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H29.11.30
行為計算否認と
趣旨目的解釈及び立法方向

IBM訴訟の否認は行為計算不当だった
 IBM訴訟事件で国税当局は、行為計算否認の権限発動で、自己株式取得によるみなし配当を単純配当に置き換える更正処分をしています。
 この置き換え内容が、私法上真正に成立している法律関係をより適切なものに組み替えることに成功しているか、には疑問が湧きます。
 そもそも、税法が創り出した制度の適法的利用を、国税当局が別な、より適切な行為や計算に置き換えることなど、困難なのではないかと思われます。

法制度の濫用抑制には趣旨目的解釈      
 最近は、都市銀行による外国税額控除余裕枠彼此流用事件、旺文社HD事件などを経由して、立法趣旨目的論的解釈などを介しての節税・租税回避の行為計算に対する適法外しの傾向が拡大方向にあります。
 趣旨目的解釈への傾斜は、立法時に予測できなかった行為によって、多額の租税が軽減され、執行当局がいらだちを募らせていることの、表れなのかもしれません。

趣旨目的解釈は使いにくい
 趣旨目的解釈が行われると、対象となる行為は、すべて適法であるとの前提である租税回避行為という分類から外れ、違法行為との判定を受けることになります。違法となると、制裁の内容も異なってきます。
 ただ、趣旨目的解釈により制度の適用を否定することは、法令に不文の要件を付加することにほかならず、文理解釈重視により法的安定性と予測可能性を確保しようとする租税法律主義の立場からは否定的に見られています。

個別否認規定を網羅している税法
 行為計算否認規定は今や大企業税制に近く、この規定を根拠に否認された経験を持つ税理士は滅多にいないと思います。
 税制改正の歴史は、否認したい行為を個別に網羅してきた歴史とも言え、租税回避行為の防止は常に税制改正の中心テーマだった、とも言えます。
 租税回避行為防止は、行政権・裁判権の課題であるよりも、立法権の課題である、というのが本来的理解であるべきです。

立法的解決の方向は
 個別否認規定を盛り込むことのほか、今や、租税回避策の義務的開示制度の導入、一般的租税回避禁止規定の立法化が検討の重要局面にさしかかっているようです。





H29.11.29
ビルの屋上・コンビ二の横にある謎の箱?
キュービクル(高圧受電設備)の耐用年数

キュービクル(高圧受電設備)とは?
「キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)」とは、高圧電力で契約している者が設置している受電機器一式(開閉器・断路器・変圧器・制御装置)のことです。
 規格化された金属箱にコンパクトに納められていることからキュービクル(小箱Cubicle)と呼ばれています。皆さんもビルの屋上等の片隅にひっそりと設置されているのを目にされたことがあるでしょう。
 電力契約は、高圧契約と低圧契約があります。低圧契約の場合、発電所から電柱まで送電された電気の電圧(6600V)が電柱に設置されている柱上変圧器(トランス)で使用電圧(電灯100V・動力200V)に下げられますが、高圧契約の場合、このキュービクル内で使用電圧に変圧されます。
高圧契約   契約電力50kw以上
        工場・商業施設・病院など
低圧契約   契約電力50kw未満
        商店・美容院・事務所など
 設置費用は小規模工場やコンビニ(100kw)でも200万円以上となるようです。
 なお、設置後は電気事業法で定められた保安点検の義務が生じ、1か月1回・年1回等の法定点検が求められます。

キュービクルの耐用年数等の取扱い
 キュービクルの耐用年数は、どのような用途により使用されるかにより異なります。
 製造の用に供されている場合には、「機械装置」のその業種の製造業の耐用年数となり、事務所等の場合には、「建物附属設備」の「電気設備(照明設備を含む)」「その他のもの」の15年となります。
 また、工場のように、そのキュービクルが製造用と事務所用に共用されているときは、次のように判断します。

キュービクル                  主な用途により判定
配線設備(工場機械の動力線・分電盤) 「機械装置」のその業種の耐用年数
配線設備(事務所用・電灯配線)     「建物附属設備」「電気設備」「その他のもの」の15年

工事費負担金は無形固定資産
 電力会社と高圧契約等を行う場合には、電力会社から「工事費負担金」の支払いが求められることがあります。この支出は、無形固定資産の「電気ガス供給施設利用権」に該当し、定額法(耐用年数15年)で償却することとなります。








H29.11.28
平成29年分
年末調整の留意点

 年末調整の時期となりました。この年末調整は、毎月の給料や賞与から源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額とを比べ、その過不足額を精算する手続です。この手続により、大部分の給与所得者は、改めて確定申告をする必要はなくなります。

給与所得控除額の改正
 今年の改正は、給与所得控除額の改正のみで、その内容は、給与収入1,000万円超の場合の給与所得控除額は220万円が上限とされたことです。
 この改正に伴い、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表も改正されています。

