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H25.10.31
完全支配関係と種類株式

平成22年度の税制改正でグループ法人税制が創設され、結果、グループ間取引のみならず、当該税制が各種制度間とも有機的に関連していることから、常にその関連性に注意しなければならなくなりました。
 この税制の骨子は、完全支配関係にある法人群を一つの法人として捉え、その法人間の一定の取引や行為から生じる損益は認識しない、というものです。

完全支配関係とは
 法人間の完全支配関係とは、どのような状態を指すのか、ですが、「一の者が法人の発行株式又は出資の全部を直接又は間接に保有する関係」と定義されています。
 なお、自己株式及び従業員持株会とストック・オプションによる持株の合計が5%未満の株式は除かれます。
 この完全支配関係ですが、株式が持つ議決権を100%保有することで他の会社を完全に支配している状態、状況に着目しての税制です。
 したがって、被支配会社において議決権制限付き配当優先株、いわゆる種類株式が発行されている場合、完全支配関係を判定するにあたって、このような種類株式をどのように取り扱ってよいか疑問が生じるところです。

種類株式とは
 この種類株式ですが、種類株式という株式があるわけでなく、普通株式(株式の内容について定款で特別な条件をもうけていない株式)の反対用語で、株式の内容について定款で特別な条件、つまり株主権を拡大又は縮小した株式のことを言います。
 種類株式の多くは配当優先株でその議決権は制限されています。
 したがって、完全支配=議決権100%という観点から言及すれば、無議決権株式等は完全支配関係の判定基礎から除外することが合理的ではないかとも考えられます。

同族会社の判定と異なる
 同族会社の判定にあたっては、議決権の内容に応じた(役員の選任・解任、役員の報酬、剰余金の配当等)取り扱いが定められています。
 しかし、完全支配関係の判定にあたっては、同族会社のような議決権に関する定めや要件は一切ありません。
したがって、無議決権株式等の種類株式があっても、発行済株式から除外する必要はないと考えます。





H25.10.30
トライアル雇用奨励金は一本化に

「トライアル雇用奨励金」は、職業経験・技能・知識等の不足などから就職が困難な求職者を、期間の定めの無い雇用に移行する事を前提にハローワークの紹介により一定期間試行雇用した場合に助成が行われます。以前は対象者ごとの制度でしたが平成25年5月から対象者要件を見直し、フリーター、ニート等の若年者、中高年者、母子家庭の母等、安定的な職業に就く事が困難な者についてより広く活用できるよう制度が一本化されました。(障害者トライアル雇用を除く)

対象となる事業主の要件
@ハローワークに求人を出す際にトライアル雇用を利用したい旨を伝える。職安紹介で原則3ヶ月のトライアル雇用として雇う
A対象労働者の被保険者資格取得を行う事
B過去6ヶ月前からトライアル雇用終了日までに雇用保険の被保険者を事業主都合で離職させていない事
C過去3年間において、対象労働者を雇用した事が無く、対象労働者について職場適応訓練を行った事が無い事

対象となる労働者の要件
次のアからエのいずれかに該当する者、職業経験、技能、知識等から安定した職業に就く事が困難な求職者でハローワークがトライアル雇用を実施する事が必要であると認めた者
ア、これまでに就労の経験の無い職種、又は業務に就く事を希望する者
イ、2年以内に2回以上離職、転職を繰り返していて今後長期的な職業を希望する者
ウ、直近で1年を超えて失業している者
エ、就労にあたって特別の配慮を有する者・・母子家庭の母、父子家庭の父、生活保護受給者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、その他トライアル雇用が必要と認められる者

支給額は
 対象1人につき月額4万円(1カ月単位で最大3ヶ月)支給。トライアル雇用終了日の翌日から起算して2ヶ月以内にハローワークに支給申請書を提出します。なお、やむを得ず、本採用に至らなかった場合でも奨励金は支給されます。





H25.10.29
宮崎駿監督引退表明
『ナウシカ』は委員会方式の先駆?

『ナウシカ』は製作委員会方式の先駆?!
 宮崎駿監督が長編映画作品の製作からの引退を表明しました。エコロジカルな視点や、『平和の大切さ』という重厚なテーマ、完全な悪役を作らずに『人間の矛盾』や『二面性』を描く作風は、子供ばかりでなく大人も惹きつけるものでした。宮崎作品の貢献により、日本におけるアニメーションの地位も大きく向上しました。
 今でこそビック・コンテンツの宮崎作品ですが、興業ビジネスは本来ベンチャー的なもの。『ハイリスク・ハイリターン』の『ハイリスク』―特に資金リスクにどう対応するかが経営課題でした。宮崎作品では監督2作目の『風の谷のナウシカ』(1984年)より『製作委員会方式』を採用しました。

製作委員会は民法の任意組合
 『製作委員会』は、興業ビジネスのリスクを分散するための『共同事業』の形式で、主に民法上の任意組合を用いられます。
 邦画の世界では、従来からドキュメンタリー映画などで出資を募る手法として知られていましたが、映画産業の斜陽化を受けて大手映画会社でも用いられるようになりました。
 アニメ映画において、この手法が使われ始めたのが80年代初頭。『ナウシカ』は、徳間書店と博報堂が出資する『製作委員会方式』で製作されました。この手法は、1988年の『AKIRA』でも採用され、この二つの映画の成功により、アニメ映画においても『製作委員会方式』が広まることになります。
 今日ではテレビにおけるアニメ番組製作にも用いられ、放映後の版権管理やグッズ・DVD販売の『二次利用』を見据えたコンテンツ・ビジネスの『共同事業』の基本形と言えるものになりました。

