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H24.10.31
平成23年法人申告状況

法人税確定申告状況からみる景況
国税庁が公表している平成23年度分法人税の申告状況によると、申告件数は276万3千件で、前年比千件増でほぼ横ばいながら、申告所得金額の総額は37兆2,883億円、申告税額の総額は9兆5,352億円と、前年度に比べ、それぞれ1兆1,047億円(3.1%)、1,496億円(1.6%)増加し、2年連続の増加となりました。
 公表資料によると、平成18年度は過去最高で法人申告所得金額57兆828億円、その後はリーマンショックの翌年の平成21年まで40%減となるまで下がり続け、その後漸次回復基調にあったところです。

昨年度において過去最低であったもの
 法人の申告件数中の黒字申告件数の割合は、平成時代の初めには、50%近くありましたが、バブルの崩壊後10年間は一貫して下がり続け、不況に慣れる中で30%程度の低いレベルでウロウロしていたところ、リーマンショックの平成19年度以後更なる底割れを始めて、昨年平成22年度は25.2%と過去最低を記録していました。
今年度平成23年度は、漸く4年ぶりに上昇に転じ、黒字申告割合は25.9%となり、前年度比0.7ポイント増加しました。

法人数は減り、二極化の方向
法人数は、日本人の起業精神の衰退を反映してか毎年少しずつ減っており、今年も前年比千社減となって297.7万社(除く清算中法人)です。
申告している法人は276.3万社で89.6%とされています。この申告割合は毎年似ており、事業をやめてしまったような会社で申告していないものがあることを示しています。
赤字申告割合の下げ止まりに対応して、黒字申告割合が増え、黒字申告所得総額は372,883億円、前年比3.1%増となり、一件当り黒字法人の申告所得も52,093千円、前年比0.3%増となっています。
しかし、欠損法人の欠損総額は217,343億円で前年比4%増、一件当り欠損額は10,615千円で前年比4.9%増です。
黒字申告所得の増と欠損申告所得の増とが両立してしまっています。二極化です。

e-Tax利用申告は順調に増加
平成23年度における法人税申告のe-Tax 利用件数は152.1万件(55%)となっており、前年比12.3%増で、順調な推移です。





H24.10.30
平成23年確定申告状況

確定申告状況
国税庁が公表している昨年分所得税の確定申告状況によると、確定申告書を提出した人は、前年比5.6%減の2185万3千人で、3年連続の減少です。最近のピーク年(平成20年分)の92%です。
また、申告納税額がある人(納税人員)は前年比13.5%減の607万1千人と6年連続の減少です。最近のピーク年(平成17年分)の73%です
所得金額については前年比2.9%減の33兆6790億円と、5年連続で減少です。最近のピーク年(平成18年分)の76%です。
ただし、公的年金収入400万円以下の年金所得者の申告不要制度の創設があったので、これらは予想された数字です。

増加したものもある
 減少ばかりの中で、増加しているものもありました。申告納税額です。
申告納税額は、前年を2.9%上回る2兆3093億円となり、4年ぶりの増加でした。
これには理由があって、「子ども手当」の支給に関連して、平成22年度税制改正で、15歳以下の年少扶養控除が廃止されたことによるものです。
申告納税額は、それでも、最近のピーク年(平成19年分)の77%です。

不動産と株式の状況
不動産に係る譲渡所得の申告者数は微減ながら、譲渡益を計上している人の数は7.1%増加しており、譲渡所得金額総額も12.3%増加しています。黒字申告者数は赤字申告者数の1.5倍です。不動産市況に動きがあるのかもしれません。
それに比べて、株式に係る譲渡所得については、申告者数は前年比3.8%減、黒字申告者数は前年比20.2%減、赤字申告者数は前年比1.7%増で、赤字申告者数は黒字申告者数の3.8倍います。株式市場の市況の停滞状況は明るさを見出せません。

ICT利用申告は順調に増加
国税庁は説明もなく「ICT」という言葉を使っています。ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略であり、ITとほぼ同義です。
署の確定申告書等作成コーナーとe-Taxの両利用者を指す言葉として「ICT」利用者ということにしているようです。
その利用者数は申告書提出者中48.9%を占めています。本当の意味での電子申告人数も584.8万人で26.8%、前年分(544万人、23.5%)に比して順調な伸びです。





H24.10.29
厚生年金基金廃止の方向

財政改善見込めず廃止の方針
 厚生年金基金は厚生年金に独自の企業年金を上乗せし、公的年金の一部(代行部分)を一体的に運用・給付する企業年金ですが、AIJ投資顧問会社の運用失敗による年金消失問題を受け、厚労省は厚生年金基金制度を廃止する方向で検討に入っています。厚生年金基金は長期的な運用利回りの低迷で財政が悪化し続けていて、厚年基金の約半数で、国から預かって運用する代行部分が積み立て不足になっています。積み立て不足は基金に加入する企業が穴埋めするのが原則ですが、財政悪化が深刻な基金は穴埋めの目途が立ちません。

廃止と存続の方向
 高度経済成長期を背景に創設された厚生年金基金は厚生年金にプラスした企業年金制度として福利厚生制度に寄与してきましたが運用利回りの悪化で運営は行き詰っています。全国で1800超あった基金は代行部分の返上で2012年3月末には595基金まで減っています。ただ今でも半数の企業では代行部分の損失は発生していません。実際に基金を廃止するとなると課題は数々あります。最終的に代行部分の損失の穴埋めをどうするのか。本体の厚生年金保険料で賄うのは全体の保険料を一部の基金に使う不公正さが問題となります。と言っても今のように加入企業が穴埋めしないと解散出来ないという状況では到底穴埋めできる状況になく、今後返済を強制的に負う制度は廃止の方向です。また、制度廃止が決まれば企業年金部分は無くなってしまう為、廃止を反対する意見も根強くあります。

