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H29.3.31
目標達成方法のタイプ

 一般に問題解決・課題解決の方法には「仮説探索型」と「仮説検証型」の二つのタイプがあり、目標管理制度における目標達成の方法についても同様のことが言えますから、それらの特徴、注意点を知っておくと効率が良い目標達成を図るメリットが得られます。

二つのタイプの特徴
 二つのタイプの特徴を比較しますと次の通りです。
A:仮説探索型目標達成
 問題・課題解決方法⇒事実分析などによって、問題の真因・課題解決のポイントを探索、判断し、有効な解決策仮説を立てて検証する。
 特徴⇒仮説検証型に比べると時間を要する。研究・開発や複雑な問題解決などに適し、関係者が納得しつつ進められる。
B:仮説検証型目標達成
 問題・課題解決方法⇒問題・課題解決具体策仮説を立てた上で、検証する。
 特徴⇒解決のスピードが速く、ベテランによる問題解決に適する。

二つのタイプの活用方法と注意点
 「仮説探索型目標達成」は、従来にない全く新しい技術・製造法の開発など困難な研究開発型の目標達成や、多くの要因が複雑に関係している問題解決を課題とする目標達成に用い、有効な仮説を得るまでには時間を要しますので、次の@〜Bにより、効率性を重視しなければなりません。
 @“三現主義”(現地で現物を現実に即して見る)を徹底した調査。
 A1次調査で、探りを入れ、分かったことを手掛かりに2次調査をかける、段階的で徐々に鋭く的を絞った調査。
 Bチームメンバーなど関係者が調査した事実を共有、仮説設定に関わる。
 一方「仮説検証型目標達成」は、エキスパートによる仮説の構築と、“三現主義”による検証が目標達成のポイントであり、問題・課題に応じたエキスパートの選抜が重要です。





H29.3.30
平成29年度年金関係変更情報

受給する年金額について
 1月に総務省より公表された「平成28年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)は対前年比0.1%の下落となりました。平成29年度に支払われる年金額は4月分が支払われる6月から引き下げとなります。0.1%の例で見てみると、例えば40年間年金に加入した人の新規裁定者で国民年金ならば平成28年度は月額65,008円でしたが、平成29年度はマイナス67円の64,941円となります。また、厚生年金で夫婦の場合標準的な年金額は平成28年度は221,504円でしたが平成29年度はマイナス227円の221,277円となります。
 年金額の改定は物価変動率、名目手取り賃金変動率が共にマイナスで名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年金を受給し始める年金額、受給中の年金額共に物価変動率によって改定になります。平成29年度は0.1%引き下げられることになりました。

国民年金保険料について
 国民年金の保険料は平成16年の制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29年度で設定されていた上限に達し、固定される予定です。実際の保険料は名目賃金の変動に応じて毎年改定されます。平成29年度の国民年金保険料額は月額16,490円で前年より230円上がります。但し平成30年度の保険料は平成29年度より150円下げ16,340円の予定です。

在職老齢年金について
 働きながら年金を受給する在職老齢年金の仕組みは、60歳台前半では賃金月額と前年賞与の12分の1と年金月額の合計額が支給停止調整開始額(28万円)を上回ると賃金の増加2に対し年金額は1を支給停止します。賃金が47万円(平成28年度)を上回る場合は増加分が支給停止されます。
 60歳代後半、70歳以降は賃金と年金額の合計が47万円(平成28年度)を上回る場合、賃金の増加2に対し1を支給停止します。
 平成29年度の在職老齢年金に関しては60歳台後半と70歳以降の支給停止調整額は46万円に変更されます。60歳台前半の支給停止調整開始額28万円は変更されません。





H29.3.29
税金を払う際の「領収済通知書」 裏面も読んでみましょう!

SNS「ホチキスは取らないでOK?!」
 昨年一部のSNSで、ホチキス針の箱の裏面に記されている表記が話題となりました。国内シェア75%の最大手の会社が製造する商品の箱の裏には次のような説明が白抜き文字で記されているそうです。
【ホチキス針は古紙の再生紙工程で支障ありません】
 この記事を見た方は一様に、「えっ! ホチキス外さないでよかったの?」「はあ? 早く言ってくれ!」と絶句しておりました。私も皆さんと気持ちは一緒です。
 会計事務所の仕事は、何かと書類が多いもの(「紙(カミ)との闘い」です)。大量の書類のホチキス針を外し、シュレッダーをかけていた残業の日々は何だったのか(前世紀のうちに聞いておきたかった…)。

「納付書」の裏面を読んでみましょう
 このことから得られる教訓は、「裏面も、キチンと読みさない」ということ。納税者の皆様にお渡しする「領収済通知書」の裏にもいろいろな説明が書いてあります。
@年度欄
【会計年度(毎年4月1日〜翌年3月31日)を記載してください。】
 たまに、迷うこともありますが、やっぱりそうですよね。
A税務署欄
【所轄の税務署名を記載してください。(税務署番号の記載は必要ありません。)】
 署番号は書いている人が多いですよね…。
B納期等の区分
 「年分、課税時期等を記載してください」とあり、税目別の記載例があります。
 申告所得税・贈与税等は「年分」のみの記載、相続税は「相続の年月日」のみの記載でよいようです。

この記載要領は「事務運営指針」
 「単なるトリセツじゃん!」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、実はこれは、税務署内では「事務運営指針」―すなわち、通達と同じような立ち位置にある立派なルールなのです。いちいち面倒臭いですね。





