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H25.8.30
意外と知られていない 海外療養費制度

健康保険等の「海外療養費制度」
 最近、某タレントさんの親族が、国民健康保険の制度を悪用して、海外での医療費を詐取したとの報道がされました。このニュースを見て「日本の国民健康保険で海外の医療費が還付されるの?」と驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
 これは「海外療養費制度」というもので、審査が認められれば、海外での診療費用の一部を支給してもらうことができるものです。国民健康保険ばかりでなく、企業の健康保険にも設けられている制度になります。
 この制度を利用するには、日本を出国前と帰国後に一定の手続きが必要です。また海外と日本では診療費用に差がありますので、双方を比較して低額な金額をベースとして支払金額が計算され、3割負担の方には7割分の金額が支払われます。
 この制度だけでは現地の医療費をカバーできないことも多いので、旅行傷害保険などに加入される方も多いでしょう。尚、民間の傷害保険の保険金が支給されても、海外療養費制度の利用はできるそうです。
 ただし、治療目的の旅行の場合には適用がないとのことですのでご留意ください。

所得税の医療費控除は?
 ここで「海外で支払った医療費」は、所得税の医療費控除の適用も受けることができます。所得税法上、医療費控除の対象となる医療費は国内外の区別はされていません。従って、海外の医療費であっても適用の対象となります。
 左の「海外療養費制度」による支払いを受けた場合には、(医療費−補てんを受けた金額)の残額が医療費控除の対象となります。診療代が現地通貨払いの場合には、支払日におけるTTS(電信売相場)で換算することになります。

「海外出張」の場合の労災は?
 ここまでは、「プライベート」の場合の診療費(私傷病)のお話ですが、労働者が受けた「海外出張」中の業務上の傷病ならば、日本の労災の方が適用されます。ただし、役員の業務上の傷病については、もともと健康保険も労災保険も原則的には適用できませんので注意が必要です(労働保険の特別加入や5人未満事務所の健康保険の例外規定の場合には適用があります)。





H25.8.29
相続税と所得税
持分払戻し請求権と死亡退職金


持分払戻し請求権とは
 持分会社等(事業協同組合、持分の定めのある医療法人等を含む)の法令及び定款には、多くの場合、「社員(出資者)が死亡により退社又は脱退したときは、当該社員は出資持分の払戻しを請求することがでる」、と規定されています。
 出資持分は、自己の出資した財産が持分会社等においてどの程度の割合の権利を持っているかを示すものです。
 この権利、具体的には、社員の法人への出資割合10%、当該法人の財産が1,000であれば、社員の法人に対する財産上の権利は100ということになります。これが持分払戻し請求権です。                       

持分払戻し請求権と所得税及び相続税
 この持分払戻し請求権、死亡したその社員(被相続人)に帰属するのか、また、そもそも社員は死亡しているのでその社員に帰属することはなく、その相続人に帰属するのでは、といった争いはありますが、現行の課税実務は、前者の立場です。
 したがって、払戻し請求権は死亡した社員に一旦帰属しますので、当該請求権の額が資本金等の額を超えるときは、死亡した社員に「みなし配当」課税が生じ、場合によっては譲渡所得も生じることがあります。この場合、相続人は相続開始後4ヶ月以内に死亡した者の準確定申告義務を負います。
 また、支払者側の法人には、みなし配当に相当する金額について源泉徴収義務が生じます。
 一方、相続人ですが、持分払戻し請求権の未収金額が相続財産であり、被相続人の準確定申告に伴う所得税額は債務控除の対象となります。

死亡退職金と所得税
 持分払戻し請求権に酷似するものとして死亡退職金があります。死亡退職金は、労働協約や就業規則等に基づき、死亡に起因してその死亡した者に確定的に生じますが、当該死亡退職金は、死亡した者に帰属することなく、「みなし相続財産」としてその者の相続人に帰属するとの立場で、所得税は非課税となっています。
 持分払戻し請求権は、本来財産である出資持分に裏付けられているものではありますが、その請求権は死亡退職金と同様、死亡により発生・確定したものですから、所得税は非課税、みなし相続財産として取り扱ってもよいのでないか、と思料します。





