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H24.6.29
外国人労務 「雇用」以外の契約形態

外国人の方が日本で適法に在留するためには、27種類ある在留資格のうちどれか一つを得ている必要があります。これら在留資格は、その外国人の身分(日本人の配偶者である場合など)に基づき交付されるもの、またはその外国人の活動内容に基づき交付されるものとに大別され、このうち活動内容に基づき交付される在留資格については、更に就労が可能な資格と原則就労不可能である資格に分けられます。

契約形態は雇用契約に限らない
 就労可能な在留資格のうち、いくつかの資格においては、その外国人が特定の機関との継続的な「契約」を結んでいることが求められます。一般的には、会社と雇用契約を結び就労可能な在留資格を得ることが大半ですが、この「契約」は雇用契約だけに限らず業務委託契約や委任契約、派遣契約なども該当しえます。「外国人労働者の知識・スキルを事業に活かしたいが、雇用契約よりもその他の契約形態の方が業務の性質上適している」といった企業であっても、雇用という形ではなく委託や派遣などの形で契約することにより、外国人の方に働いてもらうことが認められる場合があるのです。

雇用契約以外の契約形態の注意点
ただし、在留資格が得られる可能性については、通常の雇用と比べそれ以外の契約形態の方が申請手続きは煩雑になります。
在留資格の申請においては、その外国人が日本で継続的、安定的に生活できる基盤を立証することが非常に重要となります。雇用以外の契約の場合、一般的に雇用契約よりも活動や報酬の安定性が低いとみなされることが多いため、雇用契約同様にその契約が期間・報酬ともに安定的なものであることを証明しなければなりません。たとえば派遣契約を結ぶ場合、派遣が継続的なものであること、報酬額についても正社員と同程度以上の額が保障されていることが望まれ、これらは在留資格の申請時既に確定されている必要があります。また、申請時には企業の事業内容が適正であるかといった点も審査対象となりますので、派遣契約であれば派遣元が労働者派遣法による許認可を受けていることや必要な届出を行っていること、諸法令に基づく労務管理が行われていることなども重要になります。





H24.6.28
消費税 TaxHaven

ネット取引はグローバル(無境界)
電子書籍や広告を配信している、楽天などインターネット関連の大手企業が、配信拠点を海外に移す検討をしている、との報道があります。日本の消費税不課税の海外ネット大手と競争条件をそろえるため、との理由です。
国境を越えた取引でも、税関を通過するものには、そこで課税できますが、ネットの中だけで取引が実現してしまうものには、消費税の課税をすることは限りなく不可能です。それで、日本の消費税法も、最初から課税を想定していません。

日本の消費税課税への侵蝕
配信拠点の海外移転によって、消費者の負担する消費税は完璧にゼロになります。即ち、海外配信拠点への国内事業者からの配信データの引き渡しは『輸出』に該当し、それまで累積されている仮払消費税はその『輸出』の際、全額還付され、国内事業者に累積消費税の負担が残らないので、消費者に価格転嫁する必要がありません。
ネット取引が非課税だったら、この消費税還付は無くて、事業者の負担のままになりますが、輸出は税率ゼロの課税なので、還付されるのです。
そうすると、事業者に負担が無いならば、事業そのものの海外移転は必要ないので、事業の空洞化は起きません。そのかわり、課税の空洞化が起きます。

ゼロ税率課税を廃止したら
課税の空洞化を阻止する方策としては、ゼロ税率を廃止して、非課税とする、という案があり得ます。
ゼロ税率という輸出免税制度は、輸出産業に対する事実上の補助金なので、輸出免税の廃止は、輸出産業の国外移転を促進することになり、故に、非課税化は難問です。
しかし、外貨獲得に貢献するわけではない、配信拠点だけの海外移転のようなものに限定した非課税化は有るかもしれません。

国際消費税多国間条約の創設
消費税が世界標準の課税制度だったら、ネット取引に関する多国間条約を創始して、国際間共通税率を設定して、ネット取引の発信者を通じて、ネット取引利用者への課税をすることもあり得ます。ただし、消費税に関しては、アメリカは世界最大のTaxHaven国なので、これも難題です。





H24.6.27
国境を越えると無課税

国境に消える法人所得への課税権
支店、出張所等の事業所、工場、倉庫などをPE(恒久的施設)といい、日本国内にPEを持たない外国法人は日本への申告・納税義務がなく、PEを持つ場合には日本国内源泉所得が課税対象となります。
米国Amazonは日本国内にPEを置かないままNet販売で日本顧客と取引し、米国で売上計上し、日本への法人所得に係る納税義務がないものとしています。
楽天とAmazonが同じNet書籍販売をしている場合、楽天は、日本への納税をしますが、Amazonはしないので、競争関係はAmazonに有利、楽天に不利です。
なお、このケースでは、Amazonは日本に消費税の納税はしています。

消費税も国境を越えると課税が無くなる
書籍も、電子書籍になると、流通はNet上だけで実現してしまい、国境を簡単に越えてしまいます。
輸入品には、輸入時点で、税関が『輸入者』に消費税を課しています。しかし、消費税課税があるのは、『外国貨物』に対してであって、ネットで配信されてくるものは『外国貨物』の概念に含まれません。課税実務的にも、ネット配信の商品・サービスを捕捉しきるのは困難であり、課税対象とすべき『輸入者』を捕捉することも困難なので、日本は最初から課税を諦めています。
楽天 とAmazonが同じことをしている場合、Amazonは所得課税だけでなく、消費課税からも逃れ得るので、競争優位は一層大きくなります。