H29.3.28
株式投資信託 個別元本と取得価額

 株式投資信託(追加型)の課税実務においては、「個別元本」と「取得価額」の二つの数字が出てきます。

●個別元本とは
 個別元本は、投資信託を購入した時の時価で、それは「購入価額」のことです。株式であれば「株価」に相当するものですが、投資信託の場合は「基準価額」となります。
 具体的には、ファンドに組み入れられた株式や債券などの資産の時価総額を受益権口数で割った一口当たりの純資産価額のことです。通常、投資信託は設定時点の基準価額を1万円として販売しています。

●取得価額とは
 一方、取得価額は、個別元本に販売手数料(税込)を加えたものです。
 例えば、個別元本が9000円で販売手数料3.24%の場合、取得価額は9000円+291円で9291円となります。
 それでは、この二つの金額が課税実務でどのような違いを生むのかを整理してみます。

●特別分配金では個別元本を使用
 特別分配金の計算をする場合には、個別元本を使用します。特別分配金は、分配金を支払った後の基準価額が個別元本を下回る場合、その下回った額の部分を指します。
 先の例では、個別元本9000円、分配金支払い後の基準価額が8800円、分配金が300円とすれば、特別分配金は200円、普通分配金は100円となります。この普通分配金は、配当所得として課税の対象になりますが、特別分配金は、「元本の払い戻し」に相当しますので課税対象外です。

●特別分配金による修正
 しかし、特別分配金が支払われると、個別元本と取得価額は特別分配金の金額だけ修正されます。
 先の例では、個別元本は8800円、取得価額は9091円となります。

●譲渡損益では取得価額を使用
 投資信託を売却して譲渡損益を確定する際には、取得価額を使用します。
 先の例で、ファンドの運用が良好で譲渡時には基準価額が10500円になっていれば、譲渡益は10500円−9091円で1409円となります。
 なお、特定口座では、これらの計算結果を取引報告書に掲載してくれていますので、自身で計算することはありません。





H29.3.27
管理会計の古典を読む 『事業部制の業績評価』


古典から現代の課題を探る
 管理会計(特にマネジメント・コントロール関連)の古典の一つであり、初版は1965年の出版で、1983年に復刻版が上梓されたのが、David Solomons (1983):Divisional Performance: Measurement and Control: Markus Wiener Pub. 桜井通晴・鳥居宏史(監訳)『事業部制の業績評価』(東洋経済新報社 2005年)です。
 監訳者はしがきで、「現在のビジネスの世界で最も大きな話題をさらっている管理会計の本質にかかわる多くの問題を実によく記述しており、しかもその内容の多くは、現代においても全くその輝きを失っていない」と記されています。また、本書は、「バランスト・スコアカードの起源ではないにしても少なくともその基盤にはなっていると考えている。」と記されています。

なぜ事業部制を採用するのか
 利益責任を持たせるため、「意思決定の分権化」が事業部制です。企業全体の収益性を高める上で、事業部が果たす貢献を長期的に最大化させることを目的とします。将来の幹部育成のトレーニングにもなります。

事業部制組織誕生の背景
 第一次大戦後、アメリカでは事業運営においての多角化が進み、伝統的な職能別組織ではそれに十分対応することができなくなったため、その問題点を克服するために生まれたとされています。

事業部制の成功のための前提条件
 利益の所在を明確にするために、各事業部が他の事業部からの独立性をきちんと確保することが必要です。本社は口出しし過ぎないことも大事です。
 ただし、全社として最適であるためには、ある程度の相互依存も必要です。調達や製造、販売、人事、経理等の機能は全社レベルで共有するなどし、全体最適を目指します。

事業部制のデメリット
 経営資源の重複の無駄や、事業部間をまたぐ新たな取り組みが難しいなどの弊害があります。

事業部制が常に正しい答えとは限らない
 会社の規模等により必要性が異なるため、事業部制が全ての状況においてあらゆる規模の組織をもつ企業に適しているというわけではありません。自社に最適な組織については会計事務所にも相談しましょう。





H29.3.24
バランスト・スコアカード(東京都千代田区の活用事例)

バランスト・スコアカード(BSC)
 バランスト・スコアカードは、戦略経営のためのマネジメント・システムです。ハーバード・ビジネス・スクール教授キャプランとコンサルタント会社社長ノートンにより1992年に「Harvard Business Review」誌上に発表された業績評価システムです。従来の財務数値のみならず、非財務の観点からもビジョンと戦略を明確にし、バランスの取れた業績評価を行います。ビジョンや戦略は、「財務の視点」、「顧客の視点」、「業務プロセスの視点」および「学習と成長の視点」の4つの視点で分類されます。
キャプラン=ノートン(著)櫻井通晴(訳)『戦略バランスト・スコアカード』(東洋経済新報社 2001年)に具体例が豊富に掲載されています。日本企業の例はありませんが、参考事例を見つけることができるかもしれません。興味を持たれたらご一読を!

東京都千代田区も組織経営評価として導入 
(1)行政でも利用可能
 非営利組織や政府にもBSCの利用は可能です。ただし、営利組織と違い、財務の視点を階層構造の頂点に置くオリジナルの構造には問題があるため、顧客や有権者を頂点に置くという方法となります。顧客への効果的なサービスの提供が究極的には政府の存在意義を説明するからです。公共セクターの組織には、そのミッションを達成することが必要なら満足させなければならない3つの上位目標、@最小のコストで、A価値を創造し、B資金を供給する権限のあるところから継続的な支援と委任を引き出す、があります。3つの目標から始まって、公共セクターの組織は3つの高次の視点における目標を達成できるような内部プロセス、学習と成長の目標を明らかにすることへと進んで行きます。
(2)事業部制導入に併せ平成15年から導入
 区民サービスの向上を目的に区民の目線にたった柔軟な行政運営ができる仕組みをつくるため、千代田区は、平成15年4月からスタートさせた「事業部制」に続き、区民の満足度と成果を重視する区政への転換のため、組織経営評価としてのBSCを試行し、事業部の事業実施の成果を評価しています。これを始めた区長は平成29年2月の選挙では代理戦争と言われた現区長です。(代理戦争という言葉に流されず、この点を評価できたのではないでしょうか。)




