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H23.11.30
1円ストックオプションが主流に

1円ストックオプションの世界傾向
 株式報酬型役員退職金の性格の1円ストックオプションがアメリカで急増している、と10月7日の日経新聞が報じていました。
ストックオプション(新株予約権)は、日本では、1997年に解禁され、1円ストックオプションの税制が明確になったのが2003〜2004年でした。日本での1円ストックオプションは、2007〜2008年に急増期があり、現在も少しづつ増えており、それに比して、通常型のストックオプションは減少傾向にあり、両者の比率は現在半々のようです。

非適格なれど退職所得税制適格
上場企業では、役員報酬の開示が進んだことなどで、算定基準の不透明な退職慰労金を廃止するのが大勢で、その受け皿が1円ストップオクションだった訳です。退職慰労金だと自ずと年功色が強くなりがちなところ、1円ストックオプションだと成果重視の業績連動報酬制度の色が強くなる傾向にあるようです。
一般に、権利行使期間は割当日から30年以内というように長期で、かつ取締役を退任した翌日から10日間などの行使条件がつけられています。
 1円行使価額という設定では、売却時の10%株式譲渡所得課税という税制適格ストックオプションには該当しませんが、退職所得課税の対象となります。

権利付与時の課税はなし
 ストックオプションは、登記されることになっているとともに、一般には、新株予約権証券が交付され、譲渡も可能とされています。
ただし、1円ストックオプションの場合は、権利行使価額がほとんど無償での利益供与であるとともに、証券の交付がなく、譲渡制限がついていて、権利行使可能期間が極端に短い形成権であることを踏まえて、権利付与時の課税なしとされています。
権利付与時での利益への不課税は算定の困難さとともに、未確定未実現所得への課税を税制が忌避しているからで、日航株の無価値化とか、1円になってしまった武富士株とか、9割も減した東電株などを見るにつけ、意味が再認識されます。
    




H23.11.29
債務確定基準と使用人賞与の損金算入

 法人税法本法では、いわゆる「使用人の決算賞与」について、その事業年度末に未払経理した場合、当該賞与が損金算入となるかどうか、つまり、賞与の支払い債務が確定しているどうか、その課税要件に関する「別段の定め」がありません。

債務確定と政令の要件
 別段の定めがない以上、この債務確定も公正妥当な会計基準に準拠して判断されるべきものですが、予測可能性と課税の公平性を担保する観点から、確認の意味で、法人税法施行令第72条の3にその債務確定の要件を限定列挙しています。

就業規則等に定めがない場合の要件
 多くの場合、就業規則等で賞与支給の定めがあっても条件付きで、債務が抽象的で具体化していません。
 こういった現状を踏まえて、政令では、決算賞与の債務確定要件として、次の3つを挙げ、3要件のすべてを満たすことを要求しています。
@各人別にその支給を受けるすべての使用人に通知していること、A通知したすべての使用人にその支給額を事業年度の終了後1月以内に支払っていること、B通知した事業年度において損金経理していること。したがって、上記3要件が満たされている限り、未払経理した使用人賞与の損金算入は是認されるはずです。

通達に隠された要件が?
 しかし、通達においては、「支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合」には、上記3要件を満たさないとの記述、さらに、その解説には、そもそも就業規則等に「支給日在職使用人のみに賞与を支給する旨」の定めがあれば、当該未払賞与について損金算入が認められない、とする旨の記述があります。

通達の解説に疑義
 政令は、債務確定の基準として、ここまで要求はしていません。少なくとも、「通知したすべての使用人に対して支給する」、ここまでが要件です。
 仮に、通達の要件を受け入れなければならいないとすると、就業規則等に「支給日在職使用人に限る(この定めのある会社は多い)」とする定めがあれば、通知にあたっては「就業規則第○○条適用がない旨」も通知しなければならないことになります。これでは、政令の要件をさらに付加したことになるのではないか、納得しがたい通達の解説です。    





H23.11.28
変化する就活戦線
外国人の新卒採用


積極化する外国人の新卒採用
 「就職氷河期再来」と言われる昨今の新卒就職事情。来年3月卒業予定の大学生の就職内定率は10月1日時点で59.9%と、過去最低を記録した前年同期より2.3ポイント上昇したものの、依然、就職氷河期の数値を下回る低水準であることが発表されました。
そんな中、今注目されているのが外国人留学生の新卒採用。インテリジェンス「HITO総合研究所」が全国351社を対象にした調査によると、外国人の新卒採用を積極的に推進または検討していると答えた企業は全体の33.9%、従業員5000人以上の大企業では78.6%と、約8割を占めています。中小企業も決して消極的ではありません。これまで外国人の採用実績がない企業でも、直近で採用を予定または検討している会社は従業員100人未満の会社でも21.8%となっており、外国人留学生の採用率は今後日本企業全体で増加する見込みです。

留学生採用時の注意点
 グローバル化が進む中、日本語の堪能な外国人留学生を雇用することは、海外進出や業務拡大につながる戦力になります。しかし、たとえ優秀な人材であっても、次のような点に注意しなければ、せっかく内定を出してもその留学生を雇用できないことがあります。

