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H26.7.31
H26の延滞税・利子税・還付加算金
特例基準割合は1.9%

平成26年の特例基準割合は1.9%
 平成26年1月1日以後の期間に対応する延滞税・利子税・還付加算金については、現在の低金利の状況を踏まえ、事業者の負担を軽減する観点から、見直しが行われています。
 平成25年以前の延滞税の割合は、次のように規定されていました。
納期限後2カ月超の期間 年14.6%
納期限後2カ月以内の期間 次のいずれか少ない割合
@年7.3%
A特例基準割合(注)
(注) いわゆる公定歩合+4%

 平成25年の税制改正では、「特例基準割合」の考え方を「国内銀行の貸出約定平均金利(新規・短期)+1%」に改めるとともに、延滞税の割合の計算を次のように変更しています。
納期限後2カ月超の期間 次のいずれか少ない割合
@年14.6%
A特例基準割合+7.3%
納期限後2カ月以内の期間 次のいずれか少ない割合
@年7.3%
A特例基準割合+1%
 改正後の平成26年における「特例基準割合」は年1.9%となりますので、2カ月を超える期間の延滞税は年9.2%、2カ月以内の期間の延滞税は年2.9%ということになります。また、利子税や還付加算金の割合は「年7.3%」と「特例基準割合」のいずれか少ない割合となりますので、年1.9%ということになります。

「貸出約定平均金利」採用の理由
 年利14.6%は日歩4銭、年利7.3%は日歩2銭を表しているのですが、今回の改正の「国内銀行の貸出約定平均金利(新規・短期)」はどのような発想から採用されたものなのでしょうか。これは、「政府契約の支払い遅延防止等に関する法律」の遅延利息の基準としているものだそうです。「政府契約」とは国等を当事者の一方とする契約です。この法律は、終戦直後の国と民間業者との間の取引が、対等な立場で物の注文・売買を行うという観念に乏しく、国側の支払遅延がよくあったため作られたそうです。現在でも、公共工事などの建設工事標準請負契約等の約款の遅延利息、損害金、利息の基礎利率として用いられています。





H26.7.30
気をつけたい相続発生時の税務
不動産の遺産分割が未了の場合


固都税は「相続人代表者指定届出」を提出
 亡くなられた方が有していた不動産の所有権は、遺産分割協議が成立するまでの間は定まりません。法務局の登記簿上は亡くなられた方の氏名のままで、相続の権利がある方全員が所有者という状態(共有)になります。その期間の不動産に対する固定資産税・都市計画税の納税については、市役所に「相続人代表者指定届出」を提出することで、市役所との対応窓口となる相続人の代表者を定めることとなります。遺産分割協議が成立し、相続登記が済めば、新たな所有者の方に納付書が送付されます。

未分割遺産の不動産所得(所得税)
 未分割の不動産が賃貸物件の場合には、遺産分割協議が調うまでの間も、賃貸収益が生ずることとなります。この間に生ずる賃貸収益については、その物件が共有状態であることから、共同相続人の法定相続分に応じて申告することになります。なお、遺産分割協議が調い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼすものではありませんので、分割協議で確定した所有状況に基づく更正の請求等を行うことはできません。

消費税の「基準期間における課税売上高」
 相続開始年の消費税についても、この法定相続分に応じたテナント収入・駐車場収入が課税売上高となります。なお、遺産分割協議が調った後に、新たな所有者の方が、この共有期間を「基準期間における課税売上高」として納税義務を判定する場合でも、この法定相続分に応じた「基準期間における課税売上高」で判定を行います。

相続税の申告期限までに分割できない場合
 この未分割の状態が、相続税の申告期限(亡くなられた日から10カ月以内)まで続いている場合でも、税務署は待ってはくれません。この場合、各相続人の財産を法定相続分に応じて取得したものとして計算を行い申告することになりますが、共有状態のままでは、「小規模宅地等の課税価格の特例」の適用を受けることができません。ただし、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができる措置が設けられていますので、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出することになります。





H26.7.29
目標管理が陥る誤り

 今日、約80%の企業が目標管理制度を実施していますが、そのプロセスでは、目標設定時には想定していなかった事態が生じるなど問題がよく起こります。

プロセス管理でよくある誤り
 管理者のプロセス管理の視点が、「評価の納得性」に置かれる結果、「部下が目標達成のために、どのような努力をしたのか、それはどの程度の評価に値するのか」という点を意識しがちになります。
 しかし、目標管理制度の本来の目的は「経営目標をブレークダウンして組織や個人の目標を設定し、それを達成する業績管理を行うこと」にあるのですから、中間面談などプロセス管理では、
@ どのような目標達成阻害要因が生じたのか、または予想外の成功要因が出現したのか(事実状況の確認)
A 阻害要因の排除、または成功要因の活用によって、業績目標の達成を図り、場合によっては当初の目標を大きく超える業績をあげるにはどのような対策が必要か(的確な対策の検討と決断)
B その対策をスピーディーに実行するには、どうしたらよいか(対策の実行)
という点を重視すべきであり、納得性が高い評価はその後に自ずからなされるものなのです。

何故誤りが起きるのか
 管理者がプロセス管理で、評価の視点を意識し過ぎるのは、経営者または人事責任者が「目標管理制度を業績評価の手段として使おう。そうすれば納得性が高い評価ができる」と考えた時から始まっています。
 したがって、制度運用マニュアルの中間面談実施要領では“目標達成プロセスでの事実状況に注目した納得が得られる評価に重点を置いてチェックすること”が記載されており、考課者訓練でもそのように指導されているケースが多いようです。

