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H29.8.31
人・組織づくりの構造的改革


 人・組織づくりは、マネジメント改革・人事制度改革など、単一の制度改定だけでは成し遂げられない困難性をもっております。最近の5年間に「未来価値創造に挑戦する人・組織づくりの構造的改革」を推進してきた、大手電器メーカーP社の事例紹介を通じて、「構造的改革」の意義を考えてみましょう。

構造的改革の意義
 図示したように同社の構造的改革は、以下の通り、四つの改革から成っております。
構造的改革の目的       未来価値創造に挑戦する人・組織づくり
人材マネジメント改革      個を育て、個を生かすマネジメント力の強化
組織マネジメント改革      ・事業部経営の強化
                   ・変革にチャレンジする強い個と集団をつくるマネジメント力強化
処遇制度改革          ・年功処遇要素の是正、透明性
                   ・納得性を持つ処遇制度の構築
組織風土改革          上記の改革を支える
                   ・時間余裕を創りだす働き方改革
                   ・多様な人材を活用するダイバーシティー経営
                   ・シンプルでマネジメントしやすい制度への改定

P社の「未来価値創造に挑戦する人・組織づくりの構造的改革」

人材マネジメント改革      組織マネジメント改革
          処遇制度改革
――――――――――――――――――――――――――
          組織風土改革

 このように、最終目的を達成するために必要な四つの改革をそれぞれ推進するとともに、相乗的な効果を狙う点に構造的改革の意義があると言えましょう。

経営者の留意点
 経営実態によって改革課題は異なりますが、特に人と組織の改革は、このような構造的改革を必要とすることが多く、トップの視点で、改革目的・改革対象など改革方針を明示しましょう。





H29.8.30
早期経営改善計画の策定を


経営改善計画の簡易版です
 従来の経営改善計画は、金融機関からリスケジュール等の返済条件を緩和してもらうことを目的として策定するものです。早期経営改善計画では、そういった金融支援を得ることを目的としていません。国が認める士業等専門家の支援を受けながら、早いうちから自社の経営を見直すために現状分析から資金繰り、ビジネスモデル図など簡易な計画を策定し、金融機関に提出するものです。

どういうメリットがあるか?
@自社の経営を見直すことにより新たな問題と経営課題の発見や分析が出来ます。
A目標を設定する事により、目指すべき姿が明確になります。
B自社のビジョンについて金融機関と共有することが可能になります。

活用までの流れ
 事業者は金融機関に対して、事前に本事業を活用することを相談し、認定支援機関と連名で経営改善支援センターに利用を申請します。
 早期経営改善計画を策定し、その計画について金融機関に提出した場合、早期経営改善計画策定にかかる費用を補助されます。
 早期経営改善計画策定後1年を経過した最初の決算時に、モニタリングを実施します。これら早期経営改善計画策定支援に要する計画策定費用とモニタリング費用の総額について、経営改善支援センターが2/3(上限20万円)を負担するものです。

早期経営改善計画策定には「ローカルベンチマーク」の利用を推奨します
 ローカルベンチマークは企業の現状分析をする為のツールです。経営者や金融機関、認定支援機関が同じ目線で対話を行うための基本的なフレームワークです。具体的には6つの指標による経営状態の変化に早めに気づき、早期の経営改善に役立ちます。

 売上高が年々減少傾向にあるがその要因がよく分からない、あるいはこのままでは先行きが不安なので、経営の見直しを行いたいといった問題が生じている企業は検討しても良いかと思います。





H29.8.29
必ずしも脱税とは言えない
「所得隠し、海外への所得移転」

読者を誤解に導く記事の定型文
 新聞紙上を賑わせる「〇〇国税局は、△△会社の税務調査で、国内で計上すべき所得を海外子会社へ移転したとして、移転価格税制に基づき20××年×月期までの×年間に計約□□億円の申告漏れを指摘していたことが分かった」といった報道は、読者に△△が脱税会社という印象を与える典型的なミスリーディング記事です。理由は、この時点の事実として、脱税というよりも、税務調査での当局の見解が、課税の元となる所得(=儲け)がどちらの国に属するかにつき会社側と相違しているだけだからです。すなわち、△△社は、利益は海外子会社のものと認識し、一方の国税は日本の親会社のものとして、認識が違うだけなのです。