廃止は2段階方式で
 今後の制度廃止案は基金の解散がしやすくなる対策が盛り込まれます。積み立て不足を強制的に負わなくとも解散できるようにして、他の年金制度に移行出来るようにします。積み立て不足の無い健全な基金は加入者自らが運用する確定拠出企業年金か将来の受取額が決まっている確定給付企業年金に移行してもらう方針です。
 解散は現在財政難の286基金においては損失がこれ以上拡大するのを防ぐ為、早期解散が促されるものと見込まれます。また、OBの基金年金減額の基準は現在OBの3分の2の同意が必要ですが見直される事になりそうです。





H24.10.26
特別会費はご注意下さい

年会費は中身を確認して
 同業者団体等が特別な事業を行う場合に、徴収する特別会費については、その取り扱いが、行う事業によって異なります。更に通常の年会費等と一緒に徴収される場合が多く、年会費と同様「諸会費」として経理処理されがちです。ご留意下さい

会館等建設の場合
 金額が大きくなりますので、積立金として長年に渡り徴収される場合がほとんどです。この場合会館等の建設着工までの特別会費は、全て繰延資産となり、経費処理は出来ません。建設着工後、施設の法定耐用年数の7/10で毎年償却をすることとなります。(但し10年を超える場合は10年・土地の取得部分は45年)
 また会館等の相当部分が負担者の利益に供されないような場合(第三者へ賃貸されるような場合)には、寄付金として扱われます。

周年事業等の場合
 周年事業や特別なイベントの場合の特別会費は、周年事業やイベントの中身によってその経費処理が変わってきます(交際費や寄付金となるケースが多いです)が、いずれも、支払ったときの経理処理は「諸会費」ではなく、「前払費用」です。同業者団体等が特別会費の目的の支出を行った時点で、事業内容に則した経費として処理します。
 ですから、支払側企業の決算が9月で、周年事業の祝賀パーティーが10月にあるような場合、企業が9月に周年事業特別会費を支払ったような場合は、「前払費用」として決算では資産計上されます。

一般会費も要注意
 同業者団体等が、いつもお金が無く何も出来ないのも困りますが、資金も潤沢で剰余金が沢山あり、年会費を徴収しなくても運営していけるような場合は、支払った一般会費も「前払費用」として処理しなければならない場合も有りますのでご留意下さい。





H24.10.25
手段の目的化


 経営において、よく起こりがちな誤りのひとつに“手段の目的化”があります。
 例えば、「本来は経営戦略の進展状況をチェックして、必要なアクションを検討するのが経営会議の本来の目的」であるのに「会議を開く、と言う手段そのものを目的と考えてしまう。」のがそれにあたります。

“手段の目的化”の功罪
 手段が目的化すると、本来の目的を実現する行動が乏しくなるばかりでなく、あまり役に立たないことに多くの時間と労力を使うのが当たり前になってしまいます。
“標準化”によって事務の効率化、工程不良の発生防止を図ろうとすることは、企業において通常行われる努力です。
 ところが、トップの方針で「○○賞」をとって会社の名声を高めたい、それには“標準化”が進んでいると評価が高まる、とトップの判断で会社をあげて“標準化”を進めることになり、沢山の標準書を作成することに多くの社員が動員される、と言った“手段の目的化”が生じることがあります。つまり、トップの一声で社内に「標準化運動」が始まって、本来の顧客ご満足の追求、利益の向上、社員の能力向上など、重要な事柄への努力が希薄になってしまいます。
 しかし、ひとくちに“手段の目的化は良くない”、と断言出来ない場合があります。
 トップが社員と直接コミュニケーションをとるために、社員を誕生月別に分けて、毎月昼食会を主催する、と言った施策はなかなか良いものですが、その場合昼食会のメニューは、雰囲気を和らげ、話題を豊かにし、コミュニケーションを促進する、などの目的を持ち、総務課長の腕の見せ所になります。
 つまり、昼食会が“手段の目的化“になっていますが、それはトップと社員の直接コミュニケーションをよりよいものにする、と言う本来の目的を助けますから、むしろ歓迎されるべきことになります。

トップの留意点
 トップは、何事につけ自分の方針を示す時、「何を目的としているのか、“手段の目的化”を避ける必要がないか。」と自問自答した上で、社員が間違えにくい適切な言葉を選んで示すことが大切です。また、あえて“手段の目的化”を許容しても害がなく、むしろ好ましい場合は、それを見通して、トップの一言を発すべきでしょう。





H24.10.24
資本金等の減少策


減資しても資本金等は減らない
 会社法上、減資によって欠損金を補填することができます。資本と利益の混同です。法人税法では、欠損補填の減資をしても、資本と利益の混同はしないので、「資本金等の額」は不変です。
それでも、交際費、寄付金、各種租税特別措置における中小企業の判定等などは、法定資本金をベースにするので、効果はあります。
ただし、法人住民税の均等割については、資本金等の額が基準になるので、いくら減資しても無償の場合は効果がありません。

有償減資なら実効あり
資本金等の額を減らす効果のある減資とするなら、有償減資としなければなりません。ただし、資本金××/減資未払金××という処理は会社法上認められていないので、資本金××/資本剰余金××その後で資本剰余金××/未払配当金××としなければなりません。
この時、利益積立金がある場合は、税務上の「みなし配当」が生ずることになります。また、資本金等を原資とする分配額の一株当たりの額が、その株式の一株当たりの取得価額を超えていると株式譲渡益の発生にもなります。