トップ・人事責任者の留意点
 目標管理制度の本来の目的を再確認し、管理者による中間面談や日常のフォローアップが、「評価の視点」に偏り過ぎていないか、「プロセスの管理で最重要な目標達成の阻害要因や成功要因の発見と対策に向けられているか」をチェックし、誤りがあれば、正しいプロセス管理のあり方を管理者に要請、指導すべきです。





H26.7.28
年金・物価下落でも給付抑制

制度維持のため、年金削減の方向性
 厚労省は、公的年金の給付水準を物価動向にかかわらず毎年抑制する仕組みを来年度から導入する方針を発表しました。現行のルールではデフレ下では年金を削減できない仕組みになっています。最近は増税を背景に物価が上昇しているので現状でも年金額の抑制はされます。しかし今後、物価上昇率が低い時に給付を抑制できない現行制度のままでは給付額を抑えられないので、年金制度維持のためには毎年の抑制が必要になると試算をしています。

マクロ経済スライド発動
 年金制度の運営方法は賦課方式と積み立て方式があり、公的年金は賦課方式でその時々に必要な費用を現役世代が払った保険料で賄います。多くの国が採用している方式ですが高齢者が増え現役が少ない人口構成では将来受け取る年金額が減るということになります。積み立て方式は債券、株などに投資して増やす方式で企業年金等が採用していますが、経済の影響を受けやすく、運用がうまくいかないと積立額は減り、年金額も減ります。
 年金額は物価の変動に合わせて毎年の給付を調整する物価スライドと年金の増加を物価の伸びより抑えて給付を減額するマクロ経済スライドという方式があります。 2004年にマクロ経済スライドを導入したものの、今まではデフレ下で使えない状況であったため発動されていませんでした。今回、物価上昇を受け2015年度からこの方式を発動し、そして毎年0.9%を削減する方向で検討をしています。

受給者にも負担を求める
 公的年金の財政検証では約30年後の会社員の年金水準は現役世代の50%を割り込む事もあるといいます(現在は60%程度)。現役世代の保険料は毎年労使で0.354%ずつ引き上げられています。年金額を抑制し、受給者にも負担を求めるという事になります。世代間格差の原因は現在の受取額が想定よりも多くなったのでそのつけを現役が払う事になるというのですが、「そんな事いわれてもね」と思う方も多いでしょう。
 しかし、年金財政の健全化は長期にわたり行っていく必要があり、不信感から現役が消費より貯蓄に走ると経済は沈みがちになるという問題もはらんでいます。





H26.7.25
消費税の経理処理
保険料は全額非課税?


保険料と代理店手数料
ライフネット生命が保険料と保険代理店の代理店手数料を公表し、保険業界に波紋が広がっております。従来、保険業界では保険料と代理店手数料を公表することはなく、全てを保険料としてきました。しかし、中立で適切な保険を勧めていることを売りにしてきた乗合代理店(複数の保険会社の代理店をしている比較的大手の代理店)が、手数料の多寡により勧める保険を判断しているのではないか、という疑念は以前よりありました。
ライフネット生命は代理店手数料が他社より安いため、乗合代理店が積極的に取り扱わない現状に業を煮やしての公表でした。

保険料は全額非課税か?
 保険料は万が一の時に「保険金」を支払うという役務の提供を受ける為の金銭の支払ですから、基本的に課税取引となりますが、限定列挙で非課税とすると規定されているため、非課税取引とされております。 しかし保険料の中身は保険金の支払い等に充てる保険料と、保険代理店の代理店手数料とで構成されております。保険代理店の代理店手数料は課税取引ですが、現状の多くの保険会社は、保険料と代理店手数料を区分することなく、一括して保険料として契約しているため、課税取引を区分して特定できないということで、支払保険料の全てが非課税取引として処理されております。

従来からの問題と今後の問題
そこで従来から問題となっていたのは、代理店手数料を含む保険料は、全額非課税取引とされ、課税仕入として預かり消費税から控除できないにもかかわらず、保険代理店の売上は、課税売上として消費税を課税している現状は、消費税の2重取りではないのかという指摘でした。
今後、業界として代理店手数料を明らかにするようになると、従来控除できなかった、代理店手数料に係る消費税は、控除できるようになってくると思いますが、 一方、代理店手数料の金額が公表されることにより、同じ保険でも代理店により保険料が異なる等、保険業界の価格競争に混乱が生じるなど、新たな問題が出てくるかもしれません。





H26.7.24
外部使用「3パターン」で違いがある
マンション管理組合の駐車場収入


マンション敷地内駐車場の稼働率が悪い!
 都市部の分譲マンション内に設置した入居者用駐車場の稼働率が低くなっているという話をよく耳にします。元々お住まいであった方が高齢になられてクルマを手放した、ないしは、新しく入居した方がクルマをお持ちでなかった等々の理由があるようですが、ここ数年来、駐車場を数台分余しているというところも多くなっています。

マンション管理組合の駐車場収入と課税
 H24国土交通省は、国税庁に対して「マンション管理組合が区分所有者以外の者へマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定」という文書照会を行っています。マンション管理組合は「組合」という名前は付いていますが、共有を前提とした民法の任意組合ではありません。管理組合の法人化も認められますが、基本的には、税務上「人格のない社団」として取り扱われます。この「人格のない社団」は、収益事業のみに法人税が課され、この「収益事業」の典型例が「駐車場業」。区分所有者に対する貸付けは、共済的事業の付随行為とされ、非収益事業として課税されませんが、空き駐車場の有効利用の問い合わせが増えたことから、区分所有者以外の方への貸付けの取扱いをハッキリしてほしいというのが照会の趣旨のようです。