移転価格税制とは
 企業が海外の関連企業との取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に移転することが可能となります。
 移転価格税制は、このような海外の関連企業との間の取引を通じた所得の海外移転を防止するため、海外の関連企業との取引が、通常の取引価格(独立企業間価格=第三者取引価格)で行われたものとみなして所得を計算し、課税する制度です。
 わが国の独立企業間価格の算定方法は、OECD移転価格ガイドラインにおいて国際的に認められたいくつかの方法に沿ったものとなっています。
 納税者と国税が対立した時は、異議申立による再調査→審査請求(もしくは直接審査請求)→裁判と進んでゆきます。または他国との相互協議を経る場合もあります。

武田薬品工業へ大阪国税局の再挑戦
 2017年7月21日の日本経済新聞の朝刊で、大阪国税局が武田薬品工業に5年間で約71億円の申告漏れを指摘したという報道がされました。過去2006年に同じような申告漏れが指摘されましたが、結局、この課税漏れは取り消されています。
 移転価格の算定方法も、2011年(平成23年)に、ベストメソッドルール(=その会社にとって最適な方法で価格を算定すること)に変わっています。その影響か、それ以外の要因もあったのかは不明ですが、大阪国税局は再挑戦してきました。
 移転価格税制は、基本的には、国と国との税金の分捕り合いです。税収がマイナスとなり国税も必死になっているのでしょう。





H29.8.28
BEPS行動計画6:
租税条約の濫用防止

BEPSプロジェクトとは
 多国籍企業が、様々な国際税務計画(タックス・プランニング)の手法を駆使し、その課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題をBEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)といいます。OECD(経済協力開発機構)は、この問題に対処するため、2012年(平成24年)にBEPSプロジェクトを立ち上げました。
 2013年(平成25年)7月に15項目のBEPS行動計画(アクションプラン)が公表されました。その後、各行動計画に対する議論に資するためディスカッションドラフトが公表され、パブリックコメントおよびパブリックコンサルテーションを経て、第一次提言が公表され、さらにその後、更なる検討が必要とされた事項について、フォローアップ作業が行われ、2015年(平成27年)10月5日に最終報告書がまとめられました。
それらによって提言される国際ルールに従うように、国内法や租税条約の改正・見直しが各国に勧告されています。

行動計画6:租税条約濫用への対処
 BEPSの行動計画は15ありますが、条約漁り(第三国の居住者が不当に条約の特典を得ようとする行為)をはじめとした租税条約の濫用を防止するため、OECDモデル租税条約の改定及び国内法の設計を検討するのが、行動計画6:租税条約の濫用防止です。
 租税条約の特典を受けるに際しては、濫用防止のために、真にその条約締結相手先国の居住者であるという証明書や書類の提出が必要です。これを特典条項といいますが、これは2004年(平成16年)の新日米租税条約から設けられています。今回はさらに、租税条約の濫用を防止するための租税条約上での最低限必要な措置(ミニマムスタンダード)として、@租税条約のタイトル・前文に、租税条約が、租税回避・脱税(濫用を含む)を通じた二重非課税又は税負担の軽減の機会を創出することを意図したものでないことを明記すること、A租税条約に、一般乱用防止規定を規定すること等が勧告されています。

行動計画6の貴社への影響
 外国会社との取引で利子・配当・使用料等に関して租税条約による減免を受ける場合には、「租税条約に関する届出書」を提出しなければなりません。今後、租税条約の改定が行われれば、提出すべき証明書や書類が増えることになるかと思われます。





H29.8.25
どの資格試験も受験者数減ですね…
最近の税理士試験事情



7年間で3割減少した税理士試験申込者数
 毎年8月は、年に一度の税理士試験。今年(第67回)も全国14か所の試験会場で8月8日〜10日の日程で実施されました。台風5号の影響もあり、悪天候の中で試験に臨まれた方も多かったはず。受験生のみなさんは本当にお疲れさまでした。
 国税審議会公表の今回の受験申込数は4.1万人。他の資格試験同様に、税理士試験も減少傾向にあります。平成23年には約6万人の申込みがありましたので、7年の間に約7割に減少したということになります。

