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H23.6.30
利益をねん出するには

 国税庁が5月に公表した平成21年度分会社標本調査によると、欠損法人の割合は72.8%に及んでいます。
 このような状況では、節税策よりも、むしろ、いかに利益を確保するかの方が、金融機関対策を考慮しても大切かと思います。
決算直前でもできる、ちょっとでも利益を出す方法をいくつか見てみましょう。

売上計上基準の変更
 検収基準から出荷基準に変更するなど、売上を少しでも早く計上できる基準に変更します。ただし、業種・業態に応じて合理的な基準を採用すべきで、変更には合理的な理由が必要です。また、変更後は継続適用しなければなりませんので、あまりおすすめできません。

いつでもいい経費は翌期へ
 備品、消耗品の購入、広告宣伝費など緊急性の低い支出は翌期になってから行い、当期の費用にならないように調整します。

前払費用に計上
 家賃及び生命保険料など翌月分を先払いしているような費用は、前払費用に計上します。ただし、短期前払費用の特例を適用して、年払いしたものを支払った期の費用に計上している場合は、この方法を適用できない場合があります。

貯蔵品に計上
 事務用品、切手、印紙、パンフレット類など、毎期一定量を購入し継続的に消費するものはその期の経費にできますが、消費時に費用計上するのが原則ですので、これら未使用のものを洗い出し、貯蔵品として資産計上します。ただし、処理変更後は継続適用する必要がありますのでご注意を。

固定資産に計上
 使用可能期間が1年未満のもの、取得価額が10万円未満のもの、同じく20万円未満の一括償却資産、同じく30万円未満の少額減価償却資産を、原則通り固定資産に計上して、通常の減価償却を行います。

付随費用は取得価額に含める
 自動車などの固定資産購入時に発生する、自動車取得税などの租税公課などを費用計上せず、取得価額に含めます。

グループ会社をうまく活用する
 100%グループ会社に対し、譲渡直前の簿価が1,000万円以上で含み益がある資産を売却し、譲渡益を計上します。あるいは、寄附金を受け、受贈益を計上します。これらはグループ法人税制により課税が繰り延べられますので、会計上は利益が出ますが、法人税は課税されません。





H23.6.29
被相続人が外国人

 我が国の相続税法は、被相続人の国籍が外国籍かどうかに係わらず、その相続人が居住者か非居住かで相続税の納税義務の範囲を画しています。

法の適用に関する通則法36条
 しかし、法の適用に関する通則法36条によれば、「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。
 この文言からすると、少なくとも、相続人の数及び相続分等は、被相続人の本国法に基づいて相続税の計算をするのではないかと思料してしまいます。
 この通則法36条の解釈に関しては、課税当局からの取扱い等は見当たりませんが、相続人の数及び相続分は、我が国の民法を適用することで見解が統一されています。   
その理由の1つとして、課税の公平性を担保するためであるといわれています。
例えば、被相続人の本国法を適用することによって、相続人の数や相続分に差異が生じ、結果として、相続税も異なって算出されてしまう。
もう1つは、相続税法の規定には、日本の民法を適用する明文の規定がある以上、被相続人が外国籍の者であったとしても日本の民法を適用した場合の相続人の数及び相続分をいうものと解される。
したがって、被相続人に配偶者が複数いたとしても配偶者は1人、法定相続分2分の1としてカウント、また、配偶者の税額軽減も1人分のみ、さらに、1億6千万円も1人分のみ、ということになります。

遺産が未分割の場合
 では、遺産が未分割の場合も、我が国の民法規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って相続財産を取得したものとして課税計算を計算するのか、です。
 この未分割の場合については、課税当局からの見解が示されています。それによれば、「被相続人の本国法の規定による相続人及び相続分を基として計算する」ことになります。
 その理由ですが、日本のように包括承継により遺産分割手続きによって遺産を取得する国もあれば、遺産に課税された後に財産を取得する国もあり、国によって遺産の取得形態はまちまちです。したがって、本国法の規定に基づく実際の財産の取得形態を相続税法の適用上、これを無視することはできない、からではないでしょうか。





H23.6.28
未払賃金を国が立替えてくれます

 会社の業績が悪化し、給料の支払いができない場合、無理に雇用を継続せず解雇すれば、7日間の待機期間後すぐに失業給付を受けられるため、従業員にとって良い場合があります。
 一方、倒産したため、賃金が支払われないまま退職となった場合、救済措置として、国が事業主に代わって未払賃金の一部を立替払いする制度があります。

どんな場合に利用できる?
 この制度を利用できるのは、(1)民事再生法に基づく再生手続き開始の決定があった等「法律上倒産」した場合と、(2)中小企業において、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がないことについて労働基準監督署長の認定あったという「事実上倒産」した場合の2つの場合に利用できます。

どんな人が立替払いを受けられる?
 立替払いを受けられるのは、労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行なってきた会社(保険加入の有無、保険料納付の有無は問いません)で、倒産の6か月前から2年の間にその会社を退職し、2万円以上未払賃金がある人です。正社員だけでなく、パートやアルバイトも対象になります

立替払いの対象となる賃金は?
 立替払いの対象となる未払賃金は、退職日の6か月前からの「定期賃金」及び「退職手当」で未払いのものです。
したがって、賞与、祝い金のような福利厚生上の給付、実費弁償としての旅費等は、たとえ未払いであっても、対象になりません。なお、立替払いの対象となる未払い賃金は、所得税や社会保険料等の控除前の金額です。