自己株式の取得が最も簡易
資本金等の減少策で最も一般的なのは自己株式の取得でしょう。官報公告等の債権者保護手続きもなく、簡易です。
ただし、自己株式の取得は、原則として時価により取り引きすべきところ、債務超過のような会社では、旧来の株式額面価額での取得では、時価を超えた価額として株主への利益供与と判定されるかもしれませんし、時価によるとなると、限りなくゼロに近くなるので、資本金等の減少効果は出てきません。

分割型会社分割でも資本金等が減る
分割型分割では、分割に伴う資産負債の異動に際し、分割会社の純資産の部を分割しますので、資本金等も利益積立金も異動純資産の割合で減少します。
純資産の分割計算は分数計算なので、分割前の純資産と、分割によって異動する資産負債が共にマイナスではいけません。分割時には、少なくとも異動資産負債がプラスになるようにしなければなりません。







H24.10.23
会社を創業した時の助成金

創業・異業種進出し、中心となる人を雇用
 中小企業基盤人材確保助成金は、成長分野等の事業に創業や異業種進出し、会社の経営基盤の強化に資する人材を雇い入れた時に支給される助成金です。施設や設備にかかる経費負担や他の条件に合致すれば1人140万円、5人で700万円まで受給が可能です。検討してみたい助成金ですね。

創業の場合
@成長分野等で法人を設立したり、個人で開業してから6ヶ月以内に改善計画を都道府県に提出し認定をうけます。改善計画とは中小企業者が雇用管理の改善について取り組む事とした計画です。
A事務所、店舗の賃借料(最高でも1年分)機械、装置、什器備品、フランチャイズ加盟金、各種許認可の手続き費用等を250万円以上、登記から第1回目の申請書提出日までの間に負担した費用がある事
B正社員として雇用する予定の従業員の月給が約29万2,000円以上である事

異業種進出の場合
@既存の事業で3期分の決済を終えており、(都道府県によっては3期に満たなくとも認めるところも有)その事業とは別の成長分野の事業に進出した日から6ヶ月以内に改善計画を提出し認定を受けます。
A新たに前記Aの費用を250万円以上負担する予定がある事
B新たな事業に専任する正社員として、雇用する従業員の月給が約292,000円以上である事

成長分野の業種とは?
平成23年4月より助成対象を今後成長が認められる業種に限り助成する事に変更されました。対象分野は総務省の日本標準産業分類項目表の細分類にありますが、林業環境、健康、医療、福祉、情報通信、電気、運輸、郵便、廃棄物処理、スポーツ、健康教授等の他、健康や環境分野に関する事業を行っているものとされています。

申請の流れ
@都道府県知事に改善計画を提出し、認可を受けます。
A基盤人材を@の提出後1年以内に雇い入れます。
B雇い入れから6ヶ月後に第1期支給申請書を提出、さらに6ヶ月後に第2期分を申請、1人につき各々70万円の支給を受けます。支給要件は結構細かいので労働局などで確認をしてみましょう。






H24.10.22
年齢による社会・労働保険の留意点

社会・労働保険の年齢の取り扱い
 年齢は「満年齢」で表し、数え方は年齢計算に関する法律と民法で「誕生日を年齢の起算日とする」事が定められています。又普通、期間の計算は初日を除き翌日を起算日とする事が原則ですが年齢に関しては「初日(誕生日)を起算日とする」こととしています。つまり生まれた日を第一日目と数え、起算日の前日(誕生日の前日)に年数を一つ加える(一つ歳を取る)こととされています。規定に○歳に達した日と定められている時はその日は誕生日ではなく誕生日の前日を指します。

社会・労働保険 制度ごとの注意点
健康保険・・・70歳になると収入に応じて病院に支払う自己負担額が変更になる場合があります。70歳に達した日の属する月の翌月から適用されます。高齢受給者証が交付され負担割合が記載されています。
 75歳になると後期高齢者医療制度に加入するので健保の資格喪失届を提出します。この場合資格喪失日は75歳の誕生日です。
介護保険・・・65歳以上の第一号被保険者と医療保険制度に加入している40歳以上65歳未満の第2号被保険者に区分され、第2号被保険者は40歳に達した日の属する月から65歳に達した日の属する月の前月まで保険料を徴収します。保険料は給与では前月分の保険料を徴収し賞与では当月分の保険料を徴収します。
厚生年金保険・・・老齢年金受給では60歳に達した日に特別支給の老齢厚生年金が、65歳に達した時には老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給権が発生し、発生日が属する次の月から支給されます。
 また、70歳に達した日で被保険者資格を喪失し、資格喪失届を提出します。70歳以降も同様の勤務を継続している人は70歳以上被保険者該当届を提出します。さらに算定、月変、賞与の際も70歳以上の届出が必要です。
雇用保険・・・65歳に達した日以降、新たに雇われた人は一般被保険者にはなれませんが、その日より前に同一事業所で引き続き雇用保険人加入していた人は継続して被保険者になれます。
 毎年4月1日に満64歳以上の人は労使とも保険料は免除されます。





H24.10.19
必要経費の業務関連性

弁護士会役員活動費の必要経費性
 弁護士会の役員としての活動に伴い支出した懇親会費等を事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、また、消費税等の額の計算上課税仕入れに該当するとしたことが、税務調査で否認されたことによる税務訴訟の高裁判決が出ました。
 納税者逆転勝訴で、その判決理由において「必要経費の業務関連性」が明示されました。すべての事業所得に関わりのある、意義ある判決と言えます。

