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H25.3.29
預金税という新税

財産税としてのキプロスの預金税
 キプロス政府は、ギリシャの財政危機を受けて経営が悪化した国内の銀行を立て直すため、EUなどから100億ユーロ(約1.23兆円)の支援を受けることになり、その前提として、10万ユーロ以下の預金には6.75%、10万ユーロ超には9.9%の一回性の税金を銀行の預金者に課す異例の措置を求められていました。これに対して国民が強く反発し、議会に提出された法案は、反対36票、棄権19票で賛成は1票もなく、否決されました。

日本でも最近話題になったものがある
 日本でも、2年ちょっと前に、テレビ朝日 「スーパーモーニング」で、消費税に代わる税の一種として貯蓄税の創設が話題として採り上げられていました。一人当たり預金残高1000万円超に対して毎年2%の課税をする、というものでした。納税者番号制度の導入が必須ということでした。

現実に日本でも実行されたことがある
 昭和25年の富裕税は捕捉可能なすべての財産を対象にし、個人財産500万円超に対して0.5%〜3%の4段階の累進課税を毎年課しました。富裕税法は3年でもって廃止となっています。
昭和21年11月施行の財産税は個人財産10万円超に対して25%〜90%の累進税を課しました。これは1回性の税でした。
 戦時補償特別税は100%税率でした。戦時中に発生した民間企業の政府に対する未払代金の請求権に対する課税です。実質の踏み倒しです。これも1回性の税でした。
非戦災者特別税も1回限りの税で、非戦災借家人に家賃の3ヶ月分、非戦災家屋所有者に対しては6か月分を課税しました。戦災者と非戦災者の不公平是正を名分とした税で、土地バブル恩恵の不公平是正を名分とした平成初期の地価税も類似の税です。

キプロスの預金税から学ぶべきこと
 キプロスは地中海に浮かぶ島ですが、タックスヘイブン国として栄えていました。特にロシア富裕層の資金が流入してGDPの800%もの預金が集まっていると言われています。キプロスの高額預金者のほとんどは外国人です。
 タックスヘイブンへの外国からの投資家には選挙権がありませんから、財産税課税の対象となり易いわけで、キプロス預金税の落とし所はそこに収斂していくと思われます。資産フライト実行者は肝に命ずるべきです。





H25.3.28
個人所得税及び消費税
事業開始日及び年

 法人の場合と違って、個人事業者の場合、事業を開始した「日」及び「年(課税期間)」を特定することには、若干、困難を伴うこともありますが、税務上の手続きにおいては重要です。
所得税の場合は、原則、事業を開始した日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出することで、税務上の特典が受けられますし、一方、消費税の場合には、事業開始の日の年に課税事業者選択届出書を税務署に提出することで、その年の消費税の還付を受けることができます。

所得税の場合
 所得税の場合は、事業開始のための開業準備期間は、事業を開始した日には当たらないようです。
裁決、裁判では、診療所開設のための準備期間(1年以上かかるケースも)は、事業を開始した日にはあたらないとし、具体的に診療行為が行えることとなった日等が事業を開始した日と解しています。
 それでは、事業を開始するまでの間に特別に支出した宣伝費、調査費、借入金の利息(資産取得の利子は当該資産の取得費に算入)、土地、建物などの賃借料等の、いわゆる開業費はどうなるか、ですが、繰延資産として、事業開始の日から5年間で費用化(償却)していく取扱いになっています。

消費税の場合
 では、消費税も同様か、ですが、どうも消費税の場合、課税資産の譲渡等がない開業準備期間も事業を開始した日の属する課税期間(年)に含まれるようです。
 歯科診療所を開設した医師が所得税の例にならって、具体的に診療行為ができる状態になった年に課税事業者選択届出書を税務署に提出、その年に引渡しを受けた診療所の建築費及び医療設備等の課税仕入れに伴う消費税の還付申告をしたところ、審判所は次のような裁決を下しました。
「法解釈上、事業遂行に必要な準備行為をした日の属する課税期間も事業を開始した日の属する課税期間に該当すると解するのが相当である」とし、課税資産の譲渡等が生ずる年の前年(開業準備行為に着手した年)に課税事業者選択届書を提出していない限り、原則、届出書の効力は提出した翌課税期間らの適用になるとして、医師の還付申告を棄却しました。
 しかし、この裁決、事業を開始した場合の手続きを所得税と消費税を特段、区別しなければならない課税上の弊害があるのでしょうか、疑問です。





H25.3.27
書面決議の留意点

取締役会と書面決議
 旧商法では、取締役会は取締役相互が協議・意見交換を通じて意思決定を行う場という認識から、会議による決議を重視し、書面による決議、いわゆる「持ち回り決議」を認めていませんでした。しかし、より機動的な会社経営を実現するための要望から、現在の会社法では、定款に書面決議ができる旨を定め、一定の要件を満たす場合は、取締役会の決議を書面またはメール等の電子的記録による持ち回り決議が認められています。
会社法施行当初、多くの企業がこの書面決議を行えるよう定款変更を行っており、近年設立した取締役会設置会社についてはおそらくほとんどが設立時の定款に載せていることと思います。しかし、いくらこうした持ち回り決議が認められるようになったとは言っても、所定の要件を満たした上での決議でなければ、問題発生時に取締役としての任務懈怠責任を問われかねません。今日は、書面決議を行う場合の注意点についておさらいします。