いくらもらえるの?
 立替払いされる賃金の額は、未払賃金総額の8割です。ただし、年齢によって上限が定められており、45歳以上だと最高296万円、30歳以上45歳未満は最高176万円、30歳未満は最高88万円です。

請求期間は?
 裁判所の再生手続きの開始決定等又は労働基準監督署長の認定があった日の翌日から起算して2年以内です。

税金は引かれるの?
 立替払いされた賃金及び退職金は、退職所得として課税されます。退職所得控除はもちろん受けられます。





H23.6.27
この勘定科目に、ご注意

決算書を拝見していると、最終利益がしっかり出ているにもかかわらず、あまり内容のよくない決算書に出会います。それは、次の勘定科目の残高が多すぎることが原因の場合がありますのでご注意ください。

短期貸付金
 小さな会社の場合、社長の生活費と会社のお金が区別されず、ごっちゃになっているということが往々にしてあります。役員報酬で相殺できればいいのですが、生活費として引き出した金額の方が多いという場合、差額が短期貸付金として積み上がってしまいます。役員報酬を引き上げることで徐々に返済できればいいのですが、源泉所得税や社会保険料もそれに応じて増加するため、業績によっては難しい場合があります。融資を受けている銀行からは一番嫌がられる科目でもあります。

仮払金
 本来は、既に現金が支払われているが、使途が確定しない場合に使います。
実際には使ってしまった経費である場合が多いので、すぐに精算すべきですが、決算までに領収書が出てこなかったり、個人的に使ってしまい精算できないといったケースもあります。また、利益を確保するため、今期は経費処理せず仮払金に計上して繰り延べる、といったことをすることもありますが、もちろん、その期の費用はその期に計上すべきです。決算書に仮払金が載っていると、杜撰な会社だという印象をもたれることがあります。

売掛金
 実際に業績が上がって売掛金が増加するのはいいのですが、そうではない場合、例えば、不良債権の増加や入金遅延が増えたり、また、度が過ぎると粉飾ですが、黒字を確保するため前倒しで売上を計上した、という場合に増加します。総資本回転率が小さくなるので、要注意です。

棚卸資産
 売上高が前年に比べて同程度か減少しているのに、棚卸資産が急激に増加している場合、不良在庫が増加したか、利益確保のため棚卸資産を水増し計上した、ということが考えられます。棚卸資産回転率が悪化しますので、注意しましょう。

開発費
 新技術の採用のほか営業ルートの開拓などを市場の開拓として、関連諸経費をすべて開発費(繰延資産)に資産計上して利益を捻出している企業もあります。単に経費を繰延べたにすぎず、勘定あって銭足らずの原因のひとつです。





H23.6.24
再養子と法定相続人

相続関係図

養子縁組の経緯
 このたび、祖父Aに相続が発生しました。相続人であるべき母はすでに死亡しているので、その子Fが代襲相続人です。
 同時にFは母の兄弟姉妹の子として養子縁組し、引き続き他の兄弟姉妹の子として次々と再養子縁組をしていました。最後に、祖父母にも養子縁組していました。その兄弟姉妹もそれぞれすでに他界してしまっています。

再養子という制度
 徳川15代将軍慶喜は水戸家から一ツ橋家の養子になり、徳川本家の再養子となりました。昔は普通のことでした。
 家制度に基因する養子制度、養親養家に利益をもたらす養子制度から、養子のための養子制度に大きく制度の趣旨が歴史的に変遷してきているとはいえ、以前の制度趣旨が否定されているわけではないので、現行民法においても、再養子・再々養子はあり得てよいことになっています。

法定相続人は何人か
 現行相続税法での基礎控除は、 5000万円+1000万円×法定相続人数 です。
この相続関係図での祖父Aの相続人はFのみです。FはAの養子としての身分のほかに、BとCとDとEの代襲相続人としての身分があります。
実親の相続権と扶養義務から切断される特別養子以外の一般の養子は、実親と養親の両方の相続権と扶養義務をもつ二重身分になります。Fはここでは五重身分です。
 被相続人の養子は1人だけなので、養子数の制限に触れていませんから、法定相続人は5人となるのが正解のようです。





H23.6.23
信書便以外の方法で提出

申告書などは信書に該当
納税申告書などを提出するとき、郵便や信書便にて送ると、その日付印の日が提出日になる、と法定されています。そして、国税庁のホームページをみると、税務上の申告書や申請書・届出書は「信書」に該当し、法律により、郵便局、信書便事業者以外は、信書送達を禁じられており、また、誰でも、信書送達を禁じられている業者に信書を差し出すことも禁じられているので留意願います、と書かれています。

宅配を使うと違法
郵便や信書便以外の宅配便などで送ると、到着日が提出日になる、という以前に、その配達依頼行為が法律で禁じられている、ということのようです。
 信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されていて、抽象的でわかりにくいですが、納税申告書はこれに該当すると解釈されているようです。

信書便事業の状況
 一般信書便事業者は非常に規制や条件が厳しいことで一社の応募もなく、バイク便など特定の範囲の信書のみを扱う特定信書便事業者は平成22年9月1日現在で327者が参入しています。
 郵便局の扱う、ハガキや郵便切手を貼って投函する手紙は郵便物と言われますが、郵便局でも信書便物を扱っています。