働きながら1.4科目受験が一般的受験者像
 税理士試験は、よく「働きながら受けることができる資格試験」の代表格といわれています。この試験が「科目選択制度」と「科目合格制度」という特徴を持っているからです。税理士試験は11科目中5科目合格すればよい試験。必ず選択しなければならない「必修科目」(簿記論・財務諸表論)や、どちらかを選択しなければならない「選択必修科目」(法人税法又は所得税法)はありますが、基本的には難易度や勉強量、将来の必要性に応じ、受験のプランニングができます。科目の合格率は10〜15%ですが、5科目といってもすべて同時に受験する必要はなく、一度合格した科目に有効期限はありません。そのため、働きながら一科目ずつ確実に合格していけばよいわけです(昨年の平均受験科目数は1.38科目)。病気、転職、子育てや介護などで勉強を中断しても受験を続けることもできます。
今年で67年も実施されているという実績があることから、一科目合格でも、履歴書に書くことができるのは魅力の一つです。

HPから読める?若者は長い受験期間を敬遠
 このような試験であることから、税理士試験は「受験期間が長くなりがち」という一面をもっています。資格専門学校は「短期合格」を宣伝していますが、国税庁HPの統計を読めば、容易でないことはわかります(机上では、年受験科目数1.38×合格率12%=期待値約0.17。5科目÷0.17=なんと約29年)。10年以上の合格などザラ。これでは若い方に敬遠されてしまいます。
 実際、41歳以上の受験生の5年間の統計は1.1万人と横ばいですが、25歳以下の受験生は7.7千人から4.5千人と約4割減(会計科目受験生も4割減です)。最近は若い税理士の先生の中で、大学院に通われた「試験免除組」が増えている気もします。





H29.8.24
年金受給資格期間不足を補うには


10年加入でも受給ができる
 年金の加入期間が足りず受給資格が取れなかった方でも、8月1日からは老齢年金受給資格期間25年の短縮で10年あれば受給可能になりました。新たに受給資格を取得した方もいる事でしょう。年金の受給資格期間とは保険料を納めた期間ばかりでなく、保険料を納めていなくとも資格期間となる合算対象期間も含まれます。

合算対象期間(カラ期間)
 過去に国民年金に任意加入していなかった期間も年金の受け取りに必要な資格期間に含む事ができる期間を言います。期間は計算されますが年金額の算定には反映されません。具体的には次の様な場合で20歳以上60歳未満の期間です。
@昭和61年3月以前にサラリーマンの配偶者だった期間
A昭和61年3月以前に厚生年金等の障害年金受給者の配偶者であった期間
B平成3年3月以前に学生だった期間
C海外に住んでいた期間
D脱退手当金の支給対象となった期間
 これらの資格期間を合算すると年金が受給できる可能性があります。

年金受給資格取得や増額をする
 新たに保険料を納付して受給資格を得たり年金額を増額したりする事ができます。
@60歳以上の方の国民年金任意加入
 希望する方は60歳から65歳までの5年間国民年金保険料を納めると65歳から受け取る老齢基礎年金額が増えます。また、資格期間10年に満たない方は最長70歳まで国民年金に任意加入ができます。
A過去5年間に納め忘れた国民年金保険料を納付できる後納制度は、申し込みにより保険料を納める事ができます(平成30年9月まで)。
B専業主婦(主夫)の届出漏れの期間の届出
 例えば会社員の夫が退職した時や妻の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者を外れた時には、国民年金の3号から1号被保険者に切り替えの届出をします。届出を忘れていた時、過去に2年以上切り替えが遅れた方は記録が未納期間になっています。その場合は「特定期間該当届」の手続をすることで最大10年までの保険料を納める事ができます(平成30年3月まで)。





H29.8.23
市町村税なのも理由がある 「軽自動車税」は昔「自転車税」だった?


自動車税は県税で、軽自動車税は市税
 自動車税は道府県税ですが、軽自動車税は市町村税。何故なのかと不思議に感じたことはありませんか?
 もともと道路運送車両法では、普通自動車等は「登録車」、軽自動車は「届出車」とされ取扱いに違いがあります。
 「登録車」を所有する場合、国(管轄の陸運局)に登録することが求められています。この登録が行われると、次のような法律の効果が生じることになります。
@所有権を第三者に主張できる
A自動車抵当法が利用できる
B所有権留保契約付譲渡ができる
 このような効力はナンバープレート(自動車登録番号標)を表示することで行いますが、容易に取り外しができないように「封印」がされることとなっています。
 一方、軽自動車(排気量660cc以下の三・四輪自動車)を所有する場合には、「届出車」とされ、国に登録はせず、軽自動車検査協会に届出を行います。ナンバープレート(車両番号標)に封印は行われません。

