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H28.9.30
相続税額の2割加算と養子


指摘の多いのが2割加算
 相続税の基礎控除引き下げにより、課税対象者が大幅に増加し、国税庁では申告書の内容に誤りがあると疑われる場合に、納税者に文書を送付し申告書の見直しを促していますが、特に指摘の多いのが「相続税額の2割加算」のようです。

相続税額の2割加算
 「相続税額の2割加算」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族及び配偶者、以外の者である場合に、相続税額を2割加算するとするものです。
 一親等の血族とは父母や子を指します。このため、それ以外の者、すなわち、被相
続人の兄弟姉妹が相続等で財産を取得した場合や、血縁関係がない者などに遺贈があった場合等に2割加算があるということになります。
 また、孫も2割加算の対象ですが、被相続人の子が相続開始以前に死亡するなどし、代襲相続人となっている場合には2割加算は不要です。

一親等の法定血族でも孫養子は
 一親等の血族には「養子」も含まれますが、例外があり、被相続人の直系卑属で被相続人の養子になっている者、つまり“孫養子”は2割加算対象外に含まれません(代襲相続人は除く)。
 「養子」に2割加算はないが、“孫養子”に限っては2割加算があるというこの取扱いのところに間違いが多いようです。

孫養子類似の一親等の法定血族だが
 国税庁の質疑応答事例に「被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合」の事例があり、ここでは「子の配偶者」が養子となっている場合に2割加算がないことを示しています。
 すなわち、“孫養子”以外の「養子」は一親等の血族に含まれるため、例えば、「孫の配偶者」や「養子の養子縁組前の子(養子の連れ子)」が養子となっていても2割加算は不要です。

代襲相続でも2割加算される例
 国税庁の質疑応答事例には、代襲相続した孫やひ孫で、遺贈があるので代襲相続人の地位を放棄した場合、この相続放棄者には2割加算除外の適用がない、という珍事例も紹介しています。(代襲相続の規定では放棄をなかったものとするとしていない。)






H28.9.29
使用人賞与の未払金計上の可否

一般管理費の損金算入時期
 償却費以外の一般管理費については、その事業年度末までに債務が確定していればその期で損金算入するのが原則です。
 債務の確定の意味は、その事業年度の終了の日までに、@その費用に係る債務が成立していること、Aその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること及び、Bその費用の金額を合理的に算定することができること、これら@〜Bのすべての要件に該当していることです。

使用人賞与についての原則は別
 使用人賞与は、法人税法上の一般管理費等の費用の額に含まれます。しかし、使用人賞与の損金算入時期については、上記の原則とは異なり、法人税法令において、次の@〜Bの区分による、各々の損金算入時期が特別に定められています。
 規定振りをみると、債務確定日基準ではなく支払日基準を原則としつつ、債務確定日基準も例外として採用する、という考え方を採っていることが分かります。
@一号賞与:労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る)・・・・当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
A二号賞与:次の要件の全てを満たす賞与・・・・使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
(イ)その支給額を、各人別かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること
(ロ)その通知した金額をその通知をした事業年度終了の日の翌日から1ケ月以内に支払っていること
(ハ)その支給額を通知した日の属する事業年度において損金経理していること
B三号賞与:一号、二号賞与以外の賞与・・・・その賞与が支払われた日の属する事業年度

実務上の留意点
 実務上では、二号賞与の(イ)〜(ハ)の3要件についての解釈上の争いが多く発生しています。
 この3要件を充足するか、期内に賞与支払いを済ませるか、就業規則等で賞与支払いの約束をしておくか、でなければ損金の額に算入できませんので御留意下さい。






H28.9.28
具体的問題認識の効用


 問題を解決するには、その問題について“的確な状況判断”を行なうことが不可欠です。言いかえれば問題について漠然とした、曖昧な認識をしていると、的確な状況判断ができず、従って解決すべき問題の実態が具体的に見えないため、解決策が見出せないのです。
 これは、社員一人ひとりの問題解決と、チームとしての問題解決に共通で、特に後者の場合は“メンバー間の問題認識・的確な状況判断の共有”が必要ですから、相当な努力が必要になります。

具体的問題認識のやり方
 どのような問題であっても、その認識の仕方の定石は“その問題が具体的にどのような問題なのかを掘り下げること”にあります。
 それには “三現主義(現地で、現物を見て、現実に即して)”に基づいて、“なぜなぜ5回の問題分析”を行なうのが良策であり、例えば次のように行ないます。
・その問題はどのような現象か
 (○○不良品の発生、5%)
・それはどのような状況で発生したのか
 (△△工程における設備の異常な作動)
・そのような状況になったのは何故か
(設備の○○装置の部分破損)
・それが起きたのは何故か
 (装置の取り付けミス)
・何故そのミスが起きたか
 (取り付け後の確認もれ)
 この分析をチームで行なうには、メンバー全員が一緒に“三現主義”で問題を掘り下げ、原因を共有するのです。

