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H28.3.31
目標管理の導入目的

 目標管理制度は、導入・活用の目的によって、経営に対する影響が大きく異なります。最近の事例から、その導入目的類型を
整理しますと次の通りです。

目標管理制度・目的類型区分

類型名称:経営管理サイクル重視型
内容説明:目標管理制度を基本的な「マネジメントサイクル」と位置付け、目標設定⇒進捗管理⇒達成度評価のPlan-Do-Seeサイクルを回す運用重視の類型
類型名称:個人業績・戦略貢献重視型
内容説明:会社の成功は、社員一人ひとりの会社の戦略的目標達成貢献にかかっているとし、個人業績管理に目標管理制度を活用する類型
類型名称:役割・成果重視型
内容説明:「役割」(各職務に付与される企業戦略上の責任の大きさ・重さ)、「成果」(役割の遂行により実現され、企業価値向上に繋がるもの)を重視し、「最終結果」と、「成果に繋がった行動」(プロセス)も成果に含まれるとして目標管理制度を活用する類型
類型名称:成果主義評価・人材育成重視型
内容説明:成果主義の評価と人材育成をねらいとし、マネジメントツールとして目標管理制度を活用する類型
類型名称:中長期戦略目標・チャレンジ重視型
内容説明:長期スバンでの取り組みとチャレンジ、強い組織づくりを促進するため、目標管理制度・評価制度の活用を重視する類型

経営者・管理者の留意点
 目標管理制度の基本的目的は「経営計画で定めた目標を達成するための業績管理」にあります。
 したがって、上記類型の内、役割・成果重視型、個人業績・戦略貢献重視型を中心に置くことが適切です。企業によって中長期経営目標の達成へのチャレンジを重視すべき時期があること、マネジメントサイクル重視の運用・人材育成も目標管理制度の重要な機能ですから、併せて活用することが望まれます。





H28.3.30
厚生年金加入指導は厳しくなるか

国民年金加入者の実態調査からの推計
 昨年12月に厚生労働省が公表した「平成26年国民年金被保険者実態調査結果」では、国民年金第1号被保険者(自営業者、フリーター等)の就業状況を基に、厚生年金の適用の可能性がある者が法人で約180万人、個人経営の事務所で約20万人、合計約200万人程度いるという事が初めて具体的に示されました。
 現在、厚生年金の加入促進は国土交通省の管轄である建設業の加入促進や社会保険算定基礎届の提出時期に行われる年金事務所の調査、国税庁から提供を受けるデータに基づくもの等により行われています。

企業版マイナンバーの活用
 厚生年金や会社員の健康保険は法人や従業員5人以上の個人事業は加入する事になっていますが、未加入企業も79万件はある事を厚労省は把握しています。
 企業向けマイナンバーを使った加入漏れの防止対策は日本年金機構が新年度から始めるとしています。国税庁から法人番号をもらい、すでに加入している企業と未加入の企業の選別をします。法人番号照合であれば同名の企業名であっても判別がつくので、企業の特定が早くできると言っています。最近の加入指導により、適用となった事業所は平成24年度8千件、25年度1万9千件、26年度3万9千704件と増加していて、27年度も4月〜11月で6万3千件が適用指導により加入しています。

加入指導はどのようにくるか
 年金機構は、未加入事業所を特定したら文書や電話で来所を求める等の方法で加入を求めます。加入しない時は企業訪問する事もあります。何度も要請を拒否するなど、悪質な場合は立ち入り調査や強制加入手続きもするとしています。平成29年度には全ての未加入事業所の特定をするとのことです。
 また、今後は平成28年の10月から従業員500人超えの事業所のパート従業員の適用拡大を契機に、中小企業もパートタイマーの加入についての調査が必至となってくるでしょう。
 厚生年金に未加入と言っても意図的と言うよりやむを得ずと言う場合も多いでしょう。これから加入する事業所は備えが必要でしょう。





H28.3.29
28年の寿命だった法人利子割


手取りから逆算して二重課税排除
 普通預金の受取利息には利息支払明細書が送られて来ないので、通帳に記載された受取利息の金額から逆算して、源泉徴収された所得税や復興特別税、利子割額を求めます。他の受取利息の分も併せて計算された利子割額は、法人都道府県民税の申告で、税額控除され、控除しきれない額がある場合には還付されます。
 これは、法人の受取利息が、法人の課税所得に含まれることから、二重課税を排除するための必要な手続として行われます。

平成25年税制改正で制度設計の変更
 この会計処理と申告手続に変化が起きています。平成28年1月1日以後に法人の受取利息に対する利子割の制度が廃止されたからです。平成25年の地方税法の改正です。

納税者利便を装う弥縫策
 法人都道府県民税の申告書を見ると、「利子割還付額の均等割への充当」という欄があり、納税者が「希望する」「希望しない」を選択して、手続をすることができるようになっています。10年ほど前から設けられているもので、納税者に利便性を提供するためにと解説されています。
 本当は、課税当局の事務と金銭負担の回避が本音です。
 利子割の課税徴収は、利子の支払金融機関所在都道府県で、当然複数になります。利子割額の控除、還付は、法人の主たる事務所所在都道府県で一括処理するため、都道府県間で精算しなければなりません。
 また、7割の法人が赤字申告という状況の中では、利子割還付は普遍的であり、数円程度の還付に数百円の振込料を負担する実態に悲鳴をあげていた、ところです。