自転車荷車税(市税)が軽自動車税に!
 少し時代をさかのぼると、昭和33年までは自転車にもナンバープレート(自転車鑑札)が付けられていました。これは「自転車税(自転車荷車税)」の課税のためです。
 明治初期に「車税」(国税。後に府県税)という税金があったのですが、明治21年に市制・町村制が施行され、この「車税」に附加税を課し財源としました。その後、昭和15年に市町村税として「自転車税」「荷車税」が法定されました。自転車やオートバイの走行距離等を考えると、課税主体を市町村とすることは違和感ありません。
 戦後になると、昭和29年に「自転車税」と「荷車税」が統合され、「自転車荷車税」に。その「自転車荷車税」も昭和33年に廃止され、「軽自動車税」(原付自転車と自動車税から税源移譲された軽自動車・小型二輪を対象)が誕生しました。この頃の軽自動車はバイクのエンジンを車に乗せたような感覚だったのでしょうかね。昭和43年までは軽自動車は16歳で免許が取れました。

近年は税制改正で課税標準引き上げ
 このような変遷を経て軽自動車税は、軽課の市町村税として登場したのですが、近年では小型の普通自動車との税負担の公平を図るため、平成26〜28年改正で軽自動車税の課税標準等が引き上げられています。





H29.8.22
評価の上振れ対策


 目標管理制度の運用でよくある問題点のひとつとして、「評価の上振れ」があります。すなわち、目標達成結果の評価において、一次評価者(管理者)が、誤った配慮を行い、被評価者に対して、実際よりも高い評価をしてしまう傾向を言い、部下に誤ったメッセージを送ることで、自己の能力開発努力を妨げるなど、好ましくない影響が生じます。その問題を掘り下げ、原因と対策について考えてみましょう。

上振れ評価の根本原因
 その原因は、上司が「部下から評価結果について文句を言われたくない」「部下の努力を認めてあげたい」「有能な部下を囲い込みたい」など部下への配慮が原因とされますが、それらは表面的な原因に過ぎず、根本的原因は次のような点にあると考えられます。
@制度の目的と評価基準の曖昧性
 目標管理制度の目的は「経営目標達成のための業績管理」にあり、したがって目標達成結果の経営貢献度(所属組織目標達成への貢献度)を評価基準として評価することが制度設計上不明確である。
A上司が確信をもって的確に評価するための公正性・納得性が高い評価材料が得られないため、自己の裁量による評価を行わざるを得ない。

納得性が高い評価の実施方法
 評価者が自信と確信をもって評価を行い、部下の納得性も高い評価結果を得るには、次の点について徹底することが必要です。
@評価の目的・基準の整備
 目標管理制度は経営目標を達成する業績管理を主目的としており、達成結果は、経営貢献度の大きさを基準に評価する。
A公正性・納得性を確保する評価材料
 目標設定、運用を通じて協力し、お互いの組織目標達成への貢献行動・結果を良く知っている仲間の真摯な相互フィードバックを実施し、その情報を使い、自己評価・上司評価を行う。
B運用を通じた貢献意識の生成
 経営貢献を意識した目標設定・問題解決・貢献度評価を行う。

経営者の留意点
 評価の上振れの根本原因に遡って、上記のような対策を講じ、管理者が自信と確信をもって被評価者の経営貢献度評価を実施できるようにしましょう。





H29.8.21
わかりづらい消費税の用語 「不課税取引」とは?

消費税の「課税の対象」の4要件
 初めて経理業務に携わる方にとって、消費税の用語は厄介です。「免税取引」「非課税取引」「不課税取引」と似たような言葉が並び、何が何やらわかりません。これらを理解するには、まず「課税の対象」の概念を理解しなければなりません。消費税の「課税の対象」は、「国内において事業者が行った資産の譲渡等及び特定仕入れ」と「輸入取引」の2つです。中でも資産の譲渡等については、次の4つの要件を充たしたときに、消費税の「課税の対象」となります。
@ 事業者が事業として行う取引であること
A 国内取引であること
B 対価を得て行われる取引であること
C 資産の譲渡、貸付け及びサービスの提供であること

「不課税取引」は4要件を充たしていない
 「不課税取引」とは、この4要件のいずれかを満たさない、消費税の世界に入ってこない取引―すなわち、課税対象外(out of scope)とされるものなのです。
 例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない取引がこれに当たり、次のような取引がこの「不課税取引」とされます。
(不課税取引の具体例)
給与・賃金⇒雇用契約のため、事業でない
寄附金・祝金・補助金⇒一般的に対価として支払われたものでない
無償取引⇒対価の支払いがない
保険金⇒保険事故により支払われるもの。対価とはいえない
配当金⇒株主の地位に基づき支払われるもの。対価とはいえない
盗難・滅失⇒資産の譲渡等ではない
賠償金⇒一般的には対価性がない