具体的問題認識の効用
 このように具体的な問題認識を行なうと、問題の根本的原因を把握でき、従って的確で具体的な対策を見つけやすくなり、効果的対策の発見に直結します。専門的な知識や技術が必要な解決策でも、誰に質問すれば対策が得られるのか、的確に判断できます。また、チームの場合、メンバーの問題解決意欲を高める効果があります。

経営者・管理者の留意点
 経験者であるほど“問題の原因を見ようと努力する前に憶測や先入観で見てしまう性癖を持ち、誤った判断に陥りやすいこと”に留意して社員を指導しましょう。







H28.9.27
老後のライフ・マネープラン

 老後破算を防ぐ
 最近、TV、雑誌等で「老後不安」「老後破算」と言う事を聞くことがあります。高齢化社会を長生きリスクと考えるならば、対策をしておくことは必要でしょう。
 日本人の平均寿命は男性「80.50歳」女性「86.83歳」となっています。男女平均で83.7歳は世界首位です。人生80年の老後に備えた必要なお金をどう手当てしてゆくかを考えることは重要ですが、老後の成活を考える際には「どう生きたいか」と言う事もあると思います。ライフプランとも言いますが自分の描いたライフデザインを実現する為の準備として考える事が大事でしょう。

生活費を考える
 総務省の家計調査によると夫65歳以上、妻60歳以上の高齢者無職世帯の実収入は平均20万7347円、可処分所得は17万7925円となっています。消費支出は23万9485円で毎月6万1560円不足となり不足を補う為に貯蓄を取り崩してゆくことになります。この調査は平均ですので実際は住む場所や生活ぶり、自宅か賃貸か等で変わります。
 一般的には60歳以降の夫婦の必要経費は次のように計算します。
@夫婦の生活・・・1ヶ月の生活費×12ヶ月×60歳時の夫の平均余命
A夫死亡後の妻の生活・・・1ヶ月の生活費×0.7×12ヶ月×夫死亡時の妻の平均余命
 現在の公的年金の平均受給額は約月22万円(夫40年厚生年金加入、妻専業主婦)で生涯5千万円から6千万円が年金から賄われる想定です。現実はこのような条件の方ばかりではありません。家計の収支を検討し、まずは支出の把握から始め自分の必要生活費を計算し対策する必要があります。
 また、毎月の生活費以外にも突然の入院や介護、不慮の事態に備えた費用として半年分位のキャッシュが必要でしょう。

財形年金制度等の利用
 財形年金制度は勤務している事業主を通じて給与天引きで貯蓄をしてゆく制度です。貯蓄型では元利合計550万円まで、保険型では払い込み保険料385万円まで利息も合わせて非課税です。自前で行う場合、掛け金が所得控除となる確定拠出年金個人型も注目されてきています。
 どちらも将来の公的年金の補てんとして研究の余地があるでしょう。







H28.9.26
パートタイマーの社会保険加入

健康保険に加入除外の場合
 適用事業所に雇用されている方は一定の時間や日数を働いていれば健康保険の被保険者になりますが、次の様な場合は適用除外となります。
@船員保険の被保険者
A臨時に使用される人で日々雇用される人(1ヶ月を超えて引き続き使用される場合を除く)
B臨時に使用される人で2ヶ月以内の期間を定めて使用される人(所定の期間を超え引き続き使用された場合を除く)
C季節的業務に使用される人(継続して4カ月を超えて使用される場合を除く)
D臨時的事業の事業所に使用される人(継続して6ヶ月を超えて使用される場合を除く)
E所在地が一定しない事業所に使用される人
F国民健康保険組合事業所に使用される人
G後期高齢者医療制度の被保険者
H厚生労働大臣、健康保険組合、又は共済組合の承認を受けて国民健康保険へ加入した人

パートやアルバイトの社会保険加入要件
 同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の労働日数、労働時間を基準に加入を判断します。先の除外条件から外れて継続して働いている方が次の様な時加入します。
@労働日数・・・・1ヶ月の所定労働日数が一般社員の概ね4分の3以上である場合
A労働時間・・・・1日又は1週の労働時間が一般社員の概ね4分の3以上であること
@とAの条件がそろった時加入となります。
 また、次の様な@及びAの場合は雇用保険の加入対象者になります。
@1週の所定労働時間が20時間以上
A31日以上引き続き雇用される事が見込まれること

平成28年10月からパート社保加入拡大
 10月から新たに次の様な方が社保加入適用者となります。
@週20時間以上勤務
A月額賃金8.8万円以上(年収106万以上)
B勤務期間1年以上見込
C学生は適用除外
D従業員501人以上事業所






H28.9.23
消費税
住宅の貸付けと言っても色々です。

 消費税法上、住宅の貸付けは非課税扱いとなることは広く知れ渡っています。ただ、その一言では必ずしも解決できないこともありますのでご注意ください。

1.家具付き住宅の場合
 家具、照明器具、エアコンなどの住宅付属設備を含めた全体を貸付けの対価として賃貸借契約を締結している場合は、家賃全体を非課税として扱います。