任意組合はパススルー事業体
 税務の世界では、『任意組合』は『匿名組合』『信託』、『特定目的会社』とともに『パススルー事業体』として知られています。パススルー事業体とは、損益は事業体である組合に帰属せずに、組合員に直接帰属します。そのため法人と異なり、事業体自体には課税がなされません。この特性を活かして、今日では様々な投資スキームの器に用いられています。





H25.10.28
不法行為による損害と賠償請求権
同時両建説・異時両建説

不正行為と損害賠償請求権
 悲しいことですが金銭を扱う仕事の周辺には詐欺・横領などの不正行為のニュースが絶えることがありません。私法上では不正行為を受けた場合には、その損害と同時に損害賠償請求権を取得するものと解されています。これを法人税務ではどのように取扱うのかという議論は、従来より絶えませんが、財産の損害(損金)と損害賠償請求権(益金)を「ひもつき」と見るか「切り離して」見るかによる「同時両建説」と「異時両建説」の立場があります。

同時両建説―損失と賠償権を「ひもつき」
 これはS43最高裁判決において社長の横領行為による損失とこれに対する損害賠償請求権の計上時期の判断について示された考え方です。仕訳で示すと、
(横領損失)×× / (仮払金)××
(未収賠償請求権)×× / (雑益)××
となり、損失発生年度に同額の損金・益金を認識します。結果的にはこの事業年度で損益は計上されません。この「同時両建説」は、損害と賠償請求権が同時発生するという私法の発想にも合致します(未収賠償金が回収不能ならば、後に貸倒損失を認識)。
異時両建説―損失と賠償権を「切り離し」
 その後、S55に実務から発達したものとして法人税基本通達2-1-43が登場します。
 これは「他の者から支払いを受ける損害賠償金」は「支払いを受けるべきことが確定した日(または実際の支払日)」の属する事業年度に益金算入するという取扱いです。
 この考え方を用いれば、左の「横領損失」が損失発生年度に先行して計上され、「賠償金」は後の「確定した日」に計上されます。これを「異時両建説」といいます。
 ただし、この通達は加害者を「他の者」(第三者)とする不法行為をカバーするものであり、「他の者」でない役員や従業員については個々の事情で判断されると解されます。

横領された本人は「発生」など分からない!
 そもそも横領などの不正行為があったとしても、その時点では把握することは困難であり、後日発覚するというケースが多いはずです。経理部長の横領行為が税務調査で発覚した某事件では、損害賠償金の計上時期を「賠償請求権の行使が事実上可能となった時(法人がその損害の発生と加害者を知った時)」とする判決が出されています。





H25.10.25
法定納期限と納期限


延滞税に関する原則規定
 国税通則法の延滞税に関する条文には、
@期限内申告書を提出しながら納付国税をその法定納期限までに完納しないとき
A法定申告期限後に未納税金があるとの修正申告書を提出したとき
などその他の場合に、法定納期限からその国税完納日までの期間に応じ、その未納の税額に年14.6%の延滞税を課す、と規定されています。

二つの延滞税軽減規定
 ただし、納期限までの期間又は納期限の翌日から2ヶ月間については、延滞税率を7.3%とする、との規定があります。
 さらに、法定申告期限から1年超後の提出となる修正申告の場合は、その法定申告期限から1年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出日までの期間を除いたところを延滞税の計算対象期間とする、との規定もあります。

こんな事例ではどうなる
 申告期限後5年目のところで税務調査があり、増差税額のある修正申告を提出し、1ヶ月後に納税を済ませたとすると、延滞税の計算対象期間は修正申告書提出までの期間が1年超なのでその部分は1年に圧縮されます。
 修正申告書提出の場合の納期限はその提出日なので、納期限後1ヶ月の増差税額納付は別途延滞税の計算対象期間となります。

どの税率がどの期間に課せられるのか
 国税通則法では、法定納期限以後は14.6%、ただし、納期限以後2ヶ月間は7.3%となっているので、先の例では、延滞税の計算対象期間の最初の2ヶ月と最後の1ヶ月は7.3%で、残りの10ヶ月は14.6%となるのでしょうか。そんなふうに読んでしまいそうですが、「納期限までの期間」は7.3%という規定があるので、本例の場合は全部の期間が7.3%になります。

法定納期限と納期限の使い分け
 国税通則法や国税徴収法は「法定納期限」について、その各第二条で定義規定を置いているのですが、「納期限」については特に定義していません。しかし、両者は異なるものとして使い分けられています。

措置法に税率の特例がある
 なお、上記の7.3%については租税特別措置法に「公定歩合+4%」(現在は4.3%)とする特例規定があります。また、来年からは14.6%部分も含めた大幅な改正が施行されることになっています。





H25.10.24
プロセス目標の設定

 目標設定は、最終成果を目標とする以外に、しばしば成果に至るプロセスの行動を目標化した方が適切な場合があります。
・営業部門の売上高・自社製品シェア・見積成約率など
・製造部門の生産量・稼働率・歩留り・不良率など
のように目標を数量的成果で表して設定できるケースがある一方、
・営業部門であっても、既存契約先ニーズの発掘件数・当社新製品情報の提供件数・見積提案件数、成約の障害発見と対策実施件数など最終的な売上につながるプロセスでの行動の量
・製造部門の改善提案採用実績件数など最終的に生産コストダウンにつながるプロセスでの行動の量
と言ったプロセスの重要な行動に着目し、量的に表現してプロセス目標とすることが適切な場合が多いのです。