書面決議運用の留意点
 書面決議が認められるための要件は次のとおりです。
@取締役が取締役会決議の目的である事項について提案した場合であること。
A当該提案につき、当該事項について議決に加わることができる取締役の全員が書面又は電磁的記録(メール等)により同意の意思表示をしていること。
B監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べていないこと。

全てが書面で済むわけではない
 Aでは取締役全員の同意を必要とする要件がありますが、これは各取締役が提案内容を判断するにあたり、書面等で十分な情報を入手でき、適切に判断することができる事項についてのみ認める趣旨から設けられているためです。よって、議論を尽くさなければならないような重要事項については、やはり取締役会の開催が必要です。また、代表取締役や取締役は3か月に1回以上、取締役会への業務執行状況の報告しなければならないと規定されていますので、最低でも3か月に1度は取締役会の開催が必要です。





H25.3.26
実例経営シリーズ
従業員を支えるのが、社長の役割

なぜ、お客様のご要望がつかめないのか
 若手経営者が集まる懇談会の席上のことです。室内装飾業S社長が「うちのコーディネータは、お客様のご要望をチャントつかめないで、このあいだは全部やり直しだよ!」とぼやいていました。それを聞いていた美容サロン業F社長は、「施術中、ブッチョウ面のジュニア・スタイリストをバック・ルームに呼んで、どうしたの?と聞いたら、“あのお客様、言うことが変るのでイヤ”と。どうしてお客様のご要望がつかめないのかな!」とこれまたぼやきです。運輸業G社長は、「うちのトラック・ドライバーが“荷物はそこの奥にお願い”と言われたお客様の声をきかないで、通路に置いてきてクレームだよ」とこれもぼやき。
 その後の懇談会では、“なぜ、お客様のご要望を従業員がつかめないのか”が話題の中心になりました。

お客様の心をつかまないと生き残れない
 わが国は、少子高齢化がすすみ人口減少時代を迎えているためお客さまの数が減っており、規模の大小を問わずどの業種もお客様の要望を正確につかんで売上に結びつけることに苦労しています。加えて室内装飾業界や美容サロン業界そして運輸業界はオーバー・ストア気味で、激しい競争が展開されています。

従業員の満足度は?
 従業員が勤めている会社に満足していれば、毎日元気よく明るく楽しく働きます。逆に従業員が会社に不満を持ったり、不安を感じている場合には、挨拶も型どおりとなり、お客様の要望を丁寧にお聞きすることなどはうわの空でどこかに飛んでいってしまいます。会社を選ぶ際には、給与は最低必要な額以上ということは重視されます。しかし、会社を辞める時の理由は給与額ではないようです。理由となるのは、経営者、上司そして同僚などとの人間関係、しごとのやりがいなどの問題がほとんどです。結局お客様を満足させられないのは、従業員を満足させられていない自分たちの問題だということになりました。





H25.3.25
六法全書でタイムスリップ?


使用人、番頭、手代が法律用語?
 皆さんは、使用人、番頭、手代という言葉を現在の日常会話で使いますか。「あの人は番頭タイプだ」という機会がある位ではないでしょうか。しかし、これらは、実は商法上の概念であり、使用人は現在も残っており、番頭・手代も実に平成17年まで残っていたのです。現在の商法が明治32年に制定され、相次ぐ改正にも、これらを定めた条文には手が付けられないまま残ってきたのです。

商法上の使用人、番頭、手代とは?
商法は、雇用契約により特定の事業者に従属した、その営業の補助者を商業使用人と定めています。そして、平成17年改正前の商法は、商業使用人を、事業者を代理する権限の広狭に応じて@支配人、A番頭・手代、B物品販売店の使用人の3種に分けて規定していました。
  @支配人とは、事業者に代わり、その営業に関する一切の裁判上又は裁判外の包括的代理権を有する者をいい、会社の登記事項です。名称は、支配人の他、マネージャー、支店長、店長等でもよく、商法上の支配人か否かは、この包括的代理権の有無で判断されます。
  A番頭・手代は、例えば、販売・仕入・貸付・出納など、営業に関するある種類又は特定の事項に関する代理権のみを有する者をいいます。手代は、番頭と丁稚の間に位置すると言われていますが、商法上では、両者に差を設けていませんでした。平成17年改正後の商法では、さすがに時代錯誤な番頭・手代という用語が削除され、単に、ある種類又は特定の事項に関する代理権を有する使用人という類型を定めております。大きな会社が、契約書の当事者の記名押印について、例えば「購買部長」、「○○事業部長」の名前を用いる例が見られますが、これらは、Aの例といえます。
  B物品販売店における使用人は、商法上、その店舗にある物品の販売に関して、その事業者を代理する権限を有するものと見なすと定められております。 なお、商法上、@〜B以外の使用人には、事業者を代理する権限はありません。





