デイリーニュース

HOME > デイリーニュース > バックナンバー
H23.5.31
解釈通達という制度創設

平成23年4月18日(法令解釈通達)
この4月18日に国税庁長官の発した通達で「東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱い」というのがあります。(法令解釈通達)と銘打っていますので、法令を解釈したもののはずです。
「災害損失特別勘定への繰入額の損金算入」というタイトルで、被災資産の修繕等のために要する費用の見積額の引当計上を認める、とするものです。
しかし、解釈の対象とすべき法律政令に思い当たるものはありませんでした。

阪神淡路大震災時の震災通達
 阪神・淡路大震災のときに発せられた通達で「震災通達の取扱いにより災害損失特別勘定に繰り入れた金額は震災損失の額に含める」としたことを承けているようです。
 税法での費用の損金算入の原則は債務の確定なので、原状回復のための修繕費等は修繕を行った事業年度に計上することになります。
しかし、この通達では、被災資産の修繕等のために要する費用で1年以内に支出すると見込まれるものについては、災害損失特別勘定に繰入れ、被災事業年度の損金の額に算入することを認める、としています。

損金算入等の規定内容
@災害損失特別勘定として経理すること
A申告書に「災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書(別紙様式1)」の添付をする
B1年経過後に特別勘定の金額の益金算入をする
このような規定振りですが、法律の規定ではないので、申告調整による損金算入が否認されることはないと思われます。
 近畿税理士会神戸支部発行の「激震」p179でも、阪神震災時の実務例として同じことを言っているので、当局の対応は柔軟なのだと思われます。

平成23年度(第61回)税理士試験公告
 今夏の税理士試験での「解答に当たり適用すべき法令等は、平成23年4月18日(月)現在施行のものとする」と公告されています。4月27日に国会通過した震災特例法は対象外にして、この通達を対象にする、との意思が感じられます。法律より通達を尊重するのが行政内部の空気なのでしょう。
 租税法律主義は憲法の要請であるにもかかわらず、通達による事実上の立法が、相変わらず罷り通っていることを強く感ずるところです。





H23.5.30
何 が 違 う の
剰余金の配当と利益の配当

 旧商法においては、株主に対する配当は「利益の配当」と呼ばれていました。しかし、会社法になってからその呼び名も「剰余金の配当」に変わりました。

名称変更の理由
 変更理由の一つとして、旧商法上の「利益の配当」という呼び名は、「会社が一事業年度に稼いだ利益を配当する」、というイメージを持っていたため、と言われています。
実際には、その年に稼いだ利益のみを配当に回すということはなく、配当決議以前までに会社が稼いだ利益の累積額(内部留保額)から配当していましたし、当期損失が出た場合でも安定配当という名の下で任意積立金や配当平均積立金を取り崩して配当していました。
 もう一つは、旧商法においても、資本金の減少、自己株式の処分により、その他資本剰余金を増加させ、この「その他資本剰余金」からの配当も可能とし、これも「利益の配当」と呼んでいました。
 しかし、その他資本金剰余金からの配当は、稼いだ利益からの配当ではなく、資本金の払い戻し以外の何ものでもありません。
 以上の点を踏まえて、会社法では、@過去の利益の累積額からも配当できる、Aその他資本剰余金からも配当できる、ということから「剰余金の配当」という文言に変更したと言われています。

会社法上の利益の配当
 なお、会社法には、「利益の配当」という文言が存在していますが、これは、持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社を総称)にあっては、社員に対する配当は、利益剰余金の配当のみであり、資本剰余金等からの配当は認められていないことによるものです。その代わり、資本剰余金等からの配当は、出資の払戻し、持分の払戻し、という制度で行うことになっています。

税法上の配当
 所得税法及び法人税法においても、株主に対する配当は「剰余金の配当」(資本剰余金の額の減少に伴うものなど一定ものを除く)、持分会社の社員に対する配当は「利益の配当」(一定のものは除く)と定義、そして、協同組合等の出資分量分配金などについては、「剰余金の分配」(出資に係るものに限る)と定義されています。  
なお、これら配当等については、法人税法上、当該受取配当金の100分の50に相当する金額について、益金不算入の規定の適用があります(完全子法人株式等及び関係法人株式等の株式は除く)。





H23.5.27
小規模宅地等 一の宅地等とは

 相続税において、一定の相続人が(配偶者を除く)遺産の中に被相続人等が居住の用に供していた宅地等を相続し、一定の要件を満たす場合には、当該宅地等は特定居住用宅地等として80%の評価減の特例(減額特例)が受けられます。
しかし、被相続人等の居住の用に供していた宅地等が複数存在する場合には、この減額特例の適用については、明確な規定はありませんでした。
そこで、平成22年度税制改正で、特例の対象宅地等については、「被相続人等が主として居住の用に供していた一の宅地等」に限られることが明確にされました。