利子割制度創設時の状況とその後
 利子割の制度は、昭和62年度税制改正において創設され、昭和63年4月から実施されたものです。当時においては、金融機関が個人と法人の口座を区別することが困難なので、区別なく適用することとされましたが、現在では、ペイオフや本人確認法、犯罪収益移転防止法などの制度に対応してきた結果、利子割制度から法人を全面的に適用除外とすることが可能となっている、と解説されています。
 来年の今頃の法人都道府県民税申告書からは、利子割控除と均等割への充当との欄は消えているはずです。






H28.3.28
組み合わせ事業の許認可

許認可も「組み合わせ」?
 猫と触れ合いながらカフェサービスを利用できる「猫カフェ」。最近では、猫以外にもうさぎカフェやフクロウカフェなど、様々なジャンルの動物に会えるカフェも登場しているようです。「カフェ」と「猫との触れ合い」を組み合わせたこの「猫カフェ」のように、事業を組み合わせて新しいサービスを提供する際には、複数の許認可を必要とすることがあります。

猫カフェと許認可
 カフェを営業する際には、「飲食店営業許可」などの食品関係営業許可が必要です。猫カフェも飲食物を提供する場合は、提供する食品の種類により許可を取得する申請を管轄の保健所で行います。次に、「猫」を取り扱うために必要なのが「第一種動物取扱業」の登録で、これも先述の「飲食店営業許可」同様、管轄保健所で行います。しかし食品衛生上、両者は相反する性質であることから、カフェスペースと猫と触れ合うスペースは区分けされていることが求められます。現在、猫カフェのような営業形態については統一的な営業許可がないため、「どこまで明確に区分すべきか」という見解は自治体ごとに異なります。物件を決め、内装工事が全て完了した後に相談したら必要な許認可が得られなかったという事態にならないよう、必ず事前に相談しましょう。

一か所で複数の許認可を取得するときには
 複数の許認可を要するサービス形態は猫カフェに限りません。たとえば、飲食店のオーナーが店舗でワインの販売も行いたいと考えた場合、保健所で「飲食店営業許可」を、税務署で「酒類販売免許」の申請をすることになりますが、実は本来、飲食店と同一の場所で酒類の販売を行うことは法律上禁止されています。例外的に、飲食店舗部分と酒類販売店舗部分が明確に区分されていることなど、一定の条件を満たした場合のみ酒類販売免許が交付されますが、この区分けが明確にされているかどうかは個別に審査されます。
 このように、一か所で複数の許認可を要する事業では、まずその事業に必要な許認可を調べ、各行政機関で許認可要件を確認し、相反する要件がないか、ある場合にはどうクリアすべきか、事前の相談と手続きの順序立てが重要です。「前はできたから大丈夫」、「他社でやっているからできるはず」と前例や同業他社の営業から安易に判断せず、その都度個別に検討しましょう。






H28.3.25
提案文書の内容配分


企画提案文書を作成しようとする場合、役員など、提案する相手に分かりやすく、ポイントを要領よく記述する必要が生じます。ここでは、その実務的な内容配分(分量配分)の方法を解説致します。

内容配分計画・記述方法
@ 企画書全体分量の見当をつける。
「4〜5ページ、40行/頁」は通常の企画提案書として普通の分量と言える。(重要で複雑な提案内容なら6〜10ページの分量が考えられる)。
A 内容配分計画を立てる(提案書の項目別ページ配分・行数換算を行なう)。全体分量がワードA4・40行/頁、で合計4ページ(160行)の計画例は表に示した通り。
B ページ・行数配分計画に従って、部分ごとの記述を行なう。単純明快な記述を行なうため、箇条書き、比較表を使ったり、詳細な説明が必要な場合は、別紙を添付する。また、写真を張り付ける、試作模型を持参する等“見える化”する。
[留意点]
 企画内容の検討、全体分量の見当や、ページ配分は、企画書作成の経験から得たスキルや洞察力を必要とします。
 管理者や、場数を踏んだ先輩は初心者・後輩に、能力開発策として企画書の作成を体験させ、OJTを行なうことが必要です。
  
   [企画書の内容配分計画例]
No .企画書の記述内容   ページ配分 行数配分
   タイトル    10% 16行

1 目的
  前回の反省点と対策を含む

2 C:Concept      10% 16行
  企画のポイント

3 T:Target
 ターゲット及び目標     10% 16行

4 T:Tool&Event   40% 64行
“見える化”して
アピールする具体策 40% 64行

5 予算       10% 16行
 
6 P:Process     20%   32行
     準備等実行方法、
  結果確認までのスケジュール

合計             100%   160行





H28.3.24
特定労働者派遣事業の廃止と経過措置


労働者派遣事業が許可制に一本化
 平成27年9月30日に労働者派遣法が改正され、労働者派遣制度が大きく変わりました。そのうちの一つに、「特定労働者派遣」と「一般労働者派遣」の一本化が挙げられます。「特定労働者派遣」は仕事があるときだけ雇用するのではなく、自社と雇用契約を結んでいる常用の労働者を派遣するもので、雇用の安定性が確保されていることから、届出をすれば行うことができる「届出制」でした。
 しかし、昨年の改正により「特定」と「一般」の区分がなくなり、定められた一定の要件を満たした場合にのみ労働者派遣を「許可」される「許可制」に一本化されています。現在は経過措置として、施行日時点で特定労働者派遣事業を営んでいた方は、引き続き3年間行うことができますが、その後も労働者派遣事業を営む場合には、新たな基準に沿った「許可」を改めて取らなければなりません。

