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H23.9.30
給料なのか? 外注費なのか?
一人親方に対する外注費


税務調査で否認もある
 業界によっては従業員の一部を、一人親方(個人事業主)として「外注費」処理している会社も多く見かけられます。税務調査では、「外注費」ではなく「給与」になるのでは?という指摘をうけることがあります。否認されますと、給与の源泉所得税の徴収漏れとして追徴されるだけでなく、消費税について仕入税額控除の否認という、まさにダブルパンチの状態になってしまいます。

線引きはどこになるのか?
「外注費」と「給与」の線引きについて一般的に、請負契約・委任契約・事務管理契約に基づくものは「外注扱い」 雇用契約に基づくものは「給与扱い」としますが、税務調査では、実態をみられます。
 給与扱いとされないためには、以下の要件が充足するようにしておくとよいかと思われます。
@受注する側が自分で請求金額を計算して請求しているか?
A発注者が受注先に発注した仕事が他人でも代替できるものであるか?
B発注者の指揮命令を受けることなく、自分の判断で業務を行えるか?
C請負契約の場合、結果の出ていない役務の提供に対して対価を支払っていないか?
E材料や用具等を発注者から供与されていないか?
受注する方が一個の事業者として反復・継続・独立して事業を営んでいることが重要になります。
独立とは自己の責任で仕事を完成することであり「万一、自分に不測の事態が生じたときは、責任をもって、代理の要員を確保して、仕事に支障のないようにする。」等の文言が、契約書に明示されていると給与認定しにくくなります。

資料を整え、体制を整えることが重要
税務調査で給与課税されないためには、やはり常日頃の準備が必要になります。
 受注する側が自分で事業所得の確定申告をしていることが重要で、会社側としても確定申告への協力体制を整えるべきです。
 外注費は、件数が多ければ、かなり金額が大きくなり、もし税務調査で給与課税されれば、そのダメージはかなり大きくなりますので、その仕事の内容をよく確認して、慎重に対処しておくことが必要です。





H23.9.29
課税売上割合 分母の額は?

 消費税の申告及び納付において、課税売上割合の計算は重要です。課税売上割合は、分母の額は「その課税期間中の国内における資産の譲渡等の対価の額」、そして、分子の額は「その課税期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額」です。
 なお、割合計算において留意すべき点は、@分母及び分子の対価の額から「対価の返還等の金額」を控除する、A税抜きで計算する、B貸倒れ分は控除しない、C輸出免税は課税資産の譲渡等に含む、などです。

資産の譲渡等と課税資産の譲渡等
 資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいい、一方、課税資産の譲渡等は、資産の譲渡等のうち法令に基づいて消費税を課さないこととされるもの(非課税資産の譲渡等)以外のものをいいます。
結果、分母の資産の譲渡等の対価の額は、「課税資産の譲渡等の対価の額」と消費税が課されない「非課税資産の譲渡等の対価の額」の合計額です。
なお、資産の譲渡等の対価に該当しない受取配当金、損害賠償金、受取保険金、還付加算金、補助金等は、いずれも分母、分子の金額には含まれません。                      
分母を構成する非課税資産の譲渡等
 全ての非課税資産の譲渡等の対価の額が単純に分母に算入されるのか、というとそうではありません。非課税資産の内容等によってその対価の額について調整がなされています。主なものは次の通りです。

(1)対価の額の全額が除外されるもの
 @本来対価を得るために引渡す通貨などの支払手段の譲渡(手形の割引等も含む)、A売掛金など資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡などがあります。

(2)対価の一定金額が算入されるもの
 @貸付金その他の金銭債権を譲受けについてはその対価である利子、A有価証券等の譲渡の対価についてはその対価の5%相当額などがあります。
この理由ですが、課税売上割合の算定目的からみて分母算入が適当でない内容や対価があり、事業者が不利にならないようにするための配慮であると言われています。
 なお、合名、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員等の持分、貸付金、預金、金銭債権の譲渡(資産の譲渡等の対価として取得したものを除く)である場合は、その譲渡対価の全額を分母に含めることになります。





H23.9.28
今年の税制改正 税控除と寄附文化の行方

寄附金控除の今年の税制改正
(1)国、地方公共団体、日本赤十字社及び中央共同募金会等への義援金については、総所得金額等の80%を限度に寄附金控除(所得控除)ができます。
(2)被災者支援活動を行う認定NPO法人等が募集する特定震災指定寄附金については、もし寄附の全額がその特定震災指定寄附金だったら、総所得金額等の80%を限度に寄附額の40%を寄附金控除(税額控除で所得税の25%を限度)とすることができます。
(3)日本赤十字社や中央共同募金会、国などに義援金として寄付する場合にも「ふるさと納税」扱いとなり、住民税の寄附金控除の額が手厚くなります。
 以上の寄附金控除には国税で2000円、住民税で5000円の足切りがあります。
(4)6月30日施行の平成23年度税制改正で特定寄附信託制度が創設されました。
非営利団体への計画的寄附を目的に金銭を信託した場合の寄附金控除と利子非課税の特例措置が設けられています。

