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H23.8.31
グループ法人税制 出資関係図という法人家系図


本年3月決算から始まった
 グループ法人に該当していたら、グループ内の各法人間の完全支配関係を系統的に示した「出資関係図」、すなわち法人家系図のようなものを確定申告書に添付しなければなりません。今年の3月決算法人からこの提出義務があることになりました。

完全なものを作ることは可能か
 国税庁の公表する質疑応答事例でも、出資関係図には、期末における完全支配関係があるすべての法人を記載するべきところ、把握できなくて漏れがあっても構わないこととしています。
 法人株主に限っても、大規模法人になると把握できないかも、と言っていますし、個人株主となると、完全な出資関係図の作製は絶対に不可能です。

個人株主の場合の作成範囲
 個人株主の場合は、個人株主の親族関係者全体を一株主のように見るので、一の個人株主の範囲に含まれるのは、
@株主等の親族
A株主等と事実婚の者
B株主等の使用人
C株主等が生活の面倒をみている上以外の者
D上記ABCの者の親族
と、いうことになっています。
 個人の親族というだけでも、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族で、この範囲ですら親族付き合いをはるかに超えています。まして、親族の誰かのお妾さんの親族、などという範囲など補足しようがありません。

不完全な系統図は税務署が完全にする?
 グループ法人税制は、完全支配関係があるグループであることを把握していたかどうか、知っていたかどうか、 にかかわらず、適用があります。
 そうすると、完全な「出資関係図」の作成が絶対的必要事項になります。さもないと、わかる範囲でのグループ法人税制ということになり、あるべきグループ法人税制として法の予定する執行が不可能になります。
 完全なものの提出が困難ということを前提にして、不完全な「出資関係図」を完全なものにする税務署の仕事が新たに生まれたようです。




H23.8.30
グループ法人税制 親子法人関係化手法の留意点と優劣


完全支配関係の判定
 グループ法人税制における完全支配関係があるか否かを判定する時期が、各制度によって異なっています。
 その主な制度の適用時期と完全支配関係の判定時期は、次の通りです。
@譲渡損益調整資産に係る譲渡損益の課税繰り延べについては、譲渡時点で完全支配関係がある場合に適用
A寄附金の損金不算入及び受贈益の益金不算入については、支出・受領の時点で完全支配関係がある場合に適用
B受取配当等の益金不算入(負債利子控除なし)については、その配当等の額の計算期間を通じて完全支配関係を有している場合に適用

完全支配関係の判定上の留意点
 これら@ABで特にBが留意すべき事項で、制度の恩恵を受けようとしても、適用要件が過去の期間に遡及しています。
 完全支配株式と言えるためには、配当の受取法人が、配当の計算期間の最初から最後まで継続してグループ内法人である場合に限られています。半年以上1年未満の場合は100%子法人ではあっても、25%以上支配の関係法人株式になってしまいます。
半年未満だと、一般の株式と同じ扱いです。
従って、組織再編を適格にて行って完全親子関係にしたとしても、その後の法人間の行為では必ずしも完全支配株式や関係法人株式に該当しないことになることがあります。

配当の源泉所得税に落とし穴
 先の@ABのほかに、配当に係る源泉所得税を法人税額から控除する場合においても、配当計算期間内の元本所有期間での月数按分の規定がありますので、同じく組織再編を適格にて行った場合でも、予想外の落とし穴に陥込むことになりかねません。
 ただし、株式移転による組織再編だけは、受取配当金の益金不算入や配当源泉所得税の法人税額控除の場合においても、期間の遡及規定に耐えて、規定されている制限の対象からはずれていますので、組織再編手法の選択に制約がないとしたら、会社分割、株式交換よりも、まずは株式移転を手法に選択できるかどうか考慮すべきです。




H23.8.29
年俸制の留意点

 「年俸制」とは「働いた時間の長さでなく、労働者の能力や業績に応じて賃金を決定する制度」で、例えば年俸額を17等分し、12を各月払い、5を年2回の賞与として支払う支給方法が多いと言えます。

「年俸制」の活用方法と効果
 「年俸制」を適用するのが適した労働者は主に次の通りです。
@労働基準法第41条第2号で労働時間の規制が除外されている管理監督者・機密事務取扱者
A労働基準法第38条の2で、労使協定により、みなし労働時間制を合意し、それに応じた年俸が設定されている企画型裁量労働制・専門業務型裁量労働制適用対象者
 「年俸制」を採用した場合は「目標管理制度」等による成果目標達成度・能力発揮度の評価結果に応じて年俸額を改訂することにより、労働者の自発的努力を引き出すことができます。
 しかし、経営者がこのような効果を期待しても、特にAのケースで、実際には「時間外割増賃金」を支払わなければならないリスクが生じますから、制度設計・運用上注意が必要です。

