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H24.2.29
確認的規定としての改正税法

予測に反して確認規定になった その1
 個人の受け取る保険金が、会社契約で、保険料の半分が会社負担であった場合、個人の一時所得の計算上、その会社負担保険料を必要経費として控除できるか、否か?
この問題での訴訟で、国の敗訴が濃厚だったので、平成23年度12月税制改正で、会社負担分は控除不可と政令を変えました。
しかし、予想に反して、最高裁では逆転勝訴になったので、不必要な政令改正をしたことになりましたので、改正は新たな意味を持つことのない確認規定を設けたことになりました。

更なる敗訴の前の確認的税法規改正その2
 「記載された金額を限度とする」との税法規定は、所得税法の外国税額控除、地方税法の利子割額控除、法人税法の受取配当等益金不算入、寄附金損金不算入、所得税額控除、外国税額控除等々にあります。
この規定を硬直的に解釈せずに、本来なら記載したであろう金額、でよいのではないか、というテーマでの訴訟が起き、最高裁はたてつづけに硬直解釈を排し、「記載された」の規定を「記載すべきであった」の意味に解する判決を出しました。
これで、「記載限度額要件」とか「当初申告要件」とか言われる規定は、悉く意味を持たないことになりました。
例えば、後から、みなし配当や寄附金の認定を受けたとかという場合でも、「記載限度額要件」とか「当初申告要件」により、益金不算入や損金算入が不可とされても、訴訟に至れば救済されることになりました。

確認規定を超えた見直し
 平成23年度12月税制改正では、これらの訴訟の結果を承けてのことながら、相続税や贈与税の配偶者の控除規定にまで及ぶ「記載限度額要件」と「当初申告要件」の廃止に近い見直しが行われました。
 措置法関係の規定と、減価償却や引当金などの規定を除いては、徹底した見直しになっています。
 なお、平成23年12月改正の解説では、「当初申告要件」と「記載限度額要件」に係る改正の適用開始につき、改正法公布後のこととしているものが多いけれど、この改正も全部ではないものの、中心部分は訴訟で解釈が変更されたことを確認することを規定化したものなので、公布日以前の申告にも適用があるものが多い、と言えます。




H24.2.28
諸手当の整理

 賃金項目の中に住宅手当・家族手当・安全手当など一般的な項目のほかに様々な手当があり、過去の経緯があって、従業員の既得権となっており、経営者にとっては、「なくしたいのだが、なかなか手がつけられない。」と言う場合があります。また、反対に本給に入れずに手当の新設又は増額で
従業員の意欲向上を図りたい場合もあります。
 賃金制度は一般に10〜20年程度の期間ごとに、採用の有利性確保や、経営計画目標達成、モラールの維持・向上などのために、外部環境を考慮に入れて改定することが必要ですが、諸手当の整理もその一環として整理することが得策です。

諸手当整理の考え方
 賃金は労働時間とともに最も重要な労働契約の項目ですから、その一部分である手当についても、例えば次のようにしっかりした考え方・方法で整理する必要があります。

手当の整理に関する会社の方針例
「会社への貢献に従って適正に賃金を支払う。」と言う賃金改定方針のもとで、賃金体系、賃金配分を見直す一環として手当を見直す。
1.会社への貢献とは直接関係のない属人的要素に基づく手当を原則的に廃止する。
2.会社の業績向上のための能力開発に役立つ等、積極的意味がある場合は手当の新設、又は増額を検討する。

方針に基づいて現状の手当項目ごとに、廃止・継続・増額とその理由を検討します。例えば、
1.過去に特別な事情があって設定され、現状では意味が極めて薄い手当、過去の経営者が温情的な考え方で設定し、現在の会社の賃金に関する方針と合わない手当は廃止します。
2.逆に本給に含まれず、時間外手当の算定基礎にならない手当を新設することで、業績向上に役立つ場合は新設又は増額します。

整理の実務的留意点
減額の場合には、単純に減額することによる既得権の侵害、モラールの低下が逆効果になることがあり、「廃止又は減額する手当」を「新設又は増額する手当」と相殺する、減額分を他の賃金項目に振り替える等、納得が得られる改定方法をとることにより、無用なトラブルを防止することが肝要です。




H24.2.27
保険料支出と負担

負担していない保険料の控除可否
 養老保険の満期がきたので、満期保険金を受け取り、確定申告をした人がいます。個人が受取った満期保険金は、一時所得として所得税・住民税の課税を受けることになります。一時所得では「収入を得るために支出した金額」は必要経費となります。
その保険が会社契約で、保険料の半分が会社負担であった場合、個人の一時所得の計算上、その会社負担保険料を必要経費として控除できるか、否か? どちらか?

税務署と納税者の主張
この疑問をめぐる税務訴訟がありました。税務署は、一時所得の計算上控除されるのは、本人が負担した保険料と給与課税された保険料に限られ、本人が負担していない保険料を控除することはできない、との解釈論を展開しました。
納税者は、法律の規定では、誰が支出したかは問うていないから、会社負担でも控除できるはずで、税法通達にもその旨書いてある、と主張しました。

地最と高裁の判決
理論的には、税務署の言う通りであるが、法律政令通達は、その理論通りの規定になっておらず、会社負担保険料を控除できないものと読みとることはできない、として納税者の主張を認めました。

最高裁の逆転判決
訴訟での負けを予測して、国税庁は、平成23年度税制改正で、会社負担分は控除不可と政令を変えたところでした。
ところが一転して、最高裁は、一時所得の必要経費たる「支出した金額」とは、個人の担税力を図る趣旨のものであるから、収入を得た個人が自ら負担したものに限る、との解釈で納税者敗訴としました。
文理解釈で判決していた地裁・高裁とは異なり、最高裁は趣旨解釈での判決にしました。政令改正は不必要だった訳です。