プロセス目標設定の効果
 このような場合、例えば「売上高の向上目標(成果目標)と同時に、それにつながる営業プロセスでの行動の量をプロセス目標として設定する。」と言ったように、成果とプロセスの両面から目標を設定すると次のような効果があります。
@日常的な営業努力の殆どは、プロセスの行動に費やされるので、プロセス目標は担当者にとって自分の行動と直結する極めて分かりやすい目標になる。
Aプロセス目標設定の巧拙は日常行動の巧拙に表れ、最終成果・売上高向上目標達成の成否に直結する。

プロセス目標設定の仕方
 このようなプロセス目標を設定するには、プロセスでの行動をフローチャートなどで可視化、分析し、それらの中から成果をあげるのに効果的な行動を抽出する方法が採られます。
 例えば、営業部門担当者の最終成果・売上高を上げるプロセス行動は、一般にセールスステップ(営業における案件発掘から成約に至る行動の繋がり)で表され、その中に「案件発掘・顧客ニーズの把握・見積提案・成約の障害対策」など重要な行動が含まれています。このようなプロセスでの重要な行動は、他職種でも同様に考えられ、通常それぞれの職場で経験があり、能力が高い担当者がすでに知っている場合が多いので、その経験則を開示してもらい、プロセス目標を設定すると良いでしょう。





H25.10.23
会社を創業した時の助成金


酒類販売管理協力員の募集
 各国税局は毎年6月になると「酒類販売管理協力員」の募集をしています。7月から翌年1月までの半年間の期間限定の出来高払い制アルバイトです。募集人数は全国で2,000名程度で、業務実施1件当たり1,000円(含交通費)が、報酬です。
 採用条件は20歳以上で、酒について通常程度の知識・情報があり、税務署にちょくちょく行ける人、といったところです。
 応募用紙を見ると、予め「専業主婦」と「学生」とがプレ印刷してあり、該当者はチェックマークをつけることにしているので、この層が応募想定者のようです。

酒類販売管理協力員の仕事
 自宅周辺での買い物等の機会を利用して、お酒を小売りしているお店に立ち寄り、未成年者飲酒防止に関する表示等を確認し、その表示内容の遵守状況等を確認し、その内容を所定の用紙に記載して、所轄税務署に提出することです。
 業務の目的は、未成年者飲酒禁止法の実効性を確保することです。自己飲用目的の未成年者の酒類購入と知りながらの販売行為には、酒販店に罰金刑が課され、酒類販売免許取消しとなります。酒販店には顧客の年齢確認も義務付けられています。

自販機の未成年者対策
小売酒販の業界として自販機撤廃、もしくは成人識別機能付き機への転換を推進しています。識別不可の従来型機では年齢確認できないので、酒販店は自主的に深夜(午後11時〜翌朝5時まで)稼動停止をしています。
 識別不可の酒自販機数は平成8年3月末現在に全国で185,829台あったのに対し、平成24年3月末は6,652台(残存率3.6%)と激減しています。札幌がベストで0.8%、大阪がワーストで5.3%です。

酒類販売管理協力員の誓約書
 酒類販売管理協力員応募者は応募と共に次の項目の誓約書も同時提出します。
1 誠実に業務遂行し虚偽報告はしない
2 中立・公平・適正な業務実施と収賄拒絶3 酒類販売管理協力員の名称・身分の悪用
をしない
4 自己責任での良識ある業務遂行
5 守秘義務の遵守
6 酒類販売管理協力員運営要領に基づく
委嘱取消への不服従の禁止





H25.10.22
収用等の補償金
所得税課税上の取扱い

収用等による資産の譲渡課税
 収用等により資産を譲渡し、補償金等を取得した場合、5,000万円の特別控除や代替資産の取得による課税の繰延等といった税の優遇制度が設けられています。
 前者の特別控除とは、収用等による資産の譲渡所得の金額(譲渡益)から5,000万円(譲渡所得の金額は5,000万円に満たないときはその金額)が特別に控除され、課税所得が軽減される、というものです。
 一方、後者の代替資産の取得による課税の繰延とは、収用等によって取得した補償金等の全部で代替資産を取得したときは譲渡がなかったものとされ、譲渡所得は課税されません。また、補償金等の一部で代替資産を取得したときは、代替資産の取得に充てられた補償金等に対応する部分の譲渡がなかったものとされ、残りの補償金等についてだけ譲渡所得が課税される、というものです。
 なお、収用等により譲渡した資産の取得費のうち、譲渡がなかったものとされる部分に対応する金額は、代替資産に引継がれます。

各種補償金の原則的な取扱い
 収用等に際しては、土地等の買い取りの対価としての補償金(対価補償金)のみならず、これに関連するすべての費用、損失等が補てん・補償されます。例えば、収益補償金、経費補償金、移転補償金などがその例です。この場合、これら取得した補償金のすべてが、課税の特例の対象になるか、というとそうではありません。特例の対象になるのは、原則、土地等の買い取り部分に対応する対価補償金のみで、他の補償金は事業所得等の収入金額あるいは一時所得の収入金額となります。

