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H23.2.28
終わり? 電子申告控除


会計検査院は停止を要望
 国税庁の電子申請システムは利用率が悪いから、停止などの抜本的対策をとれ、と会計検査院は平成21年9月18日に見解を公表していました。
 利用率が低いのは、システムの悪さが原因なのに、電子立国路線を放棄してもよいものなのでしょうか。

財務省は継続を要望せず
 5000円の電子申告控除は平成19年から22年までの時限立法でした。税制改正大綱策定に向け、国税庁はこの期限延長の要望を出していませんでした。
 国会に上程されている改正税法案をみると、一応期限延長の案にはなっていますが、平成23年分については4000円、平成24年分については3000円を控除する、となっています。
国税庁方針としては22年までで打ち切りだったものの、法務省と内閣官房とが要望していたので、段階的打ち切りにしたということのように推測されます。
 電子申告控除の終わりの始まりです。

今次の申告が最後の5000円
 5000円の控除は平成22年分の個人の確定申告を期限内に電子申告することをもって終わることになりました。
 国税庁は、個人からの電子申告がこれ以上増えることを望んでいないかのようです。
 なお、今次の確定申告を済ませてしまった人でも、期限内なら、後から同じ内容で電子申告をすれば、電子申告控除は受けられます。今年電子申告して、来年は紙の申告をすることも差し支えありません。

試してみてもよいと思う人は
電子申告控除を受けるには、電子押印の機能をもつ住基カード等により本人が電子証明書を添付送信することが要件ですから、住基カード等の取得だけは事前に準備しておかなければなりません。
 対象者には限定はありませんが、税額控除なので年税額がある人に限られます。確定申告義務のある人に限られません。
 サラリーマンだったら、年末調整後に会社からもらった源泉徴収票の内容とまったく同じものを単に打ち込むだけで、適用となります。
ただし、電子申告控除の適用は一回限りなので、過去に適用を受けている人には再度の適用はありません。





H23.2.25
忘れないで教育訓練費控除

平成17年度税制改正から
 アジアの追随に対処するためにも、日本の知財立国化による経済のソフト化は避けられない宿命です。そして、知財立国化を促進する新たな税制として登場したのが人材投資(教育訓練)促進税制でした。
しかし、3年の時限立法の期間経過とともに廃止され、中小企業限定税制となり、規定は基盤強化設備投資税制の規定の中に潜ってしまいました。

個人所得税にも残っている
 「事業基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別控除」という規定の第6項に教育訓練費控除の規定があります。まことに、目立たないように立法されています。
 教育訓練費の額が人件費の0.15%以上だったら、教育訓練費の12%が税金から控除されます。0.15%未満であっても少なくとも8%以上の税額控除があります。
従業員1人当りの人件費を400万円と仮定すると、400万円×0.15%=6,000円
となり、年間1人当り6,000円以上の教育訓練費を払うと対象となります。

どんなものが教育訓練費か
 教育訓練費の対象としては5つの項目があげられています。
 ・外部講師・指導員謝金
 ・外部施設等使用料
 ・外部教育機関等への研修委託費
 ・外部研修受講料等の参加費
 ・研修用の教科書その他の教材費
教育訓練費は外部支出費用でなければならず、内部の使用人に研修の講師をしてもらって、報酬を支払っても、この制度の教育訓練費には当たりません。教材やコンテンツの製作費用も内部で製作した場合の人件費、材料購入費、コピー代や印刷費などは対象となりません。
教育訓練費としては会場型対話型を想定していますので、通信教育用教材は該当するとしても、従業員に自己研鑽をさせるための書籍やビデオ購入費用などは、残念ながら該当しません。

制限的留意事項
 税額控除には総所得に係る税額の20%とか、控除不足額の繰越はできないとか、青色申告事業者であること、事業開始・廃止年は適用対象外、親族への教育訓練は対象外、などの制限があります。





H23.2.24
株式譲渡損の4類型

本当の上場株式の譲渡損
上場株式等を証券会社を通じて売却したことにより生じた損失の金額がある場合は、まず他の株式の譲渡益と通算しますが、さらに、その年分の上場株式等に係る配当所得の金額と損益通算することもできます。
また、なお控除しきれない損失の金額については、翌年以降の株式等に係る譲渡所得の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額と損益通算するために3年間にわたる繰越をすることができます。

エンジェル株式の譲渡損
 通算しきれない譲渡損失の中のエンジェル株式に係る譲渡損については、翌年以後の株式等の譲渡所得の金額と損益通算するための3年間にわたる繰越ができます。
 エンジェル株式が、上場できないまま、破産や清算により価値喪失株式となったときは、その損失はその株式の譲渡損失とみなされ、他の株式の譲渡益との通算ができ、なお残った損失には3年間にわたる繰越の適用もあります。
 また、エンジェル株式についてはそれを取得しただけで、その取得価額を損失とみなして、他の株式の譲渡益と通算できる扱いもあります。