マンション駐車場の外部使用3パターン
 この照会により、次のような取扱いが明らかとなっています。
【前提】@管理規約で非区分所有者に対する駐車場の外部利用を認めている、Aその駐車場収益はマンション管理費・修繕積立金に充当し、区分所有者に分配しない。
【取扱い】
(ケース1)区分所有者と非区分所有者を問わず募集を行い、条件も差異がない(区分所有者を優先しない)⇒全部収益事業
(ケース2)区分所有者の使用希望がない場合のみ募集し、区分所有者の使用希望があれば早期に明け渡す(区分所有者優先)⇒外部利用のみ収益事業(要区分経理)
(ケース3)原則として区分所有者のみに賃貸し、募集は行わない。非区分所有者からの申出により、ごく短期間の場合のみ外部への貸出しを認める⇒全部非収益事業
 恒常的となった「空き駐車場」を埋めるために、募集をかけて外部貸付けを行う場合には、課税の対象となります。





H26.7.23
入管法の改正と外国人採用

入管法改正で外国人採用にも変化
外国人の方の在留や雇用に関する法律である「出入国管理及び難民認定法」、通称「入管法」について、一部を改正する法律が6月に成立しました。「日本経済の発展に資する外国人の受入れ促進等を目的」とした今回の改正では、外国人を雇用する企業やこれから採用を検討しようとする企業の皆様にとっても関わりの深い内容が多く、一部を除き来年4月にも施行される予定です。本日は、その代表的な改正部分を二つご紹介いたします。

外国人の経営管理活動が日系企業でも
 外国人の方が日本で適法に滞在するためには、滞在の目的別に付与される「在留資格」をどれか一つ持っていなければなりません。この資格の中に、企業の経営や管理を目的とした、いわば社長向けの「投資・経営」と呼ばれる在留資格が存在するのですが、現行法では外資系企業における活動のみに限定されています。また、この在留資格では一部の場合を除き、外国人の方が事業を経営するためには、経営のみでなくその事業に対し投資することも必要とされていました。しかし、今後はこうした企業の経営活動に従事する外国人の受入れを促進するため、日系企業での経営管理活動も許容する他、投資が必ずしも必要ではなくなり、資格の名称も「投資・経営」から「経営・管理」に変更することとなりました。

理系在留資格と文系在留資格の一本化
企業で雇用されている外国人が持つ在留資格は、ほとんどの場合で「技術」又は「人文知識・国際業務」のどちらかに分類されています。前者は理系業務、後者は文系業務を行う場合に付与されているのですが、改正後はこの二つを一本化し、在留資格「技術・人文知識・国際業務」が新設されることになりました。これまで外国人採用を担当されていた人事の方の中には、業務内容が理系か文系か、どちらの在留資格で申請すべきか悩まれた経験を持つ方もいらっしゃるかもしれません。今回の改正により、こうした理系、文系といった知識の単純分割が解消されますので、採用時だけでなく人事異動の際にもより柔軟な対応が期待できそうです。





H26.7.22
成年後見人の選任をしたときの税務
認知症・障害者の方が相続人の場合

相続人に認知症や障害者の方がいる場合
 遺産分割協議には相続人全員の合意が必要です。これは相続人の中に認知症の方や障害者の方がいる場合でも同様です。ただし、その方が意思能力(正しい判断能力)を有していないときは、遺産分割協議は有効に成立しません。このような場合、家庭裁判所に「後見開始の審判」の手続きをとり、成年後見人を選任することとなります。成年後見人は意思能力を欠いた相続人の代理人となり、分割協議に出席し、必要な署名等を行うことになります(一般に、後見
人は、その相続人の不利益にならないように、法定相続分程度の遺産を取得できるよう協議を進めるようです)。

所得税・相続税の障害者控除の適用
 成年後見制度における成年被後見人(家庭裁判所において「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」として後見開始の審判を受けた者)については、H24.8の名古屋国税局文書照会で所得税法上、障害者控除の適用となる「特別障害者」に該当することとされています。また、相続税法上の障害者控除の適用となる「特別障害者」については、所得税法上の障害者控除の対象となる「特別障害者」に該当する者と規定しているため、介護認定が低く、障害者手帳の交付を受けていない方でも、「特別障害者」として所得税・相続税の障害者控除の適用を受けることができます(H26.3東京国税局、文書回答事例)。

「納税管理人の届出」を後見人宛てに
 成年後見制度は「自己の財産の管理・処分」を「することができない(後見相当)」「常に援助が必要である(保佐相当)」「援助が必要である(補助相当)」という判断能力の程度により3種類に分かれています。財産管理委任契約(見守り契約)を締結する場合には、「納税管理人の届出書」を納税地(本人)の所轄税務署に提出し、申告書等の送付先・連絡先を成年後見人宛にすることで、税金関係も後見人に対応してもらうことができます。
 また、成年被後見人・被保佐人は会社法により取締役になることができません。取締役の方に成年後見人が付いた場合には、直ちに役員変更を行わなければなりません。





H26.7.18
H26.6 与党税調 軽減税率導入の論点整理 これは大変! 複数税率の区分経理

与党税調の区分経理案(4方式)
 消費税率を10%に改定する際に検討することとしていた消費税の軽減税率導入の議論が与党・政府税調で始まりました。まず、与党税調から、軽減税率を導入した際に考えうる4パターンの請求書の発行様式(案)が示されています(H26.6)。
A 区分記載請求書方式
B Aに売手に請求書交付義務を追加した方式
C 税額別記請求書方式(事業者番号なし)
D EU型インボイス方式
 これらの案は、大別するとA・Bの「区分記載請求書方式」型とC・Dの「税額別記請求書方式」型の2つに分けられます。

