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H29.9.29
非定型職務の昇給方法


 役割貢献度賃金制度において、非定型職務では、等級別重複型範囲職務(職能)給の賃金体系を活用しますが、ここでは、その昇給方法(メリット昇給)について解説します。メリット昇給とは、貢献度評価に応じて昇給する方法を言います。

各扱内の昇給方法
 各級内の昇給ポイントは次の通りです。
@各扱の範囲給を20〜40段階の「号給」で区分する。
A中間点を標準額とし、下限額から中間点まで速いスピードで昇号させ、なるべく速く到達させる。(例えば、標準B評価で5号の昇号・3年で中間点到達)
B中間点から上限額までは、より遅いスピードで昇給させる。(例えば、標準B評価3号の昇号・6年で上限額に到達)

級間の昇給・降給方法
“高い(または低い)貢献度評価”を積み重ねた結果で、次のように、昇格昇給、または降格降給します。たとえば、
@中間点以上で「2年連続してA以上の評価を受けた場合」は昇格昇給する。
A中間点以上で、「2年連続してC以下の評価を受け、中間点以下となった場合」は降格降給する。


経営者・人事担当管理者の留意点
 上記で例示した基準は原則的な考え方によるものです。自社で適用した場合をシミュレーショナルに検証し、また実施に伴う評価の納得性確保対策を講じて、各社ごとに適切なデフォルメを行い、実現させて頂きたいと思います。







H29.9.28
H30年1月1日以後の手続き
保険契約者の名義変更と課税関係

 現行法では、生命保険契約の契約者の名義を変更しただけでは、新たに契約者になった者に対する贈与の課税はありません。
 具体的には、「甲」契約者でかつ保険料負担者、「乙」被保険者、「丙」保険金受取人の場合で、その後、甲から丙に契約者の名義を変更し、丙が保険料を負担することになったとしても、名義変更時までに、甲が負担していた保険料相当額については、丙への贈与にはならないということです。

名義変更後の課税の取扱いと問題点
 上記例において、@丙への名義変更後、甲死亡前に保険の満期を迎えると、当該満期保険金は丙が受け取ります。この場合の丙の課税は、丙自身が負担した保険料相当額に対応する保険金部分は一時所得としての課税を受け、甲が負担した保険料相当額に対応する保険金は甲から贈与により取得したものとして贈与税の課税を受けます。
 また、A名義変更後、甲の死亡前に被保険者乙が死亡すると、当該死亡保険金は丙が受取ります。この場合の丙の課税は、死亡保険金の内、丙が負担した保険料相当額に対応する保険金は一時所得としての課税を受け、甲が負担した保険料相当額に対応する保険金は甲から贈与により取得したものとして、贈与税の課税を受けます。
 なお、B名義変更(甲から丙)が甲の死亡によってなされた場合には、丙は生命保険契約に関する権利を相続等により取得したことになり、甲の本来の相続財産として相続税の課税対象になります。
 以上が保険契約の名義変更に関する課税の取扱いです。しかし、実際の申告では、名義変更に関する資料が十分に整備されていないこともあってか、受取保険金のすべてが一時所得として申告されていた等、法が予定していた申告が行われていない事例が散見されたようです。

平成30年1月1日以後の取扱い
 現行法では、保険会社から税務署に提出される情報(支払調書)には、名義変更に関する情報、元の契約者の払込保険料に関する情報はありません。
 そこで、平成27年度の税制改正で平成30年1月1日以後、保険金等の支払があった場合、または契約者が死亡し名義変更があった場合には、保険会社は上記情報を税務署に提出することを義務付けられました。
 今一度、保険関係の書類を確認し、今後の対応を考えてはどうかと思います。





H29.9.27
労働基準法改正
高度プロフェッショナル制度


 平成27年4月に閣議決定され国会に提出された改正基準法案の中に「特定高度専門業務・成果型労働制」(高度プロフェッショナル制度)の創設があります。残業時間の規制にかからない業務とされているその内容は、
@職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1千万円以上)を有する労働者の高度専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に健康確保措置等を講ずる事、本人の同意や会社の決議等を要件として労働時間、休日、深夜の割増賃金などの規定を適用除外にする。
A制度の対象者について在社時間が一定を超える場合には、事業主はその人に医師の面接指導を受けさせなくてはならないこととしています(安衛法の改正)。

改正法合意文書案
 この内容について現在、当初案に修正案が追加され、対象は年収1075万円以上の金融機関のディーラーや研究開発職等を労働時間の規制の対象外とする高度プロフェッショナル制度について、労働界の求める長時間労働対策を盛り込んで修正しています。修正案では年間104日以上、週4週4日以上の休日を与える事も義務付けています。
ア、退社から出社するまでの間に一定の休息時間を設ける勤務間インターバル制度
イ、労働時間の上限設定
ウ、2週間連続の休暇の取得
エ、一定条件下での臨時健康診断の実施等
 いずれか複数の措置を義務付けます。また、対象が営業職全般に拡大されるものではないとしています。

連合等の動き
 連合は今年の7月11日に民進党の政調会長と会談し条件付きで政府案を受け入れる修正案を了承していましたが、7月28日には「高度プロフェッショナル制度に関する政労使の合意を見送る方針」を発表しました。連合は労働時間の上限規制と裁量労働制の拡大は1本化で考えたいとしています。まだ成立には時間はかかりそうですが、今回の労基法の改正は働く人の健康を確保しながら多様で柔軟な働き方を実現するのが趣旨である事は変わらないでしょう。





H29.9.26
住民税特別徴収の納税方法、
2019年10月劇的に変わるか?