H29.3.23
組織開発と貢献度評価

目標管理制度の運用では、「組織開発」が一石二鳥の働きをします。

組織開発の働き
 すなわち、「組織開発」の成功要件は次の4点にあり、それらを目標設定と目標達成プロセスで活用することによって、社員の高い挑戦意欲・主体性・創造性が生まれ、組織の目標達成力が向上します。
[組織開発の成功要件]
@ 関係者全員が参加する。
A “三現主義”(現地で現物を見て、現実に即して状況事実をとらえる)
B 関係者が重要な事実を共有する。
C バーチカル・フル・ジョブ(Plan‐Do‐Check‐Actionのワンサイクル業務)
で課題・問題解決に取り組む。

評価における「組織開発」の働き
 さらに、貢献度評価で「組織開発の成功要件」を活用すると、「同じ組織目標達成に貢献しようと努力し、その状況事実を良く知っている仲間の相互フィードバックが評価の根拠」となります。
 つまり、目標達成状況・目標達成に貢献したプロセスの発揮能力・仲間への影響力を事実に基づいて、真摯に、相互に指摘し合い、社員一人ひとりも管理者もそれらの指摘を根拠として個々の目標達成度・組織目標への貢献度を評価することになります。
その結果、評価の公正性・納得性が確保できるだけでなく、仲間が相互に高め合い、信頼の絆を強め、組織の目標達成力を押し上げます。

経営者・管理者の留意点
 このように、「組織開発」は、目標設定・達成プロセスの強化と同時に、貢献度評価を通じて社員のやる気を高め、組織の目標達成力向上に生かされます。さらに、そのやり方を5〜10年継続すると、次のような「企業価値」の形成に結実します。
@ 問題・課題解決力に優れた「組織体質」・「組織風土」が形成される。
A それは「企業文化」となり、存続発展への無形資産として後世に受け継がれる。





H29.3.22
馬券払戻金の所得区分と外れ馬券の必要経費性(ソフトウェア提供者側からの見解)

事件(裁判で争われた)の概要
 馬券を自動的に購入できるソフトを使用してインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を上げていた被告人が、所得区分を一時所得ではなく、雑所得とし、その外れ馬券の購入代金が所得税法上の必要経費に当たるか否かという所得税法解釈の裁判です。

一時所得vs雑所得
(1)所得の区分(論点を下線で示します)
 所得税法基本通達34-1の(2)で、一時所得の例示として「競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)」とありました。※判決が出てから(注)として本テーマにかかわる所得区分が追記されていますが、裁判前(注)はありませんでした。
(2)外れ馬券が他のレースの必要経費か?
 当たり馬券の購入代金費用だけでなく、外れ馬券を含む全ての馬券の購入費用が、当たり馬券の払戻金という収入に対応する必要経費か否かが論点でした。

馬券購入ソフトの提供者側からの意見
本件は、平成27年3月10日に最高裁により、「一時所得であり、外れ馬券を含む全ての馬券の購入費用が必要経費となる」とされました。納税者側の税法解釈は、学者の方々の評釈をご参照ください。

かつて馬券を自動的に購入できるソフトを開発・販売していた会社を顧客にしていた先生に聞くと、事業の内容からして、当然雑所得と考えていたので、裁判が起こされ、第一審で納税者が負けた時は“なぜこの解釈”との感想を持っていたそうです。
<理由>@馬券購入ソフトは、様々な過去のデータにより馬券の購入パターンを考案するものであり、競馬新聞の予想や当日の馬の状態は一切考慮しない、Aその日のレースは勝てばそこで終了が原則である、B競馬レースを見ることなく着順の結果のみが興味の対象であり、位置づけは財テクであった等々、が理由であり、「営利を目的として継続的に行われている」ものとして雑所得になると考えていたとのことです。

実際の申告は会計事務所にご相談ください
 本判決は、「ソフトを使いインターネット経由で長期・多数回・頻繁に中央競馬会のPATにて購入」等が前提です。条件が違う場合には、課税区分や計算方法も変わってきます。実際の申告は、会計事務所にご相談ください。





H29.3.21
職場意識改善助成金〜勤務間の休息時間設定〜


勤務間インターバル導入コース
 昨年より厚労省が「勤務間インターバル制度」の導入を推奨し、平成29年度より助成金を支給するとしていましたが、最近ホームページに内容が掲載されました。勤務間インターバル制度を導入した事業主にその実施に要した費用の一部を助成します。対象は休息時間数を問わず就業規則等で「終業から次の始業までの休息時間を確保する事を定めているもの」を指しています。

支給対象事業主
@労働者災害補償保険の適用事業主
A中小企業事業主
B次のいずれかに該当する事業主
ア、勤務間インターバルを導入していない
イ、休息時間が9時間以上のインターバルを導入しているが対象労働者の半分以下
ウ、休息時間が9時間未満のインターバルを導入している

支給対象となる取り組みを1つ以上実施
ア、労務管理担当者に対する研修
イ、労働者に対する研修、周知、啓発
ウ、外部専門家(社労士、中小企業診断士等によるコンサルティング)
エ、就業規則、労使協定の作成、変更
オ、労務管理用ソフトウェア・機器の導入、更新、当制度導入の為の機器の導入、更新
(原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象外)