区分記載請求書方式(案)とは
請求書
11月分 10,900円(税込)
11/1 食料品※ 5,400円
11/8 雑貨   5,500円
 合  計  10,900円
(うち10%対象)(5,500円)
(うち8%対象)(5,400円)
※は軽減税率(8%)適用商品
 区分記載請求書は「軽減品目に印を付した上で、税率毎に取引金額を記載した請求書」とされており、商品毎に税額を記載することは求めていません。売手は課税事業者でも、免税事業者でもこの請求書を発行することができます。この方式の事業者側の納税額の計算は、5,500×10/110+5,400×8/108=900円と、「対価」を基礎として計算します。

税額別記請求書方式(案)とは
     請求書   請求書番号
11月分10,000円(本体)消費税900円
11/1 食料品5,000円+税400円(8%)
11/8 雑貨5,000円+税500円(10%)
合計 10,000円(本体)消費税900円
(10%対象 5,000円 消費税400円)
(8%対象 5,000円 消費税500円)
 △△梶@事業者番号
「税額別記請求書」とは「作成者、交付を受ける者、課税資産の譲渡等の内容及び適用税率、適用税率別の対価の額の合計額及びそれに対応する消費税額等が記載された請求書」で、免税事業者である売手はこの請求書を発行できず、その買手も仕入税額は控除できません(Dは事業者番号等を記載しますが、Cは記載しません)。この方式の事業者側の納税額の計算は、記載された税額を直接集計する形となります(900円)。





H26.7.17
配偶者控除見直しの動き

税制調査会で検討される
 安倍内閣は新しい成長戦略の中で子育ての負担を軽くしたり、企業に登用を促したりする女性の社会進出の後押しを進めようとしています。専業主婦等に有利な社会保障制度の見直しの検討を始めました。人口減と高齢化が進む中、労働力確保と質の向上が持続できる社会にするため、女性の労働力率を上げてゆくという観点から長く議論されてきました。配偶者控除の扱いはこれからどのように変わろうとしているのか見てみたいと思います。

配偶者控除の境界103万円の壁
 しばしば出てくる「103万円の壁」とは配偶者(妻)の収入が年103万円以下の世帯で夫の所得税の負担を軽くする仕組みです。妻の年収が103万円以下なら夫の年収から配偶者控除として一律38万円を控除します。妻の年収が103万円超から141万円未満の間であれば配偶者特別控除があり、38万円から3万円の範囲で行われます。
また、多くの企業では夫が配偶者控除を受けられる妻がいる場合に家族手当を支給するところが多いのも現状です。
さらに妻の年収が130万以上になると健康保険の被扶養者と国民年金の3号被保険者からも外れ、妻自身の社会保険料がかかるようになります。就業調整は103万円、130万円の時に行われることが多いといえるのかもしれません。このような制度であると労働時間を抑える就業調整する人が多いといわれています。

見直しが与える影響
配偶者控除に代わるものとして議論されているのが家族控除です。妻の年収にかかわらず、夫婦で76万円を世帯の控除額とする案です。これは今まで配偶者控除を受けていた世帯では負担増になりそうです。制度変更で可処分所得が減れば収入を増やそうともっと働こうとするかもしれません。パートよりフルタイムへ、より高い賃金へと移動するかもしれません。ただし実際は長時間働きたい人ばかりではないでしょう。
現在国民年金の3号被保険者は保険料がかかりませんが2016年10月からは従業員501人以上の企業で、週20時間以上勤務、年収106万円以上の場合は社会保険に加入することになっています。税制と併せて社会保険の動きも見ていく必要があります。





H26.7.16
最近めっきり見かけなくなりました 酒類自販機の設置状況

H25末の自販機509万台・売上5.2兆円
 日本自動販売機工業会によると、H25末の自販機普及台数は、509万4,000台、年間自販金額は5兆2,138億円に上るそうです。この統計の「自販機」には、乗車券・入場券などの「券類販売機」、コインロッカー、両替機の「自動サービス機」が含まれていますが、やはり「自販機」といえば「飲料自販機」。「飲料自販機」の普及台数は259万台で全体の5割、売上は2兆2,251億円で全体の4割を占めています。「飲料自販機」の普及台数は、昨年の記録的猛暑などにより若干増加したものの、コンビニエンスストアとの競合などにより、パーマシン(1台当りの売上)が減少したため、年間自販金額も微減しているとのことです(前年比▲0.2%)。

自販機設置の際に必要な許認可
 清涼飲料を販売する自販機を設置する場合には特に許可は要りませんが、販売する商品によっては、許可が必要なものがあります。カップ式自販機の場合には「食品衛生法に基づく喫茶店営業の許可」、牛乳自販機の場合には「食品衛生法に基づく乳類販売業の許可」、たばこ販売機の場合には「たばこ事業法によるたばこ販売人の許可」、酒類自販機の場合には「酒税法による酒類小売店免許」が必要となります。

酒類自販機はH8の18万台から2.3万台に
 ところで、最近、お酒の自販機をめっきり見かけなくなりました。国税庁HPによれば、H8.3に全国で18万5,829台あった酒類自販機は、H25.4.1現在で2万3,631台に激減しています。これは、購入者の年齢確認ができる「改良型」の自販機導入が契機となっています。H6の中央酒類審議会の報告、全国小売酒販組合中央会の自主決定を受けて、国税庁は、H7に「酒類自動販売機に係る取扱指針」を公表し、年齢確認ができる「改良型」の設置指導を始めました。

「改良型」機に切替えができなかった
 この「改良型」は、各酒店が発行する「酒カード方式」や「運転免許証方式」「インターホン方式(対面確認方式)」があったようですが、どれも普及するに至らず、「改良型」に切替えられることなく、酒類自販機は姿を消していったということのようです。