「ヒト・モノ・カネ」、悩ましいのは…
 「許可」されるための要件は、概ねこれまでの「一般労働者派遣事業」の許可を取る際の要件に沿ったものです。「許可」の要件は大まかに「ヒト・モノ・カネ」の3点に分類できますが、中でも多くの経営者にとって悩ましいのが「カネ」、つまり財産に関する要件になるでしょう。許可基準とされる財産要件は、@基準資産額が「2000万円×事業所数」以上、かつ、負債の総額の7分の1以上であること、A現預金額が「1500万円×事業所数」以上であることで、「基準資産額」とは、資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除したものを指します。

緩和措置を利用しながら計画的に
 これだけの財産要件となると、少数精鋭で派遣していた事業者にとってはかなりのハードルです。そこで現在は暫定的に、事業所が1か所の小規模事業で「常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業については、当分の間、基準資産額が1000万円、現預金額800万円」、「常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業については、平成30年9月29日までの間、基準資産額が500万円、現預金額400万円」という緩和措置が設けられています。このような緩和措置を利用しつつ、今から計画的に準備することが必要です。





H28.3.23
派遣事業のキャリア形成支援と雇用みなし制度


派遣労働者に対するキャリアアップ支援
 平成27年9月30日に改正された労働者派遣法では、派遣元には派遣労働者に対するキャリアコンサルティングを行う事が義務付けられました。派遣業の許可基準として派遣労働者のキャリア形成を支援する制度で、許可申請時に支援に関する規定を添付する必要があります。
 教育訓練の範囲や時間数については大臣基準や実施計画で定められ、内容については派遣元の許可取り消しも含めた指導監督を行うとしています。

キャリアアップのための大臣基準とは
@キャリア形成を念頭に置いて派遣先業務を選定する旨を明示的に記載した手引書
A全ての派遣労働者が利用出来る相談窓口
Bキャリアコンサルティングの知見を有する者(有資格者、人事担当者、営業担当)
C教育訓練の実施計画を作成
 この実施計画とは全ての派遣労働者を対象とし、有給無償で行い、派遣労働者のキャリアアップに資する。少なくとも当初の3年間は年1回以上、年8時間以上(フルタイム者の場合)で無期雇用者は長期的なキャリア形成を訓練し、雇用1年未満見込みの場合は入職時訓練を行う事となっています。派遣元は計画的な教育訓練を実施し、事業報告をする必要があります。派遣先も職務遂行能力に関する情報を派遣元へ提供する努力義務が課せられており、1年以上派遣する労働者には自社の社員募集情報を周知する必要があります。

労働契約申し込みみなし制度
 この制度は期間制限の違反や偽装請負といった違法行為が行われた時に派遣先へのペナルティとして、派遣先が派遣労働者に対して派遣元と労働者との労働契約と同一条件の労働契約を申し込んだものと「みなす」制度です。対象となる違法行為とは、
@労働者派遣法の禁止業務に従事させた
A無許可・無届けの派遣元からの受け入れ
B派遣可能期間を超えて受け入れた
Cいわゆる偽装請負
 以上のように派遣先においては派遣労働者と労働契約が成立する場合もあるので留意が必要でしょう。





H28.3.22
国際結婚・国際離婚と会社の関わり


外国人社員の国際結婚・国際離婚
 日本での国際結婚件数は年間約3万件にも上る一方、国際離婚の件数は年間約1万8000件とされ、どちらも今や決して珍しいことではなくなってきました。結婚や離婚はプライベートなことで、会社は直接関係ない、と思うかもしれません。でもこの「国際結婚」と「国際離婚」、日本にいる外国人の方にとっては、会社での勤務と密接に関係する場合もあることをご存知でしょうか。

身分に基づく「日本人の配偶者等」のビザ
 外国人の方が日本に滞在するためには、全部で30種類ある「在留資格(≒ビザ)」を滞在目的に合わせてどれか1つ取得しなくてはなりませんが、この「ビザ」は大まかに「@活動内容に基づくビザ」と「A身分に基づくビザ」の2パターンに分けられます。@は例えば「就労」を目的とする「活動内容」に基づき許可されるもので、具体的には「技術・人文知識・国際業務」のビザなどが挙げられます。一方でAは、その外国人の「身分」に基づいて許可されるようなビザで、日本人と国際結婚をした外国人の方が「日本人の配偶者」たる身分になったことで得られる「日本人の配偶者等」のビザ(いわゆる結婚ビザ)などがこれに当たります。「日本人の配偶者等」のビザを持っている場合、@のように活動内容が定められているわけではないため、就労に関する制限はありません。就業内容をあまり気にせず、日本人社員同様、柔軟に働いてもらうことが可能です。そのため、元々は就労目的で来日した外国人社員が、日本人との結婚を機に「日本人の配偶者等」のビザへ切り替えることも少なくありません。

もしも日本人と離婚してしまったら…
 「技術・人文知識・国際業務」のビザのように、自分の活動内容に基づくビザであれば、離婚により日本人の配偶者たる身分がなくなっても影響はありません。しかし、もし「日本人の配偶者等」のビザを持つ外国人がその身分を失ってしまった場合、その時点で該当性がなくなってしまいますので、速やかにビザの変更をしなくてはなりません。また、変更した結果、得られるビザが就労制限のあるものであった場合は、就業内容によって配置転換を検討しなくてはならないこともあります。会社がプライベートなことに立ち入るのは心苦しい…という気もしますが、勤務体制に影響する可能性もありますので、少しだけ気にしておく必要があるかもしれませんね。