審判所裁決・地裁判決との相違
 必要経費の該当性についての、税務署の見解は「当該事業の業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上専ら必要」なもの、ということでした。
 国税不服審判所の裁決では、「弁護士業務に直接の関連を有し、業務遂行上通常必要な支出」に限るとし、「専ら→通常」に変えました。
 地裁判決は、「事業と直接関係し、かつ当該業務の遂行上必要」であることを要すとし、「通常必要→必要」にゆるめました。
 高裁判決は、「事業所得を生ずべき業務の遂行上必要」なものであればよいとし、「直接関係→不要」としました。

高裁判決は条文に原理的
 所得税法では、必要経費に算入すべき金額として
@総収入金額に係る売上原価
A当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額
Bその年における販売費、一般管理費
C所得を生ずべき業務について生じた費用
をあげています。
 因みに、売り上げとのひもつき関係が要求されているのは@の「売上原価」とAの「直接に要した費用」のみで、Bの販管費とCの業務関連費については売上とのひも付き関係は要求されていません。
 高裁判決によると、条文の上での、Cの「所得を生ずべき業務」とは、収入を獲得することに直接結び付くものである必要はなく、社会通念に照らして相当であればよい、という理解です。

勇み足だった税務署
 税理士会や弁護士会の存在を無視するような勇み足の税務更正処分だったことは、当初から言われていたことで、妥当な落とし所で決着した、という印象です。





H24.10.18
海外帰任(帰国)時 給与計算の留意点

 海外子会社等に1年以上勤務していた日本人従業員が年の中途で帰任した場合、いつから居住者となるか、ですが、原則、帰任した日から居住者となります。

国外勤務と国内勤務の按分か
 帰国する従業員は、通常、給与の計算期間の中途で帰任します。仮に、給与計算期間が前月21日から翌月20日で10月10日に帰任し、給与の支給日が10月25日である場合、その給与支払額の中には、国外勤務に係る国外源泉所得があることから、当該支払額を国外勤務分と国内勤務分とに分ける必要があるのではないか、との疑問がわきます。

居住者は国外源泉所得にも課税
 しかし、給与支給日において居住者である限り、原則、所得の源泉がどこにあろうと全世界で得た所得に対して課税されます。
 それ故、給料の計算期間の中途で海外子会社等から帰任し、当該従業員が、給与支給日において居住者となっている場合には、当該給与の支払い額を国外勤務分と国内勤務分とに分ける意味はなく、国外勤務部分を含めた支給総額が源泉徴収の対象となります。
 したがって、給与支払い事務が日本で行われる限り、支払総額の全体を帰任した従業員(居住者)に対する給与として源泉徴収の対象とする必要があります。
 ちなみに、先の例で帰任日を10月10日ではなく、10月21日であったらどうか、ですが、結論は同じです。10月分の給料には国内勤務対応部分がなく、すべてが国外源泉所得になりますが、給料支給日にはすでに居住者であることから、当然に10月分は源泉徴収にしなければなりません。                       

賞与について国外と国内の按分は
 出国の場合、赴任後に日本国内で支払われる賞与については、支給対象期間に国内勤務が含まれている場合には、国内勤務期間分と国外勤務期間分に按分されます。
 しかし、帰任の場合には、帰任日以後居住者となることから、帰任後支給される賞与に当該賞与の支給対象期間に国外勤務が含まれていたとしても、賞与支給額の全額が課税対象になります。

外国税額控除の適否は
 帰任後居住者となってから外国の税金を納めても、その税金が非居住者期間の所得に対するものである場合には、日本の外国税額控除の適用はありません。





H24.10.17
海外赴任(出向)時 給料計算の留意点

 
赴任(出向)日の留意点
 年の中途で勤務先から1年を超える海外子会社等の出向・赴任を命じられた場合、赴任者については、年初から出国までの期間について、年末調整が必要となります。
 このような場合、赴任者は出国した日の翌日から非居住者となることから、出国した月の給与計算は、原則、給与の額を勤務した日数により居住者分と非居住者分とに按分することになります。
 しかし、実務上の簡便から、次の4つの要件をすべて満たせば、出国した月の給与については、当該給与を国内源泉所得に該当しないものとして取り扱っても差し支えない、としています。
(1)計算期間の中途で出国し、居住者から非居住者になること
(2)出国後、非居住者になってから支給されること
(3)給与の計算期間が1ヶ月以下であること
(4)当該1ヶ月分の給与のすべてが国内勤務に対応するものでないこと
 これを具体的に事例でみて見ましょう。10月分の給料は、その計算期間は前月9月21日から翌月10月20日、支払日は10月25日、そして、出国は10月19日とします。給料の支払いは国内です。
 この事例が4要件のすべてを満たしているかどうか検証してみます。

4要件の具体的検証
 まず、(1)の要件ですが、出国は19日あることから翌20日には非居住者となり、給与計算期間中20日の1日だけですが非居住者であることから、(1)の要件は満たします。次に(2)、(3)の要件ですが、検証するまでもなくクリアーしています。
 最後の(4)の要件です。20日に非居者となっていますから、1日分の給与について国外勤務があることになり、したがって、(4)の要件も満たしています。
 以上、事例は4要件のすべて満たしています。結果、当該10月分の給料は、国外源泉所得となり、源泉徴収は要せず、かつ、出国時までにする年末調整の対象からも除外することができます。
 仮に、出国が10月20日であったとすれば、翌21日から非居住者ということになり4要件の内(1)、(4)の要件を満たさないことになります。結果、年調の対象給料は9月分までで、10月分給料は、国内源泉所得となり、原則、20%の分離課税で源泉徴収され、課税関係はこれで終了です。
 赴任日については、特に留意が必要です。