H26.7.15
目標未達の原因と対策

 目標管理制度で“目標未達”という残念な結果が生じてしまう原因はどこにあるのでしょうか。また、適切な対策としてどのようなことをなすべきでしょうか。
 この問題について、管理者の立場で自らなすべきマネジメントのやり方につい述べます。

“目標未達”二つの原因
 目標達成には、PLAN−DO−SEEのマネジメントサイクルを回すことが不可欠ですが、“目標未達”は、その最終段階・SEEのステップで結果としてわかり、PLAN―DOにはね返そうとしても、すでに手遅れになる、と言うケースが多いようです。
 その代表的な原因は、次の二つに要約されます。
@ PLANのステップで、管理者と担当者が目標そのものについては十分に話し合って、合意、決定したが、その達成手段、スケジュール・進度チェックの時期については話し合わなかった。
A 達成プロセスで目標達成の阻害要因を早く見つけ出し、適切な対策を講ずるための、進度チェックを定期的に行なわなかったため、阻害要因が放置されていた。
 つまり、“目標未達”のマネジメント上の原因は、目標そのものが適切であったとすれば、管理者自らがPLAN−DOのステップで引き起こした失策であると言えます。

マネジメントの改善策
 そこで、二つの原因について対策を述べますと次の通りとなります。
@ PLANの段階で、設定した目標をどのような手段で達成するか、担当者の現在の知識・技術など保有能力で不足する点はないか、不足点は本人の努力で解決可能か、不可能な場合は管理者が能力開発の機会を与えるなど支援する具体策を検討し、スケジュールの早い時期に解決する計画とする。また、スケジュールに沿って(重要な目標は、毎月定期的に)進捗状況をレビューすることを約束する。
A DOの中間における定期的なレビュー、または必要に応じて進捗状況を確認し、阻害要因を早期に発見し、排除する。
 このような、当然のマネジメント努力が
“目標未達”の未然防止策となります。





H26.7.14
戻るの?戻らないの? 粉飾決算で納付した法人税


粉飾決算で納付した税金は戻るのか?
 今年も、個人学習塾大手の「リソー教育」、ゲームソフト制作会社「インデックス」と粉飾決算の報道が絶えません。皆さん、このようなニュースを耳にするたびに、次のように思わないでしょうか?―「粉飾決算で過大に計上した利益に対する法人税は戻ってくるのかしら?」と。
 粉飾決算は会社法上も適法でなく、企業会計の基準にも反するものです。いくら税金を納め過ぎの状態でも、「更正の請求をしても戻ってくるのかな?」と思うのは分からなくもありません。

税務署が「減額更正をしないことができる」
 結論を申し上げますと、税金(法人税)は戻ってきます。ただし、税法もさすがに不正のものに対しては、簡単に税金を戻してくれません。納税額が過大である場合には、税務署長は税額を更正して、その過納額を還付するというのが通常の流れですが、仮装経理(粉飾決算等)による過納額の場合には、税務署長は、その会社が「修正の経理」(判例では前期損益修正損等を計上)を行った事業年度の確定申告書を提出するまでの間は、減額更正をしないことができるという法人税法の規定があります。「架空売上を会計上直してから、税金は考えてあげるよ」ということなのです。

更正事業年度から5年間は税額控除
 また、「修正の経理」を行って、更正の請求を行えば、すぐに、その過納額の全額を戻してくれるというわけではありません。更正事業年度開始の日から5年間は、その各事業年度の法人税額が順次控除する形になります。ただし、粉飾決算の発覚により、経営が傾き、会社を解散する場合、会社更正法の更正手続開始などがあった場合には、税額控除しきれなかった金額は還付されることになります。

過年度遡及会計と「修正の経理」の関係は?
 大手の会社では「過年度遡及会計」を採用している場合があります。この場合、過去の誤謬の訂正による影響額は、株主資本変動計算書の期首の繰越利益剰余金と貸借対照表の資産・負債で訂正してしまうので、過年度修正の前期損益修正損などは損益計算書の特別損益には計上されませんが、この場合も「修正の経理」として取り扱われることになります。





H26.7.11
消費税の経理処理
消費税の差額処理

税率変更には訂正がつきもの?
 4月に消費税が5%から8%に増税されてしばらくたちますが、未だに時々消費税の訂正処理を見受けます。
原則的処理
 経理処理の原則は、取引内容がわかるように処理しますから、例えば1000円の仕入れで8%の課税取引を5%で処理していた場合で差額の3%を後になって請求された場合以下のように取り消した取引と正しい取引を総額で記帳します。
訂正取引
(買掛金)1050 /(仕入)1000
         (仮払消費税)50
(仕入)  1000/(買掛金)1080
(仮払消費税)80

経理ソフトは原則処理が前提
 現在お使いの経理ソフトはこのような原則処理をすることを前提に消費税計算の集計を行っております。よって次のような処理をすると経理ソフトの集計が狂います。
(仮払消費税)30/(買掛金)30
取引がこれだけであった場合、正しく処理した経理ソフトの集計は以下のように表示されますが、
仕入5%▲1000円 消費税▲50円
仕入8% 1000円 消費税 80円 
差額だけを処理した場合は、
仕入5%も8%も0円 消費税30円
となり、仕入と消費税の関係のつじつまが合いません。
 1年間の経理処理は大量になります。決算時に上記のような差額だけの処理があると、経理ソフトの集計表のつじつまが合わなくなります。そしてその原因が、差額処理なのか、単なる間違いなのかを解明することは大変難しくなります。