例外的な取扱い(補償金の内容を吟味)
 しかし、課税実務では、納税者に有利な幾つかの例外的取扱いを認めています。
1)建物等の移転補償金について
 移転ではなく、現実に建物等を取壊したときは、移転補償金は対価補償金とする。
2)収益補償金のうち建物の収用等に伴って支払われる営業・家賃減収補償金
 この収益補償金は、その建物の対価補償金として取扱われた金額が当該建物の再取得価額に満たないとき、その満たない金額を、又は不明なとき、その建物の対価補償金の額に当該建物が木造等である場合は100/65、その他の構造である場合は100/95を乗じて算出した金額を同建物の対価補償金に振替えることができます。





H25.10.21
給与天引きで貯める財形貯蓄制度

法定外福利厚生制度の種類
 企業の福利厚生制度には法定福利厚生制度と法定外福利厚生制度があります。法定福利厚生制度には労働保険と社会保険があり、それぞれの条件で加入義務があります。法定外福利制度には慶弔・見舞金制度、退職給付制度、財形貯蓄制度、健康診断費用の上積み、家賃補助、資格取得支援、社宅、寮、食堂、食事補助、レクリエーション、社員旅行等補助、余暇施設、介護育児休業日数上積み、その他があり、各企業の状況に応じて導入するものです。これらの企業への導入率を見てみると1位は慶弔・災害見舞金は9割以上の企業で導入されています。2位は退職給付で一時金と年金制度(厚生年金基金含む)、健診費用補助、4位は財形貯蓄制度、5位は家賃補助と続きます。

財形貯蓄制度とは
 法定外福利厚生制度のうち、勤労者財産形成促進制度(財形貯蓄)を見てみたいと思います。
 この制度は貯蓄や持ち家等で働く人の努力に国や事業主が援助・協力するもので次のような種類があります。
@一般財形貯蓄・・労働者が3年以上の期間に渡り毎月と夏、冬賞与時に賃金から天引きした額を事業主を通じて金融機関に積立てます。いつ使うか目的は限定していません。ですから車、旅行、教育、結婚等色々な目的に使え、不意の出費にも備える事ができます。始めて1年たてば好きな時に払い出せます。
A財形年金貯蓄・・60歳以降に年金として受け取る資金作りを目的としています。55歳未満の労働者が5年以上積み立て契約で定めた期間(60歳以降)から5年以上の期間に渡って年金として受け取れる制度です。
B住宅財形制度・・55歳未満の方が5年以上積み立て、マイホームの新築、購入、工事費75万円以上のリフォームを目的とした制度です。財形貯蓄の10倍(最高4000万円まで)の低利融資制度もあります。
 尚、財形年金貯蓄と住宅財形貯蓄とを合わせて貯蓄残高550万円までは利子が非課税です。生命保険の財形年金貯蓄の385万円より非課税枠が大きくなっています。
 また、賃金から天引きする時は労働者の過半数を代表する者との控除協定を結んでおく必要があります。





H25.10.18
組織目標・個人目標

 目標管理制度において目標設定を行なう場合、組織目標と個人目標は整合させる必要があります。しかし、例えば課の目標を数名の課員の目標に分配する場合、実際には経験・能力に差があるにもかかわらず、一律の目標を与えることは現実的かどうかが課長にとっての課題になります。
 例えば、「課の目標(組織目標)が前年実績比10%の売上高向上」と決定され、それを5名の課員に分配する場合、「課員の目標を一律に前年比10%向上」とすれば、課の目標と課員の目標は整合しますが、現実性から見れば高能力者にとって易しい目標となり、挑戦意欲を沸き立たせることにつながらず、一方低能力者にとっては極めて困難で、達成不可能と感じさせ、挑戦意欲を失わせることにもなりかねません。

挑戦意欲を高める個人目標設定
 このような場合は、高能力課員は15%以上向上、低能力課員は8%以上向上などとあえて経験・能力に応じた非平等な目標設定を行ない、5名の課員の合計値で課目標以上となるよう設定することが、実は現実的に見て個々の課員が挑戦意欲を持って達成に取り組み、目標設定の平等性を確保できるやり方になるでしょう。

目標設定マネジメントのあり方
 そうかと言って、個々の課員の能力に応じた個人目標設定を一方的に課長が判断し、設定目標を指示することは、いらざる反発を招くことになりかねないので、次のようなマネジメントを行なうと良いでしょう。
1.予め、個々の課員の前年実績値、経験・能力を検討し、課長としての当年度目標値の腹案を用意しておく。
2.課員全員に、企業の戦略目標からカスケードダウン(段階的細分化)された課の目標と設定された根拠を説明し、Q&Aで補足するなどよく理解させ、経験、能力に応じ、合意の上で個々人の目標を設定したい旨意思表示し納得してもらう。
3.課員との個人別目標設定面談で、それぞれの設定目標案を提示してもらい、課長の腹案とその理由(経験・能力・実績を踏まえたチャレンジ、達成による成長)を説明しながら合意形成に導く。高能力者には、低能力者の指導・支援を依頼し、その効果はプラス評価とする旨を伝えれば、課のチームワークを強化する一層高度なマネジメントとなる。





H25.10.17
欠損金税制改正の狙い


欠損金控除制限の新たな動き
 法人税率の引き下げが政府与党で検討されるにあたり、繰越欠損金についての控除制限がその財源として議論されているようです。10月7日の日経新聞でこの事が報じられましたが、表立って議論しないことにしているらしく、「隠れた論点」と報じられていました。