平成30年分の扶養控除等(異動)申告書
(以下、同申告書)
 ところで、同申告書の提出は、年の最初の給与等の支払いを受ける日の前日までに給与等の支払者に提出することになっていますが、実務においては、前年の年末調整の際に同申告書を受理することも多々あります。
 この同申告書ですが、平成30年分から配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正に伴って、同申告書の記載欄に、源泉控
除対象配偶者、同一生計配偶者の欄が加わり、平成30年1月以降の給料等の支払いの際には、配偶者が源泉控除対象配偶者、また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、それぞれ扶養親族の数に一人を加えて源泉徴収することになりました。
 そこで、源泉控除対象配偶者、同一生計配偶者の該当者の要件について留意が必要となります。前者は居住者の合計所得金額が900万円以下で生計を一にする配偶者の合計所得金額が85万円以下の人、後者は居住者の合計所得金額には制限がありませんが、生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円以下の人です。いずれも青色事業専従者等は除かれます。
 なお、これら合計所得金額ですが、同申告書を提出する日の現況により判断することとなります。
 年末調整の際に提出を受ける同申告書の記載欄を今一度確認しておきましょう。






H29.11.27
チェックしたい決算項目 締後給与・未払社会保険料の計上

IBM訴訟判決に見るIBMの周到さ
 IBM税務訴訟事件は、米国の世界的大企業による周到かつ超大規模な租税回避スキーム(架空的欠損金の適法的創出)を巡ってのものでした。
 日本国内に新たに用意した中間親会社は、平成21年4月28日に最初の連結納税申告書を提出するものの、その中では、平成14年から平成17年までの欠損金を損金としない内容の申告としており、納税を済ませたのちに、「更正の請求」を行い、欠損金の損金算入が認められるかどうか様子見をする周到さを発揮しているのに、国税当局は、更正の請求に対して、平成21年5月15日に、欠損金の損金算入を認める更正処分をあっさりと出した上で、その後税務調査を行い、平成22年2月19日にその損金算入を否認しています。
 ここから係争開始です。

同族会社の行為計算否認の発動
 当局は、法人税の負担を不当に減少させる行為計算だとして、更正処分をしたのですが、判決を見ると、日本橋税務署長が平成22年2月19日付けで原告に対してした更正処分の最も古いものは、平成14年10月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税についてでした。明らかに、5年超の期間について対象としています。
 適法的租税回避行為だとすると、行為計算の不当性の追求を受けても、更正処分の期間制限の壁に阻まれて、5年しか遡及できません。5年を超える更正処分をするときは、偽り不正条項の適用となるときです。

不当から不正への架け橋
 IBMに対してなされた更正処分が、偽り不正の場合の5年超の期間に対応するものだったとすると、行為計算不当追及が偽り不正追求に転移していることになります。
 すべて適法で、行為計算の不当しか問えなかったとしても、偽り不正の場合の過去7年間の遡及更正をする、という行政の実務がここにあるのだとすると、不当から不正への懸け橋は、確かにあるのです。

不当から不正への回路
 不当から不正への回路があるのだとすると、そして、各税法における偽り不正の行為の概念が同一だとしたら、テレビや新聞で、節税行為が共謀罪に該当する、と言っていたことが、正しかったことになります。







H29.11.24
民事調停手続の利用

民事調停は最も身近な裁判手続
 取引先や顧客との間でトラブルが生じたとき、まずは話し合いで穏便かつ早期に解決することが最良の方法です。もっとも、当事者のみの話し合いでは、話が前進しないこともあるでしょう。当事者間では、つい感情的になったり、客観的な視点を持てずに適切な解決内容を見失ってしまったりすることがあるためです。
 そのようなとき、信頼に足る第三者が入って話し合いを進める制度の一つとして、身近に利用できる「民事調停」という裁判所の手続があります。
 裁判所の手続といっても、訴訟のように当事者が主張や証拠を出し合って裁判所が最終的な判決を下す、というものではありません。裁判官1名と調停委員2名が当事者の間に入り、事案に応じた円滑な解決を目指して話し合いを進める柔軟な手続です。

実際の申立方法や審理の内容
 民事調停の申立てを行うには、申立書を作成して簡易裁判所に提出します。申立書の内容も複雑なものではありません。現在、裁判所のホームページに申立書の書式が掲載されていますので、これに記入する形で簡単に申立書が作れます。
 申立費用も訴訟に比べて安価ですし、法廷で公開されるものではありませんので、第三者に知られたくない情報も安心して話すことができます。また、裁判と言えば弁護士を思い浮かべるかもしれませんが、話し合いによる解決制度ですので、弁護士に依頼せず本人のみでの対応が十分可能です。
 調停委員会の許可を得れば、従業員でも代理人になることができるため、代表取締役本人が出席しなくても良いというのも民事調停のメリットです。

調停成立の効果
 話し合いがまとまり、合意に達した場合には、合意内容を記載した調停調書という書面が作成されます。調停調書は確定判決と同様の効果が得られますので、相手方が調停調書に記載された債務を履行しなかった場合には、強制執行が可能となります。
 他方で、民事調停が不成立となった場合にも、大きなデメリットはありません。その場合には、話し合いによる解決は諦め、訴訟をするか否かを検討すればよいのです。





H29.11.22
トップ主導の賃金制度改革


 長期間、職能資格制度などを運用してきた結果、年功賃金となっている企業が、等級制度・賃金制度・評価制度を抜本的に変革しようとするとき、“トップ主導の賃金制度改革”を実施するのが必要不可欠となります。