2.1ヶ月未満の住宅の貸付けの場合
 住宅の貸付けであっても、ウイークリーマンションなどのように1ヶ月未満の貸付けや民泊等は旅館業に係る貸付けに該当するため非課税になりません。

3.駐車場付きの住宅の場合
 戸建住宅のように住宅の敷地の一部にある駐車スペースは、それも含めた全体が住宅の貸付けとして非課税の扱いとなります。しかし、賃貸用マンションのように必ずしも駐車スペースが住宅と一体でなく独立した賃貸借の目的の施設となっており、駐車料金として住宅部分とは別に定められている場合は、その駐車料金は課税扱いとなります。

4.賃貸借契約の際に発生する付帯収入
 住宅の賃貸借契約の際に賃貸人が収受する礼金、保証金の償却や更新料のように賃 借人に返還しなくてよい部分は、家賃と同様に非課税として扱います。敷金など返還を必要とする部分はもともと資産の譲渡に該当しませんので、消費税上課税の対象になりません。

5.共益費や管理費の取扱い
 外灯の電気料、清掃費用や庭木の管理費用などのように、共同住宅でその利用者が共通に使用する施設の応分負担として徴収する共益費や管理費は住宅の貸付けの対価の一部として非課税扱いとなります。

6.賃貸中の住宅を売却した場合
 売却代金のうち、土地の譲渡対価については非課税ですが、建物部分の譲渡対価に対しては課税の対象となります。住宅の譲渡代金は土地と建物との一体金額で取引されることが通常ですので、その場合はその譲渡代金を土地と建物に合理的に按分する必要があります。






H28.9.21
不動産事業を承継した場合の
「青色申告承認申請書」の提出期限は?

(質 問)
 平成28年3月31日に不動産賃貸業を行っていた夫が亡くなりました。私と長男が、夫の賃貸用不動産を相続した場合、4月1日から12月31日までの不動産所得について確定申告を行うことになるといわれました。今年から青色申告を行うためには、いつまでに青色申告承認申請書を提出すればいいのでしょうか。私と長男はともに無職です。

(回 答)
 ご主人が、生前、所得税の青色申告者でなかった場合は5月31日まで、青色申告者だった場合は7月31日までに提出すればよいことになっています。

(解 説)
 相続人は相続開始の日(以下、死亡日といいます)の翌日(4/1)をもって、新たに事業を開始したことになりますので、相続人が相続開始の年(平成28年分)から青色申告を行うための「所得税の青色申告承認申請書」(以下、「申請書」といいます)の提出期限は、以下のとおりです。
(1)被相続人が青色申告者でなかった場合
 @死亡日が1/15まで・・・・その年の3/15まで
 A死亡日が1/16以後・・・・その死亡日(相続人にとっての開業の日)から2ヶ月以内
(2)被相続人が青色申告者だった場合
 @死亡日が1/1から8/31まで・・・・
 その死亡日から4ヶ月以内
 A死亡日が9/1から10/31まで・・・・
 その死亡日の年の12/31まで
 B死亡日が11/1から12/31まで・・・・
 特例として、その死亡日の翌年の2/15 まで
(3)すでに相続人自身が青色申告でなく不動産貸付事業を行っていた場合は、死亡日の年(平成28年)については、原則どおりその年の3/15までが申請書の提出期限です。従って、死亡日(3/31)以降の申請では平成28年分について青色申告を行うことはできません。

(おまけ)
 上記の提出期限までに、相続財産について分割協議が整ってない場合には、共同相続人全員が、とりあえず提出期限までに青色申告承認申請書を提出することをお勧めします。






H28.9.20
株主リストの添付が義務化

登記悪用の違法行為が後を絶たず
 株主総会議事録を偽造して、役員になりすまして役員変更登記をしたり、本人承諾のない取締役就任登記をしたりして、会社財産を処分するなど、法人登記を悪用した犯罪や違法行為が後を絶たないようです。
 それで、本年10月1日からの法人登記に際しては、「株主リスト」の添付が要求されるようになりました。

商業登記規則等の改正により
 株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請では、
(1) 登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合
(2) 登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
には、株主リスト提出が要件とされました。株主総会決議を省略する場合にも株主リストの添付は必要です。

株主リストの記載事項
 添付株主リストには、議決権数上位10名以上又は議決権割合合計が3分の2以上の株主に係る次の事項を記載します。
@株主の氏名又は名称
A住所
B株式数
C議決権数
D議決権数割合
E以上に関する代表者の証明
(ただし、全株主同意を要する登記では、Dは不要です。)
 本年10月1日前の株主総会であっても、その日以降の登記申請では、株主リストの添付が必要です。種類株式発行会社の場合は、上記Bは、「種類株式の種類及び数」となります。