成果目標の設定と事業実施期間
 事業実施計画において指定した事業場において休息時間数が「9時間以上、11時間未満」又は「11時間以上}の勤務間インターバルを導入します。
 実施予定期間は事業実施承認の日(実施承認開始は平成29年4月3日の予定)から平成30年2月15日まで、但し受け付け締め切りは平成29年12月15日まで)。

支給額は
 事業の実施に要した費用の一部を成果目標の達成状況で支給。事業の実施に要した費用のうち委託費、謝金、旅費、会議費、備品、機器レンタル料又は購入費、印刷費、
研修受講料等にかかった費用の4分の3。
 上限額は休息時間で決まります。
A、9時間以上11時間未満
B、11時間以上
新規導入 A、40万円 B、50万円
適用拡大 A、20万円 B、25万円





H29.3.17
勤務間インターバル制度とは


導入のきっかけとなるか
 昨年から厚生労働省で来年度から中小企業に勤務間インターバル制度を導入すると助成金を支給すると発表していましたが、最近その内容が厚労省のホームページに掲載されました。労働時間の設定の改善、過重労働の防止や長時間労働の抑制に向け勤務間インターバルを設けた企業に要した費用の一部を助成するというものです。
 国会予算承認前に開示したのは珍しく、政府がこの制度の普及に意欲を持っていることが窺えます。

勤務間インターバルとは
 昨年は「働き方改革」の流れの中で、過重労働防止について注目された年でした。勤務間インターバル制度とは時間外労働を含む1日の最終的な勤務終了時から翌日の始業時までに一定時間のインターバル(間隔)を保証することにより従業員の休息時間を確保しようというものです。これまでのように長時間労働の是正には高い割増率の賃金にするのではなく、当日の勤務と次の日の勤務時間に決まった休息時間の確保が義務付けられることで過重労働の防止に繋がるという考え方です。この制度はEU加盟国では1993年から導入されていて、「労働時間指令」により24時間のうち最低連続11時間の休息時間と7日毎に24時間の休息の確保をするというものです。日本でもEUでの実績を確認してゆくようです。

実務面の取り扱いは
 例えば9時から18時の勤務の場合18時から24時まで時間外労働をした場合、翌日は11時間後の午前11時からの勤務となり、従業員の心身の負担を軽減すると期待する声も聞かれます。現在1日の労働時間の上限規制はありません。8時間毎に1時間の休憩は必要ですが理屈上は長時間勤務も可能です。それがもしEU並みに11時間のインターバルを入れたとすると労働時間の上限は休憩時間を除き1日12時間となります。1日当たり4時間の上限まで働いたとして月20日勤務でも80時間となり、労基署の示す過重労働ラインにかかるかどうかという所です。導入には給与計算のルールを決めておく必要はありますが、従業員の健康確保という面からは考えられるものと言えましょう。






H29.3.16
チャレンジ度評価基準


目標管理制度におけるチャレンジ度は、社員により高い目標設定を期待し、促進するために活用するものですが、評価の仕方について、創意工夫が必要になります。

チャレンジ度の評価基準
 チャレンジ度の代表的評価基準は下表の通りです。
@ チャレンジ度の定義(役割・職務等級に求められている水準を「標準」とする)。
A チャレンジ度のレベル(個別目標に対して目標設定時に下記のレベルを設定)。
A 非常に高い(1等級上位の役割・責任・期待貢献に該当)
B やや高い
C 標準(役割・職務等級の役割・責任・期待貢献に該当)
D やや低い
E 非常に低い(1等級以上下位の役割・責任・期待貢献に該当)
 個々の目標でチャレンジ度判定を行うためには、年度ごとに「みなし判定基準」を設定する等工夫する必要が生じます。
「みなし評価基準」設定の工夫
例             みなし尺度      みなしチャレンジ度基準例
定量目標(例:
営業利益の向上)   数値の変化度      A +10%超
                             B +5%超
                             C 現状の±5%
                             D −5%超
                             E −10%超

定性目標(例:
○○の仕組み開発)  効果が及ぶ範囲    A 複数業務範囲
                             B 現状範囲の50%超
                             C 現状範囲の50%内
                             D 現状範囲の50%内効果減
                             E 現状範囲の50%超効果減

経営者・管理者の留意点
@ 「みなしチャレンジ度」は自社の目標設定に即して、検討を重ね、実例を積み上げて、公正性・納得性を確保しましょう。
A 部門間・部門内で不整合が生じないよう、事前調整を行うとともに、社内に公開して、公正性を確保しましょう。
B 実際のチャレンジ度は、期間内の外部環境変化や内部方針変化の影響を受けますから、目標達成度の実績評価を行う時点で再評価する必要があります。






H29.3.15
市町村等が遡求認定する場合も
要介護認定と障害者控除


介護サービス受給者500万人はもうすぐ?
 介護保険制度では、「要介護状態」や「要支援状態」になった場合には介護サービスを受けることができます。
要介護状態  寝たきりや痴呆等で常時介護を必要とする状態
要支援状態  家事や身支度等の日常生活に支援が必要になった状態
 平成28年11月分における「介護保険事業状況報告(暫定)」では、居宅サービス受給者は約393万人、施設サービス受給者は約93万人に上ります。
 最近は確定申告の相談で、「要介護認定で障害者控除を受けることができるか?」という質問を受けるのは定番となっています。