経営者・人事部門の留意点
 「年俸制」を採用する場合、経営者・人事部門は次のリスクに留意して制度設計・運用管理を行い、制度活用に期待する効果をあげて頂きたいと思います。
【リスク1】
1週又は1日の実際の労働時間が労使で協定した労働時間を超えた場合は、「時間外割増賃金」を支払わなければならない。
【リスク2】
 年俸をあらかじめ月払いの部分と賞与部分とに分けて設定してある場合の賞与は、法令上の賞与の定義(「賞与は支給額を予め設定していないもの・昭和22年・通達第17号」)に該当せず、「平均賃金」や「時間外割増賃金」の算定基礎に算入しなければならない。このリスクが【リスク1】のケースに適用されると高額な「時間外割増賃金」を支払わなければならない。
 リスクを回避する方策としては、労使協定の前提として、対象労働者自らが労働時間を短縮しつつ成果をあげる生産性の高い仕事の進め方を意識する評価制度を設け、年俸中の賞与は会社業績や個人の成果・能力に応じて変動させることが必要です。





H23.8.26
グループ法人税制
制度有利適用への親子関係化

親子関係化の手法
グループ法人税制の下では、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、親子関係に組み直しておくのがベターです。その場合の持株会社設立や兄弟会社の親会社化手法としては、
@ 新設分割をして事業を分社化する
A 株式交換をして完全親会社になる
B 株式移転により完全親会社を新設する
などが挙げられます。

分社型新設分割による事業移転
 @の場合、会社分割でできるのは、子会社か兄弟会社に限られるので、親会社をつくることはできません。
 したがって、この手法は、現在一社しか存在しない状態をグループ法人化する場合の選択と言えます。なお、分割型分割は兄弟会社を設立するときの手法なので、ここでの選択からは外れます。
 分社型分割の手続きとしては、設立される分割子会社に資産と事業の全部または一部を移転し、その対価として分割子会社が発行する株式の全部を分割元となる会社が受け取ります。

株式交換による完全親子関係化
 Aの場合、株式交換は既存の会社同士の組織再編行為なので、現在一社しか存在しないとしたら、新規に会社を設立しその会社との株式交換をすることになるし、すでに兄弟会社があるとすれば、その中の親会社にふさわしい会社を相手に株式交換することになります。
 手続きとしては、子会社となる会社の旧来の全株主の全株式を親会社となる会社に引き渡し、代わりに親会社となる会社の株式の交付を受けます。

株式移転による完全親会社の新設
 Bの場合、株式移転は新会社である親会社を設立する組織再編行為です。
 手続きとしては、子会社となる会社の旧来の全株主の全株式は新設で親会社となる会社に引き渡され、代わりにその親会社の設立に伴う株式の交付を受けます。

これら@ABの結果
これらの結果、一つの会社が他の会社の100%株主である完全親会社となり、他の会社は完全子会社となり、法人を100%親会社とするグループ法人が成立します。





H23.8.25
ワークデザイン


 問題解決の代表的技法にはQC(クォリティー・コントロール・品質管理)が物やサービスの品質のバラツキを小さくして均一な製品を作ったり、品質改善を図るのに用いられ、IE(インダストリアル・エンジニアリング)が作業や動作のスピード改善に用いられる分析的技法であるのに対してワークデザインと言う製品や仕事の機能・仕組みの改善を対象とした演繹的技法があります。
 ここではワークデザインの特徴・活用法について概要を説明しましょう。

ワークデザインの特徴
ワークデザインは仕事の仕組みなどが本来果たしたかった目的を再定義し、新しい仕組み(システム)を構築する演繹的アプローチ(このようにありたい、と言う理想システムを描き、そこに接近しようとするアプローチ)で、現状の枠組み、制約を外したところからスタートして現実的システムへと集約する方法です。
 例えば、ある商品の機能向上によって競合他社に差をつけたい場合、その商品に対するクレームなどから、機能上の問題点を見出して改善しようとするのが、分析的方法であるのに対して、その商品が本来持つべき理想的機能をあらゆる制約を外して描いた上で、そこに到達するための障害を調べて除去することによって理想システムへ接近しようとする方法がワークデザインです。
分析的改善技法では小さな部分改善の積み重ねになり、大きな改善に結びつきにくいのに対して、ワークデザインの演繹的発想は、現状に捉われにくく、画期的な改革に向いており、企業のあらゆる仕組み(システム)の抜本的変革(リエンジニアリング)に役立ちます。

