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H28.7.29
管理者は偉い人?

“管理者は権限を持ち、指揮命令する偉い人”だと管理者が自認し、一般社員からも、そのように見られている企業は様々な障害を持つ問題企業であると言えます。

“管理者は偉い人”の問題点
 このような管理者が多い企業では、次のような問題が生じ、企業衰退の原因を作り出します。
@組織上下のコミュニケーションは、上から下への指揮命令が最重視され、主体性を持たない“指示待ち人間”が増加する。
A上司迎合型・従属型の型にはまった社員を生み出し、自ら問題意識をもって仕事に取り組む主体性の高い社員は疎外される。
B社員の意識が企業内部の“上司の指揮命令内容”に向けられ、最も重要な顧客満足の問題等、外部環境の変化からそれてしまう結果、重要な問題を見落とす。
C管理者間の権利意識が衝突し、組織間の障害が起きやすく、正常な連携が図れない。
D組織運用が管理者の価値観次第で、硬直的になり、社員の問題意識を起点とする改革・革新が生まれない。
E長期的視点で見ると、自ら問題を発掘し、主体性をもって解決しようとする頼もしい人材の育成が図れない。
 このように、“管理者は偉い人”と言う管理者と社員の認識は、それが強く、多いほど、会社に悪い影響を与えます。

“管理者はつらい人”
 本来、管理者は、所管する組織が果たすべき機能に応じた業務上の責任と権限を持ち、常に業務目標の達成へ向けて、緊張感・危機感をもって取り組まなければならない“つらい人”です。したがって、社員の問題意識・主体性・バイタリティーを引き出すリーダーシップが求められており、それには、前項の問題点とは逆の状況を生み出すマネジメント能力が必要になります。

経営者の留意点
 この意味で経営者は、“最もつらい人”であると言えます。その責任を果たすため、
「目標管理制度の運用過程は、同時に実践的な管理者のマネジメント能力向上の場である」ことを認識して管理者の人材育成に活用したいものです。






H28.7.28
平成28年4月より定額法一本化
建物附属設備の資本的支出の取扱い

建物附属設備・構築物の「定額法」一本化
 平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物・鉱業用の建物の償却の方法については、「定率法」が廃止され、次の償却方法が適用されます。
@建物附属設備及び構築物(鉱業用を除く)…定額法
A鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る)…定額法又は生産高比例法
 この改正に伴う留意事項を少しまとめておきましょう。

資本的支出は旧定率法資産への加算は可
 現行法令では、資本的支出は、原則として、「新規資産の取得」とみなされますが、次の2つの特例が設けられています。
@既存資産が旧定額法・旧定率法
 既存資産の取得価額に資本的支出の額を「加算」して償却
A既存資産が250%定率法・200%定率法
 資本的支出の翌事業年度に、既存資産の帳簿価額と資本的支出の帳簿価額を「合算」して新規資産として償却
 Aの取扱いは、既存資産だけでなく、資本的支出も「定率法」である必要があるため、今後の建物附属設備の資本的支出については@のみが適用されます。

取得時期:〜H19.3.31 既存資産償却方法:旧定額法・旧定率法 資本的支出の原則:定額法
取得価額に加算等:旧定額法旧定率法
取得時期:H19.4.1〜 既存資産償却方法:定額法・250%定率法 資本的支出の原則:定額法
取得価額に加算等:―
取得時期:H24.4.1〜 既存資産償却方法:定額法・200%定率法 資本的支出の原則:定額法
取得価額に加算等:※経過措置あり
取得時期:H28.4.1〜 既存資産償却方法:定額法 資本的支出の原則:定額法
取得価額に加算等:―
 ただし、経過措置により、既存の建物附属設備・構築物に200%定率法を適用している場合には、平成28年3月31日以前に支出した資本的支出を、平成28年4月1日以後開始事業年度に既存の建物附属設備・構築物の取得価額に合算することができます。

既存資産の償却方法変更も申告期限でOK
 また、今回の改正に伴い、建物附属設備等の償却方法と統一するために、償却方法を「定額法」に変更する会社もあるでしょう。この場合にも経過措置が設けられており、変更事業年度の申告期限までに届出書を提出すれば、既存資産についても「定額法」への変更が認められます。






H28.7.27
「中古資産の耐用年数」適用は注意
リノベーション時の耐用年数


中古家屋の「リノベーション」
 最近、不動産の分野で「リノベーション」という言葉をよく聞くようになりました。 
 「リフォーム」と区別が難しい表現ですが、「リフォーム」は、「老朽化した建物を当初の性能に戻すこと」。税務でいうところの「原状回復」のニュアンスに近い意味で用いられます。一方の「リノベーション」は、「用途や機能を変更して、付加価値を高めること」。好立地にある中古のマンションの古い間取りを変えてみたり、古民家の雰囲気をそのままに、デザイン性を加えるなどして市場価値を高めるのがその例です。「用途変更」までに及ぶことが多く、「リフォーム」よりは大がかりになることから、税務でいうところの「資本的支出」のニュアンスに近い意味で用いられます。