H25.8.28
納付遅れの主婦の年金保険料


第3号被保険者の年金手続き漏れ
 公的年金は自営業やフリーター等の国民年金保険料を自分で納付する第1号被保険者、サラリーマンとして企業に勤めたり、共済組合に加入している場合は厚生年金や共済組合保険料が給与から控除される第2号被保険者、さらに給与所得者の被扶養者である人は(通常は妻)直接保険料は納付しませんが国民年金に加入している第3号被保険者からなります。
 サラリーマンの夫が退職した場合、第2号被保険者から第1号被保険者に変わった時は、妻も第1号被保険者となるので60歳未満であれば第1号被保険者となる切り替えの手続きをして保険料を納める事となっています。しかし手続きを忘れていて、この期間の保険料が未納とされている方がたくさんいました。

平成25年7月1日より改正された内容
 このたび、このようなケースを救済する為、遡って保険適用されるように改正がされました。従来は2年までしか遡り納付が出来ませんでしたが、これを10年遡り納付が出来るようにしました。特定期間該当届の手続をする事で今まで未納期間であったものが受給資格期間として扱われます。但し、カラ期間として受給資格期間にはなりますが、遡りの保険料を納めない場合は年金額は増えません。老齢基礎年金は原則25年の保険料納付期間が必要です。受給資格期間を満たす為、遡って加入する事で無年金や年金額の減額を防ぎ老齢年金だけでなく、万一の時の障害・遺族基礎年金受給権確保に繋がります。

特例追納、保険料の納付
 保険料を遡って納付する場合は過去10年までの未納扱い期間の特例追納が出来ます。平成27年4月から3年間の時限措置として実施されます。対象の方が特定期間該当届を提出しておくと、27年4月までに保険料納付の案内が届きます。
 まず、対象となる方は、受給資格期間をつなげる為に最寄りの年金事務所で手続きをしておきましょう。その後保険料を納めると年金額アップに反映されます。





H25.8.27
最近話題に上りはじめた
「資本性借入金」とは


話題に上るようになった「資本性借入金」
 最近、「資本性借入金」に関する話題が増えてきました。この借入金は銀行が融資先の財務状況を判断する際に、負債ではなく、資本とみなすことができます。H16に金融庁の「金融検査マニュアル」に盛り込まれたものですが、H23.11「資本性借入金の積極活用について」で、その「資本性」の要件を明確化したことにより活用が増えてきました。

「資本性借入金」の「資本性」の要件
 「資本性借入金」の「資本性」とは「長期間償還不要な状態」「配当可能利益に応じた金利設定」「法定破綻時の劣後性」により、その借入金が資本に準じた体裁を備えていることをいいます。具体的には、
@償還条件 
 償還期間が5年超の期限一括償還
A金利設定 原則として業績連動型(赤字の場合、事務コスト相当)
B劣後性 原則として無担保・無保証(担保解除が困難な場合には特例あり)。
とされています。政策金融公庫の「資本性ローン」がその一例となります。
 ただし、この「資本とみなす」というのは、金融検査上のルールであって、私法・会計では、「債務」・「借入金」であることには変わりません。

ハマる企業にはハマります!
 中小企業金融円滑化法の終了後は、リスケ応諾率も下がり、経営計画の達成度も厳しいチェックが行われるものと思われます。
 リスケの適用を受けた企業は「実現性の高い抜本的な経営再建計画」(実抜計画)では5年後には債務者区分を「正常先」(債務超過解消と黒字化)となることが求められています。この場合、既存の借入金を「資本性借入金」に組替えるプランを採りいれれば、債務超過が解消しやすくなり、計画の実現性が高まります(返済は5年以後の一括であり、資金繰りにも貢献します)。
 ただし、「実抜計画」に準ずる「合理的かつ実現性の高い経営改善計画」(合実計画)では、概ね計画どおりに進捗し、10年内の償還が求められることから、計画・実績とも黒字を出し続けるという前提となります。
 債務超過であっても利益は出し続ける―ハードルは高いですが、そのようなリスケ企業であれば活用したいスキームです。





H25.8.26
簿記で考えるアベノミクス


簿記で考える「(量的)金融緩和」
 デフレ脱却を狙ったアベノミクスの「3本の矢」のうち「第1の矢」(大胆な金融緩和)が他の施策に先行して進められています。「中小企業には全く関係ないよ!」と言われるかもしれませんが、簿記で考えると「日銀」「市中銀行」「企業」のBSが借方・貸方で繋がっていることがわかります
 企業では「預金」というのは資産(借方)ですが、銀行では「預金」は負債(貸方)の位置づけになります。銀行の負債(貸方)を増やして資金を民間に流していこうとする施策が「(量的)金融緩和」となります。