H28.3.18
目標達成方法の検討


 目標達成方法を検討している時や目標達成プロセスで行き詰まった場合、何か良い達成方法がないか検討する必要が生じます。
 そのような場合、単に何か良い方法はないか、と考えるのではなく、「オズボーンのチェックリスト」を活用すると良い方法を見つける助けになります。

オズボーンのチェックリストとは
 このリストは次の通りです。
1.転用 他から転用できる方法はないか
2.応用 何かの真似ができないか
3.変更 意味・働き・型などの変更はできないか
4.拡大 より大きく、強く、高く、長く、厚くできないか、時間や頻度などを変えられないか
5.縮小 より小さく、軽く、弱く、短くできないか、省略・分割・減少はできないか
6.代用 人・物・材料・素材・製法・動力・場所を代用できないか
7.再利用 要素・型・配置・順序などの再利用はできないか
8.逆転 反転・前後転・左右転・上下転・順番転・役割などの転換をしてはどうか
9.結合 合体・ブレンド・ユニットや目的を組み合わせたらどうか
 この発想法は、キーワードの助けを借りて、思いがけない良いアイデアを得ようとするものですが、逆にアイデアがキーワードの束縛を受けないか、と言う批判もあります。
そのような、懸念を感じたときは、“DRASTIC発想法”など、他のキーワードを併用するのも一法です。

経営者・管理者の留意点
 このようなチェックリスト法を活用する際の最大の注意点は、だれか一人の担当者にやらせるのではなく、関係者が「ブレインストーミング」によって、年齢・経験・性別に関わりなく自由に、相互に否定することなく発言できる環境の下で発想できるようにすることです。
 複数のアイデアが競合した時は、衆目評価法(参加者全員による点数評価法)によると良いでしょう。このような進め方は全員の目標達成意慾高揚に効果的です。





H28.3.17
杭打ち偽装事件解決金は課税か


姉歯事件よりも深刻な杭打ち事件
 昨2015年秋の横浜マンション建設杭打ちデータ偽装事件は、マンションが傾くという深刻な実害により発覚しました。
2005年の耐震強度構造計算書偽装事件(「姉歯事件」)は内部告発で発覚しましたが、東日本大震災でも実害報告はされていません。

類似の先行事例が税務訴訟に
 杭打ちデータ偽装事件は、あり得ないことが起きた、というような報道ぶりでしたが、昨年2月地裁判決のあった八王子税務署管内の事件は、マンション躯体の大規模瑕疵発覚で、その団地の各建物の改築工事等がなされた、という類似のものでした。
 マンション新築は平成元年、瑕疵発覚は平成12年1月、改築工事は平成17年4月から20年12月まで、改築完了後各区分所有者は、順次新建物に入居しています。

原告への補償の内容は……
 この訴訟原告となった当事者についてみてみると、仮移転先に居住していたことに伴い支出した実費等について、交通費として162万5520円、トランクルーム保管料として123万655円、引越費用として75万7745円及びその他の移転雑費として20万円の合計381万3920円が支払われました。
 なお、新建物の登記手続が必要になるとしたら、登録免許税のほか土地家屋調査士・司法書士の費用、さらに不動産取得税も支払われることになっていました。

譲渡移転の人に対しては
 他方、各建物の瑕疵の補修工事が終了するまでの間、各建物の各区分所有者のうち所有する住宅の買取りを希望する者に対しては、その住宅を買い取り、その対価に加えて別途の解決金を支払う取扱いもしておりました。原告当事者も、解決金として300万円を受け取りました。

解決金は課税の対象になるのか
 この手の事件では、損害賠償金非課税で処理されそうに思われるのですが、この八王子の事件では、解決金300万円のみは一時所得課税の扱いとされました。
 理由は、解決金は実費補填とは別に支払われているもので、支払側の意図は一件落着手打ち金であり、慰謝料としての損害賠償の趣旨を有するものとの表明がないから、ということでした。
 特別に発生した費用の補填だけでは、生活の不便や精神的苦痛は補償されないと思われますが、控訴中の事件です。





H28.3.16
商業登記規則等の一部を改正する省令案
株主名簿の確認を!


登記申請時の株主情報添付が必須に?
会社の設立登記や役員変更登記をはじめ、法務局に「登記申請」を行う際、添付書類などの具体的な手続き詳細を定めている「商業登記規則」。この規則に関する、とても興味深い改正案が発表されました。
 2016年1月29日に公示された「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集によると、「登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる十名の株主又はその有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求める」ことが検討されているとのことです。
 つまり、株主総会の議決を要する登記事項について申請を行う際には、議決権の多い株主上位10名、又は、議決割合3分の2以上の株主に関する氏名や住所、議決権数を記載した「株主情報」の添付を求めるというものであり、この改正案が通ると、早ければ今年10月から登記申請時にこの株主情報を添付することが必要になるのです。

株主名簿は管理していますか?
 「株主名簿」が保管されている場合は、こうした株主情報をすぐに確認することができます。株主名簿は会社法により作成が義務付けられている帳簿ですが、株式移動があまりない会社では、もしかすると設立時から名簿がない、あるいは、全く更新されていないということがあるかもしれません。そんなときは、確定申告書の「別表二」を確認しましょう。また、会社の基本事項を定めた「定款」には設立時の株主(発起人)が記載されていますので、設立時から変更がなければこの記載も参考になります。