郵便局の信書便と民間宅配
切手つき箱型封筒のレターパック350や500は信書便扱いです。(これとほとんど類似の先行発売のEXPACK500では信書を送れないとされていましたが。)
 信書便への規制が厳格なのは、憲法に「通信の秘密は、これを侵してはならない」と言う規定があることにも拠るのでしょう。
でも実際の、物流への信頼は、郵便物や信書便物よりも民間の宅配便業者のサービスの方が、早くて確実で親切というのが国民的評価です。

信書便を使わない申告の実態状況
 納税申告書などを郵便信書便に該当しない宅配便等で、「申告書在中」として送った人がいるのですが、税務署が受け取り拒否はしなかったようです。相手が法律で禁じられていることをしても、法律は、受け取りを禁じてはいないからでしょう。
逆に、「申告書在中」とすると、宅配等事業者は、取扱いを躊躇するかもしれません。




H23.6.22
社長の経理は杜撰

 経理とは何か?
経理のそもそもの起源は、大航海時代に有ります。大航海時代航海に出て行ったのは、命知らずの何処の馬の骨とも知らない荒くれ者です。そんな荒くれ者ですから取引した商品を隠し持ってはいないか?積み荷をごまかしてはいないか?商人たちは、全く彼らを信用していません。彼らを監視しごまかしようのない管理方法は無いかと知恵を搾って考えたのが、複式簿記による帳簿作成だと言われております。
ですから、経理の本質は、現場の取引が正しく行われたか否かを、現場に居ない者に報告する為のシステムなのです。

経理業務は公にしたくない
 経理部門があり仕事として経理を行うことの出来る会社は別として、多くの小規模企業は、現場の仕事と経理業務が掛け持ちの場合がほとんどです。
 更に経理業務には給与計算等あまり公にしたくない業務も含まれます。
そこで往々にして社長自らが経理業務をおこなっている場合が多々見受けられます。しかし社長自らが経理業務を行っている会社は、一部の例外を除き必ずといってよいほど管理がずさんで、経理も遅れがちです。    
どうしてそうなるのかと言えば、小規模企業の経営者は自ら取引現場の先頭に立って一番良く取引の実態が解っております。
ですから現場に居ない者に現場の取引を報告する為の経理業務は、煩わしいだけの余分な業務以外の何者でもないのです。

経理業務の適任者とは
経理担当者を雇い業務として経理を専任で任せられるのが一番ですが、それが出来ない小規模企業の場合の経理業務の適任者は、「現場に居ないで現場の取引を知りたがっている人」と言うことになります。
 既に賢明な社長さんにはお分かりと思いますが、奥さんです。
奥さんは、取引現場には行かないので、そこで旦那が何をやっているのかわかりません。別の意味での心配も含めて、比較的キチンと経理業務をこなします。
 そう言った適任者が居ない場合は、会計事務所等へ外注に出すことも一法です。





H23.6.21
最後の機会だった 教育訓練費控除の復活

3ヶ月のつなぎで1年適用
 自民党・公明党の野党議員からの議員立法で、租税特別措置法の3月末日で日切れるほとんどの規定を3ヶ月間延長する「つなぎ法案」が提起され、賛成多数で国会通過しています。この3ヶ月のつなぎで、平成22年度までで廃止の予定だった中小企業の教育訓練費控除規定が復活しています。
「・・・〇月〇日までに開始の事業年度・・・」という規定だったので、つなぎの効果は、つなぎの3ヶ月期間内に事業年度が開始する会社については、効果が一事業年度全体に亘ることになりました。

つなぎ法の後遺症
 国会に新たな動きがあり、自・公・民の3党合意による税制改正案が国会通過しようとしています。
3党合意案は、自・公のつなぎ法をさらに年度末まで再つなぎすることを基本にするとともに、当初の政府案の中の一部をも取り入れた案になっています。
教育訓練費控除規定について見てみると、6月末日までの開始事業年度の法人とそれ以後に開始する法人とに差があるのは、法の下の平等に反するためであろうか、6月末から来年3月までさらに期限延長することになりました。

復活している教育訓練費のおさらい
 教育訓練費の額が人件費の0.15%以上だったら、少なくとも8%以上の教育訓練費税額控除の適用があり、0.25%以上だったら12%が控除できます。従業員1人当りの人件費を400万円と仮定すると、400万円×0.15%=6,000円、年間1人当り6,000円以上の教育訓練費を支払うと税額控除の対象となります。
 教育訓練費の対象として、5つの項目があります。
・外部講師・指導員謝金
・外部施設等使用料
・外部への教育研修委託費
・外部研修受講料等の参加費
・研修用教科書その他教材費

グループ法人の活用
 教育訓練費は外部支出費用でなければならないのですが、子会社やグループ会社の役員や使用人が講師となって、それに対し報酬を支払った場合や外注委託した場合には、教育訓練費に該当します。





H23.6.20
建物賃借権の譲渡、転貸の基礎知識

貸主の承諾が必要
建物賃貸借において、借主が賃借権を譲渡し、又は、第三者に転貸するには貸主の承諾が必要です。契約書に書かれている場合は勿論、書かれていない場合も法律上そう定められております。

承諾が必要か、それが問題だ
 もっとも、様々な実態からこれが貸主の承諾が必要な賃借権の譲渡あるいは転貸にあたるのか、判断に迷う場面もあります。ここで、典型事例をご紹介します。