上場廃止株の価値喪失のみなし譲渡損
 特定口座に保管されていた上場株式が、上場廃止となった日以後、特定管理株式等に該当していた場合で、その株式を発行した株式会社に清算結了等の事実が生じた時は、その株式の取得価額を譲渡損失の金額とみなす特例があります。この特例により譲渡損失とみなされた金額は、その年の他の株式等の譲渡益から控除できます。
 なお、その譲渡損失とみなされた金額が他の株式等の譲渡益から控除しきれなかったとしても、その金額を翌年以降に繰り越すことはできません。

非上場株式の譲渡損
非上場株式の譲渡損と他の株式の譲渡益との通算はできますが、配当所得との通算や損失の繰越は上場株式の損失に限定の規定なので出来ません。
また、エンジェル株式も、価値喪失の上場廃止株も、いずれも非上場株式ですが、これら以外の非上場株式については、破産等により株式価値が喪失しても、それは譲渡損ではないので、他の株式等の譲渡益との通算はできません。





H23.2.23
上場株式等の譲渡と申告

源泉徴収あり、なしの「特定口座」
 特定口座については「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類あり、いずれも証券会社が上場株式等の取得日や取得価額の管理、譲渡損益の計算をしてくれます。特定口座は源泉徴収選択の有無に関係なく、1証券会社につき1口座しか開設できませんが、複数の証券会社ごとに開設できます。
源泉徴収選択特定口座については、証券会社が譲渡所得や配当所得に係る税金を源泉徴収するので、確定申告を行う義務は免除されます。源泉徴収なしの特定口座については、証券会社から翌年1月末に送られてくる特定口座年間取引報告書を使った申告・納税手続きを行う必要があります。

「一般口座」の場合
 特定口座以外のものを一般口座といいます。一般口座では、証券会社は上場株式等の取得日や取得価額の管理、譲渡損益の計算などをしてくれませんので、取引ごとに送られてくる取引報告書を整理し、自分で年間取引報告書を作り確定申告をすることになります。
なお、一般口座の場合には、受渡日が平成23年であっても、約定日が平成22年中である場合には、確定申告をすることにより「約定日基準」を適用できます。
損失の繰越には特定・一般の区別なし
源泉徴収選択口座において赤字が出ていても、上場株式等の譲渡損失の3年繰越しの適用には確定申告書の提出が要件となっています。
なお、複数の源泉徴収選択口座が有る場合には、それぞれの口座について、確定申告を行うか否かを選択することができます。

損失の繰越の申告の留意点
もし、源泉徴収選択口座で損失の生じた年分について、その損失を除外して、医療費控除等を受けるための還付申告等を含め、何らの確定申告を行っていた場合には、源泉徴収選択口座について、確定申告を行わない選択をしたということになりますので、あとから損失繰越の手続きをすることができません。
ただし、専業主婦やサラリーマンなどの場合で、確定申告手続きを何もしていなかったときには、期限後申告書を5年以内に提出することにより、上場株式等に係る譲渡損失の3年繰越しの特例を受けることができます。





H23.2.22
住 民 税 の
寄付金控除は煩雑

 確定申告は、すでに、2月16日から始まっていますが、住民税の寄付金控除については少し留意が必要です。
 住民税の控除対象なる寄付金は、原則、所得税の寄付金の範囲(国及び政党等に対する政治活動に関する寄付金を除く)と一致していますが、住民の福祉の増進に寄与するものとして都道府県又は市区町村の条例による指定が前提となっています。

税額控除は一律ではない
条例指定が、都道府県のみの場合、寄付金の税額控除は4%、一方、市区町村のみの場合は6%、そして、都道府県・市区町村の両方の場合は、基本控除10%(都道府県4%+市区町村6%)となります。
また、住所地の共同募金や日本赤十字社支部に対する寄付金の税額控除は基本控除の10%ですが、都道府県・市区町村に対する寄付金、いわゆる「ふるさと納税」にいたっては、基本控除の他に特例控除(90%〜50%)も受けられます。
従って、寄付金の内容を適切に識別して申告しないと予定された住民税の税額控除が受けられない場合もあります。

確定申告書への記載
 所得税の確定申告書の第二表に住民税の寄付税額控除に関する記載欄があります。寄付金の内容に従って、指定された欄に該当する寄付金額を記載することによって正しい税額控除を受けることができます。