トップ主導の賃金制度改革の必要性
 長期に年功型の処遇制度が運用されてきた企業では、賃金実態が勤続年数に応じて増加し、高い賃金の管理者層・古参社員が、役割貢献度賃金など、実力に応じた賃金制度への変革に強い抵抗を示します。
 したがって、トップ自らが、役割貢献度に応じた役員報酬制度の適用を受けるなど、賃金制度変革の先頭に立つことで、社員への説得力を持つことができ、役員・管理者・一般社員の賃金制度変革が推進し易くなります。

賃金制度変革事例の紹介
 食品製造販売業・K社は、グローバルな事業展開を加速する中期経営計画を策定、その重点課題の第一順位に「グローバル人事制度の導入」を掲げて、2015年度に実施しました。その概要を紹介致します。
[改革項目と改革概要]
1.等級制度…グローバル・ジョブ・グレードの導入@
2.報酬制度…業績/評価と連動した報酬制度への移行A
3.評価制度…メリハリを付けた明確な処遇の実現B
@年功型から、職務型等級制度への移行
 給与は「人」に支払うのではなく「仕事」に支払う。各職務の大きさ(ジョブサイズ)の評価は「知識・経験」「問題解決」「達成責任」の3要素・8項目の評価指標で、職務評価。
A「固定給」を減らし、「変動給」を多くする。上位ポジションになるほど変動報酬部分の割合増加(例えば、課長:固定報酬8割・変動報酬2割、会長・社長:固定報酬・変動報酬各5割)
B成果の差を評価して給与を支給
 目標管理制度で貢献度評価・給与適用。
以上の改革をトップから実行しました。





H29.11.21
経理の方・会計事務所には馴染み深い 電卓といえばシャープとカシオ

計算機は「機械式」から「電気」「電子」へ
 経営再建で新聞を賑わせているシャープですが、私ども会計業界では、「計算機」のメーカーとして馴染み深い会社です。
 1970年頃までの会計業務では、「機械式計算機」が用いられていました。これは、歯車の組み合わせにより演算を行うものでクランクを手回しして操作するもの(手動をモーターにしたものが「電動計算機」)。国内では「タイガー計算器」が有名でした。
 その後、機械的要素をなくし、リレー(電磁石によるスイッチ)を用いた回路で計算を行う「電気計算機」が登場します。この計算機を開発していたのが「カシオ」。今でも社名は「カシオ計算機」です。

電卓戦争〜開発・価格競争の後、日常品化
 さらにトランジスタ、IC、LSIを使った「電子計算機」の時代に入ります。シャープが世界に先駆けて1964年に「コンペット CS-10A」を発売。大当りします(日本で5番目の『IEEEマイルストーン』認定)。その後、40社以上の会社が参入し、熾烈な価格競争を繰り広げ、「電卓戦争」と呼ばれました。その中で「電卓」はすっかり日常品化し、最後まで生き残ったのは、日本ではシャープとカシオ、キヤノンでした。

キー配列の他、こだわりのある2社の電卓
 中でも激しく競争した2社の「自社技術へのこだわり」はキー配列に見て取れます。
 その他、定数計算(同じ数を連続して計算すること)やメモリー機能の操作も両者で微妙に異なります。どちらが良いという訳ではないですが、「好み」は分かれますね。

「ドリル付き」「防水・防塵」「余り計算」?
 シャープは「脳を鍛えるドリル付き電卓」、カシオは、水回りやほこりの多い場所でも使用できる「防水・防塵電卓」(キーパッドが着脱式で水洗い可)、余りが出る割り算ができる「余り計算電卓」(物流倉庫や調剤薬局で使用)など面白い電卓も出しています。





H29.11.20
求人票の記載内容と実際の 労働条件の相違

 今年8月に厚生労働省から「ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」(平成28年度)が発表されましたが、これによると平成28年度における申出・苦情等の件数は9,299件(前年度10,937件)、内容別では下記のようになっています。苦情の内訳は
1、賃金 28%(前年度24%)
2、就業時間 21%(同19%)
3、職種・仕事内容 14%(同13%)
4、選考方法、応募書類 11%(同12%)
5、休日 10%(同9%)
6、雇用形態 8%(同7%)
7、社会保険・労働保険 7%(同7%)

求人条件と実際の労働条件が異なる場合
 ハローワークでは求人を受理する際に原則として対面で求人条件を点検する等、求人内容の適法性・正確性の確認に努めているほか、採用結果の確認時に相違がある旨の報告を受けた場合は、事実を確認し、必要に応じて是正指導をしています。求職者から「求人条件と実際の労働条件が異なる」と言った相談があった場合には迅速な事実確認や是正指導のほか、法違反の恐れがある場合は以下のような対応をしています。求人票の内容の変更、職業紹介の一時保留、求人取消、求人票に合わせた労働条件に変更等があります。