寄附金控除に寄附促進効果があるのか
寄附金控除の制度創設や拡充が日本の寄附文化の醸成に貢献しているか、についての関西社会経済研究所調査報告があります。
●震災から約3ヵ月間の1人当たりの寄附支出額は9443円でした。寄附金を階級別にみると、最も割合で高いのは「2000円以上5000円未満」の19.0%で、「1万円以上2万円未満」は12.9%、10万円以上は1.3%でした。世帯所得が1千万円以上になると、1人当たり寄附支出額が急増し、また、寄附は件数でみると1万円未満の小口が71.1%と圧倒的ですが、寄附総額への貢献は大口が85%を占めています。
●寄附者のうち「寄附金控除」を震災寄附の誘因とした人は19.1%。つまり、80%以上の寄附者が、寄附金控除の有無に拘わらず寄付しています。

手厳しいまとめ
上記調査の「まとめ」によると、寄附金控除の拡充が寄附行動に及ぼした効果は小さく、不必要な政策であり、寄附金控除は高所得者層に対する寄付促進効果を持つものの、税収を減少させるマイナス面があるので、詳細に検証する必要がある、と手厳しい結論になっています。
しかし、もっと長い眼でみる必要もあるように思われます。





H23.9.27
特別休暇の取り扱い

 労働基準法で規定されている年次有給休暇の他に慶弔休暇等の特別休暇制度を設けている企業は多いと思います。ただ、休暇の対象者や日数や休暇中の賃金の支払いの有無などを明確にしておかないと思わぬトラブルになることがあります。

特別休暇とは
 特別休暇は法令に基づくものではなく、福利厚生の一環として恩恵的に与える休暇ですので必ずしも設ける必要はありませんが、制度として設けている場合には休暇の扱いを規定に載せる必要があります。規定する際は運用が曖昧にならないようルールを明確にしておく事が必要です。

慶弔休暇の考え方
 会社によって特別休暇は様々な制度がありますがどの会社も設けているのは慶弔休暇でしょう。従業員が慶弔の為に休暇を取った場合、賃金の支払いの有無は会社で自由に決めておく事が出来ますが、無給の特別休暇の場合、年次有給休暇が残っていればそちらを取得するでしょうし、特別休暇としての意味もあまりないものと思われます。特別休暇の本来の趣旨である福利厚生という観点から見れば有給にすることが適当かもしれません。

特別休暇制度の規程の注意点
 特別休暇は項目ごとに○日と決めてあると思います。特別休暇中に土曜日や日曜日を挟む場合は休日をその日数に含めるのか含めないのかも問題となります。もともとの休日である日は労働義務のない日であり、休暇の考え方は無いものと思いますが特別休暇は会社が自由に決めてもよいので土日を含んでも構いません。また、休暇は連続取得に限るのか分割取得は可能かということもあります。さらに取得できる期間はあるのか、対象者は正社員だけかアルバイトやパートにも適用するのかなども規定することが大事でしょう。

慶弔休暇の規程は曖昧さをなくして
 例えば休日を含むのであれば
・「特別休暇は暦日で計算し、休日も含む。」
・「本人の結婚の際は連続7暦日(入籍日より半年以内の取得に限る)」
・「配偶者、子、実父母の死亡の際は死亡の日より連続5暦日、但、本人が喪主の場合は7暦日」
等として具体的に示しておくのが良いでしょう。





H23.9.26
雇用促進税制 確定申告までの流れ

 雇用促進税制とは、前年より従業員を一定以上増やす等の要件を満たした事業主が法人税(又は所得税)の税額控除が受けられる制度で雇用促進をはかる目的で創設されました。適用を受けるためには、あらかじめ「雇用促進計画」の提出が必要です。

雇用促進税制の概要
@平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に始まるいずれかの事業年度(個人事業主はH24,1,1〜 26,12,31まで)において、 A雇用者5人以上、(中小企業は2人以上)増やし、前年度の雇用者総数に対する増加数が10%以上であった企業に対して B雇用増加数1人当たり20万円、中小企業は当期法人税額の20%を限度として税額控除が受けられる制度です。