古い会社ほど要注意!
 現在では発起人1名でも株式会社を設立できますが、平成2年の商法改正以前は発起人が最低7名必要とされていました。こうした会社では長い年月を経て、株式の譲渡や相続が繰り返されることで株主が分散化され、会社と全く面識のない方々が株主になっている可能性もあります。株主の権利は会社の運営に大きな影響力を持ちます。この機会に一度、「株主名簿」を整理してみてはいかがでしょうか。





H28.3.15
最高裁判決を踏まえるが

最高裁敗訴判決を踏まえ
 今年の税制改正大綱には、「最高裁判決を踏まえ」との書き出しの部分があります。
 最高裁判決で、国側敗訴になったものを承けて、法律を改正するというものです。
 最高裁判決を承けて、それを事後追認するような改正は最近の過去事例としても、いくつかあります。
たとえば、利子割額控除、受取配当等益金不算入、寄附金損金不算入、所得税額控除、外国税額控除等々にあった「記載された」の規定を「記載すべきであった」の意味に解する最高裁判決による、「当初申告要件」と「記載限度額要件」の撤廃改正などです。

確認規定の追加としての法改正ではない
 これら過去事例は、新たな法律効果を創設するものではないので、法整備の効果のみの確認規定の追加ということになります。
 でも、今次改正案の内容は、既に最高裁判決で決着がついているものを、追認確認的に、最高裁判決に沿って文理解釈になるように条文を書き換えた、というものではありません。
 最高裁判決とは、明らかに一線を画しています。

今次改正の最高裁訴訟の内容は
 法定申告期限内に相続税の申告及び納付をした事案で、当初申告における土地の評価が時価よりも高かったとして減額更正の請求をしたところ、所轄税務署長はそれを一部認めて、減額更正し、還付加算金を加算して過納金を還付したものの、その後、認めた土地の評価減は正しくなかったとして逆に一部増額更正をし直しました。
 納税者が、これにより新たに納付すべきこととなった税額を納付したところ、当初申告期限からの延滞税の督促を受けました。税務署が還付した金額の一部を再納付したら延滞税がとられるのは納得できない、と訴えたところ、最高裁はその全額の納付義務を完全に否認しました。

今次改正案の内容
 減額更正後の再納付のケースに限り、
@増額更正までの期間については延滞税を課さない
Aただし、更正の請求の場合に限り、(当初納期限からではなく)減額更正時から最大1年間の延滞税を課す
 最高裁の判決内容は行き過ぎだとの批判を含む改正内容です。





H28.3.14
派遣事業の健全化と雇用安定措置

平成27年の9月30日に労働者派遣法が改正されましたが、その内容は主に次の7項目になります。
・常用雇用型の特定事業が廃止
・政令26業務が無くなった
・原則3年までしか同組織に派遣できない
・業種によらず無期雇用者は期間制限無し
・派遣労働者のキャリアアップが義務化
・違反派遣の場合のみなし雇用制度の施行
・派遣業許可要件の厳格化、行政指導強化
 これらの内容はそれぞれ、派遣元、派遣先にも影響を及ぼす事は間違いありません。
 このうち、派遣業の許可要件と3年までの雇用期間について取り上げてみます。

特定労働者派遣事業の廃止
 今までの、その事業の派遣労働者が常用雇用される労働者のみである特定労働者派遣事業は廃止され一般労働者派遣事業に一本化されました。改正前の特定派遣事業は届出をするだけで受理されれば即時事業開始できたのが、許可制では申請後許可を受けるまで2〜3ヶ月はかかります。
 何よりの問題は特定では事業資金の点で規定なしであったものが一般派遣事業の資産−負債=2千万円以上、現預金額1500万円以上という点です。事業を続けるならば経過措置の平成30年の9月29日までに許可を取らなくてはなりません(小規模事業所の配慮措置有り)。事業所の床面積が20u以上、派遣元責任者講習の義務化や更新も有り、初回は3年、2回目以降は5年に1度となっています。特定から一般にして継続するならば早めの準備が必要でしょう。

派遣労働者に対する雇用安定措置
 同じ派遣労働者が派遣可能期間(同組織で3年)を超えて同じ組織で派遣を続ける事はできないため、引き続き就業を希望する場合はいずれかの措置を取る事になります。
@派遣先への直接雇用の依頼
A新たな就業機会(派遣先)の選択
B派遣元事業主において無期雇用
Cその他雇用安定を図るために必要な措置
 業種に関係なく原則3年の派遣期間となったので、その後の雇用措置を派遣元、派遣先も考慮しなくてはならないでしょう。





H28.3.11
改正行政不服審査法の4月施行

行政法の手続法の体系
 行政不服審査法は、行政事件訴訟法とセットになっている法律で、両者を合わせて行政救済法という分野を構成しています。
 また、行政の事前事後手続に関する法律の分野を構成するものとして、事前手続の行政手続法と事後手続の行政不服審査法がセットとして存在します。
 国税は事前事後の両方の手続を国税通則法だけで定めています。これは一般法に対する特別法に該当します。

事前手続税制と行政手続法
 事前手続を定める行政手続法の改正は、国税や地方税に関しては、ほとんど適用除外とされています。従って、その改正は、直接に税制に影響を及ぼすことはありません。適用除外とする理由は、税制の方が、より進んだ制度をすでに設けているから、と解説されていました。
 しかし、必ずしも全ての面で、解説どおりに税制がより進んだ手続民主主義を備えていたわけではなく、平成23年の国税通則法や地方税法の単独改正で平成25年からようやく、税に係る不利益処分への理由附記が行政手続法の水準(除白色申告)になったところです。