注意点@専攻科目と活動内容の関連性
 留学生が就職する際には、「留学」の在留資格を、就労が許されている在留資格に変更する必要があります。この変更は、留学生が大学において専攻した科目と企業における活動内容に関連性がなければ認められません。

注意点A採用企業の安定性
 留学生を安定的、継続的に雇用できる見込みがあるか、企業の経営状況も在留資格変更時の審査対象です。税金を滞納していたり、経営不振が続いている企業では、留学生の受け入れ先として認められません。

注意点B報酬と労働条件
 採用した外国人留学生に対しては、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を支払う必要があります。また、外国人であっても、日本で就労する場合は日本国の労働関係法令・社会保険関係法令が適用されます。雇用契約書等に明示した上、本人に対しても説明してください。





H23.11.25
世界企業に非課税助成金

カルロス・ゴーンさんの会社移転
 日産自動車は平成21年8月に、長らく本社のあった東京・東銀座から横浜駅東口のそごうデパートと橋をはさんだ「横浜みなとみらい21地区」66街区に移転し、日産グローバル本社(登記簿上の本店は、横浜市神奈川区の横浜工場)としました。

神奈川県と横浜市が助成金支給
 この本社立地にあたり、神奈川県は、県外から県内へ本社機能を移転する「施設整備等助成制度」活用の最初の申請としてこれを受理し、横浜市は、企業立地等促進条例の対象地域内に事業所を賃借して本社等を設置すること、本社の従業者数が一定以上の規模となること、経常利益を一定額以上計上していること、などの要件を満たす法人として助成金支給の認定を与えました。

助成金は非課税ではないか
 これらの助成金に関して、横浜市から東京国税局に対し、非課税助成金に該当するものと解してよいかとの事前照会がありました。東京国税局は、法人税非課税通達の要件に該当すると判定し、平成23年9月8日に文書回答するとともに、それをネット上で公表しました。
 非課税通達とは、法人税基本通達9-5-4のことで、「法人が道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるときは、当該補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しない」とされています。

金額が巨大で当事者企業が巨大すぎる
 日産自動車の受ける助成金は50億円余で、それ以外にも、野村総合研究所が12億円余の助成金だそうです。
 世界のグローバル企業の誘致なので、何十億円程度の補助金は、その後の税収ですぐ元がとれ、併せて地元住民雇用の増大及び地元企業の事業機会の拡大など、地元経済の活性化に寄与するものとしての効果大との判断で行われているのでしょうが、助成金と言うのは中小企業支援とか、雇用促進とかを対象にするイメージがあるので、どうしても意外性を感じざるを得ません。





H23.11.24
今年の税制改正 通勤手当非課税枠縮減


通勤手当非課税の規定
 通勤手当非課税は所得税法に定めがありますが、無制限非課税ではなく、政令で通勤手当の諸態様に応じた1ヶ月当りの非課税限度額が定められています。
通勤手当の態様と非課税限度額は次のように大きく4つに分類されます。
@通勤定期券の現物支給を受けている場合のその通勤定期券(10万円限度)
A交通機関利用者の自己負担通勤費の補填として受ける通勤手当(10万円限度)
B自転車・自動車等利用通勤者が受ける通勤手当(距離別非課税限度額)
C上のABの両方の利用者が受ける通勤手当(AとBの合計額で10万円限度)

距離別非課税限度額とは
 自転車・自動車等利用通勤者の受ける通勤費については、距離別非課税限度額が次のように定められています。
片道通勤距離      非課税限度額
2キロメートル未満    なし(全額課税)
10キロメートル未満    4,100円
15キロメートル未満    6,500円
25キロメートル未満    11,300円
35キロメートル未満    16,100円
45キロメートル未満    24,500円

15キロメートル以上の場合の特例廃止
 通勤距離が片道15 キロメートル以上の自転車・自動車等利用通勤者で、交通機関を利用した場合の運賃相当額を通勤手当として受けている場合には、その金額を距離別非課税限度額(10万円限度)とすることが出来ることになっていましたが、今年の税制改正で、この部分が廃止されました。
 この改正は、平成24 年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用されます。

改正要望は国土交通省
 国交省は、交通手段を公共交通機関の利用に選択誘導し、環境負荷の適正化に資する、とともに、マイカー利用者に実費を基準とする額を超えて非課税措置が適用されている歪みがあるので、適正化する、と昨年の税制改正要望に記していました。
 しかし、マイカー利用者の利用実費(燃料費ほか維持費等と車両代)が距離別非課税限度額に満たないという歪みがあるという認識には誤解がありそうです。