別表(二)を代用できる
 法務省のホームページでは、株主リストの書式例・記載例を公表するとともに、企業側の負担を考慮し、同族会社等判定明細書(A)や有価証券報告書の「大株主の状況の欄」(B)などの既存書類を利用できるとしています。(A)というのは、法人税申告書の別表(二)のことです。上記@〜Dの記載が完全で、そこに代表者の証明がなされれば、要件を具備した書面になります。
 なお、3分の2以上要件の判定に同族関係者の保有株式の合計が必要ですが、別表(二)は同族グループ毎に付番することになっているので、そのままで判定要件具備のようです。






H28.9.16
“三現主義”の難しさ


“三現主義は、“現地で、現物を見て、現実に即して判断すること”を意味し、“三現主義に基づく的確な状況判断”は全ての経営問題の解決を図るための基礎です。
 「状況判断の誤り」は「誤った対策」に直結し、重大な経営損失を招きます。

“三現主義“最大の障害と対応策
 “三現主義“の徹底は、トップから一般社員までの業務に取り組む日常の意識・行動を変える課題であり、容易ではありません。
  “三現主義“の徹底を図るとき、最大の障害は「人間には、思い込み・先入観・憶測で判断する性癖があるため、意識的に見ようとしなければ見えない」と言う障害が存在し、生産・企画業務・営業など全ての職域で次に例示するような“三現主義の徹底と対策の方向性”が必要です。

[“三現主義”徹底の方法(例示)]
@ 生産現場で不良品や設備故障が発生した時には“三現主義“に基づく的確な状況判断が不可欠です。例えば新入社員が発見した設備の不具合であっても、責任者である課長や部長が現物の状況確認を行ない、管理者の視点で他の製品や工程に波及しかねない問題に気付くなど、より高度な問題・課題の発見と未然防止対策につなげる。
A 間接部門では、例えば「設備更新のための購入稟議書」は、現場の現状設備稼働状況・メンテナンス・修理努力を行なったか等、現場の設備そのものと保守管理の現実を確認の上、作成の要否を判断し、不用な設備購入の無駄を防止する。
B 営業部門では、顧客との接点で、クレームがあった現地・現物を観察し、原因が自社の生産工程にあるのか、思いがけない顧客の使用方法にあるのか等を判断し、生産工程の改善・取扱い説明書の改訂などの的確な対策につなげる。

経営者・管理者の留意点
 経営者・管理者は、業務トラブルの処置、経営計画・目標管理制度の目標設定・達成プロセスの推進等におけるすべての経営課題発見にあたって、「思い込み、憶測、先入観を避け、ねらいを持って現地・現物・現実を見ること」を自らと社員に対して、常に求め続け、徹底を図りましょう。これは同時に判断力を高める能力開発の具体策ともなるのです。





H28.9.15
28年税制改正 加算税制度の二つの見直し


強化される法定調書制度と加算税制度
 「最近、税務調査がこないな…」と感じられている経営者の方は多いのではないでしょうか。国税庁が公表している法人税の実地調査件数は、平成17年事務年度には14.3万件でしたが、最近は10万件を切り、平成26事務年度では9.5万件となっています。
 これは、平成23年に国税通則法が改正され、税務調査手続が法整備されたこと(事前通知の法定化等)が少なからず影響を与えているものと考えられます。その一方で、近年、国税当局は、法定調書制度を拡充(国外財産調書・財産債務調書)し、財産情報の収集を強化しています。これら調書に記載のあるものは加算税を5%軽課したり、記載がないものは5%重課したりと、調書制度と加算税制度のリンクも図っています。

加算税は申告と納付に係るものが2種類
 国税には「附帯税」というものが6つあります(延滞税・利子税・過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税)。
 このうち、加算税は、申告に関するもの(過少申告加算税・無申告加算税)と納付に関するもの(不納付加算税)の二つがあります。申告・納付について「隠ぺい・仮装」がある場合には、これらの加算税に代えて、重加算税が課せられます。

平成28年改正で加算税二つの見直し
 平成28年税制改正では、申告に関連する加算税について二つの見直しが行われました。一つは「事前通知」から「更正予知」までの期間についての加算税の割合の見直しです。現行法では、調査の事前通知を行った直後にその納税者が多額の修正申告を行い、加算税賦課を回避する余地があるため、この改正が行われました。
(当初申告50万円以下の部分の場合)
------当初申告〜事前通知------事前通知〜更正予知----- 更正予知〜更正等
改正前----------------過少申告0%------------------------過少10%  
--------------------無申告5% 過少10%------------------ 無申告15%

改正後 -------過少0% ---------------過少5% --------------過少10%
-------------無申告5%------------- 無申告10%----------- 無申告15%

 もう一つは、過去5年以内に加算税・重加算税を賦課された者が、再び無申告等を行った場合には、加算税を10%加重するというものです。調査が少なくなったとはいえ、短期間に無申告等が繰り返される場合には、厳しく対処するというものです。