それでは拠点を海外に移してしまおう
電子書籍や音楽映像などのNet配信国内企業がその販売窓口を海外法人に移すと、海外法人のNet販売売上に係る消費税はゼロになります。
それと同時に、その海外法人に、配信直前まで完成したデータを国内事業所から引き渡すとした場合には、それは、輸出売上になります。
輸入と異なり、輸出では、海外法人への役務の提供は、消費税の課税対象です。ただし、税率ゼロです。
すなわち、受取消費税はゼロ、そして、それまでの累積仕入税額は全額控除、となりますので、還付消費税を受け取ることになります。
こうして、楽天は漸く、消費税に関してAmazonと対等になります。





H24.6.26
建設業法施行規則の改正と社会保険加入促進の動き

社会保険未加入企業に厳しい減点
今年5月1日、建設業法施行規則及び関連告示が改正され、7月1日より経営事項審査において新しい審査基準が適用されることとなりました。経営事項審査とは、財務状況や規模等からその建設事業者の経営状態を審査する制度で、公共工事の入札に参加する際には必ず事前に受けておかなければならないものです。この審査において、社会保険の加入状況についてこれまでは@雇用保険に加入しているかA健康保険及び厚生年金保険に加入しているかの2項目に分けて審査していましたが、新基準では@雇用保険に加入しているかA健康保険に加入しているかB厚生年金に加入しているかの3項目に細分化され、更に未加入の場合の減点幅がこれまでの30点から新基準では40点に拡大されます。
また、11月1日からは建設業許可の許可・更新申請時に、保険加入状況を記載した書類を新たな添付書類として追加される予定であり、今後社会保険の加入が建設事業者に一層求められる模様です。

社会保険加入促進の動きと各諸官庁の関係
 社会保険についてはここ数年に渡り、厚生労働省による加入適用を進めていましたが、本年度はより一層強化する予定です。同省は今年5月、厚生年金へ加入義務があるにも関わらず加入せず、保険料を払わない悪質な企業の事業主を厚生年金保険法違反容疑で警察に告発・公表することを決めたことを発表しました。社会保険の未加入事業所総数は近年、10万前後で推移しているとされ、これに対し同省は3年以内に半減させるとの方針を打ち出しています。
 こうした中で今回改正された建設業法施行規則ですが、加入率促進の動きは建設業許可事業者に限らず、他の許認可等を管轄する諸官庁にも見られます。外国人の在留を管理する入国管理局では、加入促進のため平成22年4月1日より在留資格の変更や在留期間更新の際には申請時に窓口で保険証の提示を求めるようガイドラインを公表しています。現在、同ガイドラインでは、保険証を提示できないことのみで在留資格の変更や期間更新を不許可にすることはないとしていますが、厚生労働省がこうした方針を強化した以上、影響力が増すことも否定はできません。今後はこのような各諸官庁を媒体とし更なる取締りを進める方向にあるのか、意識をしたいところです。





H24.6.25
分析考課と総合考課

 人事考課の実務では「分析考課」と「総合考課」と言う二つの方法を使います。
 「分析考課」とは、考課項目ごとに考課を行うことで、「総合考課」とは全体的に考課することを言います。

二つの考課方法の特徴
 二つの考課方法には次のような特徴があります。
@ 「分析考課」は、例えば“計画力・判断力などの考課項目ごとに考課を行うこと”であるから、被考課者の行動事実を観察して、その特性を明確に捉えることができる長所がある一方で、全体的に捉えることは出来ない。
A 「総合考課」は、“被考課者の業績や発揮能力などの仕事ぶりを全体として観察して考課を行うこと”であるから、文字通り総合的に捉えることができる長所はあるが、考課者が被考課者に対して先入観を持っている場合には誤った考課に陥り易い欠点がある。

考課者が陥り易い誤り
 考課者は部下の日常の仕事ぶりから、その性格や得手・不得手などを知っており、好き・嫌いの感情を持っていることが多いと言えましょう。そして、“好き・嫌いの感情”は、被考課者の全人的な“優れている・劣っている”と言う先入観に転化しやすい傾向があります。
 その場合、考課のやり方としては、意識的、無意識的に、まず「総合考課」を行い、次に「分析考課」でつじつまを合わせることになりがちです。これを“逆算考課”と言って、人事考課の禁じ手になっています。

経営者・考課者の留意点
 人事考課は、被考課者の業績や行動事実から、的確に判断して行うことが公正性・納得性を高め、人を育てることにつながります。留意点は次の通りです。
@ 経営者は考課者(部長・課長などの上司)に、被考課者に対する先入観を排するなど正しい考課のやり方をトレーニングし、熟知させる。
A 考課の実務手順は、まず「分析考課」を行い、項目ごとに考課してから、「総合考課」を行って、逆算考課”を防止する。
B 「総合考課」では、「分析考課」の優等生タイプばかりでなく、項目別考課のバランスは悪いが、特長がある“尖った(一芸に秀でた)人材”の発見に努める。





H24.6.22
オフィスでできる節電方法


電力不足に備えて7つのポイント
 今年も5月よりクールビズが始まり、この夏懸念される全国的な電力不足対する取り組みも始まっています。オフィスでできる節電について環境省で推奨している方策を紹介いたします。自社で行える事があれば取り組んでみてはいかがでしょうか。