H23.11.22
現物給与あれこれ

 従業員等に対し、福利厚生の一環として自社商品の値引販売や融資制度等を設けている会社も多いと思いますが、現物給与として課税される場合がありますので注意が必要です。

マイカー通勤の駐車場代
 地方では、マイカー通勤を認めている会社は多いと思いますが、会社の敷地にとめず、駐車場を借りる場合、その駐車場代の全部または一部を会社が負担するときは現物給与になります。自転車通勤者の駐輪場代を会社が負担するときも同様です。ただし、非課税限度額内で交通用具手当として支給する場合は課税されませんので、上手に手当額を設定するとよいでしょう。なお、「片道15km以上の人が公共交通機関を利用するとした場合の通勤定期1か月相当額が非課税限度額を超えるとき、その運賃相当額まで非課税(10万円限度)とされる特例」は、平成24年1月1日以降廃止されますのでご注意ください。
 社員のマイカーを会社で借り上げる場合、その賃料収入は雑所得となります。

会社の備品の払い下げ
 会社で不要となったパソコンなどの備品を社員に払い下げる場合、無償または時価を下回る金額で譲渡すると、差額は給与とされます。インターネット等で売買価格を調べて金額を設定するとよいでしょう。

自社製品・商品の値引販売
 原則は値引額が現物給与になりますが、次のいずれにも該当する場合は非課税です。(1)販売価額が会社の仕入価額以上であり、かつ、通常の販売価額の概ね70%以上、(2)値引率が全社員一律、または地位や勤続年数等に応じて合理的なバランスが保たれる範囲内の格差で定められている、(3)値引販売する商品の数量が、一般の消費者が自身で通常消費すると認められる程度の数。
 なお、値引きではなく無償で支給する場合は、製造業者であれば製造業者の販売価格、卸売業者であれば卸売価格、小売業者であれば小売価格が給与とされます。

金銭の貸付
 適正利率で計算した利息を徴収しなければならず、全部または一部を免除したときは、免除した金額が給与として課税されます。適正利率は、前年11月30日の商業手形の基準割引率+4%です。昨年11月30日の基準割引率は0.3%でしたので、現在の適正利率は4.3%です。なお、他から借り入れて貸し付けたことが明らかな場合は、その利率が適正利率になります。ただし、災害時等の生活費として緊急的に貸し付けた場合は無利息でも非課税です。





H23.11.21
日米それぞれの「アマゾン税」

「アマゾン税」導入が勢いづいている
 カリフォルニアやテネシーなど米国各州で、インターネット小売業への課税を強化する動きが広がっています。
各州の州財政の悪化、ネットショッピングの利用拡大が、ウェブサイトを通じて州内で集客する企業に徴税を義務付ける「アマゾン税」と呼ばれる税金の導入の法制化を加速させているのです。
 同業最大手のアマゾン・ドット・コムの場合、売上税(日本の地方消費税に相当)を集めるのは法制上、本社を置くワシントン州などに限られており、ほかの州においては徴収されないので、不公平感が強まっていたところでした。

日本におけるアマゾン事件
 支店、出張所等の事業所、工場、倉庫などをPE(恒久的施設)といい、日本国内にPEを持たない外国法人は日本への申告・納税義務がなく、PEを持つ場合にはすべての国内源泉所得が課税対象となります。
米国アマゾン・ドット・コムは日本国内にPEを置かないまま日本顧客との売買契約を直接結び、米国で売上を上げているとして、日本への法人税納付義務がないものとしていましたが、東京国税局はアマゾン子会社の日本法人がPE機能を果たしているとして、追徴課税処分をしました。
アマゾン社は08年度年次報告書でその課税処分を公表しており、それによると、追徴税額は加算税等を含め、約1億1900万ドルで、当時のレートで140億円前後です。
 日米二国間協議が続いている模様です。

消費税では揉めていないのはなぜ
 ネットamazonで書籍を注文しようとすると、価格は消費税込みの額になっています。法人税の納税義務はないとしているのに、消費税の納税義務があることを認めているのでしょうか。
 日米租税条約では消費税は条約の対象税目になっておらず、消費税法の納税義務者は国内で課税取引をする「事業者」としか規定されていないので、外国法人でも、PEがなくても、消費税に関しては納税義務を回避できません。
 回避できるのなら、消費税なしの価格での販売にするところなのでしょうが、そこがまたアメリカ州税の売上税と違う面でもあります。





H23.11.18
損税対策を税制要望

厚労省の24年度税制改正要望で
 厚労省は、重点項目の一つとして「社会診療報酬等に係る消費税のあり方の検討」を要望しました。これは、医療機関の仕入れに係る消費税(仮払消費税)のうち、社会保険診療に係るものは非課税用課税仕入れとなるため、この分の仕入税額控除ができず、消費者ではなく、事業者が負担する消費税、いわゆる“損税”の問題が生じているからです。

非課税はありがた迷惑
消費税は、消費者の手に届く前の長い過程で既に事業者によって仮に納められ、前段階消費税として累積されています。そして、最終消費者の負担する消費税額が国に収納される際に控除されることによって、重複収納にならないようになっています。
この重複収納排除をしないと、消費者が負担しなかった消費税が国に収納されたままになり、国の消費税収入の総額は課税物件にかかる消費税、即ち消費者の負担した消費税総額を超えることになります。
非課税売上と言えども、事業者は最終消費者ではないので、前段階消費税を負担すべきいわれはありません。事業者は消費税をただ預かって国に納付するだけの法的社会的責任を持つに過ぎないからです。