行政不服審査法の全面改正
 平成26年、行政不服審査法が、制定後52年ぶりに全面的に改正されました。この改正は、一部を除き施行が平成28年4月からです。
 最大の変更点は、異議申立てをなくして審査請求に一元化することと、審査請求期間を3ヶ月に延長することです。
 国税は国税通則法を改正し、行政不服審査法改正に平仄を合わせていますが、地方税法には独立の事後手続法制がありませんので、一般法の法改正がダイレクトに影響してくるという構図になっています。

行政不服審査のあり方は国税が進んでいる
 国税不服審判所の場合、最近では約50%の割合で民間からも登用が進んでいて、税理士・弁護士等と行政職員の3名での合議体による審理が進められています。
 今回の行政不服審査法改正では、目玉として、審理員の導入と行政不服審査会の設置があります。審理員については、非常勤職員という形で民間人を登用すること、行政不服審査会は第三者機関ということなので、もともと民間人を想定に含める制度設計になっています。






H28.3.10
標準化の推進

 ビジネスでよく活用されている「標準書」の元になっている“標準”の定義は、JISによれば「関係する人々の間で利益又は利便が公正に得られるように統一し、単純化を図る目的で、もの(生産活動の産出物)及びもの以外(組織、責任権限、システム、方法など)について定めた取り決め」(JIS Z 8002:2006)となっています。メーカーでは品質管理を推進する上で、「標準書」を整備する過程を「標準化」と呼び、バラツキのない製品を生産するために欠かせない活動となっていることは周知の通りです。

ビジネスにおける「標準化」の推進
 このような「標準化」は、労働集約型産業社会で始まりましたが、知識集約型産業社会となった現代でも大いに活用価値があります。特に、部署のメンバーが繰り返して遂行する業務(生産・販売など)、年に1〜2度定期的に遂行する業務(年度経営計画策定・株主総会など)は、関係者が共同して的確に業務を処理するガイドラインとして活用されています。実務では、現在の業務の遂行方法をそのまま書き出して標準書とし、教育・訓練、業務の管理に用います(販売業務の標準書を図に例示します)。
 標準書は、経営管理のP-D-C-Aの「P」(PLAN)に当ります。

  標準書の様式(例)
  タイトル:○○の販売業務
No. 標準作業         ツール     留意点
1  初訪・自己紹介      名刺
2  自社事業・商品紹介   タブレット   USP強調
3  ニーズ聞き出し      Qリスト
4  (略)
5  USP訴求          デモ
6  (略)
7  見積提示
8  販売契約
9  納品
10 フォローアップ
 すなわち、標準書通りに業務を遂行(DO)して、正確性、効率などの視点で問題点をCHECKし、元の標準書を改訂(ACTION)することにより、業務改善が行なわれます。これを「標準化」と言い、経営管理に欠かせない活動のひとつとなっています。

経営者・管理者の留意点
 目標管理制度では、標準化の推進によって業務改善を進めるテーマ・目標が多いと言えますから、この視点から自社・自部署の業務改善に取り組むと良いでしょう。






H28.3.9
日独租税協定が改正されました!

租税条約とは
 租税条約とは、「国際的二重課税を防止するため」に国家間で結ばれる条約です。日本は、2016年1月1日現在、65条約、96の国・地域と租税条約を結んでいます(多国間条約である税務行政執行共助条約、及び、旧ソ連・旧チェコスロバキアとの条約の複数国への承継のため、条約数と国・地域数が一致しません)。
 日本の場合、国内税法よりも租税条約の方が優先されます。そのため、源泉所得税率につき所得税法の規定よりも租税条約が有利な場合は、「租税条約に関する届出」を事前に税務署長に提出することにより、軽減・減免された税率の適用を受けられます。

新日・独租税協定が署名されました
 2015年12月17日に新日・独租税協定が署名されました。発効は両国での国内手続(日本は国会承認)を経てからですが、1967年に発効(1980年及び1984年に一部改正が発効)した現行協定に代わるものです。
 相互の投資・経済交流を一層促進するための環境整備として、使用料や利子にかかる源泉税は免税=ゼロ税率(現行:10%)となります。配当の源泉税も最大で現行より10%引き下げられます。
 日米間および日英間では利子・使用料ともすでに免税となっていましたので、これで日独間も英米に並ぶことになります。
 新協定は、発効の翌年1月1日以後に開始する各課税年度の租税や同1月1日以後に課される租税に適用されますので、2017年からの適用と見込まれています。

意外と盲点、−ここに注意を!
 現行の日独租税協定の適用を受けている者(法人・個人)は、新協定が適用される支払をする日の前日までに、新しい適用にかかる「租税条約に関する届出」を所轄税務署長に提出しなければなりません。
 なお、いままでは一度届出をすると届出書に記載した内容に変更のない限り有効でしたが、特典条項の適用対象となる租税条約の規定の適用になるようですので、現状の日米租税条約同様、一定期間ごと(適用内容により3年もしくは1年等)に届出書の提出が必要となります。ご留意ください。






H28.3.8
租税回避は、善い事?悪い事?