現行制度になる際の周辺事情
 平成23年の12月改正として、欠損金の繰越期間7年から9年に延長され、控除可能額は80%(大法人グループ内法人及び資本金1億円超法人に限る)に制限されることになり、これが現行制度になっています。
 70兆円余の公的資金導入で不良債権処理をしていたすべての大手銀行において、欠損解消により10年ぶりに法人税の納付が再開となるタイミングにちょうど合っていました。

大企業向け税率引下げの財源
 平成23年12月改正は、経済産業省から、大企業法人税率5%引き下げの財源として打ち出されたものです。当初案では、制限幅が50%で、中小法人除外など予定されていませんでした。
 中小法人は中小企業税率での課税が大部分で、72.3%が赤字法人とされるその大部分が中小法人という実態に照らすと、税率引下げの恩恵の大部分は大法人にある、と言えるところです。逆に、繰越欠損金の大部分は中小法人のところにあります。
 大法人の恩恵税制の導入のための財源を中小法人の繰越欠損金に求めたものの、前回は果たせなかったのです。

再び中小法人の繰越欠損金を狙う
 国税庁の公表する「法人企業の実態(会社標本調査)」によると、繰越欠損金は76.4兆円で、単年度黒字43.6兆円の1.7倍あり、繰越欠損金控除額9.7兆円、課税対象所得33.9兆円ですが、企業規模別欠損金発生割合・繰越残高割合は公表していません。
 自由競争社会といいながら、中小法人と大法人の取引は非対等取引で、そのための大法人による収奪の結果、中小法人の多くが欠損企業になっているのです。
 国税庁も日経新聞も、中小法人欠損金と大法人欠損金とを区別せず、欠損控除割合の程度問題にすり替えています。
 外形法人課税の対象にならない資本金1億円以下法人に適用の繰越欠損金控除への制限が自治体の課題だと、先の日経新聞の記事にあるので、狙いは明らかです。





H25.10.16
相続税法における扶養義務者の範囲


親族と扶養親族
 民法では、親族の範囲について定めがあり、それによると、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族となっています。
 一方、所得税法においては、親族ではなく、扶養親族についての定めがあります。
 それによると、配偶者を除くところの居住者の親族(民法上の親族)並びに児童福祉法で規定する里親に委託された児童及び老人福祉法で規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもので、かつ、これらの者の合計所得金額が38万円以下である者となっています。
 さらに、生計を一にする親族であっても居住者の青色事業専従者でその者から給与の支払を受けるもの及び事業専従者に該当するものは除かれています。

扶養義務者とは
 扶養義務者の範囲についても、民法に定めがあります。それによると、直系血族及び兄弟姉妹がその範囲となっています。
 しかし、家庭裁判所の判断で、特別の事情等があるときは、三親等内の親族間で扶養義務を負わせることができる、となっています。
 この扶養義務者ですが、相続税法においてもその定義があります。それによると、配偶者及び民法877条(扶養義務)に規定する親族をいうと定義しています。
 そうすると、相続税法の条文の文言からは、家庭裁判所の審判を受けていない三親等内の親族で生計を一にする者であっても、相続税法上、扶養義務者に該当しない、ということになってしまうか、です。
 しかし、そうではなく、相続税法の課税実務では、三親等内の親族で生計を一にするような者がいれば、家庭裁判所の審判がない場合であっても扶養義務者に該当するものとして取り扱っています。

未成年者控除と障害者控除
 相続等によって、未成年者や障害者が遺産を取得したときは、その者の相続税額から一定の金額が控除されます。これが未成年者控除、障害者控除です。そして、その控除額が相続税を上回るときは、その者の扶養義務者の相続税額から控除することができ、控除金額は、扶養義務者間で協議の上適宜に配分することができます。
 所得税法の「扶養親族」も相続税法の「扶養義務者」も民法の規定をベースにそれぞれの法の目的に従って規定している、ということでしょうか。





H25.10.15
目標設定の考え方

 目標管理制度の運用では、目標設定が最初の重要な作業となりますが、どのような目標であっても設定する際のガイドラインとして活用すると便利な「SMART」と呼ばれる標語があります。

「SMART」とは
 これは「目標が備えるべきファクター」を示したもので、次の意味をもっています。
S Specific 具体的な
M Measurable 測定可能な
A Aligned 組織目標と整合した
R Realistic 現実的な
T Time・bound 期限付きの
例えば、
「○○製品の当期売上高を前期実績比30%向上させる。」と言う目標を掲げた場合、
「SMART」でチェックすると「具体的で測定可能であり、期限は明確であるが、組織目標との整合性、現実的かどうかについては検討を要する。」ことになります。
「様々な目標について検討して見るとかなり多くのケースで「SMART」の有効性が検証できるでしょう。業績管理の視点ではA:Aligned(組織目標と整合した)が最も重要であり、このファクターが満たされていなければ、企業の戦略など、最上位の目標達成に対する期待貢献が曖昧になってしまいます。

目標のカスケードダウン
 したがって、部・課など組織の目標、組織に所属する社員の目標が全て上位目標と整合していなければなりません。
 そこで「目標のカスケードダウン(段階的細分化)」を行なうことによって、組織目標・個人目標の整合性を確保しなければなりません。