医師会だけではない
厚労省の要望は、医師会の要望を承けて採り上げたものですが、非課税のありがた迷惑は医師会に限られません。介護サービスや住宅貸付ほか多くの非課税事業者全体に共通する問題です。
消費税増税のため今後食品に係る消費税が非課税化されることになどなったら、この問題は限りなく広範なものになり、国の重複収納額も巨大なものになります。
食品非課税による税収減の9割以上が確実に重複収納されたままになります。

非課税は値上げに通じる
厚労省と医師会のねらいは、もしかすると、近未来の消費税率改定に照準を定め、診療報酬点数や薬価基準のアップを確保するためなのかもしれません。即ち、自己負担増となる前段階消費税を消費者に価格転嫁する戦略です。
しかし、他の中小零細の非課税事業者はそのような仕入税額控除不適用分を売上代金に転嫁できる制度的恩恵を受けることなく、泣き寝入りしているだけです。





H23.11.17
勤労意欲に差?
在職老齢年金改革案


60歳以上の給与と年金制度
 働きながら年金を受給する在職老齢年金は現在60歳から64歳の会社員は月給と年金の合計が月28万円を超えると年金が減額する仕組みとなっています。先ごろ厚労省はこの制度の見直し案を発表しました。現行制度では60歳から64歳の場合、月給+年間賞与の12分の1の合計額が28万円を超えると超えた額の2分の1が年金より減額されます。65歳以上はこのラインが46万円を超えた時に減額されます。

制度改革の見直し案は?
 この減額が高齢者の働く意欲を妨げているとの考えから見直し案では次の案が出されています。その案は60歳代前半の人の減額する基準額を
@65歳と同じ46万円に引き上げる。
A60歳代の給与の平均額33万円に引き上げる。
B60歳代前半は年金の調整を廃止する。
 以上の3つの案は年金の減額幅を縮小する為、働く高齢者の年金が増え、勤労意欲が向上し、60歳以上も働き続ける人が増えるという見方があります。
 一方で現在は60歳から64歳の方の約120万人がこの制度で年間約1兆円が減額されていると言います。ですから調整廃止や縮小をすれば労使とも負担が増える事は必至となり、反発が予想されます。
 また、在職老齢年金は事業主への賃金補助的機能を果たしている面もあり、労働時間の調整等で年金を減額されずに働いているケースが多いのも現状です。この場合はむしろ高齢者の労働需要を増やしている側面もあります。

支給開始年齢の引き上げも検討
 厚労省は長寿で年金の受取期間が長くなっているため財政の悪化を防ぐために年金の支給開始年齢の引き上げも検討しています。1歳の引き上げで国の負担は年0.5兆減るとみています。但し年金受給者の多い団塊の世代への影響はなく、引き上げ案のうち最も早い時期の案を採っても平成24年の実施で、現在53歳以下の方の開始年齢が遅れる案となっています。若年世代に痛みが集中する形となり、引き上げも難しい状況で実施までには紆余曲折がありそうです。





H23.11.16
免税事業者廃止の横やり

会計検査院 消費税免税制度の検討要請
 会計検査院は10月17日、資本金1000万円未満企業の新規事業開始後2年間の消費税納税義務免除制度について、財務省に再検討するよう要請しました。
会計検査院が調査したところによると、売上が3億円を超える企業まで免税となっていたり、設立2年経過後に解散したりする制度乱用のケースもあったようです。

税理士会の建議案
税理士会は、以前から、消費税の基準期間制度を廃止することを税制建議してきています。
前々年度を基準期間とする現行制度では、申告年度の課税売上高が多額であっても免税事業者となったり、反対に課税売上高が1,000 万円以下であっても納税義務が生じたりするような不合理な現象が生ずるからです。
税理士会の案は、基準期間制度を廃止し、申告年度の課税売上実績が1,000 万円を超えていれば課税事業者、1,000 万円以下なら申告自由とすべき、というものです。

馬耳東風だった国税当局
 免税・課税の選択は、常に1年ないし2年先の状況を予測しないと有利不利の判定ができず、そのような判定が必要なのは零細事業者だけなのに、基準期間制度が生む弊害を零細事業者に押しつけて、国税当局はいままで馬耳東風でした。
そこへ、身内の検査院から、単に税収確保し損なっているとの観点だけで、注文が出たので、何か手を打つ必要に迫られることになりました。

免税制度など無くてよい
 消費税は、二重の意味で、事業者課税の税制です。一つは、消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者であること。もう一つは、事業者に国の徴税実務と徴税計算を押し付けて、税務署の下請け機関となることを、罰則をもって強制していることです。
 本来は、消費税の導入に際し、押し付けた国の徴税実務と徴税計算に要する費用を補填すべきだったのです。今からでも、税額控除という形で導入するのが、道理です。
 免税制度など廃止して、すべての事業者に申告義務を負わせても、徴税代行税額控除(月2.5万円、年30万円くらいが妥当)があれば、1000万円以下の売上なら納税額は、多くの場合ゼロになります。