H28.9.14
オリンピックに見る日本の帰化事情


新オリンピックと帰化
 今年のリオオリンピックでは日本のメダル獲得数が史上最多の41個となり、大いに盛り上がりました。若手選手の活躍も見られ、4年後の東京オリンピックに向け更に期待が高まります。
 今回のオリンピックでは、カンボジア国籍を取得したお笑いタレントの猫ひろしさんが初のオリンピック出場を果たしたことも話題となりました。猫ひろしさん以外にも、卓球では中国出身の選手がヨーロッパ諸国をはじめとした国々の国籍を取得し、代表選手として出場する例が数多く見受けられます。
 自らの意思で他の国の国籍を取得することを「帰化」と言います。日本にも帰化をして日本国籍を取得したスポーツ選手はいますが、その数は決して多くありません。これには、他国に比較して厳しい帰化条件が課せられていることに一つの要因があると考えられます。

日本での帰化条件
 帰化の条件はその国々により異なります。日本では国籍法により条件が定められており、一般的には次のようなものが挙げられます。
@引き続き5年以上日本に住所を有すること。
A年齢が20歳以上であり、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していること。
B素行が善良であること。
C日本で生計維持できる能力があること。
D帰化した場合、それまでの国籍を喪失すること。(重国籍の防止)
E憲法を遵守すること。
 この他、明文化されてはいないものの、日本語能力も条件とされており、小学校2〜3年生レベルの読み書きができる必要があります。

国籍取得までの道のりが長い日本
 特にハードルとなるのが@の住所に関する条件でしょう。留学など本国に帰ることが前提である在留資格(≒ビザ)の期間は「住所を有する」と認めてもらえません。就労できる在留資格で滞在する必要があり、そもそも就労できる在留資格を得るにも学歴や職務経験、実績などが求められます。
 日本人の配偶者である場合等、上記の条件が緩和されるケースもありますが、こうした特殊な事情がある場合を除いて、オリンピック出場が可能な年齢の間に日本国籍を取得することはかなりハードルが高いのです。





H28.9.13
雇用管理改善が人材の定着を促す


人手を確保するのに必要なこととは
 景気の緩やかな回復基調の中で有効求人倍率が上昇傾向にある中、特に中小企業の多くで人手不足が常態化することが予想されます。厚労省の「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施)の調査結果が発表されました。
 調査結果から見て「今後どのような企業の求人が充足されやすいか」と言う視点から、企業が労働条件や職場環境等の改善に取り組むことと労働生産性や業績の向上との関連を見てみました。

調査結果のポイントは
@「従業員満足度」と「顧客満足度」の両方を重視することが重要である。経営方針として顧客満足度を重視する企業は多いが従業員満足度を上位に掲げる企業は必ずしも多くなく、両方を経営方針として掲げることが望ましいとされている。
A雇用管理改善に継続的に取り組むこと。雇用管理改善は、評価、キャリア支援、ワークライフバランス、女性活用、ビジョンの共有、トラブル解決の仕組み、人材マネジメント等が従業員の意欲や生産性向上につながる。これを実現してゆくのは効果が出るまである程度の時間が必要である。早期に取り組んだ企業は、社員の質や量も確保できているとする割合が増えている。
B行政による企業の様々な認定、表彰などの制度があり、その利用によって雇用管理改善をすることは効果があるという結果が出ている。

若者の人材を定着させるには
 改善の取り組みの中で労働時間の短縮、有給休暇の取得促進、働きやすい職場作り等は特に若者の定着に効果があるとの調査結果が出ています。
 また若者が社内で相談しやすい、意見を出しやすい態勢や、賃金・評価の見直しの効果が出ているとの複数回答がありました。
 雇用管理改善は、目標を設定し一歩一歩取り組み、情報発信してゆくことが大事で、何年か先を見据えて進めることが必要です。






H28.9.12
人材募集の留意点

労働者募集に際しての注意点
 人材募集に関して有効求人倍率は1.37倍と求人が活発な状況にありますが、労働者の募集に際して注意をする点について考えてみたいと思います。法的に規則で規制されている事項は主に3つあります。
@年齢について・・募集に関しては原則として年齢制限を設けてはならない事になっています。例外として、定年年齢を上限としてその年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集する場合、例えば若年者等のキャリア形成を図る為、期間の定めのない労働契約の対象者として募集する時や技能、ノウハウを継承する観点から特定の職種において年齢層の人数の偏りを是正する為、特定の年齢層を期間の定めのない労働契約の対象として募集する時等です。年齢制限の上限を設ける場合にはその理由を書面により提示する事で若年層の募集も実施できるようになります。
A性別について・・男性のみの募集、女性のみの募集は男女雇用機会均等法で原則禁止されており、例外としてはエステシャンのような風紀上、男性か女性に限定するものやホスト、ホステス等業務の性質上どちらか一方の性に従事させる事が必要であったり、守衛、警備員等防犯上男性のみに限定する者等があります。
B求人広告の内容・・職業安定法では求職者に誤解を与えるような虚偽の広告や虚偽の条件を提示して労働者募集を行うと罰金が科されます。また、職業の紹介にあたっては労働条件を求職者に明示する事が求められます。具体的に従事すべき業務内容、労働契約の期間、就業場所、労働時間、賃金等の明示が義務付けられています。
 平成28年4月にハローワークに出す求人に固定残業代の表示の仕方に対しての指針がありました。固定残業代(定額残業代とも言う)とは「一定の時間分の時間外労働や休日労働、深夜労働等を定額で支給する割増賃金」制度で、これを採用している企業の求人はその労働時間数や金額の計算方法、固定残業代を除いた基本給の表示、固定残業代を超えた時間数の割増賃金の追加支払い等を明示しなければならないとされました。