会社・法人の経営者交替、合併等
会社・法人の構成員や取締役・監査役等機関に変動があっても、法人格自体の変動がない限りは賃借権の譲渡には当たりません。株主の譲渡や役員交代により実質的に経営者が交替しても同様と解されます。これに対し、合併は賃借権の譲渡にあたると解されています。

間貸し(間借り)
賃借建物の一部について転貸ありといえますので、貸主の承諾が必要です。

出店契約(コーナー貸し、ケース貸し)
デパートやスーパー等が建物の一部を特定の販売業者に使用させて、その業者の名前で一般顧客に販売させ、売上高に応じて定められた金額をその販売業者に支払わせる形態です。その実態は様々で一概に言えませんが、占有場所の独立性、期間の長さに照らして、独立した占有と評価できれば転貸と言いうると思われます。

経営委任、経営委託、業務委託
飲食店でよく第三者に賃借建物の運営を任せる場合があります。また、「転貸」逃れの方便の場合もあります。これもケースバイケースですが、第三者の計算で行われ、賃借人の運営に対する容喙がなく、第三者から一定金額が賃借人に支払われれば、独自の占有として転貸だと解されます。

承諾がなくても、解除されるとは限らない
 承諾なくして賃借権を譲渡し、又は転貸した行為は契約解除事由となります。もっとも、裁判所は、形式上は契約違反でも、信頼関係を破壊するようなものでない場合は、解除を認めていません。今回の事例で、占有の独立性が低い、占有規模が狭い、期間が短い、特段貸主に不利な影響が及ばない等の場合には信頼関係破壊なしとして解除が否定されうるものと解されます。






H23.6.17
つなぎ法効果の2態

3年前の「つなぎ法」
3年前のねじれ国会の時、「日切れ法」と「つなぎ法」が話題になりましたが、そのときは何を日切れのまま放置し、何をつなぐかが選択されました。登録免許税、輸入たばこや酒の軽課特例などが選択されてつながれ、道路特定財源といわれたガソリン税や軽油税など、それに交際費課税ほか多くが日切れのままとされました。
この時、ガソリンスタンドの大盛況があったことは記憶の片隅にあると思います。

今年の「つなぎ法」
 今年は、政府が日切れのままにしようとしたものも含め、日切れとなるすべての法律規定がつなぎ法に取り込まれました。3年前と異なり、日切れは起きませんでした。
 つなぎ法により日切れの期間が暫定期間だけ延期となるのですが、たとえば、前年度までで廃止の予定だった即時全額償却のエネ革税制などは、暫定期間なお生き延びます。よって、その期間内に適用資産の新たな取得があると、即時全額償却の恩典を受けられます。
 また、別の例として、同じく廃止の予定だった中小企業の教育訓練費控除については、「・・・〇月〇日までに開始の事業年度・・・」という規定なので、つなぎの効果は1事業年度全体に亘ることになります。
つなぎ法の効果の現われ方は二通りあるのです。

3年前の「日切れ法」
 3年前に日切れが起きた交際費課税も開始事業年度についての規定でした。3年前の日切れ法の交際費課税規定の場合は今回とは異なり、つなぎ法に取り込まれなかったことにより日切れが放置され、法律が一時期失効してしまいました。そうすると、その日切れの期間内に開始した事業年度については、不利益不遡及の原則に照らしても、交際費課税をすることができない、ということになります。
 4月1日開始の3月決算の会社の場合、平成20年4月開始期については、1年間交際費課税がありません。もし、交際費課税を受けた内容での申告書を提出していたとしても、調査等に於いて減額となるべき事項であることの指摘をして受け入れさせるべく主張することは可能なはずです。





H23.6.16
株主優待利益への課税


期末保有資産が対象に
 減価償却費の規定について、「内国法人の減価償却資産につき」が「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき」と改正されたのは平成13年です。所得税法も同じです。これを、素直に読むと、期末に存在しない資産については減価償却できない、ということになります。
 平成13年は組織再編税制が導入された年で、法人税法には、適格分割等による資産移転が期中にあるときには2ヶ月以内の税務署への届け出を要件に「期中損金経理」により償却計算をしてもよいとの規定も置かれました。期中損金経理で償却費の計上が許されるのは適格分割等の場合に限られるのです。

解釈通達での解釈の仕方
 この改正の直後、所得税の通達で「年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費の額については譲渡所得の取得費に含めないで不動産所得等の必要経費に算入しても差し支えない」としました。
 法人税でも当時、期中譲渡資産に係る圧縮記帳では譲渡時点までの償却費の計上をしても差し支えない、との情報を質疑応答事例として公開しました。
また、グループ法人税制についての平成22年10月6日付公開情報でも、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。

通達等解釈の趣旨
 法人税法上、「期中損金経理」を許されているのは、適格の分割・現物出資・現物分配の場合で、それ以外については「期中損金経理」の適用はありません。しかし、公開情報の文脈では、「期中損金経理」の適用外では、「期中償却」は当然の如く許される、ということのようです。
 ここからわかるのは、適格分割等に係る「期中損金経理」の規定は、償却を可能にする有利規定なのではなく、2ヶ月以内の届け出をしない限り償却を認めない、という制限規定だと、ということです。

通達は解釈しているだけ
 国税庁は「通達」を法令解釈通達と、公開情報も法令解釈情報と表記しています。解釈なのですから、条文には解釈の通りのことが書かれているはずです。しかし、素直に読むだけでは反対の解釈になってしまう減価償却の条文は、多分税法中、最も解釈の難しい規定です。





H23.6.15
雑損控除は親族が受ける手も!