H23.11.15
今年の税制改正
新しい減価償却資産PFI


減価償却資産が一つ増えた
 7月22日改正の法人税法施行令で、「公共施設等運営権」という名の新しい減価償却資産が生まれました。
 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」いわゆるPFI法の改正法が6月1日に公布されたことにより、税制も改正されたからです。

PFIとは
 PFI(Private Finance Initiative)とは、民間事業者に公共施設の運営等を委託することをいい、法律は平成11年7月からあり、前年末時点で,全国で375のPFI事業が実施されています。
 国や地方公共団体の事業コストの削減、質の高い公共サービスの提供、を目指すのが目的であり、図書館や観光施設等の運営のケースが多く、話題性のあったものには、仙台市のスポーツ施設PFI「スポパーク松森」、刑務所PFIの「美祢社会復帰促進センター」「島根あさひ社会復帰促進センター」「喜連川社会復帰促進センター」、病院PFIの「高知医療センター」などがあります。

改正PFI法の内容
 PFIには、民間事業者が自治体等に対してサービス提供をして対価を受け取るタイプと、施設の所有権を公共側に残したまま民間事業者が独立の施設運営権者になるタイプとがあります。今次の改正は、後者の独立運営者タイプのPFIを普及させるための法整備をしたものです。
 公共施設運営権は、自治体等に対価を支払うことで権利取得され、その権利は不動産に準拠する物権とみなされ、法人の合併その他の一般承継、譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え及び仮処分並びに抵当権の目的となります。これらの事項は登記に代わるものとしての「公共施設等運営権登録簿」に登録されます。

新しい無形固定資産
かくして、運営権は有償取得する独立した財産権なので,無形減価償却資産に該当するものとされ、法定耐用年数は事業の実施に当たり設定した運営権の存続期間、第三者から譲渡された運営権の場合は残りの未経過存続期間とされました。
 なお、消費税の課税売上割合の著しい変動に係る調整対象固定資産の範囲にも「公共施設等運営権」が追加されています。





H23.11.14
昨年と比べて変わった点
年末調整の準備を!

 今年も年末調整の時期が近づいてきました。年末調整は、給与の支払を受ける人の一人一人について、毎月の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めるべき税額とを比べて、その過不足額を精算する手続きです。

年末調整の対象者
 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人や年の中途で退職した人で一定の場合(死亡、出国等)を除き、年末調整の対象にはなりません。対象になる人は、1年を通じて勤務している人や、年の途中で就職し年末まで勤務している人です。

年末調整の対象となる給与
 年末調整の対象になる給与は、その年の1月1日から12月31日までの間に支払うことが確定した給与であるため、未払の給与や賞与であっても、本年中に支払の確定したものについては対象になります。一方、給与の支給日が月末締め翌月10日支払の場合は、12月分は翌年1月10日に支払われることになりますので、翌年の収入になることが確定しているため、年末調整の対象外となります。 
                     
昨年と比べて変わった点
 変わった点は、主に次の2点です。
(1)扶養控除の見直し
 年齢16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)に対する扶養控除は廃止とされました。
これに伴い、扶養控除の対象が、年齢16歳以上の扶養親族(控除対象扶養親族)となりました。
 また、年齢16歳以上19歳未満の人の扶養控除の上乗せ部分25万円が廃止されました。これに伴い、特定扶養親族の範囲が、19歳以上23歳未満の扶養親族に変更されました。
 扶養親族とは、納税者本人と生計を一にする親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)等で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます。
(2)同居特別障害者加算の特例見直し
 年少扶養親族に対する扶養控除が廃止されたことに伴い、この加算特例も見直され、納税者の控除対象配偶者又は扶養親族(年齢に係らず)が同居特別障害者である場合には、一人につき控除額75万円とする制度に改められました。
 同居特別障害者とは、控除対象配偶者又は扶養親族のうち特別障害者に該当する人で、納税者本人等と同居を常況としている人をいいます。





H23.11.11
負けてもよいのだ

遡及立法合憲判決の意義
 法律によらなければ課税できないとの憲法原則は、自分の税金がいくらになるのか予測しながら経済選択行動することを保障するためのものであり、予測計算判断を十分にできるようにするための期間こそ確保すべきことを要求するものです。
翌年施行などのように、公布した法律の熟知までの期間の十分な確保への要求です。
 それを有らぬことか、遡及立法まで合憲とする無謀な最高裁判決が平成23年9月22日にありました。不動産の損益通算廃止立法の遡及適用に係る争訟事案です。
その無謀さのゆえか、判決には逆に、増幅的な政治的効果が生まれてしまったと言えそうです。

国民の不断努力義務
 憲法は12条で、国民に不断の努力で自由や権利を保持すべきことを要求しています。自由や権利はタナボタで与えられるものではない、と言っているわけです。
たとえ敗訴になろうとも、信ずるところによって国の誤りを正す。これが、憲法でいう国民の権利保持の不断の努力です。