リノベーション時の中古資産の耐用年数
 中古物件を購入して、すぐに「リノベーション」を行う場合には、税務上、注意したい点があります。「中古資産の耐用年数」の適用です。中古資産を取得した場合、次のような簡便法による耐用年数(残存耐用年数)を適用する場面が多いようです。
?法定耐用年数の全部を経過したもの
法定耐用年数×20%=残存耐用年数
?法定耐用年数の一部を経過したもの
法定耐用年数−経過年数+(経過年数×20%)=残存耐用年数 
中古資産を取得し、事業の用に供するにあたって改修に要した費用の額は、資本的支出として取扱われます。その資本的支出の金額が、中古資産の取得価額の50%に相当する金額を超えるときは、簡便法による残存耐用年数の見積もりができません。

簡便法が適用できない場合の耐用年数
 この場合には、合理的に残存耐用年数を見積もることが原則となりますが、次の算式により算出した耐用年数の選択も認められています。
(算式)
(中古資産の取得価額+資本的支出)÷(A/A′+B/B′)
A:中古資産の取得価額
A′:中古資産について簡便法により算定した耐用年数
B:中古資産の資本的支出
B′:中古資産に係る法定耐用年数






H28.7.26
介護離職者の増加対策


年間10万人超の介護離職者
 内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると平成23年10月から24年9月までに介護や看護を理由とする離職者は10万1千人もいたそうです。
 離職や退職をした内訳は男女とも50代と60代が7割を占めています。企業にとってはベテランで必要な方が抜けてしまう事があるかもしれません。この問題は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる平成37年以降に顕著になると言われています。厚労省は法改正や助成金の新設、拡充で対策に取り組もうとしています。

法の整備で休業を取りやすく
 企業としても人材確保の面から今後の法改正の内容や助成金を利用した社内の就業環境整備を検討されているところもあるでしょう。法改正では今までの介護休業制度の93日以内の連続取得1回では使い勝手が悪いと言う事で、利用率を上げる為に来年1月からは3回までの分割取得もできるようになります。介護される対象家族も非同居、非扶養の祖父母や兄弟姉妹、孫にも拡大します。介護休業給付金の支給率も8月から現在の休業前賃金の40%から67%に引き上げられます。

両立支援のための制度作り
 社内で介護休業取得者が出た時の為にどのように準備しておくのが良いでしょうか。
@介護保険制度の概要や現在の介護支援制度の説明、周知・・・介護休業を利用出来る場合や要件、介護休暇や短時間勤務制度についての説明、自治体の地域包括支援センター等、相談先の情報を提供します。
A介護をしている従業員にはヒアリングやニーズ調査を実施・・・社内体制の検討材料にもなり、他の従業員には目標管理の面接の時等に介護休業の予定の有無等も確認します。
B現在の介護支援制度の運用や拡充の検討・・・制度設計や運用の方法を見直し、問題があれば改善を図ります。
C両立支援取り組みの周知と意識改革・・・制度導入の説明に加えて社内の周囲の人や管理職の意識改革も必要となるでしょう。
 利用する人が事情に合わせて柔軟な勤務ができれば「人材確保」に繋がっていくことでしょう。






H28.7.25
介護休業給付金の支給率アップ

8月より支給率を引き上げ
 雇用保険の介護給付金はこれまで休業開始時の賃金の40%でしたが、平成28年8月以降に開始する介護休業からは支給率が67%になります。支給額の比較をしてみると休業開始時日額1万円の方が3ヶ月(1ヶ月を30日として)介護休業を取った場合の総支給額で見てみます。
 1ヶ月の30万円×40%=12万円。3ヶ月で36万円が最大支給額でした。新しい支給率の場合は1ヶ月30万円×67%=20万1千円、3ヶ月で60万3千円とかなり引き上げられています。又、介護休業給付金の算定基準となる賃金日額の上限額も8月1日以降に開始する介護休業から引き上げられます。

年齢区分適用ランクの変更
 介護休業給付金の算定基準となる賃金日額の上限は雇用保険の賃金日額の上限(一定の年齢ごとに区分)を基に決められています。これまでは「30歳から44歳までの賃金日額の上限額」を適用していましたが、平成28年8月1日以降に開始する介護休業からは「45歳から59歳まで」の賃金日額の上限額」を適用します。
 支給率をアップしたり上限額の年齢区分適用ランクを引き上げたりは、働き盛りの人が介護休業を取得するようになった時に備えていると言う事でしょう。
 又、8月1日以降に介護休業を開始した方で支給対象期間中に賃金の支払いがある場合、賃金額が「休業開始時の賃金日額に支給日数をかけた額」に対し13%を超える時には支給額は減額され80%以上支給される時は給付されません。

介護休業の分割取得
 介護離職問題がクローズアップされる中、改正によって仕事と介護の両立支援制度の見直しも行われています。これまでも育児介護休業法では介護休業の規定はありましたが、休業日数が原則1回に限り93日までの取得に限定されていました。そこで3回を上限に分割取得できるようになります。
 介護休暇日数は現在年5日で、それは変わりませんが半日単位の取得も認められるようになります。平成29年1月から施行の予定です。