寄付金税額控除の記載例
 例として次の@からFの寄付金が支払われた場合、@都道府県15,000円、A市区町村10,000円、B住所地の都道府県の共同募金10,000円及びC日本赤十字社支部10,000円、D特定公益増進法人○○(住所地の都道府県が条例指定)15,000円、E認定公益信託□□(住所地の市区町村が条例指定)5,000円、F認定特定非営利活動法人△△(住所地の都道府県・市区町村とも条例指定)5,000円、その記載は以下のとおりです。
 都道府県・市区町村の欄には@とA25,000円、住所地の共同募金・日赤支部分
の欄にはBとC20,000円、条例指定分の都道府県の欄にはDとF20,000円、条例指定分の市区町村の欄にはEとF10,000円を記載します(国税庁HP:確定申告の手引き 確定申告書B 8項 抜粋)。
 なお、場合によっては、どの寄付金が指定されているか等、寄付した団体や住まいの都道府県・市区町村に確認することも必要になるかもしれません。





H23.2.21
執筆収入への課税の変更

個人事業税は法定業種限定課税
個人事業税は、個人が営む事業のうち、特に法律で決められた事業(法定業種)に対して課せられる都道府県の税金です。現在の法定業種数は70で、ほとんどの事業が網羅されています。でも中には執筆業の収入など法定されていないものもあります。

法定外業種収入非課税の手続
事業所得などの中には小説家の執筆収入などもありますから、これを事業税の課税から排除しなければなりません。そして、その手続きは所得税の確定申告書において行います。確定申告書には「事業税」という項目が用意されており、「非課税所得など」としてその金額を記入するようになっています。執筆収入については法定外業種を意味する番号「10」を書くことになっています。

税理士の得た原稿料収入の場合
税理士などの場合には、執筆業は本来業務ではないので、雑所得として申告している場合も多いかと思われますが、前記のように事業所得に含めた上で事業税非課税の手続きをしている場合もあります。
ところで、この事業税非課税となる執筆料収入に対して、税理士などに対しては、平成22年分申告から課税にする、と言っている自治体があります。東京都です。

新たに課税に取り込む執筆収入とは
東京都のホームページによると、具体例として、「弁護士業に付随する原稿料・印税等の収入」は弁護士業という法定業種の課税対象収入とし、平成23年度課税分(平成22年分所得)より改めて課税するとしています。
 弁護士というのは代表例ですから、事業所得の申告をする人で、自分の事業に関連する執筆原稿などによる収入を得る人すべてに共通する問題です。
 なお、雑所得とされている原稿料収入等については課税対象外ともしていますので、申告方法を変えれば済むようにも見えます。

根拠を問うと憲法違反の疑あり
課税変更の根拠は東京都主税局の内部通達の変更のようです。地方税法や条例の変更はありません。過去の適用誤りを変更するのだとしたら、過去に遡及して適性課税を行うべきです。過去に遡及しないで、今後に限り新たな課税を執行するのだとしたら、法律や条例の改正抜きにはできないことです。





H23.2.18
年俸制はどんな業務が適当か

年俸制の意義
 年俸制とは、賞与も含めた年間の給与額をあらかじめ決めておくものですが、年俸制を導入する意味としては、一年間の給与の予定が立てやすいという事もありますが、仕事量よりも仕事の質をとらえ、業績を反映させる事が本来の年俸制の役割であろうと思います。
 一般的には、仕事上の役割と責任が明確に定められ、個人の成果や成績を把握できる職に就いている管理職やその仕事の成果を労働時間では測りがたい職務、例えば企画、研究開発等に携わる者等が適当と言えるかもしれません。

年俸制を使う目的は
 年俸制を採用する理由は様々ですが、業務や成果主義の強化を計り、能力開発や業務へのチャレンジを引き出す事が大きいでしょう。但し、評価基準の設定や運用が難しい面もあり、逆に目先の業績のみを追うことや、無難な課題をとってしまう事がないわけではありません。人件費の節約という意味合いだけで導入すると円滑な運用が難しくなる事も考えられます。

年俸制と残業代の関係
 管理職やみなし労働制適用者以外の者に年俸制を導入する時に気をつけなければならないのは、時間外労働に対し割増賃金が付くという事でしょう。「年俸制には割増賃金を含む」と決めているだけでは不完全で、割増賃金の取り扱いを決めておく必要があります。
(1)年俸制を基礎として割増賃金を計算する方法
年俸額A÷年間総労働時間=単価B
B×割増賃金率×時間外労働時間数
この場合予め賞与額も決まっていれば年俸額Aの中に含めて計算します。
(2)年俸額の中に割増賃金を含ませる方法
この場合は年俸額の中の割増賃金部分を明確に区分することと、その部分が実際の時間外労働の割増賃金額に満たない場合は差額を支払うという行政通達が出ています。
 年俸制は労働時間を計りにくい成果を出す必要性の高い職種にはなじみやすいものの平均的な給与額にも満たないような者について適用する事は慎重を要すると言えるでしょう。





H23.2.17
知的財産を保護する法律とは?