 災害等により、住宅や家財など生活に通常必要な資産に損害を受けたときは、その損失額を所得金額から控除できます(雑損控除)。控除しきれない部分は、東日本大震災により生じた損失は翌年以後5年間(通常3年間)繰り越せます。
この雑損控除は、本人自身のほか、本人と生計を一にする所得金額が38万円以下の配偶者その他の親族の資産に係る損失にも適用されます。震災特例選択で、平成22年分に遡って控除を受けられますが、控除しきれなかった場合、本年以降の収入が見込めなければ無駄になってしまいます。 
収入のある親族がいるのならば、最初からその親族が適用を受けた方が有利な場合があります。では、要件の「生計を一にする」とは、いつの時点を指すのでしょうか?

震災特例法の適用を受ける場合
遡って平成22年分の所得税について雑損控除の適用を受ける場合、「生計を一にする」親族に該当するかどうかは、平成23年3月11日の現況により、また、所得金額が38万円以下かどうかは、平成22年分の所得金額で判定します。

震災特例法の適用を受けない場合
平成23年分の所得税につき雑損控除の適用を受ける場合、大震災により損失の生じた日又は災害関連支出を現実に支出した日における現況により「生計を一にする」かどうか判定し、所得金額が38万円以下かは、平成23年分の所得金額によります。

生計を一にするとは
必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

働いている親族がいる場合
仮に、子どもが東京で就職していた場合はどうでしょうか?
震災前は別生計ですが、震災後、収入を失った両親に生活費を送金している、という場合、災害関連支出の金額の支出前から送金を始めていれば、「生計を一にする」と考えられ、収入のある子どもの平成23年分所得税につき、雑損控除の適用を受けられることになり、扶養控除も受けられます。
雑損控除の繰越期間が5年間に延長されたとしても、収入がなければ活用することができませんので、一番有利な方法を選択すべきです。





H23.6.14
償却資産の期中売却等 期中減価償却費の計上


  減価償却資産を期中に売却や除却をした場合に、期首から売却等直前までの期間の償却費を計上すべきかどうか、気になるところですが、実務上の取扱いとしては任意のようです。

税法の規定
減価償却費の計上について、法人税では「各事業年度終了の時において有する減価償却資産」について損金経理の上、計上できる旨の規定になっています。
 一方、所得税においても、「その年の12月31日において有する減価償却資産」について計上できる旨の規定になっています。
 税法規定からいえば、別段の定めがない限り、原則、期中売却等をした償却資産については減価償却費の計上は許されず、期首帳簿価額が売却(譲渡)原価となり売却価額との差が売却損益として計上され、また、除却の場合は期首帳簿価額が除却損として計上されることになります。

所得税には通達
 しかし、所得税においては、通達により、便宜的に、年初から売却直前までの減価償却費の計上を認めています。具体的には、年償却費の月数案分です。一方、法人税にはそのような通達はありません。
所得税においては、期中償却の有無によって、譲渡所得の金額、不動産所得、事業所得の金額が違ってきますが、法人税の場合は、所得区分による課税方式ではなくグロス課税ですので、期中償却費を計上しようがしまいが課税所得には影響がないことから、敢えて通達にも規定しなかったのではないのでしようか。

法人税申告書別表16の記載
 法令上はともかく、実務上は任意ということですが、法人税の申告書別表16(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)では、事業年度末に存在しない資産の償却費は反映されない仕組みになっています。やはり、事業年度末に存する資産についてのみ償却費を計上する、という法の趣旨がこの別表16に表れているように思います。

適格分割等の組織再編
 適格分割等(適格現物出資、残余財産の全部の分配を除く適格現物分配)の場合には、「期中損金経理」という規定の仕方で期中償却費の計上を認めています。
しかし、その償却限度額は、年償却費の月数案分ではなく、事業年度が1年に満たない場合の償却率によることになっています。





H23.6.13
LED照明の設置 何かメリットは?


1.はじめに
社内の電球をLED照明にかえようと考えている場合、かなりの費用がかかるようです。そこで、税制の優遇措置が受けられるか、または補助金をもらえるかを検討してみます。

2.エネ革税制(エネルギー需給構造改革推進投資促進税制)
 省エネ設備等を取得し、その後1年以内に事業の用に供した場合、税額控除(中小企業者等のみ)か特別償却のいずれか一方を選択し、税制の優遇措置が受けられます。(ただし、指定期限に相違がある)
 そこで、発光ダイオード照明装置(LED)は、対象設備一覧表別表(5)エネルギー使用合理化設備(1〜6項26設備)の第4項に該当しますが、各項に指定する対象設備を1つ以上同時に(つまり6つ以上の設備)設置することが要件となっています。他の設備としては例えば高断熱窓ガラス、ボイラー、送風機の設備も同時に設置しなければならず、LED照明の設置だけではこの要件を充足しません。
(経済産業省HP参照)

3.LED照明の設置に関する補助金
 東京都では例えば「商店街に対する助成」として街路灯のランプをLEDランプへ交換等を行うことにより、1基あたり40万円を限度として補助金の助成があります。
 千代田区では、LED照明について機器費用の20%(上限額100万円)の補助金があり、また中央区でも、導入費用の20%(一般助成の場合は限度額20万円)の補助金があります。千代田区も中央区もLED照明の導入工事前に申請、受理、決定の手続をする必要があるので、注意が必要です。