第一の「蛇口」:日銀の貸方(負債)
 日本銀行が供給する通貨のことを「マネタリーベース」といいます。
マネタリーベース=日銀券発行高(C+V)+貨幣流通量+日銀当座預金(RB)
 日銀はお札を発行していますが、硬貨は政府が発行していますので、上記算式のうち貨幣流通量以外の「日銀券発行高」と「日銀当座預金」は日銀がコントロールできる数字です。日銀は国債(資産)を市場購入する等して日銀当座預金(負債)を増やし、市中銀行に資金を回すことで、「マネタリーベース」を今後2年間で倍増させる予定です(H24末138兆円→H26末270兆円)。

第二の「蛇口」:市中銀行の貸方(負債)
 ただ日銀が資金を銀行に供給しても、民間に回らなければ意味がありません。「銀行を除く民間が保有する現預金の合計」を「マネーストック」といいます。これは民間の現預金を直接カウントする訳ではなく、市中銀行の貸方数値等に着目します。
マネーストック=(現金通貨−銀行保有の現金(V))+市中銀行預金(D)
 また、マネータリーベースとマネーストックの関係(波及効果)は次のように示されます。
マネーストック=マネタリーベース×貨幣乗数(信用乗数)
 バブル時には、この貨幣乗数は13前後と高かったのですが、デフレ経済下では資金需要が少なく、25年5月の貨幣乗数は7.2です。その意味ではアベノミクスの「第2の矢」(財政政策)、「第3の矢」(成長戦略)も金融緩和策の成否の大事な鍵になります。





H25.8.23
育児休業中の保険料免除


育児休業中の社会保険料
 育児休業は養育する子が満1歳になるまで原則1回取得する事が出来ます。父母が交代で育休を取るパパママ育休は1歳2ヶ月、保育所の入所申し込みをして入所できなかった時や子の養育を行う配偶者がやむを得ない事情で養育できない等は1歳6カ月まで延長できる事となっています。育児休業中の保険料は労使とも免除となります。男性の場合は配偶者の出産日以降が対象ですが女性の場合は産後8週間を過ぎてからが対象となります。免除の届出は「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を健保組合か年金事務所に提出します。

届出の時期はいつ?
 この届出は申し出に係る休業をする前あるいは休業をしている間で下記の其々の時に事業主を通じて行わなくてはなりません。
@1歳に満たない子を養育する為の育児休業の場合は休業開始の1か月前までに行います。
A1歳から1歳6カ月に達するまでの子を養育する為の育児休業はその2週間前までに行います。
B1歳又は1歳6カ月から満3歳までに達するまでの子を養育する為の育児休業の制度に準ずる措置を取る場合の休業はAと同様です。(但し配偶者の死亡・疾病・負傷等特別な事情の時は休業開始前1週間前まで)このBの取り扱いは短時間勤務等に代えて行う任意の育児休業延長措置とも言えます。

手続は速やかに
 本人が休業していて手続が遅れる場合もあるかも知れませんが、遡りの取得は原則出来ない事となっています。事前申請で確実に届出をするようにしましょう。育児休業を終了して復帰してから提出しても認められませんので注意をして下さい。
 保険料の徴収が免除される期間は育児休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までとなります。免除期間中も被保険者資格は続きます。保険給付は育児休業取得直前の標準報酬月額が用いられ将来の年金もその額で計算されます。尚、育児休業を当初の予定より延ばす場合には延長の届出を、予定より早く終了した時は終了届が必要です。





H25.8.22
相続税の葬式費用の取扱い
告別式を2回に分けて行った場合

相続税の葬式費用の取扱い
 最近書店では「エンディングノート」や「遺言書の書き方」などの書籍が目につきます。相続の話題ばかりでなく、葬儀やお墓、お寺の情報やマナー等にも関心が高いようです。近年の傾向としては、「直葬」「家族葬」などこぢんまりとした葬儀も増えているそうで、付き合いが希薄となった時勢やライフスタイルの多様化を反映しているのかもしれません。
 相続税では葬式費用は日本の慣習上、必然的に発生するものであり、国民感情も考慮して相続税の課税価格から控除することとされています。ただし、その控除の範囲は故人を弔うセレモニーの費用に限られ、追善供養にための営まれるもの(例 初七日法会)の控除は認められておりません。