一の宅地等とは
当初、解説書等では、この改正について「相続財産の中に被相続人の居住の用に供されていた宅地等が複数ある場合には、特定居住用宅地等に該当し80%減額の特例が受けられるのは、その内、被相続人等が主として居住の用に供していた一の宅地等のみに制限された」、というような内容でした。
ただ、解説書等は、減額特例は相続税事案1件につき一箇所に限定されるとは述べていませんでしたが、一箇所のみと思い込まれた向きもあったかと思われます。
結論として、「一の宅地等」とは、一箇所のみではなく、被相続人と当該被相続人と生計を一にする親族が別々の宅地等(被相続人所有)を居住の用に供しているような場合、それぞれの宅地等が「一の宅地等」に該当する、というような内容です。

宅地等が複数ある場合の取扱い
居住用宅地等が複数ある場合の具体的な取扱いは、次にようになります。
(1)複数の宅地等が被相続人だけの居住用の場合
被相続人が主として居住の用に供していた宅地等
(2)複数の宅地等が親族(親族が2人以上ある場合も含む)だけの居住用の場合
 被相続人と生計を一にする親族(親族が2人以上の場合は当該親族ごと)の主として居住の用に供していた宅地等
(3)被相続人と当該被相続人と生計一親族の居住用宅地等が同じである場合
 主として居住の用に供していた宅地等
(4)被相続人と当該被相続人と生計一親族の居住用宅地等が異なる場合
 被相続人及び当該親族がそれぞれ主として居住の用に供していた宅地等





H23.5.26
原発と税

 今回の福島第一原子力発電所の事故は、東日本に重大な被害を及ぼしました。
原子炉は現在、全国に54基あります。
自治体が原発を誘致するのは、恩恵があるからで、雇用の創出やインフラ整備はもちろんのこと、原発により自治体が得られる収入として、電源三法交付金、固定資産税、核燃料税、法人事業税等があります。
ここでは、あまりなじみのない電源三法交付金と核燃料税を取り上げます。

1.電源三法交付金
電源三法とは、電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の3つを指します。
電力会社は販売電力量に応じ、1,000キロワットアワーにつき375円を、電源開発促進税として国に納付しています(電源開発促進税法6条)。国の平成21年度決算では約3,300億円の税収があり、ほとんどがエネルギー対策特別会計に組み込まれ、電源開発促進勘定や電源立地地域対策交付金として、発電所など関連施設の整備等のため及び周辺市町村に対する交付金等の財源にあてられています。
福井県では、平成21年度の電源三法交付金は約203.9億円、昭和49年度から累計で
約3,246億円交付され、それをさらに関係市町村等に交付しています。

2.核燃料税
核燃料税は、地方税法第4条第3項の規定に基づく法定外普通税で、課税期間は5年間、5年毎に更新されます。
福島県では、発電用原子炉に挿入された核燃料の価額(価額割 100分の10)と重量(重量割 1kgにつき8,000円)に課税し、平成20年以降の5年間で約264億円の税収を見込んでいました。福島県には東京電力しか発電用原子炉を設置していませんので、すべて東京電力からの税収です。
当然ですが、最終的にこれらの税金は電力料金に上乗せされ、消費者が支払うことになります。

3.原発依存の現実
今年度一般会計予算のうち、双葉町では約半分が原発関連の交付金で、税収の約7割が原発関係と報道されています。
今後、福島第一原発の廃止が正式に決まった場合、原発に依存した自治体の財政をどうするかは避けて通れない、大きな問題になるでしょう。





H23.5.25
マッチングギフトの視点

寄附と税負担軽減
 4.27成立震災特例法によると、国税の寄附金控除は、所得控除選択の場合、総所得金額等の80%を限度額とし、税額控除選択の場合、所得税額の25%を範囲内として2000円超の寄附額の40%が限度額で、それぞれ控除されます。個人の拠出について、後から国税の負担の軽減という形式で還付してくれるわけです。
 また、総務省は東日本震災義援金として日本赤十字社や中央共同募金会などに寄附する場合にも『ふるさと納税』扱いとなる、との見解をホームページで公表しています。
『ふるさと納税』となる寄附金については、住民税額の10%の範囲内で5000円超の寄附額のうち、国税の寄附金控除となる部分以外の全額について税額控除されます。こちらも、個人の拠出について、後から住民税の負担軽減という形式で自治体が還付してくれるわけです。
 なお、『ふるさと納税』となる寄附金で住民税額の10%という限度を超える部分(総所得金額等の30%という制限あり)についは寄附金の10%が税負担軽減額となります。

民間の寄附マッチング
 3.11東日本震災後、企業が従業員や顧客から小口の義援金を募り、寄せられた金額に対して一般に同額の上乗せを行い、日本赤十字社や中央共同募金会などに寄付する取り組みをするところが増えています。これがマッチングギフトと言われるもので、従業員や顧客の善意による社会貢献を企業が自らの経営戦略の下で支援するものです。個人の拠出が倍に増えて被災地に届けられます。
 マッチングギフトは企業が単独で寄付を行うよりも、個人の寄付の効果を倍増するために使うことで、まだ寄付を考えていない人に興味を持ってもらい、迷っている人の背中を押して、社会全体で寄付に流れる総額を大きくすると考えられます。