経営者のワークデザイン活用法
@ 現状の経営において、何を改革したいか、まずテーマの設定を行いましょう。
A そのテーマに関係する知識・経験を持つ有能な社員を集めてプロジェクトチームを編成しましょう。
目的が明確で、有能な社員が集まれば、“ファシリテーション”によって衆知を集め、“ワークデザイン発想による改革”が可能になります。





H23.8.24
振替休日と代休

振替休日と代休の考え方の違い
 振替休日と代休は似てはいますが割増賃金の扱い方は違っています。休日に仕事が生じた場合、出勤予定の休日を通常の労働日と振り替える日を事前に決めておく事を振替休日と言い、これは休日と通常の労働日を交換するだけなので休日出勤という事ではありません。一方で休日労働させた後に他の労働日に代休を与えるのは、後から休みを取ってもすでに休日出勤した事実が残るので、休日労働の割増賃金が必要になります。

割増賃金の要・不要
 振替休日は休日の入れ替えをするだけなので、休日労働に対する割増賃金は発生しません。しかし休日を振り替えたことで一週の実労働時間が一週の法定労働時間の40時間を超えた場合は超過分が割増賃金の対象となってしまいます。割増賃金が発生しないよう振替休日をとらせても、結果として超過した時間が割増となってしまわないようにするには、同じ週の中で振り替えをすることが良いでしょう。

振替休日の日に休めなかったら
 せっかく振替休日を決めていても、業務の都合で休めないことがあります。その場合、再振替はできるのでしょうか。法律上では再振替は禁じられていませんが労基法では4週4日の休日が確保される必要があります。しかし再振替により賃金支払い期を越えてしまうことがあります。賃金支払い期の範囲内で振替休日が取れないときは休日の割増賃金として精算するのが適当でしょう。ただし4週4日の法定休日でない場合の他の休日出勤については、必ずしも4週間以内に振り替えをしなくとも社内規定等で決めておけばさらに先の日に振り替えも可能でしょう。

振替休日制度を導入するには
 振替休日制度を会社に導入するときは、就業規則等にその方法を定めておくことが必要です。注意点は
@ 遅くとも振り替えられる日の前日までに通知する。
A 1週1回か4週に4日の休日が与えられていること。
B 労働者の同意がある等でしょう。
 就業規則のない会社でも書面でこの制度について定めておき、労働者の方たちに周知することで制度を利用することができるでしょう。





H23.8.23
グループ法人税制
受取配当等の益金不算入制度


受取配当等の益金不算入の制度の趣旨
配当支払法人における配当の支払原資に対して法人税課税がされていて、配当受取法人において更にその受取配当等に法人税課税されると、これは二重課税であると解されて、その排除を目的として益金不算入の規定が設けられています。
ただし、配当収益の元本である株式の取得に際して投資した額を確保するために要した負債の利子は益金不算入額の計算上減算控除されます。利息が費用として損金算入され、収益が益金不算入では、逆の二重控除となるからです。

100%グループ内の場合の特例
完全支配関係にある親法人が受ける子法人からの配当等の額については、益金不算入とするだけでなく、負債の利子の額の控除もしないことになっています。
 この規定は、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性を確保する観点や、完全支配関係にある法人からの配当は、グループを総合的にみて、別な事業部門から間接的に行われる資金移転と考えられる、ということから趣旨説明されています。

制度適用の要件と制限
 ただし、作為的に完全支配関係を構築しても直ちにこの適用が受けられるようになるわけではありません。
ここにおける完全子法人株式とは、期末時点で完全支配関係があるというだけでなく、配当等の額の計算期間の開始の日から計算期間の末日まで、配当受取法人と配当支払法人との間に、完全支配関係があった場合の株式をいう、と極めて制限的に規定されているからです。