H28.9.9
目標管理のビジョン


 目標管理制度の本質的目的は、「経営目標を達成するための業績管理」にありますが、企業によって経営課題が異なることから、実際には、様々な目標管理制度の適用、運用が行なわれています。
 しかし、現状の制度運用に違いはあっても、目指すべきビジョンは共通です。

目標管理のビジョンとは
 目標管理制度が到達すべき普遍的ビジョンは次の要件を満たすものと考えられます。
[目標管理のビジョン]
@中期・年度の経営計画目標を達成するための「業績管理制度」であること。
A経営目標からカスケードダウン(順次細分化)され、役割に応じたストレッチな(最大限の努力でようやく手が届く)部署・チーム・個人の成果目標が設定されていること。
B制度運用において、マネジメントサイクル(P-D-C-A)が個人のセルフマネジメント・管理者のマネジメントレベルで活かされていること。
Cトップダウンの目標が、社員の参加と主体性によるバイタリティーで支えられていること。
D運用のすべての段階で、社員の衆知が集められ、パーソナリティー・主体性・創造性が活かされていること。
E“三現主義”に基づく的確な状況判断が徹底していること。
F成果(業績目標達成度)は、部署・チーム・個人の役割に応じた貢献度で評価されていること。
G評価の公正性・納得性が維持されていること(仲間の真摯な相互フィードバックに基づいて貢献度が判定され、本人の自己評価・上司評価、さらに上位評定者による社内同一レベルの役割等級間の調整を経て決定されていること)。
H役割等級制度など社内等級制度を基軸とする人事賃金制度と緊密に連携して運用され、評価結果が処遇に反映されていること。
I運用プロセスが、同時に人材育成の場となっていること。
 すなわち、目標管理のビジョンとは、経営目標達成に向けて、社員一人ひとりと組織が同時に活性化する様々な要件を満たすことであると言えましょう。






H28.9.8
外国人による家事支援サービス

外国人による家事支援、ついにスタート
 国家戦略特別区域法の改正で外国人家事使用人の受入れが解禁されたことを受け、7月27日、神奈川県や内閣府などが外国人による家事支援サービスを手掛ける事業者として3社を認定、通知書を交付しました。
 国家戦略特別区域法ではこの外国人家事使用人の受入れを「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業」と名称付けており、その事業内容を「国家戦略特別区域内において家事支援活動を行う外国人を、本邦の公私の機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業」としています。外国人を雇用できる「本邦の公私の機関」は単に日本にある機関であれば良いというわけではなく、政令で定められた基準に適合すると認定された「特定の機関」のみとしています。今回3社がこの機関として認定されたことで、いよいよ外国人による家事支援サービスが具体化してきました。

外国人による家事支援は今までもあったが
 日本は外国人によるいわゆる「単純労働」について非常に限定的な受入姿勢を取っており、この受入事業については大いに注目が集まっています。これまでも外国人が家事使用人として入国することが認められるケースはありましたが、外国の慣習的に必要とされている外交官や外国人経営者の家庭で家事に従事する場合など、ごく限られたものでした。

どこまで家事をお願いできる?
 この受入事業で外国人家事使用人が行うことができる家事の内容については国家戦略特別区域法施行令により「@炊事A洗濯B掃除C買物D児童の日常生活上の世話及び必要な保護Eその他家庭において日常生活を営むのに必要な行為」と定められています。これらの内容について、たとえば「B掃除」であれば「床、水回り、炊事場の清掃のほか、家具等の清掃を含む」といった具合に、どこまでが活動範囲として認められるのか、既に内閣府などがある程度解釈を示しています。しかし、家庭により手伝ってもらいたい家事は様々。支援内容の解釈については運用していく中で課題になることも予想されます。まずは特区での実施となりますが、今後の展開が気になるところです。






H28.9.7
オリンピックの報奨金

オリンピックの報奨金
 南米で初めてのブラジル・リオデジャネイロオリンピックは、財政難の中、悲喜こもごもいろいろありましたが、日本選手のメダルラッシュで無事終わりました。オリンピックのメダリストには(財)日本オリンピック委員会から金メダルの選手には500万円(従来の300万円から増額)、銀メダルの選手200万円、銅メダルの選手100万円の報奨金が贈呈されます。この報奨金に税金はかかるのでしょうか。