確定申告までの流れ
 雇用促進税制の適用を受けるためには、対象となる事業主の要件をチェックし、条件が備わっている事の確認をしましょう。
@事業年度開始時 事業年度開始時2ヶ月以内に目標の雇用増加数を記載した「雇用促進計画」を作成し、納税地を管轄するハローワークに提出します。計画書-1は計画開始時の雇用者数や増加予定数を記載、計画書-2は求人の申込み予定の内容を具体的に職種や労働条件を記載します。添付書類は雇用保険適用事業所設置届の写しです。
A事業年度中 ハローワークが新規の雇入れを支援します。最寄りのハローワークに求人の申込みをします。ハローワークでは受け付け後、近隣や広範囲のハローワークに求人情報を流してくれます。
B事業年度終了時 事業年度終了後2カ月以内に(個人事業主については3月15日まで)ハローワークに雇用促進計画の達成状況の確認を求めます。必要書類は雇用促進計画-1に雇用増加数を記入し、返信用封筒(簡易書留とする)も提出します。この提出は計画期間中の雇用保険一般被保険者の取得届・喪失届の提出後、2週間程度経過後に行うようにします。
C達成状況の確認後 確認を求めた後、ハローワークからは2週間から1ヶ月程度を経て、雇用促進計画-1が返送されてくるので税務申告期限に間に合うように留意しましょう。
D税務署に申告 達成状況の確認を受けた「雇用促進計画」の写しを確定申告に添付して申告します。





H23.9.22
マイナス資本金等の歴史


マイナスはなかった以前とネーミング
 資本積立金については、平成13年の改正でマイナスの発生があり得ることとなり、平成18年からは「資本金等の額」とネーミングされるようになりました。
 利益積立金も同じで、そのマイナスとなったときの不都合がさまざま指摘されたところで、不都合への対処として法令改正が何度もなされています。

第一は自己株取得とみなし配当
 平成19年度の法人税政令の改正で、「自己株式を取得する直前の資本金等の額」がゼロ以下である場合は、所有株式に対応する資本金等の額及び減少資本金等の額は「ゼロ」とすることとされました。
 みなし配当の計算においても、マイナス資本金等の額の場合、交付金銭等の全額が、株主に対するみなし配当となることとされました。
その他、資本の払戻しや分割型分割の場面でも同様の問題があるので類似の改正がされています。

第二は清算所得の廃止
残余財産−資本金等−利益積立金=清算所得
 清算所得課税の公式はこの通りだったので、これだと、赤字つづきの会社が清算すると、マイナスの利益積立金についてのマイナス計算になり、課税所得が生ずることになってしまう不合理をもたらします。実務では資本金等と利益積立金のマイナスは清算所得計算上、法律を無視して、ゼロと扱っていました。
 この不都合を解決するために、平成22年度の法改正で、清算所得課税制度を廃止してしまいました。

第三は債務免除益への課税回避
 残余財産がないと見込まれる場合には、期限切れ欠損金(マイナス利益積立金)の損金算入が認められる、との平成22年度税制改正を承けてさらに、マイナス資本金等の額も損金算入することができるとの本年、平成23年度税制改正がありました。
 清算年度での債務免除益課税が起きないようにするためです。
 これは、一見、資本と利益の混同のように見え、事実そうなのかもしれませんが、譲渡損や評価損として損金算入されていたものが、法改正で資本金等にされることが多々あるようになったことを承けてのことと考えられます。





H23.9.21
グループ法人税制 移転資産の期中償却の可否


償却計算の平成22年改正
 平成13年から、減価償却は「各事業年度終了の時において有する」資産を対象とする、という規定になっています。
ただし、適格組織再編により資産の移転がなされるときは事業年度末とは限らないので、その移転日の前日を年度末とみなして償却計算をすることができるとされています。これを「期中損金経理」と言うと規定されています。昨年改正でこの仲間に適格現物分配が含まれるようになりました。

譲渡損益調整資産の場合の公開情報
 それでは、期中に譲渡や滅失や非適格組織再編やで、期末に存在しなくなる資産についての償却費については、「期中損金経理」をしてもよいとの規定がないので、損金算入できないのでしょうか。
 グループ法人税制についての平成22年10月6日付公開情報によると、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。

どういう理解をすればよいか
 期末に存在する資産、そして適格現物分配等での期中移転資産については減価償却に関する規定がある、ということは確かなことです。
 それに対して、期末に存在しない期中異動資産で、異動事由が適格現物分配等でないものについては、減価償却に関する定めはありません。定めが無いのだったら償却してよいのか、よくないのか。
 ここが思案のしどころですが、定めが無いのだから、償却してよいのだ、と理解すると、当局から披歴されている色々な文書情報のつじつまが合います。

期中異動資産の償却原理
 そうすると、期末に存在しない期中異動資産に係る償却規定の理解を整合的にまとめると、次のように言えることになります。
@償却費の計上が許される適格再編の「期中損金経理」規定は、優遇規定なのではなく、2ヶ月以内の税務署への届け出を課した制限規定である。
A適格再編以外での期中異動資産については、別段の定めが無いので、会計慣行による「期中償却額」がそのまま損金算入となる。





H23.9.20
ディスカウント債の税務

ディスカウント債とは
 募集広告で目にする「ディスカウント債」は、最近人気があるようです。
 ディスカウント債とは、「利付債」と「割引債(ゼロクーポン債)」の2つに分類される債券の種類のひとつで、この両分類の両方の性格を併せ持ったものです。
 利付債と同様に定期的に利子を受け取ることができ、しかも割引債のように額面から一定額が割り引かれて発行されるので、最終的な実質利回りが相当に高いことをセールスポイントにしています。