予測可能性を許さない最高裁
 この最高裁判決を下した裁判官は、武富士贈与税回避事件、損益通算禁止遡及適用違憲事件の最高裁判決と同一人です。
武富士事件では、趣旨解釈することを拒否して、国外長期滞在が贈与税回避目的であったとしても、法の解釈には限界があり、立法的対処しかない、としていました。
 判決ごとに最高裁の姿勢が異なり、多分、当局側も最高裁判決は予測困難さを増幅していると見ているのではないでしょうか。





H24.2.24
転ばぬ先の杖
任意後見制度

成年後見制度とは
 成年後見制度とは、認知症など精神上の障害により判断能力が低下した人を守る仕組みで、成年後見人等を選任し、判断能力が低下した本人に代わって成年後見人等が財産管理や身上監護をすることによって、本人が安心して生活できるよう保護・支援することを目的とした制度です。

法定後見制度と任意後見制度
 成年後見制度には、利用する人の判断能力に応じて法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。法定後見制度とは、既に判断能力の低下が見られる場合に利用できる制度です。一方、任意後見制度は、本人の判断能力に問題がないときに、将来判断能力が不十分になった場合に備え、事前に契約を締結しておく制度です。判断力が低下した後に利用される法定後見制度に比べ、任意後見制度ではいつ・誰に・何を頼むかを本人自ら決定でき、本人の意思をより尊重することができる可能性が高いと言えます。

任意後見制度の事業承継活用
こうした特色を活かし、任意後見制度を事業承継対策として活用する場面もあります。たとえば、本来円滑な事業承継のためには5〜10年程の長期的なスパンがほしいところですが、経営者が高齢である場合などは計画的な事業承継を行うことが難しいこともあります。事業承継の対策時には多くの法律行為を伴うことがありますので、経営者が正常な判断をできるうちに、信頼のおける任意後見人を選任し契約を結んでおくことで、不測の事態に備えることができます。

任意後見契約の締結
 任意後見制度は、公正証書によって任意後見契約を締結することで利用できます。任意後見契約が締結されると、公証人により登記が嘱託され、本人や任意後見人になる方の住所氏名や代理権の範囲などが法務局で登記されます。任意後見人はこの契約に定められた範囲で事務を行いますが、婚姻・離婚、養子縁組などの身分的行為に属する事項や、介護や送迎、掃除・洗濯等の事実行為などに関しては、任意後見契約で委任することはできません。





H24.2.23
「マッチング拠出」って何

日本版401Kの変化
2001年に導入され始め、現在の加入者数は400万人を超えたといわれている確定拠出年金(日本版401K)の掛金は、これまで事業主による拠出のみとなっていましたが、平成24年1月から老後資金の確保を支援するため、事業主掛金にあわせて従業員からの掛金の拠出もできることになりました。これを「マッチング拠出」と呼んでいます。

ここがかわった
昨年、成立した「年金確保支援法」により企業が「マッチング拠出」を採用すると、従業員も掛け金を追加して年金資産の元手を増やせるようになりました。ただし、拠出できる掛金の額は、拠出限度額(他に企業年金制度がない会社の場合は月額5万1千円、他に企業年金制度がある会社の場合は月額2万5千5百円)の範囲内で、なおかつ、事業主の拠出額を超えない範囲となっています。したがって、現在会社から拠出を受けている掛金の額が、仮に5千円とするならば、自分で拠出できる額も5千円が上限となります。
マッチング拠出は、あくまで加入者の任意による制度ですから、会社がこの制度を導入しても、拠出するかどうかは加入者である従業員の自由です。具体的には今後規約に定められることになりますが、拠出を希望する場合は、申し出た金額が給与から天引きされ、事業主掛金と一緒に資産管理機関に納められることになります。

所得控除で節税のメリット
金融機関等を通じた資金運用が所得控除にならないのとは対照的に、掛金がこの法律による所得税法の一部改正で社会保険料等として所得控除の対象となる小規模企業共済等掛金に加えられました。
拠出した金額は小規模企業共済等掛金として全額が所得控除の対象となります。また、従前どおり、運用益は非課税、受け取るときも年金所得控除の対象となります。

デメリットも認識して
但し、確定拠出年金は従来の企業年金基金に変えてと言うことですから、国民年金や厚生年金にプラスしてと言うことです。新しく始める場合は、企業の負担増は避けられませんので、ご留意下さい。
また自己責任で運用することや、元本割れ、年金受給年齢まで取り崩せない等、従業員個人のリスクやデメリットの認識も必要です。





H24.2.22
定型労働者の職務遂行能力

 定型労働者とは製造・オフィスの事務・保安及び警備・コンピュータ操作・店内販売などの定型的職務に従事する労働者です。  基本的に成果物があらかじめ決められており、標準的作業手順・方法・判断基準に従って職務を遂行し、製品やサービスなどの成果物をアウトプットすることが求められます。
 従ってその職務遂行能力は、作業手順・方法を正確に効率よく実施できる能力で、 言い換えれば、正確に効率よく(スピーディーに)実施できる習熟の度合が成果に結びつく能力と言えましょう。