制限が緩和されている場合もある
 なお、適格合併等があったことにより新たに完全支配関係を有することとなった場合でも、その適格合併等で引き継ぐこととなったその完全子法人株式についての保有期間は引き継ぐことになっていますので、適格優遇の配慮はあります。
 また、その支払を受ける配当等の額がみなし配当等の額である場合に、その金額の支払に係る効力が生ずる日の前日において法人と他の内国法人との間に完全支配関係があれば、それだけで要件を充足しますので、配当計算期間における保有期間制限には拘わりません。
 株式移転による完全親会社もこれらの制限から解放されています。





H23.8.22
グループ法人税制
現物分配の使い勝手のよさ

現物配当と現物分配
現物分配とは、剰余金の配当等またはみなし配当により株主等に金銭以外の資産が交付されることをいいます。
会社法で定める現物配当とはこの規定の上では同じですが、税法上では組織再編の実行行為と位置づけされ、配当行為としても排除したので、会社法とは異なる命名とされました。

現物分配の組織再編機能
現物分配が組織再編行為と言える典型例は、子会社株式を親会社に現物配当することなどに見られます。それにより、子会社が兄弟会社になってしまいます。
会社分割により、グループ内の他の会社に財産を異動させる行為も、現物分配により同じ目的を達することが可能です。

完全支配関係下の現物分配
100%支配グループ内の現物分配は自動的に適格現物分配とされ、他の組織再編制度と同じく、簿価による資産移転なので譲渡損益課税から解放されています。
資産の移転を受けた法人においても、移転直前の帳簿価額により取得したものとされ、その受けたことにより生ずる収益は益金不算入です。

配当の仲間から除外
適格現物分配は、配当ではないとの扱いなので、収益の益金不算入の意味は、「受取配当金の益金不算入」の規定の適用ではなく、最初から、組織再編的に利益積立金への直接異動として処理します。
それゆえ、現物配当は源泉徴収の対象にもなっていません。
とは言え、これは株主への配当に係る制度を利用しての行為なので、子会社や兄弟会社への財産の移転には使えません。

現物分配行為の留意点
完全支配関係については、現物分配の直前に完全支配関係があることのみが要件で、その後のその関係の継続は要求されていないので、組織再編機能としても、まことに使い勝手のよい制度です。
なお、現物分配は一つの行為で複数の者を被現物分配法人とすることがありますが、その場合、その中に個人、外国法人、公共法人、公益法人等又は人格のない社団等が一者でもあれば全体が非適格となる、という制約もあります。





H23.8.19
借地上の建物の増改築について

禁止の特約がなければ自由
 本来、借地権者がその所有する建物を増改築することは自由です。しかしながら、増改築を禁ずる特約を設けることは有効であり、その特約がある場合には、地主の承諾を得るか、裁判所より承諾に代わる許可を受ける必要があります。
 因みに、増改築禁止特約がない場合でも地主が承諾料をとったり、承諾増改築を理由に契約解除を主張する例もありますが、これは法律に対する誤解です。

「増改築」と「修繕」
 ここで、増改築と異なる概念として「修繕」が問題となります。借地権者としては、建物にガタがきたときに修繕したくとも、地主に「それは増改築だ、まかりならん」と言われては困るわけです。この点、修繕とは、目的物の完全な使用収益を妨げる障碍を除去し、完全な使用収益ができるように従前の状態とほぼ同じ状態にすることといえます。例えば、屋根瓦が破損して雨漏りがする場合に、その破損した瓦を破損していない瓦と取り替える行為がこれにあたります。そのような借地上の建物の維持、保存を図る通常の修繕を禁ずることは特約をもってしてもできないと解されています。
これに対し、通常の修繕を超えた大修繕、つまり、壁、柱、床、梁、屋根又は階段の過半にわたる修繕、建物の耐用年数に大きな影響を及ぼす程の規模の修繕は、これはもはや増改築の域に達しており、これを無断で行うことを禁ずることは許されます。

増改築の許可申立の裁判
借地権者が増改築の許可を裁判所に求めるためには、図面又は仕様書等によって求める工事を特定して申立て、増改築をすることが通常の利用上相当であることを具体的に主張、立証することが必要です。それで裁判所が申立を相当と認めたときには、一定の金額の支払を条件に増改築の許可を出します。東京地裁における相場としては全面改築で更地価格の3%程度と言われています。

承諾がなくても、解除されるとは限らない
 地主の承諾も裁判所の許可なくなされた増改築は契約違反で契約解除事由となります。もっとも、裁判所は、通常の土地の利用上相当で、地主に特段影響を及ぼさず、信頼関係を破壊するようなものでない場合は、解除を認めていません。