債券は国や企業などの借用証書
 債券の発行の時点で、額面金額や利率、返済日(償還日)が決まっていて、利付債の場合は、発行時に支払ったお金が償還時にそのまま戻り、保有期間中は、月1回とか年2回とか決まった利払い日に決まった利子が支払われます。
 それに対し、割引債には保有期間中の利子の支払いがなく、その代わり、額面より安い金額で発行され、償還時に額面金額が戻ってきます。

ディスカウント債の税制
 ディスカウント債は、一般の利付債と同じ課税関係です。利子は20%の源泉分離課税となります。ただ、もともと利率が低いので負担感はそれほどないでしょう。
 償還差益は雑所得としで総合課税されます。発行価格が低い分、償還差益は多く、給与所得など所得合算で課税されるので、税負担は無視できません。
 ただし、償還期間に応じた利率制限(7年未満の場合0.1%以上など)を充足していれば、償還前譲渡による利益は非課税です。償還直前の譲渡益なら償還差益とあまり変わらないので、税制有利選択を前提にすると税引き後実質利回りは一段と良くなります。

新興国のものが目立つ
 ブラジルレアル、南アフリカランド、インドルピーなど新興国の通貨建て債権が目立っています。年利率は0.5%程度ですが、償還による最終利回りが10%を超えているものが多数です。
 ただし購入には、発行体の信用リスク、為替変動リスクがあることをきちんと理解しておくことが肝要です。





H23.9.16
健康保険の扶養家族


被扶養者の認定範囲
 健康保険では被保険者に扶養されている家族も条件を満たせば保険給付の対象者となります。この家族を被扶養者と言いますが、被扶養者の認定範囲は@被保険者の3親等以内の親族で、A主として被保険者により生計を維持されている事が必要です。
 被保険者と同居(同一世帯)でなくてもよい人は@配偶者(内縁関係含む)、A子、孫、B弟、妹、C父母などの直系尊属
 同居が条件となる人は@上記以外の3親等の親族A内縁の配偶者の父母及び子です。

被扶養者認定における生計維持と年収要件
 生計維持関係の判断目安となる年収額は、
@被保険者と同一世帯にある場合
 年収が130万円未満(対象者が60歳以上又は一定の要件に該当する障害のある方は180万円未満)で、かつ被保険者の年収の2分の1未満である事。但し、2分の1以上であっても年収が130万円未満で被保険者の年収を上回らず、世帯の生活状況から考えて、生計を維持されている事が認められる場合には被扶養者になることが出来ます。
A被保険者と別居の場合
 年収が130万円未満(@と括弧内同)で、
かつ被保険者からの仕送り等の援助による
額より少ない事です。

雇用保険の失業給付等の受給
 被扶養者となる人が失業給付等を受給している間は収入があるため被扶養者とはなりませんが、受給期間が終了した時点で被扶養者の認定を受ける事ができます。但し
自己都合退職による離職で3ヶ月間の受給制限期間は被扶養者になることが出来ます。また、失業給付日額が低い時は被扶養者になれる場合もあります。

添付書類は
@所得に関する証明書(妻については証明を必要とされない場合が多い)
A在学証明書(16歳以上の子、孫)
B年金額のわかる書類 年金は受給している全ての年金の証明が必要
C別居の場合は、仕送り等の事実や金額のわかる書類
D同居が条件となる被扶養者は住民票等
 健康保険組合によっては確認事項の現況届等の提出を求められるところもありますので各組合にご確認ください。





H23.9.15
子育世帯を支えるという理念

子ども手当と児童手当
 子ども手当は民主党が平成21年のマニフェストに掲げた目玉政策で、社会全体で子育て世帯を支えるという理念に沿って、平成22年度から中学生までの子どもを対象に、所得制限なしに一律で月額13,000円を支給しました。
児童手当は子ども手当の導入前に実施されていた政策で、年収800万円程度のところに所得制限を置き、額は、1人目または2人目であれば、月額5,000円、3人目以降であれば、月額10,000円、3歳未満の児童に対する児童手当の額は、出生順位にかかわらず一律10,000円支給でした。

3党合意の新こども手当
 民主・自民・公明3党は8月4日に子ども手当の見直しで正式に合意し、今年10月から一律の支給額を変更し、0〜3歳未満は15,000円、3歳〜小学生は10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は10,000円とすることにしました。
さらに、来年度には子ども手当を児童手当に衣替えし、支給対象を世帯年収960万円以下とする所得制限が設けられます。

年少扶養親族控除も子ども手当てもない
 子ども手当の導入に伴って年少扶養控除(所得税で38万円)が廃止されており、さらに今後、年収960万円で所得制限が設けられると、夫婦でそれぞれ500万円づつ稼いでいる子育て家庭では控除も手当もなくなります。