4.その他の補助金等
 NEDO((独)新エネルギー産業技術総合開発機構)においては、LED照明についての公募もあります。(昨年度は補助率1/3。今年度は公募法人の移行あり)
 また足立区では、5,000円以上の住宅用のLED照明を購入し、申請すると3,000円分の区内共通商品券をもらえます。
 LED照明の設置をする際には事前の申請が必要な場合や、国と自治体の両方で補助金をもらえることもあるので、確認しておくとよいでしょう。





H23.6.10
早期復旧に向けた雇用対策予算案


第一次修正予算・特別措置法が成立
 東日本大震災からの復旧に向けた国の補正予算が5月2日に成立しました。
 財源は追加国債を発行せず、子ども手当の減額や基礎年金国庫負担の年金特別会計への繰り入れ減額など、歳出の見直し等によりまかなわれます。
 雇用・労働関係予算の1兆1,130億円は、助成金の拡充や就労支援を行う事としています。そこで年金・医療・労働の主な特別措置について見てみましょう。

厚年保険料・健保・介護保険料免除の特例
 災害地域における事業所において、震災で賃金の支払いに著しい支障が生じている場合、厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料が免除されます。又、被災で事業が影響を受け、賃金に著しい変動があった場合、賃金に変動の生じた月から標準報酬を改定する事ができます。

遺族基礎年金等の支給事由の特例
 通常、行方不明者については、民法第30条2項により、1年後に失踪宣告が行われるまでは死亡の確定ができない為、遺族基礎年金も受けられません。今回は3ヶ月間生死不明である場合でも震災当日死亡したものとして遺族基礎年金が支給されます。

労働保険料の免除
 平成23年3月11日に適用事業場が特定被災区域にあり、震災で賃金の支払いに著しい支障が生じている場合、最長で23年3月から24年2月までを免除対象期間として労働保険料の免除が受けられます。

労災保険の遺族(補償)年金特例
 労災保険の遺族年金は、震災後3ヶ月間生死不明者や3ヶ月以内死亡者の遺族に対し、遺族(補償)年金が支給されます。

雇用保険の延長給付の拡充
 特定被災区域(東京都を除く)の適用事業所で働いていた人で、震災で失業・休業状態を余儀なくされた場合に受給できる雇用保険の基本手当は60日分の個別延長給付が受けられますが、さらに60日分が加えられます。

助成金の拡充
 雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金は、これまでの支給日数に関わらず、今年3月11日から1年間に開始した新たな休業について最大300日分を助成金の対象としました。又、特定求職者雇用開発助成金を拡充し、被災者の転職や被災地域に住む求職者を雇用した事業主には、中小企業では90万円が支給されます。





H23.6.9
セクシャル・ハラスメント

企業で、ともすると起こりがちなトラブルの一つに「セクシャル・ハラスメント」があります。すなわち上司・同僚等から性的な言動を受け、それにより、ある労働者にとって、人間関係上著しく働きにくい職場環境となってしまったならば場合によれば違法となります。

男女均等法の定め
 平成11年4月施行の改正男女均等法で「職場におけるセクシャル・ハラスメントの防止対策」が定められました。(平成19年の法改正で「男女を問わない措置義務」に変更)ここで言う「職場」とは、事業主が雇用する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外であっても、例えば、取引先の事務所、取引先と打ち合わせをするための飲食店、顧客の自宅等であっても、当該労働者が業務を遂行する場所であれば該当します。
 「性的な言動」とは「性的な内容の発言及び性的な行動」であり、次の二つの種類があります。
「対価型セクシャル・ハラスメント」
 労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が解雇・降格・減給等の不利益を受けること
「環境型セクシャル・ハラスメント」
 労働者の意に反する性的な言動により、女性労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等就業する上で看過できない程度の支障が起きること

使用者の義務と留意点
 男女均等法第11条で、職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮義務として事業主が講ずべき対策が次のように示されています。
1)事業主の方針の明確化及び周知・啓発
2)相談・苦情に適切に対処するために必要な体制の準備
3)職場におけるセクシャル・ハラスメントが生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応
4)上記1)〜3)と併せて講ずべき措置として、相談者・行為者のプライバシー保護・相談又は事実関係確認への協力を理由とする不利益取り扱いをしないこと




H23.6.8
被災者を雇い入れた時の助成金

被災者雇用開発助成金
 東日本大震災により、多くの方が離職を余儀なくされています。このたび、震災による被災離職者及び被災地域に居住する求職者の方を、ハローワーク等の紹介により、継続して1年以上雇用する事が見込まれる労働者として雇い入れる事業主に対して(1年未満の有期契約を更新する場合も含む)助成金が支給されることになりました。 この措置は平成23年5月2日以降の雇い入れで、雇用保険の一般被保険者として雇い入れる場合が対象となります。

対象となる労働者とは
1.震災により、離職された方(以下の@からBのいずれかにも該当する方
@東日本大震災発生時に被災地域(震災に際し、災害救助法が適用された市町村の地域で東京都以外の方)において操業していた方
A震災後に離職し、その後安定した職業に就いた事のない方
B震災により離職を余儀なくされた方
2.被災地域に居住する方
@震災後に安定した職業に就いた事のない方
A震災により被災地域外に住所又は居所を変更している方も含むが、震災の発生後被災地域に居住する事となった人は除外。