H24.10.16
ブレインストーミング


 トップにとって経営会議などの定例的な意見交換とは別に、新しい収益源を生み出すアイディア、画期的な能率向上を図る新しい仕事のやり方など、創造的アイディアを得ることは重要な関心事のひとつです。
 それらは、多くの場合、社員の柔軟な頭を活用し、日常業務の延長線から離れて、自由闊達に意見を交換する環境をつくることが有効な方法で、“ブレインストーミング(BS)”がよく用いられます。

ブレインストーミングの方法
 BSは複数(10人以下)のメンバーで創造的発想を促進する課題解決法で、次の原則と手順があります。
【4原則】 
1.アイディアを出すことが目的、判断したり、結論を出したりしない。(結論厳禁)
2.多少荒っぽくても自由闊達にユニークなアイディアを歓迎(自由奔放)
3.様々な角度からあらゆる提案を数多く出すことを歓迎、このため、進行役はしばしば、アイディア出しの視点を提示する。(質より量)
4.アイディアを結合、発展(結合改善)
【手順】
1.問題定義(具体的な目的の設定)
2.参加者への事前情報(具体的目的・求めるアイディア)
3.呼び水となる質問の準備
4.進行
(1)肩慣らし(アイスブレイク)
(2)問題の説明 (3)アイディア出し
(4)アイディアの記録(黒板・白板などにメンバーに見えるように書く、番号をつけてアイディア数を示す。)
(5)アイディアの整理、精緻化など具体的表現にする。(後で評価するため。)

トップの留意点
1.沢山のアイディアを自由奔放に出してもらうために、トップや管理職などは、あえて参加しない方が良い場合がある。
2.アイディアの評価は「顧客満足の程度」「実現できるか」「効果があるか」「必要コスト」などいくつかの評価項目を設け、トップ層と進 行役で数値評価すると良い。
3.最終的な採否の決定は、経営理念・経営戦略への貢献性などからトップの判断・決断によって行う。





H24.10.15
会社分割と消費税納税義務

合併と会社分割は違うのに同じ扱い
 合併では被合併会社は消滅します。それに対して会社分割では、分割会社の一部分だけが消滅し、分割承継会社に引き継がれるので、部分合併と言うこともできます。
 従って、会社分割の場合の分割承継法人の消費税の課税・免税事業者の判定は、分割承継法人の基準期間の課税売上高と、分割法人の基準期間の課税売上高の内の、分割部分に対応する金額を合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定しそうに推測されます。
 しかし、そうではなく、分割部分に対応する額を求めることはせず、合併の場合と同じく、分割承継法人と分割法人の各基準期間の課税売上総額の合計額を判定対象にします。部分合併の性格でも、全部合併の扱いです。

分割年と分割翌年だけは特殊な扱い
 ただし、新設分割の場合は、新設会社に基準期間がないので、分割年度と分割翌年度の新設法人の課税・免税事業者の判定は、分割法人の各基準期間の課税売上総額によります。
 吸収分割での分割承継法人が免税事業者だった場合には、会社分割に伴う課税・免税事業者の再判定は、分割年度と分割翌年度の両方において、分割法人の各基準期間の課税売上総額によります。

新設分割の分割翌々年以降の永久規定
 新設分割の場合の分割翌々年におけるその新設会社の課税・免税事業者の判定は、分割会社と分割承継会社の基準期間の課税売上高の総額を合計したところで判定し、その期間の中途で分割があるときには分割月までの期間按分をします。合併法人の場合と同じです。
 ただし、分割法人と新設承継法人との間に支配関係があると、分割翌々年以後、期間無制限に、分割会社と分割承継会社の両方において、課税・免税事業者の判定は、分割会社と分割承継会社の基準期間の課税売上高の総額を合計したところで判定します。新設分割には、嫌になる規定です。

吸収分割の分割翌々年以降には規定なし
 合併や新設分割と異なり、吸収分割には、分割翌々年以降に関する特別の定めがありません。新設分割で何時までもしつこく合計での判定をしたがるのと雲泥の差です。
 吸収分割で済むのだったら、新設分割は避けるべき方策なのかもしれません。





H24.10.12
悩ましい寄与分の主張

法定相続による「不平等」を正す規定
 我が国の相続法では、故人(被相続人)と相続人の身分関係に応じて、法定相続分が固定されます。しかし、例えば、被相続人の事業を無償で継続させた、被相続人に資金援助した、あるいは、長年被相続人を介護し続けた相続人が、何もしなかった相続人と相続分が同じでは、かえって不公平になります。このように、被相続人のために多大な貢献をした相続人を保護する途として、寄与分という制度があります。

寄与分が認められるハードルは高い
 寄与分が認められるためには、@寄与行為があったこと、A@が特別であったこと、B被相続人の財産の維持又は増加があったこと、C@とBの間に因果関係があったことが必要です。Aは、夫婦間の協力義務、親族間の扶養義務という法律上の義務として社会通念上通常期待される内容を超えた貢献が必要です。更に、B・Cで貢献が被相続人の財産に対しプラスの影響をもたらされることが必要です。
 そのため、寄与分の主張が認められるためのハードルは高くなります。
 こうして認められる寄与分の価額は、@具体的な金額、あるいは、A遺産全体に対する○%という形で評価されます。そして、寄与分のある相続人は、まず寄与分の価額分を取得し、次いで遺産から寄与分の価額を差し引いた金額に対する相続割合に相当する金額を取得することになります。

寄与分の問題点
 しかし、寄与分はその漠然とした内容から極めて見通しの悪い制度です。何をもって「特別な」貢献なのか、何をもって被相続人の財産の増加又は維持と見るのかはケースバイケースとしか言えません。また、寄与分が認められても、その価額をどう算定していくのかも不明確です。そして、寄与分の主張は、相続人の人格や一族の歴史に関わるものでもあるため、感情面での対立もより先鋭化されます。このように、様々な意味で揉めやすい争点と言えます。