原則処理は負担
 経理担当者がいる場合はまだしも、社長や奥さんが経理ソフトの入力もしているような場合では、元の取引を探し出して総額で訂正する作業はかなりの負担になります。そこで消費税調整勘定を設定し、差額は3%と決まっておりますから、3%で割り返した金額を両建てすることをお勧めします。
(買掛金)1050/(消費税調整a/c)1000
           (仮払消費税)   50
(消費税調整a/c)1000/(買掛金)1080
(仮払消費税)    80





H26.7.10
業務遂行の基本

 業務遂行の基本は「マネジメントサイクル」を回すことにあります。
 つまり、PLAN―DO―SEE(または、PLAN―DO―CHECK―ACTION)の流れに沿って業務を遂行することです。

PDSの流れ
 ひとつの部署の管理者の立場で、PDSの流れを具体的に表すと次の通りになります。
PLAN:計画
@目標を明確にする。
A達成手段を選択、決定する。
B役割分担を決める。
C達成プロセスをスケジュール化する。
DO:実行
@目標・役割分担・スケジュールに沿って実施する。
A進捗上の阻害要因を発見し、排除する。
SEE:結果のチェック
@実施結果(目標達成状況)を見て、目標・スケジュールとの差異を把握する。
A差異が発生した原因を分析、判断し、次の目標に跳ね返す。
B目標達成度と役割分担した担当者の貢献度を評価する。
C反省点を明確にし、次回の目標設定、達成プロセスの計画・能力開発計画に反映する。
 この流れは、部署ごとの業務遂行の基本が目標管理制度の運用サイクルと同じであることを示しています。

PDS実行の阻害要因
 このように、PDSのサイクルを回すことは、至極当然のことですが、残念なことに実際にはまとはずれな判断・実行に終わってしまうことがしばしばおこります。
 実際、一人ひとりの管理者にとって、「理屈は分かっているのだが、実際の場面では適切な判断と実行ができない。」と言う悩みが生じるのが実情と言えます。

阻害要因を排除するトップの配慮
 トップは、管理者が基本に立ち返り、自信を持ってPDSのサイクルを回せるよう、管理者が自らの失敗体験・成功体験を披歴し合い、相互啓発を行なう研修機会を前記SEEのCの直前に設けると良いでしょう。





H26.7.9
消費税転嫁拒否行為の対応実績(H26.5)
「買いたたき」が76.8%

転嫁対策措置法で禁止される転嫁拒否行為
 消費税転嫁対策特別措置法では、消費税の適正な転嫁を確保するために、取引の力関係を背景とした一定の転嫁拒否行為を禁止しています。禁止されている転嫁拒否行為は、買手(特定事業者)が売手(特定供給業者)に対して行う@買いたたき、A減額、B商品購入、役務利用または利益提供の要請、C本体価格(税抜き)での交渉拒否、D報復行為ですが、消費税率が8%に改定された直後における、これらの行為の実態が少しずつ報告されています。

指導実績は「買いたたき」が多いが…
 転嫁拒否の是正勧告・指導を行う立場である公正取引委員会からは「転嫁拒否行為に対する対応実績」が公表されています。この「対応実績」では、H26.5までの指導実績の多い転嫁拒否行為は、@買いたたき76.8%、A本体価格での交渉拒否18.8%、B商品購入、役務利用または利益提供の要請4.1%、C減額0.3%の順となっています。この時点までに勧告まで至った事例(1件)も「買いたたき」によるものでした。
 一方、経済産業省「消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査」では、事業者側に聴取したアンケート結果が報告されています。5月次の調査結果によれば、「実際に転嫁拒否行為を受けた」と回答した事業者は106社あり、こちらでは@減額56.6%、A買いたたき23.6%、B本体価格での交渉拒否21.7%、C商品購入、役務利用または利益提供の要請6.6%の順となりました。こちらは、「減額」が「買いたたき」より多いという結果でしたが、下請法の取締状況(H24中小企業庁)という別の調査でも、@「減額」34.0%に対して、「買いたたき」は3.4%となっています。

「買いたたき」と「減額」の違い
 「買いたたき」と「減額」は、どちらも正当な理由がなく、買手側から売手側に取引価格を低くしようとする働きかけですが、前者が「契約前の交渉段階」で行われるものであるのに対し、後者が「事後的」に行われるものと、行為を認識する時点が異なります。公取委等の転嫁拒否行為の指導は税率改定前(H26.3以前)から既に行われているので「買いたたき」の対応例が多かったのでしょう。今後は「減額」の指導・勧告事例も増えてくるかもしれませんね。





H26.7.8
“押し付け目標”の排除

 目標管理制度では、部下が是非取り組みたいと思わないのに、その意に反して上司から強制される“押しつけ目標”の設定は部下の主体的な取り組みを生み出さないので、避けるべきであることは当然です。

“押しつけ目標”の発生原因
 “押しつけ目標”は、管理者が会社から成果を求められているので、それが自分の処遇に直結するという心理的な圧迫感を生み出し、焦りから部下に対して自分の目標を分担してもらいたい、と機械的に働きかける結果、強制的な押しつけと取られることが発生原因となるケースが多いようです。
 言い換えれば、部下にとって納得感のある上司の目標設定マネジメント力が不足した結果、生じる現象であると言えます。