H28.7.22
共通の価値観

「全社員が共通の価値観で結ばれている」と言える企業は、強い企業です。 
 すなわち、価値観は、企業風土や従業員の具体的な行動、顧客が受け取るサービスや商品のありかたにも影響し、結果として企業の存続、消滅にも影響することがあるからです。

上下に価値観の断層がある企業
 反対に、社内に価値観の断層がある企業は、問題企業と言えます。
 例えば、経営者や管理者層が「自分達は能力と権限を持つ偉い存在だ」と自認して部下に命令し、従属を求め、一般社員層は、そのような上司に反発を覚えていたり、心にもなく迎合していたりする場合は、価値観に上下の断層があり、企業組織が一体となって経営目標を達成する上で、重大な障害となります。
 このような状況にある企業は、その断層を埋めることが、当面するおおきな経営課題となっているのです。

共通の価値観を形成するには
 経営者から一般社員まで、共通の価値観をもつには、いくつかの原則があります。
@経営者が「共通の価値観」の提唱者となって、社内に地位の上下や部門間に共通の価値観浸透を実現すること。
A価値観は、その表現はどうあれ、顧客や社会に貢献し、創造的精神をもって、変化に適応し、挑戦しつつ仕事に取り組むための規範であること。
B一時的な価値観の対立があっても、それらを共通の価値観形成への過程として超克し、一段高い視点から融合・統一を図ること。
C事業を推進する実務の中で、共通の価値観形成を図り、具体的で、実践性の高いタフな価値観とすること。

経営者・管理者の留意点
 経営者・管理者の立場で、共通の価値観形成を図るチャンスは、目標管理制度の運用によく現われます。例えば、
@目標設定の課題として、何を優先すべきか
A目標の高さをどこに置くべきか
B目標達成期限の設定
C達成プロセスの問題解決
などは、社員間の価値観の違いが現われやすく、おおいに議論し共通化を図るチャンスと言えます。






H28.7.21
預貯金と遺産分割

預貯金は遺産分割の対象外?
 「相続財産」と聞いて思い浮かべるものに、「預貯金」を挙げる人は少なくないでしょう。預貯金については通常の相続財産とは少し取扱いが異なり、実は、遺産分割の対象外であるとされているのです。

相続開始により当然分割される預貯金
 相続財産は、相続が発生すると、遺産分割により各相続人の相続分が確定するまでの間は、各自の相続分に応じて共有とされるのが原則です。しかし、現金や預貯金はその性質上、分割が可能な「可分債権」であり、相続財産中に可分債権があるときは、「その債権は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではないものと解される」とされていました。
 つまり、可分債権である預貯金は「当然に相続分に応じて分割され、各共同相続人の分割単独債権となる」ものであって、遺産分割の手続を要しないものであるため、そもそも遺産分割の対象とはならないということになるのです(最判平成16年4月20日)。

実務と判例の食い違い
 一方で、実務上は判例と異なり、預貯金についても相続人間で遺産分割の対象とする合意がある場合には遺産分割の対象とすることが認められています。また、銀行側でも相続人全員の同意書や遺産分割協議書の提出がなければ、相続人1人からの払戻請求に応じることは難しいのが実情であり、実務と判例で食い違いが生じていました。

「対象外」が見直しになるか
 しかし現在、この預貯金を遺産分割の対象外とする判例が見直される可能性が出てきています。今年3月23日、最高裁第一小法廷は預金を他の財産と合わせ遺産分割の対象にできるかどうかが争われた審判の許可抗告審で、審理を大法廷に回付し、いよいよ大法廷での弁論期日が10月19日に指定されました。これにより判例が変更された場合は、今後の相続実務、銀行実務に大きな影響を与えることが予想されますので、その判断が大いに注目されています。





H28.7.20
個人の寄附は「ふるさと納税」に
義援金にも注意が必要


義援金は大きな控除が受けられる?
 このたびの熊本県・大分県を震源とする大地震により被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
「被災地に寄附を」と各団体が声を上げていますが、この義援金は一定条件を満たせば、通常の特定公益増進法人や公益財団・社団法人等への寄附よりも、大きな割合で控除が受けられるようになります。

法人が寄附した場合
 法人が国や地方公共団体に寄附した場合は、全額損金算入となります。また、特定公益増進法人(例:日本赤十字)等への寄附であった場合でも、「震災義援金」の口座に対して支払った義援金は、国等への寄附に該当して、全額損金算入となります。ただし、例えば日本赤十字社の事業資金としてのものなど、最終的に地方公共団体へ拠出されるものではないものについては、特定公益増進法人への寄附となり、特別損金算入限度額の範囲内で損金算入となります。

