課税済分とその超過分との両方から差し引くべき、です。よって、次の算式となります。
(年金収入−相続税評価額) 
−年金対応支払保険料按分額=年金所得

10月下旬から還付開始というが
9月1日のニュースでは、財務省と国税庁は時効前の5年分を対象に10月下旬から二重課税分の還付を始める方針、のようです。
しかし、ニュースを読む限りでは、国税側の情報としても、マスコミ側の問題意識としても、経費とされている支払保険料についての扱いを示唆しているものは見当たりませんでした。
最高裁の判決も、必要経費の控除に代えて相続税課税済み分を年金収入から控除する、としているわけではないので、経費となる支払保険料を無視することはできません。




H22.9.17
固定資産税について考えてみよう!

固定資産税とは?
固定資産税とは、毎年1月1日に土地・家屋・償却資産を所有している人が、固定資産の価格を元にして算出された税額を、それら固定資産の所在する市町村(東京都特別区の場合は都)へ納める税金のことをいいます。一方、固定資産税と併せて課税される都市計画税は、都市計画法によって固定資産税の対象と同一の土地・家屋を所有している人に課税される目的税です。

どのように課税されるの?
 固定資産税の税率は一律1.4%ですが(地方税法350@)、都市計画税については条例で税率が定められています。例えば23区内は0.30%ですが、武蔵野市は0.20%です。また納期についても23区内は6.9.12.2月ですが、武蔵野市は5.7.12.2月です。
 但し、市区町村の各区域内に同一人が所有する固定資産の課税標準額の合計額が、それぞれ土地30万円・家屋20万円未満の場合は、固定資産税が課税されません。
ところで、課税される土地の地目は、必ずしも登記と同じではなく、現況によって評価されます。また、市町村がどのようにしてそれらを評価し課税しているのか、一定の手続により回答を得られるようです。

償却資産税については?
 償却資産とは、土地・家屋以外の事業用資産(但し自動車税等の対象となる車両は除く)で、所得税法又は法人税法の所得の計算上減価償却の対象となる資産をいいます。償却資産に該当するか否かが争われた判例があります。
賃借人(納税者)が、いわゆる「スケルトン貸し(裸貸し)」といわれる賃貸借契約により、賃借人(納税者)が建物に付加して設置した事業用資産の所有権は賃借人に帰属するとし、固定資産税を負担すべき者は家屋の所有者ではなく、内部造作を使用している賃借人(納税者)である、と判断されたものです(東京地裁平成18年(行ウ)第669号、東京高裁平成19年(行コ)第125号)。
固定資産税の市町村税収額における割合はおよそ40%(都市計画税と合わせると50%)となっていることからも、市町村にとっては重要な財源です。




H22.9.16
最高裁二重課税判決で知る
相続申告という分離申告

分離申告とは
不動産の譲渡や株の譲渡に関する所得税の申告は「分離課税」と言われます。「分離課税」という言葉がもたらすイメージからか、給与や年金や事業収入や不動産貸付収入などの毎年の所得申告とは切り離し、分離課税所得については、別の用紙で申告するものと誤解する人もいます。
分離課税に対応する言葉は総合課税で、分離課税所得も総合課税所得も一つの申告書で一括申告します。一括申告に対応する言葉があるとしたら、それが分離申告です。しかし、分離申告という制度は、所得税法にはありません。

分離申告の制度はすでにある
 ところが、地方税法には分離申告があります。地方住民税の退職所得です。
退職所得に対する個人の住民税(市町村民税と道府県民税)については、「退職所得申告書」(所得税の「退職所得の受給に関する申告書」と同一用紙)をその支払者を経由して、課税市町村長に提出しなければならないことになっています
 この退職所得に対する個人の住民税は、地方税法上、「分離課税に係る所得割」と呼ばれていますが、いわゆる分離課税ではなく、その実質は「分離申告」です。他の同一年の所得とは一切のプラスマイナスがないばかりか、他の所得が翌年課税なのに対して、退職所得は現年課税ですから、申告年度さえ異なります。

国税にもあった分離申告
突飛に聞こえるかもしれませんが、分離申告の制度は国税の所得税にもすでにありました。
税務大学校の教科書である「税法入門」に「相続税は特殊な形態の所得税」と書かれています。すなわち、相続税は「相続税」という名の所得税ということです。
手続的に言えば、相続税は「相続税」という名の分離課税で且つ分離申告の所得税ということになります。
所得税法は「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得する・・・所得については所得税を課さない」と規定し、最高裁の二重課税禁止判決も、相続財産の取得によりその者に帰属する所得は相続税の課税対象となるものであるから、二重課税を排除の趣旨から所得税を課さない、としており、ここでも、相続税が分離申告所得税だったことが実質的に確認されています。