まずは、古典的な4つの知的財産法から
小泉政権で知財国家戦略が打ち出されて以来、知的財産が俄然脚光を浴びるようになりましたが、知的財産に関する法律として、どれだけ挙げられるでしょうか。
まず、古典的な法律は以下のとおりです。
@特許法 特許(ある技術的課題を解決する技術的思想(発明))を、特許権として保護する法律。発明よりも簡易なもの(=実用新案)は、実用新案法で保護されます。
A意匠法 意匠(いわゆる工業用のデザイン)を、意匠権として保護する法律。
B商標法 商標(商品・サービスの出所を示す標識としての表示)を、商標権として保護する法律。
C著作権法 著作物(創作性のある表現物)を、著作権として保護する法律。
このうち、@〜Bは産業に直接関わる権利として産業財産権(かつては工業所有権)と呼ばれ、権利化するには特許庁で登録を受ける必要があります。これに対し、Cは文化的な所産との色彩から、産業財産権には含まれず、管轄も文化庁となります。しかし、コンピュータプログラムは著作権の対象となり、また、音楽、アニメ等のコンテンツ産業も主に著作権法で保護されます。こちらは創作性のある表現をした時点で権利が発生し、登録は不要です。

新しく設けられた専門的な法律
@半導体集積回路法 半導体チップの回路配置にかかるデザインについて、その独占的利用権として保護したものです。
A種苗法 病虫害に強く、味もよい品種の開発が典型。これらを植物育種者権として保護するというものです。

見方によっては知的財産といえるもの
不正競争防止法とは、不当な手段を用いて、競業者の利益を侵害する行為を禁じ、被害者が侵害者に対して法的措置を講ずることができるという法律です。その中に、周知・著名なブランドの只乗り、商品形態の模倣、営業秘密の不正取得というものがあります。これらにより保護される利益もまた、知的財産と捉えることが可能です。

その他
例えばキャラクター等についての商品化権、芸能人・スポーツ選手等の肖像等に関する経済的利益としてのパブリシティ権等、いろいろな権利が言われていますが、直接の立法はなく、既存の法律の枠内で、保護を講じていきます。





H23.2.16
免税店のタバコは高い

タバコ税は幾ら?
タバコ税の増税はご存知のように平成22年10月に行われました。結果タバコは概ね100円から140円の値上げとなりました。
「その結果410円のタバコに含まれる税金は国税が106.04円 地方税が122.44円 特別税が16.4円 消費税が19.52円で合計264.4円です。」と日本たばこのホームページでは言っております。

原価は幾ら?
単純に考えて410円のタバコの内税金が264.4円であれば、原価(当然日本たばこや小売店の利益も含まれますが)は145.6円と言うことになります。

免税店では
ところが空港などの免税店では250円で販売されております。税金を除けば国内で概ね150円で採算を取っている410円のタバコが、免税店では250円という高価格で販売されております。

増税のたびに原価も上がる。
今回のタバコ税の増税は、一般的なマイルドセブンでは、70円です。マイルドセブンは、増税前は300円が410円に上がりましたから、40円は原価の値上げと言うことになります。
この値上げは、日本たばこが販売本数の減少を見込んで、利益を確保する為の値上げだそうです。

何故免税店は高いのか?
増税前にマイルドセブンは免税店では200円で販売されておりました。当時の原価は105.6円です。要は一貫して国内販売原価に概ね100円上乗せして免税店で販売していたことになります。
その理由を日本たばこでは、国内販売と免税店販売は生産ラインが違う為、免税店販売は販売数量が少ないので、原価が高くなってしまうのですと言った説明をしております。同じものを作るのに何故わざわざラインを変えるのか?と言った質問には明確な回答はありませんでした。





H23.2.15
日航株に見るみなし譲渡損

日本航空株主の権利消滅
日本航空の平成22年1月19日更生手続開始申立てに伴い、その株式は上場廃止までの期間「整理ポスト」に入り、2月19日で売買最終日となり、2月20日に上場廃止となりました。その後100%減資が行われ、発行済み株式の全てを会社が無償で取得し、消却しましたので、それまでの全株主は株主でなくなりました。

今次の申告で対処
 日本航空株が上場廃止により証券会社の特定口座から「特定管理口座」(上場廃止後の株式を保管する口座)に移管され、「特定管理口座」において100%減資が実施される時点まで継続して保管がなされていた場合には、証券会社から顧客に対して「価値喪失株式に係る証明書」が交付されます。その証明書を100%減資がなされた平成22年分の確定所得申告書に添付した場合には、価値喪失株式の取得価額相当額を譲渡損とみなし、他の株式等の譲渡益と相殺することができる特例制度が使えます。