H25.3.22
厚生年金基金制度の見直し

厚生年金基金の廃止問題
 昨年はAIJ投資顧問会社の運用損による年金消失問題が話題になりましたが、厚年基金は長期的に運用利回りの低迷で財政は悪化し続けていました。今年は新政権で利回りは少し回復しそうですが基金の財政悪化が回復するのは難しく、厚労省の試算では2年後に代行割れに陥るリスクが無い基金は全国約570の厚年基金の内49しかなく、1割にも満たない状態です。厚生年金基金の代行制度とは本来国が行う厚生年金の運用や給付の一部を厚年基金が代行する事です。運用成績が悪く、国から預かる厚年保険料の損失を出している状態を代行割れと言います。
 現在577基金のうち287基金が代行割れとなっています。代行部分の損失を穴埋めしないと基金の解散が出来ない為厚労省は解散しやすい方向を検討しているところです。
 今後ほとんどの基金は解散か他の企業年金制度への移行を迫られるでしょう。

社会保険審議会意見書を4月国会提出へ
 厚生労働省の社会保険審議会ではこの度廃止が妥当との意見書をまとめました。代行割れで財政悪化の基金は5年以内に解散、代行割れはしていない基金は10年の期間に他の企業年金への移行を後押しします。一方で基金を一律に廃止する事に反対意見もあり、財政が健全な基金は残すべきと言う意見もあります。ただ、一部基金だけを残す事が出来るのでしょうか。

今後の行方は
 昨年11月に出された厚労省試案に対し、審議会の意見書では10年で制度廃止はするが加入企業が損失を連帯責任負担する制度は止める方針です。国に返済をする期間の延長も求めて行く方針です。しかし解散を促す為、返済額を減額し公的資金で穴埋めする厚労省案には公平性の観点から反対をしました。ただ母体企業が倒産で返済しきれない場合は厚生年金保険料での穴埋めもやむなしとしています。
 退職金は企業で社内制度として規定があれば賃金としての性格になります。厚年基金の加算部分が退職金額の内枠となっているのか外枠かで額は大きくが違います。規定を確認してみるのが良いでしょう。





H25.3.21
社会保障・税番号制度御存じですか


マイナンバー法案閣議決定へ
 政府与党は社会保障・税の一体改革の一環として、社会保障・税番号法案(マイナンバー法案)を閣議決定しました。国会で予算関連法案として成立させ平成28年1月の開始を目指しています。
 この法案は国民の新たな個人番号(マイナンバー)を付与する事でより正確に所得や資産を把握し的確な社会保障制度や税控除を実現するとしています。現在、自治体、国税庁、日本年金機構等により分散管理されている個人情報を、本人経由の証明書によって他の情報保有機関にも提供できます。合わせて個人情報保護強化や個人情報を本人が確認できる対策も取るとしています。

便利公平という言葉に問題はないか
 このカードは身分証明書の機能を備えた個人番号カードとして扱われ現在の住基カードの機能を強化追加した物で具体的には@全てのカードに顔写真を印刷、A公的個人認証サービスの暗証方式の強化、B従来の電子証明に加えて認証サービスを追加があげられていて便利で公平、個人に対する官民のサービスの発展に資すると言っています。年金や雇用保険の受給、医療保険の保険料徴収、福祉分野の給付を受ける権利を把握され、一方で所得も確定申告書や支払い調書に番号を記載し把握されます。

1年前に行われた内閣府の世論調査結果
 国民1人1人に番号を付け納税記録や、社会保障情報を国が管理する共通番号制度(マイナンバー制度)に関する意見は85%の人が情報の漏えいを危惧し、政府の情報管理体制に不安を抱く人が多い事がわかっています。制度について内容を知らない人は41.5 %、内容は知らないが聞いた事はある41.8%と83.3%の人は内容を知らない状態です。
 マイナンバーの問題点は本来の社会保障と税の為であれば所得と給付の情報だけ確認できれば良いと思いますがさらに様々な機能を持たせようとする事で個人情報流出やプライバシー侵害が無いとは言えないと言う事でしょう。セキュリティーは大丈夫なのか、このシステム導入に係る費用は2千億万円から5千億万円とも言われています。毎年の維持費も350億円位にはなるという事です。財政健全化の為が新たな負担を生まなければ良いのですが。





H25.3.19
譲渡所得 負担付贈与

 譲渡の意義については、所得税法では特段の規定は設けていませんが、一般的に「資産を移転させる一切の行為」をいうものとされ、有償のみならず無償の譲渡をも含むものと解されています。
 有償譲渡の代表的なものは売買ですが、代物弁済や財産分与、そして、一定の負担付贈与も含まれます。一方、無償譲渡は贈与や遺贈で、課税上はそれぞれ贈与税あるは相続税ですが、法人に対するものについては、贈与者等に譲渡があったものと「みなして譲渡所得税」が課されることになっています。