職務遂行能力の特質
 職務遂行能力は、その能力を持っている(保有能力と言う。)だけでは評価に値せず、実際に職務に生かす(発揮能力と言う。)ことによって評価されます。
 定型労働者の職務遂行能力は、例えばカメラの組み立て作業における作業手順・方法のように、技能の正確性・スピードが製品の出来高・品質に影響しますから、作業に必要な技能の習熟度合が重要になります。
 また、店内の物品販売職であれば、商品知識・お客様のニーズをつかむ能力・お客様に好かれる接客トークなどの習熟度合が販売成果に結びつきます。
 社内の同じ職場で複数の定型労働者が働いている場合が多く、その場合は個々の労働者の職務遂行能力・習熟の度合だけに注目するのでなく、チーム内・チーム間の健全な競争により、職務遂行発揮能力の向上とそれに伴う生産性・販売高の向上など、業績の向上を競わせるのが上策と言えます。

経営者に創意工夫の勧め
 このような職務遂行能力・業績向上にねらいを置いた経営者のマネジメントは次の考え方と方法で実施することをお勧めします。
1.基本的な考え方
 働き、学び、楽しむことが渾然一体となった職場づくり
2.具体的施策
 (1)技能習得・習熟と業績を点数評価してチーム間で競い合う“仕事のゲーム化”
 (2)月間・期間・年度など定期的な公開の成績発表、表彰
 (3)全チームのゲーム作戦・達成目標、成果と反省の発表





H24.2.21
雑損控除での人為災害

雑損控除の対象事由
雑損控除の損害の原因は、次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難  (5) 横領

人為による異常な災害の事例・姉歯事件
 構造計算書偽装の姉歯事件の被害物件である分譲マンション居住者に対しは、所得税・個人住民税について雑損控除が適用できることとされています。
 政府が入居者に対し自主退去の勧告や使用禁止命令等を行ったこと、検査機関が見過ごしたこと、居住者が偽装に気付くことは極めて困難、などの諸般の事情を考慮して、「人為による異常な災害」に該当すると判断されました。

ラジウム撤去処分費用は?
 東京都世田谷区で相次いで発見された“出所不明”のラジウム入りの瓶、社団法人「日本アイソトープ協会」が一時的に預かっているということらしいが、撤去や処分に、場合によっては数千万円もの費用がかかる恐れがあるといわれています。
もし個人負担があるとしたら多分、人為による異常な災害損失になるのでしょう。

アスベスト除去費用は?
アスベスト使用に係る建築規制は平成18年からで、また大気汚染防止法は古い建物を解体するに際しての周辺への飛散や解体労働者の曝露を防止するべく、平成8年以降規制が強化されてきました。
その結果、アスベスト使用物件と認定されると、アスベスト除去には、特別な申請等の手続き、専門の業者による工事・検査が必要となり、通常解体費の倍近い費用が追加でかかるようになっています。
 このアスベスト除去費用は人為による異常な災害損失に該当するでしょうか。

訴訟になっているアスベスト災害
 アスベスト除去費用を雑損控除の対象として所得税の申告をした事例があります。
税務署の容認するところとならず、現在訴訟中ですが、地裁では納税者敗訴となり、高裁で争っています。
 構造計算書偽装の姉歯事件との比較において判断すると、容認の余地があるようにも思えます。





H24.2.20
遺言書とエンディングノート

遺言書ブームに火が着いたのは2009年のことですが、それに追随するようにエンディングノートの人気がじわじわと上がっています。2011年10月より公開された映画『エンディングノート』は、当初は重いテーマだと上映館数も多くありませんでしたが、口コミで広がり11月には観客数5万人を超え、現在もなお全国の映画館で上映されています。

遺言書とエンディングノートの違い
 遺言書とエンディングノートの一番の違いは、法律的な拘束力(=法的拘束力)を持つか、持たないかという点です。法的拘束力がないため、書き方に制限がなく自由に書くことができます。これに対し、遺言書は法的拘束力を持つ文章ですが、そのため書き方や記載できる事項は民法により厳格に定められています。

変化する葬送事情
 日本では、高度経済成長を背景に核家族化が進行しましたが、これは葬送にも大きな変化をもたらしました。これまではほとんどの方が「自宅外」ではなく「自宅」でお亡くなりになっていたのに対し、1976年を交点にその数は逆転、現代では85%以上の方が病院や施設などの「自宅外」で亡くなっています。その結果、病院等から搬送をきっかけに葬儀社が自動的に決定してしまうことが多く、その場対応での葬儀社選択によるトラブルも増加しています。

遺言書だけでは足りない?
 遺言書には、葬儀の方法についても記載することはできますが、これらの事柄について法的拘束力は発生しません。また、法的拘束力がある遺言事項としては、遺贈や遺産分割の禁止などが挙げられ、財産分与に関する事項が強調される傾向があります。
一方、市販されているエンディングノートの内容を見てみると、財産に関する事項に加え、葬儀方法では葬儀社はどこに依頼するか、遺影写真はどれを使いたいか、葬儀には誰を呼びたいかなど、法的拘束力こそありませんが、本人の想いを事細かに記載できるようになっており、より明確に葬送に関する意志を伝えることができます。そのほか、メールやネットサービスのアカウント等電子情報に関する事項についても記載することができ、現代の日常生活に不可欠な情報でありながら、一般的に遺言書にはあまり記載しない内容についても手軽に残すことができるようになっており、遺言書だけでは補いきれない部分について活用する例が多いようです。





H24.2.17
競業転職と退職金不支給


最近の判例から見た競業避止義務
 労働者が退職する場合、営業上の企業機密や顧客の個人情報等の漏洩を防ぐ目的で一定期間の競業他社への就業を禁止している事があります。平成22年に出された判決から競業他社への就業の禁止について考えてみたいと思います。