H23.8.18
グループ法人税制 寄附金と受贈益の取扱い


資金調達の中立性
 100%支配グループ内の法人による完全支配関係にある内国法人間の寄附金については、支出法人においては全額損金不算入、受領法人においては全額益金不算入となります。
 この規定にも、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性の確保と言った制度創設の趣旨が伺えます。

制度対象の限界
 ただし、この寄附金の取扱いは、100%支配グループの中の、法人によって支配されている内国法人にのみ適用されます。直接の株主として個人株主が一部にでもいる法人が寄附の当事者になっている場合には、適用されません。株主個人間の財産の異動にこの制度が節税策として利用されるのは困るとの理由で法人支配に限っているからです。

制度誘導している組織関係
 そうすると、これからは、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、兄弟会社の上に全会社を統括する持株会社を設けて親子関係にするとか、兄弟関係を親子関係に組み替えるとか、ということが複数法人間の関係のあるべき姿として制度誘導されていくことになるのではないでしょうか。

子会社株式簿価修正という課題
 また、100%支配グループ内の寄附金の制度は、親会社に新たな事務を課しています。子会社に寄附の授受の事由が生じたら、その子会社株式簿価に、益金不算入・損金不算入となった寄附金の額相当額を加算・減算する簿価修正作業をします。
 目的は、グループ法人間の寄附についての制度を利用して、グループ法人間で株式価値の移転を企図し、株式価値の小さくなった子会社株式の譲渡により作為的に損出しすることを防止することにあります。

簿価修正強制の及ぶ範囲
 この帳簿価額の修正は、グループの頂点の法人株主まで連鎖的に行うことが制度の整合性の観点から望ましいものの、制度の実行可能性から、直接の株主段階のみ行うこととされています。直接の株主が個人株主の場合には、個人株主に法人税のこの規定を及ぼすことはできませんので、寄附修正の効力はここで行き止まりです。





H23.8.10
子育て関連助成金 今後の予定

変更される子育て関連助成金
 子育て関連の助成金として厚生労働省が管轄している主なものとしては、「中小企業子育て支援助成金」と「両立支援レベルアップ助成金」がありますが、平成23年9月から変更点がありますので紹介します。

「中小企業子育て支援助成金」
 この助成金は育児休業の取得促進のため中小企業事業主(従業員100人以下)に対して初めて育児休業者が出た場合に助成金が支給されます。助成金額も大きかったのですが申請が増えたためか23年4月から助成額が1人目70万円、2人目以降5人目まで50万円に減額されています。さらに23年9月末までに育児休業を終了し、復帰後1年を継続勤務した人までを支給対象として終了することとなりました。

「両立支援レベルアップ助成金」
 仕事と家庭の両立を図る労働者を支援する事業主に助成金が支給されます。「子育て期の短時間勤務コース」は従業員100人以下の事業主に対し23年4月から1人目70万円に、2人目から5人目までは50万円に減額されています。

23年9月からの改正案
@組織変更による変更点
(ア)助成金の申請の受付・支給を21世紀職業財団から労働局均等室に変更
(イ)名称を「中小企業両立支援助成金」に変更
(ウ)育児介護費用等補助コース、24年1月申請分で終了
Aコース内容の変更
(ア)代替要員確保コース・休業中レベルアップコースは支給対象事業主が従業員300人以下事業主に限定
(イ)一般事業主行動計画は事業主規模にかかわらず提出を要件とする
(ウ)事業所ごとの申請から事業主(企業)ごとの申請とする
(エ)代替要員コース支給金額一律15万円
(オ)休業中能力アップコースの支給限定額は1人当たり21万円
B新たに「継続就業支援コース」を創設予定。23年10月1日以降に育児休業者が初めて出た等の要件を満たした従業員数100人以下の中小企業事業主に1人目40万円2人目から5人目に15万円を支給します。





H23.8.9
まだあった抜け穴


大きな抜け穴だった自己株税制
 高い帳簿価額の子会社株式を自己株として引き取らせることにより、益金不算入のみなし配当と株式譲渡損を発生させる節税手法がありました。
 この手法を使い、連結納税の隙間を突いて4千億円もの節税をはかった日本IBMは法令の乱用として国税当局により節税額を追徴され、現在係争中のようですが、昨年の税制改正でこれらの手法はほぼ完璧に封じられることになりました。