負担付贈与の類型
 負担付贈与とは、受贈者が一定の負担を負う贈与契約で、その負担に伴う受益(経済的利益)を@贈与者自身が受ける場合もあれば、A特定の第三者あるいはB不特定多数の第三者が受ける場合もあります。
 @の例としては、不動産を贈与するが、贈与者自身の債務(借入金等の弁済)を負うことを約するような場合であり、Aは、不動産を贈与する一方で、受贈者の特定の第三者に対する債務の免除を約させる場合、Bは、不動産を贈与するが、当該不動産から生ずる収益の一部を特定の慈善目的に使用を約するような場合などが挙げられます。

譲渡所得との関係
負担付贈与で譲渡所得が生じるのは、上記@のケースです。このケースにおいては、受贈者が負担する贈与者自身の債務は、贈与者からみれば、免責されることによる経済的利益は贈与した資産の対価として認識されます。それ故、有償譲渡に該当する、というのが課税実務の取扱いです。
 なお、負担付贈与のうち、第三者が受贈者の有する「譲渡所得の基因となる資産」を受益(取得)する場合には、受贈者に譲渡所得の課税関係が生ずることがあります。

贈与資産の価額
 負担付贈与が@のように有償譲渡に該当することになった場合、贈与資産の価額をどう評価すべきか、悩ましい問題があります。一つには、負担付贈与も贈与であるから相続・贈与の場合に適用される財産評価通達にしたがった価額で評価すべきでは、との見解もあります。
しかし、現行の課税実務の取扱いにおいては、課税上弊害を考慮し、負担付贈与も対価を伴う有償譲渡であるとして、原則、贈与資産の価額はその時の価額、すなわち時価で評価すべきものとして取り扱っています。





H25.3.18
1500万円非課税贈与


1500万円教育費非課税贈与の波紋
 今年の税制改正案として報道された孫への1500万円教育費非課税贈与が話題になっています。自分の子どもから、当然に1500万円の贈与が孫にあるものとして話しをされた、といって悩んでいる人がいました。また、基礎控除の4割削減による課税強化に対抗する策として、他の親族から借金してでも全ての孫に1500万円ずつ贈与しよう、としている人もいました。

1500万円教育費非課税贈与とは
 親族間の教育費の贈与はもともと非課税ですが、必要な都度直接、教育費に充てるために提供されるもの、と限定的に解されていました。今回の税制改正の新提案は、この必要な都度直接の要件を直系親族に限り1500万円を限度に解除するものです。
 孫が30歳になるまでの学校や塾などに支払う学費や入学金が非課税の対象になり、塾や習い事など学校以外への支払いは500万円が上限ということなので、1500万円が使いきれないこともあり得、その場合はその孫が30 歳に達した日に贈与があったものとして贈与税が課税されます。
 相続税法にある3年以内贈与の対象にならないか、との疑問を呈する人もいましたが、法律文がまだ未公表なのではっきりはしませんが制度の趣旨からそれはなさそうに思われます。

30年もの長期管理をどうするのか
 管理は、金融機関にさせる予定になっています。贈与を請けた資金は金融機関に預け入れ、教育資金非課税申告書をその預け入れ金融機関を経由して、納税地の所轄税務署長に提出することから制度利用が出発します。
 また、受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払に充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならず、金融機関はそれをチェックし、記録し、確認書類を受贈者が30 歳に達した日の翌年3月15 日後6年を経過する日まで保存しなければならない、とされています。

管理には管理費用がかかるのでは
 税制の特典利用には、金融機関のサービスが必要となると、新たな収益源が金融機関に生まれたことになります。金融庁は新制度で贈与を受ける利用者が年間約93万人いると予想、信託協会では子育て世代の消費が最大で1兆6000億円拡大すると試算している、との報道もあります。





H25.3.15
継続雇用時の賃金はどうする

希望者全員65歳雇用確保時代
 高年齢者雇用安定法の改正で年金の支給開始の繰り下げに合わせて、段階的に60歳から65歳までの希望者全員の継続雇用の対象としなくてはならない事となりました。原則全員を継続雇用しなくてはならないとなると企業は労働条件の変更を考えざるをえないでしょう。今までも60歳で一旦定年退職し継続雇用するには労使協定で定めた基準を満たす人を選別し、労働時間や賃金の見直しをした上で雇用をする企業が多かったのですが、希望者全員継続雇用となると賃金は今まで以上に各人に応じて金額を設定して行く事が必要になるでしょう。

定年後の賃金額はどう構成するか
 例えば昭和28年4月2日生まれの人は61歳から初めて報酬比例の老齢厚生年金が支給されます。60歳の間は賃金を下げても年金は出ない期間なので雇用保険からの高年齢雇用継続給付のみ賃金と合わせてどの位の賃金額になるのかを考える必要があります。そして61歳になった時に24年度以前に決めておいた継続雇用の労使協定基準に満たなければ退職、満たされれば継続雇用となり、老齢厚生年金の報酬比例部分が支給開始され、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付と合せて賃金額を再び見直します。

継続雇用の賃金改定の考え方
 賃金の改定については一様な改定でなく、会社の期待も反映して3つに分けてみます。 
@今後も大いに頑張ってほしい社員
A普通に頑張ってほしい社員
B会社としては今一つと思える社員