個人が寄附した場合
 個人が日本赤十字等に義援金として寄附した場合は、「ふるさと納税」扱いとなります。ただし条件があるので、以下の点に注意しましょう。
@法人同様、義援金が最終的に被災地方団体又は義援金配分委員会等に拠出されることが募金要綱、募金趣意書等で明らかにされている必要があります。
A地方自治体以外の募金団体を通じて寄附をした場合は、去年より始まったふるさと納税の「ワンストップ特例」が使用できません。確定申告によって申告をする必要があります。この場合は確定申告に「募金団体が交付する受領書(最終的に被災地方団体又は配分委員会に拠出されると明示してあるもの)」か「振込依頼書等の控えと、その口座が義援金等のための専用口座である事が確認できる書類」が必要です。
B別に「ふるさと納税」している方は、義援金も合計して控除上限額が判定されます。

 すでに義援金をお送りになった方もいらっしゃると思います。送り先等を一度チェックしていただくと良いかもしれません。





H28.7.19
実は一番難しい?
許認可と建物の使用承諾

許認可の基本、「場所」
 事業の内容によっては各関係官庁から許認可を得なければ営業できないものがあります。一口に許認可とは言ってもその手続きは多種多様ですが、大抵の手続きで基本となるのが「人」「財産」そして「場所」の3つです。許認可によっては「場所」に対して付与されますので、許認可事業を行う事業者にとってオフィス選びはとても重要になります。

「事業所使用OK」だけでは不十分?
 「場所」が要件になる許認可では、まず賃貸借契約書の使用目的に「事業用」と書かれていることが第一前提となります。最近はSOHO賃貸物件(住居兼事務所)も増えていますので、事務所としての使用が許可されていても契約書上の使用目的が「住居用」となっている場合もあります。「事業所使用OK」の文言だけでは、許認可取得に十分な要件を満たしているとは限らないため、事前に注意が必要です。

分譲マンションでの注意点
 では、持ち家を事業所とする場合はどうでしょうか。最近は自宅兼事業所として開業するフリーランスの方なども多く、自分に所有権があれば賃貸借契約を結ぶ必要はありませんし、自分が代表を務める法人と賃貸借契約を結ぶにしても、自らが使用承諾をすれば解決するように思われます。この点、一戸建てであれば使用目的の部分で問題になることはあまりないでしょう。一方で、分譲マンションの場合、たとえ自分に所有権があっても、管理規約等で「居住専用」と定められていることがほとんどです。このような場合、たとえば東京都で古物商許可を申請する際には、『分譲、賃貸に限らず、マンションや集合住宅など、使用目的が「居住専用」となっている場合は、所有者や管理会社・組合等から「当該場所を古物営業の営業所として使用することを承諾する」旨の内容の書面(使用承諾書)を作成してもらうこと』になっており、管理会社等から使用承諾書がもらえなければ、たとえその他の要件を満たしていても許可してもらえません。これは、インターネットでの非対面取引を想定している場合も同様です。マンション側としては、治安の面から住人以外の不特定多数が出入りする可能性は避けたいところであり、なかなか使用承諾を得られないのが実情です。手続きそのものよりも、この使用承諾を取ることが、実は一番のハードルかもしれません。





H28.7.15
マイナンバーと外国人雇用

マイナンバーは外国人にも
 マイナンバー制度では日本に住民登録のあるすべての人に個人番号が付されます。
 かつて外国人の方は「外国人登録制度」という外国人の住民専用の記録制度により情報が管理されていました。しかし、平成24年7月にこの制度が廃止され、現在は外国人も日本人同様、住民基本台帳で管理されていますので、外国人であっても住民登録が必要な90日以上の滞在許可を持つ方にはマイナンバーが付番されています。

マイナンバーと副業
 マイナンバー導入については「会社に副業がばれてしまうか?」という不安の声が数多く寄せられていました。マイナンバー制度は役所等法律で決められた機関に対しての手続にしか使用できないとされています。たとえ役所側で副業を把握したところで、役所から勤務先へその事実を通知することは考えにくいため、制度の導入だけで副業が知られる可能性は低いとされているようです。

留学生の掛け持ちアルバイト
 しかし、各勤務先での収入がマイナンバーにより紐づけられ、役所側に対しては収入実態がガラス張りになります。こうなった場合、外国人は日本人と少し事情が異なります。
 たとえば留学生の場合、アルバイトをしても良いとされている稼働時間は週28時間まで(長期休暇中は1日8時間まで)です。労働時間を守ればアルバイトの掛け持ち自体が否定されているわけではありませんが、すべての勤務先できちんと労働時間の管理がされているとは限りません。しっかりと労働時間が管理されていない場合、雇用主や留学生自身も知らないうちに勤務時間を超過してしまい、マイナンバー制度により知り得た雇用情報や納税情報から、結果的に週28時間以上の就労をしている事実が発覚しやすくなるという可能性は捨てきれません。この事実が発覚すると、最悪の場合、留学生自身は在留期間の更新や就職時の在留資格変更が認められないこともあります。
 今後、マイナンバーの運用がどのようになるかはまだわからないものの、いずれにしても、雇用主としてはしっかりとした労働時間管理で予防したいところです。





H28.7.14
認められる 支出がなくても必要経費 !