要介護認定と障害者控除
 結論から申し上げますと、残念ながら介護保険法の要介護認定だけでは、障害者控除の対象とはなりません。
 これは所得税の規定で障害者控除の対象となる者が、事理弁識能力がない者や身体障害者手帳の交付を受けた者などに限定されており、要介護認定者について、直接の言及がないためです。
 もともと、障害者に該当するかどうかを実質的に判定することは専門医でなければ困難です。そのため、所得税の規定では、身体障害者手帳への記載の有無等によりできるだけ形式基準により判定することができるように配慮されています。
 とはいえ、明らかに身体障害者手帳に記載される程度の障害があると認められる方もいらっしゃいます。そこで、介護保険制度の要介護認定者のうち、精神又は身体に障害のある65歳以上の者で、障害の程度が知的障害者又は身体障害者に準ずるものとして市町村長や社会福祉事務所長に障害者として認定を受けた場合には、障害者控除の対象となることとされています。

市町村等により障害者控除の遡求認定も
 この場合、市町村長や社会福祉事務所長が交付した「障害者控除対象認定書」に遡求して認定する旨の記載がある場合には、その認定の年分から障害者となることになります。もし、遡求認定期間に障害者控除を行っていない場合には、過去5年間について期限後申告・更正の請求を行うことができます。






H29.3.14
管理会計のススメ
粗利益を多く積み上げるには…

粗利益の絶対額を確保する方法は4つある
 儲けの源泉である粗利益は、「売上−売上原価」で計算されます。一つ一つの粗利益の絶対額を積み上げたものがその会社(個人の場合は事業)の粗利益の総額です。
粗利益の総額=1個の粗利益額×販売数量
個々の要因に着目し粗利益を増やすには、@値上げによる粗利益の増加、A売上原価を下げることによる粗利益の増加、B販売数量の増加による粗利益の増加、C同じお客さんの購入頻度の増加による粗利益の増加が考えられます。もちろんこれらを組み合わせる場合もあります。

@値上げによる粗利益の増加
例:100円のものを110円で売る。
 自社の商品に魅力があり、他社では買えないようなものを売っている場合、値上げに躊躇する必要はありません。もちろん値上げで離れてしまう顧客も一定数出てきます。値上げで増える額と顧客減で減る額を比較して、粗利額が増えることを目指すのが値上げ戦略です。

A売上原価を下げることによる粗利益増加
例:原価50円のものを45円にする。
 販売金額を変えずに、販売回数も増やさずに、粗利益を増加させる方法です。現状でギリギリまで原価を抑えている場合には、採用しづらい戦略です。

B販売数量の増加による粗利益の増加
例:月100個売れたものを110個に増やす。
 新規の顧客を開拓するため折り込みチラシを撒く範囲を拡大したり、店舗販売だけだったものに通販ルートを設けたり、飲食店であればレイアウトを変えて座れるテーブルや椅子の数を増やすことなどが考えられます。ただし、これも追加で費用が発生しますので、それとの比較でどういった戦略を採用するかが変わってきます。

C同じ顧客の購入頻度の増加による売上増
例:月に1回の購入を25日に1回にする。
 顧客の囲い込み戦略です。顧客をファンにするために、顧客にとってメリットのあることを考えます。ポイント制度やかかりつけ薬局などが一例です。

PDCAの数字による検証が必要です
 粗利益の増加も、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、継続的に改善して行きます。数字の検証が必須です。会計事務所にもサポートしてもらえば力強いでしょう。






H29.3.13
ビジネス・エコノミクスのススメ
稀勢の里が巴戦で勝つためには…


19年ぶりの日本人横綱誕生で4横綱体制に
 横綱稀勢の里の誕生で、3月の春場所は白鵬、日馬富士、鶴竜を含め4人の横綱が居並ぶ豪華番付になります。実力が拮抗しているとすれば、千秋楽まで優勝が決まらず、同じ星で3人が優勝決定戦を争う巴戦という状況も十分期待できます。大相撲ファンにとってはうれしいシナリオともいえます。

巴戦で稀勢の里が優勝するためには
(1)巴戦の優勝確率
 〇〇海、〇〇山、〇〇川が千秋楽で巴戦を戦うこととなりました。抽選の結果、最初の対戦は〇〇海対〇〇山と決まりました。〇〇海、〇〇山、〇〇川が優勝する確率はどうなるでしょうか?(単純に考えると、実力が同じなら、1/3の確率ですが……)
 〇〇海、〇〇山、〇〇川が、優勝する確率をそれぞれp、q、rとすると3人合わせた確率は100%=1となるため、
@…p+q+r=1となります。
 いまの対戦で勝った力士(仮に〇〇海とします)が優勝する確率は、次の対戦で1/2の確率で勝って優勝するか、1/2の確率で負けてもqの確率で優勝する可能性が残されているので、
A…p=1/2+1/2q
また、いまの対戦で負けた力士(仮に〇〇山とする)が優勝する確率は、1/2の確率でまだrだけ残っているのでB…q=1/2r
@ABからAにBを代入すると
p=1/2+1/2×1/2r=1/2+1/4r
1=(1/2+1/2×1/2r)+(1/2r)+(r)
→1/2+1/4r+1/2r+r→4=2+r+2r+4r→2=7r→r=2/7となります。
 よって最初の対戦を観戦して2戦目から参戦する〇〇川が優勝する確率は2/7となります。最初に対戦する者(○○海と○○山)の確率は同じですから、(7/7−2/7)÷2となり=2.5/7→5/14となります。最初の対戦で戦う2者の優勝確率はそれぞれ5/14となりますが、最初の対戦を観戦して2戦目から参戦する者の優勝確率は2/7→4/14となります。
 最初の対戦で戦う2者の優勝確率は同じですが、最初の対戦を観戦して2戦目から参戦する者の優勝確率は若干低くなり不利といえます。
(2)優勝のためにくじ引きに全力投球!
 一見同じ確率に見えても、数字で分析すると違った姿が見えてきます。ビジネスの世界でも数字を使って考える大切さは一緒です。