@の方にはモチベーションの維持の為年金や雇用保険の給付は受けられなくとも50歳代時代と同じか近い水準にする
Aの方の賃金改定は定年時の6割以下にして年金が出ない間は賞与等で手当を支給。
(月の給与で手当を出すと保険料に影響)
Bの方には改定額はAより低く、年金不支給時期も手当となるものは支給しない。

 このような差を設ける事で会社の意向を本人に伝える事が出来ると思いますが、賃金改定をする際には、話し合いや説明をきちんと行う必要があるでしょう。また、労働時間を短くし社会保険に加入せず保険料負担無しに働く事も1つの方法です。





H25.3.14
実例経営シリーズ
経営者の引き際は難しい


仕事はできるが、ITは分からない
 Aさんは、32歳で独立して、私鉄2線が交わる乗換駅の近くに不動産周旋業を始めました。今では、店舗は本店を含めて3店になり、従業員は20名近くにもなり、地元の大学などでは名が通るようになりました。昨年65歳になり、IT会社出身の娘婿を後継ぎにしました。自分自身は、代表権のある会長になりました。従業員は、「会長になるには、未だ、早すぎるのではないか」といって驚いていました。
 後継者は、IT会社出身の持ち味を活かして、物件紹介のホーム・ページを開き、同業者とインターネットでの情報交換など外部への発信に取り組んでいます。社内では、色々な資料もパソコンから直ぐにとりだせるようになりました。資料を探すことが速くなり、お客様にも好評です。社内の会議では、スクリーンに映し出された資料をもとに進められており、手元に資料はありません。AさんはITが苦手で、次第になにが何やら分からなくなりました。

経営者は、すぐに全部は捨てきれない
 月一回の幹部会で元気のないAさんに気がついた古い友人の社外役員のBさんは、「その辺で、一杯やりましょう」と誘い出しました。「急に、従業員から相談や報告がなくなり・・・」とAさんが言い出し、「毎日、出勤するのが、億劫になりがちだ」と。今まで大声で話し、明るい性格丸出しで、仕事をしていましたAさんには、考えられないほどの落差です。
 「Aさん、昔忙しくて、地主さんとゆっくり話もできないと言っていましたが、今なら地主さんとゆっくり話しができるのではないですか」と水を向けました。笑いながら「そう、今の私なら、いや、私だけができそうですね」と言いました。Aさんは自分の居場所がはっきりと見えたのか、大きな声で明るく話しはじめました。

社長と会長の役割分担を
 社長は現場を担当し、会長のAさんは一歩引いて今までできなかった地主との長期の関係作りをし、更に会社を発展させていこうと言うことで、会社内での役割が明確になりました。





H25.3.13
実例経営シリーズ
社長、自分から始めることです


従業員30名の合成樹脂切削加工を経営していますS社長は、京浜地区に一つ、過疎地にもう一つの工場を経営し、過疎地工場では10名を雇用して、町役場からも感謝されて地域に貢献しているとのことです。「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾の略)をやりたいので一度工場を見にきてください」とのことで中小企業診断士が、工場を見学することになりました。

毎日見慣れていると変だと思わない
 本社工場の3階の食堂兼休憩室に案内され、創業25年の苦労された話をお聞きした後、現場を見学しました。ドアを引いて、作業室に入りました。加工機械の裏側、作業室の片隅、棚の上や作業台の下などを見ました。そこには、空の紙箱、汚れたカタログ、掃除道具、測定具やブラシなどが乱雑に置かれています。部屋の入口、階段の隅、通路の脇などを見ると不要と思われるモノが至るところに置いてあります。
 なるほど、これだから5Sをやって工場の整理整頓を徹底させたいのだなと診断士は納得しました。しかし事務所にも入ってS社長の机を見ました。書類と書類が積み重なった隙間にパソコンが置いてあります。見上げると「第24期決算書類」と書いた段ボール箱が書庫の上に斜めにのっていて、他の書類も乱雑に置いてあり、地震でもくれば今にも落ちそうです。

従業員は社長をみている
 診断士の浮かぬ顔を見て「何か気になりましたか?」と社長はいわれます。「5Sを行う目的は、どのようにお考えですか?」と問いますと、「そんなこと、今さら!」という顔をされています。
5Sは手段であって、目的は会社の体質改善であることと、社長が"整理、整頓、清掃、清潔、躾が大事だ"と朝礼で何回言っても、従業員は社長の机の上や書庫の周りを見ると、"なんだ!社長は言っている事とやっている事が違う"とおもいますよ!5Sをやるなら社長が、見本を見せなければなりません。社長にできますか?と話しました。社長は、あらためて自分の机の上をみていました。





H25.3.12
改正高年法に企業はどう対応するか


経団連による調査結果
平成25年4月からの高年齢者雇用安定法の改正により段階的に、65歳までの希望者全員継続雇用の時代となりますが各々の企業はどのような対応を考えて行くのでしょうか。日本経済団体連合会から発表された「2012年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」からその内容を見てみます。