上乗せ先払い型 後払い(還付)型
 寄附金控除の趣旨を考えていると、民間企業のみならず、国や自治体も、人々の善意の芳志に対してマッチングギフトをしようとしているのだな、と思われてきます。
民間企業のマッチングギフトは上乗せ先払い型であるのに対して、寄附金控除は後払い(還付)型マッチングです。
相違はありますが、共に人々の社会貢献参加の促進になります。





H23.5.24
賃料改定に関する条項の効力


特約で何でも決められる訳ではない?
昨日の記事では、借地・借家契約の賃料改定において、複雑なプロセスをたどることをお話ししました。
 そこで、賃料の改定に関する具体的な中身について、予め契約でうたってしまおうという考えが出てきます。
 しかし、内容次第では定めたとおりの効力とならないことがあります。ここで、具体例を挙げながらご説明します。

賃料を増額しない条項
 一定期間賃料を増額しないとの条項は、借主に不利でない内容のため有効です。

賃料を減額しない条項
 一定期間賃料を減額しないとの条項は、借主に不利な内容の契約のため、借地借家法により無効となり、借主はこの条項にもかかわらず、減額請求ができます。その内容については、昨日の記事でご案内のとおりです。

自動的に改定する条項
例えば、3年毎に5%ずつ増額するというように、賃料を自動的に増額又は減額する条項です。この場合には、その改定の基準が借地借家法の規定する経済事情の変動を示す指標(固定資産税等の負担の増減、物件の価格の騰落等経済事情の変動、又は、近傍同種の賃料)に基づいて相当なものである限り、その条項は有効となります。また、当初は有効とされるべき状況だったが、当該改定基準を定める基礎となっていた前提事情が失われたことにより、その条項で賃料額を定めることが不相当になった場合には、契約当事者はその条項に拘束されず、借地借家法による賃料増額(減額)請求ができると解されています。

特殊な契約について
 以上は、通常の借地・借家契約におけるご説明でしたが、借地借家法は、双方当事者になるべく賃料増減額請求権を保障し、また、借主を不当に不利益な地位に縛り付けないよう配慮したものと考えられます。
 これに対して、例外として、一時使用目的の借家契約、定期建物賃貸借契約の場合には、借地借家法の賃料増額請求権の規定の適用はありませんので、当事者間の契約にて賃料の増減額を定める条項は、公序良俗に反しない限りは有効と解されます。





H23.5.23
賃料の改定をめぐるプロセス

賃料改定の条項があるが・・・
借地・借家の契約書で、貸主(地主、家主)は賃料が社会情勢、貨幣価値、近隣相場等に照らして不相当となったときに改定できるとの条項を見たことがあるはずです。
しかし、実際の賃料改定では、次に申し上げるように複雑なプロセスをたどります。

賃料改定の仕方について法律の定めがある
借地借家法は、固定資産税等の負担の増減、物件の価格の騰落等経済事情の変動、又は、近傍同種の賃料と比べて不相当となったときは、貸主だけでなく借主からも、将来に向かって賃料額の増減を請求できると規定します(但し、契約書に増額しない旨の特約があれば、増額請求はできません)。
しかし、一方的に賃料の改定請求があれば直ちにその金額で確定するわけではありません。賃料を確定させるためには、まずは双方の協議が必要となります。それで協議が纏まればそれでよく、そうでなければ裁判所での調停が必要となります。調停とは、要は裁判所から選任される調停委員の仲立ちの下で双方が協議して解決する手続です。そして、調停でも纏まらなければ、裁判所における訴訟で解決されます。

裁判所による適正賃料の判断
 訴訟においていよいよ判決となれば、裁判所は自ら適正な賃料額を判断します。適正賃料の定め方には、差額配分方式、スライド方式、収益配分方式、賃貸事例比準方式等の方法がありますが、裁判所はこれらを勘案しつつ、事案に応じて裁量的に判断します。その過程で不動産鑑定士による鑑定が必要となってきます。

改定賃料が確定しない間の対処
もちろん、賃料の金額が確定しない間、借主は支払う必要がないということはなく、次の方法により対処します。@貸主が増額請求をした場合は、借主は自ら賃料として相当と認める金額(従前の賃料額)を法務局に供託します。A借主が減額請求をしてきた場合は、貸主は裁判確定までは自ら相当と認める金額(従前の賃料額)の支払を請求することができ、借主はその金額を支払う必要があります。その代わり、判決で従前の賃料額より低額で確定すれば、貸主はその超過額を年1割の利息を付けて返す必要があります。