“押しつけ目標”の排除策
 このような“押しつけ目標”を排除するには、管理者の目標設定マネジメント力の向上が不可欠で、目標管理制度の原点に帰って、目標設定プロセスを改善しなければなりません。すなわち、「会社の発展・事業戦略の進展を図るには、自部署と個々の社員が、自らの役割を十分に果たし、その結果、会社も自分も共に成長することが不可欠である。」と言う、言わば当然の認識に立って目標設定に取り組むことが必要です。
 これを目標設定マネジメントの実務プロセスに沿って述べますと、次の通りになり、押しつけ目標”の排除に効果的です。
@部下全員に会社の事業戦略における自部署の役割と具体的目標を説明し、理解を求める。(その際、十分な質疑応答で納得してもらう。)
A自部署の目標達成のために、部下が果たすべき役割、設定目標を考えてもらう。(部下は自ら考えたこと、発言したことについては納得感を持ち、押しつけられた、と感じない。)
B上記@Aを踏まえて、個々人の目標設定面接を行ない、自部署の目標と担当者自ら考えた目標の整合性、本人の成長目標との関係を確認する。

トップの留意点
 トップは、管理者の目標設定マネジメント力向上研修の機会を設け、相互に目標設定プロセスの工夫を交換、相互啓発を図るなど、管理者の能力向上に努めるべきです。





H26.7.7
「輸出証明」が取れなかった・・・
スマホアプリ販売の輸出免税

輸出証明が取れず「輸出免税」が取消しに
 少し前の話になりますが、週刊東洋経済2014年5月17日号に、スマートフォンアプリの開発会社が行った海外顧客向けの売上について、消費税が免除される輸出免税取引に該当せず、課税売上として消費税が課せられた事例が掲載されていました。この記事によれば、そのアプリ開発会社は有料アプリの販売やアイテム課金で収入を得ていたのですが、海外ユーザー向けアプリ販売の一部について、ユーザーの氏名・住所を記載した「輸出証明」を税務調査で示すことができず、輸出免税が認められなかったようなのです。

グーグル社から情報提供を断られた!?
 このアプリ開発会社は、iOS端末の「アップルストア」、アンドロイド端末の「グーグルプレイ」の2つの販売ルートをもっていました。このうち、「アップルストア」との取引は国別の地域代理店を通じてアップル社にアプリを納入する事業者間取引(BtoB)であったのに対し、「グーグルプレイ」では、アプリ開発会社が直接ユーザーに販売する取引(BtoC)であったようです(グーグル社からは国別売上高のリポートが出ていたため、これを輸出免税として申告していたのでしょう)。このBtoCの取引について、アプリ開発会社がグーグル社に対して「ユーザーの氏名・住所」の情報提供を求めたところ、個人情報保護を理由に断られてしまい、税務当局に「輸出証明」を示すことができなかったということのようです。

国境を越えた役務提供の消費課税の今後
 折しも4月には政府税調「国境を越えた役務提供に対する消費課税」の会合と、東京で「OECD消費税グローバルフォーラム」が開催され、クロスボーダーの役務提供の新たな消費税課税のあり方が検討されていました。現在の日本の消費税法では、「役務の提供が行われた場所が明らかでないもの」は「役務の提供をする者の事務所等の所在地」により国内取引の判定を行っており、仕向地主義(消費地課税主義)が徹底されていない面がありました。これを国外事業者登録方式など新たな手法を組み入れて「役務の提供を受ける者の住所等」で国内取引の判定を行うという案が出ています。この考え方を採用すれば、上記の事案は「国外取引」となり、輸出証明の必要もなく、日本側の消費税は課せられないということになるかもしれません。





H26.7.4
H26.6 経産省「消費税の転嫁状況」
「全て転嫁できている」7〜8割


経産省「消費税の転嫁状況」の月次調査
 消費税率の引上げに伴い、公正取引委員会や中小企業庁等では、様々な形で消費税の円滑な転嫁のための取り組みを行っています。その取り組みの一つとして、経済産業省では、4月より転嫁状況のモニタリング調査を実施しています。その直近の調査結果(5月書面調査)が6月20日に公表されました。平成26年5月時点での消費税の転嫁状況については、「全て転嫁できている」と答えた事業者は事業者間取引(BtoB)で80.0%、消費者向け取引(BtoC)で70.1%、「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引で4.0%、消費者向け取引で4.8%という結果でした。

「消費税の理解が定着している」が6割
 事業者間取引において転嫁ができた理由については、「以前より消費税への理解が定着しているため」という回答が67.0%、次いで「本体と消費税額を分けることにより交渉がしやすくなった」という回答が21.1%でした。一方、消費者向け取引において転嫁ができた理由については、「消費者において消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透したため」という回答が64.4%、「本体価格と消費税を分けることにより値上げへの反発が和らいだため」という回答が24.7%でした。現段階では、転嫁対策特措法の効果というよりは、取引先・消費者の転嫁への理解が進んでいることを理由としている事業者が多いようです。

「転嫁できていない」事業者の理由
 この調査では消費税が転嫁できていない事業者にもその理由を聞いています。まず、事業者間取引については、「競争が激しく価格引上げによって他社に取引が奪われる恐れがある」が49.9%、「取引先の業界の景気が悪く値上げを受け入れる余裕がなかった」が25.2%、「取引先との力関係で立場が弱かったため」が20.1%という回答結果でした。消費者向け取引については、「景気が回復しておらず消費者の財布のひもが固い」という回答が50.1%、「競争が激しく価格の引上げによって他社商品に乗り換えられてしまう恐れがあるため」という回答が43.4%でした。顧客の「価格の反応」を考慮した経営判断ですが、1年半の間に2度の税率アップがあることを考えると、今後も転嫁状況を注意深く見守る必要があります。