「非課税」「免税」は4要件を充たしている
 一方、「非課税取引」は4要件を充たしており「課税の対象」となる取引なのですが、消費の負担を求める性格から課税の対象としてなじまないものや政策的配慮から消費税の課税対象から除外したものです。この「非課税取引」は消費税法で規定されたものに限定されます(資産の譲渡等13項目、輸入取引7項目)。「免税取引」も4要件を充たしており「課税の対象」となる取引なのですが、輸出取引については、消費地課税主義という考え方から国境間調整を行っており、「0%課税」を行うという意味で「免税取引」と呼ばれています。





H29.8.10
年金受給資格期間10年で受給可能に

経資格期間10年で年金受給できる
 今まで老齢年金を受給できる年金受給資格期間は原則25年以上必要でしたが、平成29年8月より10年以上となりました。資格期間が25年未満で年金を受給できなかった方も、期間が10年以上あれば受け取れるようになりました。受給資格期間には保険料を納めた期間の他、加入していたとみなされる期間も含めて合算されます。
@国民年金保険料を納めた期間や免除期間
Aサラリーマンで船員保険を含む厚生年金保険や共済組合の加入期間
B年金制度に加入していなくとも資格期間に加えられる合算対象期間(カラ期間)
 これらの期間を合計したものが「資格期間」です。資格期間が10年(120月)以上あれば年金が受け取れるようになりましたが、年金の額は40年間保険料を納めた場合が満額で保険料を納めた期間に応じて支給されます。

対象となる方の手続き
 期間が足りなかった方で資格期間が10年以上25年未満の方には、日本年金機構より年金請求書が生年月日毎に平成29年の初めより既に右記のように送付されています。
@2月下旬〜3月下旬
大正15年4月2日〜昭和17年4月1日生A3月下旬〜4月下旬
昭和17年4月2日〜昭和23年4月1日生
B4月下旬〜5月下旬
昭和23年4月2日〜昭和26年7月1日生
C5月下旬〜6月下旬
昭和26年7月2日〜
昭和30年10月1日生の女性及び
昭和30年8月1日生の男性
D6月下旬〜7月上旬
昭和30年10月2日〜昭和32年8月1日生の女性及び大正15年4月1日以前生

該当する方は手続を忘れずに
 現段階で資格期間10年以上25年未満のほぼ全員に送付されているはずですので確実に年金請求書を提出したいものです。8月分(10月に支給)より受給できます。なお、加入期間10年未満の方にも年内にはお知らせが届く予定です。





H29.8.9
中小企業の福利厚生プランの一つに所得補償保険の活用

ダルビッシュの故障で「離脱補償」の保険?!
 新聞報道によると、東京海上日動火災保険はプロ野球やJリーグなどのプロスポーツチーム向けに「選手不稼働対応保険」という保険の販売を始めたそうです。
 この保険は、所属するスポーツ選手が傷害や疾病で長期離脱した場合に、離脱期間の年俸と代替獲得選手の年棒の8割を上限に保険金を支払うというもの。保険料は年棒の数%で、選手の年齢やポジション、過去の負傷歴等を基に算出します。
 このような保険は、高額の年俸を選手に支払う海外のプロスポーツでは常識化していて、大リーグのダルビッシュ有選手が2015年シーズンを故障で離脱したときも、年棒の半分以上が補償されたようです。

福利厚生プランとして所得補償保険加入
 中小企業の経営者も「従業員が長期入院をしたときは…」と不安を感じられているでしょう。そのような方には、「所得補償保険」(就労不能保険)の加入がおススメです。
 所得補償保険とは、被保険者が傷害や疾病によって仕事に就くことができなかったときに、就労できない期間に応じて保険金(平均所得金額の範囲内)が支払われるものです。会社がこの保険の保険料を負担した場合、特定の従業員のみが加入するときは給与の取扱いになりますが、全従業員を対象(普遍的加入)とするときは厚生費として損金となり、保険金の受取り(受取人:従業員)は所得税の非課税となります。