H22.9.15
離職理由による
国民健康保険料の違い

国保の加入に保険料軽減措置制度創設
 22年4月から、会社を退職し国民健康保険(以下国保)に加入する場合、離職理由によっては保険料が軽減される制度が設けられました。
 この制度は離職の際、退職の理由が会社都合である場合、例えば人員削減や事業廃止による解雇等の特定受給資格者や、契約期間満了による離職に際しての契約更新の希望の有無や、一定の自己都合退職による場合の特定理由離職者(厚労省令で定められている理由)が退職して国保に加入する時は前年の給与所得を実際の額の3割とみなして保険料を算定します。

任意継続か国民健康保険か
 通常、退職者は退職前に加入していた健康保険の任意継続制度か国保かを選んで加入しています。任意継続では、退職時給与の健康保険料(協会健保では月給が28万円より高い場合は28万円とみなした保険料)を本人と事業主負担分を合わせた金額を負担するか市区町村で定めた国保保険料を負担するかという選択をします。この時点で失業中でも、前年の所得が高い人は国保料も高くなるので任意継続を選ぶ人も多かったようです。しかし、国保の軽減措置制度が出来て国保の方が安くなる場合もあります。このような時は国保の窓口に保険料額を確認する事がよいでしょう。

制度利用には事前に問い合わせを
 軽減される期間は離職日の翌日から次の年度の末日までで21年3月31日以降に離職した人は22年度に限って保険料が軽減されることとなっています。
 会社都合退職なのにすでに任意継続を選んだ場合でも保険料納付を止める事で国保に切り替えもできます。市区町村の国保窓口では特定受給資格者や特定理由離職者を本人の雇用保険の受給資格者証の離職理由によって判断されているようですので、この制度を利用する時は事前に相談するのがよいでしょう。
 会社においては退職する本人の雇用保険の離職理由が健保の任意継続と国保の保険料の比較となってくるので離職票作成の際は厳密な離職理由の記載が大事になってくるでしょう。




H22.9.14
不動産投資信託(J−REIT)

大家さんの悲鳴
 毎年、確定申告の時期に個人の地主さんの不動産所得の計算をしますが、決まって税金が安くならないかと相談を受けます。話を聞いてみますと、確定申告の所得税から始まって、消費税、住民税、事業税、固定資産税と払う税金が多すぎるのではないのかといわれてしまいます。また、昨今景気が悪いせいか空室率が高くなってきて、空室にならないため家賃を下げて募集をかけているとか、家賃の支払いができない店子さんが出てきてしまい困っている。はては、家賃の支払いができない店子さんが夜逃げをして部屋をゴミ屋敷にしてしまい、その撤去費用、改修費用の支払いが出てしまったとか、いろいろな苦労話を聞かされてしまいます。しかしこれらは不動産を持っている人の悩みで、持てない人から見れば、羨ましい悩みでもあります。
しかし不動産を持てない人でも不動産投資はできます。それが不動産投資信託です。

不動産投資信託
 不動産投資信託とは投資信託の一種で投資対象が株や債券ではなく不動産だけとなっていて、不動産から生まれる収益を投資
家に分配する金融商品です。投資対象とされている不動産も多種多様でオフィスビル・商業施設・物流施設・住居・ホテルなどとなっています。現在上場されている不動産投資信託は37銘柄で、決算月は年2回(1銘柄だけ年1回)あり、上場株のように3月に集中していませんので組み合わせの仕方によっては毎月分配金を受け取ることも可能です。平成22年8月現在の全銘柄の平均予想利回りが5.6%と高めになっていて、なかには予想利回りが6〜8%と高い銘柄もあります。この利回りの高さの秘密は、不動産投資信託は不動産から得られた利益のほぼ100%を投資家に分配し、分配前の収益には税金がかからないためです。投資家への税金は証券税制のため分配金に対して10%の税金が課せられて終わりです。
 ただし、不動産の直接所有はできません。最大のリスクは運営会社の倒産です。




H22.9.13
アスパラガスの耐用年数

耐用年数だって?
 建物や機械、自動車などのように、長期に亘って利用されることによって価値が減少していく資産に耐用年数が設定されています。数量的に費消されていくことが予定される物である消耗品や転売目的資産には耐用年数はありません。
それで、アスパラガスは?