H23.5.20
自動車税

毎年5月31日は自動車税(軽自動車税を含む)の納期限です。

自動車税とは
 自動車の所有に対して課税する税で、自動車のナンバーを所管する都道府県が課税します。毎年4月1日午前0時現在の所有者に4月1日から翌年3月31日までの1年分を課税しますが、新規登録や廃車した場合には、月割計算により課税・還付します。

自動車税は車検証で管理
 引越しで住民票を移しても、結婚して姓が変わっても、車検証の名義や住所は自動的には変わりません。別途、変更登録が必要です。免許証についてと同じです。
 ただし、自動車税納税通知書の送付先変更については、車検証の記載変更のないまま、インターネット・郵送・電話による受け付けをする手続きがあります。

自動車税の性格と課税根拠
 自動車税の課せられる車両には固定資産税(償却資産税)は課せられません。自動車税は固定資産税の仲間とみなされているからです。
 ところで、車検証の更新をしないと、道交法違反となるので路上運転はできません。自賠責保険にも入れません。こういう便益を受けられないので、車検証失効期間は自動車税の課税は保留されるべきか否か、みなさんどう思われますか。
 自動車税を財産税とみて、失効期間でも課税すべきとするか、便益税とみて、使用できてこその自動車として課税保留とするか。実は、この扱いについては、都道府県によってまちまちなのです。

自動車税の形式主義と実質主義
 自動車税は名義人課税という形式主義を採っているので、車検証の名義人に1年分の納税義務が生じます。ただし、廃車に関しては実質主義なので解体証明書等で確認できる廃車の日付の月までしか課税されません。納付済みの自動車税は還付されます。
 3.11大震災の場合は、3月分までの納税義務があることから、被災による廃車でも自動車税の還付はありえません。

東日本震災特例法での特例
 3.11震災により滅失した車両の自動車税は課税除外になるとともに、被災損壊滅失した自動車の代替として取得した車両については平成23 年度から25 年度までの各年度分の自動車税を課されないことになりました。





H23.5.19
大地震発生時の企業行動


 東日本大震災は大きな被害をもたらし、誰もが改めて自然災害の恐ろしさを感じました。平日の就業時間中に起こった事でもあり、企業として地震発生時の対応が適切であったのか、また、オフィスでは今後、どんな対策をしておけば良いのかを考えてみたいと思います。

大地震発生後、すぐに行動するために
@対策本部の設置…事前に決めておいた会議室等に対策要員が集まり、今後の会社としての統一した意思決定や情報伝達を取りまとめる。
A社員の安否確認…非常時に社員と連絡がとれるよう安全確認方法を策定しておき、又社員が家族の安否確認をする事で、安心して社内に留まることができるようにする。
B帰宅指示…家族の安否が確認できず、帰宅希望する人以外は、社内に泊まる事も想定し、水・食糧等を備蓄しておく。

地震直後の点検事項
@危険な場所から直ちに離れる
就業時間中に地震が発生した時は、身近で安全な場所(机の下等)に避難し倒れてくるものから身を守る。重い事務機器や、ロッカー、キャビネット、パソコン、プリンター等が落ちたり、倒れたりしていないかを確認する。
A電話はつながりにくくなる
 社員が家族と連絡をとるために、NTT伝言ダイヤル「171」や携帯電話会社の災害伝言板等の利用について家族と話合っておくように伝えておく。
B安全確認・避難誘導
 けが人がいないかを確認し、避難が必要な時は、安全な場所へ誘導、エレベーターや、トイレ内に人はいないか、来客者の安全確保はできているか等を確認する。
C二次災害防止
 火災やガス、水道等の漏れはないか、建物の亀裂や破損等の危険箇所はないか確認。
 さらに、断水、警備システム異常、周辺の建物や道路等のチェックも必要。

チェックシートを作る
 今まで挙げた様な内容で、本社や支社の被害状況を効率よく把握するため、被害状況の確認チェックシートを事前に作成しておき、拠点ごとに確認できる体制を作っておくのが適当でしょう。
 日頃から防災について社内で話し合い、役割分担を決めておくことが安全への備えとなる事でしょう。





H23.5.18
速やかな復旧と事業継続のために


企業運営を阻む要因への対処
 東日本大震災では、多くの企業が打撃を受け、事業復旧に向けて、大変なご苦労をされている事と思います。直接被災されていない企業であっても、様々な障害が発生しています。今後、企業として、今回の震災のような万一の時に、どのような行動をとり、対策をしておく事が良いのかを考えてみたいと思います。

事業継続計画(BCP)の策定
 BCPとは事業の継続のための阻害要因を想定し、それが起きた場合でも、あらかじめ決めておいた目標復旧時間内に事業を復旧させるための計画を言います。
 経営者の皆さんは、今回の大震災のような事態に速やかな事業復旧をし、会社を存続させるために、緊急時に会社がどのようになり、どのように行動すべきかを、頭の中では何らかのイメージをもっていらっしゃるものと思います。こうしたイメージを道筋立てて検討し事前対策をしておくことが、緊急時に耐え抜く手立てとなるものと思います。