結局は生前対策
 結局のところ、被相続人への貢献を相続を通じて報いてもらうには、遺言や生前贈与をしてもらうのがより確実な手だてとなります。





H24.10.11
合併承継と消費税納税義務

合併前各法人の規模の合計で
 合併は、合併法人と被合併法人との合体ですから、合体後の課税・免税事業者の判定は、合体前の各法人の該当基準期間の課税売上高を全部合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定します。

合併年だけは特殊な扱い
 ただし、合併年に限っては、扱いが少し異なります。@課税事業者である法人同士の合併、A合併法人が課税事業者で被合併法人が免税事業者であるときの合併、B合併法人が免税事業で被合併法人が課税事業であるときの合併、C免税事業者である法人同士の合併、これら4ケースがあります。
 合併法人の課税・免税事業者判定は、@Aのケースは年度を通じた課税事業者、Bは合併当日からその年度末までの期間の課税事業者、Cは免税事業者です。

基準期間の課税売上高合計額の計算
 例えば、A会社(1-12月事業年度)がB会社(9-8月事業年度)を吸収合併するとした場合について事例検討してみます。
●合併日 平成24年8月1日
●B会社 課税売上高は、平成23年以前の
  各8月期660万円、平成23/9-24/7月
  期605万円
● A会社 課税売上高は、平成23年以前
  の各12月期600万円、平成24年12月
  期875(600+660÷12×5)万円、平成
  25年12月期以降1260万円
 上記の条件で、A会社の各事業年度の課税免税の判定をすると、
(1)平成24年12月期(合併事業年度)
 A会社もB会社も免税事業者なので免税事業者となります。
(2)平成25年12月期
 平成23年1-12月の期間中に終了したB会社の事業年度の課税売上が660万円(660÷12×12)なので、A会社の600万円との合計額1260万円が課税売上となり、課税事業者と判定されます。
(3)平成26年12月期
 平成24年1-12月の期間中に終了したB会社の事業年度の課税売上385万円(605÷11×7)なのでA会社の600万円との合計額985が課税売上となり、免税事業者と判定されます。(合併年には期間按分がある)
(4)平成27年12月期以降
 A会社の基準期間平成25年1-12月期にはB会社は既に存在しない期間なので、その期間におけるA会社の課税売上は1260万円で、判定は課税事業者となります。





H24.10.10
納税管理人
出 国 と は?


 所得税法では、出国とは、単に「国を出る」という意味ではありません。
 出国とは、居住者(国内に生活の本拠を有している人)については、納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しなくなることをいい、非居住者(居住者以外の人で国内に一定の所得を有している人)にあっては、納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しなくなることをいいます。
 つまり、この納税管理人の届出をして国を出た人は、所得税法上の「出国」には該当しないことになります。では、納税管理人の届出をした時としない時で、その法的効果にどのような違いが生じるか、です。
 ここでは、給与所得者である居住者が1年を超える予定で年の中途に海外赴任する場合についてその違いをみてみましょう。

納税管理人の届出をしなかった場合
 勤務先では、届出の有無にかかわらず出国時までに年末調整の手続きをしますが、他に不動産所得等がある場合には、本人は予定納税や確定申告も出国時までに、申告・納税の手続きをしなければなりません。
 また、出国の翌日から、出国者は非居住者となりますが、不動産所得等の国内源泉所得がある場合には、非居住者であっても、日本での申告義務があることから、更に翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。その際には、出国時にした確定申告に係る納税額は精算されます。

納税管理人の届出をした場合
 勤務先での年末調整は当然として、申告及び納期限は、予定納税はもちろんのこと確定申告も翌年3月15日までで通常どおりです。これら申告及び納付は納税管理人が実施することになっています。
 したがって、納税管理人の届出をしなかった場合のように、出国時に確定申告をし、さらに、翌年3月にもう一度確定申告をするといった二度手間を省くことができます。

扶養親族等の判定時期
 また、納税管理人の届出をした海外赴任者で国内に不動産所得等総合課税の対象となる所得を有する場合、扶養親族の判定時期は、その年の12月31日の現況で判定できますが、一方、納税管理人の届出をしない海外赴任者の場合は、出国時で判定することになっています。
 なお、納税管理人は、国内に住所又は居所を有する個人でも法人でも構いません。





H24.10.9
居抜き物件と許認可


居抜き物件とは
 店舗内の内装・備品が残っている状態で売買・賃貸できる居抜き物件。旧テナントの設備や什器備品などをそのまま利用できるため、この居抜き物件をターゲットに店舗拡大を図る企業も多く見受けられます。設備投資が必要な業態にとっては、低コストでの開業が見込まれるため、初めて起業される方からも人気の物件です。

居抜き物件と許認可
 居抜きの場合、コスト面は特に魅力的な点ですが、業態によっては以前のお店の顧客も取り込める可能性があるといった集客面、また旧テナントが同業種であれば、改装がほとんど不要のため開店準備期間を短くできるなどのメリットもあります。
しかし、居抜き物件だからといって必ずしも安心が保障されているとは限りません。特に飲食店や美容院など許認可の取得が営業条件となる業種では、旧テナントが問題なく営業をしていた実績から、許認可の取得までスムーズに運ぶだろうと考えがちですが、思わぬところで落とし穴にはまってしまうこともあります。