@エアコンで節電(設定温度や風向調整)
ア、冷房時の室温は28℃を目安に、冬の暖房時は20℃を目安にする。
イ、冷房、暖房は必要な時だけ使う
ウ、扇風機やサーキュレーターを併用して風向きを上手に調整
エ、エアコンのフィルターは2週に一度は掃除をする
A断熱性を向上(熱の出入を効率的に防止)
ア、カーテンやブラインドを夏は閉め、冬は光を取り込む
イ、カーテンで窓の熱の出入を調整
ウ、窓を断熱シートや二重サッシ等にする
エ、自然の風を取り入れる
オ、植物のグリーンカーテンで涼しく演出
B照明を工夫
ア、照度を下げる。必要ない照明は減らす
イ、照明器具を掃除して明るさをアップ
ウ、点灯時間を短くする
エ、明るさや人を察知するセンサーを使用
オ、省エネ型の照明器具やLED等に変える
C就業の見直し(朝方生活にチャレンジ)
ア、就業時間の前倒しで朝方生活に
イ、ノー残業デーの推進
D省エネ機器の導入(進化した省エネ機器)
ア、省エネタイプのOA機器の導入
イ、太陽光発電、温熱器の設置
ウ、最新の省エネ断熱材やエコガラス使用
E省エネ行動(電気使用は最小限に)
ア、低層階はエレベーターの使用を控える
イ、パソコンやコピー機不使用時は電源off
ウ、使用してない機器のコンセントを抜く
F夏はクールビズで快適に(勤務の状況に合わせて服装を工夫)
ア、涼感素材や上着無しスタイルを導入
イ、体感温度を下げるグッズの活用
ウ、ポロシャツ、かりゆし、ビジネスサンダル等を勤務状況に合わせて着用

 但し、自社がクールビズでも取り引き先がネクタイ着用で対応の違いがあったり、おしゃれ度も少々必要であったりとなかなか気を使う面もありますね。





H24.6.21
相続放棄と生命保険


生命保険金は相続財産ではない
 相続によって引き継がれるのは、プラスの財産だけではありません。例えば、被相続人に借金があれば、借金も同時に引き継がれることになります。借金の方が多い場合は、『相続放棄』をすることもできますが、ここで気になるのは、相続放棄をした場合、被相続人の生命保険の保険金を相続人が受け取ることはできるのかと言うことです。
 結論から言えば、生命保険金の受取人が相続人の場合、相続放棄をしても、生命保険金を受け取ることはできます。つまり、保険金請求権は相続人にあり、被相続人の財産ではなく、相続人の財産とみなされるため、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることは可能なのです。
 しかし、ここで注意しなければならないのは、生命保険金は相続財産には含まれませんが、相続税の対象になることです。次に、生命保険金の税法上の取り扱いについて説明したいと思います。

相続放棄した場合の税金計算
 生命保険金は、相続財産ではありませんが、相続税の計算上は「みなし相続財産」として相続税の対象となります。つまり、相続財産ではないが、相続税は支払わなくてはならないのです。
 財産放棄して生命保険金を取得した場合でも、相続税の計算に際して基礎控除(5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)や配偶者控除(配偶者の相続分が1億6,000万円までは相続税は課税されません。)を受けることはできます。しかし、生命保険金にかかる「非課税枠」は適用できないので注意が必要です。

生命保険金の非課税枠
 生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。つまり、死亡保険金が非課税限度額以下である場合には税金はかからないし、超える場合でも超える部分のみが相続税の対象となります。
 しかし、相続放棄をすると、この非課税枠を利用することはできないので、注意が必要です。
 また現在相続税の基礎控除や、生命保険金の非課税枠に関しては税法の改正が検討されておりますのでこちらも注意して下さい。





H24.6.20
社会保険算定基礎届と保険者算定


定時決定とは
 社会保険の加入者が実際に受ける報酬とすでに決定されている標準報酬月額がかけ離れないよう毎年1回、原則として7月1日現在の被保険者全員について4月、5月、6月に受けた報酬の算定基礎届出を行い、その年の9月以降の標準報酬月額を決定します。
 対象外となる人は6月1日から7月1日までに被保険者の資格を取得した人は除きます。又、7月から9月までのいずれかの月から随時決定(月額変更届)や育児休業終了時改定で標準報酬が改定された人も対象外です。

保険者決定とは
 通常の方法では報酬月額の算定が困難な時や算定結果が著しく不当になる場合は保険者が特別な算定方法(修正平均)によって報酬月額を決定します。
算定が困難な場合
@4月、5月、6月の各月とも支払い基礎日数が17日未満の時(パートタイマーは15日未満)
A病気欠勤等や育児・介護休業で4月、5月、6月の3ヶ月に全く賃金を受けなかった時
いずれも以前の標準報酬で決定します。
著しく不当となる場合
@4月、5月、6月のいずれかの月にその月より以前の遅配分や遡り昇給分を受けた場合はその差額を引いて算定します。
A4月、5月、6月のいずれかにストライキによる賃金カットあった時や低額の休職給を受けた時は該当月を除いて算定します。

昨年新たに追加された保険者算定
 4月から6月の報酬額を基に算定した標準報酬月額が、過去1年間(前年の7月から当年6月)の月平均報酬額によって算定した標準報酬月額と2等級以上の差があり、それが業務の性質上、例年発生する事が見込まれる場合は前年7月から当年6月までに受けた月平均額から算定した標準報酬月額で決定できるようになりました。業務の性質上、春から夏ころに残業が極端に増えるような企業はこれまでは高い給与時に報酬月額が決定されていましたが、この制度利用で少し保険料が節約できるかもしれません。但し、本人の署名捺印を得た同意書を添付する必要があります。