みなし譲渡損と上場株譲渡損との相違
上場株式の譲渡損失については、配当所得との損益通算及び損失の3年間の繰越控除の適用があります。しかし、価値喪失株式のみなし譲渡損にはこの規定の適用はありません。
理由は、特定管理口座株式は、すでに上場廃止となった株式なので、非上場株式に分類され、そして、生じたとみなされた譲渡と損失は、非上場株式の譲渡により生じた損失ということになるからです。

「整理ポスト」で売買の場合
日本航空株は、整理ポストに入って1円、2円の株価になったところで、1日10億株を超える取引があり、盛んな売買が行われました。整理ポスト株式はまだ上場株式です。この時期に1円で売却した株主の場合には、上場株式の譲渡損なので、配当所得との損益通算及び損失の3年間の繰越控除の適用があります。
現実の譲渡損とみなし譲渡損との金額差は一株当たり1円に過ぎませんが、税の扱いは全く異なることになりました。
もっとも、上場廃止になっても100パーセント減資になるかどうかはわかりませんし、上場廃止後も株主優待はもらえるかもしれないので、このあたりの判断は難しいところです。





H23.2.14
月給制と賃金カット

月給者が欠勤した時の賃金控除は?
一口に月給制と言っても種類があり、欠勤してもカットはしない完全月給制や一定日数まではカットせずそれを超えた時にカットするもの、又欠勤した日ごとにカットする日給月給制等があります。
 欠勤した分を賃金カットするか否かは当事者の自由であり、不就労時間に対応する部分についてはノーワークノーペイの原則からいうと支払う必要はありません(支払ってはならないという事ではありません)。

欠勤控除の計算方法はいろいろ
 控除の方法は特に労働基準法で定められているわけではありませんので会社の就業規則等で定めて、それに基づいて計算する事になります。一般的な方法としては次のような方法があります。
@欠勤控除対象控除額÷その月の所定労働日数×欠勤日数 この場合は月によってカットする一日の単価が異なってしまいますが、月給制の性格からやむを得ない事と思います。
A年間所定労働日数を12で除し、月平均所定労働日数を定めている例はかなり多くあります。労働基準法施行規則第19条の割増賃金の計算方法と同じやり方です。この方法は通常の場合、ほとんど問題は生じませんが、例えば1ヶ月21日を平均労働日として、2月に全部休んでも19日しか欠勤とならず、6月に一日だけ出勤したとしても全労働日数22日から一日控除した21日になり、全額控除してしまうのも変な話です。
このように平均額をカットするやり方は矛盾が残る面もありますが多くの企業がこの方法を採用するのは、月によって控除単価が変わることを避けるためでしょう。

その他の欠勤控除方法
B月給額を最も所定労働日数の多い月の日数で除して、控除額を定める方法
 これにより控除のしすぎという事は発生しません。
C欠勤一日につき月給の1/30を控除する方法
D一定の期間まで控除せず、それを超えたら控除する方法






H23.2.10
日切れ法とつなぎ法

覚えていますか?3年前のこと・・
今年と同じように衆参ねじれ国会だった平成20(2008)年では、予算案と予算関連法案は、2月29日夜の衆院本会議で与党の賛成多数で可決され、参院に送付されました。憲法の規定により、予算案だけは、30日後に年度内自然成立したものの予算関連法案は大幅に遅れ4月30日になって衆議院での3分の2の再議決をもってようやく成立しました。

3月31日に登場した「つなぎ法」
当時、3月31日までに法律の適用期限が失効してしまう、いわゆる「日切れ法」は100以上ありました。それで、与野党合意できるものに限り「つなぎ法」を作り、2ヶ月間日切れ期限を延長することにし、3月31日に急遽衆参両方で決議しました。
これにはガソリン税、軽油税など取り込まれなかったので、ガソリンスタンドの大盛況があったことは記憶の隅にあることでしょう。

今年の予算国会の予測可能性
すでにマスコミも税制関係の業界紙誌も予算関連法案のみならず予算そのものの3月31日の年度内成立に暗雲などと報じており、今年の通常国会は過去に例を見ないような展開になるのではないかと危惧されています。
予算は自然成立の規定があるので衆院議決30日後に成立させることだけはできるでしょうが、予算関連法案については、「つなぎ法」でまた対処するのでしょうか。
予測されるのは、もっと性質の悪い、ただダラダラと未成立状態がいつまでも続くということです。与党に衆議院での3分の2の再議決勢力が保持されていないので、そのままでは国家機能の破綻です。