計画に盛り込むべき内容は
 計画書を策定する際は、次のような事を念頭に進められることが良いでしょう。
@対象となる災害を想定し、被害のシナリオを前提条件に設定する(内閣府や自治体等で被害想定が発表されている)。
A会社の基本方針を決める
 人命を守り、顧客の信頼を守る。企業の社会的責任、地域との連携等
B優先して取り組むべき業務を考える
 災害発生時に取り組むべき、企業存続に関わる緊急度の高い業務を最優先に再開させる。優先順位は、企業の財政状態に直ちに影響を与える業務や生命に影響を与える業務、供給責任等を優先させる。
C優先した業務の復旧時間を検討する
 業務の停止がどの位まで許容されるかを考え、目標復旧時間を指定する。
D緊急時の組織体制を考える
 地震発生時やその後の社員の役割分担を考え、組織体制作りをする。
E優先順位にかかる、障害となる事項を検討し、代替等を考える
 以上のような行動計画の策定は、災害時の各社員による適切な対応を促し、被害を最小限に留めることに繋がります。また、速やかな業務継続で顧客の信頼感を得ることになるでしょう。





H23.5.17
銀行の不良債権処理 ようやく終結か!

 過日の新聞報道等によれば、三菱東京UFJ銀行は10年ぶりに、2011年3月期に法人税が納付できる見通し、その理由として、過去の赤字累積である繰越欠損金が解消に至ったことによる、と報じています。
 また、その後の報道では、この時期に銀行経営の安定化のために資本注入した約12兆円の公的資金については、今年3月末時点で回収利益1.5兆円を含む注入額の99%を回収、国民負担を回避できる見通しとなったと報じています。

公的資金の使途
 銀行向けの公的資金には、@銀行の自己資本の不足を補う資本増強(資本注入)、A債券等の資産の買い取り、B破綻時の預金保護のために債務超過部分を穴埋めする金銭贈与、などが主です。
 このうち、金銭贈与は18兆円を実施、すでに10兆円が回収不能、税金による国民負担が確定していると報じています。

公的資金の真の姿
 公的資金を投入するといっても、政府にはお金はなく、国債を発行する以外にありません。では、その国債を誰が買うのかですが、当事者の銀行です。銀行には預金者から預かった貸し出しに向かわない資金がふんだんにありますので、この資金を国債の購入にあてます。これにより、銀行は、国債という元利保証のついた優良債券を取得、安定した業務利益が確保できます。
 一方、政府は、国債売却で得た銀行からの資金(預金)を銀行の株式や債券等を購入する方法で当該資金(預金)を銀行に還流させ、銀行の自己資本充実を図ります。
 そして、政府は、銀行株価の回復を待って、保有の優先株を普通株に転換、市場で売却、銀行の自己株買い取りを通して公的資金の回収、というような図式です。
 結局、何のことはない、預金者(国民)の預金を資本化したにすぎず、未回収の公的資金たる預金は、国債償還という方法で預金者(国民)が税金負担で回収する、というのがその真の姿です。

税制による銀行救済
 このような状況を見越してか、税制は、繰越欠損金の利用期間を5年から7年に延長しました。この改正により、不良債権処理の過程でも多額の業務利益を上げていたにもかかわらず、長らく法人税の納付を免れ、結果として、内部留保の充実による株価の回復、維持が図られたことには想像に難くありません。





H23.5.16
有期労働契約の更新・雇止め

契約社員・パート・アルバイトの雇用契約
 非正規社員等で期間の定めのある労働契約の事を「有期労働契約」と言いますが、反復更新される事が多いため、その終了時にトラブルが発生する事があります。
 この防止の為、厚労省は「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を定め、契約締結時に期間満了時の契約更新の有無を明示する事としています。

契約期間1回限りの雇用の終了
 有期労働契約では、初回の雇用契約締結時に契約の更新有としておかない時は普通契約期間満了時で雇用契約は終了となります。ただし、業務内容や労働条件、使用者の言動等から更新を期待するような行為がない事が必要です。少ない例ではありますが判例でも初回の契約期間満了時に更新を拒否した事案で雇止めが否定されたケースがあります。(龍神タクシー事件、大阪平成3.1.16)この場合は結論として「労働者に雇用を継続することに合理性を是認する事ができる」として更新が期待されるような行為があったとされました

契約期間を更新・反復後の雇止め
 雇用契約更新をしたり、反復した場合次の契約期間満了で打ち切りをしたい事情が生じた時は、その有期労働契約が3回以上更新されている場合や、雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者には予め更新しない旨明示されているもの以外は、期間満了30日以上前に更新しない旨を予告する必要があります。
一方で契約期間を更新する時は、1回以上更新し、1年以上継続勤務している者には出来る限り契約期間は長くするよう努める事としています。