H24.6.19
海外からのネット配信
消費税による内外格差


 2012年5月26日(土曜日)日本経済新聞朝刊一面に「消費税ゼロ 海外からの配信」、という記事が載っていました。その内容は、こうです。
 海外のネット業者が、海外を配信拠点(サーバー等の設置場所等)として、音楽やパソコンの応用ソフト、さらには今後大きく展開される電子書籍などのデータを日本の消費者(企業や個人も含む)にネット配信した場合、消費税はかからないが、一方、国内を配信拠点とする国内ネット業者には消費税は課税される。消費税の納税義務者が事業者である以上、これでは、ネット取引に内外価格差が生じ、国内ネット業者にとっては著しく不利。そこで、国内大手のネット業者は、配信拠点を海外に移して、日本消費者向けの配信サービスを検討している、というものです。

議論の根底にあるもの
 現行の消費税では、外国からの物(正しくは外国貨物)を輸入した消費者には、原則、消費税の納税義務はありますが、それ以外のネット配信等(デジタル化された生産物)の輸入にあっては、ダウンロード(消費)した消費者への課税はありません。課税技術上困難なこともあってか、事業者の役務提供地が国内か否か、その提供が国内か否かで、当該役務の課税対象を判定、事業者に消費税の納税義務を負わせています。
 役務提供地(配信拠点)が海外で、その配信が日本向けであれば、国外取引となり事業者に消費税の納税義務はありません。
 したがって、配信拠点が海外にあるネット業者にとっては競争優位であり、消費税が後々10%にでもなれば、配信拠点が国内にあるネット業者にとっては死活問題ということになります。また、ネット業者の海外移転が加速し、国内でのネット配信業者が激減し、国内での消費税課税の空洞化が進むのでは、との危惧です。

EU諸国の現状
 物に比して、デジタル化された生産物等の輸入は、その取引自体を把握すること容易ではなく、その課税も困難です。そこで、EU諸国では、EU城内外のネット業者は、EU加盟国のいずれかの国に事業者として登録し、その国に消費税を一括納付、登録国は実際に配信した加盟国ごとに税金を分配する等の仕組みで、消費税に伴う経済活動の中立性を保っているようです。
 日本も早急に海外からのネット配信(輸入)について、消費税の仕組みを見直さなければならない時期のようです。





H24.6.18
全面適用改正育児・介護休業法



平成22年の改正が100人以下企業にも適用
 2年前に施行された改正育児・介護休業法が平成24年7月からこれまで適用が猶予されていた従業員100人以下の事業主にも適用になります。急速に進む少子高齢化による将来の労働力不足が予想される中で子育てや介護の担い手が必要とされます。
 企業の人事管理においても男女共にどのように仕事と家庭の調和を計って行くかという視点が欠かせないものとなってきました。

改正法のポイント
 新たに追加された改正は次の3点です。
@短時間勤務制度(所定労働時間の短縮)
 事業主は3歳に満たない子を養育する従業員について希望すれば利用できる短時間勤務制度を設ける必要があります。制度は就業規則などに規定する必要があり、1日の労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とする措置を含むものとなっています。対象となる従業員はア、3歳未満の子を養育し、短時間勤務をする期間に育児休業を取っていない事 イ、日々雇用される労働者でない事 ウ、労使協定により適用除外とされていない従業員である事
A所定外労働の制限
 3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には所定外労働を免除する事となりました。
手続きは1回につき1ヶ月以上1年以内の期間について開始日と終了日を明らかにし、開始予定日1ヶ月前までに申し出をさせます。申し出は複数回も可能です。
B介護休暇の創設
 要介護状態にある家族の介護や世話を行う従業員は申し出により対象家族1人につき5日まで、2人以上であれば年10日まで1日単位で休暇を取ることができる事となりました。要介護状態とは負傷、疾病、心身の障害等で2週間以上の期間に渡り常時介護を必要とする状態を言います。対象家族は配偶者、父母、配偶者の父母及び子の他同居している扶養家族が対象です。
 以上の改正点は上記の@とAの制度は勤続年数1年未満、Bは6ヶ月未満また、共通には週2日以下の勤務の人は労使協定で対象者から外すことが出来ます。





H24.6.15
考課基準の決め方


  人事考課では「考課基準」の決め方が問題になり易く、失敗すると上司(考課者)にとっても、部下(被考課者)にとっても納得できない結果に陥ります。
 これでは、人事考課の公正性・納得性が得られないため、役に立たないどころか、上司と部下の信頼関係にも悪影響が出て、職場の人間関係・意思疎通が悪くなってしまいます。

考課基準とは何か?
 「考課基準」には次の三つがあります。
@ 会社が定めた基準
  本人が属する社内階級の人には、この程度の業績や能力発揮をして欲しい、と会社が定めた業績や、能力発揮の基準、通常は人事考課シートなどに記載されている。
A 上司(考課者)の期待基準
  管理者として担当部門(課)の目標を達成するためには、是非達成して欲しいという業績や能力発揮などの基準。
B 本人(被考課者)の満足基準
  この程度は達成しなければならない、と被考課者が自分で判断して決めた業績や能力発揮の基準

@の会社が定めた基準は、被考課者が属する社内階級の従業員には標準的に期待されている基準ですから、Aの基準やBの基準がそれを下回っていることは誤りです。
従って@の基準を満たした上で、AやBの基準について、期初に考課者と被考課者が確認し合っていないと、期末の考課で基準(物差し)の違いに気が付き、お互いに納得できない事態になってしまいます。