要因別の割合は
 求人票と実際の相違についての要因は「求人票の内容が実際と異なっている」39%と「求人者の説明不足」25%で全体の3分の2を占めています。「よくあるトラブルとしては
・求人票より低い賃金であった
・求人票と違う職種であった
・求人票と違う仕事内容であった
・正社員と聞いて応募したら非正規雇用であった
・採用直前に言われていなかった勤務地を提示された
・始業時刻の30分前に出社しなければならなかった
・社会保険や雇用保険に加入となっていたのに加入していなかった
等が挙げられています。
 トラブルで会社の悪い印象を与えたりしないように気をつけたいものです。





H29.11.17
行為計算否認の対象と逋脱

同族会社規定を非同族会社にも適用
 昭和40年12月15日の東京地裁判決は、法人税の負担の不当減少と認められるか否かは、「当該行為計算が経済人の行為として不合理、不自然のものと認められるかどうかを基準としてこれを判定すべきものであり、同族会社であるからといって、この基準を越えて広く否認が許されると解すべきでないと同時に、非同族会社についても、右基準に該当するかぎり否認が許されるものと解すべきである」、としています。 
 その後、類似の判決はあったようですが、当時は、同族会社行為計算否認規定は創設規定ではなく確認規定と解する考え方があったため、非同族会社に対しても、このような文理無視解釈の判決が行われました。
 今では、組織再編や連結納税での行為計算否認規定が創設されているので、確認規定説を唱え得る環境ではなくなっています。

行為計算否認の先に逋脱がある
 昭和33年5月29日の最高裁判決に係わる争訟は、地裁・高裁・最高裁のすべてで納税者勝訴だったものですが、その最高裁に芝税務署長が提出した上告理由書は、次のように述べています。
 ・・・・同族会社の行為計算否認の規定は、否認される行為計算が合理的であるか否かに関するのではなく、徴税官庁の関心の対象となるのは、逋脱があるか否かの点であって、会社の行為計算自体が果して経済的に見て合理的であるかどうかは、徴税官庁の干渉すべき限りでない。・・・・
 戦後初期の時代を反映してか、行為計算否認の対象は逋脱の有無としており、適法で税法違反がなくても、刑事法規・偽り不正条規に触れるとの認識が表現されています。最近露骨にいう人はいませんが。

今でも言っている人はいます
 上記の上告理由書は、昭和25年の法人税法改正で、行為計算否認規定の文言が変わり「逋脱」の文言が消えたけれど、改正前後の主旨目的は同じといい、税務大学校の論文集「税大論叢」などを見ていると今でも、「同族会社の行為計算の否認規定を適用した場合に逋脱犯の成立を一切否定するのであれば疑問である」と言っている人がいます。
 逋脱や偽り不正行為は、共謀罪に直結する概念なので、適法行為計算との回路があるのは、怖いことです。







H29.11.16
途上国の日本中古車輸入 ビジネスと日本の消費税

途上国での日本中古車販売ビジネス
 海外から日本の税金に関する問い合わせで比較的多いのが、「日本から中古車を輸入して途上国で売る際の日本の消費税をどうしたら還付できるか?」というテーマです。 

輸出に係る消費税は免税が原則
 具体的な数字で流れを説明します。
 中古車マーケット(=自動車オークション)にて20万円でトヨタ車を買います。国内での購入なので、8%の消費税がかかり代金は21.6万円となります。オークション費用やリサイクル費用などの諸経費、さらに日本から輸出の船賃や本国での輸入代金として1台あたり10万円かかったとします。合計原価は30万円+消費税1.6万円です。
これを本国にて40万円で販売したとします。消費税を負担したままだと利益率は21%、消費税の還付を受けると25%です。
 消費税の還付を受けられるか否かで利益率が大きく変わってきます。

<原則:輸出に消費税はかかりません>
 輸出される物品(中古車)に消費税はかかりません。でも、オークションで購入する際は国内の売買なので、消費税がかかります。ただし、輸出免税なので、消費税の確定申告をすれば消費税は還付されます。

立ちはだかる現実の壁!
 海外在住の外国人や外国法人には古物商の許可取得が難しい事もあり、消費税分を免税扱いにして還付してもらうことはかなり難しいのです。その理由は主に2つです。
1.日本に子会社を設立(=国内で自動車の中古市場に参加するには、警察に古物商の許可申請が必要)して消費税の確定申告をすれば還付されるが、その場合、法人税等の申告もしなければならない。子会社の維持費を賄うためには、その分の固定費を回収できるだけの売上利益が必要となる。そこまでの事業規模は見込めない。
2.日本に子会社を持たない場合、中古車を直接調達できないので、知人から購入し、輸出してもらうことになる。本来は、その知人から輸出として購入する際には輸出免税扱いなので消費税はかからない。しかし、知人は、個人事業としている者が多く消費税の申告していないため、代価は消費税込みの金額となってしまっている。
 ※現実的には、「輸出は免税」が通じない取引の世界となっているのが実態です。ある程度の事業規模が見込めないとなかなか難しいビジネスです。