生産者サイドのこと
野菜のアスパラガスが長期の利用資産には思えないところですが、家庭や料理店などのアスパラガス消費者サイドのことではなく、アスパラガスの生産農家のところでの話です。
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」には確かに11年と書かれています。なお、平成20年4月前まではずっと10年でした。

アスパラガス考
 アスパラガスとは、「たくさん分かれる」というギリシャ語が語源だそうで、新芽という意味といわれています。根に細いイモのような貯蔵根がたくさんあって、それに蓄えた栄養で一つの株から、まるで細い竹の子のように地面をおしのけて、次々と新芽が萌え出てきます。それが町の八百屋さんで売られているアスパラガスです。その芽の何本かを残して葉を茂らせ、根に栄養分を送り翌年の収穫に備えます。種をまいて2〜3年後から収穫でき、そのまま育てるとかなり大きくなり、一度植えたら20年近く収穫できるようです。

桃栗3年、柿8年
アスパラガスに耐用年数があるなら、他の植物は? と思ってみてみると、「桃栗3年、柿8年」ではなく、桃は15年、栗は25年、柿は36年でした。
36年とは長いですね。それなら、柚子(ゆず)は? と思ってみてみると、「ゆず」という分類はなくて、柑橘類の「その他」という分類で見ることになって、こちらは30年でした。柚子は遅咲きのくせに、それほど長命ではないのかもしれません。
植物の中では柿が最長命で、最も短命なのはパイナップルのようです。耐用年数は3年となっています。




H22.9.10
会社法、会計基準、法人税
現物分配等を巡る会計処理

 現物配当、現物分配も配当財産として「金銭以外の資産を交付する」ことですが、これらを巡る会計処理は、それぞれ会社法、会計基準、法人税法で規定されています。

会社法上の取扱い
会社法では、配当財産について効力発生日において時価で評価替えした上で、時価と簿価の差額については当該日の属する事業年度において損益として計上し、評価替え後の簿価(すなわち、時価)により剰余金を減少させます。
 設例 S社は、剰余金の配当として、S社の子会社X社の株式(簿価100、配当効力発生日の時価200)を株主である100%保有の親会社A社に交付(当該子会社株式は親会社からみれば孫会社)する。
(S社の仕訳)
 利益剰余金200 /  X社株式  100
           株式譲渡益 100
(親会社A社の仕訳)
 X社株式 200 / 受取配当金 200
 * 現物配当に係る源泉徴収は考慮していません。

会計基準上の取扱い
 会計基準も基本的には、会社法の取扱と同じですが、100%グループ法人の子会社から親会社に現物配当を行う場合など一定の支配関係がある場合には、配当効力発生日における配当財産の適正な帳簿価額により剰余金を減額することとしています。つまり、先の設例でいえば、S社では譲渡益100は計上されず、A社ではX社の受入価額は100となります。

法人税法上の取扱い
現物分配に関して、100%完全支配関係にある内国法人間の現物分配については「適格現物分配」と規定し、課税関係を生じさせないようにしました。具体的には、交付を受けた資産については「簿価で移転」、これに伴う剰余金の減少についても配当金と認識せず、かつ、益金の額にも算入しないこととしまた。この課税関係を先の設例で示すと次のようになります。
S社の仕訳
 利益積立金100 / 子会社株式100
親会社A社
 子会社株式100 / 利益積立金100
 一方、適格以外の現物分配については、交付した資産は時価で移転、移転に伴う時価と簿価の差額を譲渡損益として認識、それに伴う剰余金の減少は配当金と認識します。先の設例の会社法上の取扱いと同じようになります。




H22.9.9
会社法と法人税法
現物配当と現物分配


  現物配当は会社法上の用語で、一方、現物分配は今年度(平成22年)の税制改正で法人税法において創設された制度です。

現物配当の概要(会社法上)
現物配当は、剰余金の配当のうち金銭以外の財産による配当のことで、会社法にその規定が設けられています。原則として、株主総会の特別決議によることが必要です。
現物配当の対象となるのは会社の財産に限定されているため、負債や事業そのものの移転は求められないようです。
極端な例ですが、全株主の同意があれば、甲株主さんには「株式」、乙株主さんには「車」、丙株主さんには「金銭」を配当することは認められます。また、土地を共有持分で配当することも認められます。