年少扶養控除廃止と子ども手当での補填
 年少扶養親族控除が廃止されたことにより、所得税(5〜40%)と住民税(10%)は下記のようにそれぞれの税率段階に応じて、扶養親族1人当たりの税額が増えています。
38× 5%+33×10%= 5.20万円
38×10%+33×10%= 7.10万円
38×20%+33×10%=10.90万円
38×23%+33×10%=12.04万円
38×33%+33×10%=15.84万円
38×40%+33×10%=18.50万円
 所得税率33%、40%ラインの人は、今後子ども手当支給対象外です。共働き世帯では、23%ラインの人も対象外でしょう。20%ラインのところで、税の増を子ども手当の支給でやっと補填している状況です。
 子育て世代に優しくない税制がこのままでよいのか、疑問になります。





H23.9.14
特別分配金と普通分配金

 高い分配金という魅力
高い分配金を掲げた投信が人気を集めており、その高さの魅力に引かれて、毎月分配型の株式投資信託に投資しているという人がいると思います。
受け取る分配金には、特別分配金と普通分配金があり、源泉分離課税の場合でも、申告分離課税の場合でも、特別分配金には課税がされません。非課税分配金なんて美味しそうな話ですが・・・・
それがどう違うのか、ここでおさらいしたいと思います。

 勘違いをしていませんか?分配の原資
追加型の株式投信の場合、運用が始まった後も時価(基準価額)で購入できます。税金計算では、この実際に買い付けた価格を個別元本とみなします。
比較的多くの人が勘違いしていますが、投信は分配金が出るとその分だけファンド外に資産が流出し、基準価額が下がります。
この分配落ち後の基準価額が個別元本を割り込まなければ分配金は利益から支払われていることになり、これを普通分配金と呼びます。
普通分配金は配当所得として扱われ、10%の税金が源泉徴収されます。
逆に、分配落ち後の基準価額が個別元本を下回るような場合でも分配金が出ることがあります。投資家の元本の一部を原資に支払っているもので、これを特別分配金と呼びます。元本が分配金という形で戻ってくるだけなので、特別分配金は非課税になります。

 蛸あし配当の特別分配金
特別分配金はボーナスのような印象を受けますが、実際はファンドが収益を上げていなくても支払われます。
分配金の種類は郵送書類や電子交付サービスでわかるので、必ず確認すべきです。特別分配金の支払いが続くと基準価額が大きく下がることになります。分配金の水準だけではなく、基準価額の推移にも注目すべきです。





H23.9.13
今年の税制改正
FX税制の一本化


 ミセス・ワタナベとは?
2007年頃から東京のインターバンク市場にて、昼をはさんで午後になると大きな要因はないにもかかわらず、為替相場が反対方向へ振れる現象がしばしば見られ、為替のプロたちが予期せぬ損をさせられました。
こうした状況が頻繁に起こったため、原因を探っていくと、主に日本の主婦やサラリーマンなどの個人のFX投資家が、昼休みを利用して一斉に注文を出していたことが判明しました。一時は為替取引の3割以上を占め、大きな影響力を持ったため、彼女たちの逆張りに、海外にて「ミセス・ワタナベ」という呼び名が生まれました。

 取引所と店頭の税制一本化
ミセス・ワタナベに朗報となる外国為替証拠金(FX)の損失繰越・損益通算に関する税制改正が、今年成立しています。
取引所FXは現在、「雑所得・申告分離課税」に分類されており、税率は利益の金額にかかわらず一律20%。損失がある場合は3年にわたり繰越控除ができます。
一方店頭FXは「雑所得・総合課税」とされ、損失は繰り越しできず、税率も住民税と併せた最高50%にも達する累進課税の対象です。
これが、来年1月1日以降取引分から「雑所得・申告分離課税」に統一されることになりました。

 税制一本化の範囲はもっと広い
FXと同じく証拠金を預け、レバレッジをかけて取引を行うその他のCFDと呼ばれる株式や株価指数等を対象にする日経平均先物などや、更に金融商品先物取引だけでなく商品先物取引も含め、従来から申告分離の雑所得とされていたものが全て一本化されました。

 今年の決済か、来年の決済か?
FX取引では売買を決済した取引だけが、その年の確定申告の対象になります。店頭FX取引を手がけ、損失を抱えてしまっている場合は決済を来年まで先送りした方が有利かもしれませんし、雑所得の年金所得と相殺するなら今年中の決済が必要です。
「含み益」が大きい場合は、課税額の試算が必要です。課税所得が330万円以下なら年内に決済した方が納税額は少なくて済みます。





H23.9.12
今年の税制改正
目玉となった雇用促進税制

 今年度税制改正の目玉
平成23年度税制改正は大ナタを振るわれて、肝心なものが国会の店晒しの憂き目を見ていますが、そんな中で成案となったものの目玉とされているのが雇用促進税制です。
雇用の維持・促進を図るのが目的で、雇用者数の増加に応じて税額控除でき、事業規模拡大を検討している企業にとっては意味のある制度と言えます。