H29.3.10
個人所得課税
公社債投資信託の税務


 公社債投資信託とは、証券投資信託の1つで、その信託財産を国債、地方債、社債など公社債(債券)に対する投資として運用し、株式、投資口、出資、優先出資等に対する投資として運用しない投資信託です。
 そして、その大部分は、上場又は公募型の公社債投資信託です。

●上場・公募公社債投資信託の譲渡
 平成27年12月31日以前は、当該投資信託を譲渡した場合に生じた譲渡損益は、所得税及び住民税は非課税でした。
 しかし、平成28年1月1日以後においては、当該譲渡損益は、上場株式等に係る譲渡所得等として課税の対象になりました。 

●上場・公募公社債投信の償還・解約
 当該投資信託の終了や解約に際して、償還金、解約金が支払われます。
 平成27年12月31日以前は、償還金又は解約金が当該投資信託の元本を超える場合、その超える部分の金額、すなわち償還差益又は解約差益は収益分配金となり、利子所得になっていました。
 また、償還、解約の場合に生じた元本と取得価額の差額(差損・差益)については、株式投資信託の場合と異なり、差益は非課税、差損は生じなかったものとみなされていました。
 しかし、平成28年1月1日以後においては、上場及び公募公社債投資信託の償還・解約があった場合には、当該金額の全部が上場株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされることになりました。
 これにより、昨年までのように、個別元本と取得価額の違いをことさら意識する必要はなくなりました。

●損益通算及び繰越控除
 もちろん、当該投資信託の譲渡による譲渡損、当該投資信託の終了に伴う償還損、解約に伴う解約損が生じた場合には、上場株式等の配当所得及び特定公社債等の利子等(配当等)との損益通算、さらには、一定の要件のもと繰越控除の適用もあります。
 ちなみに、平成28年1月1日以後、上場・公募公社債投資信託は、証券会社等の特定口座内で管理されるようになり、その口座内での通算が可能となりました。
 なお、平成28年1月1日以後は、上場・公募公社債投資信託の収益分配金は、上場株式等に係る配当所得等として申告分離課税の対象となりました。






H29.3.9
「パナマ文書」に続き「バハマ・リークス」(タックスヘイブンの情報流出)

バハマ国との租税情報交換協定の改正
 2017年2月10日財務省は、バハマ国との租税情報交換協定を改正する議定書が署名されたと発表しました。これは、現行協定を改正し、OECDが策定した国際基準に基づく金融口座の情報交換に必要な自動的情報交換の条項を導入するものです。これにより、一連の国際会議等で重要性が確認されている国際的な脱税及び租税回避行為の防止を一層図ることが期待されます。

バハマ・リークス
 2016年7月、タックスヘイブン(租税回避地)の法人に関する大量の電子ファイルが新たに流出し、世界各国の記者たちの手に渡りました。バハマの法人情報に関する報道プロジェクトを国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は「バハマ・リークス」と名付けました。これは、ICIJが2016年4月3日に公開した「パナマ文書」流出に続くものです。

情報交換協定との国外財産調書とのコラボ
 平成24年(2012年)の税制改正において、適正な課税・徴収の確保を図る観点から、その年12月31日現在において5千万円を超える国外財産を持っている人は、国外財産調書を翌年3月15日までに提出しなければならないこととされました。平成26年(2014年)1月から適用されています。
 今年の2月1日現在、我が国が租税情報交換協定を締結しているのは10か国・地域です。この中には「パナマ文書で」で最も人気だった租税回避地だったとされる英領バージン諸島(BVI)も含まれています。今後、さらに情報交換の対象が拡大されたり、相手先国・地域が増えたりすることで、国外財産調書により蓄積されるデータとのマッチングにより、ビッグデータとして活用できれば、(隠しているだけの)租税回避は白日の下にさらされる日が来るでしょう。

合法的な租税回避への対抗策はまた別問題
 本稿のテーマは、米国の多国籍企業などが、国と国の税率差や租税条約の有利な点を活用して、合法的に税金を軽減する租税回避とは別の問題です。それはそれでOECD/G20においてBEPS「Base Erosion and Profit Shifting」(税源浸食と利益移転)問題として別途対応策が検討されています。






H29.3.8
法人事業の開始と個人事業の廃止
「法人成り」の年分の確定申告

「法人成り」(会社設立)年分の確定申告
 個人事業者の方が「法人成り」(会社設立)をした年分の確定申告は、通常年分と異なり、いろいろと厄介です。基本的には次のような所得を申告することになります。
@法人成り直前までの事業所得
A会社からの給与所得
B設立した法人に譲渡した資産の譲渡所得
 Bで個人の不動産を法人に譲渡すると多額の譲渡所得が生ずる場合もあるため、不動産を個人名義とし、法人と個人との間で不動産賃貸契約を締結するケースも多くみられます。この場合、「法人成り」の年分から、「不動産所得」が生ずることになります。
また、会社から配当があれば「配当所得」が発生します。

個人事業廃止年分の届出・減額承認申請
 所得の種類が増えるということに加えて、個人事業の廃止年分の届出や特殊な処理・手続きが生じます。
(手続1)個人事業廃止に伴う届出
 事業を廃止した場合には、原則的には「個人事業の廃業届出書」を廃止の日から1月以内に納税地の所轄税務署長に提出することになります。「青色申告の取りやめ届出書」や「給与支払事務所等の廃止届出」等の提出も必要となります(青色申告の効力は廃止年分の翌年に失われます)。
(手続2)予定納税の減額承認申請
 上記の廃業届出書の提出をしただけでは、前年の事業所得の金額に基づいた予定納税の通知が行われてしまいます。そのため、廃止時期にもよりますが、「減額承認申請」の手続きを行っておいた方がよいでしょう。