ヤマガタ事件(東京地裁 平22、3、9)
 加工会社の元支店長が、退職金を請求したところ、会社は就業規則に定める懲戒解雇や競業禁止義務違反をしたとして不支給
とした。東京地裁は本人の退職届が先に提出され雇用関係は消滅している為懲戒解雇は無効、競業する転職先へ顧客を紹介し、元会社の取引量を減少させたとしても、その不利益の度合いは少なく、勤続の功を抹消、減殺するほどの背信性はないとされた。

三佳テック事件(最―小判 平22、3、25)
 産業用ロボの製造会社が退職後に同業を起業した元社員らに競業避止義務違反として損害賠償を求めた。原審では共同不法行為とされた為、元社員らが上告、最高裁では営業秘密は使用せず、信用を落としめる等の不当な営業活動はしていない事、自由競争の範囲内であり、不法行為ではないとされた。

三田エンジニアリング事件(東京高裁平22、4、27)
 退職直後に競業他社へ転職した元従業員にビルメンテナンス会社が退職金返還請求をした。高裁では競業禁止規定は職業選択の自由を制約するもので代償措置も講じていないとされた。また、誓約書の内容から営業機密を開示、漏洩した場合などに限り規定は有効とするが、機械の説明書による保守点検のノウハウは営業機密には当たらない為、退職金不支給は無効とされた。

競業避止義務が認められるハードルは高い
 競業避止義務違反の判断基準としては、
@明確な特約があったか
A営業機密を知りえる立場か
B企業が被る損害の程度
C競業禁止期間、地域、対象となる職種の合理性の有無
D代替措置の有無 同業への就業を禁止する間の一定の所得補償等の代替措置
 判断基準や判例を見ても競業禁止を確実にするのはたやすいことではありませんが、何も策を講じなければ会社は主張出来ません。訓示的、抑止的意味合いであっても就業規則には従業員の引き抜き防止規定と合わせて規定しておくことが重要でしょう。





H24.2.16
太陽光発電と確定申告

太陽光発電と余剰電力買取制度
 2009年の余剰電力買取制度の開始から、2010年度には前年比52.4%増の21.8万件と大きく拡大した太陽光発電。昨年は東日本大震災をきっかけに導入を考えたという方も多いのではないでしょうか。
余剰電力買取制度は、太陽光発電により生産された電気が自宅等で使う電気の量を上回った場合、その上回る分の電力(=余剰電力)を10年間、電力会社に売ることができる制度です。電力会社に対して電気を売り渡すことを売電と言い、余剰電力の売電収入は所得計算上の収入金額になります。

売電収入と所得の分類
 売電により得られた収入は所得計算の際、どのような所得に分類されるでしょうか。
 例えば、給与所得者が自宅に太陽光発電設備を設置した場合はどうでしょう。一か所の会社に勤め、給与所得以外の所得がないごく一般的なサラリーマンが太陽光発電設備を自宅に設置し、家事用資産として使用しその余剰電力を売却しているような場合であれば、雑所得に該当します。このようなサラリーマンの場合、給与の総額が2000万円以下で、毎月給料やボーナスから所得税が源泉徴収され年末調整を行っていれば、通常確定申告をする必要はありませんが、売電による雑所得の額が20万円を超えた場合には確定申告の必要が出てきます。しかし、一般家庭の平均的な1日あたりの余剰電力は約7kWhと言われており、経済産業省が発表した平成23年度の電気買取価格は住宅用で42円/kWhとなっていますので、売電による平均収入は単純計算で年間107,310円です。さらに、この収入額がそのまま雑所得の額になるのではなく、ここから更に必要経費を引くことで雑所得の額が求められます。太陽光発電をするためには当然発電設備を整える必要がありますが、この設置費用は減価償却という方法で数年に渡り一定割合ずつを経費にすることができます。その他にも、設備の修理等の経費が発生しますので、売電のみで雑所得が20万円を超えることは極めて稀だと言えます。
 また、売電により得られた所得が無条件に雑所得へ分類されるわけではありません。同じように自宅へ太陽光発電設備を設置した場合であっても、自営業者で自宅兼店舗として利用している方や、不動産賃貸業を営む方が賃貸アパートに設置した場合など、その人の所得条件により事業所得や不動産所得に分類される例もあります。





H24.2.15
消費税増税&交付国債

功を奏するか正面突破作戦
 「政局より大局」と大見得を切って、政界ではタブーとも言える消費税増税を一枚看板にした野田政権の正面突破作戦は予想外であっただけに新鮮味もありました。
ねじれ国会の乗り切り作戦に、打つ手がないことの裏返しに過ぎないものの、捨て身で掛かられると、「大局という政局」に周囲が翻弄されることになりますが、「小泉郵政解散の再現」のような劇的な幕切れには多分ならないでしょう。

消費税増税ありきの周辺税制
 消費税は、この現代日本の最も国民的な民主主義を体現した税であり、かつて消費税を制しきった政党・政治家はいなかった、と言えます。
 すでに先の政権時より、大衆課税への抵抗感を緩和するための外堀を埋める施策としての、高所得者への増税、資産税の増税のレールは敷かれつつありました。
 昨年末には、基礎年金の国庫負担分2.6兆円の財源が交付国債で賄われることになり、この交付国債は近い将来の増税消費税によって償還される、と決まりました。
 消費税増税による、所得逆進化の昂進への当面の対策として、低所得層への現金給付の検討にも入っています。
 消費税増税へのロードマップは完成しつつあります。しかし、まだまだ大きな波乱が待ち受けているのかもしれません。