 使い勝手が悪そう
制度の適用には、事業年度開始時および終了時の年2回、ハローワークに雇用促進計画の書類を提出する手続を踏まなければなりません。
「雇用促進計画」を作成し、同計画の達成状況を確認した書類の写しを確定申告書に添付する必要があるからです。
制度適用を検討している法人としては事前の準備が必要です。

 優遇内容と要件
法人税額の10%、中小企業者等であれば20%を限度に「雇用増加数×20万円」の税額控除ができるというものです。
雇用者とは、法人の役員とその親族等と、使用人兼務役員以外の一般被保険者に該当する者で、要件としては以下の5つです。
@ 前年度と当年度で雇用主の都合による離職者がいない
A 前年度末の雇用者数よりも5人以上(中小企業者等は2人以上)増加している
B 基準雇用者割合(=(当年度末雇用者数−前年度末雇用者数)/前年度末雇用者数)が10%以上
C 当年度の給与等支給額が比較給与等支給額(=前年度給与等支給額+前年度給与等支給額×基準雇用者割合×30%)以上
D 風俗営業等を行っていない

 適用対象の期間と臨時の措置
雇用促進税制は、開始事業年度が、23年4月1日から26年3月31日である青色申告の法人と個人に適用されます。
新法の施行が6月30日でしたから、4月1日開始事業年度の法人にも遡及適用させているわけです。これに対応して、厚生労働省も、23年4月1日から8月31日までの開始事業年度について23年10月31日まで受け付けるとしています。





H23.9.9
罰則が厳しくなる 義務的修正申告


 修正申告は、既に提出した確定申告の税額が過少(純損失等が過大)であったとき、原則、納税者の自発的な意思に基づいて、税額の増額(純損失等の過少)修正をする申告手続きです。
 しかし、例外的に各個別税法、租税特別措置法の規定により修正申告が義務付けられているものがあります。これが義務的修正申告です。

義務的修正申告とは
 具体的には、収用交換等により代替資産をした場合や特定事業用資産の買換えをした場合など、ある年分の確定申告において暫定的に処理しておいたものが、その後の年において確定し、結果として、特例の適用要件を満たさなくなったり、または代替資産等の取得価額に変更が生じ、課税標準又は税額が増加した場合に提出する申告書です。

義務的修正申告書の提出期限等
 この義務的修正申告の提出期限は、原則、それぞれ定められた事由が確定した日から4か月以内です。
また、増加した税額も当該期限内にその税額を納付しなければならないことになっています。

義務的修正申告と附帯税
 義務的修正申告書がその提出期限内に提出されたときは、その修正申告は期限内申告とみなされ、この義務的修正申告による増差税額について過少申告加算税や延滞税といった附帯税は課されないことになっています。

課税の適正化に向けた対応
 この義務的修正申告には、附帯税の免除といった恩典があるにもかかわらず、提出期限の遵守がなされなかったのでしょうか。
 そこで、昨年の税制改正では、この義務的修正を怠った場合には、秩序犯として、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになりました。
 さらに、今年の税制改正(平成23年6月30日公布・施行)では、故意の申告書不提出によるほ脱犯が創設され、提出期限までに提出しないで所得税を免れた者は、5年以下の懲役、500万円以下の罰金に処されるか、又は併科されることになりました。
 なお、この罰則規定は、公布の日から起算して2月を経過した日以後、つまり今年の9月以降の違反行為から適用になりますので、留意が必要です。





H23.9.8
雇用保険の基本手当引き上げ

雇用保険の給付額5年ぶりに上がる
 雇用保険の失業等の給付の支給限度額は毎年8月に改定されます。この額は毎年下がり続けていましたが、今年は引き上げられました。この背景には毎月勤労統計調査の平成22年度の平均給与額が前年度と比べて約0.3%上昇したことに加えて、雇用保険の基本手当の算定基礎となる「賃金日額」の下限額引き上げ等を内容とする「改正雇用保険法」が8月1日に施行されたため、今回は5年ぶりの引き上げとなりました。

主要な変更内容
@ 賃金日額の下限額
        改正前 改正後
全年齢共通 2,000円 2,330円
A 賃金日額の上限額
             改正前 改正後
60歳以上65歳未満 14,540円 15,060円
45歳以上60歳未満 15,010円 15,780円
30歳以上45歳未満 13,650円 14,340円
30歳未満 12,290円 12,910円
? 賃金日額とは離職した日の直前の6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を、180で割って算出した金額を言います。


B 基本手当の日額の下限
        改正前 改正後
全年齢共通 1,600円 1,864円
C 基本手当日額の上限
            改正前 改正後
60歳以上65歳未満 6,543円 6,777円
45歳以上60歳未満 7,505円 7,890円
30歳以上45歳未満 6,825円 7,170円
30歳未満 6,145円 6,455円
? 基本手当の日額は雇用保険で受給できる1日当たりの金額を言い、賃金日額のおよそ5割から8割(60歳〜64歳では4.5割から8割)となっていて、賃金の低い方ほど高い率となっています。