個人事業廃止年分の事業税の見込控除
 個人事業者の皆さんは、個人事業税は、ご自身が申告した所得税の確定申告データが都道府県税事務所にわたり、賦課決定された通知額を納付していたと思います。
 個人事業の廃止年度の事業税も同様に確定申告後に税額が通知されることになりますが、これでは個人事業の必要経費に算入することができません。そのため、廃止年度の事業税は通知を待たず、「見込額」を必要経費に算入することができます。この場合の事業税計算の事業主控除290万円は月数按分することになります。
 また、確定申告書Bの第二表「住民税・事業税に関する事項」の「前年中の開(廃)業」欄の「廃業」を○で囲み、その月日を記入します。






H29.3.7
経営者と目標管理

 経営者は、自社の目標管理制度の設計・運用に真摯な関心をもち、ミスリードに陥らない注意が必要です。それは、目標管理制度の機能が経営に生かされないばかりか、重大な経営の機会損失を招くからです。

経営者のミスリードとは
 経営者が陥りやすいミスリードで、代表例を挙げますと、次の通りです。
@ 設計・運用部門が目標管理制度の目的を「管理のサイクル・P‐D‐C‐Aの徹底・経営管理の強化」に置いており、本来の「経営目標達成のための業績管理」においていない(目的の取り違えをしている)のに、是正指示を出していない
A 同様に制度運用のキーファクターを「目標設定の方法」としており、本来の「社員が役割意識に基づくチャレンジ意欲をもって目標設定・達成に取り組む組織開発」を重視していない(重要手段に抜けがある)のに、是正させていない
B 評価制度について「達成度評価の公正性・納得性を重視した管理者教育」を重視し、本来の「目標達成度を組織・チーム業績への貢献度とする評価基準整備」が放置されている(評価の本質をとらえていない)のに、是正させていない

ミスリードが及ぼす影響
 このようなミスリードによって、設計・運用の根本的誤りが是正されないまま放置されると、当然の帰結として、
・制度の目的が「経営目標達成のための業績管理」に置かれないため、経営戦略・経営目標からカスケードダウン(段階的順次細分化)する目標設定が甘くなる。
・制度運用のキーファクターが「組織開発」に置かれないため、目標設定や達成に取り組む社員のチャレンジ意欲・活力が引き出せない。
・目標達成度評価が、組織・チームへの貢献度に置かれないため、真の経営貢献が評価されず、その結果公正性・納得性を持つ適正な役割等級や役割・貢献度賃金制度への反映がなされない。
など、目標管理制度の存在意義を根本から
否定しかねない事態となってしまいます。
 経営トップには、このようなミスリードの悪影響に鑑みて、目標管理制度の設計・運用の基本を踏まえたリーダーシップを発揮して頂きたいものです。





H29.3.6
特定口座(源泉徴収あり)
年間取引報告書の記載内容

 平成28年分の特定口座の年間取引報告書の記載欄には、「上記以外のもの」として「I公社債〜M国外公社債等又は国外投資信託等」が追加掲載されています。
これは、平成28年分から特定公社債等の利子等が上場株式等の配当等として、特定口座に組入れが可能となり、当該口座内で上場株式等の譲渡損と損益通算が可能となったことによるものです。

●取引報告書の記載に違和感
 株式等を購入しただけで、実感として株式等を譲渡していない、との思いにもかかわらず、報告書の上場分の「@譲渡の対価の額(収入金額)」の欄に株式等を購入した額が記載されており、そして、同額が「A取得費及び譲渡に要した費用の額等」の欄にも記載されています。
 では、何故このように記載されるようになったのか、ですが、特定口座を開設している人は、一般的に、株式等を購入する際には、特定口座内に預けてあるMRF(マネ―・リザーブ・ファンド)を売却等して購入します。MRFは公社債投信で、この売却等の収入金額は、平成28年分から「譲渡収入金額とみなされる」ことになったことが理由のようです。
 同額の記載ですから、所得の発生はありませんので、所得税、住民税、さらには、国民健康保険料、介護保険料にも影響はありません。

●高齢者の医療費負担に影響も
 しかし、収入金額によっては、高齢者(後期高齢者も含む)の医療費負担、すなわち、1割負担か現役並みの3割負担になるかの問題です。つまり、高齢者でも一定の要件を充足すれば、ケースバイ・ケースですが、530万円を超える収入を基準として、3割負担となる可能性もあります。
 この収入基準には、上場株式等の収入金額もその範囲に含まれます。

●所得税と住民税それぞれ異なる課税方式
 このようなことを危惧してかどうかわかりませんが、平成29年度の税制改正において、「上場株式等の配当等に関しては、住民税と所得税と異なる課税方式が可能であることを明確にする」、といった内容が記載されています。
 現行地方税法では、所得税の申告前に住民税で異なる申告をすれば住民税の申告が優先される、としています。所得税は「総合課税」、住民税は「申告不要」と、いろんなバリエーションがあるかと思います。






H29.3.3
電子申告 今と昔


電子申告が普及した時期
 申告書類を郵送せず、インターネットから申告するe-Taxも、今や認知度が高くなり「ああ、聞いた事あるね」という方が多くなったのではないでしょうか。
 歴史(というほど古くはありませんが)を紐解くと、国税庁が出している統計情報によれば、平成20年度の所得税申告のe-Tax利用率は31.1%。第三者作成の添付書類の送付不要など、税理士事務所や個人で申告する方の手間を省く措置の他、平成19年・20年分のみ「所得税の確定申告をe-Taxですると5,000円税額控除」という措置法など、様々な方策が打ち出され、前年対比で利用件数が168.9%を記録しました。その後利用率は徐々に拡大。平成27年度の申告では、e-Tax利用率は52.1%まで拡大しています。