アンケートの回答結果
「高年齢者雇用安定法の改正に伴い必要となる対応」(複数回答)との質問に対する回答結果上位10位は次の通りです。
@高齢従業員の貢献度を定期的に評価し処遇へ反映する。44.2%
Aスキル・経験を活用できる業務には限りがある為提供可能な社内業務に従事させる。43.6%
B半日勤務や週2、3日勤務等による高齢従業員のワークシェアを実施する。41.0%
C高齢従業員の処遇(賃金等)を引き下げる 30.0%
D若手とペアを組んで仕事をさせ後進の育成・技能伝承の機会を設ける。25.8%
E60歳到達前・到達時に社外への再就職を支援する。24.1%
F60歳到達前・到達時のグループ企業への出向・転籍の機会を増やす。22.7%
G新規採用を抑制する。16.9%
H60歳到達前の従業員の処遇を引き下げる
13.3%
I従来アウトソージングしていた業務を内製化した上で従事させる。11.7%

賃金をどのように設定するか
雇用の延長に伴う賃金は、上記のHにあるように60歳到達前の従業員の賃金を下げて原資とするとした企業の動きでは、NTTグループは現役の40代から50代の賃金を中心に抑制すると言う方針を示しています。しかし20代の従業員は反対意見が多く、一方60代では賛成意見が多いという事です。
現役世代から見れば賃金を抑えられるのは困る、企業は原資の捻出に困ると言う事態ですが、賃金設定は各企業の事情により大きく異なり、これからの大きな課題となる事でしょう。







H25.3.11
税金よもやま話
飼い犬税と法定外目的税

 大阪府泉佐野市が家庭で飼われている犬に税金を課す「飼い犬税」を検討していると、2012年6月に市長が市議会で明らかにしました。

実際に犬に課す税金が日本にあった
 1955年には2686の自治体で「犬税」が設けられていました。その後、徴収コストなどが理由で相次いで廃止。1982年3月末に長野県旧四賀村(現松本市)が廃止したのが最後となりましたが、過去には課税があったようです。
 今回泉佐野市が行うのは「飼い犬税から街の環境美化費用を」という法定外目的税のようです。

法定外目的税ってなに?
 地方税法に定めのある税目以外の地方税を「法定外税」と言い、目的税であるものを「法定外目的税」と言います。新設・変更しようとする場合は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならないのですが、
・国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること
・地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること
・国の経済施策に照らして適当でないこと
この3つに該当しなければ、総務大臣は同意を与えなければならないこととされています。

結構数ある、法定外目的税
 泉佐野市の飼い犬税は、未だ施行されていませんが、現在実際に施行されている法定外目的税は多数存在します。
山梨県の富士河口湖町では「遊漁税」を、河口湖の釣り客に課しています。これも周辺環境配備の為ですから、法定外目的税です。他にも東京都の「宿泊税」、「産業廃棄物税」は27道府県で採用等、地方自治体が独自に、その地域特有の問題に課税し、一定のコストを捻出しうる対策としている場合が多々あります。
 ただ、山梨県で議論されていた「ミネラルウォーター税」は業者・消費者からの反発が強く、実現していません。その地域だけの課税となるのですから、慎重に考えていただきたいものですね。





H25.3.8
合同会社を考える

平成24年度はついに1万件超か
 会社法が施行されてから約7年、合同会社という言葉を見聞きする機会がだいぶ増えてきたのではないでしょうか。制度開始当時の平成18年度、設立件数は3,392件でしたが、その後設立件数は順調に増加、23年度には9,130件に上り、24年度はついに1万件を超える見通しです。
トヨタ自動車、本田技研工業など9社が共同で合同会社を設立したことや、「KY(カカクヤスク)」でお馴染みの西友が2009年に株式会社から合同会社への組織変更を果たしたことなど、大手企業の動きもありここ数年で知名度もぐんと上がりました。
 株式会社と合同会社を比較しても、両者とも法人格があるため契約や税制面などで特に違いはありません。また、出資者全員の責任を有限責任とする点でも共通です。しかし、株式会社では原則的に出資者と経営機関が分離しているのに対し、合同会社は出資者が社員として経営にも関与します。つまり、合同会社では会社の所有者と経営者が一致することになります。

柔軟な機関設計が可能な合同会社
 上記のとおり、合同会社では所有者と経営者が一致しているため、株主総会や取締役会などの機関を通さず、出資者間で直接合意をすることができますので、より迅速な意思決定が可能です。
 更に、株式会社では出資比率に応じて利益が配当されますが、合同会社は出資比率に関係なく能力に応じて利益の配分を調節できます。したがって、出資額が少なくても、専門知識や技術があり、会社への貢献度が高い社員に対して配当を大きくすることも可能です。また、小規模からスタートしたい企業や個人事業主から法人する方にとっては、設立時の費用が株式会社を設立する場合の3分の1程度で済むことも大きな魅力の一つです。

柔軟だからこその注意点も
合同会社の経営に関する意思決定は、原則として出資した全員の過半数の同意が必要です。ですから、社員が複数いる場合は意見が対立すると収拾がつかなくなる恐れもありますので、「多数決にて決定」「2/3以上の多数決」などの文言を定款に記載し、まとまらなかった時のために備えることも必要です。機関設計が柔軟な分、会社経営の実態に合わせた、オーダーメイドのルールづくりが重要な会社形態とも言えます。