 所得税法には、所得計算にあたって数多くの特例があります。その中の一つに「家内労働者等の必要経費の特例」があります。

●必要経費の特例
 事業所得又は雑所得の金額は、原則、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算しますが、家内労働者等に該当した場合には、実際にかかった経費の額が65万円未満であっても、必要経費として65万円まで認めるものです。もちろん、実額経費が多い場合は実額が使えます。
 この特例は、昭和63年に創設されたもので、その趣旨は、同じ労働を対価とする収入であっても、パート等の勤務者には最低でも給与所得控除65万円の適用がある一方、雇用関係のない家内労働者等にあっては適用がない、これでは課税の公平の観点から平仄を欠く、でした。

●家内労働者等の範囲
 条文を要約すると、@家内労働法に規定する家内労働者やA外交員、B集金人、C電力量計の検針人のほか、D特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者、がその対象者です。
 では、具体的にどういう人や仕事が対象になるかです。@の家内労働者ですが、いわゆる「内職さん」、今日的には「在宅ワーカーさん(在宅勤務ではない)」がこれに該当します。A、B、Cは問題ないと思いますが、少しわかりにくいのがDです。ここでのキーワードは、「特定の者」、「継続的」、「人的役務の提供」です。
 したがって、不特定多数の人を対象としたサービスの提供は対象外となりますが、特定の者については、サービスの提供者が特定されていればよく、その提供先が複数であってもよいことになっています。概ね、次のような人が該当するものとして取り扱われています。
 乳酸菌飲料の訪問販売員(ヤクルトレディー等)、成年後見人等、専属モデル、シルバー人材センターの登録会員、特定の会社から翻訳等の仕事を請けている人です。

●適用にあたっての留意点
 給与等の収入金額が65万円以上あるときは、この特例は適用できません。
 また、公的年金以外の生命保険契約に基づく雑所得等がある場合も、そこで計上した必要経費が65万円を超えていればこの特例は適用できません。





H28.7.13
目標管理とバイタリティー

 バイタリティーが個々の社員や組織にとって重要なことは言うまでもありません。
 東芝社長、経団連会長を歴任した土光敏夫氏は、かつてバイタリティーを次のように定義しました。

   バイタリティー(活力)=知力×行動力
   行動力は(意力+体力+速力)から成る。

 すなわち、
・活力のベースには、専門知識・技術や固有の知識・技術、さらに判断し、考えるなどの「知力」が欠かせない。
・「知力」は仕事の必要条件であるが十分条件ではなく、「知力」を成果として結実させる「行動 力」が欠かせない。
・その「行動力」は、意思・性根・やる気の源泉である「意力」、物事を身体を使って処理し尽くす「体力」、処理スピードを上げる「速力」によって生まれる。
と定義し、経営の行動指針として、全てにバイタリティーを持とう、と説きました。
 経営者・管理者が企業活動で、実際に遭遇する問題として、「うちの社員は、バイタリティーが不足している」と感じられる場合、「知力、行動力のどちらの問題なのか、両方の問題なのか」と的確に判断して、バイタリティー向上に向けたマネジメント行動をとる必要があります。

目標管理におけるバイタリティー
 経営目標を達成する重要な機能を持つ目標管理制度の運用でも、このようなバイタリティーが必要不可欠です。
 ここでは、目標管理における管理者のマネジメントにおけるバイタリティーの活用の意味を考えて見ましょう。
 目標管理制度の運用では、目標設定と目標達成プロセスにおいて、社員のバイタリティー発揮の効果が現われます。
 したがって、経営者・管理者はその局面で、個々の社員や組織のバイタリティーを最大限に活用するマネジメントを実践するべきです。具体的には、
@より意欲的な目標設定がなされるよう経営者・管理者のビジョンを示す意思表明とともに、社員の参加の場をつくり、積極的な知力・行動力を引き出す。
A目標達成プロセスでは、障害となった問題の解決や、促進要因の効果的な活用に知恵を絞り、衆知を集めて協働して行動するよう誘導する。
Bバイタリティーのベースとなる知力の不足は次年度の能力開発計画に反映して強化を図る。





H28.7.12
海外勤務中の社会保険

社会保障協定締結国への派遣
 海外支社等へ勤務等の転勤で日本の健康保険や厚生年金に加入していて、日本と外国どちらにも社会保険料を支払う事になる「二重加入」の問題があります。そこで保険料の掛け捨てにならぬよう日本と諸外国との間で社会保障協定が締結されています。
 この社会保障協定は締結する相手国により内容は異なりますが、共通する年金制度事項の概要を説明します。

@二重加入の解消(適用調整)
 日本の会社から海外支社に派遣(転勤等)される場合は、原則は両国の社会保険に加入となりますが社会保障協定国との間では派遣先国の社会保障制度のみに加入する事を原則とし、派遣就労が一時的であれば派遣元国のみに加入します。判断基準となる「一時的な派遣就労」とは派遣先国への派遣期間が5年を超えない見込みである事で、長期派遣により海外の派遣先国の社会保険に加入する場合には任意で日本の厚生年金保険や加入できる特別加入制度もあります。