上司(考課者)の留意点
 被考課者が複数いる場合、通常能力の違いがありますから、おおいに期待しており、頑張って欲しい、という部下(被考課者)には、期初に@の基準と比較して高いレベルのA(上司の期待基準)を特定するとともに、本人が持っているBの基準を聞き出し、良く話し合ってAに合わせておく必要があります。
   また、@の標準的基準に対して、Bが低いレベルの基準に止まっている部下(被考課者)は、話し合いで発見して、少なくともBの基準を少なくとも@の基準となるよう期初に合意しておく必要があります。





H24.6.14
相続税の取得費加算
相続税が必要経費に



相続税が必要経費とは
 相続や遺贈(相続等)で財産を取得した人で相続税額がある人が、相続開始日の翌日から3年と10カ月を経過する日までに、その取得した財産を譲渡した場合は、その人の確定相続税額のうちその譲渡した資産に対応する相続税額を、当該譲渡した資産の譲渡所得の金額の計算上、その所得を限度して、必要経費に算入することができます。このことを、所得税法上、相続税の取得費加算といいます。
 なお、譲渡した相続財産が土地及び土地の上に存する権利(土地等)であれば、相続等により取得したすべての土地等(物納及び物納申請中の土地等は除く)に対応する部分の相続税額が必要経費(取得費)となります。

相続税額の確定と所得税の納税義務
 この取得費加算の適用にあたっては、原則、相続等により取得した資産を譲渡した年分の所得税の納税義務が成立する時において、相続税が確定していなければなりませんが、次に掲げる日のうちいずれか遅い日までに相続税が確定し場合には取得費加算の適用があります。
@譲渡した日の属する年分の所得税の納税義務の成立の時(その暦年の終了の時)
A相続税の申告書の提出期限 

所得税の申告手続き
 規定は、譲渡したその年の末日までに、相続税の申告期限が到来しておらず、相続税が確定していない場合であっても、取得費加算の適用可、となっています。しかし、具体的に所得税の申告手続きをどうするのか、つまり、相続税額の確定を待って所得税の期限後申告等をするのか、どうかです。これに関して、実務では次のような取扱いが認められています。
 いったん、通常の取得費の計算で譲渡所得を計算、所定の税額を確定し、所得税の期限内申告をします。その後、相続税の申告期限までに相続税額を確定、当該申告書を提出すれば、その事実に基づき、所定の書類等を提出することで、当初申告の所得税は減額更正(還付)されます。

期限後申告の場合の留意点
 なお、相続税の申告が期限後(3年以内)となった場合には、譲渡した年の末日までには相続税額が確定していなければ、この取得費加算の特例は受けられません。ですので、その年の末日までには期限後申告書の提出が不可欠です。





H24.6.13
健康保険加入期間と継続給付


加入期間の通算
 健康保険では被保険者としての資格がある期間には保険給付を受ける事が出来ますが、例外として資格喪失後に給付が行われることがあります。受けられる制度は傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、埋葬料(費)について継続することが出来ます。これらを受ける為には埋葬料(費)を除き、退職前に引き続き1年以上被保険者として加入していた事(任意継続期間は除く)が必要です。引き続きというのは協会けんぽと健康保険組合は継続として通算できますが、国民健康保険や共済組合は通算されません。ですから必ずしも退職1年間は同じ会社であるか、同じ健康保険である事が必要と言うわけではありません。

任意継続期間はどう扱われるか
 退職時に任意継続被保険者となる場合は資格喪失日の前日(退職日)の時点で継続して2ヶ月以上の被保険者期間があり、申請は資格喪失日から20日以内に行います。      資格を喪失する前日までに継続して1年以上被保険者であった人が任意継続被保険者となった場合は傷病手当金や出産手当金、出産育児一時金を受ける事が出来ますが1年に満たない場合は給付されません。

資格喪失後の保険給付の受給要件
@傷病手当金は ア、退職日までに1年以上継続して被保険者であり イ、退職時に傷病手当を受けているか受ける要件を満たし引き続き同一の傷病や怪我で労務不能な事 ウ、失業給付を受けていない事 エ、老齢年金や退職共済との調整も有る
A出産手当金は ア、前項と同じ イ退職日に仕事を休んでいる事 ウ、出産日以前42日から出産日後56日の期間中に退職している事
B出産育児一時金は ア、前項と同じ イ、
資格喪失後6ヶ月以内に被保険者が出産した時、又はアの人が任意継続被保険者となりその資格喪失後6ヶ月以内に出産した時
C埋葬料(費)は継続1年の加入要件は無く ア、資格喪失後3ヶ月以内に被保険者が死亡した時 イ、退職後の傷病手当金、出産手当金の継続給付を受けている間に死亡した時、 ウ、イの給付を受けていた人が給付期間後3ヶ月以内に死亡した時
 以上のように資格喪失後の給付は原則として、退職前1年間の連続した加入期間が必要となっています。