H25.3.7
複数税率だった消費税

単一税率と帳簿方式のセット
 財務省のホームページに、「単一税率の下では、請求書等に税額が別記されていなくても仕入税額の計算に支障はないが、複数税率の場合、請求書等に適用税率・税額の記載を義務付けたもの(インボイス)がなければ適正な仕入税額の計算は困難」との記載があります。
 各界からの税制改正要望をみても、単一税率・帳簿方式の維持という文言があふれています。識者の文章にも、日本は一貫して単一税率を維持してきた、という言い回しを見受けます。

平成6年3月までは複数税率だった
 消費税法をいくら探しても、平成9年3月までは3%、それ以後は5%という税率しか出てきません。
 しかし、消費税立法時の消費税法附則をみると6%税率があり、平成4年の改正措置法には4.5%の税率があります。
 日本の消費税は当初は複数税率で出発したのです。なお、帳簿方式であることには変更はありませんでした。複数税率でも、帳簿方式で不都合はなかったのです。

財務省刊行の税制改正の解説から
 平成4年版の解説書には次のように書かれています。
 消費税導入時の経過措置として・・・平成元年4月1日から平成4年3月31日までの間における普通乗用自動車の譲渡に係る消費税の税率は100分の6とされていました。・・・平成4年4月1日から平成6年3月31日までの間における普通乗用自動車の譲渡に係る消費税の税率は、本則税率である100分の3ではなく、100分の4.5となります。・・・割賦販売等の場合・・・平成4年4月1日からは、事業者によっては、普通乗用自動車に係る税率が、100分の4.5と100分の6の二種類になり得ることに留意が必要です。

5%になったときも
 従って、日本の消費税は単一税率だったというのは事実では有りませんが、単一だったとしても、平成6年11月改正、平成9年4月施行の消費税法で5%になったとき、経過的には複数税率になっていますので、単一化での複数税率もあるのです。
 これと異なり、帳簿方式については議論されたことがありません。「複数税率の場合、・・・(インボイス)がなければ適正な仕入税額の計算は困難」との言い分は厳密には事実に反しています。





H25.3.6
コンセプト(概念)

 “コンセプト”とは物事の総括的、概括的な意味、すなわち概念のことです。
 「世の中の全ての物事は、コンセプトによって表現することが可能であり、それを提議・提唱する者の心性、視点、立場、精神的なポジション・在り方を反映する。」とされています。
 例えば「柔道七段」と言えば、短い表現で柔道界での強さを端的に表しています。
 また、ある物事(例えば、ある商品・サービス)を実在的、論理的に表現しようとすると、長い文章表現や、くどい説明が必要になって、かえって分かりにくくなるところを、コンセプトを使えば、他の類似した物事と、明確に区別して単純明快に説明することができます。
 この利点を生かして、商品・サービスの販売活動では盛んに“コンセプト”が使われています。

ビジネスのコンセプト
 企業活動では、“我が社はどんな会社か、大切にしている価値感は何か”を「企業理念・社是」としてコンセプト化し、社会や顧客に明示しているケースが極めて多いのは周知の通りです。
 さらに、個別の企業が自社の経営戦略を商品・市場戦略として展開しようとする場合、顧客にアピールする商品・サービスの機能を設計・開発し、顧客に届けられるような生産・サービスの体制・営業マンの能力を開発しなければなりません。
 それが出来て、はじめて“コンセプト”として表現することができます。
 しかし、この“コンセプト”は商品やサービスの設計・開発の初期段階から、設定して、専門知識・技術を駆使して、それを機能的・論理的に説明できるよう企画し、計画・実行し、実現しなければなりません。

コンセプト活用の留意点
 市場・顧客に説得力を持ってアピール出来る “コンセプト”を持つには、特に次の点に留意しなければなりません。
1. 商品・サービス開発の前に、市場・顧客を分析・研究し、ターゲット(買って欲しい顧客層)と、そのご満足が得られる機能を“コンセプト”として定義する。
2. 専門知識・技術を活用し、開発のプロセスで創意工夫して、その機能を実態として保有する商品・サービスを開発した上で、“コンセプト”を検証、活用する。





H25.3.5
陽の目をみられるように
なった少額非課税投資制度

日本版ISAの導入
税制改正では、現行の上場株式等の譲渡損益及び配当に対する10%課税の軽減措置が本年末をもって廃止となり、平成26年1月以降は、倍の20%課税になります。
この改正のままでは、大衆課税になってしまうということで、「少額投資非課税制度」というものを創設し、投資規模500万円程度の人については、課税対象外としました。日本版ISAと言われるものです。

少額投資非課税制度の大義名分
個人が退職後の生活に備え、長期にわたって配当を得るなど資産をじっくり増やし、家計の資産形成を促す制度というのが、「少額投資非課税制度」の趣旨とされています。
「貯蓄から投資へ」などという呼びかけにその気になって、投資額500万円程度の個人が、投機的に株式市場に参入したら、プロの餌食になり、個人資産を食い物にされるだけです。
そういう意味では、この新制度は投機的参入には適していないので、趣旨に沿っていると言えそうです。