岩崎恭子選手のおかげ
 オリンピックの報奨金には1993年まで一時所得として所得税が課されていましたが、1994年の税制改正でオリンピック競技における成績優秀者を表彰するものとして交付される金品が非課税となりました。
 そのきっかけとなったのが、1992年のバルセロナ大会で岩崎恭子選手が金メダルを獲得したことです。岩崎選手は平泳ぎでみごと金メダルを獲得し、報奨金300万円を受けましたが、この報奨金300万円について一時所得として課税された上、扶養家族にも該当しなくなってしまいました。中学生が国のために尽くしたのに税金をとるのはおかしいと非難されて話題になり、このことを契機としてオリンピックの報奨金に税金が課されなくなったのです。

報奨金はアルベールビルから
 日本でこの報奨金の支給が始まったのは1992年のアルベールビル冬季大会からだということです。それ以前の選手たちは報奨金はなしでした。短い間にずいぶん変わってきましたね。
 余談ですが、後援会やスポンサー企業等(財)日本オリンピック委員会(加盟団体を含む)以外からの報奨金等は、当然にも課税されます。






H28.9.6
学資金非課税体系の変更
と年季明け課税の廃止

 みんな非課税所得扱いだった
 扶養義務者相互間の扶養義務履行給付としての学資金、及び給与性のない給付学資金は非課税でした。そして、従来通達では、従業員に支払う小中学、高校までの学資金は給与性なしとみなして非課税とし、高専、大学、大学院、専門学校などは給与性ありで課税とされていました。また、業務遂行上直接必要技術・知識・免許・資格取得学資金もその仲間で非課税としていました。

非課税学資金と業務遂行必要費用の分別
 今年の税制改正で、学資金非課税の制度体系が変わりました。法律の明文で示されているのではありませんが、当局の解釈としての通達をみると、業務遂行必要学資金は非課税項目から外れています。
 ただし、従来どおり、業務遂行必要学資金については、その費用支払先に制限がなく、対象者を特定役員・特定従業員とする制限付きのものであったとしても、適正性を要件に、個人への経済的利益供与について、「課税しなくて差し支えない」とされています。

非課税学資金の範囲の拡大
 他方、非課税学資金の方は、業務遂行上の直接必要性の外側のものということが明確になり、さらに、従業員への給付学資金は、小中高学資金だけでなく高専、大学、大学院、専門学校などの学資金まで、制限なく、且つ給与性の有無を問わずに、非課税と扱われることになりました。
 ただし、@役員、経営者親族等の特定従業員に限定して支給するもの、A従業員家族を対象とするもの、はそれぞれ、公私混同排除、給与性ありの線引基準で、非課税から除かれます。

年季奉公明け課税の縮小から廃止へ
 改定の想定ケースは、返済義務の有る奨学金を得て、大学、大学院、専門学校などで学び、医師や弁護士などの資格を取得した後、奨学金拠出法人などで一定期間使用人としてお礼奉公をし、年季奉公明けになると、奨学金の返済義務が免除される、という場合の、義務免除という経済的利益を非課税とする、というようなものです。
 従来も、看護師の受ける奨励金30万円を一時所得として給与課税の外側とするものや医師免許取得後の貸与学資金の返還免除の要件が、学資金提供関連団体への直接勤務としないので、非課税とするものがあり、課税縮小が進行し、複雑化ししていたので、非課税枠拡大で整理したといえそうです。






H28.9.5
パーソナリティーを活かす

 目標管理にとって、一人ひとりの社員や組織の“バイタリティー”は不可欠なものですが、近年は「多価値化の時代」などと言われ、“パーソナリティー”も重視され、目標管理の運用においても同様です。

“パーソナリティー”とは何か
 一般に“パーソナリティー”とは、個人の持ち味・個性・人柄を指し、“バイタリティー”との関係は次の通りです。
@“バイタリティー(活力)”=知力×行動力    
行動力=意力+体力+速力
A“パーソナリティー”は活力の全ての要素に個人差として存在する。
B“パーソナリティー”には、企業の価値観として共有すべき部分と個人差として活用すべき部分が存在する。
 (逆説的に言えば、“パーソナリティー”を100%尊重すると、バラバラ集団になりかねない)。
C企業が一身同体の強い集団となるためには、経営ビジョン・行動指針など共通の価値観を持たねばならず、従って人事賃金制度、人材育成施策などで、“バイタリティー(活力)”を生み出さねばならない。
D“パーソナリティー”は、統一しようとしても統一しきれるものではなく、個人差が存在するのは、むしろ自然であり、企業はそれを上手に活用すべきである。