告別式を2回に分けて行った場合
 とはいえ「お葬式」は、宗教や地域的習慣によりその様式が異なるため、何が葬式費用であるかの判定が極めて難しいケースがあります。個々に社会通念に即して判断すべきところですが、名古屋国税局の文書回答事例「告別式を2回に分けて行った場合の相続税の葬式費用の取扱いについて」(H22)が国税庁HPに掲載されています。
 この事例では、故人の亡くなられたA市と、親族や幼馴染みに見送ってもらうため、故人が生まれてから就職まで過ごしたB市の2箇所で告別式を行ったというものです。
【日程】
 H22.3.□ A市で通夜
 H22.3.△ A市で告別式(式の後、火葬)
 H22.3.△+4日 B市で告別式
 H22.5.○ 納骨
 この2回の告別式の費用とも相続税の課税価格から控除することができるのか―というのが照会の趣旨です。
 国税はこの事例に関しては、両方とも控除できると判断しました。A市の告別式が「死者を弔う儀式」であることは勿論のこと、B市の告別式も、参列が困難な知人等の便宜を考慮して、遺族の意思により別途行われたもので、内容も遺影・遺骨を祭り、読経・焼香を行った死者を弔う儀式であり、追善供養のための法会(法事)ではない―との見解を示しました。経緯・内容・金額をみての総合判断のようです。





H25.8.21
限定正社員とはどんな制度か


 最近、政府が論議している限定正社員とはどのような制度でしょうか。政府の産業競争力会議や規制改革会議でルールの整備が提案されています。アベノミクスの経済政策の1つでもあります。

正社員との違い
 普通の正社員は、転勤や残業や職種の変更を受け入れる事を前提にしていますが限定正社員とは勤務地、職種、労働時間等を限定した社員を指します。派遣社員やパートタイマー等の期間限定とは違い無期雇用であり、待遇は一般的には有期雇用よりは良いが、賃金面では正社員より低いというケースが多いでしょう。すでに銀行や小売業で大企業の半数が導入しています。勤務地限定無しは総合職の正社員で限定有は一般職と言う雇用形態で導入されている企業も多く、一般職は女性で勤務地は限定され、待遇は総合職より賃金が低いというケースは良くあることです。

労働者と会社の合意で成立する限定正社員
 転勤や時間外勤務が無い限定正社員は子育てや介護と両立がし易く、仕事も同じなら専門性も高めやすいという面もあります。正社員であっても一時期は限定が良いと言う場合もあるでしょうし、限定で入っても勤務が可能になったら正社員に移ると言う場合もあるでしょう。各々のライフスタイルで移れる柔軟な制度があっても良いのかもしれません。
 政府の趣旨は、非正規で働く有期雇用の人達の雇用安定を計るため、あるいは女性の子育て期の離職率を下げるたり、家族介護もし易い為等の考えがあります。しかし経営側から見ると良い人材には残って欲しい半面、無期雇用にする事は人件費の面で二の足を踏む経営者も少なくありません。

限定正社員は解雇しやすいのか
 もうひとつの側面、その限定された職種や勤務地での雇用継続が困難な場合には解雇が容易になるのかと言う問題があります。
 例えばある事業所で非正規社員を限定社員にした後、経営環境が悪化して事業所閉鎖をした場合、勤務場所を限定していれば正社員よりは解雇し易いでしょう。こうなると正社員を限定にして事業所閉鎖で解雇をし易くすると言う考え方も出てきて、権利の濫用と扱われるかもしれません。今後の動向に注目して行く事が必要でしょう。






H25.8.20
パートさんの給料の払い方

パートさんにやる気を持ってもらうには
 パ−トタイマーの方は時間給で限られた時間をこつこつと真面目に働いてくれる方が多いと思いますが、募集しても思うように集まらなかったり、すぐ辞めてしまったりと採用側の悩みもあります。パートさんの特性や税法上の制限等も考慮しながら、普通の方を採用し、真面目にコツコツと働いてもらうにはどうしたらよいでしょうか。

時給は一本化が適当
 時給は職安などで業務により公表されています。応募者はその業務のどのレベルの人が欲しいかにより応募者層が決まってきます。
@募集する時は時給に幅を持たせず判り易く時給は一本化する方がよいでしょう。経験や能力で時給に幅を持たせると言っても面接だけで見極めるのは難しい為、普通の能力のある人を採用する考え方で時給を決めて募集する方が求める人を決めやすいと思います。
A設定した時給に合う人を採用すればよく、時給に幅を持たせると、数人同時採用となった時には低い人が「なぜ自分は」と不信感を持たれてしまう事があります。
B普通の仕事の賃金目安は最低賃金にプラス100円程度でしょう。この額であれば普通の人が応募してくれるでしょう。もちろん地域により物価の高い都市部ではプラス150円、200円と言う場合もあるでしょう。