これが少額投資非課税口座制度
この制度では、個人が年間1口座を開設し、そこにその年内に100万円以内の株式投資をすると、5年間はその株式からの配当や売却益に課税されません。さらに、5年に亘り、毎年100万円以内の非課税口座の追加設定ができ、非課税扱いの投資枠は最大500万円とされています。
 途中での売却は自由ながら、口座枠の再利用投資はできません。非課税口座を開設することのできる期間は平成26年から平成35年までの10年間です。

制度は平成22年に創設されているが
 この制度は、当初10年の非課税期間として平成22年に創設されましたが、20%課税の実施と表裏の関係のものとして施行予定されていたので、10%課税の期間が延長されつづけている間は陽の目を見ませんでした。
立法はされていても、永遠に施行されないかもしれないような制度でしたが、そんな中で毎年のように制度改正だけは少しずつ行われて、いよいよ平成26年から実施されることが確実になったところです。
実施と運用と利用状況に応じて、今後も手直しが続けられるものと思われます。





H25.3.4
平成25年4月から施行!
改正・犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法とは?
今年4月1日より、改正犯罪収益移転防止法が施行されます。
犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)は、いわゆるマネー・ローンダリングを防止するため、2007年に施行された法律です。マネー・ローンダリングとは、犯罪で得た資金をあたかも正当な取引で得た資金のように見せかける行為や、口座を転々とさせたり不動産や金融商品等に変え、その出所を隠す行為を言います。こうした行為に対し、金融機関や税理士をはじめとした士業者など一定の事業者に対して、本人確認やその記録の保存など、取引時の確認を的確に行うための措置を義務と課すことで、犯罪による収益の移転動向に対応しようとするのが犯収法のねらいです。

改正の背景
しかしながら、マネー・ローンダリングの防止を目的に設立された国際組織「金融活動作業部会(FATF)」は、2008年に公表した日本の対応状況に関する審査結果報告書の中で、マネー・ローンダリングが行われていないかどうかを顧客情報の積極的な収集等により検証する体制が弱いことなどを指摘しました。こうした指摘を踏まえ、より一層の対策推進を目的として2011年に改正犯収法が成立、今年4月から施行されることとなったのです。

主な改正点
 このような背景から、本改正では顧客情報の確認・検証義務を強化するため、氏名・住所・生年月日といった基本事項に加え、取引目的や職業、さらに、一定額を超える取引の場合は年収や保有資産に関する情報を取得することが義務付けられました。
≪対象となる事業者≫
金融機関等、ファイナンスリース業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引事業者、士業、宝石・貴金属取扱業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、電話転送サービス業者(本改正で追加)

上記の対象事業者については、顧客情報の管理に関する作業の遂行手順を見直し、合わせて組織体制や社内規則の整備が不可欠となります。対象事業者はもちろんですが、今後は各企業に対し、こうした顧客情報の管理徹底姿勢が、より一層社会的に求められることになるでしょう。





H25.3.1
介護時代に備えた働き方

人口構成に見るこれからの介護の行方
 日本の労働力人口を予測すると今後50年で3分の1が消失すると言われています。今後労働市場に元気な高齢者や長期に働く女性も増えてくる事でしょう。現役世代1人が支える高齢者は1950年から2050年の10年で10倍に増えると予測されています。   
長寿社会は介護の長期化をまねき、現在平均介護期間は3.8年ですが、10年以上の方も1割はいます。50歳代前半で配偶者と自分の両親の4人が生存している場合の介護する確率は62%と言う統計もあります。今後企業は介護を担う社員が増えて行く事を意識する必要があるでしょう。

社員の介護をどう考えるのか
 家族の介護や看護の為に離職・転職した人は、2006年10月からの1年間で14万人以上、対前年比率は4割増加したという総務省のデータがあり、このうち男性は2万人以上、過去5年で74%増、年齢も40歳から59歳が41%をしめています。今後介護の為の離職、転職が増え経験を積んだ社員層の離職で人的損失が生じるかもしれません。また、若年者を育てる教育の担い手が足りない事態もあるかもしれません。介護はリスクマネジメントを必要とすると言っても過言ではないでしょう。企業はこのような事態に備えて社内制度の中で時間管理や業務体制をどうしていくのかを考える事が必要となって行くでしょう。

介護時代はチームワークや風土改善が大切
 最近、ワークライフバランスという言葉を聞く事がありますが、仕事と家庭のバランスを取るという意味で使っている事が多いようです。しかし本来の意味合いは仕事の効率化や生産性向上を目指す為、業務改善を行い、プライベートの時間も増やし、社内の活性化を目指すものです。メリハリのある仕事が生活の余裕に繋がるような良い相互関係を言うものです。例えば作業の前にその作業にどれ位時間をかけ作業の後にもっと速くするには?時間のかかった原因は?等を考えて業務改善をする等です。
企業の中で@各人の働き方を共有して見直してみるA個人レベルで課題を認識してスキルを磨くB各職場レベルで課題を認識して業務改善をするC社内に好事例を広げて全社的に推進する等、制度に頼らなくとも職場単位の工夫でワークライフバランスは実現可能と言えるのかもしれません。