A年金加入期間の通算
 日本と協定国の各々の国で年金受給に必要な加入期間(受給資格期間)を確認する上で一方の国の加入期間では年金を受給できない場合には協定国での加入期間を通算します。外国の方が日本の社会保険に加入して帰国後、脱退一時金を受けた場合は、期間は通算されません。

B各国との社会保障協定の内容
 日本と各国との間の社会保障協定は平成28年3月現在、19カ国で署名され、内15カ国とは協定を発効しています。スウェーデン、中国等4カ国とは協定交渉が行われています。協定相手国の社会保障制度等に応じて各国との協定内容は異なります。原則協定を締結していない国への勤務は日本と勤務先の各々の社会保険制度に加入する必要があります。

C社会保障協定の手続
 日本から協定相手国へ一時派遣される際に相手国の社会保険加入免除を受けるには年金事務所から交付される「適用証明書」を派遣先国の社会保険制度の実施機関に提出します。長期派遣の場合は管轄の年金事務所に資格喪失届を提出します。





H28.7.11
個別労働紛争解決制度の施行状況

 「個別労働紛争解決制度」とは
 この制度は事業主と個々の労働者との間の労働条件や職場環境をめぐるトラブルの未然防止や早期解決を図る為の紛争解決制度で「総合労働相談」「助言・指導」「あっせん」の3つの方法があります。「総合労働相談」は都道府県労働局や労基署、駅近隣に設置された相談コーナー等で専門員が行っています。「助言・指導」は都道府県労働局長が紛争当事者に対して解決の方向を示し、自主的解決を促進させます。「あっせん」は紛争当事者間に弁護士や大学教授等の紛争調整委員が入って話し合いをさせ解決を図ります。

総合労働相談は8年連続100万件超え
 この度平成27年度の施行状況が厚労省より発表されました。平成27年度は前年度と比べ総合労働相談件数が微増、助言・指導申出、あっせん申請の件数は減少しました。但し総合労働相談の件数は8年連続で100万件を超え高止まりが続いています。総合労働相談のうち民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が66,566件と4年連続で最多を記録しています。「いじめ・嫌がらせ」による相談が増えている背景は一般的に認知されてきていると言う事かもしれません。全体の2割以上(22.4%)あります。
 解雇問題は37,787件(12.7%)、自己都合退職(12.7%)とほぼ同じです。相談対象者の就業形態は「正社員」が92,624件(37.8%)、「パート・アルバイト」は39,841件(16.3%)、「期間契約社員」25,732件(10.5%)、派遣労働者が10,549件(4.3%)でした。

いじめ等の助言・指導あっせん事例
@本人は先輩社員より「のろい」「気がきかない」「辞めたら」等の発言を受け上長に訴えたが対応してもらえなかったケース……本人と先輩を別部門に異動する助言により解決を図った。
A1年の有期雇用契約者がリーダーより無視、机を蹴る等の言動を受け通常の2倍の仕事量を押しつけられていたケースで期間満了までいられず退社し、会社に金銭補償を求めていたケース……あっせんにより解決金として賃金1カ月分相当を払う事で合意した。





H28.7.8
消費税延期されるものされないもの

IC消費税10%は再延期、いつから?
 消費税の10%への税率アップは、平成27年10月からだったものが、平成29年4月に延期されていて、さらにこの度、平成31年10月に再延期されることになりました。
 ただし、法律の改正を経ないと、延期は実現しません。秋の臨時国会に、今年春に確定した改正消費税法を改正する法案が提出されるものと思われます。

再延期の時期はそれぞれ
 秋の国会に出される延期法案で確実なのは、消費税率10%への増税なので、複数税率化も同時に延期されることになります。
 複数税率化の延期に伴い、来年4月から施行予定であった、インボイス(適格請求書)制度の導入準備開始制度も一定の修正をせざるを得ないことは明らかですが、必ずしも単純に2年半延期されるわけではないと思われます。
 さらに、平成33年4月から導入のインボイス番号制度は延期されずに、予定通りの施行になる可能性は大きいです。

来年4月からの準備開始制度
 今年成立の改正税法では、インボイス正式導入までの経過措置として、請求書には、税率の異なるごとの請求額合計とそれら毎の消費税額を各別に記載すること、になっています。消費税額無記載や内書き表記は正しい表記ではなくなりました。
 単数税率だったとしても、ゼロ税率や非課税もあるので、その部分の微修正を経てインボイスとしての体裁を整える方向で、延期なき施行になると思われます。
 なお、記載不完全な請求書の交付を受けた場合は、正式導入までの準備期間に限り、事実に基づき追記することが認められていますが、免税事業者であることが明らかな者からの仕入では追記は認められないので、もはや課税仕入にはなりません。