不利益不遡及の原則により日切れとなる
法律は遡って適用しうるが、不利益な規定は、法律の公布日以降にしか適用できない、というこの原則から、不利益規定の日切れが発生することになります。
ただし、今年については、日切れにより直ちに重い税負担が解除されるとか、重い税が課せられ始めるといったものは登録免許税や印紙税等の間接税についていくつかあるので「つなぎ法」での対処が必要かもしれませんが、直接税では、利益遡及の日切れ法案がほとんどで、日切り法が問題となるようなものはあまり見当たらなさそうです。いくら期間をかけてでも、法案の成立さえはかれれば、国家機能の多少の破綻があっても、今年の予算国会はこれで救われるのかもしれません。





H23.2.9
最低の就職内定率で助成金拡大

今春に卒業予定の大学生の昨年12月時点の就職内定率が68.8%で、文部科学省が現在の方法で統計を取り始めた1996年以降初めて7割を切り、最低を更新したと報じられています。ほぼ3人に一人は内定を得ていない状況で、厚生労働省は、今春卒業予定でまだ内定を得ていない人を雇い入れた場合でも助成金支給の対象となる事としました。

3年以内卒既卒者採用拡大奨励金
既卒者も応募可能な新卒求人票をハローワークに提出し、その紹介により、既卒者を正規雇用として雇い入れた場合に支給。大学等とは大学、大学院、短大、高専、及び専修学校等を言います。支給額は正規雇用の雇入れから6カ月経過後に100万円(1事業所1回限り)支給されます。

3年以内既卒者トライアル雇用奨励金
 既卒者トライアル求人をハローワークに提出し、その紹介により、中学、高校、大学等3年以内既卒者を原則3カ月の有期雇用した後、正規雇用して雇い入れた場合に支給。有期雇用開始前に雇用実施計画書を提出しておき、終了日から起算して1ヶ月以内に実施報告書を提出します。支給額は有期雇用が10万円(最大30万円)、正規雇用雇い入れ3カ月後に50万円支給されます。

既卒者育成支援奨励金
 成長分野の事業主がハローワークに育成計画書と既卒者育成雇用求人を提出し、その紹介により、中学、高校、大学等を既卒3年以内の方を6カ月の有期雇用し、雇入れ計画に基づいた座学等で育成してから正規雇用した場合に支給。座学とは30日以上かつ120時間以上の実施が必要で正規雇用するのに必要な内容となります。計画終了後に1ヶ月以内に実施報告書を提出します。
 支給額は有期雇用、月額10万円(最大60万円)、座学に要した経費、月額5万円以内(最大15万円)、正規雇用してから3カ月後に50万円支給されます。

緊急措置の助成金追加
 上記3つの助成金は今年度限りの緊急措置として、平成22年度中に卒業を予定していて、まだ就職が決まらない人に対し、23年2月1日から23年3月31日までに新たに雇い入れた企業にも助成金を支給する事にしました。(注・H23年1月以前に職業紹介を受けていなかった事、雇用開始日は卒業日の翌日以降となります。)





H23.2.8
「フラット35S」って何?

新成長戦略実現に向けた経済対策の1つです。
「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携している長期固定金利の住宅ローンです。その中で21年12月の緊急経済対策として登場した耐震・耐久等の条件をみたした優良住宅を取得した場合「フラット35」の金利から当初10年間、年率1.0%さらに下げたものが、「フラット35S」(優良住宅取得支援制度)です。
今年既に前年の3倍近い申し込みが続いていますので、今年9月に閣議で、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」が決定され受付期間が23年12月まで1年間の延長が決定されました。

そもそも「フラット35」の特徴は
「フラット35」は全期間固定金利(二段階金利もあります)を採用しており、変動金利は採用していません。返済期間は、ローン完済時の年齢が80歳未満となっており、15年以上35年以内(60歳以上の人は10年以上)となっています。
 融資対象になる住宅については、機構が定める技術水準を満たしたものでなければなりません。融資限度額は全国一律で上限が8,000万円となっています。
借入金利は、各金融機関が決定することになっていますので金融機関ごとに設定しています。収入基準は、民間住宅ローンの場合には個別に判断されるのに対して、毎月返済額の4倍以上の月収が必要という明確な基準があります。

保証人や保証料も不要はメリット大
通常の住宅ローンで必要となる保証料がかかりません。保証人も必要ありません。抵当権設定はフラット35が第1順位となりますが、保証人や保証料、繰上返済手数料も不要となっています。ちなみに、団体信用生命保険への加入は任意になっています。

賃貸か?持ち家か?
 住宅ローンの最大のメリットは、不動産の値上がりでした。しかしそう言った期待が出来ない今。賃貸か?持ち家か?は、経済的なメリット・デメリットを研究することも大事ですが、各人の生活スタイルにかかわってきていると思います。