しかしまだあるらしい
 一般の「市場取引」での自己株取得では、買い手が誰か不明で自社株買いにあたるか分からないため、譲渡側にみなし配当課税は適用されないことになっています。
 7月25日の日経新聞の報道によると、東京証券取引所の自己株式立会外買い付け取引「ToSTNeT−3」は買い方を発行会社に限定するものなので、みなし配当発生取引に該当する可能性が高そうです。

公開買付による自己株取得は
 公開買付による自己株取得については、相手が誰か明確なので、譲渡法人については一貫して、みなし配当発生取引としてきましたが、個人譲渡者については、昨年平成22年までは、単なる市場売却とする扱にしていました。ただし、今年からは、これも法人と同じ、みなし配当発生取引です。
 なお、平成22年税制改正では、
@公開買付に応ずる目的での取得
A100%支配関係にある会社間取引
この二つに該当する場合のみなし配当については、節税にならないように手当されました。

ゼンショーの場合は
 日経新聞の報じたところでは、ゼンショーはカッパ・クリエイトの実施した「ToSTNeT−3」による自社株買い応じて多額の節税に成功しました。これに、国税局がみなし配当対象外として20億円の追徴をした、ということです。
 ゼンショーは自社株買いに応ずる目的で株式を取得したわけではなく、また100%支配の関係にある株式でもないので、一般の公開買付の場合の扱いと異なる課税関係にすることは難しいのではないかと、思われます。






H23.8.8
グループ法人税制 譲渡取引の損益の繰り延べ

損益繰り延べの対象は
 100%支配グループ内の内国法人間での資産の移転は時価で行われますが、譲渡損益は繰り延べとなります。
 対象資産は、固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産などで、譲渡損益調整資産と名付けられています。商品等の棚卸資産や帳簿価格が1,000万円に満たない資産は繰り延べの対象から除かれます。

繰り延べの当初処理と事後処理
 繰り延べは譲渡側だけの問題で、譲り受け側は普通に時価取得したということです。
繰り延べられた譲渡損益は、その資産が減価償却資産・繰延資産という償却対象資産の場合は、譲渡先法人の償却費計上等に合わせて原則法や簡便法の計算に従って算定される金額が戻し入れられます。
それ以外の資産の場合には、完全支配関係が消滅したり、その譲渡された資産が再譲渡、除却、評価替え等された場合に、繰延譲渡損益の全額が戻し入れられます。

繰り延べ後の処理のための手続き
 なお、完全支配関係があるとはいえ、譲渡法人と譲受法人は別法人ですから、譲受法人において譲渡損益の戻し入れ事由が生じたことを、譲渡法人が知ることは必ずしもできません。そのため、グループ法人税制の適用を受ける場合、譲渡法人及び譲受法人は相手方に対して、譲渡損益の戻し入れを行うために必要な情報を通知し合うこととされています。
具体的には以下の情報を通知し合います。
@譲渡法人から譲受法人に対して、譲渡損益調整資産に該当するか、償却資産に係る譲渡損益の戻し入れが簡便法によるかを。
A通知を受けた譲受法人から譲渡法人に対して、譲受有価証券が売買目的有価証券とされるか、損益戻し入れ簡便法資産に適用する耐用年数又は支出の効果が及ぶ期間を。
B譲渡損益の戻し入れ事由の発生の有無を。

適法な完全支配関係とその判定時期
 この譲渡損益の繰り延べの制度の対象は、内国法人である普通法人と協同組合等に限られますので、譲渡法人又は譲受法人が外国法人、公共法人、公益法人等、人格のない社団等である場合には適用されません。
この制度の適用にあたり、譲渡法人と譲受法人が適法な完全支配関係にあるか否かについて判定するのは、資産を譲渡する時点です。






H23.8.5
100%支配グループ内のグループ法人税制の創設と要点


今後の法人税制の大枠
 法人税制は、個々の法人に対する税制度であるとともに、連結グループ全体を一つの納税主体として選択した連結納税制度と、さらにその中間に位置する、100%支配グループ法人間に強制適用されるグループ法人税制度とに体系的に整理されました。

グループ法人税制の対象
 発行済株式等の100%を直接又は間接に保有する関係のある法人のことを完全支配関係にある法人といい、完全支配関係にある法人グループ内の取引や行為について規制するものです。
個人又はその個人の親族、すなわち、6親等内の血族、3親等内の姻族によって100%支配されている会社同士はグループ法人とされます。