会社の事務担当者の方の対応
 改正に伴い雇用継続給付の支給限度額も上がりました。育児と介護休業給付額の改正の他、高年齢雇用継続給付金については、上限は月額16,723円引き上げられ、344,209円になりました。今までは支給限度額を超えて受給できなかった方でも受給できる場合があるかもしれません。そのような方は一度チェックしてみると良いでしょう。





H23.9.7
地ビール製造者は173社


平成22年度調査統計資料より
 国税庁公表の「地ビール等製造業の概況調査」によると、地ビール製造業者数は173者です。うち、151者(96.2%)が中小企業者です。
 総売上高に占めるビールの売上高の比率が100%の完全専業社は9%で、専業割合10%未満が40.8%で、30%未満が63.7%なので、専業とするにはリスクがあると判断されているようです。

地ビール業界の経営状況
ビール事業の売上高は、平均65.9百万円、営業利益の額は、3.2百万円であり、前年と比較して、営業利益が、70万円(128.0%)増加しています。
ただし、営業赤字の企業及び営業利益額50万円未満の企業の割合が、前年に引き続き企業全体の5割以上を占めています。
 とは言え、企業全体の税引き前利益(ビール事業以外を含む)をみると、前年と比較して、企業全体に占める欠損企業及び低収益企業(税引前利益額50万円未満の企業)の合計の割合が減少しているので、地ビールには相乗効果が期待されているようです。

相乗効果をもたらす販売形態
 販売形態としては、レストラン併設形態、物産店への供給、料飲店チェーン店への供給、酒類販売業者への卸売その他、がありますが、レストラン併設形態が最も多く、40.1%を占めています。そのため、ビンや缶よりも樽売りの割合が34.9%と最多となっています。
物産展向けが営業利益9%と最も採算が良く、レストラン併設形態は4.1%、料飲店チェーン店向けは赤字で、その他はトントンなので、専業の製造卸には環境は恵まれていないようです。

大手は外してある
地ビール業者としては、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオン、の大手5社は統計から外されています。
なお、聞きなれない、オリオンビールというのは、大手5社中のシェア0.9%と、1%に満たない、圧倒的な最下位業者ですが、沖縄県では過半のシェアを占める、沖縄県内大手企業です。
米国統治下の 1957年に沖縄ビール株式会社として設立され、沖縄本島北部の名護市に生産工場を持っています。  





H23.9.6
“パワーハラスメント”


 “パワーハラスメント”とは職場において上司が業務命令権限を背景に労働者の人格権を侵害し、不合理な肉体的・精神的苦痛を与えることを言い、その結果円満な職場環境が阻害されるため、近年労働問題のひとつとなっています。
 しかし、この問題は“職場の安全配慮のための部下に対する注意”・“顧客ご満足のための服装・態度などの注意”・“報告・連絡・相談など仕事の基本を守らないことへの注意”など職場秩序を維持するために求められる管理監督者の行為と紙一重の関係を持っている点に留意して対処することが必要になります。

“パワーハラスメント”の原因
 “パワーハラスメント”は、就業規則や服務規律を守らず、不安全行為・反顧客ご満足行為などを繰り返し、職場秩序を乱す部下に対して上司などが過剰反応し、社会通念を超える肉体的・精神的苦痛・懲罰・報復・村八分・退職強要などに発展する場合に、それを受けた労働者側の反発等によって起きます。
 判例上も「使用者においても是正のための改善努力をし、それにもかかわらず是正されず、職場から排除しなければ適正な経営秩序が保たれない場合に初めて解雇が許されている」(昭和58年・東京地裁判決)とされおり、使用者がその努力を怠ると“解雇権濫用”となり、その解雇は無効となる恐れがあります。

経営者・管理監督者の留意点
 “パワーハラスメント”を防止し、職場秩序を守るために次の点に留意して対策を取るべきであると言えます。
1.自社の事業を円滑に進め、職場秩序を維持するために、安全で能率的な仕事がしやすい物理的職場環境を構築するとともに就業規則・服務規律を整備する。
2.人事考課制度の評価項目に「執務態度・規律性など職場規律の維持に関する項目」を設け、管理者を通じて社員に公表・説明するとともに、個人別の評価結果を少なくとも年1回フィードバックする。
3.職場別に管理者が日常業務を通じて見過ごせないケースは個人別に注意を促すとともに、全員に「顧客ご満足・安全管理・報告・連絡・相談など円滑な業務遂行にあたって努力・協力すべきこと」を徹底する。 





H23.9.5
ロータリークラブの会費、経費になるの?