今回はマイナンバーカードで手間いらず?
 郵送で来るマイナンバー通知カード(紙の方)から手続きをして、プラスチックのマイナンバーカードを入手していれば、ICカードリーダー経由でマイナンバーカードにて、電子申告が行えるようになりました。
 過去のキャンペーン中は、住民基本台帳カードを入手し、電子証明書発行申請を市区町村の窓口で行い、電子証明書を発行してもらう手続きが必要でした。
 台帳入手と電子証明書の入手にそれぞれ500円程度の手数料が取られていましたが、マイナンバーカードの場合は、交付手続きの際に一緒に電子証明書が発行されるようになっているうえに、マイナンバーが国策故か、手数料が全くかかりません。

周辺機器も進化している
 もちろん、ICカードリーダー機能の付いている読み取り機が無ければ、マイナンバーカードに登録されている情報は読み出せないので、ご自宅等で申告したい場合にはカードリーダーが必要になります。
 しかし近年は「スマートフォンにリーダーライタモードが付いているもの」が登場し、ICカードリーダーの代わりにパソコンに接続して公的個人認証サービスを利用することが可能になりました。
 平成29年2月初頭の段階では、シャープの「AQUOS」シリーズの4機種、富士通の「arrows」の2機種のみとなっていますが、マイナンバーや電子認証が普及すれば、この周辺機器も充実するかもしれません。









H29.3.2
自主服薬推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設

最近このセリフが耳に残りませんか?
 最近のCMで「セルフメディケーション」という言葉をよく耳にしませんか。2017年1月1日から、特定の医薬品購入に対する新しい税制「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が始まっています。
※セルフメディケーションは、世界保健機関(WHO)において、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。

セルフメディケーション税制の概要
 この制度は、きちんと健康診断などを受けている人が、一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられるようにしたものです。具体的には、「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」として、定期健康診断などを受けている人が、市販薬(要指導医薬品および一般用医薬品)のうち、医療用から転用された特定成分を含む医薬品を年間1万2000円超購入すれば、1万2000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8000円)につき所得控除を受けられます。

注意すべき点
(1)健康の維持増進及び疾病の予防への一定の取組とは、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診を言います。会社の検診も含まれます。
(2) 対象となる医薬品は、医療用から転用された医薬品:スイッチOTC医薬品と言われるものです。具体的定義がありますが、「共通認識マーク」を目印にしましょう。 レシート上では対象商品の横に★印(★以外の記号の場合もあります)が記載されたり、記号以外の方法で示されたりする場合もありますが、対象商品を明確に区分できるようになっています。
※OTC医薬品(一般用医薬品):薬局・薬店・ドラッグストアなどで販売されている医薬品。
(3)本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除を受けることができなくなります。どちらかを選ぶことになります。
(4)この制度は年末調整では適用されません。自分で確定申告が必要です。
(5)レシートはマメに保存しましょう!






H29.3.1
管理会計のススメ 課長なら知っておきたい「利益貢献の尺度」

会社に利益をもたらす源泉はどこにあるのか?
 会社は売上を上げてそこから得た利ざや(=売上‐売上原価)を得ます。これは「粗利益」とも呼ばれ、その会社の“付加価値”を表します。この粗利益から会社の運営に必要な経費(=家賃+人件費+その他販売費および一般管理費)を賄い、それが本業での儲けとなります。
 そのため、会社が事業を行って得た付加価値(=粗利益)こそが利益の源泉であり、本業での利益を実現させるためには、「粗利益の絶対額のアップ」が必要です。

こんな事態に即答できるのが課長の会計力
設例:値引きと無料オプション、どっちが儲かる?
貴社は販売価格90万円(仕入価格63万円)の複合機を売っています。A社に訪問中の部下から、「2台の注文で1台あたり10万円の値引きを要求されている」と電話連絡が入りました。さぁ、あなたならどう対応しますか?こうした場面は日常よくあるのではないでしょうか。
A売上を確保するため10万円引きで2台販売する
B値引きは各4.5万円(5%)とし、その分1セット5万円(原価1万5千円)の交換用トナーを合計4本で20万円相当を無償でつける
(引用)山條隆史『社長!御社の会計 ここだけ覚えれば充分です』(フォレスト出版社 2012年)98頁。
 表面的な売上金額の多寡ではなく、どちらが粗利益が大きくなるかを考えます。
 A値引きの場合、会社の粗利益は値引き金額そのものが減り、本来2台で54万円(=[90万-63万]×2)のところ34万円となります。お客さんは20万円得します。
 Bオマケの場合、値引きが5%なので粗利益の減少は9万円(=90万×5%×2)で45万円の粗利益を確保できます。ただし、販売価格5万円のトナーを無償で4本つけるのでその分出費がかさみます。とはいえトナーは原価1.5万円ですので影響は6万円ですみ、会社の粗利益は39万円になります。一方でお客さんは9万円の値引きに加えて買えば5万円するトナーを4本オマケでもらうので29万円得します。
 Bの方が自社も顧客も得しますので、対案としてBを提案させます。こんな思考が営業の人にも必要な会計力です。

会計思考は意思決定を助けてくれる
 粗利益の絶対額からどちらが儲かるかを考える以外にも、管理会計的手法で、外注・追加注文の意思決定や撤退条件、投資の利益計画などがわかります。興味があったら会計事務所に相談してみてください。