グループ間取引の円滑化
 この制度の大きなメリットは、グループ内での資産や資金の移転を課税なしに行うことができることです。グループ法人間で行った取引については、会計上での損益の認識にかかわらず、法人税法上では原則として申告調整によりそれを留保し、一定の要件が整うまで、損益を認識しません。
 そのため、課税関係の配慮に頓着せずに効率的に事業用資産の配置換えをしたり、資金の移転をすることができます。

使いこなせればメリット
 なお多くは、グループ内の譲渡益の繰り延べのイメージで制度説明をしているものの、実は譲渡損を出しにくくすることを狙っている制度と言えなくもありません。
しかし、譲渡損を絶対的に認めないという制度ではないので、複雑になりはしたものの制度をうまく使いこなせば、逆に不都合をうまく回避しつつ、メリットを享受することができます。

創設された主項目
 次は、グループ法人税制における主な事項です。
100%グループ内の
1.法人間の資産の譲渡取引
2.法人間の非適格株式交換等
3.法人からの受取配当等
4.法人間の現物分配
5.法人間の寄附金と受贈益
6.法人間の自己株式の取得等
7.解散子会社の欠損金引継ぎ





H23.8.4
サラリーマンの夜間アルバイト通災と割増


夕方からのアルバイト
就業規則等で正社員の兼業を禁止している企業もあると思いますが、アルバイトは翌日の業務に差し支えなければしてもよいというところもあるでしょう。
 例えばこのような会社のサラリーマンやOLが夕方からパートタイマー等でアルバイトに行った場合は、その通勤途上の事故や労働時間から見た割増賃金はどのような扱いになるのでしょうか。

アルバイト先へ行く時の通勤災害
 一つの仕事を終え、次にアルバイトへ行く途中で事故にあった時は第二の事業所の通勤災害となります。この場合の移動は第二の事業所で働くために行われた通勤ということになるからです。もちろん通勤経路は「就業に関し、合理的な経路及び方法」であり、経路の逸脱や中断は対象になりません。
 通勤災害で休業したときは、第二事業所で受けている賃金に対して休業補償給付がされることになります。

アルバイト先での割増賃金
 第一の職場でフルタイム勤務した後に第二の職場で働いた場合、割増賃金は発生するのでしょうか。
 一日8時間労働の法定労働時間を超えた段階でその労働に対して、割増賃金の対象になります。これは事業場が異なる場合でも1日の労働時間を通算することが労働基準法第38条1項に記されています。
 労働者には第一の事業所の労働時間を報告させ、通算して8時間を超えた分は割増賃金となりますが、第二の事業所では、同じ時間帯に同じ労働を行っている他のアルバイトがいる場合、時給が違ってくるので雇う側からすると不合理に感じるかもしれません。このような方を雇う場合にはあらかじめ割増賃金も想定した時給を考えた方が良いのかもしれません。

労働者が昼間勤務を虚偽報告した時
 第二の事業所では本人から「昼間は働いていない」「短時間勤務している」と報告されていたとして、それが虚偽であって、結果として時間外労働が生じたとしても、民事上割増賃金の支払いは必要とはされます。しかし、この企業に責はないため割増賃金を支払わなかった場合でも、労基法違反とはなりません。





H23.8.3
パートタイマーとの労働契約

パートタイム労働者は1,500万人
 今や雇用されている人の4分の1がパートタイム労働者(以下パート)として働いています。パートタイマーとは元々フルタイム労働者に対し、一部の時間を働く者を指しています。パート労働者の事を短時間労働者とも言いますが、パートタイム労働法によると1週間の所定労働時間が同一事業所で働く通常の労働者より短い者を言います。実態はパートにも概念はいろいろあり、時給や日給の方で労働時間は通常の労働者と同じであるような方はパートタイム労働法のパートではありません。正社員でない労働者の呼称としてパートと呼んでいる場合もありますし、有期雇用契約者を指している場合もあります。実際は期間の定めのない契約も有り、雇用形態は様々です。

パートタイマーの分類と雇用管理
以上のように一口にパートと言っても色々な雇用形態がありますが、大きく分けると次の二つで、この二つの各々の組み方で4通りの雇用パターンが考えられます。
@通常の労働時間か、短時間勤務か
A有期雇用か、無期雇用か
 短時間労働者はパートタイム労働法の対象者となります。その法の趣旨は均衡のとれた待遇です。