しばらくは定期昇給を行う
C採用時の時給がいくらであってもその後の昇給が無いとモチベーションが下がるので毎年10円でもアップした方がやる気が続きます。毎日の買い物の細かい金額のやりくりを頑張っている主婦の方には励みになるものです。
Dパートさんの時給は勤続年数で決める方が一番もめないと言えるかもしれません。入社の順番は誰もが知っている事だからです。もちろん途中、仕事内容が変わったというような時は話し合いの上、再考する必要はあるでしょう。
E年収制限の問題は当然考慮しなければならない事項でしょう。税法上の年収制限内で働きたいと言う希望ならば年末の忙しい時期に休まれない様に勤務時間は前もって休ませて減らしておくようにしておくべきでしょう。






H25.8.19
未払給与の受領辞退と
課税関係及び復旧処理


債務免除にかかる原則規定
 過去に発生した未払金について相手側から受領辞退等の債権放棄の申し出を受けた場合はその時にこちら側法人の処理としては債務免除益を計上することになります。
 この債権放棄が、給与等その他の源泉徴収の対象となるものである場合には、その債務免除を受けた側はその時に支払いをしたものとして所得税の源泉徴収をしなければなりません。
 また、支払確定した日から1年を経過した日においてなお未払いになっている配当等又は利益処分の賞与等については、その日に支払いがあったものとみなして、所得税の源泉徴収をすることになっています。

原則通りにしなくてもよい場合
 次に掲げるような特殊な事情の下において、役員給与その他の源泉徴収の対象となる債権を役員等が放棄した場合には、その放棄により支払われないこととなった部分については、源泉徴収しないことになっています。
(1)給与を支払うべき法人が特別清算開始、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始などの決定を受けた場合
(2)その法人が事業不振のため会社整理の状態に陥り、債権者集会等の協議決定により債務の切捨てを行った場合
(3)その法人の債務超過の状態が相当期間継続しその給与支払いをすることができないと認められる場合

特殊な事情の場合の課税処理の清算
 源泉徴収不要となった場合には、支払法人側は事後の源泉徴収をしないだけで、徴収済分が過誤納となるものではありません。
 ただし、債権放棄者にとって、過去の年分の所得が消滅することにより、納付すべき税額に変更が生じる場合には、課税減額の更正の請求をすることになります。1年経過時に所得税が源泉徴収されていたような場合には、源泉徴収所得税の還付を受けることになります。

課税済みの場合の事後処理
 通常の給与や賞与について未払状態が続いている間は、所得税が源泉徴収されることはないので、給与所得しかない者の債権放棄の場合には、所得税については、特に何の手続きもしないで済みます。
 しかし、住民税については未払いかどうかにかかわらず納税通知書が送られてきて賦課課税されてしまいますので、更正の請求により、過去の課税処置の訂正を要求する必要があります。





H25.8.9
段取り上手

 “段取り”とは、ある計画を完遂するために、何をどのような順序で行うか、準備することを言いますが、特にチームワークで完遂しなければならない仕事では、“段取り”の巧拙がプロセスの効率に大きく影響します。

段取りの定石
 チームとして“段取り上手”になるには、多くの場合、次の「定石」に従って準備するのが効果的と言えます。
[段取りの定石]
1.計画のゴールの姿を、誰が、何を、いつ、どれだけ(数値、または具体的なレベル)で達成するか、鮮明に記述する。
2.計画のスタートからゴールまでの作業を ゴールから逆算して具体的にリストアップする。これを「作業のブレイクダウン」と言い、計画の期間・規模などによって週単位・日単位・時間単位などブレイクダウン単位を決めて記述する。
3.スタートからゴールまでの作業の順序付けを行う。多くの場合、単線の順序ではなく、役割分担などにより、並行して同時に実行する複線的な順序関係が生まれる。通常、計画を理解、共有するための関係者全員のミーティングを最初に着手する作業とし、全ての作業が完了したことを確認し合うミーティングを最終作業として、その間を多数の作業の前後関係でつないで表現する。