現物分配の概要(法人税法上)
 現物配当について法人税法には明確な規定がありませんでしたが、実務(法人税基本通達)では、概ね、会社法の規定に従って運用されていました。
 しかし、今回の改正で、法人がその株主等に対して、剰余金の配当、利益の配当、さらには自己株式又は出資の取得といった一定の剰余金処分行為について、金銭以外の資産の交付を行った場合、これを「現物分配」と定義し、現物分配によりその保有する資産を交付した法人を「現物分配法人」、資産の交付を受けた法人を「被現物分配法人」と定義しました。

現物分配と組織再編
 法人税法では、この現物分配を資産の譲渡とみなし「組織再編の一環」として位置づけました。すなわち、現物分配法人と被現物分配法人との間に完全支配関係(株式等の直接若しくは間接による100%の保有関係が成立)ある場合には適格現物分配とし、それ以外の現物分配(非適格現物分配)とで異なる課税関係を定めました。
 適格現物分配であれば、被現物分配法人では、交付を受けた資産については配当所得を認識せず、かつ、交付資産は簿価で譲受けたしたものとし、現物分配法人では譲渡損益(交付資産の時価と簿価の差額)を認識しません。
一方、非適格であれば、被現物分配法人は配当所得の認識及び時価譲受、現物分配法人は譲渡損益の認識、さらに源泉徴収義務も負うことになります。
この現物分配は、運用次第では、即効性のある事業再編を可能にするかもしれません。




H22.9.8
発生は形式主義、消滅は実質主義


  登記により生ずる
会社の成立は設立登記に拠ります。法人格はこれにより生じます。すなわち、会社の設立登記は会社の成立要件であって創設的効力を有します。会社法の定めです。
設立中の発起人の行為による債権債務も登記による法人格の取得という形式的事実なくしては個人的行為に過ぎないものとされます。

登記だけでは終わらない
法人格の発生が会社の設立登記から始まるのだとすると、法人格の消滅は会社清算結了登記に依るものと推測されがちです。
しかし、会社法は、清算が結了するまでは会社は存続する、としていますので、法人格の消滅は清算結了登記という形式的行為には依拠しないことになります。会社法が言っているのは清算結了という事実だからです。

清算結了登記後の納税義務の履行
清算事務作業が終わり、その結了登記後に過年度の法人税申告に係る更正処分があったという裁判事例がありました。
納税義務の履行を含め、債務の清算の未完了は清算事務の未完了を意味します。清算結了の登記は、外形的に事実を公示するだけで、事実を創出する効力をもたない、ということです。

清算結了登記後の財産処分
清算結了の登記によって、会社謄本や代表者の印鑑証明を添付できなくなります。
何らかの手違いで不動産や車両などの会社財産に未処分のものがあることになってしまったときは、清算事務の未了なので、清算結了の登記をしたことが誤りということになります。
その場合には、清算結了登記を抹消し会社を復活した上で、清算事務を完了させなければなりません。

会社名義の財産債務が残っていた場合
清算事務は滞りなく終了したが、所有権移転登記や抵当権抹消登記などの登記だけが漏れてしまったような場合には、清算結了登記に誤りがあったわけではないので、会社復活の必要はありません。清算人の資格において手続きをすることが認められています。
 先の、清算結了登記後の課税更正処分についても、扱いはこれと同じで、清算人の資格において行います。




H22.9.7
ファシリテーション


 “ファシリテーション”とは会議やミーティングの場で、参加者に発言を促したり、話し合いの流れを整理することによって合意形成や相互理解をサポートする手法・技術のことを言います。

“ファシリテーション”の重要性
 経営活動に於けるファシリテーションの機能は重要です。
 経営者の立場で、幹部社員とともに事業戦略を構築する場合、どのように意見交換し、合意形成を図るか、と言った大きな課題から、日常の開発・生産・販売・管理業務などの運営で生じる細かい課題解決の意見交換・合意形成に至るまで、大変多くの場でファシリテーション機能が使われており、ICT(インフォメーション・コミュニケーションテクノロジー)の領域と隣接し、ICTで処理できない人的コミュニケーションの領域を取り扱う技術で、その巧みさの優劣は、企業活動の意思決定・行動のスピードに直接影響する重要性を持っています。つまり、情報処理技術はICTが発達しても、人的コミュニケーションがうまくできないと相乗効果・実益が得られないのです。