H29.11.15

住宅ローン控除と租税回避

資金に余裕がある人は住宅ローン不可?
 ネットサーフィンしていたら、「租税回避行為に関する一考察」という論文に遭遇しました。その論文は、冒頭の部分で、「住宅借入金等特別控除の制度があるが、この制度を利用するために、納税者が、居住用家屋を取得するに当たって、銀行に十分な預金があるにもかかわらず、銀行からの借入によって住宅建設資金を調達し、税額控除を受けた場合、租税回避として否認されるのであろうか」と問いかけをし、その論文の、末尾の部分で、「他に正当な理由がないとすれば、租税回避目的が主たる目的の場合に該当する可能性が大であろう。・・・・住宅借入金等特別控除の制度は税法上の固有概念であり、かつ、課税減免規定であることからすると目的論的解釈からしても否認されることになろう」と書かれていました。
 税務調査にでもなって、先に、資金の余裕は十分という言質をとられてから、偽り不正と指摘されたら、逃げ道を失うことにならないでしょうか。

もっと過激に贈与税回避も
 親の預金を担保にした預金連動型住宅ローンだと、預金額より低い住宅ローン残高の金利は0%になり、金利負担がないことになり、毎年の110万円贈与と組み合わせたら、親からの、住宅資金贈与にかかる贈与税課税回避策にもなり、同時に所得税節減策にもなります。
 そうすると、こんなのも勿論、否認される、と言われますね。

目的論的解釈って何だ
 全て適法だが、その課税回避行為は制度を濫用している、というのが不当行為計算否認なのに対し、全て適法に見えそうだが、法の趣旨目的に合致することという要件を付加して解釈をすると不適法との結論になる、というのが目的論的解釈です。
 外国税額控除余裕枠彼此流用訴訟や旺文社HD訴訟での判決で採用されたと言われています。
 租税法律主義は憲法規範であり、課税要件の法定、課税要件の明確、により課税の予測可能性を確保することを内容としているという原理を踏まえると、条規の文理からは予測できないような解釈になるのは、容易に採用されるべき解釈方法ではない、のではないでしょうか。





H29.11.14
事前確定届出給与 届出額を支給しなかった場合

届出額と支給額が違えば原則損金不算入
 事前確定届出給与について「届出額と実際の支給額が違ったらどうなのか?」という質問をよく受けます。結論からいうと、届出どおりの支給が行われなければ、基本的には支給額の全額が損金不算入となります(未払計上は原則認められません)。

一職務執行期間中複数回支払いがある場合
 一職務執行期間中に複数回の支払いがあるときは、少し取扱いが複雑になります。
 
 次の設例で考えてみましょう。
(例)当社(3月末決算)が定時株主総会(H29.5.26)にH29.12.25及びH30.5.20に200万円ずつ支給する旨を決議し、事前確定届出給与届出書を提出している
 ここで3つの支給パターンを検討します。
12月給与
   (H30.3決算) 5月給与
   (H31.3決算)
イ 100万円支給× 200万円支給×
ロ 200万円支給〇 400万円支給×
ハ 200万円支給〇 支給なし(―)
(〇…損金算入・×…損金不算入)
 
 届出どおりの支給が行われているかの判定は、一職務執行期間(H29.5.26から1年)に支給が複数回にわたる場合には、「職務執行期間の全期間」を一単位として行います。

(イの場合)12月分が届出どおりに支給されなければ、職務執行期間のすべてが定めどおりに行われないことが確定するため、支給のすべてが損金不算入となります。

(ロの場合)12月分を届出どおり支給していれば、H30.3月決算時点では、損金不算入とする理由がありません。そのため、200万円を損金算入する申告が認められます。
 その後5月に届出どおりの支給がなければ、前年度12月分も損金不算入となり、本来修正申告が必要となりますが、支給しなかったという事実が前年度の課税所得に影響を与えるのも変な話ですので、5月支給の400万円のみが損金不算入とされます。

(ハの場合)5月分は届け出たものの支給しなかったため、不算入とする金額もありません。申告調整も行わないことになります。

特定の役員だけが届出どおりでない場合 
 複数の役員について事前確定届出給与の届出をしている場合に、特定の役員のみ届出通りの支給をしなかったときは、役員全員分の給与が損金不算入の対象とならず、その届出どおりの支給をしなかった役員の給与のみが損金不算入となります。





H29.11.13
副業・兼業をめぐる企業の実態とこれから

今年の3月に政府の働き方改革実現会議で「働き方改革実行計画」が示されました。主な項目は
1、同一労働同一賃金等非正規雇用の処遇改善
2、賃金引き上げと労働生産性向上
3、罰則付き時間外労働の上限規制の導入等長時間労働の是正
4、柔軟な働き方がしやすい環境整備等
が挙げられています。
 上記項目のうち4の柔軟な働き方がしやすい環境整備等の一つとして「副業・兼業の推進」がありますが、この事に関して企業の対応はどうなっているのでしょうか。

禁止している企業の割合
 今春に働き方改革実行計画案が発表された時には、経済産業省の研究会報告書の発表では「副業・兼業を禁止している」企業の割合は77.2%でした。また、就業規則において禁止している企業が48.0%、「副業・兼業に関する規定自身が無い」企業が39.6%(2017年2月リクルート社調べ)でした。しかし最近、ある大手情報通信業が1万8千人いる社員の副業を認める就業規則に変更したことで話題になりました。
 働き方の多様化で新しい仕事を通じて腕を磨き本業に良い影響をもたらしてほしいと言う事です。