“段取り上手”のコツと効果
 チームとして段取り上手になる進め方には次のようなコツがあります。
1.「ゴール」は、必ず全員で確認し合う。
2.「作業のブレイクダウン」は、まとめ役を中心として、チームメンバーが相談しながら進め、役割分担がある場合は分担ごとに検討してもらい、作業名を「紙切れ」に記述する。
3.作業の前後関係検討は、「紙切れ」を「横軸を時期で区分した模造紙」上に広げ、マッチ棒等前後関係を示しやすい小道具を使って、チームメンバー全員で、議論し、試行錯誤しながら合意しつつ進める。
 このようなアナログ的進め方は、有能なメンバーが一人で計画案を作る場合と比べて、少し時間はかかりますが、実行時の自分達の役割認識と自主的協力度合い等チームの活動効率がおおいに高まり、ゴール到達へ向けたリーダーシップが発揮しやすくなります。





H25.8.8
パートタイマーと社会保険加入

パートで働く場合の収入限度
 パートタイマーで働く妻は夫の被扶養者となっている場合、労働時間や収入を気にかけて扶養の範囲内で働く事を考えている方が多いかもしれません。その年収の限度額は103万円以下の所得税の配偶者控除、130万円未満の健康保険の被扶養者であり、130万円以上になると労働時間も関係ありますが、原則として本人の職場で健康保険と厚生年金に加入する事となります。当然会社も本人も社会保険料を負担する事になります。しかも実質手取りは加入前より減ってしまう場合もあります。

会社として良かれと思っても
 企業の中にはパートタイマーの方にもっと能力発揮をしてもらいたい、活躍してもらいたいと労働時間を気にしないで働ける労働環境を作り、保険料分の賃金を上乗せし社会保険加入をさせ、人件費が増える事をマイナスばかりではないと考える企業もあります。ただ、本人からみると130万円を超え、社会保険加入をした時に夫との収入を合算した世帯の手取り収入も考える必要がありそうです。

実質収入はどうなるのか
 年収130万円の場合、社会保険料の健康保険料率は標準報酬月額の9.97%(都道府県で異なる)、介護保険料率(40歳以上)は1.55%、厚生年金保険料率16.766%の半分の自己負担額を考えると概算で年186,684円です。
 又、夫の会社が配偶者控除を受けられる妻、又は健康保険の被扶養者である妻に対し、給料で家族手当(会社により異なるが、1万円〜3万円程度が多い)を支給している場合、手当が受けられなくなる事もあります。ですから夫の実質収入減(所得税アップと家族手当の減)があると130万円を少し超えただけでは世帯収入の手取りはかえって減ってしまうかもしれません。

130万円の壁を取り払って働くならば
 一概には言えませんがおおよそ年収160万円以上位にはならないと収入面から見て加入のメリットが少ないという事になるでしょう。もちろん色々な考え方がありますのでパートの方を皆同じ扱いにする事はないと思います。会社側にも都合はありますが、パートの方の各々の事情に合わせた働き方をしてもらうと言う事になるでしょう。





H25.8.7
今年の税制改正
相続税法における国籍ルール改正


 相続税・贈与税に関する国籍ルールの二度目の改正が今年ありました。

一度目の国籍ルール改正
 日本の非居住者が相続贈与により国外財産を取得した場合は、日本で課税できないことになっていたころ、子を贈与税の受贈者課税のない外国に転居させ、日本非居住者にして、国外に移した財産を非課税で贈与する、という手法が富裕層の間で流行しました。極めつけが平成11年の武富士株式1600億円の無税贈与でした。
 この武富士事件発生年の翌年に、一度目の国籍ルール改正として、相続贈与前5年以内に相続人・被相続人・贈与者・受贈者の何れかの者が日本国内に住所を有していたならば、日本国籍者については、取得した全財産につき相続税や贈与税の納税義務を課すとしました。

二度目の国籍ルール改正
 二度目の改正の内容は、相続贈与による財産取得者がたとえ非日本国籍者で日本非居住者だったとしても、被相続人・贈与者が日本国居住者だったら、取得した全財産につき相続税・贈与税の納税義務を課すとしました。
 この改正の動機も、日本国籍を持たないことによる贈与税回避の事例が生じたことに拠ります。