これからの遡及立法
今回の最高裁判決で、今後とも遡及立法が許されることになるのか、と言えば、当然ながら、もはやそんなことは今後起きないこと必定です。
税務訴訟まで起こしてしまった税法改正は、財務省の失敗事例ですから、二度と繰り返さないでしょう。
国会での、厳しい追及を避けようとする官僚の学習効果としては十分だからです。

敗訴納税者のさらに大きな貢献
それだけでなく、今年の税制改正の失敗過程で、納税者有利規定だから遡及適用で誰も文句を言うまい、と高を括っていると、そのまま税法条文が消滅してしまいかねないリスクがあることも学習したはずです。
電子申告控除やバリヤフリー改修控除、森林計画特別控除は、自民党・公明党の3ヶ月つなぎ法に入っていませんでした。もしかすると、再つなぎ法で収束だったとすると、そのまま消滅してしまう可能性が現実にありました。
今後は、期限延長にからむ納税者有利規定の遡及適用立法も、安易には行われなくなるのではないでしょうか。





H23.11.10
最高裁の平衡感覚の異常


最高裁の遡及立法擁護判決
平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は年初への遡及適用だったことによる、遡及課税が許されるかを争った裁判がいくつも起きていました。
「租税法規不遡及の原則に違反し違憲無効」とする判決、合憲とする判決がそれぞれあり、最高裁にまで争訟はつづき、平成23年9月22日最後の判決がありました。
租税法律主義の憲法規定は遡及立法による課税を禁止していない、との判決です。

遡及立法ではないとの理由
合憲判決によると、所得税は期間税なのだから、納税義務の確定日としての12月31日からすれば遡及には当たらない、と言います。しかし、納税義務の確定日は暦年終了日とは限らず、年中に死亡とか、海外出国の場合は3月31日以前に納税義務が確定してしまいます。理屈が通りません。
また、不動産取引など一生に1度か2度かのもので、同年中に別な取引をすることなどほとんど有り得ないので、改正法下では、一度の行為時点で納税義務の内容は実質的に確定してしまいます。それを、形式論で歴年末での納税義務確定などと言うのは詭弁です。

遡及立法も許す緊急性があるとの言い草
 適用を4月以降とすることが憚られるほどの緊急の遡及立法の必要性をのべています。それなら、不動産税制の改正のテーマが政府税調の中で議論されたのはこの立法時の2年前で、なぜのんびりしていたのか説明がつきません。
土地と株式の課税不均衡是正が緊急課題とも言いますが、ゴルフ会員権の譲渡損を総合課税に今なお据え置く不均衡はなぜ放置しているのか? 説明がつきません。
地価下落防止の緊急性も説いていますが、その年の通常国会提案立法に地価がらみのものは一つもありません。土地需要抑制の為の土地利息必要経費不算入規定も放置したままです。地価対策が焦眉の政治テーマだった事実はありません。

武富士贈与税回避判決と同じ裁判官
 香港に居住地を移して武富士株を贈与するスキームを争った事件の判決では、国側敗訴で、1330億円の還付金とそれへの還付加算金が国の負担となり国庫が枯渇したと言われています。遡及立法違憲事件と同じ裁判官でした。同一人格者の判決とは思えないところです。





H23.11.9
65歳まで雇用する企業は半数


平成23年高年齢者の雇用状況の集計結果
 厚生労働省は高年齢者を65歳まで雇用する為の雇用確保措置の実施状況を取りまとめた調査結果を発表しました。
 年金の支給開始年齢の引き上げ(平成25年4月から満額受給は65歳)を受け、「高年齢者の安定等に関する法律」では65歳までの安定した雇用を確保する為、企業に
@定年の廃止
A定年年齢の引き上げ
B継続雇用制度の導入
いずれかの措置を講ずるよう義務づけていますが、このたび実態がまとめられました。
 この調査は従業員31人以上の企業13万8千社の状況を集計したものです。
(従業員300人以下は中小企業です)

集計結果の主な内容
1 前記の@〜Bの高年齢者雇用確保措置を実施済み企業の割合 95.7%
・中小企業  95.3%
・大企業   99.0% 
2 希望者全員が65歳まで働ける企業
              47.9%
・中小企業 50.7%
・大企業  23.8%
3 70歳まで働ける企業 17.6%
 ・中小企業 18.4%
 ・大企業  10.6%
雇用状況は中小企業の方が進んでいますし、従業員規模の少ないほど雇用率は高いです。
4 定年到達時を迎えた約43万4千人のうち継続雇用された人は、約32万人で約74%です。
継続雇用を希望しなかった人も10万人余りいます。
5 希望者全員の継続雇用制度を導入している企業で定年を迎えた約12万人のうち継続雇用された人は約10万人で82%程度です。
6 会社で継続雇用の基準を設けている企業で定年を迎えた約27万人のうち継続雇用された人は約19万人で70%程度です。

高年齢者の雇用は増えてはいるが
 全体を見ると雇用率は上昇していますが若年層雇用に影響もあり雇用拡大は容易ではありません。一方H25年以降年金の支給開始年齢は60歳から65歳に段階的に上がっていくことを考えると年金も仕事も無い状態になっても困りものです。





H23.11.8
たばこ税率の引き上げは健康増進と税収に影響するの?!