1.税務上の取扱は?
ロータリークラブの入会金や会費は、個人事業者と法人とでは、税務上どのように扱われるのでしょうか。

2.個人事業者の場合
 ロータリークラブの会費等は、必要経費と認めることはできない、とした裁決事例があります(平成17年4月26日)。審判所は「必要経費に算入されるのは、それが事業活動と直接の関連を有し、当該業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり」、「家事費との識別が必要であり」、「私的な活動に過ぎない」から「直接費用であると解することはできない」と判断しています。

3.法人の場合
 法人の場合には、ロータリークラブの会費等について、原則として「損金」処理されます。法人における損金は、事業活動における原価・費用・損失を含む広い概念として捉えられ、所得税法とはその損金性の判断基準が異なっているといえます。
(法人税法基本通達ではロータリークラブに対する入会金又は会費を負担した場合には交際費とする、としています。)

4.家事関連費との関係
 個人事業者の業務において、交際費や水道光熱費など「家事上」と「業務上」の両方に関わりがある費用(家事関連費)があり、所得税法では以下の場合に家事関連費から除く、としています。それは、個人事業者の必要経費に算入される場合とは、業務の遂行上必要でその部分を明らかに区分できる場合、又は直接必要であったことが明らかにされる場合です。
 この平成17年の裁決事例において、家事関連費としたロータリークラブの会費等について「事業の遂行上直接必要な程度を具体的に明らかにする」ことができないことを理由に必要経費と認めることはできない、としています。





H23.9.2
固定資産税の精算は面倒!

不動産売買時の固定資産税の精算
 不動産の売買において、その売却日をもって売主と買主でその年の固定資産税を精算することが一般的になっています。通常の不動産の売買契約書の雛形においても、「1月1日から売却日までを売主、以後の分を買主の負担として精算する」との文言が入っているものがほとんどです。
 取引の当事者にしてみれば、固定資産税の精算のつもりですが、税務は固定資産税の支払いとは考えません。固定資産税の納税義務者(納めなければならない人)はその年の1月1日の所有者と定められています。年の途中で不動産の売買等で所有者が移動したとしても、その年の固定資産税の納税義務者は1月1日の所有者であって、納税義務も移動するものではありません。つまり買主には固定資産税を納めなければならない義務はない、ということになります。

固定資産税の精算は売買代金の一部
 よって当事者間で所有期間に対応する分の固定資産税をお互いに精算したとしても、買主に固定資産税の納税義務があるわけではないので、それは固定資産税の精算ではなく(つまり租税公課としての取り扱いではなく)、不動産の売買に伴う代金の一部という扱いになり、税務上の取り扱いは面倒です。

土地付店舗を売却した場合
 7月1日に、土地7,000万店舗3,000万円合計1億円で土地付店舗を売却した場合、店舗には消費税がかかっていますから、消費税を除くと店舗の売却価格は、2,857万円となります。そして土地60万円建物30万円の固定資産税を期間按分で1/2ずつ負担した場合、買主の負担した固定資産税は、売却価格に加算されますから、土地の売却価格は、7,030万円となりますが、建物の売却価格は消費税を除くと2,871万円となります。計算は以下となります。
建物価格2,857万円+買主固定資産税負担分15万円÷1.05(消費税を除く)≒2,871万円





H23.9.1
グループ法人税制 国税庁作成の一大親族相関図

不可能を前提とする制度
 今年の3月決算法人からはじまった、グループ法人の個人親族オーナー株主グループに係る完全な出資関係図となると、その作製は絶対に不可能です。
 しかし、完全な系統的出資関係図の存在抜きにグループ法人税制は法律通りには機能しません。
 不可能なことを前提にして、可能にすることを追求するとしたら、国内の完全支配関係にある法人と個人親族の一大相関関係図を作成する巨大なプロジェクトを立ち上げなければなりません。

完全なものを作ることが可能だとしたら
 巨大プロジェクトが国税庁の大型コンピューターを駆使して、まず、提出された「出資関係図」を接合し、税務署に集積されるその他の情報もそれに付加し、漏れや穴を塞ぎ、細密化・総合化を繰り返して、完成度を高めていくことになります。
 そういうことがすでに始まっているとして、その情報は、法人情報を媒介として、結局は個人情報の集積をすることにもなります。
 そうすると、日本国民及び日本国内にいる各国の「在日」の方々の全体を包含するような、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族、及びそれと接触する事実婚者、お妾さん、使用人とそれらの親族を含む、相関関係図が出来上がることになります。

そういうことが何を意味するか?
 不気味な印象が生まれてきます。
第一に、デジタルデータで作られたものは、ウィキリークス事件から想定して、“情報は必ず漏洩する”と考えるべきです。
第二に、例え守秘義務があるとしても、悪意をもって、あるいは確信犯的に、漏洩する内部の関係者の出現も、過去の事例からして、皆無とは言えません。
第三に、憲法の保障する「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別されないために「秘匿」していることが公開の憂き目にあいかねないことになります。

国税庁は問題意識をもつべき
 巨大プロジェクトには憲法の最も根本的な原理に関わる重大な問題が孕んでいます。原則として、「出資関係図」の間の情報接合作業は禁じないと、由々しき事態が起きかねません。そして、不可能を前提とする法制度も見直すべきです。