H23.2.7
もしも盗難に遭ってしまったら
〜雑損控除〜

現金はもちろん、自動車やバイクや貴金属などが盗難にあった場合、税金が軽減される制度があります。それが「雑損控除」です。

雑損控除を受けるためには、警察に行って盗難届を提出して、雑損控除の申告のための証明をもらわなければなりません。(盗難届を出すと半日くらい拘束されることがあります。)

控除できる金額は下記の計算式のうち、どちらか多い金額となります。
(1)(損失額)−(総所得金額等)×10%
(2)(損失額のうち災害関連支出の金額)−5万円
※損失額=損害金額−保険金や損害賠償金などにより補填される金額
※災害関連支出の金額とは、盗難の場合盗難により損失が生じた、住宅家財等の原状回復のために支出した金額などです。
※損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

雑損控除の対象となる資産
雑損控除を受けるためには、損害を受けた資産が『生活に通常必要な資産であることが必要です。例えば、自動車が盗まれた場合、通勤用自動車なら控除の対象となりますが、レジャー使用を目的としたアウトドア用の自動車は対象外となります。
また、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董などの高価な資産も生活に通常必要な資産とはいえず雑損控除の対象にはなりません。

雑損控除の対象にならなかった事例として、下記のような事例があります。
オートバイ(400cc)が盗難にあったケース
このオートバイが生活に通常必要な資産であるかどうかは、オートバイの使用状況によって判断します。本件の場合、オートバイの使用状況が、1週間に1回程度しか使用されておらず、さらに、本件オートバイが大型オートバイ(400CC)であるとの理由で、本件オートバイは、「生活に通常必要な資産」とはいえず、雑損控除は適用できないとされました。





H23.2.4
採用時の健康診断はいつ?


職場の健康診断
 労働安全衛生法では、職場における健康診断の受診をさせ、健康管理に勤める事を定めており、一定の疾病になった者には就業を禁止させるよう定められています。健康診断を行う時期は、採用時及び一年以内に一回行う定期検診があり,他に半年以内ごとに実施が定められている特定業務従事者の健康診断や半年以上勤務の海外派遣労働者にも実施が必要です。

採用時の健康診断はいつが良いか
従業員を採用する企業から見ると選考の段階で健康診断の結果が分かる書面を提出してもらえば採否の検討材料にもなると思われます。しかし採用の可否を決めるために健康診断を行ったり、健康診断書を提出させたりすることは原則として認められていません。労働安全衛生法では会社が社員を雇い入れた時に健康診断を行う事を定めています。これは雇い入れ前に健康診断を行ってはならないという解釈となり、厚生労働省の通達でも、「雇い入れ時の健康診断は、労働者を雇い入れた時における適正配置、入社後の健康管理の資料にするために必須である事から、採用選考時に採用可否決定の為の健康診断を実施することは適正さを欠くものである」と述べています。

内定段階での健診はできる
 それでは企業は健康状態を事前に知ることはできないのでしょうか。厚生労働省の通達においても第一次審査時などの採用手続き初期段階の健康診断は禁じていますが、内定段階に健康診断を行う事までは禁止していないようです。ですから最終選考された者について行い、判断することは可能でしょう。雇い入れ時の健康診断は3カ月以内の同様の健診の結果証明書を提出できる場合は省略できるとしていますので、内定の段階で健康診断を受診した書類を提出させ、採用の判断材料とした時は、提出から3カ月以内に採用日がある場合は雇い入れ時健診が省略できます。





H23.2.3
特別償却と税額控除

中小企業には、事業の再生及び活性化を支援する目的で、中小企業投資促進税制と中小企業等基盤強化税制という2つの制度があります。
この2つの制度では、一定要件を満たす設備投資を実施した場合、通常の減価償却と合わせて「30%の特別償却」又は納付すべき法人税額が減額される「7%の税額控除」の適用を受けることができます。事業者は、いずれか一方のみしか選択できません。選択は、事業者の自由です。
 それでは、この両者の適用内容及びその効果がどのように違うのか、また、選択する際の判断は何なのか等、その諸条件について検討してみます。

 特別償却と税額控除
(1)特別償却
 特別償却は、設備の取得した年度に、取得価額の30%の償却を認めるというものです。普通償却であれば、取得した年度の償却は月割が原則ですが、この特別償却は、期末に取得しても30%の償却ができます。
 そのため、取得した事業年度の減価償却費は、通常の事業年度よりも多く計上(損金算入)でき、その期に納付すべき法人税額が少なくなります。             
 (2)税額控除
 税額控除は、原則、取得した事業年度に、設備の取得価額の7%をその事業年度の法人税額から控除することを認めるというものです。但し、控除額には限度があり、その期の法人税額の20%が限度です。