交付国債って何だ?
 2015年までに消費税10%が実現しても、2020年のプライマリーバランスの赤字は9〜16兆円強に上ると政府は明言しています。
 ところで、交付国債はこのプライマリーバランスに直接には関与しません。なぜなら、交付国債は、政府が現金を支払う代わりに公的機関向けなどに発行、交付する無利子国債で、「小切手」のようなもので、発行を受けた機関などは、必要なときに国に請求すれば換金でき、国にとっては、請求があるまでは現金を必要としないため、当初は予算に計上する必要がなく、新規発行国債にも含まれない、ものだからです。
 財政の究極の奥の手で、打ち出の小槌とも評されています。もし、「小切手」類似としての流通性か確保されたら、償還の必要もない、事実上の政府紙幣、戦前の軍票のようなものになってしまいます。





H24.2.14
漏れのない寄附金控除 住民税と寄附金控除

 住民税においても寄附金控除はあります。控除方式は、住民税額からの控除「税額控除」のみです。住民税の控除対象となる寄附金は、概ね次のとおりです。

控除対象となる寄附金
(1)都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと寄付金「納税」)、(2)住所地の都道府県共同募金会・赤十字社支部に対する寄附金、(3)国の控除対象寄附金のうち、都道府県・市区町村が条例で指定する寄附金(国に対する寄附金及び政党等に対する政治活動に関する寄附金は除く)、(4)認定NPO法人以外のNPO法人に対する寄附金で、条例で個別指定する寄附金、(5)震災関連寄附金(平成23年3月11日から平成25年12月31日「指定期間内」までの間に国や被災自治体、最終的に被災自治体や被災者に届けられる義援金で日本赤十字社、中央共同募金会、新聞社等に対するもの)

税額控除額の内容
 税額控除には、基本控除額と特例控除額があり、基本控除額は、控除対象となる寄附金すべてに適用され、一方、特例控除額は、基本控除額に上積加算されるもので、上記(1)と(5)の寄附金についてのみ適用されます。それぞれ税額控除額の計算は、次のとおりです。
基本控除額=(寄附金の額−2,000円)×10%
※税率10%は都道府県と市区町村の双方が指定、都道府県のみの指定は4%、市区町村は6%です。
 特例控除額=(寄附金の額−2,000円)×(90%−寄付者に適用される所得税の限界税率「住民税所得割額の1割限度」)
※寄附金の額は所得金額の30%が限度です。

確定申告書への記載は適切に
 住民税の寄附金控除は、原則、所得税の確定申告書で寄附金控除を適用し、確定申告書第二表「○住民税に関する事項 寄附金税額控除」欄の記載を具備することで漏れなく適用できます。
 その記載ですが、上記(5)の震災関連寄附金は、「都道府県・市区町村」の欄に記入することで基本控除に加え特例控除が適用され控除額が大きくなります。また、条例指定の寄附金に関しても都道府県・市区町村の双方指定か、一方のみの指定か自治体に確認し、双方指定であれば「都道府県」の欄と「市区町村」の欄双方にその金額を記入し漏れのない控除が受けられます。
 なお、確定申告書にその領収書、証明書等の添付又は提示が必要になります。






H24.2.13
「せどり」申告はご注意を!

「せどり」って何?
 「せどり(「競取り(糶取り)」、または「背取り」とは、『同業者の中間に立って品物を取り次ぎ、その手数料を取ること。また、それを業とする人(三省堂 大辞林より)』
 現在この「せどり」がインターネットで副業として広まっております。具体的には、ブックオフ等の古書店で、安く仕入れた古書を、アマゾンやヤフーオークションで利益を乗せて販売すると言うものです。
 古書に限らず、CDやDVDやゲームソフトもその対象となっております。

ネット上では花盛り
 インターネットで「せどり」を検索すると、片手間で儲かると言った誘いの文句や入門の手引きと言った「せどり」を副業とする人を対象とした様々な商品が、目白押しです。しかし実際は、古書を仕入、インターネット上に出品し、同業者の動向を見て販売価格を改定し、販売できたら梱包し出荷すると言う一連の手続きは、かなり手間と時間がかかるようです。

「せどり」収入の確定申告は
 一般にサラリーマンの副業としておこなっている場合は、「せどり」による所得(収入から経費を引いた利益)が20万円を超える場合は確定申告義務が生じます。
 この場合の申告方法は、事業所得とするか、雑所得とするかで、その取り扱いが違います。

事業所得として申告するには
 開業届けを事業開始から1ヶ月以内に所轄の税務署長に届ける必要があります。事業所得の場合は、赤字であれば、赤字を給与等の他の所得から控除できます。同時に青色申告届けも提出しておけば、利益が出た場合に青色申告控除(10万円又は65万円)も受けられます。しかし、制度会計に則った帳簿の作成が必要です。

雑所得の場合は
 事業所得のような手間はかかりませんが、赤字の場合は、所得は0とみなされます。また青色申告は出来ませんので、当然青色申告控除もありません。
 開業届けを出して、事業所得として申告したとしても、実態が事業でないと認定されると、雑所得となります。その基準は明確ではありませんが、サラリーマンの副業は雑所得と言うのが、税務署の一般的な見解です。ご留意下さい。






H24.2.10
寄附金・義援金の整理
今一度 寄附金控除

 平成23年分の還付申告は、本年の1月1日からすでに始まっています。平成23年分については、多くの方が震災関連の寄附(義援金)をされ、それに伴って寄附金控除の適用を受けられる方も多いと思います。