H24.6.12

改正された労働者派遣法


労働者派遣法改正の実施は10月
 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等の関する法律案」が成立しましたが、施行日は6ヶ月以内の政令で定める日とされ今年の10月から施行される予定です。
派遣法のどこが変わったのでしょうか。
@日雇い派遣の原則禁止
 専門26業種や雇用機会の確保が特に困難と認められる労働者の雇用継続をはかる為に必要と認められる場合を除き、日雇労働者の派遣が禁止されました。日雇い派遣は日々又は30日以内の期間を定めて雇用する派遣労働者の禁止が定められています。例外として「ソフトウエア開発」「通訳」「翻訳」「速記」等、特定の業種は禁止されていません。
Aグループ企業派遣の規制
 同一グループ内の企業に労働者派遣が出来る割合は8割以内に制限されました。また、離職した労働者を離職後1年以内に労働者派遣として受け入れる事を禁止され、法改正によりグループ企業内の派遣には一層規制が強化されました。
B偽装請負など違法派遣に対する対処
 派遣事業主が労働者派遣に関して違法な派遣行為である事を認識していて派遣労働者を受け入れている場合、派遣先事業主が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす「労働契約申し込みみなし制度」は今回見送られ、3年後施行となりました。これは経営側にとって厳しい内容であるだけに準備期間が必要な為ということでしょう。

派遣労働者を使用している時は準備を
 今回の改正は以前に発生した派遣切りの多発や雇用の安定性に欠ける雇用形態の横行を抑制、防止する事業規制の面が強くなっています。不透明で低く不安定な待遇が長期になってしまわないよう派遣労働者の保護、安定雇用が織り込まれています。今回の改正では登録型派遣、製造業派遣の原則禁止は削除されましたが、今後の検討課題とされています。
 いずれにせよ派遣労働者を使用し、今回の改正点に該当するところがあれば、派遣労働者の使用の仕方について改正後の準備をすることが必要となるでしょう。





H24.6.11

意欲考課の方法


 人事考課の三つの要素「業績考課・能力考課・意欲考課(情意考課とも言う。)」の中で、意慾考課は新入社員から中堅社員に育つ間で、人材を育成するために最も基本的な重要性を持っています。
 上級社員・管理職になれば業績を上げることが期待され、それが考課の中心に据えられ、そのための発揮能力・意欲は当然のこととして考課のウエイトは大層低いか、ゼロ配分になります。逆に言えば若いうちに意欲(モチベーション・やる気)を持って仕事に取り組む大切さを実践しながら学び、心身に叩き込み、将来管理職、または上級専門職として、業績を上げる準備を行うために考課の意味があるわけです。

意欲考課の基本ルール
 意欲考課は与えられた仕事への取り組み姿勢で積極性・規律性・責任性・協調性を行動事実から読み取って考課するものです。  本人が仕事に対して示した意欲と同時に、職場で協力して取り組む仕事上のチームワークを高めるために示した意欲も考課の対象とし、仕事外のレクリエーションなどで示したやる気などは考課の対象外です。
 考課期間は、業績・能力考課の対象期間と同じ、定められた期間(通常1年)で、その期間内の行動事実から、意慾・取り組み姿勢を読み取って考課を行います。
 考課期間内で、重要な仕事の区切りの時期で能力考課と同時期に考課を行えば、実務的に考課を集中して行うことができ、便利でしょう。

意欲考課の問題点と対策・留意点
 意欲考課の誤りは、次のように生じます。
1. 考課者自身が自分の意欲の高さを基準として考課してしまう。
2. 被考課者の性格(積極的・消極的等)を意慾として捉えて考課してしまう。
3. 被考課者の日常の言動や見かけから、意慾の有無やレベルを判断してしまう。
それらの誤りは、会社が定めた考課のルールに基づいて“仕事を遂行する上で被考課者が示した行動事実”に注目して意欲考課を行うことにより、防止することができます。
また、年度はじめに、社員に高い意欲を持たなければやり遂げることができないような仕事を与え、その遂行過程で示された行動事実を通じて考課を行えば、人材育成・的確な考課の一石二鳥の効果が得られるでしょう。





H24.6.8
国内と国外の違い
同じ居住用財産でも !


 仕事の関係で長く海外に赴任している場合、現地で居住用の家屋及や土地等(以下「居住用財産」といいます。)を購入し、そして、日本に帰国の際には、当該居住用財産を処分してくるのが一般的なようです。
日本からみれば、当該居住用財産は国外財産で譲渡人はこの段階では非居住者ですから、日本での課税関係は生じません。
しかし、現地で売買契約だけを済ませ、日本に帰国してから引渡す、といったケースでは、日本での課税はどうなるか、です。

居住用財産の特別控除の適用可否
 日本に帰国すれば、原則、譲渡人は居住者です。居住者は、国外財産であっても、その譲渡による所得が発生すれば、当然に課税義務を負います。
 ところで、国外居住用財産の譲渡の場合、「居住用財産の譲渡所得の特別控除(限度3,000万円)」の適用が受けられるかどうか。結論は、特別控除の適用ができます。理由は、条文の定めに、居住用財産の所在地に関する制限規定がない、とのことです。

居住用財産の長期譲渡所得の課税の特例(軽課税適用所得分)
 10年超保有の居住用財産を譲渡し、その所得が6,000万円以下であれば10%の軽課、6,000万円を超える部分には15%の税率が適用されます。
 この軽課特例が、国外の居住用財産の譲渡による所得であっても、適用されるか否かですが、結論は適用されない、です。
条文において、「当該個人がその居住の用に供している家屋で政令で定めるもののうち国内にあるもの」と限定していることが根拠です。
 結論としては、国外居住用財産の譲渡による所得には特別控除の適用は可、一方、長期譲渡の軽課税の特例は不可、です。

租税条約との関係
 多くの国(日本も同じ)では、譲渡人が非居住者であっても、原則、自国内にある不動産を譲渡したことによる所得には課税しています。租税条約があっても、原則、課税の免除及び軽減はありません。もっとも、外国で課された税金は、日本での税金から控除できますが、日本での税金がない場合や日本の税金以上の外国での税金を取り戻すことはできません(外国の税率が日本より高い場合)。したがって、日本に帰国する際には、国外不動産は処分し、できるだけ複雑な課税関係は避ける方が望ましいのではないかと考えます。