租税回避とは
 租税回避の一般的な定義は、「私法上の選択可能性を利用し、私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら、通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させあるいは排除すること」(金子宏『租税法〈第20版〉』124頁)とされています。
 噛み砕いて言うと、“合理的ではない取引形態で、税法の抜け穴を使って、節税する”ことであり、納税者側からは憲法84条の租税法律主義でOK、国税側からは憲法14条の租税公平主義でNGと主張されます。
 ここでのポイントは、“合理的な理由がある、通常の法形式かどうか”です。

裁判例(武富士事件)
 贈与税の租税回避について争われたのが「武富士事件」(海外財産の贈与と住所の認定)です。これは、“日本に住所を有しない者への国外財産の贈与は日本の贈与税の対象外”とされていた当時の税制を使い、子息を香港に居住させることで1,653億円の財産にかかる贈与税を回避した事件です。最高裁まで争われて、結局納税者側が勝利しました(2011年2月18日)。ここでは、香港居住の合理的な理由と住所の認定という法形式が争われましたが、結局、合法であるとの結論となりました。
 その後、国税側は税法の改正でこの抜け道をふさぎました。グレーな租税回避行為は税法改正でしか対処できないのです!

節税と租税回避の違い
 節税は税法が予定している中で税負担の減少を図る行為であるのに対して、租税回避は税法が予定していない異常な法形式を用いて税負担の減少を図る行為です。異常かどうかは“社会通念で決められる”ことになります。境界は明確ではありません。
 世の中には、複数の一般措置や特例措置を組み合わせることで、租税負担を軽減・回避するタックス・シェルターというスキームが種々考案され、利用されてきました。
 税務の専門家は、上記のようなことを念頭に、日々の業務で頭を捻っています。






H28.3.7
企画業務と“見える化”

 企画書とは目的達成のための設計図で“見える化”がよく活用されます。
 例えば、展示会への出展を足がかりとして市場開拓・販路開拓を図ろうとする場合に、“見える化”を大いに活用した「展示会出展企画書」を作成し、上司の承認を得て実行に移す必要が生じます。この例で企画書作成の実務的方法を以下に解説致します。

企画の基本“CTPT”と“見える化”
 企画の基本フレームとして次のように“CTPT”を活用して企画書を検討、記述し、その中で“見える化”を工夫します。
企画書・CTPT           検討・記述内容(例)
@企画書のタイトル        ○○展示会出展企画書
A前回の反省点と対策      ○○が不十分であったため、今回は△△を改善する
BC:Concept展示会で      自社商品の「USP(注)」を“見える化”して訴求
訴求するポイントの設定   
CT:Target             ・健康志向の商品販売に関心を持つ法人
今回のターゲット及び目標    ・目標:提案のアポどり、○件以上
(案件開拓件数等)     
DT:Tool&EventUSPを      展示に用いるツール・デモンストレーション・トーク方法の工夫
“見える化”して
アピールする具体策     
EP:Process            横軸に月日等時間軸をとり、
展示会の準備等実行方法、   プロセスに従った作業名を□のマスの中に書き、
結果確認までのプロセスを    時間軸に合わせて矢印でつなぎ“見える化”。
“見える化”             分担して同時並行作業になる場合がある
(注)「USP」:Unique Selling Proposition(独自の販売提案) 自社商品の「強み」を強調して「販売機会」において提案すること。

経営者・管理者の留意点
 展示会への出展目的は、自社商品へ優良顧客の関心を引き付け、取引の足がかりを得ることにありますから、自社商品のSWOT分析・3C分析等から「USP」の定義及びその“見える化”について関係者の衆知を集めて創意工夫することが協力体制を築く上で効果的です。社員の能力開発を図るチャンスとしても活用できるでしょう。






H28.3.4
仕事と介護の両立には

介護休業法の改正の動き
 厚生労働省は1995年の施行以来ほとんど見直しされていない介護休業制度の規定について「介護による離職ゼロ」を目指すため、法整備に動き出しました。労働政策審議会が育児・介護休業法等を改定する法案を近く国会に提出します。介護のために離職する人は年間10万人います。働き盛りの社員が退職すると企業にとっても痛手であり、損失でもあります。
 現行の介護休業法は、介護が必要な家族1人に付き介護休業は原則1回しかとれません。それを93日の範囲で3回まで休めるようにします。短時間勤務等ができる期間の延長、残業の免除制度等も案に上っています。

雇用保険の介護休業給付金
 介護休業を取得した時に雇用保険から給付される介護休業給付金は、賃金の40%の支給率でしたが67%に引き上げられる予定です。介護休業が必要になってくるのは75歳以上の高齢者を介護するケースが多く、2025年には2200万人に増えるとされています。子供の世代は兄弟姉妹の数も少なく、未婚の人も多いことから、男女問わず親の介護に直面する人が増えることが予想されます。給付率を上げることで制度を利用しやすくなると言えるでしょう。

仕事を続けながら介護するには
 企業は長時間労働で仕事をこなせる人ばかりをそろえるとはいかなくなってくる事が予想されます。短い時間でも成果の上がる働き方を推進することが、より必要になってくるでしょう。時間的制約のある社員を使っても生産性を下げない働き方ができるようにすることが課題となるかもしれません。
 介護休業制度は介護体制を整える期間としての位置付けであり、長期に介護休業を取ることは難しいものです。自治体の介護サービスの拡充も欠かせないでしょう。しかし介護分野は労働力不足が大きい業界であり、働き手確保のための処遇改善は大きな課題となっています。






H28.3.3
資金提供側はどうすればよい?
クラウドファンディングと確定申告


クラウドファンディングとは
 クラウドファンディングとは、起業家やクリエイターが製品開発、アイデア実現のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることを指す、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。そのイメージから「雲(cloud)」と勘違いされている方も多いのではないでしょうか。日本では、東日本大震災を機に寄付を募るプロジェクトとしても、認知が進みました。
 このクラウドファンディングは大別すると「購入型」「寄付型」「金融型」の3種類、「金融型」はさらに「貸付型」「ファンド型」「株式型」に分けられます。
2014年度新規プロジェクト支援額ベースの国内市場規模(矢野経済研究所)
購入型
20億円(10.2%)
寄付型
1億円 (0.6%)
金融型(ファンド型)
19億円(10.0%)
金融型(貸付型)  
156億円(79.2%)