 いずれを選択するかの判断は?
 特別償却といっても、設備の耐用年数を通じた全体の減償却費の大きさには何ら変わりありません。従って、2年目以後の減価償却費を1年目に先取りしているだけなので、特別償却すると2年目以後の償却費は減ってしまいます。つまり、課税が繰り延べられているにすぎません。
 一方、税額控除は、算出税額から投資額の一定割合を控除するだけなので、減価償却費に影響はなく、純粋に減税効果が得られます。
いずれを選択するかの判断ですが、安定的に黒字決算が継続できると予期されるのであれば税額控除が有利と考えます。
しかし、当期に利益がでているが、来期以降の業績が見えない場合や赤字決算が予想されるような場合、利益があるうちに特別償却を選択し税額を減らす方が有利と考えます。





H23.2.2
還付請求申告書とは ?

納税申告書には還付申告書も含まれます。還付申告書は、税金を戻してもらうための申告書ですが、所得税法上、一定の給与所得者で確定申告を要しない人や申告の義務のない人の申告書で、かつ、当該申告には申告期限の定めはありません。

還付申告書はいつでもできるのか
 還付申告書には、申告期限の定めがないことから、その申告はいつでもできるのか、というとそうではなく、その期限又は時効は、請求できる日から5年を経過する12月31日までです。では、請求できる日はいつからか、翌年の1月1日からです。

還付請求申告書なるもの
 還付請求申告書とは何か、その定義は所得税法にはなく国税通則法にあります。それは、次のような内容です。
「還付金の還付を受けるための納税申告書で所定の手続きにより計算された場合に納付すべき税額がない申告書であり、かつ、期限内申告書(法令上で定められている期限内申告書)以外のものをいう」と定めています。
 したがって、還付申告書の提出において、納付すべき税額がある還付申告書があるとは考えられませんし、また、還付申告書には申告期限の定めもないことから、冒頭の還付申告書と還付請求申告書はその実質は同じで、提出後は適用法律の違いを区別する観点から「請求」という名称を付加しただけのものではないかと考えられます。                     
還付申告書の提出と減額更正等の起算日
 この還付請求申告書ですが、税金の増額更正又は減額更正の起算日は、その申告書を提出した日の翌日からとなっています。
そこで、疑義が生ずるのは、先の年金二重課税判決のように国の法令解釈に誤りがあった場合、過去に「冒頭」の還付申告書を提出した人の更正の請求に基づく還付請求権の期限はいつまでか、です。
更正の請求に基づく還付請求権の始期、終期に関しては、国税に関する「減額更正等に関する期間制限」の定めに従う以外にないと考えます。
したがって、当該申告書を提出した日の翌日から5年ということになりますので、極端な事例では、平成17年分の還付申告書を平成22年3月10日に提出した人の還付請求権の期限は平成27年3月10日ということになります。もっとも、更正の請求は、取扱の変更を知った日から2ヶ月以内ですから、その期限には限界があります。





H23.2.1
労災と健康保険の休業中の手当

病気やけがで休業した時に支給される制度
 病気やけがをして休業した時に受けられる手当は、原因が業務上であり、労災保険適用の場合は休業補償給付を申請し、私傷病である場合は健康保険の傷病手当金を申請します。この、両者には会社が休業中に賃金を支払った時の給付額や支給期間の違いがあります。

休業補償給付はどのような制度か
 労災の休業補償給付は@業務上の負傷または疾病により療養している事Aその療養のため労働する事が出来ないのでB賃金を受けない、という3つの要件を満たしている事が必要です。支給額は1日につき給付基礎日額の100分の60です。さらに特別支給金が100分の20支給されます。ですから、1日につき、日額の100分の80が支給されます。休業補償給付の金額は過去3カ月分の賃金を平均した平均賃金相当額です。
 支給期間は、休業した日の第4日目から支給され、療養休業中は支給されます。

賃金が支払われると休業補償は支給される?
 休業補償給付は労働することが出来ないため賃金を受けない時に支給されますが、全部受けない日と一部受けない日があり、一部受けていても支払われた金額が、平均賃金の60%未満の休業手当であればその日について、通常通りの休業補償給付(給付基礎日額の100分の60)が支給され、調整がかかりません。なお、所定労働時間の一部について労働した日の休業補償給付は給付基礎日額から労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額の100分の60となります。

健康保険の傷病手当金との違いは
 健康保険法の傷病手当金は業務外の病気、けがで働けなくなり賃金を受け取れない時に給付されますが、継続3日間の待機期間の後、支給開始日から同じ傷病については1年6ヶ月間支給されます。標準報酬の3分の2の額が支給され、賃金を受けた場合はその分は支給されませんが3分の2に満たない時は差額が支給されます。