H24.6.7
欠損金税制は銀行と共に


銀行救済のための欠損金繰越期間延長
8年前、金融庁は税制改正要望として、銀行破綻を救うために、銀行については赤字の繰り越しの期間を5年から10年に延長することを求めました。その結果、平成16年度の税制改正では、欠損金の繰越控除期間が5年から7年に延長となり、さらに大幅な損失を計上していたそれ以前の過去3年前に適用期間が遡及することになったので、要望の10年が実現しています。

10数年ぶりの納税再開
 最近の報道によると、来年2013年3月期には、すべて大手銀行において法人税の納付が再開となるようです。すでに、昨年10年ぶりに再開したのが三菱東京UFJ、今年15年ぶりなのが三井住友、18年ぶりなのがりそな、残るみずほ、三井住友トラストは来年再開です。
 70兆円余の公的資金の投入後、5大銀行の連結損益はリーマンショックの年を除き、ここ8年間大きく黒字決算を続けていました。累計で100兆円を超すとされた90年代半ば以降の民間金融機関の不良債権処理がようやく終わろうとしているようです。

タイミングを合わせた欠損金制限
 銀行救済の必要がほぼ無くなったこととタイミングを合わせて、昨年の税制改正で、欠損金の繰越期間が7年から9年に延長となり、繰越欠損金の控除について、控除額が80%に制限されることになりました。
この改正は、今年4月以後開始事業年度から適用となっています。

来年再開グループは新税法納付か?
 そうすると、今年以前から納税開始の銀行は、リーマン危機損失を含め欠損消化を完了していることになりますが、来年は、欠損金が残っていても、課税所得の2割相当の納税が強制されるので、納税開始が来年の銀行の場合は、まだ欠損金が残っている状態での納税開始なのかもしれません。

中小法人は対象外
 なお、欠損金の繰越控除の使用制限は大法人グループに限られたことで、事業年度終了時の資本金が1億円以下の中小法人は、欠損金使用制限対象の法人になりません。
 ただし、経済産業省から、大企業法人税率5%引き下げの財源として欠損金使用制限案が打ち出された時は、中小企業除外の予定はなく、制限幅も50%でした。今後、なし崩しの適用拡大があるかもしれません。要注意です。





H24.6.6

海外からの短期訪問と査証免除


日本のパスポートと査証の免除
査証(=ビザ)とは、入国事前許可証のことです。海外へ渡航するためにはパスポート(=旅券)を携帯しますが、パスポートを所持しているだけでは足りず、あらかじめ入国しようとする国の領事から入国の事前許可として査証の発給手続きを必要とすることがあります。
しかし、観光や商用など一定の目的で短期的に滞在する場合において、政治的、経済的理由による外交関係が当該国間にある場合、またはその国の外交政策内容によっては、この査証発給手続きを免除する措置が行われています。特に日本のパスポートを所持する者が海外へ短期訪問する場合、多くの国で査証免除が実施されていますので、海外出張が多くても査証発給手続きはしたことがないという方もいらっしゃるはずです。

海外から日本への入国
日本でも現在、60以上の国や地域に対して査証免除措置を実施しており、これらの国・地域の方が商用や観光、親族・知人訪問等を目的として短期的に日本で滞在する場合は、入国に際して査証を取得する必要がありません。ですが、これら査証免除協定を結んでいる国や地域以外から来られる外国人の方は、短期間であっても査証の発給手続きが必要です。近隣諸国を見てみると、たとえば中国やロシア、フィリピンは査証免除の対象とされておりませんので、短期的に招聘する場合であっても査証の発給が必要となります。

訪問予定を立てる前に確認を
 査証免除されない国や地域の方が短期滞在のための査証を申請するには、招聘する企業や日本にいる親族などから行き先や宿泊先を示した行動予定表、身元保証書、渡航費用の証明など、渡航の目的に合わせた書類を在外日本大使館・領事館へ提出することが求められるため、訪問予定を立てる前に相手方の国や地域が査証免除国か否かを確認することが必要です。また、会議など商用で訪問する場合、入国の際に招聘側である日本の企業に電話確認が行われることもあります。商談予定をスムーズに進行するため、書類作成・提出時だけでなく入国時にも、担当者がすぐに対応できる体制とスケジュールを整えておくなどの配慮をすることが、商談予定のスムーズな進行に繋がります。





H24.6.5
懲りないリヒテンシュタイン



脱税情報を買ったドイツ情報機関
 脱税情報の告発は、アメリカでは賞金ものであり、日本でも内部告発は、最近では保護すべきものとされています。
 しかし、脱税情報を漏洩したとして、国際手配されている民間人がいます。リヒテンシュタイン国籍で、リヒテンシュタインの主要銀行の一つのLGT銀行の元行員で、容疑は同国秘密保護法違反による顧客情報窃盗罪です。
 情報漏洩先はドイツの情報機関で、メルケル首相の了解の下、400万ユーロ(約7億円)以上の対価が支払われました。