同業種の居抜きでも油断は禁物
 許認可は、人・場所・財産すべての要件を満たすことで初めて成り立ちます。店舗と業態が変わらずとも、営業主体、つまりオーナーである企業や個人が変われば許認可を再取得しなくてはなりません。居抜き店舗で再取得を行う際、問題となりやすいのが、改装により設備要件を欠いてしまっているケースです。前記のとおり、許認可は人・場所・財産で構成されますので、求められている財産(設備)が欠けると許可要件を満たすことができません。たとえば飲食店を例に挙げると、設備要件として手洗場所の設置が求められていますが、旧テナントが改装によりこれを外してしまっていたなど、知らないうちに許可要件に関わる重要部分を欠いてしまうことも十分にあり得ます。また、風俗営業など行政側による法律の解釈が度々発表される業種については、旧テナント時代の解釈と変更されている可能性や、審査担当官により判断の違いが生じる場合もあります。
たとえ同業種の居抜き物件であっても、全く新規の許認可を取得するときと同様の意識と対応が必要です。





H24.10.5
相続承継と消費税納税義務


事業の合流と合流前事業
相続による事業の承継には、非事業者が相続により事業者になる場合のほか、相続人も被相続人も事業者であった場合があります。
後者のケースでは、相続人の事業が以前から免税事業者であったとしても、相続による事業の承継で、事業規模が大きくなり、免税事業者の規模を超えることになる場合があります。
相続人と被相続人との事業の合流ですから、合流後の課税・免税事業者の判定は、合流前の事業の各基準期間の課税売上を全部合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定することになります。

相続開始年だけは特殊な扱い
ただし、相続開始年に限っては、扱いが少し異なります。@課税事業同士の合流、A相続人の課税事業への被相続人の免税事業の合流、B相続人の免税事業への被相続人の課税事業の合流、C免税事業同士の合流、これら4ケースがあります。
相続人の課税・免税事業者判定は、@Aのケースは年間を通じた課税事業者、Bは相続日の翌日からその年の年末までの期間の課税事業者、Cは免税事業者です。

特殊なケースの取扱い
(1) 課税事業者選択の相続人
 相続人が「課税事業者選択届出書」を提出している課税事業者の場合には、判定によって免税事業者に該当しても、課税事業者とされます。逆に、この届出の効力は一身専属的なものなので、被相続人の選択による課税事業者該当は相続人には効力が及ばないので無視されます。
(2) 兄弟姉妹で分割して承継
2以上の事業場を有する被相続人の事業を2以上の相続人が事業場別に分割承継した場合には、相続開始年の翌年以後の課税・免税事業者の判定に取り込むのは、各相続人が相続した事業場別の課税売上となります。
(3) 特定遺贈又は死因贈与のときは
上記の法令はすべて「相続(含包括遺贈)」による承継との限定規定なので、たとえ相続人が承継したとしても、特定遺贈・死因贈与による承継は対象外です。
従って、非事業者のサラリーマンや免税事業者の場合には、承継原因を特定遺贈・死因贈与とすることにより、消費税の節税になることがあります。





H24.10.4
“ヤル気”のある人材発見法

 “ヤル気”とは、個々の社員、またはチームが、担当する仕事に主体性を持って取り組んでいること、言い換えれば取り組み意欲が高いことを言います。
そのような社員は、多くの場合、年齢・学歴・経験年数などに関係なく、社内にいますが、トップがそのような人材の存在を的確に知って事業に活用できているとは限らず、その発見と活用は企業の存続・発展にとって誠に重要です。
 つまり、経営者の“腕の見せどころ”の一つと言えましょう。

社員が望んでいること
“ヤル気”のある社員は、仕事の体験を通じて自分の成長・能力向上を図りたい、成果をあげ、事業に貢献し、役割・グレードの昇級・昇給などによって認められたい、また、より高度な欲求として事業の発展に自分の能力を活かし、自己実現を図りたい、そのためのチャンスを会社が与えてくれれば是非とも参加したい、と考えています。
つまり、会社の戦略実現への旺盛な参加意欲を持っています。

人材発見のカンどころ
 “ヤル気”は外見からは見えにくいものですが、あえて外見から見ようとすれば、社員の“眼の輝きと積極的発言・行動”で分かります。しかし、それは経営者がたまたま見かけることであり、正確であるとは言い切れません。
 かなり、正確に“ヤル気”のある人材、それも意気込みだけでなく、トップが与えた役割を深く理解し、思考レベル・能力発揮の行動レベル・成果のレベルで実現できる人材を的確に発見するには、“発揮能力・成果の可視化と評価”を行うことが必要になります。人事考課・目標管理制度における業績評価・達成度評価は、人材発見の面から見れば、1次的な評価にあたります。

実践的な人材発見の施策
 より的確に“ヤル気”のある人材発見を行うには、実際の経営課題を示して、その解決方法を考えさせ、例えば10分以内で要点をトップの前で発表させ、評価することが、総合的に実践的能力を見て人材を発見する適切な方法と言えるでしょう。
 これは「社員が望んでいること」に応えるとともに「会社の将来を担う人材を見つけるトップのニーズ」をも満たす施策になりますから、一石二鳥の上策となります。





H24.10.3
経理初心者泣かせ
期ズレにはご注意を!