H26.7.3
拡充したトライアル雇用奨励金


トライアル雇用とは?
 職業経験の不足等から就職が困難な求職者をハローワークから雇い入れ、3カ月間の試行雇用する事でその適性や能力を見極めてから常用雇用へ移行することを目的とした助成金です。
 今まで紹介元はハローワークが紹介した人が雇われた場合が支給対象者でしたが2014年3月からは一定の要件を備えた職業紹介事業者や大学の紹介による場合も支給対象者とされることになりました。民間職業紹介事業者は「雇用関係給付金の取り扱いに係る同意書」を主たる事務所(本店等)の所在地を管轄する労働局に提出しておくと、その取り扱いを行うことができます。

支給対象者の拡大
 以前の支給対象者は主にニート・フリーターや母子家庭の母等でしたが、それ以外に学卒で未就職者や育児等で離職後キャリアブランクのある人も対象とされました。次のいずれかの要件を満たしたうえで、紹介日に本人がトライアル雇用を希望した場合に対象となります。
@紹介日時点で就業経験が無く職業に就くことを希望する者。
A紹介日時点に学校卒業3年以内で卒業後安定した職業に就いていない。
B紹介日前2年以内に2回以上就職や離職を繰り返している。
C紹介日前において離職期間が1年を超えている。
D妊娠・出産・育児を理由に離職し、紹介日前の時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている。
E就職支援をするのに特別な配慮が必要な一定の該当者。

支給額と手続き
 原則3ヶ月のトライアル雇用を行い、支給額は1人につき月4万円。最長3カ月で12万円支給されます。トライアル雇用の選考中の人数は求人数の5倍までで、それを超えた人数は対象になりません。
 受給手続きは求人の際、トライアル雇用を受け入れる旨を申し出ておき、雇い入れから2週間以内に実施計画書を提出します。トライアルが終了した時は終了した日の翌日から起算して結果報告書兼支給申請書を提出します。試行後常用雇用にならなかった時でも申請はできます。





H26.7.2
外国人技能実習制度 現状と拡充

技能実習制度は開発途上国等の人材を育成
 開発途上国等の人材を日本に受け入れ、日本の技術、技能または知識の移転を通じ開発途上国等の経済発展を担う「人作り」を目的として平成5年に創設されました。
 政府は成長戦略の骨子案として外国人が日本で技術を学びながら働く技能実習制度を、外国から人材を受け入れる手立てとして拡充案を出しました。

技能実習制度の現状
 制度は入管法に規定され、その概要は、
@企業単独型・・・・日本の企業が海外にある現地法人や取引先企業の職員の受け入れ。
A団体管理型・・・・海外にある送り出し機関と日本の営利を目的としない団体(中小企業協同組合・商工会議所等)が契約し会員企業に実習生をあっせんする。これが全体の96.7%を占めています。
 対象職種は農業、建設、食品製造、繊維、衣類、機械、金属等68種126作業あります。H24年末の実習生は15万人強となり直近新規入国者は6.8万人です。受入数の多い国は中国が70%以上でベトナム、インドネシア、フィリピンとなっています。最近は中国が減り、ベトナムが増加しています。

改正3つの方向性
 改正案は第1に人手不足対策として、実習期間を現在の3年から5年程度に延長します。第2に新たな対象業務に、「介護」「林業」「自動車整備業」「店舗運営管理」「総菜製造業」を加えるとしています。第3は対象人数の拡大です。新たに実習の対象にする分野はいずれも人手不足が目立つ業務ですが、単純労働者の受け入れに繋がる移民受け入れは認めない方向です。ただ家事手伝いは国家戦略特区での受け入れを目指しています。また専門的な技術や経営ノウハウを持つ人の受け入れを広げます。
 同時に実習生を劣悪な労働環境で働かせることがないように労働基準法令関係違反には罰則を強化するとしています。
 人手不足や先の人口減少を考えると働き手の確保には外国人受け入れ対策は避けられなくなってきています。ただ人手不足に重点を置くと制度の本来の目的でなくなることもあるかもしれません。





H26.7.1
権限委譲の効果

 目標管理制度の運用では、しばしば“権限委譲(エンパワーメント)”が行なわれますが、その意味を認識して活用すると、より大きな効果が得られます。

“権限委譲”とは
 “権限委譲(エンパワーメント)”とは、業務目標を達成するために、組織の構成員に自律的に行動する力を与えること、言い変えれば、「管理者と部下の間で、目標・方針の大綱を合意、決定したら、その方法や実施の権限を部下に委譲すること」を指し、管理者がリーダーシップを発揮するために必要な技術とされています。

“権限委譲”の効果
 “権限委譲”で次の効果が得られます。
@業務目標達成プロセスでの方法の選択、実施について、部下がいちいち管理者の許可を得ることなく、自らの権限で実施でき、臨機応変の処置がとれるので、達成スピードが速くなる。
A管理者は部下の自主性を尊重し、必要な場合にのみ支援することになるので、目標達成プロセスで、問題が生じた場合、上司が具体的な解決策や指示を与えることなく、部下自らが、問題を発見し、解決策を考え、実施する主体者になる。したがって、部下の不足している能力の開発が進み、人材育成効果が生まれる。

管理者の留意点
 “権限委譲”によって、予期した人材育成効果を上げるためには、委譲する管理者の立場で次の点に留意すべきです。
@部下の現状の能力から見て、かなりの努力が必要な権限委譲とそれに伴う責任の付与を行なう。
A部下が、失敗を恐れず、委譲された権限をフルに行使するように求める。(一方で、部下の失敗の最終責任は管理者が負う覚悟を持つ。)
B委譲した以上は、問題が生じた場合、じれったく感じても部下自身が解決方法を決断するまで辛抱強く待つ。
C部下が自ら決めたことは、“石にかじりついても完遂すること”を求め、それが“権限を委譲された者が責任を果たす厳しい行為であること”を理解してもらう。