メリットとリスクの両面から考える
 上記のように副業や兼業に関して否定的な企業や、容認しない事が前提で規定自体が無い企業が多いのが現状です。副業については「社内で作ることのできない人脈を作ることができる」と言ったメリットもありますが、社内情報流出や個々人の労働時間の増加と言ったリスクもあります。

今後の方向性
 厚生労働省のモデル就業規則も改定予定で副業・兼業について「原則容認」とする方向で改定され、推進のガイドラインが示されるようです。企業が規則を作る時には原則容認としても届け出や通知の義務は必要とするかもしれません。企業としてはメリットとリスクの両方を勘案し、社員の副業・兼業に対して容認か禁止かどのような考えで臨むのか十分検討する必要があるでしょう。





H29.11.10
仮装隠蔽と偽り不正


法人税法と国税通則法の仮装隠蔽規定
 隠蔽仮装に関しては、法人税では、役員給与の損金不算入、不正行為の費用の損金不算入、青色申告の承認申請の却下・取消し、の4条文に規定があり、 国税通則法では、重加算税の条文にのみ規定がありますが、刑事罰の規定にはなっていません。
 仮装隠蔽の誤ちを犯したというだけでは、損金不算入・青色却下取消・重加算税の行政制裁を受けるだけです。

法人税法と国税通則法の偽り不正規定
 偽り不正に関しては、法人税法では、罰則を定める2条文に規定があり、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」等の刑事罰の規定となっています。
 国税通則法では、更正処分期間制限7年への延長、延滞税の計算除外期間排除、時効の2年延長、その他全部で5条文に規定がありますが、刑事罰の規定にはなっていません。行政制裁の規定です。

意見がバラバラ
 個別税法の刑事犯に該当するものに限って国税通則法の偽り不正条規が適用されるべきなのか、個別税法の偽り不正の条規と無関係に国税通則法の偽り不正条規が適用されてよいのか、そもそも両法律の概念は同じなのか、さらに「偽り不正」と「仮装隠蔽」の概念の範囲の広狭も、学者等の意見はバラバラです。
 ただし、判例と当局側見解は統一されつつあり、「仮装隠蔽」より「偽り不正」の方が広い概念としています。

ここでも赤信号無視状態
 行政処分規定の「仮装隠蔽」より刑事罰規定の「偽り不正」の適用範囲がより広いというのは、法構造としておかしい、と言わざるを得ません。偽り不正該当なら、本来的には刑事訴追をするべき対象です。
 平成28年度の刑事訴追件数は41件、1件当たりの脱税額は8500万円です。仮装隠蔽の調査指摘件数は、査察件数の3桁も多く、1件当りの税額は何分の1かです。
 実態としては、偽り不正の追及は、仮装隠蔽の追及よりはるかに範囲が狭く、悪質度の高いものを対象にしています。

ここでも赤信号無視者と同じ状態
 実態に合わせた理解があるとすると、既に刑事犯既遂であるが、ほとんどの場合において、訴追を免除・放置されている、ということになります。赤信号無視の既遂者と同じ扱いです。






H29.11.9
質的向上目標の設定


 目標管理制度における目標設定では、数量化が難しい「質的向上目標」の設定をしなければならないケースが生じます。
 例えば、経営戦略上「マーケティング施策の質的向上」が重要とされ、経営目標として示された場合をモデルケースとして採り上げて見ましょう。
 その場合、マーケティング部門では組織目標・達成基準の適切な設定が課題となります。

質的向上目標設定のカギ
「質的向上目標」以外の「成果の量的達成・業務プロセスにおける効果の量的達成目標」では、達成基準が数量的に設定しやすいと言えますが、「質的向上目標」では、
一般に次の課題解決がカギとなります。
@何をもって目標達成基準とするのか、達成度を評価する項目の設定(一般に複数の評価項目と評価基準・重要度ウエイト)
A客観的評価方法の設定
 誰がどのように評価するのか、本人以外の評価者の決定
[質的向上目標・達成基準]例
目標:「商品展示会の効果性向上」
評価項目    評価基準        ウエイト
顧客の反応   商談アポ件数    40%  70%
           商品試用件数    10%
           デモ視聴者数    10%
           説明書受取り数   10%
展示の質     USP訴求展示(注) 20%  30%
            layoutの巧みさ 10%
(注)USP:Unique Selling Proposition
   (独自の売り提案)

客観的評価方法の設定
 評価の公正性・納得性を確保するため、事実状況の観察に基づく客観的評価方法を設定する必要があります。
 上記の例で、「顧客の反応」の評価基準については、客観的観察データで評価することができますが、「展示の質」の二つの評価基準については、自分達が共同で努力した結果である、展示の質について、最も経過の状況事実を知っている仲間の「相互フィードバック」による評価方法、例えば全員が参加し、5点法による採点で評価するような方法を採るのが適切です。

経営者・管理者の留意点
 このような目標達成基準の設定・評価方法は、チームワークの強化にも役立ちます。








H29.11.8
届出期限には、要注意!
「事前確定届出給与」とは

 「事前確定届出給与」とは?
 法人税法では、原則として役員へのボーナスを損金に算入することは認められていません。しかし、事前に税務署のお墨付きをもらい、損金算入が認められるものがあります。これを「事前確定届出給与」といい、具体的には次の@とAに該当するもの(職務執行前に支給時期や支給額が決まっていることが確認できるもの)をいいます。
@定め その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与
A届出 届出期限までに納税地の所轄税務署長に事前確定届出給与に関する届出をしているもの