税務調査で必ずチェックされる「期ズレ」
 決算期前後の取引で、本来決算期に上げていなければならない取引が翌期に計上されていたり、逆に翌期に上げなければいけない取引が決算期に上がっていたりすることを総称して「期ズレ」と言います。売上や仕入れの期ズレは、税務調査で必ず最初にチェックが入ります。
会計原則には、発生主義と費用収益対応の原則とがあり、基本的には「現金収支には関係なく、収益・費用の発生した時点で計上しましょう」「収益と費用をできる限り因果関係に基づいて把握しましょう」というルールに則っています。
 税務調査の際に、調査官が確認する「期ズレ」は「売上が当期に計上しなければならないのに、翌期に計上されてないか」「仕入れが翌期に計上されなければならないのに、当期に計上されていないか、すなわち在庫や仕掛に計上されているか」です。
 
売上計上基準は毎期継続しなければダメ
 売上計上の原則は、商品やサービスの「引渡しがあった日」や「役務(サービス)の提供の完了した日」となります。
 引渡しの場合、「どのタイミングで収益計上するか」という計上基準があり、「出荷基準」「検収基準」「使用利益開始基準」「検針基準」の4つが主な基準です。毎期継続して運用されていればどの基準でもかまいません。

こんな取引に注意!
1.現金で商品を売ったが、納品日は決算日の後だった。
2.請求書は月初に発行したが、納品は決算月末であった。
3.翌事業年度に完成する工事等に係る費用(外注費など)を支払った。

 期ズレは意図的に悪用されるケースもありますが、単純な判断ミスや知識不足で発生する事もままあります。
 期ズレが税務調査で見つかると、修正申告や更正が必要になり、余計な手間や税金がかかってしまう事にもなりかねません。
 経理担当者が何らかの事情によって交代した場合等、注意を怠るとひょっこりと出てきてしまうミスでもありますので、「まずは期ズレのチェック」と初心を忘れないよう、気をつけましょう。






H24.10.2
人事異動と許認可

事業年度後半、人事異動の多い季節
10月から事業年度後半、といった企業も多いことと思います。事業年度の区切りに合わせ、多くの企業では人事異動が行われます。引っ越しサービスを提供するアートコーポレーション株式会社が行ったアンケート調査によれば、10月は4月に次いで二番目に人事異動が多い時期となっているようです。人事異動は従業員にとって大きな環境変化ですが、許認可を取得している企業の場合、企業の事業そのものの継続に関わる変化にもなり得るため注意が必要です。

許認可の基本は「人+場所+財産」
 一口に「許認可」とは言っても、許可、認可、免許、届出など様々な様式があります。これらすべての手続き様式に共通し、ほとんどの場合で取得に際し必要とされるのが人的要件、場所的要件、財産的要件の3要件です。これらの要件は取得時だけでなく、取得後も継続していることが求められるため、どれか一つが欠けてしまうことが許認可の維持に重大な影響を及ぼすこともあるのです。 
人事異動を行うと、当然ですが「人」が他事業部や他地域の営業所へ移ります。もしここで異動の対象である「人」が、許認可の維持に必要な「人的要件」を担う管理者的立場であった場合、その管理者に代わる人員を適切に補充・配置しなければなりません。

人的要件が必要とされる許認可の例
(1)建設業許可
 建設業の経営を統括的に管理する経営業務管理責任者と、営業所毎にその営業所での仕事を専業する専任技術者が必要です。
(2)酒類販売免許
 規定の研修を受講、または販売経験を持つ酒類販売管理者を、店舗毎に設置する義務があります。
(3)理容所・美容所
理容師・美容師が常時2人以上いる店舗は、各従業員に衛生管理を徹底させるため店舗毎に管理理容師・管理美容師を置かなければなりません。
こうした管理者の異動については、その都度各管轄庁へ届け出ることが義務付けられていますが、人事異動の実施時期など社内の繁忙時にはつい手続きを忘れてしまいがちです。人員配置は計画的に、社内手続きだけでなく行政手続きについても管理が必要です。





H24.10.1
65歳までの雇用の義務化

今までとどこが違う高年齢者雇用
 60歳の定年後も希望者全員を雇用する事を企業に義務付ける高年齢者雇用安定法が成立しました。来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応して定年後に年金も賃金も受け取れない人が増えるのを抑えるためです。
 今までの法律では60歳を超える従業員が継続雇用を希望し、さらに会社の再雇用基準を満たしている場合に雇用する事になっていましたが、会社の再雇用基準とは関係なく、本人が希望すれば雇用しなければならないということになったのです。現在企業の8割以上は継続雇用制度を持っていて、定年後も希望者を雇用していますが、その半数強は労使協定の基準を満たす者を対象としています。改正法ではその選別を協定であっても選別出来ない事となります。

厚年報酬比例部分は現在は60歳から支給
平成25年度に男性は61歳からの支給となり、以降3年ごとに1歳上がって平成37年度には完全に65歳開始となりますので、継続雇用する対象者の範囲を年金の支給開始年齢に合わせて伸ばし、受給開始が65歳になるまでに希望者全員の雇用を求めて行くとしています。
会社の再雇用基準が適用できず、希望者全員の継続雇用義務化は次の予定です。
 61歳まで  平成25年4月〜28年3月
 62歳まで  平成28年4月〜31年3月
 63歳まで  平成31年4月〜34年3月
 64歳まで  平成34年4月〜37年3月
 65歳まで  平成37年4月〜

気になる人件費と働く能力や意欲
 最近の厚労省の調査でも定年を迎えた43万人のうち10万人以上は継続雇用を希望しませんでしたが、年金支給開始が遅れると継続雇用希望者は増えるかもしれません。人件費の増大のみならず能力の低い社員も雇用義務を生じると労働生産性の問題も懸念されますし若年者雇用にも影響が大きそうです。今までは基準に満たなかった場合は継続雇用をしなかった場合でも雇用義務が生じます。そして健康状態、出勤率、勤務態度、業績評価などの基準で対象者を絞っていたところを本人が希望すれば選別はできなくなります。但し、審議会の指針では企業負担が重くならない様に勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は対象外とできるとしています。