税額計算の方法は積上げ方式
 インボイス正式導入前でも、請求書に記載の消費税額が中心になるので、その積上げ額が、仕入消費税・売上消費税の基本になりますが、税率の異なる毎の取引総額からの割戻し計算も用意されています。
 売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対しては、正式導入までの準備期間に限り、売上税額又は仕入税額の計算の特例が設けられます。@10営業日サンプル割合方式、A仕入割合・売上割合での売上仕入割合推定方式、B50%簡便法などです。





H28.7.7
“ベンチマーク”の活用

“ベンチマーク”とは、「社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準・基準など」を意味しますが、企業における課題解決を図る場合は、「競合他社などの優れた経営手法(ベストプラクティス)を持つ企業を分析するプロセス」を指し、さらにそのような「優れたシステムそのものを自社版に置き換えて応用すること」を指します。

目標管理制度改善の“ベンチマーク”
 “ベンチマーク”を目標管理制度の改善、改革に応用するケースで考えてみましょう。
目標管理制度は、重要な経営管理システムのひとつで、業績管理制度ですから、一般的には次のような課題が挙げられます。

大きな視点から課題を設定する場合
@ 目標管理制度の活用目的明確化
A 目標管理制度のコンセプト設定
より具体的な視点で課題を設定する場合
B 目標設定の方法
・経営貢献度を高める目標設定
・効果的な共同目標の設定方法
C 目標達成プロセスのマネジメント
D 評価基準の設定方法
・貢献度評価の方法
・絶対考課・相対考課の使い方
・チームワークの公正な評価方法
E 人事賃金制度との関連付け
・目標管理制度と等級制度の関連
・目標管理制度と賃金制度の関連
・目標管理制度と人材育成制度の関連

 自社の目標管理制度の運用実態に基づいて、「どこが、どのように問題なのか」を見据え、その解決を課題とすべきです。

“ベンチマーク”の手順・ポイント
改善・改革を必要とする課題を明確にした後の手順は、次の通りです。
@ 課題に関する他社の目標管理制度に関する情報を、外部の事例発表会・専門情報誌・講演等から収集する。
A 他社情報から得た情報を評価する。
(自社の課題を解決できるか。)
B “ベンチマーク”とすべき優れたシステムを特定する。(単一とは限らない。)
C 自社のシステムを改善・改革する具体案を作成する。
D 改善・改革したシステムを一定期間実際に適用して、効果を検証する。

 単なる“真似”に陥らず、的確に自社の課題解決を実現することが大切です。





H28.7.6
最小行政区画ってなに?

「D会社の定款と最小行政区画
会社の名称や所在地、事業目的などの基本事項を定めた会社の基本規則を「定款」と言います。株式会社も合同会社も、会社を設立するときには必ず作成する書類です。この「定款」で会社の所在地を定める際、「東京都〇〇区××町一丁目2番3号」といった具合に、住所を最後まで記載する必要はなく、「最小行政区画」まで記載すれば良いということになっています。では、「最小行政区画」とは、具体的にどこまでを言うのでしょうか。

「最小行政区画」=いわゆる「市区町村」
 行政区画とは、行政機関の権限が及ぶ範囲として細分化された地域です。結論から言うと、東京都の場合は「区」まで、その他の場合は「市町村」までが「最小行政区画」となります。
よって、定款では「東京都千代田区」や「群馬県高崎市」まで定めれば良いということになります。

政令指定都市の「区」はどうなる?
 では、横浜市や仙台市、広島市などの政令指定都市の場合はどうでしょうか。これら政令指定都市の住所では「市」の後に「区」が続く形になっていますね。こうなるとどこまで記載すれば良いか迷ってしまいますが、この場合は「市」までが最小行政区画になります。
 一般的に「市区町村」という言葉に含まれる「区」は東京都の特別区(23区)を指します。地方自治法では「特別地方公共団体」と定義されており、市町村と同じ機能を持つ行政区画です。
これに対し、政令指定都市で言う「区」は単なる住所表示であって、行政区画には当たりません。東京都の特別区と違い、こちらは「行政区」と呼ばれます。同じ「区」であっても、東京都と政令指定都市とではその意味合いが異なるのです。
そのため、東京都23区では区長を選挙で選びますが、政令指定都市における「区」の区長は選挙ではなく、市の職員から選ばれることになるのです。





H28.7.5
カマトトぶりに限界


加算税のない自主的修正申告とは
 一般的に自主的修正申告には延滞税はあっても加算税はないとされていました。
@「税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受け・・・納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、・・・過少申告加算税は賦課されません。」(FAQ)
A「意見聴取における質疑等のみに基因して修正申告書が提出されたとしても、『調査があったことにより』という要件を満たさないことから、当該修正申告書の提出は更正があるべきことを予知してされたものには当たらない。」(事務運営指針)
B「臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、原則として『更正があるべきことを予知してされたもの』に該当しない。」(事務運営指針)

よき理解者と振る舞ってきたが
 前記の@ABの税法解釈公開情報のうち、Bの部分は我慢の限度を超えていたようでした。臨場調査の通知後の修正申告は、予知してのものと解釈する立場をとっておくとか、状況次第との見解にしておくことも、可能だったのではないかと思われます。
 しかし、そのような対応をしてこなかったので、今年、法の見直しという税法改正手続きを取らざるをえませんでした。