就労不能期間の給与は出さないで大丈夫?!
 また、業務外の傷害や疾病の場合、健康保険から傷病手当金(標準報酬月額の2/3程度)が支払われますが、厄介なことに、この期間に会社が給与を支払ってしまうと傷病手当金は支給されません。そこで、この所得補償保険を利用するわけです。実は、所得補償保険金を受取っても、傷病手当金は調整されません。事業主が所得補償保険を契約し、従業員の就労不能期間は、会社は給与を支払わない形にして、従業員は「傷病手当金+所得補償保険金」を受け取るという福利厚生プランができるわけです。

個人事業主自身のための所得補償保険
 なお、個人事業主自身が被保険者及び受取人とする所得補償保険契約は、その保険料は業務について生じた費用とみなされず、必要経費とはなりません。生命保険料控除(介護保険料)の対象となります。





H29.8.8
大手管理会社は「折衷型」が多い
マンション管理組合の会計

マンション管理組合の会計
 区分所有マンションをお持ちの方から「管理組合の会計はよくわからない」という声をたまに聞きます。
 マンション管理組合については、法律等で制定された「会計基準」というものは現在存在しません。その上、駐車場を外部者に貸すなどの収益事業を行わない限りは、管理組合は法人税等を納める必要もないため、税務署など外部の者から会計帳簿のチェックを受けるということもありません。
 そのため、各マンションや管理会社が独自のものを勝手に作っていたというルーズな時代が長く続きましたが、修繕積立金の横領や積立不足が社会問題となり、「これではいけない」という機運も出てきました。

非営利ならば、公益法人会計基準だが…
 マンション管理組合の会計は、管理組合が非営利組織であることや、@予算準拠・A区分経理(管理費会計と修繕積立金会計の区分)という管理組合特有の会計目的があるため、本来は、公益法人会計基準に近いものが採用されることが望まれますが、当の組合員にとって、公益法人会計基準は馴染深いものではありません。そこで、不動産大手・会計士・学識者が集まり、「マンション管理組合会計の手引き」を公表しています。H26年版「手引き」では、非営利性をどこまで重視するかにより、3つの報告様式が示されています。大手系列の管理会社は、「折衷型」の採用が多いようです。
タイプ           開示様式
公益法人型       貸借対照表
              正味財産増減計算書
企業会計型       収支計算書・貸借対照表
              剰余金処分案
折衷型          貸借対照表・収支計算書

「手引き」は大手のやり方の現状追認?
 「手引き」は管理組合の実務には有難いものですが、いじわるを言えば、大手のやり方を追認するものという側面もあります。「収支計算書」は、公益法人会計基準自体が「損益」寄りになったこともあり、従来の文字通りの意味での「収支」(キャッシュフロー)ではありません。実際の「折衷型」の収支計算書は「減価償却のない損益計算書」に近いものです。予算はお金の使い途ではなく、この「実質PL」で組まれるので、来期購入予定の「すまい・る債」等は予算に表示されません(注記で開示した方がよいかもしれませんね)。






H29.8.7
役割等級基準の決定方法

役割等級制度は賃金・昇格その他の処遇決定の基軸となる重要な制度ですが、その決定方法は社員が公正性・納得性を感じられるようにしなければなりません。

等級基準の決定方法
 欧米流に職務価値を論理的に分析、点数化して決定する方法がありますが、我が国では従来の社内格付け秩序との乖離が生じて社内に不満など混乱が起こりがちです。
 ここでは役割貢献給の導入の基軸として社員の納得が得られやすい、一般社員の社内等級制度構築方法を紹介させて頂きます。
@社内等級基準は表に示したように、
・仮等級1〜5等級を決める。
・直近数年の職種別・個人別業績・能力発揮の実態を調査し、1等級・5等級に相当する実績から、職種別に各級の役割・期待貢献・発揮能力を定義する。
・同様に3等級について定義し、次に4等級、2等級について定義すると、級間の比較、検討が進めやすい。
A営業職・企画職など、他の職種について も、@と同様に検討、定義する。
B目標管理制度の目標設定、チャレンジ度設定・貢献度評価に1〜2年使用し、その実績から、等級と基準を補正する。

等級基準の定義方法 例(生産職)
等級  役割・期待貢献   発揮能力
5    ・グループ統括
     ・生産性〇%以上   ・工程改善技法
                   △△活用
4  ・・・・        ・・・・
3 生産数量100個/時間、
      不良率△以下   ・中級生産技能
                  ・管理図、相関図不良解析
                  ・改善、標準改定
2 ・・・・       ・・・・
1 生産数量70個/時間、
    不良率△以下       ・初級生産技能
                  ・特性要因図
                  ・パレート図不良原因解析
                  ・改善、標準改定