寄附金控除の概要
寄附金控除の対象となる寄附金(その年中に支出したものに限る)は、@既存制度の「特定寄附金」とA震災特例法で定められた指定期間内の「震災関連寄附金(義援金)」です。
特定寄附金は、国又は地方公共団体、公益増進法人や認定NPO法人等に対する寄附金です。一方、震災関連寄附金は、指定期間内に支出された寄附金・義援金で国又は被災地地方公共団体、指定された機関等に対してなされたものです。
寄附金控除には、所得控除と税額控除があります。指定された一部の寄附先には、税額控除の選択適用が認められ、いずれか有利な方を選択できます。控除限度額の計算は次のとおりです。

所得控除の限度額計算(寄附金全てに適用)
(震災関連寄附金以外の特定寄附金の額の合計額+震災関連寄附金の額の合計額)−2,000円=所得控除額
※震災関連寄附金以外の特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%です。また、震災関連寄附金以外の特定寄附金の額と震災関連寄附金の額の合計額は所得金額の80%相当額が限度です。

税額控除の限度額計算(下記寄附金に限定)
(1)政党等に対する寄附金
(寄附金の額の合計額−2,000円)×30%=税額控除額
(2)認定NPO法人又は公益社団法人等に対する寄附金で一定の要件を満たすもの
(寄附金の額の合計額−2,000円)×40%=税額控除額
(3)特定震災指定寄附金(認定NPO法人又は社会福祉法人中央共同募金会に対する寄附で、特に、東日本大震災の被災者支援活動に充てるためのもの)
(特定震災指定寄附金の額の合計額−2,000円)×40%=税額控除額
※(1)及び(2)の「寄附金の額の合計額」は、原則所得金額の40%、(3)は、原則として所得金額の80%相当額が限度です。また、税額控除額は、所得税額の25%が限度で(2)と(3)の合計額で判定、(1)は別枠で所得税の25%を判定します。
なお、所得控除及び税額控除の計算にあたっては、所得金額の40%(震災関連寄附金を除く)及び控除下限額2,000円はすべての寄附金控除を含めて判定します。





H24.2.9
所得税の確定申告
準備はお済ですか !

 その年分の確定申告書の提出及び納付期限は、法律で定められ、原則、翌年の2月16日から3月15日までです。平成24年は、「うるう年」ですので平成23年分の確定申告は1日得をしたことになります。

確定申告が必要な主な人
確定申告が必要となる主な人は、原則、@個人で事業を営んでいる人や不動産の賃貸収入のある人、A給与収入しかない人でも収入金額が2,000万円を超える人や給与及び退職所得以外の所得金額が20万円を超える人、B土地建物及び株式(上場株式等で一定の選択をした人は除く)並びにゴルフ会員権や金地金などを譲渡した人、C同族会社の役員で、その会社から給与以外に貸付金の利子や事務所等の賃料収入を得ている人などです。
また、D平成23年中に住宅を取得しローン控除の適用を受ける人、D医療費や寄附金控除(義援金、ふるさと納税)の適用を受ける人、E災害、盗難、横領により生じた一定の資産の損失について雑損控除等の適用を受ける人も確定申告が必要です。

昨年と比べて変わった主な点
身近なものとしては、何と言っても平成23年分から年齢16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象外になったことです。
また、認定NPO法人又は一定の要件を満たす公益社団法人等に対する寄附金については、所得控除との選択の上税額控除が創設され、さらに、時限措置として、震災関連寄附金控除(所得控と税額控除)が加わったこと、年金所得者については、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、それ以外の所得金額が20万円以下である場合には、確定申告が不要となったこと、などです。

準備すべき主な必要書類(所得控除関係)
@生命保険料控除証明書、A国民年金・国民年金基金の支払証明書、B地震保険料控除証明書、C医療費の領収書(平成23年中に支払ったものに限る)及び保険金等で補てんされた金額がわかるもの、D寄附金(義援金)の領収書、証明書等、E雑損控除に関しては、損失額の明細書、罹災証明書、盗難証明書、災害関連支出の領収書、保険金で補てんされた金額がわかるもの、F住宅ローン控除(初年度適用時)に関しては、ローンの年末残高証明書、売買契約書・請負契約、住民票、登記簿謄本など、です。





H24.2.8
既卒者雇用奨励金の期間延長

平成25年春入社の新規採用始まる
 来年春の新卒採用が12月1日より始まっていますが、今年卒業予定者の内定率は約7割と依然として厳しい就職環境が続いています。さらに円高や震災の影響もあり、今後も厳しい状況が続く事が予想されます。
 厚労省では従来から運用されていた既卒者を採用する事業者向けの2つの奨励金、3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金と3年以内既卒者トライアル雇用奨励金について、平成23年度末までの予定を延長する事にしました。

3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金
 これは平成21年3月以降大学等を卒業後安定した就労経験がない者を正規雇用した場合に支給され、2つの種類があります。
@基本の奨励金
 延長内容は対象労働者につき平成24年6月末までにハローワークからの紹介を受け、同年7月末までに雇い入れた場合に対象となります。支給額は正規雇用から6ヶ月後に100万円が、雇用保険適用事業所単位で1事業所当たり1回支給されます。
A東日本大震災特別措置
 延長内容はハローワークに震災特例求人(被災者で3年以内の既卒者)を提出し平成25年3月までにハローワークからの紹介を受け同年4月までに正規雇用として雇い入れた場合に対象となります。支給額は120万円が、雇用保険適用事業所単位で最大10回(特例対象者10人まで)が支給されます。