経営者の留意点
 トップが「業績管理の最重要手段は目標管理である」と意思決定したからには、戦略目標からのカスケードダウンによる目標設定は欠かせない作業であり、管理者・一般社員を参加させ、おおいに議論させ、目標設定の課題を発見、解決策を話し合わせることで、組織目標・個人目標を整合させベクトルの一致を図りましょう。
 同時に、組織・個人にとって、目標がストレッチ(頑張れば何とか手が届く)レベルに設定されるよう誘導し、合意形成を図るのは、トップ・管理者のマネジメントの腕の見せどころです。






H25.10.11
生命保険契約の変更
保険金の減額と所得計算

 生命保険契約の変更には、払い済み、延長、増額、期間変更、契約者変更、受取人変更等があります。
このうち、減額に伴って、払戻金を受け取った場合については、満期保険金の受け取りと同様、保険料の負担者と受取人の関係で、次のような課税関係が生じます。

保険料負担者と払戻金の受取人との関係
保険料負担者と減額払戻金の受取人が同一の場合は、受け取った減額払戻金は、「一所得」として所得税の課税対象になります。   
一方、保険料負担者と減額払戻金の受取人が異なる場合には、減額払戻金は、保険料負担者から受取人に贈与されたものとみなされ、全額が「贈与税」の課税対象となります。

一時所得の必要経費の計算方法
ここでは、一時所得の金額の計算、すなわち必要経費の計算方法について検討してみることにします。
減額払戻金が払込保険料より大きい場合は、払込保険料額全額が必要経費になることに異論はないと思います。
しかし、減額払戻金が払込保険料よりも小さい場合、必要経費たる「その収入を得るために支出した金額」はどのように計算されるのか気になるところです。

払戻金と同額払込保険料か払込保険料の案分計算か
 この場合の必要経費ですが、一般的には、既払保険料を「減額前の保険金額」に占める「減額部分の保険金額」で案分した金額が必要経費になるのでは、と考えますが、現行の課税実務では、既払保険料のうち減額払戻金に達するまでの金額を必要経費として算定できるとしています。
 その理由は、一時所得は、臨時、偶発的な所得であることから、継続的に収入があることを前提とした案分方式は、その所得計算に馴染まないと考えられること、また、生存給付金付養老保険や生命保険契約の転換により責任準備金が取り崩された場合には、先取方式等により既払保険料のうち一時金の金額に達するまでの金額を支出した金額に算入することとされており、減額の場合においても異なる取り扱いをする特段の理由はない、ことが挙げられています。
 なお、期間の変更に伴って受け取った払戻金についても、保険金の減額の場合に準じて取り扱われています。





H25.10.10
法人税の青色欠損金
繰越控除と申告要件


 青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金(以下「青色欠損金」)の繰越は、平成23年12月の税制改正において、「前7年以内に開始した事業年度」から「前9年以内に開始した事業年度」に改正されました。
 なお、この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金について適用されます。
 また、中小法人等以外の法人にあっては、繰越控除できるのは、各事業年度の所得の金額の80%に相当する金額が限度とされました。

連続して確定申告書の提出が要件
 青色欠損金額の繰越控除、すなわち、青色欠損金額をその後の事業年度において損金の額に算入するためには、青色申告書を提出した事業年度からその事業年度まで連続して確定申告書を提出していることが要件となっています。
この「連続して」という意味は、青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書の提出時において、「青色欠損金の生じた事業年度以後の各事業年度」について確定申告書が提出済であることと解されています。つまり、無申告の事業年度がないことが前提とされています。

遡って確定申告書を提出してもダメな場合
 例えば、青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書を提出した後に、当期前の各事業年度で無申告であった事業年度に係る確定申告書を提出した場合はどうなるかですが、前述の「連続して」の意味から、この場合は、青色欠損金の生じた事業年度から当期まで連続して確定申告書を提出していることになりませんので、青色欠損金を損金の額に算入することはできない、ということになります。

期限内申告が要件ではない
 各事業年の確定申告書の提出期限ですが、条文上、期限内申告を要件としていませんので、期限後申告であっても青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書を提出する前までに確定申告書を提出すればよいことになります。
 もっとも、期限後申告が2事業年度連続して続くと、「青色申告の承認の取消し」要件に該当し、その後の事業年度の申告書は白色申告書になりますが、それでも青色欠損金の繰越控除の適用は可能です。
なお、欠損金額の生じた事業年度に係る一定の帳簿書類の保存も要件です。





H25.10.9
人事制度と業績管理

 人事制度と業績管理は緊密な関係を持って、設計、運用し、社員のモチベーション向上と活躍につなげなければなりません。

人事制度と業績管理の関係
経営における人事制度と業績管理の関係は原則として図示したように設計、運用することが必要です。
 すなわち、人事制度は企業が戦略を策定して、その実現を図る組織設計を行ない、そこに配置した人材がそれぞれの役割を果たし、業務遂行責任を全うすることを期待して社内等級制度や賃金制度を設計するものです。
 一方、業績管理は社員個々の役割・職務遂行責任と戦略に基づいて、会社の期待に応えるべく年度ごとに業績目標を設定し、それを達成しようと努力し、管理者は適切な指導を行ない、業績評価によって、目標達成の優劣に応じた給与・賞与が支給され、また等級改定の適否が判定されます。
 言いかえれば、個々人の会社に対する貢献度の大きさに応じて賃金、等級などが得られる仕組みとなっています。
このように、人事制度の仕組みと業績管理の仕組みが一定の関係を保ち、公正性、納得性を持って運用されることによって社員のモチベーションが上がり、会社全体の戦略が実現され、業績向上につながっていきます。