等級基準設定のメリット
 このように、職種別の等級基準を検討し、職種間の調整を行うと、等級決定にあたって、社員の納得が得られやすい、目標管理制度における目標設定・貢献度評価の基準が明確になる、発揮能力定義から能力開発の目標が定まり、人材育成が進め易くなる等のメリットが生まれます。





H29.8.4
業績賞与の留意点


経費の損金算入の原則
 償却費以外の経費については、その事業年度末までに債務が確定していればその期で損金算入するのが原則です

使用人賞与についての損金算入時期
 しかし、使用人賞与の損金算入時期については、法人税法令において、次の@〜Bの区分による、各々の損金算入時期を定めています。
@一号賞与:労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る)・・・・当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
A二号賞与:次の要件の全てを満たす賞与・・・・使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
(イ)その支給額を、各人別かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること
(ロ)その通知した金額をその通知をした事業年度終了の日の翌日から1ケ月以内に支払っていること
(ハ)その支給額を通知した日の属する事業年度において損金経理していること
B三号賞与:一号、二号賞与以外の賞与・・・・その賞与が支払われた日の属する事業年度

業績賞与支給の手順
 所謂業績賞与を支給しようとする場合、二号賞与の適用が一般的です。実務上では、業績がほぼ確定した決算月に各人別に賞与の額を通知し、決算において未払賞与を計上し、翌月に賞与を支払うと言う手順となります。

落とし穴があります
 就業規則や給与規定には賞与の支給について、「支給日に在職している従業員にのみ支払う」旨の規定が設けられているのが一般的です。この規定があると決算月に各人ごとに通知したとしても、翌月の支給日に在職していない場合は支給しないと言うことになり、損金算入の原則である債務が確定していないので、業績賞与は認められないとの指摘を受けます。
 業績賞与を出す場合は就業規則等も見直し、変更しておく必要があります。






H29.8.3
一般的にはできませんが…
法人税には「土地の償却」通達がある?

土地は減価償却ができませんが…
 事業の用に供される建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの固定資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。
 「時の経過等によって価値が減る」のであれば、減価償却資産の取得価額は、取得した時に全額を一時の必要経費(損金)とするのではなく、その資産の使用可能期間(耐用年数)にわたり、分割して必要経費(損金)とすることが合理的です。
 そのため、減価償却(depreciation)とは、取得価額を一定の方法により各年分(各事業年度)の必要経費(損金)として配分する手続といえます。土地や骨とう品については、「時の経過等によって価値が減少しない」ため、減価償却資産とはされません。

鉱山・油田は、会計上「減耗性資産」
 一方で、山林・鉱山・油田・炭山のような天然資源・埋蔵資源があるものは、それが伐採・採掘されてしまえば、もはや復元できないか、復元するために相当の年月が必要となります。このようにその存在量が限られていて、伐採・採掘により材料・商品となり、漸次減耗して、最後には涸渇してしまう天然資源を減耗性資産といい、その取得価額を各期間に応じ費用配分する手続を減耗償却(depletion)といいます。  
これは、減価償却と似ている手続きですが、減価償却は事業の用に供されているものの償却であるのに対し、減耗償却は、存在する物量が減耗して涸渇することに基づく点に違いがあります。
ただ、手続としては、「生産高比例法」(資産の利用に比例して減価させる償却方法)の考え方と全く同じといえます。

法人税には「土地の償却」規定がある?
 法人税法では「減耗償却」という用語は採用されていませんが、通達で「鉱業用土地の償却」と「土石採取用土地等の償却」という取扱いが設けられています。
 鉱業用土地とは、石炭鉱業の「ぼた山」の用に供する土地などで鉱業廃止後に著しく価値が下がるものをいい、(取得価額−廃止後残存額)を鉱業権で選定している償却方法(定額法・生産高比例法)に準じた方法で償却にできることとされ、土石・砂利の採取目的の土地についても、取得価額のうち土石・砂利部分は生産高比例法に準じた方法で償却できるものとされています。





H29.8.2
相続税の税務調査
香典帳も税務調査で見られるの?