経営者・管理者の留意点
 目標管理制度の運用において、経営ビジョン・行動指針など共通の価値観のもとでも“パーソナリティー”の活用は無限であり、例示すれば以下のとおりです。
@目標設定では、経営ビジョンや経営計画に基づいて、目標項目・目標水準等を検討するが、全社員の意欲を高めるために、その討議に参加させる。その場合、各自の得意技である専門知識・技術の違い、取り組み方の好みなど多様な“パーソナリティー”に基づく意見交換を奨励すれば、期待以上の有益な目標設定につながりやすい。
A目標達成プロセスでは、困難な障害が生じた場合、関係者の衆知を集めて“パーソナリティー”を生かせば、効果的な解決策が生まれやすい。






H28.9.2
余談ですが、こんな改正もある

漢字の正誤表のような
 年年→年々、こえる→超える、費用の合計額→費用の額の合計額、国外転出をした日→国外転出の日、当該各号に掲げる→当該各号に定める、次の各号の一に該当するときは→次の各号のいずれかに該当するときは、隠ぺいし→隠蔽し、有しない者にあつては→有しない者にあっては、死亡した日→死亡の日、当該積み立てた→その積み立てた、取りくずした→取り崩した、「又は」→「、又は」・・・

税制改正条文を見ていると
 今年の税制改正で、実質的な改正項目ではなく、文字の表記にのみこだわった改正箇所がありました。上記はその一部です。少しだけ拾って見ました。
 拾っているとキリがありませんが、これらは、今年に限ったことではなく、毎年みられることです。改正条文の中に、法律としてあるべき文字表記ではないものがあるときに、ついでにあるべき表記に訂正しておく、といった作業です。

傾向を追ってみると
 「隠蔽」などという表記変更をみると、時代を遡るような印象があります。たな卸資産→棚卸資産、補てん→補填・・・などは同じ傾向の表記変更で、漢字化を強めようとする意思が働いているように思われます。同じく、付則→附則、寄付→寄附への表記変更は、どちらも常用漢字なので放置して構わなかったものなのですが、税法条文からはもはや「付則」「寄付」は完全に追放されています。
 逆に、当該→その、の表記変更は傾向としては逆方向です。全て→すべて、但し→ただし、などの表記変更も逆方向の傾向性を感じます。
 今年のこだわり改正で特に目に留まったのは、掲げる→定める、の表記変更でした。例えば、「上欄に掲げる区分に応じ、それぞれの下欄に掲げる金額」というような「掲げる・・・掲げる」の条文は沢山あるのですが、この表記を「掲げる・・・定める」に変更をしています。

法律の業界表記も変化
 判決や法律の条文では「っ」は使わず「つ」で表現するものと思っていたら、上記のように「つ」を「っ」に改めている条文がありました。しかし、他の条文を見る限り、一斉に改める、ということをしていません。なお、税法でも附則の条文には「っ」が以前から沢山使われています。






H28.9.1
修学資金の貸与とお礼奉公

 お礼奉公、この語には前近代的な「因業(冷淡で無情な)金貸し」という暗いイメージが付きまといますが、反面、合理的な側面も持っています。その内容はこうです。
 事業者が修学者等に学資金を貸与(貸付け)しますが、修学終了又は卒業後、貸与した事業者において一定期間勤務すれば、貸与したお金は返還しなくてもよく、その貸与金は免除する、というものです。
 平成28年度の税制改正で、このお礼奉公を伴う貸与金の債務免除の課税関係について、改正がありました。

●平成28年3月31日までの取扱い
 お礼奉公を伴う貸与金の債務免除については、原則、勤務者に対する給与として課税する、でした。
 学資に充てるための給付金であっても、その学資が「給与その他対価の性質を有するもの」は、非課税とはしない、でした。
 このお礼奉公は、貸与金を日々の勤労によって毎年返還していく、ということですから、まさに、「貸与金の免除」と「奉公」(勤労)はひも付きの関係にあり、「給与その他対価の性質を有するもの」そのもの、ということになります。
 この関係を仕訳で表してみますと、「貸与時」貸付金○○/現金○○、「奉公時」給与○○/貸付金○○、となるかと思います。
 ちなみに、貸与金及びその免除がお礼奉公とひも付きの関係でなければ、もちろん学資金は非課税、一方、貸与者が民間営利企業であれば、当該貸与金は寄付金課税の対象になるものと考えられます。

●平成28年4月1日以後の取扱い
 改正後は、上記のようにひも付き関係が明確な学資金であっても、一定の者に対するものの債務免除は非課税としました。
 具体的には、債務免除が「給与その他対価の性質を有するもの」であっても、給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあっては、通常の給与に加算して受けるものであり、当該法人の役員やその親族など一定の者以外の使用人であれば、非課税とする、です。
 この改正の適用範囲ですが、すべての事業者に適用されるのか、という疑義もありますが、現在、法令及び解釈通達等で特に制限している規定は見当たりません。
 この改正、人材採用に新たなチャンスをもたらすかもしれません。