労働条件は書面で明示する
 パートタイム労働法では、長期に渡り、通常の労働者と職務の内容や、人材活用の仕組み、運用が同一であり、雇用期間の雇用期間の定めがない場合には、賃金を通常の労働者と同一方法で決定する努力義務があります。又、労働条件を通知書等書面で明示することが必要です。記載内容は契約期間があればその期間、仕事の場所と内容、始業終業の時刻、休憩、休日、賃金、退職に関する事項等を記載します。特に後からトラブルになりやすい昇給・賞与、退職金の支給の有無については、必ず記載することとなっています。

有期雇用のパートの雇止め
 労働契約書に更新の有無が記載され、契約更新する場合は、更新の基準を示す必要があります。雇止めをする時は、3回以上更新している場合や1年以下の契約を繰り返し、結果として1年以上継続雇用している場合には期間満了日の30日前までにその予告をしなくてはなりませんので注意が必要です。





H23.8.2
個人住民税の均等割について

1.均等割と所得割
個人住民税の税額は所得に関係なく定められている均等割額と、所得について課税される所得割額とに区分・計算されます。
住民税には都道府県民税と市町村民税があり、均等割については現在それぞれ1,000円、3,000円(合計4,000円)で、所得割の税率は、それぞれ4%,6%(合計10%)となっています。

2.居住地と事業所が異なる場合の均等割
居住地(納税地)と異なった事業所で事業を行っている場合、居住地で住民税が課税されるのは勿論ですが、事業所地においても均等割(4,000円)が課税されます。そのため、都道府県民税の均等割(1,000円)については、居住地と事業所地で重複課税がされていることになります。

3.均等割が非課税になる場合
 まず生活保護法の規定により生活扶助を受けている者、または障害者・未成年者・寡婦(寡夫)で、前年の合計所得金額が125万円以下の者が非課税となります(この場合は所得割も非課税)。
さらに、前年の合計所得金額が一定の基準以下の場合にも非課税となります。例えば、控除対象配偶者と扶養親族がいない場合の一定の基準(基本額)は、1級地(35万円)、2級地(35万円×0.9)、3級地(35万円×0.8)と級地区分によって異なります。
 この級地制度は生活保護法に基づき、所在地域別に3級地6区分制をとり、地方自治体単位でそれぞれ級地区分を指定しています(厚生労働省HP参照)。

4.所得割なし、均等割あり
一方、所得割には級地区分はなく、上記のような条件で非課税となる場合の基準は35万円ですから、合計所得金額が35万円以下の人には所得割は課税されません。
しかしながら、2級地の場合の基本額は35万円×0.9=31.5万円、3級地の場合の基本額は35万円×0.8=28万円となり、合計所得金額が35万円を下まわって所得割が課税されなくても、均等割の4,000円が課税されることがあります。





H23.8.1
海外視察旅行は気をつけて

 同業者団体等の視察旅行は、「往々にして視察に名を借りた観光旅行である」と税務署は考えております。そこでその取り扱いを通達で詳細に決めております。

まず業務従事割合を算出します。
業務従事割合とは、仕事をした割合と言うことでその算出方法は以下によります。
@ まず旅行日程を「視察等(業務に従事したと認められる日数)」、「観光(観光を行ったと認められる日数)」、「旅行日」及び「その他」の日数に区分します。
A「視察等の日数」÷(「視察等の日数」+「観光の日数」)で計算します。

「旅行日」と「その他」とは
旅行日とは目的地までの移動日数です。その他とは、主に土曜・日曜の休日や、いずれにも区分できない日数です。
また日数計算は、0.25日単位で行い、計算結果の業務従事割合は10%未満の端数は四捨五入することとなっています。

業務従事割合90%以上の場合
その旅行に通常要する費用の額の全額が、会社の海外渡航費となります。

業務従事割合が10%以下の場合
その旅行に通常要する費用の額の全額を会社の経費として認めません。

業務従事割合が20%〜40%の場合
その旅行に通常要する費用の額に業務従事割合を乗じた費用が会社の海外渡航費となります。

業務従事割合が50%〜80%の場合
往復の交通費を除いた、その旅行に通常要する費用の額に業務従事割合を乗じた金額と、往復の交通費の合計額が会社の海外渡航費用となります。

その他留意点
会社の海外渡航費とならない費用を、会社が負担した場合は、参加したのが従業員であれば従業員の給与又は賞与となり、役員であれば役員賞与となります。また「その旅行に通常要する費用の額」とは、概ね食事付のツアー料金を想定してます。