ファシリテーターの識見・能力
 “ファシリテーション”を行う人をファシリテーターと言い、次のような識見・能力が必要とされます。
@ 取り扱う課題について、あるべきゴールの姿の具体的なイメージを持っている。
A 参加者をゴールへ誘導する志・信念を持ち、場数を踏んだ状況対応力がある。
B 課題を取り巻く外部環境・内部環境に通じ、広い視野と、細部の問題を理解して
参加者に問題認識や課題解決に関する発言の切り口やキッカケ・ヒントを提供することができる。
C 自らのゴール・プロセスイメージを持ちながら、参加者の積極的発言を引き出し、的確な状況判断をして自分のシナリオを柔軟に脚色して合意形成ができる。
D 参加者が課題解決に貢献し、合意形成の結果について納得し、実行段階で協力する姿勢を引き出すことができる。
このように“ファシリテーション”はトップ・経営幹部・管理者にとって不可欠な能力と言えるでしょう。




H22.9.6
株式売却「みなし取得費の特例」

猫の目のように変わる昨今の証券税制ですが、整理しますと次のようになります。
1)平成20年度税制改正により、平成21年以降の所得について確定申告で申告分離課税を選択することにより、上場株式等の譲渡損失と、上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金との損益通算が可能。
2)平成22年以降は、特定口座の「源泉徴収あり口座」にて受入れた上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金と特定口座内の譲渡損失との損益通算が可能。
3)上場株式等の売却益に係る税率は、平成21年〜23年までは10%(所得税7%、住民税3%)、平成24年以降は20%(所得税15%、住民税5%)。

取得費が不明な場合の特例措置
 上場株式等の売却益については、平成15年(2003年)の税制改正で、現在の「申告分離課税」に1本化されました。
しかし、譲渡損益を計算する際には、その株式の取得費の把握が必要になりますが、当時まだ大量にあったタンス株などは相続等で取得したものや古い時代に購入したもので大部分を占めており、その取得費を調べることは事実上不可能でした。
そこで、取得費が不明な場合には、平成13年(2001年)10月1日の終値に80%を掛けた額を「みなし取得費」として申告ができるようにしたのが、みなし取得費の特例です。
 この「みなし取得費の特例」計算が今年の12月31日で期限切れ廃止となります。

取得費の特例が適用される株式
 取得費の特例が適用さる株式は、平成13年(2001年)9月30日以前(2001年9月末までに購入した株式をそれ以後相続で取得した株式も含む)に取得した上場株式で、現在でも、相続した株式や昔に購入した株式をそのまま一般口座に保管されているもの、あるいは、株券電子化の際に必要な手続きをしないで信託銀行の特別口座に名義が移ったものも対象になります。
 取得費が不明あるいは実際の取得費よりみなし取得費の方が高い株式を保有している人は、年内に「取得費の特例」を使うことで節税が期待できます。
特例が切れる来年以降、取得費不明な株式を売却した時の取得費は、「売却代金の5%」で計算することになっていますので、今年と比較して節税効果が大きく異なります。




H22.9.3
もし、中小企業が中国進出を
検討してみると?


はじめに
日本の中小企業が中国へ進出しようとした場合に、どのようなことを考えればよいのでしょうか。「中国」と一口に言っても、地域によっても種々の事情が異なるでしょう。また、日本と同じ商売のやり方が通じるとは限りません。

どのような経営者が成功したか
 大企業が中国に工場をつくり、安価な労働力により、低い価額で商品(自動車・電化製品・洋服など)を製造し、販売することはよく知られています。
一方、中小企業であっても中国へ進出し、成功した方たちは多くいます。その経営者たちに共通することは、「素人」「草食系」といった感覚で中国へ進出していっていることです。つまり、日本の商売での「思い込み」や「常識」にとらわれないやり方で経営を始めているのです。また、中国の都市部と農村部の発展の度合いは大きく異なりますが、日本の20〜30年の時代の巻き戻しによる商売をするという考え方も大切なようです。