事前確定届出給与に関する定め
 この事前確定届出給与の適用を受けたい場合には、@の定めを定時株主総会又は取締役会の議事録に残します(「いつ」「誰に」「いくら」払うという事項の記載が必要)。
【例】議長は、下記の事前確定届出給与を支給したい旨を提案し、その承認を受けた。
支給日:平成〇年〇月〇日
支給対象及び支給額
代表取締役△△   〇〇〇円

届出書の届出期限には要注意!
 次にAの届出を所轄の税務署に提出します。届出期限は次のAとBのうち、いずれか早い日になります。
A 株主総会等の決議の日から1月を経過する日
B 会計期間開始日から4月を経過する日
 例えば、3月決算法人(定時株主総会5月20日)の場合には、Aが6月19日、Bが7月31日となり、AとBの早い日である6月19日までが届出期限となります。

届出は「役員ごと」「職務執行期間ごと」
 Aの届出には、次の届出書と付表をセットにして提出することになります。
届出書 1枚 「決議をした日」「決議をした機関」「届出期限となる日」などを記載
付表1・2事前確定届出給与等の状況 支給人数分 対象者氏名(役職名)・職務執行期間(総会日〜)・事業年度(執行期間開始日の属する会計期間と翌会計期間)など記載
 事前確定届出給与は、役員ごと、職務執行期間(定時総会日〜次の総会日)ごとで個別にエントリーする形になります。








H29.11.7
共謀罪と会社・暴力団の節税


税理士会総会での質問と回答
 税理士会の機関紙の記事によると、今年の定例総会で、次の質問がありました。
衆議院における参考人意見陳述では当事者に節税の意図しかなく、脱税が行われなかったとしても申告前に捜査当局により脱税のおそれがあるとされた場合には、当該法人税等の修正申告をした税理士が捜査対象となる旨の発言があったことから、税理士会として、どの様に考えているか教えていただきたい。また、会員に対する情報提供について教えていただきたい。
 これに対する回答は、次のようなものでした。
 質問のような正当な事業活動を行っている一般の事業会社は、毎年脱税を繰り返しているというだけでは組織的犯罪集団に当たることはない旨、第193回衆議院法務委員会において政府参考人からの答弁があった。さらに、日税連においても国税庁を通じて情報収集に努めており、いずれ会員に周知すると考えられる。

国会の政府参考人の答弁
 ・・・・所得税の免脱等の実行を計画する例といたしましては、例えば暴力団がその組織の維持運営に必要な資金を得るために、組織的に所得を隠匿して脱税することを計画するといったことは考えられる・・・・脱税の目的がなければ、もうその会社は解散いたします、あるいは、そこには結合しません、そういうことであれば、脱税が共同の目的になると思います・・・・脱税を計画していること、あるいは仮に何回か繰り返しているからといって、その団体の目的が脱税にある、あるいは犯罪実行の目的にあるということにはならない・・・・
 これは、答弁の部分抜粋です。この答弁によると、暴力団も脱税の目的を放棄したら解散するような団体ではないから、「偽り不正の租税回避」計画の実践をしても、共謀罪で問えないことになります。

政府側答弁は暴力団を守ってくれるか
 暴力団が租税回避プランで共謀罪に問われたとき、脱税目的なんかもたなくなっても組織の解散などありえないのだから、そもそも「組織的犯罪集団」には該当しない、と主張しても、法律条文の文理からはそのような解釈は出てこない、と言われるのではないでしょうか。






H29.11.6
赤信号無視と共謀罪既遂


赤信号無視で逮捕・訴追されることもある
 歩行者の赤信号無視が警察官の目の前で行われても、せいぜい注意される程度で、逮捕・訴追されることなど滅多にありません。かつて、オウム事件勃発の頃にニュースになった逮捕事件があった程度です。
 ただ、赤信号無視の個人を法的に責めるとしたら、行政処分ではなく、通常の犯罪として刑事訴訟法の手続きに則り、書類送検、起訴という手続きをとらなければならず、非常に厄介、国民平等待遇の問題もあり、現実としては大目に見て無視しているということなのでは、ないでしょうか。
 でも、決して法律違反者であるという事実が無くなる訳ではありません。

共謀罪の構成要件・計画の準備行為
 租税回避計画を前提に、共謀罪法の条文を読んでみると、「計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」が構成要件の内容で、「計画をした犯罪」とは「偽り不正の行為により税を免れること」です。税の抜け穴プランを思い付いて、話題にした程度の個別具体性がない段階ではまだ、計画にもならないと思われます。
 過去の事例で言えば、自己株取得・みなし配当、チェック・ザ・ボックスによる株式簿価の膨張、日本国内親会社の設立とそこへの譲渡、創出欠損金は4000億円、それから合併又は連結、と具体化したところまでが計画の段階で、株式簿価膨張のための評価依頼先をどこにするか、日本親会社たる有限会社は設立でなく買い取りとしてその候補を探す依頼先を検討する、ということになると、準備行為開始の段階です。
 結果として、そのプランを実行した場合に否認され「偽り不正の行為」と認定される可能性があるものだとしたら、この準備開始段階に至れば、共謀罪では既遂です。