従来論理と整合性を確保した税法改正
 従来の、臨場調査、取引先への反面調査を経て申告書の内容につき非違事項の指摘があってからの修正申告書の提出は、原則として『予知』しての行為に該当する、という理解・解釈を変更することなく、「予知のない修正申告」という新概念、今年の税制改正で創設しました。
調査の事前通知以後、かつ、更正予知前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の税率(現行:0%)は、5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える場合、その部分は10%)

ついでに無申告や仮装・隠蔽も
 予知なし加算税5%に合わせて、期限後申告への加算税、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税についても、バランスをとって、それぞれ5%の追加的加重措置が講じられることになりました。








H27.7.4

役割等級制度の目的

近年、企業の人事賃金制度の基軸として
「役割等級制度」が注目され、活用する企業が増加しておりますが、その目的から見るといくつかの類型が見られます。
[役割等級制度・目的類型区分]

類型
Aチーム業績・貢献度重視型
目的説明
貢献度・チーム業績重視(担当している職務の重要度・難易度およびその業績に応じて報酬を支払う)という方針に基づき、評価制度や給与・処遇制度を構築・管理する基軸としての役割等級制度

類型
B役割・成果・人材育成重視型
目的説明
・会社に貢献する成果に報い、職務上期待される役割の大きさ毎に等級(格付け)を定め、処遇と結びつける制度
・職能資格等級制度の「能力への着眼」という要素を加味し、中長期的人財育成の観点から「保有能力」にも着目するという、いわば「仕事(役割)」のみならず「人(能力)」にもスポットをあてた役割等級制度

類型
C役割・成果・賃金制度安定化重視型
目的説明
・経済情勢や経営環境の変化、雇用の多様化や団塊世代の退職による従業員規模の縮小を背景とし、将来に向け安定した賃金制度の維持、従業員の働き方の見直しなどを目的とする
・従来の職能資格制度・定期昇給制度から、定期昇給制度見直しを大きな柱とし、仕事の結果・成果や組織への貢献を重視した「役割等級制度」へ転換

類型
D役割・成果・処遇の公正化、モラール・生産性向上重視型
目的説明
従来の属人的・年功的な給与から脱却し、業務や役割、成果に応じた給与とすることで、社員一人ひとりの業務に対する責任感や向上意欲を高め、そのことによって企業の生産性を高めていくことを目的とする役割等級制度

経営者の留意点
 このように役割等級制度として基本的な共通点はありますが、各企業が置かれた状況により、目的は異なり、従って賃金制度・評価制度・人材育成などもそれぞれの工夫が見られます。自社の状況、課題を見据えた役割等級制度の導入を図りましょう。





H28.7.1
会計検査院報告に見る
大企業の消費税還付手法

自販機利用還付手法つぶしから6年
 自販機利用による居住用賃貸住宅建設時の消費税還付の仕組み作りは、課税事業者選択後および新会社設立後の2年間に調整対象固定資産(税抜価格が100万円以上の固定資産)を取得した場合には、その取得があった課税期間を含む3年間は、免税事業者や簡易課税事業者になれない、また、その3年間で課税売上割合に著しい変動があると調整計算により還付消費税が取戻されることになる、という平成22年税制改正で、不可能となりました。

大企業に対しては穴だらけ
 この歯止めは大企業には通じませんでした。分譲建物などの棚卸資産を歯止め規定からそっくり除外していたし、自販機利用スキームも、2年を超える大規模長期工事の場合、基準期間の存在しない期間での取得や課税事業者選択から2年以内という縛りを過ぎてしまうので、免税や簡易課税の選択に支障はありませんでした。

会計検査院報告が暴く延払基準の穴
 延払基準の選択などは大企業ならではの制度ですが、この制度は収益すなわち課税売上についてのみの制度であって、課税仕入の計上については消費税法には何も規定がないので、収益は分割計上、仕入は一括計上ということになり、延払い1期目は、まず還付を受けるということになります。
 さらにその翌年は、簡易課税の選択をした上で延払基準の取り止めで再度名目課税仕入れを発生させて多額の消費税納付差額の益金を計上することができます。延払基準の取り止めは、法人税法とは無関係に、消費税においてのみで行うこともできます。
 特定目的会社を設立して、封じ手の抜け穴を利用するスキームは容易に構築できたようで、会計検査院報告によると、多数の事例があったとされています。

今年の税制改正でモグラ叩きは終わるか
 今年の税制改正では、自販機利用抑制策の裏をかく、これらの大企業の消費税還付手法への、もぐら叩き的穴塞ぎをしていますが、延払基準の適用に関する直接的な制限規定は置かれませんでした。
 創設されたのは、調整対象固定資産取得制限規定の延長としての、「高額特定資産」仕入に対する3年縛りの制度です。新封じ手により、延払基準利用による手法への適用制限などの措置を採る必要はないとの判断のようです。