1.たばこ税について
 たばこ税は、国税(たばこ税・たばこ特別税)と地方税(都道府県たばこ税・市町村たばこ税)から成り立っています。国税と地方税の最終的な配分は4対6であり、地方財源を支える税収の1つと言えます。
近年でみると、平成10年、15年、18年に続き、平成22年10月1日からたばこ税の税率が引き上げられており、たばこの販売価格のうち6割がたばこ税となり、この他に消費税が課税されます。たばこは最も税負担率の高い物品の1つであり、他にはガソリンやビールも高負担率の物品です。

2.諸外国の健康増進についての税金
デンマークでは平成23年10月よりいわゆる「脂肪税」が導入され、その内容は飽和脂肪酸を多く含む食品に課税され、主にバターやチーズなどが該当するようです。
また、ハンガリーでは平成23年9月より、塩分の高いポテトチップスなどの特定の食品に対して課税するいわゆる「ポテチ税」が導入されています。
これらは健康増進の名目で導入されたようですが、その課税対象者がたばこよりも広範囲になっており、単なる増税ではないかとの批判もあるようです。

3.たばこ税率の引き上げによる影響
 近年たばこ税率の引き上げの理由の1つとして、医療費の抑制につながるのではないかとされることがあり、その意味では健康増進につながると言えるかもしれません。
 一方、たばこ税率を引き上げることによって、たばこの販売数量が減少していることから、最終的なたばこ税の税収の増減には大きな影響を与えていないようです。
 日本のたばこは、イギリスやドイツに比べ安価といわれ、たばこの価格に占める税割合も低いことなどから増税の余地があるとの意見もあります。
たばこ税は東日本大震災の復興財源の対象にするか否かという検討がなされるほど、国・地方にとって重要な財源の一つとなっており、今後の税制の動向が気になります。





H23.11.7
円高の影響と雇用調整助成金

円高の進行で助成金支給要件を緩和
 雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が雇用を維持するために休業を実施した場合、休業手当等の事業主負担相当額の一定割合を助成する制度です。
 この度、円高の影響を受けて事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に向け、平成23年10月7日以降、雇用調整助成金を利用する場合「最近3カ月の事業活動が縮小している事」としている支給要件を1ヶ月に短縮するとともに、最近1ヶ月に事業縮小する見込みでも利用手続きの開始が可能になりました。

現行の支給要件は
@雇用保険の適用事業所の事業主である事
A経済上の理由により、最近3カ月の生産量、売上高等がその直前の3カ月又は前年同期と比べ、原則として5%以上減少している事
B休業を実施する場合は事前に都道府県労働局又はハローワークに計画の届出を提出する事

今回の特例の支給要件は
 円高の影響を受けた事業主で、雇用調整助成金を利用する対象期間の初日が平成23年10月7日以降である事業主が対象です。
 前記Aの要件については次のように特例が設けられました。
ア、生産量等の確認期間を最近の3ヶ月ではなく、最近の1ヶ月に短縮
イ、最近1ヶ月の生産量等がその直前の1ヶ月又は前年同期と比べ原則として5%以上減少する
見込みである事業所も対象(但し支給決定の際に実際に減少していなければ対象外)

雇用調整助成金の支給額
 事業主が休業手当等を労働者に支払った場合、それに相当する額に以下の助成率を乗じた額となります。なお事業主が解雇等を行っていない場合等は、( )内の助成率となります。助成率は、
 大企業  2/3 (3/4)
 中小企業 4/5 (9/10)
教育訓練を実施した場合は実施方法や内容等により訓練費として1人一日あたり次の額が加算されます。
大企業  2,000円又は4,000円
中小企業 3,000円又は6,000円





H23.11.4
東日本大震災による定時決定の特例措置

復興事業等に従事したことによる特例
 平成23年度の社会保険の算定基礎届(定時決定)はすでに年金事務所に提出済みかと思います。しかし届出期間の後の7月28日に東日本大震災の復興事業等に従事したために報酬が一時的に変動(増加した後減少)した場合の措置が公示されています。
 算定基礎届は通常の計算方法では算定の困難な時や算定結果が著しく不当になる場合には特別な計算方法(修正平均)で算定する事となっています。今回は東日本大震災による影響で著しく賃金が一時的に増加した場合に特例保険者算定が出来る事となりました。

特例保険者算定とは
 平成23年度の定時決定において、東日本大震災の影響により4月から6月の報酬が他の期間と比較して著しく増加した場合は次のアとイの間に2等級以上の差が生じ、8月までに減少した場合には次の方法で算定できるようになりました。
ア、平成23年4月から6月の3ヶ月に受けた報酬の月平均から算出した標準報酬月額
イ、平成22年7月から23年6月までの間に受けた報酬の月平均額の標準報酬月額