経営者の留意点
 制度が公正性・納得性をもって設計、運用されるためには次の3点が肝要です。
@ 役員・管理者・社員代表者が参加し、合意形成を徹底して仕組みをつくる。
A 制度の目的・内容を社員に説明、公開し、その主体的な取り組みを誘導する。
B 運用に当り、管理者の公正性・納得性を維持・向上する能力確保に注力する。





H25.10.8
労災 療養給付の請求


療養(補償)給付とは
 労働者の業務上又は通勤途上のけがや病気による災害が労災保険の対象となる場合に労災保険から保険給付が行われますが、そのうち労働者が病院等で受診した際の治療費に対して行われる保険給付を「療養(補償)給付」と言います。療養(補償)給付は受診した病院や治療の内容等により、請求用紙や方法が異なっています。

療養(補償)給付の請求用紙
療養(補償)給付はかかった病院が労災指定病院では治療費は原則無料で受診出来ます。指定病院でない場合は一度治療費を立替払いし、後日現金で受け取る「療養の費用の給付」があります。普通は指定病院で受診しますが、それが行えなかった時には療養の費用の給付を行う事としています。

@労災指定病院で受診した時は
「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)、通勤途上災害は様式16号の3に所定の事項を記入して労災指定病院に提出し、けがをした方の事業所を管轄する労働基準監督署に提出されます。
 療養の給付は次の範囲の必要と認められる治療費で原則治癒するまで支給されます。
ア、診療、薬剤又は治療材料
イ、処置、手術その他の治療
ウ、居宅病院等での療養に伴う世話、看護
エ、移送

A労災指定病院以外で受診した時は
 労災指定病院以外の病院や薬局等で治療を受けた場合は治療の費用を一時立替払いした上、本人名で払い戻しの請求をします。療養の費用の給付の請求手続きは業務上災害の場合は「療養の給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)、通勤途上災害は様式第16号の5に指定病院以外の病院や薬局の証明を添付し、立替払いをした治療費の領収書原本を付け、管轄の労働基準監督署に提出します。この給付は現金給付ですのでご本人の指定した口座を記入しなくてはなりません。又、給付は保険給付される範囲内です。保険外部分が含まれていても対象外ですので注意が必要です。

Bコルセット等治療装具を医師の指示で装着した場合の費用

C柔道整復師、はり、灸、あんま、指圧師等の手当を受けた時
BCの時もAと同様の手続となります。





H25.10.7
非嫡出子相続違憲判決と国税庁の対応

婚外子(非嫡出子)差別規定
 民法900条には「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」という差別規定があります。
人口動態統計によると、全出生数に婚外子が占める割合は年々増加しており、2011年で2.2%、毎年2万人以上が婚外子として生まれています。2012年末現在、遺産分割家裁係属婚外子案件は176件あります。
婚外子差別規定は、欧米諸国にはなく、韓国や中国にもなく、世界的にも限られた状況にあり、国連はこれまで計10回、日本に是正を求める勧告をしてきました。

最高裁の違憲判決
 この9月4日、最高裁は大法廷の全員一致の決定として、婚外子の相続差別を定めた民法の規定を違憲としました。1995年の大法廷では、立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものではない、との理由で合憲としていましたが今回は、法律婚制度は日本に定着してはいるものの、結婚や家族の在り方、それに対する国民の意識が大きく多様化しており、親を選べない子に不利益を与えることは許されないとしました。
1898年に旧民法公布以来115年間続いてきた規定に対する違憲判断でした。

国税庁の対応
 最高裁は、遅くとも2001年7月当時においては憲法違反であった、としたので、国税庁は、2001年7月以後に開始した相続で、本年9月5日以後に期限内申告、期限後申告及び修正申告または更正処分や決定により相続税額が確定するものには、婚外子(非嫡出子)を差別しないところの相続税額の計算をすることにしました。
 例えば、法定相続人が嫡出子と非嫡出子の2人のみの場合、従来なら嫡出子は3分の2、非嫡出子は3分の1が相続分となりますが、今後は嫡出子も非嫡出子も2分の1となりますので、ケースによっては相続税の総額が少なくなります。
 ただし、最高裁は、この違憲判断が「すでに確定的なものとなった法律関係にまで影響を及ぼすものでない」としているので、国税庁も、過去の申告において婚外子規定を適用して相続税額の計算を行っているという理由のみでは更正の請求の対象にはならないとしています。でも、僅かにでもそれ以外の理由が併せてあれば、上記の修正申告や更正の請求をすることはできます。





H25.10.4
同じ派遣先で継続就労可能に

労働者派遣制度の改革案
 労働者派遣法の見直しを議論していた厚労省の研究会は、派遣労働者が仕事を続ける選択肢を増やす改革案を決定しました。この先労働政策審議会で設計し、来年の通常国会に法案提出を予定しています。改正案は以下の通りです。

「専門26業務」撤廃で判り易く
 今回の見直しではまず派遣期間に上限の無い「専門26業務」区分を撤廃します。現在は通訳や秘書の他ファイリングや取引文書の作成等が指定されています。しかし26業務に該当するかどうかが分かりにくいという面があり、2010年には当時の民主党の政策で専門26業務の適正化を認める範囲が厳しくなったため派遣で働く人は1年間で90万人から75万人に減少しました。
今度の改正案では判り易く、26業務と言う概念は廃止されます。