納税するため銀行に行く手間を省きたい!
 2017年2月3日付日本経済新聞朝刊で、「新電子納税、全国共通で、総務省方針、企業の負担減らす。」と報道されていました。 
 税金納付の方法には、電子納税、ダイレクト納付、ペイジーなどが導入され、従来のようにわざわざ銀行等に出向き窓口で納付しなければならないという納税環境は、国税を中心に徐々に減ってきています。
 しかしながら、2017年8月現在、毎月の給与から天引き(特別徴収)して会社が納付する従業員の個人住民税特別徴収分は、横浜市や川崎市などの一部自治体を除き、紙の納付書による窓口納付のままです。

当初の納付額が変更になるとさらに面倒
 個人住民税(県民税・市民税)の特別徴収のための特別徴収額通知書と納付書は、徴収義務者である給与支払者に毎年5〜6月頃送付されます。納税義務者である各従業員へは会社を通じて毎月の特別徴収額通知書が交付されます。これはその年1月に給与支払者から各従業員の居住自治体に提出された給与支払報告書に基づき、各自治体が賦課計算した金額です。納付書には各月の納付額が印字されています。
 給与支払報告書では年末調整の結果での所得税情報が報告されます。個人がふるさと納税や医療費控除を受ける場合には、確定申告を行うことになります。そのため、当初の賦課額と違う金額が6月になって再通知されることもあります。また、従業員の入・退社があると、給与所得者異動届出書を特別徴収納付先の自治体に提出しなければなりません。こうした理由があると、納付書に印字された金額と違う金額を納付することになります。その場合は、印字された金額を二重取消線で消し、納付額を所定の欄に記載しなければなりません。さらに手間が増えるわけです。

直接問い合わせれば進化しているかも?
 ある税理士先生によると、先日東京23区の1つから、納付額変更通知の行き違いで前月分を古い数字で納付したため過納が生じ、過不足額の調整の相談で照会の電話があったことが発端のようです。
 その際、「東京都は電子納税対応になっているが、特別徴収納付は電子納税対応になる予定がありますか?」と聞いたところ、電子納税導入時期は不明としながらも、「ペイジー対応は可能となっている」として、それ用の納付書を送付してくれたそうです。 
 ペイジーのサイトには「利用可能な団体」としてはまだリストアップされていませんでしたが、直接聞いてたまたま仕入れたのが進化しているという情報だったようです。








H29.9.25
未払い残業代の解決金等
そ の 課 税 関 係

 元従業員(被用者)からの未払い残業代請求の訴えが、突然、裁判所から送られて来ることがあります。
 多くの場合は、労働審判への申立て手続きによるもので、裁判官、労働者側、経営者側の3者が双方から提出された証拠資料等を吟味して、3回の審議で結論を出すことになっています。

一括支払いの和解金又は解決金
 労働審判は、個別的労使紛争が対象です。それ故、集団的未払い残業代の訴えのように、正確な各月の残業代を計算し、各年分の年末調整をやり直す等幾つもの諸手続きを想定していません。双方が合意できる金額での早期決着が眼目ですから、調停成立の文言も、「本件解決金(又は本件和解金)として〇〇〇万円の支払義務がある」といった例は散見されます。まさに、ザックリとした金額です。

名目としての解決金、和解金の実質は
 文言のニュアンスからは、当該解決金等は非課税であるかのような印象も受けますが、やはり審判所への訴えが「未払い残業代」、ということですので、在職中の給与等の追加払い、ということになり、原則、給与所得を構成するのではないかと考えます。
 この場合、未確定であった在職中の給与等の追加払いを一時に受けることから、その受けた年の「賞与」としての扱いになるのではないかと考えられます。

支払者(事業主)の手続き
 事業主は、当該解決金が未払い残業代に相当すれば、当然に、その支払いの際には源泉徴収義務を負い、源泉税徴収後の金額を被用者に支払います。
 なお、被用者が源泉徴収すべき税額を含めて強制執行等により未払い残業代全額の回収を求めてきた場合、事業主は解決金の全額を支払う義務を負うことになります。  
 但し、その場合であっても、法的には、事業主の源泉徴収義務は免れることはできません。事業主は、源泉徴収義務者として解決金〇〇〇万円に相当する源泉税を計算し納付しなければなりません。
 そうすると、事業主は、二重に源泉税分を支払ったことになりますので、その分、被用者に請求することができますが、被用者が無資力の場合はその回収は困難です。
 審判所においても、未払い残業代に伴う源泉徴収税額を双方協議しておくのが望ましいように思います。