動機の事例は渡米出産米国籍取得
 親は渡米して出産し、子は在米出産として米国籍を取得し、在米中の生後約8か月の時(平成16年8月)に、祖父である日本の居住者から、アメリカ国債500万ドルが米国ニュージャージー州の信託財産として引き渡されたというもので、すでに、地裁で納税者勝訴(平成23年3月23日言渡)、高裁で納税者敗訴(平成25年4月3日言渡)を経て、現在は最高裁に上告中です。

高裁敗訴を予測しての税法改正なのに
 税務署側は、贈与を受けた生後約8か月の乳児の生活の本拠は、現実に在米中の場所ではなく、養育している両親の生活の本拠地の日本と判定すべき、と主張しました。
地裁判決ではこの主張は受け容れられませんでしたが、高裁では受け容れられて、納税者逆転敗訴となりました。
 国籍ルール改正タイミングが遅かったのは、改正後法律の遡及適用との議論を避けたかったからだとすると、国税側は高裁敗訴・納税者勝訴確定を予想していたのかもしれません。





H25.8.6
キーワード体系図


 “キーワード”とは文章中で特に重要な意味を持つ言葉、特定の問題を解く鍵(キー)となる有用な言葉を言い、“キーワード体系図”は、あるテーマを解決する原因と結果、全体と部分などの論理構成を複数のキーワードの連鎖で表した図を言います。
 例えば、「A商品の改良」と言うテーマについて、問題・原因調査・対策検討・改善の結果を次のように“キーワード体系図”で表すことができます。 

 実務では、 “キーワード体系図”の作成目的は極めて多様で、この例示よりキーワードが増え、さらに複雑な関係を表現することが多くなるでしょう。

“キーワード体系図”の特色
 ビジネスでは、“キーワード体系図”のような重要な意味や内容が分かり易い実用性の高い表現、言い換えれば「見える化効果」が、コミュニケーションスピードを上げ、理解、合意形成や課題解決を促進します
これに対して物事を文章で表現すると、曖昧性をもつ形容詞や普通名詞が多用されることが多く、それらが必要以上の解釈を生み、固有名詞や数詞で表されている重要な意味を持つ言葉を薄めてしまい、また用語の関係が明示されていないため、文脈から意味を読み取ることが必要になります。

“キーワード体系図”の用途
 重要な問題解決にあたって、次のように使うと便利です。
@ 問題や解決策について関係者間の共通理解、判断の一致や合意形成を図る。
A 折衝など、説得が必要な場合に、相手の
出方を見て、リアルタイムに対応し、有利に当方が得たい結論へ誘導するための手元資料
B ビジネスに関する法体系など複雑、多様な論理体系・ポイントを分かり易く表現し、使いやすくする。(特に資格試験などの関係法暗記には便利)





H25.8.5
小規模企業共済
掛金を承継した場合の課税

 小規模企業共済制度は、個人事業主や小規模な会社等の役員が事業をやめたり退職等をした場合に、生活の安定や事業の再建を図る資金をあらかじめ準備しておくもので、いわば経営者の退職金制度です。
 この共済制度は、昭和40年から存続する制度で、掛金の全額を所得控除の対象となり、もっともオーソドックスな節税商品とし多くの事業主の方に利用されています。                    

一時金を受け取る場合
 共済契約者(掛金を負担した人)が亡くなり、遺族が共済金を一時金で受け取る場合、その課税関係はどうなるか、です。
 所得税は全額非課税です。一方、相続税法では、共済金は死亡退職金として取り扱われ、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、500万円×法定相続人の金額まで非課税となります。

掛金を承継した場合
 なお、一時金の請求に代えて、相続人が共済契約者である被相続人の事業を相続し、契約者の掛金及び納付月数の承継通算をすることもできます。
 この場合の課税関係はどうなるか、ですが、明確な取扱いはありませんでした。この点について、過日、東京国税局より文書回答が公表されました。
 それによると、一時金に関する権利(共済金を請求する権利「受給権」)は、@みなし相続財産として相続税の課税対象になる、A当該受給権は、相続税法に規定する退職手当金等に含まれる、B一定金額(500万円×法定相続人の数)は相続税の課税価格に算入されず非課税財産となる、C当該受給権の評価は、相続開始時に本件一時金の支給を請求した場合に受け取ることができる額、というもので、一時金の支給と同様な取扱内容となっています。

共済金の受け取り順位
 共済契約者が亡くなった場合の共済受給権の受け取り順位は、一般の相続財産におけるものとは少し異なり、小規模企業共済法で定められていますので、留意が必要です。具体的な受給権の順位は、次のようになっています。
 第1順位は配偶者(内縁関係者も含む)で、第2順位以下は共済者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持していた方で子、父母、孫等と続き、そして、次に、共済契約者の収入によって生計を維持していなかった方で子、父母、孫等の順位となっています。