派遣期間の無期契約
 派遣期間の上限は、人材派遣会社との雇用契約によって差をつける制度とします。現行法の専門26業務だけは派遣期間に限りがありません。今後は派遣会社と無期雇用契約を結べば仕事内容に関わらずいつまでも同じ派遣先企業で働けるようになります。派遣会社と有期雇用契約を結んでいた人は最長3年働いた時点で他の労働者と交代します。この時点で派遣会社は、
ア、派遣先に長期雇用の申し入れをする 
イ、新たな派遣先を提供する 
ウ、派遣会社で無期雇用に転換する 
のいずれかの措置を行う事になります。

個人ごとに最長3年
派遣期間の上限はこれまでは業務ごとに3年とされてきましたが、これを人ごとに3年とする事で働く人を交代させれば同じ職場でずっと派遣労働者を受け入れられるようになります。企業にとって、人は変わっても長期に派遣社員を置けるのでメリットは大きいとする意見があります。一方で正社員の仕事が派遣社員にとって変わってしまうかもしれないと言う反対意見もあります。法案では交代時期に派遣先の労使が派遣継続について協議して決める事になりそうです。政府の方針は派遣を制限し正規雇用を増やすと言う事に変わりはありません。企業は役割や責任に応じて正社員との均衡を配慮する必要はあるでしょう。





H25.10.2
目標管理の課題

 目標管理制度は、企業の戦略目標や年度経営計画の目標を組織と社員の活動を通して達成する業績管理の手段として広く活用されていますが、実際には多くの難しい課題が生じているようです。

どのような課題があるか
代表的な課題を概括して挙げると次の通りです。
@ 期首において組織目標や個人目標を分かりやすく設定するにはどうしたら良いか
A 設定した目標を達成するために、担当社員の自主的な努力と上司の指導、支援の関係はどのようにしたらうまく行くか
B 期末の実績評価を社員からみて、公正かつ、納得性をもって行うにはどのようにすればよいか
このような課題は、個別企業の業種・職種・仕事の内容や現実に働いている管理者・社員の知識・理解能力により、現れ方が千差万別であるため、解決策を提示するのは容易ではありません。
 一般に目標管理制度の運用がうまくいっていない、と言われるのはこのような事情があるからなのでしょう。
 そうかと言って、課題を放置することは業績管理をないがしろにすることに等しく、何とか解決策を見つけなければなりません。

課題解決、二つのアプローチ
 一般の課題解決法には、“帰納法(具体的に現場で起きた事柄から考える方法)”と“演繹法(論理的にかくあるべし、と考える方法)”があります。
 それを目標管理制度にあてはめてみると、“帰納法”では、実際に現場で管理者や担当者が遭遇したことを細かく、具体的に抽出して考え、“演繹法”では目標管理制度の運用でよく起こる課題を類型化して、それらに当てはまる解決策を予め考えておき、具体的課題に当てはめて解決します。

経営者の留意点
 課題解決の基礎的な方法は、現場主義に立ち、“帰納法”を使うことです。
 職場別に起こった事実を管理者達・社員達に発見、記述、認識させ、お互いに発表し合い、共有すること、どうしたら解決できるか話し合わせることが重要で、はじめから“演繹法”で答えを出しては安易な方向へ流れてしまい、自分達が改善しなければならない課題として捉える力を弱めてしまいます





H25.10.1
今年の税制改正
固定価格買取と即時償却

固定価格買取制度
日本での電力買取制度は、2009年11月より自宅等で使う電気を上回る分の電力を10年間、使用電気料金の約5割増しで買取るという余剰電力買取制度として出発しました。
2012年7月1日からは、10kW以上の太陽光発電設備では20年の長期に亘る買取期間とし、余剰ではなく全発電量を、使用電気料金の約3割増しで電力会社が買い取ります。
電力会社の買取費用は「太陽光発電促進付加金」として電気料金に上乗せされて、電気の全利用者が負担することになっています。

即時償却の太陽光発電設備
太陽光発電設備の即時償却は、2011年度に再生可能エネルギー発電設備の早期の導入促進として『グリーン投資減税』の名の下で導入されたものです。今年の税制改正で、2013年3月31日までのものが、2015年3月31日まで期限延長されました。
即時償却制度の対象には他に風力発電設備、熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)があり、『グリーン投資減税』の対象となる再生可能エネルギー発電設備には他に水力、地熱、バイオマスがありますが、制度利用の中心は圧倒的に太陽光発電設備です。

沸騰しつつある太陽光発電市場
買取期間の長期性と固定価格という安定性、それが法律で強制されているということ、さらに公的な設備補助金が受けられる場合があり、設備投資とその投資額の回収の計算においては、予測可能性の高さが保証されています。
税制面でも7%の税額控除又は30%特別償却又は即時償却、固定資産税の3年間3分の1軽減、と最大限の優遇措置が施されています。
これらを売りにして、太陽光発電設備市場に、関連する事業者が次々と参入し、個人の家庭から集合住宅の所有者、事業用設備や遊休不動産保有の会社への営業活動が活発になっています。
確かに、バブル期に広大な山林や雑種地を買って、処分しようにも買い手の探しようがなかった不動産の所有者などには、有効活用と節税のまたとないチャンスなのかもしれません。