お国事情の違い
漢民族の他に55もの少数民族がいる中国において、会社をよりどころにする日本人とは異なり、中国人は血縁関係をとても大切にし、大変商売熱心な民族です。また、農民工と呼ばれる労働者たちが沿海部(北京・天津・上海など)へ出稼ぎに来ており、毎年の賃金アップに経営者も対応せざるを得ない状況のようです。
一方、地域ごとに政策が異なり、税制も毎年大幅に改正され、さらには都市部から少し離れたところでは、税率について税務署と交渉の余地があるなど、現地の事情に詳しいビジネスパートナーを見つけることが大切です。
さらに、従業員がノウハウを持って新たに同種のビジネスをスタートし、日本の企業が中国撤退を余儀なくされるなど、機密保持が企業存続の鍵であるとまでいえるほど、ノウハウの管理が非常に重要な問題です。
いずれにしても経営者は、現地に出向き、現地の様子を肌で感じ、勇気と知恵を持って、高度経済成長中の中国に挑んで行く魅力はあるようです。




H22.9.2
住宅の貸付と消費税


住宅(居住用不動産)の貸付の対価として受け渡しされる家賃収入には消費税は課税されません。消費税法では住宅の貸付の定義を次のように定めています。「住宅とは、人の居住の用に供する部分をいい、一戸建ての住宅のほかマンション、アパート、社宅、寮なども含む。」また貸付とは「契約において人の居住の用に供することがあきらかなものに限り、一時的に使用される場合は除く」としています。
つまり、居住用不動産の貸付であって、貸付期間が1ヶ月以上であれば、消費税は非課税ということになりますが、一括借り上げやウィークリーマンション、リゾートマンションの場合は注意が必要です。

一括借り上げの場合の注意点
マンションを不動産管理会社などに一括で借り上げてもらう場合には、注意が必要です。
消費税法では、非課税の要件として、「契約において人の居住の用に供することがあきらかなものに限る」としているので、マンションを一括借上により不動産管理会社へ賃貸した場合には、賃貸契約書に『住宅用の貸付けとして転貸する』という旨を明確に記載しておくことが必要です。そうすれば、居住用不動産の貸付に該当することになり、消費税は非課税ということになります。

住宅の貸付であっても、非課税にならないもの
住宅の貸付であっても、下記@とAは非課税になりません。
@貸付期間が1ヶ月未満の貸付の場合。
例えば、ウィークリーマンションの家賃収入は居住用でも、貸付期間が1ヶ月未満なので、消費税は課税となります。
A旅館業法第2条第1項に規定する旅館業にかかる施設の貸付に該当する場合。
旅館業とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業をいいます。例えば、リゾートマンションや貸し別荘は旅館業に該当しますので、貸付期間が1ヶ月以上であっても、消費税は課税されます。




H22.9.1
所在不明の株主への対処とは?

古い会社にありがちなお話
ある個人株主に株主総会の案内を送ったが、「あて所に尋ねあたりません」として返送されたが、安否や転居先を調べる術もなく、追跡しようがない・・・こういう場合どうすべきでしょうか。
会社法は以下の手当てをしております。

通知・催告洩れの免責
 まず、送付先の住所が、株主名簿又は別途その株主が送付先として指定した住所の記載と同一である限り、通知・催告義務を果たしたということで、通知・催告漏れによる責任は免れます。

通知・催告義務の免除
もっとも、所在不明で届かないことは明白なのに、今後もいちいち通知・催告をせよとは無駄ではないかともいえそうです。
そこで、所在不明により通知・催告が到達しなくなってから、継続して5年間到達しないときは、そのような株主に対する通知・催告自体が不要となります。

厳格な要件ながら株式自体を消滅させることもできる
所在不明株式の問題は、大概は以上の処理で足りるはずですが、いっそ株式自体を処理できないかとのニーズも出るでしょう。
 そこで、所在不明により通知・催告が不着になってから、継続して5年間到達せず、かつ、この株主が継続して5年間剰余金の配当を受けなければ、競売あるいは会社又は第三者への売却をすることができます。
 そして、競売ではなく、会社又は第三者への売却の手続を採る場合には、市場価格がある場合はその価格で、ない場合には概要の以下の各手続をとります。
@(自社の買い取りに限って)取締役会にて買取の決議をする、A株主において3ヶ月以内に異議を述べることができる旨の公告及び株主宛の催告を出す、BAの異議申立期間(3ヶ月)が経過し、異議が出されない、C裁判所に対して、売却許可の申立をなし(買取価格の鑑定の提出を求められる)、許可決定を受ける、D許可決定後は、売買代金の支払として、法務局へ供託する。
読んでいるだけで気が重くなられたかも知れませんが、所在不明とはいえ、第三者の株式を一方的に処分するためには、かくも厳格な手続を要するということです。