支給額はいくらか
 対象労働者に支払われた賃金の一部として、次の金額が支給対象期間(6ヶ月)ごとに1年分が支給されます。
●短時間労働者(1週間の所定労働時間が同じ事業所に雇用される労働者の1週間の労働時間と比べて短く、かつ30時間未満である方)
 大企業 30万円  中小企業60万円
●短時間労働者以外
 大企業 50万円  中小企業90万円

支給申請手続きは
 助成金は上記の額を6ヶ月毎に2回に分けてハローワークに申請します。
 支給申請期間は雇い入れから6ヶ月間の
第一期目とその後の6ヶ月間の第二期目の各々の末日の翌日から1ヶ月以内です。
 利用に当たっては対象労働者の証明書類の添付等も必要ですのでご確認ください。





H23.6.7
新年度より改定の助成金

平成23年4月1日より改定された助成金
 雇用保険法施行規則の一部改正により、助成金が大幅に見直され、今年4月から変更または統合されたものや、3月31日をもって廃止されたものがあります。
 主な助成金の見直しポイントを紹介いたします。

●中小企業定年引き上げ等奨励金
支給対象となる事業主は、「希望者全員を対象とする65歳までの契約期間の切れない継続雇用制度」から、「希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満までの継続雇用制度」に変更されました。

●緊急就職支援者雇用開発助成金→廃止

●育児・介護雇用安定等助成金
(1)両立支援レベルアップ助成金・子育て期の短時間勤務支援コース、労働者100人以下の事業主に対する支給額を変更。
(1人目)100万円→70万円
(2〜5人目)80万円→50万円
(2)中小企業子育て支援助成金
・支給対象者 平成23年9月30日までに育児休業を終了した人までを対象とし、以降廃止。(1人目)100万円→70万円
(2〜5人目)80万円→50万円

●育児休業取得促進等助成金
 雇用保険の被保険者が育児休業や短時間勤務の期間中、事業主が経済的支援をした時の助成金→廃止

●中小企業基盤人材確保助成金
・生産性向上に伴う雇入れ助成→廃止
・新分野進出等に伴う雇い入れ助成→対象となる分野を新成長戦略において重点強化の対象となっている「建築・環境分野等」に限定

●中小企業雇用安定化奨励金
「短時間労働者均衡待遇推進等助成金」と統合し、「均衡待遇・、正社員化推進奨励金」が創設される事に伴い廃止

●均衡待遇・正社員化推進奨励金
 有期契約労働者や短時間労働者について、次のいずれかの制度を導入し、実際に制度適用を受けた労働者が出た時に一定額が支給される制度が創設
@正社員転換制度 A共通処遇制度 B共通教育訓練制度 C短時間正社員制度 D健康診断制度
 この制度は有期契約労働者の雇用管理改善を図るため労働協約や就業規則で制度導入を定め正社員への転換を図った事業主に支給されます。





H23.6.6
立往生の税制改正と最高裁判決への影響


 租税法律主義
 国民は法律の定めるところにより納税の義務を負い、国が課税又は税制改正をするには法律によることを必要とする。
 でも、この憲法規定は、法律による課税を定めているだけなので、後から作った法律で遡及課税することを必ずしも禁止しているわけではない、との解釈があります。
素直な日本語文の解釈として、これは正しくないと思いますが、既に何十年もの間そういう解釈運営がされてきました。

不利益不遡及の原則の確立
 平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は年初への遡及適用でしたが、遡及課税が許されるかを争った、平成20年1月29日の福岡地裁の判決は「租税法規不遡及の原則に違反し違憲無効」としました。
 この違憲判決を承けて、平成20年4月15日の参院財政金融委員会において『原則として法律は遡って適用されると考えている。ただし、不利益不遡及の原則があるので不利益な規定は、公布日以降に適用される』との国税庁見解が表明されました。
裁判所はそれでも遡及合憲を堅持
 ただし平成20年2月14日、先の判決とは全く逆の相変わらず合憲との判断が東京地裁から出ています。両方とも高裁に控訴されました。
 その後の福岡高裁は合憲、東京高裁も合憲との判決でした。勝訴敗訴の福岡の訴訟はそこで終結し、敗訴敗訴と続いた東京の訴訟だけが最高裁に上告され、訴訟が続いています。すでに上告後2年半が経過しています。そろそろ判決がありそうです。

高裁の論理とこれからの最高裁判決
 高裁の判決の論理は、不利益不遡及は合理的理由があれば許され、その判断は「立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかはなく、裁判所は基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ない」、遡及日の1月1日以前の12月18日の日経新聞に自民税制大綱が載っていたのだから、改正は予測されていた事項である、というものでした。
 三権分立の一権としての自覚がなく、政治主義的判決の色彩は予算関連法案立ち往生の今の政治状況を考えると隔世の感です。
 さて、立法の予測があれば遡及課税されても文句を言うな、というような判決を最高裁は下せるのでしょうか。





H23.6.3
つなぎ法によるつながり

日切れ法案で税制改正阻止
 予算案は国会通過したものの、予算関連法案が衆議院で立ち往生したままで、成立の見通しが立たない状況になっています。
税法本法は無期限規定として立法されますが、租税特別措置法は臨時の特例措置として立法されますので、原則として適用期限を区切って立法されます。
今回は、自民党・公明党の野党議員から、租税特別措置法の3月末日で日切れるほとんどの規定を3ヶ月間延長する「つなぎ法案」が提起され、賛成多数で国会通過していますので、現状維持がつづいています。政府の税制改正が阻止されているわけです。