悩ましい?お線香の上げ方の作法
 最近、喪家に弔問に伺い、お悔やみを申し上げる機会が増えました。悩ましいのはお線香の上げ方。御葬儀に参列するときは、前列の方の作法を真似れば良いのですが、後日、お伺いする際にはそういう訳にはいきません。仏式の場合、お線香の本数だけでも宗派によって次のように異なります。
(一般的なお線香の本数)
天台宗・真言宗 3本を立てる
曹洞宗・臨済宗
浄土宗・日蓮宗 1本又は2本を立てる等
浄土真宗 1本を寝かせる等
 喪家にお尋ねしても「お気持ちで結構ですので…」と気を遣われることも多いので、その時はご自身の宗派の作法でお線香を上げても失礼には当たらないようです。
 御香典の表書きも、四十九日前ならば「御霊前」、後ならば「御仏前」なのですが、浄土真宗では「御霊前」が使えない場所もあるようです(御通夜等でも「御仏前」)。宗派が不明の場合には、どの宗派でも使える「御香料」とするのが無難かもしれません。

税務調査で「香典帳」が見られる?
 一方、お線香を上げて頂く喪家の方では、葬儀に参列された方は「芳名帳」、御香典を頂いた方は「香典帳」に記しますが、相続税の税務調査では、これらを見せてほしいと言われることがあります。被相続人と関係がある金融機関や取引先が記載されているので調査の重要な資料となるからです。
 同様の趣旨からご家族の電話帳の提出を求めたり、壁に掛けた金融機関のカレンダーを確認されたりすることがあります。

香典メモを破って棄てたのがバレた?!
 このような資料は求められれば提出せざるを得ないのですが、その対応を相続人が誤ってしまった事例が国税不服審判所の裁決(平成28年3月)にあります。
 この相続人の提出した申告書には、ある金融機関の公社債の申告漏れがあったのですが、税務調査の際に香典メモの提出が求められました。相続人の方はその金融機関が弔問の際に支払った香典5,000円の部分をメモから破り、調査官に提出したのですが、後で見つかってしまったようです。この行為が「相続財産(公社債)を隠蔽する態度」と見られ、重加算税の賦課要件に当たるかどうかが争われました。法律以前に何だかしまらない話ですね。





H29.8.1
平成29年4月以後の相続・贈与より
相続税・贈与税の納税義務の見直し

相続税・贈与税の納税義務が改正!
 相続税・贈与税の納税義務者は、国内・国外財産を問わず課税される「無制限納税義務者」と国内財産のみに課税される「制限納税義務者」の区分に大別されます。
平成29年4月以後の相続・贈与から、納税義務者の範囲が見直され、富裕層の海外流出(アウトバウンド)に対しては課税の強化、高度人材外国人の受入(インバウンド)に対しては課税の緩和が図られました。

富裕層の海外流出に対応した改正(増税)
・「5年ルール」を「10年ルール」に改正
 改正前には、日本国籍を有する者が課税時期に日本に住所を有していない場合でも、被相続人(贈与者)又は相続人(受贈者)のいずれかが課税時期前5年以内に日本に住所を有していれば「無制限納税義務者」とされ、それ以外の場合には「制限納税義務者」とされていました。今回の改正で「5年以内」が「10年以内」と延長されました。
・外国籍である非居住者の課税範囲拡大
 また、日本国籍を有しない者が課税時期に日本に住所を有していない場合には、被相続人(贈与者)が課税時期に日本国内に住所を有している場合に限り、「無制限納税義務者」とされていましたが、被相続人(贈与者)が課税時期前10年以内に日本国内に住所を有していた場合も「無制限納税義務者」に該当することとされました。
 これらの改正により、富裕層が海外移住しても、日本の相続税・贈与税の「課税の網」にかかる範囲が広がることになります。

高度人材外国人の受入整備措置(減税)
 一方、被相続人及び相続人双方が一時的に日本に居住する者である場合には、「制限納税義務者」とされ、国内財産のみに相続税・贈与税が課されることとなりました。
相続人等
被相続人等 一時居住者 左記以外の者
一時居住被相続人
非居住被相続人 国内財産のみ
課税 全世界財産課税
上記の者以外 全世界財産課税 全世界財産課税
 改正前には、日本人のみならず、日本で就労する外国人が国外財産を相続・贈与する場合にも日本の相続税・贈与税が課税されていました。この場合、本国よりも重い日本の相続税・贈与税が課される可能性もあり、優秀な外国人材が来日を取り止めることも懸念されていました。そこで国外財産については課税しないこととして、来日阻害要因を取り除く措置が講ぜられました。