3年以内既卒者トライアル奨励金
 これは平成21年3月以降に大学等、高校、中学校を卒業後、安定した就労経験がない者を正規雇用に向けて育成する為、有期雇用(原則3ヶ月)で雇用し、その後正規雇用に移行させた場合に支給されます。
@基本の奨励金
 平成24年6月末までにハローワークからの紹介で同年7月までに雇い入れた場合、有期雇用期間(原則3ヶ月)について1人つき10万円、その後正規雇用から3ヵ月後に50万円を支給。
A東日本大震災特例措置
 ハローワークに震災特例求人を提出し平成25年3月までに紹介を受け同年4月までに雇い入れた場合、有期雇用期間について1人10万円、正規雇用後3ヶ月後に60万円支給されます。





H24.2.7
焼き芋屋さんの移動販売
食品衛生法と営業許可

 冬の寒さもいよいよ大詰めとなってきました。寒い中外を歩いていると、焼き芋屋さんの「いしや〜きいも、おいも」という声についつい反応してしまいます。ところで、焼き芋屋さんのように食品の移動販売をするためには、何か許可を受ける必要があるのでしょうか?

移動販売と営業許可
 食品を販売、調理加工をする場合は、食品衛生法により定められた営業許可を取得する必要があります。これは、飲食店のような店舗での販売に限らず、車を使った移動販売でも同様です。しかし、この営業許可は食品の販売すべてに例外なく適用されるわけではなく、許可を取得する必要があるかどうかは、販売する食品と調理・加工方法によって決まります。

@食品を調理・加工せず販売する場合
食肉・鮮魚・牛乳類を販売する場合には営業許可が必要です。一方、野菜や果物、菓子類やジュースなどを販売する場合に営業許可は必要ありません。ただし、食品衛生法上、一度調理された食品を加熱し温めなおす行為や、カン、ペットボトルのジュースをコップに注ぐ行為などは調理とみなされますので、これらの行為を行う場合には営業許可が必要です。

A食品を調理・加工して提供する場合
 基本的に、食品を調理・加工して販売する場合は営業許可が必要です。しかし、調理・加工して販売する場合でも、農産物に簡易的な加工を行って提供するだけであれば営業許可は不要とされます。焼き芋や焼きトウモロコシなどは、農産物を加熱した程度の簡易的な加工に当たりますので、焼き芋屋さんは食品衛生法上の営業許可を取得する必要がないのです。

営業許可はいらないが…
 焼き芋屋さんに食品衛生法上の営業許可は必要ありませんが、何も届出をしないでよいというわけではありません。道路上に停止して販売を行う場合は、道路の管轄警察署に対し道路使用許可を得る必要がありますし、公園内で営業する場合には都市公園法という法律により、管轄の地方公共団体、国土交通省に対する申請が必要になります。また、販売に使用する車を加熱処理ができるような構造などに改造する場合は、道路運送車両法という法律が関係してきますので、運輸局による構造変更検査を受ける必要があります。





H24.2.6
最高裁二重課税判決
土地譲渡ではどうなる?

やはり起きていた税務係争
平成19年に相続がおき、相続税申告では3198万円余で評価した土地を、平成21年に3000万円で譲渡した事例があります。
これについて納税者が、相続税で時価課税済みなのだから、譲渡所得税が課税されるとしたら二重課税ではないか、と問うて国税不服審判所に審査請求しています。
審判所は、法律で課税を容認しているとして、訴えを棄却しています。

前提としての二重課税違法判決
所得税法の非課税規定として、「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」が挙げられており、最高裁は、平成22年7月6日の判決で、これは 「相続税又は贈与税と所得税との二重課税を排除する趣旨の規定である」、との見解を表明しました。
この判決で争ったのは、相続課税された年金保険をその後の各年で年金受給したときの所得税の非課税でした。

審判所は荷が重すぎるとして逃げの一手
審判所は、最高裁の二重課税判決は、生保年金所得に限ってのものである、としてサッと切り捨てています。
相続課税と譲渡所得課税は明らかに二重課税なのですが、これを深く採り上げて論じようとはしていません。裁判所で結論を出してもらってよ、という姿勢です。

最高裁判決の射程範囲はどこまで及ぶ
最高裁判決を承けて、昨年の税制改正で、被相続人に生じている未実現の利子や配当等は、実現した段階で相続人に二重課税されるという新規定が挿入されることになりました。譲渡所得などのように二重課税が明文化されたわけです。
すくなくとも、最高裁判決の射程範囲が生保年金所得に限られるものではなかったことは税務当局も理解しているわけです。
しかし、二重課税を明文化した規定と、二重課税排除規定とが所得税法にそのまま並存する場合、二重課税排除規定を無視するのが正しい法解釈なのか、問題は残ったままです。

最高裁的解決方法は両立だった
 相続税の課税部分を超過する場合にのみ所得課税を容認する、というのが最高裁の判決内容でした。
 その最高裁見解が、生保年金だけでなく、譲渡所得にも当て嵌まる、となるのかどうか、税理士としては大きな関心のあるところです。





H24.2.3
自転車事故と損害賠償責任

大震災以降増えている自転車通勤
 最近、自転車事故が増えているというニュースが問題になりましたが、従業員が自転車通勤をしている場合や会社の営業で自転車を使用している場合等、通勤災害や業務災害、又は事故で他者にけがをさせた時の損害賠償責任等どのように対処をしておくべきでしょうか。