3月31日が日限ではなかったので
日切れとなるほとんどの規定がつなぎ法案の対象となってはいるのですが、平成22年12月31日にすでに日切れとなっていたローン無しでの既存住宅改修(バリヤフリー改修と省エネ断熱工事)に係る10%税額控除の規定についてはつながれていません。
3月31日の日限ではなかったので、拾い漏れしたのでしょうか。つなぎ無しで今年が経過してしまった場合には、次の確定申告においてこの税額控除規定は使えないことになります。

つながれなかったその他の規定
3月31日の日限であるのにつなぎ法案の対象に取り込まれなかった所得税に係る規定としては、採石・採炭災害防止準備金、農業経営基盤強化準備金があります。政府としては、前者は廃止の予定、後者は2年延長の予定にしていました。
法人税に係る規定でつなぎ法案の対象に取り込まれなかったものとしては、試験研究費の税額控除の特例規定の中の一部分があります。

税法本法については
所得税法や法人税法などの税法本法については日切れになるものはありませんので、つなぎ法案の対象になっているものはありません。改正法案が通らないと、単純に旧規定が存続し続けるだけなので、つなぐ必要がないわけです。
ただし、もし税制改正案が今後国会通過し成案となった場合、旧規定の存続については、改正法の施行日前日までのものと、改正新規定が1月1日や4月1日に遡及適用され、結果として旧規定の存続はないことになるもの、とがあります。
租税法規不利益不遡及の原則があるので、納税者不利規定は遡及しないで施行日以後から適用、納税者有利規定は遡及して、法律の規定日から適用、となるからです。





H23.6.2
租税公平主義と給与所得控除


平成23年度税制改正において、給与収入が2,000万円以上の役員等の給与所得控除額は、収入金額に応じ、上限の245万円から徐々に減額され、4,000万円を超えると、一律125万円の控除とする内容に改正される予定です。

1.役員の給与所得控除を制限する理由
給与所得控除は、「勤務費用の概算控除」と「他の所得との負担調整」の2つの性格を有するとされています。法人役員については、一般従業員に比べ、勤務態様が必ずしも従属的でないと考えられ、給与の自己決定度合いが高いこと等を踏まえると、特に高額な役員給与については、「他の所得との負担調整」部分が過大となっていると考えられる、というのがその理由です。

2.他の所得との負担調整とは
では、「他の所得との負担調整」部分とは何か、細かくみると、@勤労性所得であり担税力が資産性所得等より低い、A給与所得の捕捉率が他の所得より高い、B給与所得は支払い毎に源泉徴収されるのでその利息相当分の調整である(京都地判昭和49年5月30日)とされています。
この意味では、高額な役員報酬に限って負担調整部分が過大であるとする上記理由は、少しずれているように思います。
一人オーナー会社の役員給与の二重控除問題が役員全体に飛び火したということかと思いますが、例えば、外資系企業や上場企業などで高額な報酬を受けている従業員と取扱いを区別する合理性はないはずです。担税力に即して公平に課税するとされる租税公平主義に反すると言えるでしょう。

3.ではどう考える?
給与所得とは、俸給・給料・賃金・歳費および賞与ならびにこれらの性質を有する給与をいう(所得税法28条1項)とされ、雇用関係またはそれに類する関係において使用者の指揮・命令のもとに提供される労務の対価を広く含む概念で、非独立的労働ないし従属的労働の対価と考えられます。
法人役員は雇用契約ではなく委任契約とされ、勤怠管理もされませんので、厳密には給与所得とは言えないでしょう。 
したがって、今後は、所得の種類を分け、その中で公平な課税方法を検討しても良いのではないでしょうか?





H23.6.1
震災関係寄附金控除 総まとめ

超法規的措置により、日本赤十字社や中央共同募金会などに義援金として寄付する場合にも『ふるさと納税』扱いとなる、とは先日、当コラムでお伝えした通りですが、今回は、寄附金控除の計算方法をまとめてみます。

所得税の寄附金控除(所得から控除)
所得税の寄附金控除額は、次の通り計算し、所得金額から控除します。
(1)震災関連寄附金の額の合計額
(2)総所得金額等×80%(通常40%)
(3)(1)と(2)のいずれか少ない方の金額
(4)(3)−2,000円=所得控除額

この震災関連寄附金とは、国、地方公共団体、日本赤十字社及び中央共同募金会等へ義援金として寄附したものを言います。

認定NPO分は税額控除を選択できる
被災者支援活動を行う認定NPO法人等が募集する国税局長の確認を受けた寄附金(特定震災指定寄附金と言います)については、上記との選択により、次の金額を所得税額から控除することができます。

(1)総所得金額等×80%−特定震災指定寄附金以外の特定寄附金の合計額
(2)(1)と特定震災指定寄附金のいずれか少ない方の金額
(3)((2)−2,000円)×40%=税額控除額(所得税額×25%を限度) 

ふるさと納税の寄附金控除(税額控除)
住民税のふるさと納税の寄附金控除額は、次の通り計算し、住民税額から控除します。
(1)寄附金(総所得金額等×30%を限度)−5,000円)=控除対象限度額
(2)(1)×10%=基本控除額
(3)(1)×(90%−所得税率)=特例控除額(所得割×10%を限度)
(4)(2)+(3)=ふるさと納税の税額控除額

この所得税率には、ご自身の所得税を計算する際に使った税率を用います。
なお、総務省は、日本政府が受け付けた義援金についても、ふるさと納税の対象になるとしています。