H25.8.2
役 員 給 与
二重基準による判定か

事前確定届出給与とは
 法人税法では、利益調整を排除する観点から、役員給与の内、原則、定期同額の給与以外は損金算入が認められていません。  
しかし、非上場会社等にあっては、臨時的な給与であっても、「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」を税務署に届け出ることによって、その届出に従った支給額は損金算入ができます。この役員給与が事前確定届出給与です。

届出どおり支給されなかった場合
 例えば、9月決算法人で、X0年12月に300万円、XT年6月に300万円を支給する旨の届出を提出しておきながら、6月分につき、業績悪化等の理由以外で100万円のみ支給となった場合、損金不算入となる金額はどう判定されるか、です。
 この争点につき、同種の裁判ですが、届出と異なる6月分の支給のみならず所定どおり支給した12月分の300万円までもが損金にならないと判示しています。
 理由は、役員の職務執行期間は、株主総会の翌日から翌年の株主総会までであり、その職務執行期間の全期間を一個の単位として判定すべきであり、当該期間において支給されたすべてが定めどおりに支給されていなければならない、とするものです。

職務執行期間が同じでも異なる取扱い
上記事案のケースを3月決算法人で解説している国税庁の質疑事例集では、6月分は翌事業年度のものであり当該支給額のみが損金不算入であり、12月の支給額は定めどおり支給しているので損金算入となる、というものです。
 このようは国税庁の解釈では、同じ職務執行期間であっても事業年度が異なることによって、課税上、不合理な取り扱を受けることになり、また、裁判所がいう、役員の職務執行期間を一個の単位として判定するのであれば、事業年度が異なろうが本来同じ取扱いをしなければ、公平な課税関係を導くことができません。

事業年度単位か職務執行期間単位か
 法律は、「その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与」と規定しているにすぎず、また、法律には「職務執行期間」という規定はありません。従って、届出どおり支給したものまで損金不算入することの合理的理由は見当たりません。
さらに、役員給与でも定期同額は事業年度単位で、一方、事前確定届出給与は職務執行期間単位で判定、これでは整合性に欠ける取扱いと思料します。





H25.8.1
外国人雇用
在留期間の更新不許可と会社の対応

外国人従業員と在留期間の更新許可
日本に滞在する外国人の方は、永住の許可を取っていない限り、基本的に数か月〜数年間の滞在期限が決められています。この日本で適法に滞在できる期間を「在留期間」と言い、許可された在留期間を超えて日本に滞在したい場合には満了前に更新許可申請を行わなくてはなりません。
 在留期間の更新は「更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り」許可するとされています(出入国管理及び難民認定法第21条3項)。前回の申請時と何ら変わりなく日本で活動しているのであれば、さほど更新の申請について神経質になる必要はありませんが、その外国人本人の生活状況をはじめ、企業側の事情変更等に影響され、在留期間の更新は必ず許可されるものではないということは気に留めておくべきと言えます。

もしも不許可になってしまったら…
更新許可申請を不許可とする通知書が来てしまった場合、まずは不許可の理由を明確にします。不許可通知書には、不許可となった「理由」と「根拠となる事実」が記載されていますが、数行書いてある程度で、具体的に何が原因で不許可となったのかを読み取ることは困難です。不許可通知書と身分証、申請した書類の控え等を持参の上、管轄する入国管理局で理由を確認します。

再申請できる可能性も
 不許可の理由が入国管理局の誤解によるものや立証書類の不足によるもの、あるいは今後解決の見込みがあるものなどであれば、それらを払しょくする資料を集め再申請できる可能性も十分にあります。しかし、在留期間まで余裕がなければこうした対応も難しくなりますので、日ごろから企業側が外国人従業員の在留期間について把握し、余裕を持って申請するよう促すことが良い予防策となります。
 不許可処分となり、在留期限を超えて日本へ留まることはできませんので、もし再申請ができるだけの状況へ運ぶことができない場合には、残念ながら企業としては帰国するよう促すほかありません。在留期限を超え雇用し続けることは、不法就労助長罪に当たります。再度その外国人を雇用したいのであれば、まず一度帰国するよう指導し、条件を整えた上で、改めて呼び寄せの手続きを行います。