資金提供者側の所得税の考え方
 「購入型」「寄付型」「金融型」は、リターンとして何をもらうか、もらわないかにより区別されています。「購入型」の場合、作品や招待、ノベルティ、完成品など金銭以外のリターンがあります。税法でも、これは商品売買として取り扱うことになります。
 「寄付型」の場合は、リターンはありません。プロジェクトの活動報告など無償の成果物が提供されますが、あくまでも寄付という形態です。この場合、支援先が企業であれば、所得税法の「寄附金控除」を受けることはできません。ただ、近年では、自治体が行うクラウドファンディングも増加する一方、大手クラウドファンディングサイトの「READYFOR?」では、昨年12月より、認定NPO法人の「赤ちゃん縁組」事業の寄付受付を行うなど「寄附金控除」が適用できるタイプのものも増えてきています。

貸付型・ファンド型は匿名組合方式が多い
 「金融型」はどれも金銭的リターンを得るものですが、日本の「貸付型」「ファンド型」は匿名組合方式で組成されることが多いようです。この場合の分配金は雑所得として総合課税の対象となり、分配時に源泉徴収(20.42%)が行われます。「株式型」は、現在法整備の最中ですが、税務上は有価証券の取得と同様となります。






H28.3.2
離職票の離職理由が違う時

離職票の離職理由
 会社を退職した時に失業給付を受ける場合は退職者が離職票をハローワークに提出しなければなりません。その際会社の記載した離職票の記載内容が本人の思っているのと違うケースがあります。離職票の記載内容に関する訂正で最も多いのが、離職票のF欄の離職理由です。事業主が理解している退職理由と従業員が考えている退職の理由が必ずしも同じとは限らないからです。失業給付の基本手当は離職理由によって本人に給付制限がかかり、給付基礎日数も変わるので、本人からすれば重要な問題となり、会社でも注意が必要です。

離職票の確認の仕方
 トラブル防止のため自己都合退職には退職届は取っておく必要があります。また、離職票の2枚目(安定所提出用)にはOの本人の判断欄がありますので、事業主が○を付けた離職理由に異議有、無のいずれかに○を付け、記名押印又は自署をするようになっています。離職票作成時に既に本人が会社にいない時はO欄に記名押印できない理由を書き事業主の印でよいことになっています。
 離職証明書の3枚目が「離職票−2」となりF欄には事業主記入欄の下に離職者記入欄があります。ここに離職者が具体的な離職理由を記載してPに離職者の記名押印をしてもらいます。

離職理由が違っていた時は
 事業主が記載した離職理由と従業員が記載した離職理由が異なる時は、事業所を管轄するハローワークにより事業主に離職票の記載内容の確認がされます。不備や誤りがあれば訂正届(補正願)と離職証明書・被保険者資格喪失確認通知書の事業主控に補正する内容の証明となる書類を添付して訂正をします。ハローワ−クによって若干求める書類が違うこともあります。事業主が不備や誤りがないという場合はその経緯を記載した理由書で報告します。離職理由の最終判断は社員の受給地のハローワークが行います。離職理由については社員とよく話し合い円滑に退職するならば問題は起こりませんが、元々話し合いがうまくなされなかった時に往々にして相違が出るようです。






H28.3.1
還付申告書
提出期限はいつまで?


 確定申告ですが、申告書を作成している段階で算出した税額が、源泉徴収された税額及び予定納税した税額に満たず、マイナス、すなわち税金が支払超過となっていることもままあります。

●還付申告と申告期限
 このような支払超過となった税金を戻してくれ、といって申告するのが還付申告です。この還付申告ですが、なにも申告期限の3月15日までに申告する義務はなく、3月15日以後の申告、期限後の申告でもまったく問題なく税金は戻してくれます。

●提出することができる日とは
 それでは、いつまで還付申告をすればよいのか、つまり、その請求権がいつまで留保されているのか、です。法律では、還付申告は、「その提出することができる日(請求することができる日)から5年間に限って提出(請求権の行使)することができる」となっています。
 問題は、この「提出することができる日」はいつかです。平成22年分までは、申告義務のない者(配当控除後に税額のない者)と納税義務のある者(配当控除後に税額のある者等)によって「提出することができる日」は、異なっていました。ちなみに、前者は翌年1月1日、後者は翌年2月16日でした。
 しかし、平成23年分以降の申告義務がある者の還付申告の提出期間については、その年の翌年1月1日から3月15日までに改正になったことから、この「提出することができる日」は、申告義務の有無にかかわらず、翌年1月1日となりました。
 よって、平成27年分の還付申告書を提出できる期間は、平成28年1月1日から5年を経過する日の前日、平成32年12月31日までとなります。

●準確定申告の還付申告について
 死亡した者の確定申告は、準確定申告と言い、その相続人は、原則、死亡日の翌日から4か月以内にその申告義務を負いますが、同様に、税金の支払超過があれば申告義務はなく、一方、還付申告はできます。
 この場合も還付の準確定申告書を提出することができる日はいつか、ですが、原則、死亡日の翌日ということになり、その期間は5年を経過する前日までとなります。
 なお、いずれの場合においても、「提出できる最終日」は、還付金の請求権の消滅時効の完成日であり、延長されることはありません。