ドイツでの脱税大捜査線
この話は2008年のことで、このLGT口座情報により、多くの強制調査、脱税の摘発が行なわれ、多額の追徴課税がなされたようです。その中に日本郵政社長に相当するドイツ郵政のツムウィンケル会長がおり、会長辞任を余儀なくされたと報じられています。
リヒテンシュタインはスイスの隣にある小国で、正式名称は「リヒテンシュタイン公国」。公用語はドイツ語。人口はわずか3万人強です。スイスとの結びつきが強く、軍事・外交などはスイスが代行しています。
タックスヘイブンとしても知られ、ヨーロッパオフショアの最後の砦と自認しており、税金免除を目的とした外国本店企業のペーパーカンパニーが3万以上あり、これらの定率法人税が税収の40%に及び、この結果、一般の国民には直接税(所得税、相続税、贈与税)がありません。

情報はドイツにとどまらず
 LGT顧客口座情報は約1400人で、ドイツ以外の顧客の情報も含まれ、独当局は租税条約情報交換協定に基づく、無償提供を表明していました。
 これにより、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、スウェーデンが調査を始め、各国に波紋を拡げました。
 さらに、この事件が、アメリカのスイス銀行への匿名召喚状(John Doe Summons)が発せられる端緒になりました。
日本の国税当局も情報を受け取っています。その中に、学校法人「帝京大学」の故・元総長名のリヒテンシュタイン金融資産15億円がありました。遺族はその存在を知らなかったので、申告された相続財産の中にこれが無かった、ということが当時マスコミで報じられていました。





H24.6.4
適格合併(同族会社間)
無対価の一例



 親族で複数の会社を持っていて、その中に多額の欠損金や含み損(欠損金等)を抱えている会社があれば、この欠損金等を適格合併等により親族の他の黒字会社に引継できないものか、と考えたくなります。
 例えば、個人「甲さん」及び「その親族」は、X社の株式とY社の株式をそれぞれ100%保有、X社は優良会社、Y社は債務超過で多額の欠損金を抱えている、甲さん及びその親族が保有しているX社及びY社の株式の保有割合は異なっている、保有期間5年超、この前提で考えてみましょう。

法人相互の完全支配関係
 X社の株主もY社の株主も「甲さん及びその親族」で、「同一の者」に該当することから、X社もY社も「一の者」による当事者間の完全支配関係が成立、法人相互の完全支配関係があることになります。
 この法人相互の完全支配関係が成立すれば、所定の要件(合併法人株式等のみの交付等)が満たされれば、X社を合併法人、Y社を被合併法人とする適格合併は可能です。また、Y社の欠損金を無制限に引継ぐためには、同一の者による支配関係5年の継続要件も満たす必要があります。
                  
みなし贈与課税
 ただ、このケースでは、Y社は債務超過会社ですので、Y社株式の評価額はゼロです。したがって、Y社の株主である甲さん及びその親族にX社株式を交付することは、それぞれの会社の保有割合が異なるので、甲さん及び甲さんの親族間にみなし贈与課税が生じる可能性があります。
 では、この株式交付を避けるために、無対価による合併ができるか、ですが、無対価による適格合併の要件は、この「一の者」は、親族を含まない、個人一人だけであり、このケースでいえば甲さんが単独でX社及びY社を100%完全支配していることが前提です。したがって、無対価での適格合併はできないということになります。

法人を頂点する完全支配関係
 であれば、X社がY社の株主である甲さん及びその親族からY社株式の全株式購入し、Y社をX社の100%子会社にします。Y株式の評価はゼロですから、1円で購入しても何も問題はないでしょう。そして、100%子会社になったY社を無対価で吸収合併をする。一の者は法人ですので無対価における適格要件を満たしていますし、他方、完全支配関係5年の継続は満たしていますので、Y社の欠損金が引継げるのではないでしょうか。





H24.6.1
外国人雇用状況届出制度


外国人労働者数の増加
 徐々に回復基調が見えつつある企業の新卒者採用活動ですが、一方で今年度は外国人新卒採用を活発化する企業の動きが目立ちました。
 外国人採用数の増加は、新卒だけに限りません。厚生労働省が発表した平成23年度の集計結果によると、外国人労働者を雇用している事業所数は116,561か所と平成22年度から7.2%の増加。また、事業所規模別に見ると、外国人労働者を雇用する事業所の53.3%が「30人未満の事業所」であり、最も多くの割合を占めることが明らかになりました。

外国人雇用状況届出制度とは?
 外国人雇用状況届出制度とは、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援を図ることを目的として創設された制度であり、雇入れ又は離職の際、企業に対しその外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等をハローワークへ届け出ることを義務付けるものです。対象企業は外国人労働者を雇用するすべての企業であり、社員はもちろん、雇用保険の被保険者とならないパートやアルバイトとして外国人労働者についても届出の義務が生じます。

不法就労防止の観点から
 平成21年の入管法改正により、働くことができる資格のない外国人を雇用してしまった場合の企業に対する罰則は、より厳しいものとなりました。企業側がこれを知らずに外国人を雇い入れた場合も「知らなかった」では済まされず、3年以下の懲役、300万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
 外国人雇用状況の届出は、雇用する外国人の在留資格や在留期間等を必然的に確認、報告することになるため、この届出を行うことが不法な就労活動の防止にも繋がります。

離職時は退職証明書等の発行も忘れずに
 外国人労働者が離職する際にもこの届出が必要となりますが、退職証明書や源泉徴収票など、本人が希望する書類の発行についても忘れずに行ってください。外国人の方にとって、これらの書類は在留資格の更新時に入国管理局から提出を求められる書類であり、日本に在留し続けるために必ず必要となる大切なものです。必要な届出や各書類の作成を忘れずに行い、適切な外国人労働者の雇用管理に努めましょう。