契約期間途中の雇用解除
 有期雇用契約期間中に会社の都合で退職してもらう場合はどのような取り扱いとなるのでしょうか。労働契約法では「期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由のある場合でなければ、その契約期間を満了するまでの間において労働者を解雇する事は出来ない」とされています。
 「やむを得ない事由」とは客観的、合理的で社会通念上相当な理由とされています。結局は労使間での十分な話し合いをする事で損害賠償を求められるような事にならぬように配慮するという事でしょう。





H23.5.13
高年齢継続雇用と労使協定

定年制による離職の取り扱いについて
 企業で定年を迎えた人を引き続き定年後も雇用する場合、高年齢者雇用安定法では継続雇用制度として「定年の定めの廃止」「定年の引き上げ」「希望者全員の継続雇用制度の導入」等のいずれかを実施するか、継続雇用の対象者を選定する場合は基準を設ける必要があります。今までこの選定基準は中小企業(常時雇用者300人以下)では、労使協定を結ばず就業規則に定めておく事でもよいとされていましたが平成23年4月からは中小企業においても、選定基準を設ける場合は労使協定を締結する事となりました。協定を締結せず、継続雇用制度に該当する高年齢者が離職した場合は、雇用保険被保険者離職証明書の離職理由が、本人の継続雇用の希望の有無にかかわらず、会社都合退職となってしまいます。各種助成金を申請予定の企業は、会社都合退職者を出す事で助成金が支給されなくなるケースもあるので注意が必要です。

継続雇用の選定基準について
 それでは、どのような継続雇用制度の基準が適当なのでしょうか? 内容としては
@意欲・能力などに出来る限り具体的に則るものである事(具体性)A必要とされている能力などが客観的に示されており、基準を満たす可能性を予見することが出来る事
(客観性)を備えている事が望ましいとされていますが、抽象的に「会社が必要と認めた者」等は基準に該当しません。

労使協定では何を決めておくか
 協定届の内容は具体的な働く意欲や能力を計る人事考課等で行えれば良いですがそこまでは行わない企業も多いと思います。
 協定に必要な最低限の基準としては、
@定年後引き続き勤務を希望している事、A直近の健康診断結果が、業務遂行に支障がないと認められる事、B過去○年間の出勤率が○%以上である事等が挙げられます。
さらに、継続雇用期間(高年法で満64歳になるまで、平成25年4月からは満65歳になるまで)と協定の有効期間を設けておく必要があります。労使異議ない時は1年更新としておく事が適当でしょう。
 さらに、定年の一定期間前に継続雇用について本人に選定基準を伝え、面談する事や継続雇用の可否、継続の場合の労働条件を通知する事等も入れる方が良いでしょう。





H23.5.12
採用内定と取り消し

 近年の不況に加えて、大震災の影響で「採用内定取り消し」が社会的問題になっています。
 この問題を企業の立場から考えて見ましょう。

採用内定とは
 一般に「採用内定者」と言われているのは次の2種類に分けられます。
(1)「採用予定者」:労働契約が締結されていない、単に「内定通知」が行われている場合でその取り消しは「解雇」に当たらない。
(2)「採用決定者」:労働契約が締結されているが、一般には「学校卒業」などが条件となっている場合で、その取り消しは民法上の「解雇」に当たる。
この区分によって内定取り消しを行う場合の取り扱いが異なります。

採用内定取り消しの有効性
  「採用予定者」であっても企業と本人の間では、民法上、それに基づく法律関係と信頼利益が生じていますから、企業側が一方的に破棄する場合には「相当な理由」が必要になります。
 「採用決定者」の場合は通常「学校を卒業出来ない場合、所定の資格を取得できない場合、健康異常が起きた場合」等の「解約権を留保した労働契約」で、それらの不適格性は内定取り消しの正当な理由として認められます。

事業縮小などを理由とする内定取り消し
 不況や震災の影響で事業の縮小などを余儀なくされた場合の取り消しは「採用決定時には予見できなかったし、予見できなかったことに過失がない。」とされれば「事情変更の原則」が適用され、「相当な事由」とされます。

経営者の留意点
 やむなく「内定取り消し」に至った場合でも、業績の回復・事業継続・再成長を目指す以上、企業の将来を担う若い人材の確保は重要であり、本人の同意を得た解約、採用時期の延期等、円満な解決が望ましいと言えます。
 また、採用内定者以外の雇用調整の余地がある場合は、若い採用内定人材の将来性を考慮して、パートタイマーの整理・熟練技術の必要がない限り定年後再雇用者の整理、希望退職を内定取り消し前に考慮すると良いでしょう。





H23.5.11
グランドデザイン

 千年に一度と言われる東日本大震災が起きて、直接、間接に生じた問題は計り知れないものがあります。
「復興の計画」は政府が中心になり、民間の努力と協力によって進みはじめています。すなわち、現政権は現地の復興、日本の経済的復興の危機的課題に対して、復興構想会議等の組織をつくり、グランドデザインの検討を開始しました。
ここでは危機的状況における中小企業経営の再構築と言う視点から、問題解決の取り組み方、トップのリーダーシップによる“グランドデザインのあり方”について考えて見ましょう。