赤信号無視と同じ共謀罪違反者
 共謀罪違反につき税務署に通報義務はなさそうです。訴追については、警察・検察の仕事であり、情報もないことから、通常は租税の「偽り不正の行為」事件には無関心なのではないかと、思われます。
 しかし、もし、節税・租税回避プラン作りに、「偽り不正行為」と認定される回路があるとしたら、租税訴訟とは別に、共謀罪既遂者として法律違反を問われる条件事実はすでにある、ということになります。
 赤信号無視者と同じ状況です。






H29.11.2
役員報酬の決め方・支払い方のルール
「定期同額給与」とは?


役員報酬の支払いにはルールがある
 役員報酬の決め方・支払い方には、一定のルールがあります。簡単にいうと「あらかじめ決定した一定額を毎月支払うこと」。従業員の給与と異なり、役員報酬は原則として一度決めた報酬をその事業年度の間は変えることができません。このルールを守らない場合、法人税の計算上、一定額を損金とすることができません。「定期同額給与」に該当しないこととなるからです。

法人税法の「定期同額給与」とは?
「定期同額給与」とは、「定期」かつ「同額」の給与をいい、損金に算入されます。
定期
支給時期が1月以下の一定の期間ごとであること
同額
その事業年度の各支給時期における支給額が同額であること
 ただし、@通常改定(期首から3か月までの改定)、A臨時改定事由(職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更)による改定、B業務悪化改定事由による改定の場合には、支給額の改定が認められています。

不相当に高額な部分も損金不算入
 また、不相当に高額な部分の金額も損金とされません。「いくらから高額か」という判断は難しいところですが、国税庁の「民間給与実態統計調査」に、役員報酬の統計があるので、参考にしても良いでしょう。
企業規模別・役員の平均年間給与(単位:万円)
        年分  25年分 26年分 27年分
資本階級別
2,000万円未満   543   529   552
2,000万円以上   752   759   834
5,000万円以上   1,037   1,057   927
1億円以上     1,388   1,325   1,288
全体         662   654   677

なぜ、定期・同額でなければいけないのか
 旧商法下の役員賞与の会計慣行が利益処分であったことから、昔の税法では、役員報酬(定期支給)は損金算入、役員賞与(臨時支給)は損金不算入というルールでした。  
現行の会社法では、報酬・賞与と区分せずに、会計基準でも発生時の費用とすることとされています。ただ、役員報酬は法人との委任契約と考えられ、職務開始前に支給額や支給時期を決めずに職務を行うことが考えづらいことや、期末の役員賞与が利益調整や「隠れた配当」として利用される懸念もあることから、税務では旧来の考え方が温存された形になっています。









H29.11.1
目標管理制度の改革


目標管理制度は、我が国企業の80%以上が活用しており、その内少なくとも50%が、何らかの問題点について改革する計画を持っております。

目標管理制度の問題点と改革課題
 問題点の多くは、目標管理制度の目的の見直しにさかのぼるケースが多く、それらを@〜Cに大別し、それぞれの改革課題(ワク内)を要約すると次の通りです。
@制度の活用目的が不鮮明
「経営戦略目標を達成するための業績管理制度」とする(組織と社員一人ひとりが与えられた役割・責任・成果責任、または期待貢献に応じて目標を分担し、活力をもって達成する制度とする)。
A目標達成度評価の公正性・納得性が確保 できない
目標達成度評価の主眼を「経営貢献度」に置き、公正性・納得性をもつ評価を実施し、等級・賃金等の処遇に反映する。
B目標設定方法が不明確
社員の「経営戦略目標に基づく主体的・挑戦的目標設定」を行う方法を設定する。
・経営計画・経営目標をカスケードダウン(段階的順次細分化)により、組織・チーム目標・個人目標へ的確に配分する。
・役割・職務等級制度とリンクし、役割・成果責任・期待貢献に基づいて目標設定を行う。
・目標設定対象業務の性質に応じて達成度評価がしやすい達成基準を設定する。
・より挑戦的な目標設定へ誘導するため「チャレンジ度」を設定する。
C制度運用が組織と人の活力向上・チームワークの強化・挑戦し続ける組織の開発・人材育成に結びついていない。
目標設定・達成プロセス・貢献度評価を通じて、全組織と社員が参加する組織開発によって運用する。
・組織開発の原理と手法(ファシリテーション)による目標設定、プロセス管理
・目標設定・達成プロセス・評価を通じた人材育成の仕組み化
・評価における相互フィードバックの活用

経営者・目標管理担当管理者の留意点
以上の問題点・課題は、複数の専門領域の改革を行うため、プロジェクトチームによる共同目標とするのが適切であり、改革案の検討・実施には数年を要し、5〜10年のサイクルで改革に取り組む重要案件となることに留意して取り組みましょう。
会社港区 税理士・会計事務所/税理士法人 大沢会計/ミナトBizマネジメント株式会社/田町・三田