自転車通勤のルール作りと任意保険加入
通勤であれば事故の時は原則労災保険の適用があります。一方、通勤途上で事故の加害者となった場合でも直ちに会社が被害者に損害賠償責任を負うわけではありませんが、加害事故による最近の賠償額は高額になってきています。自転車通勤を認める場合は個人賠償責任保険には加入させるべきでしょう。それには会社に自転車通勤許可申請書を提出させ保険証券の写を添付させる等必要な措置をしておきたいものです。
許可を出す時は必要なルールを守らせるような規則や文書を作り、本人に知らせる必要があるでしょう。そして、規定の内容は特に危険な行為の禁止事項をきちんと決めておきたいものです。その内容としては飲酒運転の禁止、ブレーキの不良等の整備不良をしない事、携帯電話や傘をさしての片手運転等道交法違反をしない事、不適切な場所への駐輪や事故を招くような運転の禁止、その他これに準ずる危険な行為の禁止等があります。また駐輪場の確保も必要になるでしょう。
従業員が通勤に自転車を利用する事は、健康にも環境にも良いかもしれませんが、一定のルールを決めておくことが大切です。

営業に自転車を使用している時
 会社で自転車を貸出し、営業を行ったり、従業員の私物の自転車を業務に利用している時に事故を起こし、加害者となった時、会社は使用者責任者として損害賠償責任を負わなければなりません。
自転車は原則車道を走行するものですが、車道が危険な場合は歩道も走行できるところもありますので、歩行者と接触する事は充分考えられます。
自転車だからと気軽な気持ちで利用させると思わぬ事故に遭遇しないとも限りません。業務利用をさせるなら対人、対物賠償額まで考慮して保険加入をすることが必要でしょう。





H23.2.2
印紙税 領収書の分割
節税か租税回避か

 領収書は、金銭の受領を受けた者が、その受領(領収)の事実を証明するために作成し、その支払者に交付する単なる証拠文書又は証書であるといえます。
 ただ、作成された領収書が印紙税の課税対象となるには、金銭の受領が売上代金に係るものでなければなりません。

領収書の分割作成
 もちろん、領収書を作成しなければ印紙税はかかりませんが、しかし、相手があることですから領収書の作成を回避し印紙税を節約することは困難です。
 では、領収金額を2以上に分割して領収書を複数枚発行した場合はどうか、です。
 例えば、領収金額50,000円を25,000円に分割、25,000円の領収書(同日付)を2枚作成すれば、30,000円未満の受取書となり、印紙税はかかりません。
また、領収金額16,700,000円を分割し、領収書を次のように3枚(同日付)に分けて作成、発行したとします。
@領収金額10,000,000円 印紙税2,000円
A領収金額 5,000,000円 印紙税1,000円
B領収金額1,700,000円(内消費税795,238円) 印紙税 200円
その場合、16,700,000円の領収書を1枚発行すれば印紙税は4,000円ですが、このように3枚に分割して発行すれば3,200円となり、印紙税が節約されます。

節税か租税回避か
 印紙税は、特定の契約や権利等それ自体を課税対象にするものではなく、あくまでも、事実を証明する目的で作成された文書を課税対象とする、いわゆる文書課税です。  
したがって、各領収書に記載されている1,000万円、500万円、170万円を受け取った旨が記載されている以上、各領収書は、それぞれの記載金額の受取を証明する目的で作成されたものとして、その記載金額に応じた印紙税の額を判断することになり、所定の印紙が貼付け等されている限り、特段、印紙税法上の問題はないと考えられています。
 ところで、印紙税法上、「一の文書」に関する規定があります。この「一の文書」の意義ですが、「形式、紙数の単複は問わない」、となっていることから、上記のような分割した領収書3枚が「一の文書」とみなされるのでは、との疑義もありますが、この判定は、文書の物理的な形態を判断基準とするもので、領収書の分割作成とはその意義を異にします。





H24.2.1
電子公告利用の現状

「公告」とは、法律で決められた出来事が起きた場合に、その事柄を広く一般に知らしめることを言います。たとえば、決算や合併、分割、組織変更、解散等などが起きたときには公告をする必要があります。

3つの公告方法
会社の公告方法には現在、官報・日刊紙・電子公告の3つの種類があります。このうち電子公告は、平成17年2月1日から施行された『電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律』により可能になった公告方法で、この法律によりインターネットを利用して公告を行うことができる制度が導入されました。

電子公告の導入件数
 制度の導入からすでに7年近くが経とうとしています。上場企業では導入率が約90%とも言われる一方、多くの中小企業ではまだまだ「官報」を選択しているのが現状です。原因のひとつには、ほとんどの中小企業が決算公告の義務を怠っていることが挙げられます。本来、有価証券報告書提出会社以外のすべての株式会社には、決算公告を行うことが義務付けられているため、規模の大小に関わらず、株式会社であれば年に一回は公告を行う機会があります。この決算公告を怠っているために、公告方法自体を意識していない株式会社が多いようですが、会社分割や株式交換、株式移転を行おうとする際など、思わぬところで決算公告を行っているか否かが問われる場面もありますので、決して無視し続けるわけにはいきません。

電子公告は安いか?高いか?
 官報の一般的な掲載料は、決算公告の場合で約6万円、その他の場合で1行2,854円です。日刊紙の場合は50万円程度かかると言われます。一方、電子公告の場合、自社のWebページで決算公告を行えば、特段の費用はかかりません。決算以外を公告する場合は、電子公告調査機関による調査が必要ですので、その調査料がかかります。この調査料は、以前は20〜30万円前後とも言われていましたが、調査機関の登録数も増えたため、現在は数万円で調査を行う機関もあるようです。
もちろん、一概に電子公告が安いから良いというわけではなく、各企業に合わせそれぞれの公告方法にメリット・デメリットもあります。決算公告は株式会社の義務であることを認識し、自社の実情に合わせた公告方法の見直しをしてみてはいかがでしょうか。