“グランドデザイン”とは
“グランドデザイン”とは「課題解決の全体を俯瞰する目的達成への道筋・基本計画」のことです。
大津波で罹災した東北の部品産業・水産業などの事業再開への努力が報道されていますが、一般中小企業においても事業を一から再構築する必要が生じたケースでは問題の性質として共通性があります。
問題の真の解決は“全体と部分が調和的に解決する全体最適志向のグランドデザイ”によってもたらされますが、それは  計画が実施に移された後で目まぐるしい状況変化から途中で迷った時の“道しるべ”の機能を果たします。

グランドデザインで留意すべきポイント
経営者が“グランドデザイン”を構築するに当たって留意すべきポイントを挙げて見ましょう。
@現場主義・経営者の先見力による目的・目標の明示
自社の事業にとって意味がある外部環境の兆候的変化は市場観察・関係者とのコミュニケーションから得られ、目的・目標は未来志向、積極志向の決断力から得られる。
A社員全員の参加と率直・自由な創造的発想を重視することで、トップを支える社員の意欲を高める。
B全体最適志向の判断・思考のプロセスを整理する知的技術を活用する。





H23.5.10
パートタイマー活用法

 近年、パートタイマーなど非正規従業員が増え、不況と相俟って雇用保障が問題になっています。しかし、これからの労働力不足の時代を考えると、パート雇用のあり方を創意工夫してモラール高く働いてもらうことは経営の重要な課題です。

パートタイマーとは
パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)で「短時間労働者とは、一週間の所定労働時間が同一の事業場に雇用される通常の労働者の一週間の労働時間に比して短い労働者をいう。」と定められています。
 通常、企業では準社員・定時社員・フリー社員など、独自に名称をつけてパートタイマーを雇用していますが、それ自体は自由であり、働き方において正社員と明確な区別がなされていれば労働条件に差があっても違法ではありません。
 正社員は会社が赤字になりそうだ、という理由で赤字予防の解雇は認められませんが、パートタイマーはそのような場合、健全経営のために余剰人員の削減の対象とすることが出来、雇用調整機能をもつものです。

パート活用の留意点
1.自社の事業推進上、パートタイマーの活用が適切な業務領域を選定し、雇用全体の中で正社員・パートタイマーなどの雇用割合(雇用ポートフォリオ)を設定しておく。
2.職種・作業内容・勤務日数・勤務時間などの働き方に正社員と明確な区別を付けた上で、合理的に賃金などの差をつけたパート就業規則を規定しておく。(平成20年4月施行の改正パート労働法による正社員との均等と均衡処遇に注意する。)
3.労働契約期間を1年以内に定め、契約更改又は契約打ち切りの手続きをきちんと行う。
4.パート労働者の生活ニーズは、例えば夫の賃金だけでは教育費が不足する、もっと自分が自由に使えるお金が欲しい、生活にゆとりが欲しい、老後に備えて貯蓄したい等多様であるから、経営者はそれらのニーズと、自社が求める業務遂行能力と働き方(契約の仕方)を上手にマッチングさせ、働き手のモラールを高める工夫をする。





H23.5.9
新しい隣人の紹介


クック諸島の国家承認
 この3月25日、ニュージーランドと自由連合関係にあるクック諸島を国家承認することが閣議決定されました。今後、国際場裡における協力を含め、国家関係を強化していく、と外務省は表明しています。
 クック諸島の承認により、我が国が独立国家として承認した国は193か国となるようです。

クック諸島の基礎データ
 面積は約237?(鹿児島県徳之島とほぼ同じ)、ニュージーランドの北東約3,000q、フィジーとタヒチの間に位置し、15の島々より成る、人口22,600人、首都アバルア、民族はポリネシア系(マオリ族)91%、混血系4%、言語はマオリ語、英語(共に公用語)、宗教はキリスト教97.8%、1965年に独立しニュージーランドと自由連合協定を結んでいる議院内閣制の政体の国です。

自由連合協定とは
 自由連合は、外交や防衛などの権限を他国に委ねた国家間の関係をいいます。連合国同士は対等な関係であり、帝国主義時代の保護国と宗主国の関係とは異なる、とされています。
ニュージーランドとクック諸島・ニウエ(ニウエについては日本は未承認)にも自由連合協定があり、両国の国防と内政外交の一部はニュージーランドに委ねられています。国連には両国とも未加盟です。

クック諸島をめぐるタックスヘイブン事件
ニュージーランドの法人が日本の複数の大手銀行を巻き込んでクック諸島に持ち込んだ資金運用益の源泉税を日本の法人税から外国税額控除することの可否が争われた事件があります。
国税当局は、複数銀行に外国税額控除を是正する更正処分をしたのですが、一部銀行が提訴、平成17年末に最高裁で結論がだされ、国側勝訴で確定しました。
ニュージーランドにおいては国会で大醜聞となって国税庁長官が辞任しました。