該当する方の要件
@前記のアとイの間に2等級以上の差が生じている事
Aこの差が東日本大震災の復興事業等に従事したため一時的に賃金が増加した事(報酬の支払い日数が17日未満の月は除く)
B 平成23年8月までに給与の支払額が従前の支払額の水準(支払いが戻った月の報酬月額と年間平均月額との差が1等級以内に該当する)まで減少している事

特例保険者算定の手続き
@算定届を提出する際は備考欄に「特例保険者算定」と記載します。
A届出時の添付書類は日本年金機構HPから取ることが出来ます。
・様式1 年間報酬の平均で算定する事の申立書
・様式2 健康保険 厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届・保険者算定申し立てに係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意書
B平成22年7月から23年8月の賃金台帳





H23.11.2
効果はいかに?グリーン投資減税

 「再生可能エネルギー」は菅前首相の肝いりもあり、広く世間に知られることになりました。
 この再生可能エネルギー導入設備を含む低炭素、少エネ設備投資に対し、グリーン投資減税(環境関連投資促進税制)が創設されました。この制度はエネルギーの安定確保、低炭素社会の実現とともに、経済成長の牽引役としても期待されています。

どんな制度?
 青色申告法人が6月30日以降「エネルギー環境負荷低減推進設備等」を取得して1年以内に事業の用に供したときは、取得価額の30%相当額を特別償却できます。中小企業者のみ7%の税額控除も選択できます(法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間繰越せます)。

エネルギー環境負荷低減推進設備等って?
 適用対象となる設備は、産業部門は低炭素型工業炉、ハイブリッド建機、天然ガスコージェネレーションシステムなど、民生業務部門は高効率空調設備、高効率照明(LED照明)、高断熱窓、高効率換気設備の
4点セット、ビルエネルギー管理システムなど、運輸部門はプラグインハイブリッド自動車、電気自動車、ハイブリッドバス、ハイブリッドトラックなど、再生可能エネルギーは太陽光発電設備、風力発電設備、雪氷熱利用設備などです。申告書にそれぞれの設備に応じた証明書の添付が必要です。
 なお、民生業務部門の高効率空調設備等4点セットは同時に設置し、かつ少エネ法の基準を25%上回る場合が対象ですので、たとえば、LED照明を設置しただけでは受けられません。また、来年3月まで延長された「エネ革税制」との重複適用は受けられません。

はたして効果は?
 現在のデフレ経済下にあって、企業の設備投資を促進するという意味では、投資余地の大きい環境関連投資に対する減税措置は有効と言えるでしょう。政府は50兆円超の環境関連新規市場の開拓と140万人の新規雇用を目標に掲げています。
 さらに、HV自動車や電気自動車、太陽光発電については、一般消費者向けにも思い切った減税措置などを再度講じ、内需拡大策をとるなら、増税せずとも、景気回復と財政健全化に有効な切り札となり得るのではないでしょうか?





H23.11.1
遺言にも、いろいろハードルがある

遺言の効力について
遺言は、売買、賃貸借と同様、法律上の権利義務の発生をもたらす行為です。また、遺言は、遺言者の一方的な意思で完結し、かつ、遺言内容は遺言者の死後、書かれた文言に従って実現されます。そのため、遺言が有効になるための要件は厳格であり、これに反した場合は無効となります。

遺言が無効になる場合とは
 まず、遺言能力(満15歳以上)のない者や認知症等で意思無能力になっている者の遺言は無効になります。次に、売買等の取引と同様に公序良俗に反する内容の遺言や錯誤に基づく遺言は無効となります。また、二人以上の者が同じ書面に遺言を書く、共同遺言も無効です。

自筆証書遺言の場合
 特に簡易でポピュラーな自筆証書遺言には、種々の要件があり、それに反した場合にも無効となります。自筆証書遺言は、全文、日付及び氏名を自ら手書きして、これに捺印することで成立します。
ですから、他の者に代筆させたり、一部を加筆させたり、あるいは、タイプライター、ワープロ等も無効になります。自筆証書遺言に関する紛争では、誰かに偽造された、筆跡が違う等としてその有効性が争われる例が多いです。
 次に、日付も、年月だけでなく日まで書かなければなりません。捺印は、実印である必要はありませんが、遺言者自身の印であることが必要です。
 このように、自筆証書遺言は、入るに易いものの、思わぬところで無効になり、また、後日のトラブルを招きがちです。

公正証書遺言の場合
これに対し、公正証書遺言(公証役場にて、二人以上の証人が立ち会い、遺言者が公証人に遺言内容を口述し、その正確性を確認した後、遺言者及び証人が各自署名捺印し、公証人が方式の適式性を付記して署名捺印するという遺言)では、自筆証書遺言におけるリスクの大半は除去できます。ただ、自力で進めるにはなかなか敷居が高いところがあります。

生涯最後の一大事業だから
 遺言を書く以上、何の支障なく内容を実現させて欲しいもの。内容の検討もさることながら、遺言の正しいやり方、手続についても十分にご注意いただきたいものです。