租税条約の締結のためか
クック諸島は、農業、黒真珠養殖、観光が主な国内産業となっていますが、国際的にはタックスヘイブン政策を推進していることで知られています。
 近年は、タックスヘイブン国との租税情報交換規定を主とした租税条約を結ぶ傾向にあり、政府はそれを準備しているのかもしれません。





H23.5.6
損益通算と繰越控除 総合課税と申告分離課税


 所得税の課税は、一つの課税方式だけですべて完了することはまれで、通常、幾つかの課税方式が組み合わされて税額を確定しています。具体的には、総合課税と申告分離課税、そして、一定の所得については、源泉徴収によってその納税を済ませてしまう申告不要及び源泉分離課税があります。
 これら課税方式は、所得の種類によって定められており、納税者の選択に任せられているものもあります。

総合課税と損益通算及び繰越控除
 総合課税は、他の所得と合算して税額を確定する課税方式です。また、不動産所得(土地等の取得に要した負債利子は除く)、事業所得、譲渡所得(不動産及び株式等の譲渡は除く)、山林所得の計算上生じた損失があるときは、一定の順序で、他の所得と損益通算し課税所得金額を算出します。なお、それでも控除しきれない損失(純損失)があるときは、翌年以後3年間にわたって繰越控除ができます。

申告分離課税と損益通算及び繰越控除
 一方、申告分離課税は、他の所得と区分され、その所得単独で税額が計算される課税方式です。そして、生じた損失金額(同種所得内の損益通算後)は、原則、他の所得との損益通算は認められず、その損失はないものとされます。この申告分離課税の対象所得は、不動産等の譲渡による所得、株式等の譲渡による所得、上場株式等の配当所得(納税者の選択)、先物取引の雑所得等です。

申告分離課税の例外的取扱い
なお、申告分離課税の対象所得であっても、@一定の居住用財産の譲渡損失及び買換え等の場合の譲渡損失については、その年の他の所得と損益通算することができ、その損失を控除しきれない場合は、翌年以後3年間繰越し、一定の要件のもと、各年分の他の所得から控除できます(適用初年度の確定申告書は期限内、以後連続して確定申告書等の提出が要件)。
また、A上場株式等(納税者の選択)及びエンジェル株式に係る譲渡損失(エンジェル株式は「みなし譲渡損失」も含む)並びにB先物取引の差金等決済に係る損失については、翌年以後3年間の繰越控除が認められています。
なお、Aの上場株式等の譲渡損(エンジェル株式は除く)については、上場株式等の配当等との通算が認められています(A、Bは連続して確定申告書等の提出が要件)。





H23.5.2
普通名称化した商標?


商標と商標権とは?
商標とは、自己の商品やサービスの出所を表し、他者のそれらとを区別する標識(マーク)をいいます。「SONY」やヤマト運輸のクロネコマークが典型です。商標は、特許庁に登録の出願し、審査に通ることで、商標権として法的保護を受けられます。商標権を得れば、その商標を独占的に使用できるだけでなく、同一又は類似の商標を用いた者に対して差止めや損害賠償を求めることができます。

普通名称は商標登録できない
しかし、性質上独占的な使用を許されず、商標登録できないものがあります。その一例として、普通名称があります。例えば、時計、貸付、宿泊といった一般的な物・サービスを指す名詞もあれば、アルミ、パソコンといった一般的な略称ないし俗称があります。

途中で普通名称に転化することも
 中には、最初は普通名称でなく、ある者の商品・サービスを示すものとして認識されていたにもかかわらず、余りにその商品・サービスにインパクトがあり、また、そのネーミングが商品・サービスの性質・内容を容易に想起させてしまうため、一般的に商品・サービスの名称そのものを表すように認識されてしまうものもあります。これを「普通名称化」といいます。

商標権が有名無実に
 そのような経過から、商標権をとった商標と同じ名称を用いた者に対し、いざ商標権を行使しても、その時点では、既に普通名称化されたとして、商標権の効力を及ぼすことができなかった裁判例があります。うどんすき、正露丸がこれにあたります。
 うどんすきの場合は、昭和3、4年頃にある者が考案したオリジナル料理で当初は普通名称でなかったが、その後の広がりの結果、普通名称化したと判断されました。
 正露丸の場合は、商標権取得当時も既に別の者が類似の商標を用いて販売していたこと、商標権取得後も同様でそのシェアも無視できないこと、商標権者も使用の差止め等の権利行使に不熱心だったこと等が鍵となりました。

権利は取得すれば終わりではない
 以上の話は、権利を取得すれば安泰ではなく、その後も維持・管理のための努力が必要だということを我々に教えてくれます。