H29.9.22
非定型職務の賃金体系

 役割貢献度賃金の考え方で、非定型職務に従事する一般社員の賃金体系を設計する方法は、目標管理制度による業績評価の反映の仕方がポイントになります。それには、まず職務の性質・成果の現れ方を理解する必要があります。

[ 非定型職務と成果の現れ方 ]
職務例
・調査企画職(経営企画・人事企画・新事業・新商品の開発・新たな制度やシステムの設計・運用、既存システムの更新等)
・研究開発職・商品開発職
・営業職(市場開発・商品開発・販売企画・販売等の職務)
成果の現れ方
・個々人が持つ課題解決能力(独創性・創意工夫・知識・経験・判断力)を活用し、新しい手段・方法を開発・展開、新たな価値を創出する。
[特徴]
・能力発揮度により大きな差が出る。

賃金体系のあり方
 職務の性質から、社員の経営貢献を引き出し、人材育成を図りつつ成果に報いる「範囲型職務(職能)給」とします。

経営者・人事担当管理者の留意点
 このような賃金体系は、定期昇給を必要とせず、貢献度に応じて級内昇給基準・昇格昇給・降格降給基準を設計すれば、下級者が頑張って上級者を追い越し可能で、上級者にもインセンティブとなる賃金制度が設計できます。





H29.9.21
改正労働基準法の内容と動向

今秋の臨時国会での審議の行方
 平成27年4月に閣議決定された改正労働基準法案は労働時間や休暇に関する企業にとって大きな影響が及びそうなものでしたが、実施の難しさからか今も継続審議中となっています。しかし今秋の臨時国会で働き方関連法案の同一労働同一賃金、時間外労働上限規制と併せて審議されそうな動きがあります。労働基準法改正で何が変わるのでしょうか。

改正予定の法案の内容
@中小企業における月60時間超の時間外労働割増率50%以上適用猶予の廃止・・・・中小企業では元々月60時間超えでも割増率は50%以上にすることは猶予されていましたが、割増率を上げる事は企業への影響が大きい為、平成31年4月からの実施予定は延長される可能性があります。
A著しい長時間労働に対する助言指導を強化する為の規定の新設・・・・これは時間外労働の上限規制の法案が出ていますので併せて考えられるでしょう。
B一定日数の年次有給休暇の確実な取得・・・・労働者に付与された年次有給休暇のうち「5日」については会社で時季を指定して強制的に有給取得させるというものです。欧州での有給取得率の高さは会社が有給を取る日を事前に決めているからだそうです。この5日については本人が年休取得したり、会社の計画的年休付与を5日以上行ったりしていれば強制的に取らせなくともよいとされています。また、年休管理簿の作成が義務付けされます。
Cフレックスタイム制の見直し・・・・1日8時間週40時間の適用はありましたが、割増について1ヶ月単位の精算期間の上限を1ヶ月から3ヶ月に延長し1ヶ月を超える枠を決める時は1週50時間を超えたら割増賃金を払う事になります。
D企画業務型裁量労働制の見直し・・・・「企画立案調査分析」業務の他それを活用させて裁量的にPDCAを回す業務と課題解決型提案営業も裁量労働(みなし労働)を認めるとしています。
E特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェショナル制度)の創設・・・・業務範囲が明確で一定の年収で高度な知識を有する業務に従事する者の労働時間の時間外、休日、深夜の割増適用除外
F企業単位で労使の自主的取り組み促進





H29.9.20
雇われ社長(特に外資系企業)へのインセンティブボーナス


役員に対する給与の税法規定
 役員に対する給与の税法規定が大きく変わったのは平成18年3月でした。それまでは役員賞与が損金不算入(=法人税法で経費とならない)という規定でしたが、平成18年4月1日以降開始する事業年度からは「定期同額給与」、「事前確定届出給与」、「利益連動給与(H290401から業績連動給与)」だけが損金(=法人税法の経費)になるという規定に変わりました。「これは税務上の経費とならない」という決め方から、「これだけが経費となる」と180度変わりました。
 この改正の趣旨は、会社の利益の増減を役員報酬の改定で利益調整できないようにするということでした。

外資系日本子会社社長は一従業員!である
 外資系日本子会社の場合、一般的に、海外の親会社が100%株主であり、子会社役員は株式の保有がありません。そのため、取締役の報酬を決議する株主総会での議決権を持ちません。つまり、自分の役員報酬を自分で決めることはできません。また社員も含め年俸制が多く、日本の企業のような盆・暮れの賞与という慣習はほとんどありません。一方で、「個人の成績で決定される」インセンティブボーナスという制度を持つ会社は少なくありません。
 インセンティブボーナスは、一見「利益連動給与」に類似するものにも思われがちですが、親会社100%株主の同族会社には適用されません。また、「事前確定届出給与」も他の社員に対して定期的に賞与を支給している常態になければ適用が困難です。
 このように社長へは賞与(=インセンティブボーナス)を会社の損金として支払うことはできないのですが、海外の親会社(特に米国)は、「頑張った分をボーナスとして払えないのは納得できない!」として、日本の税法規定を理解してもらえません。

インセンティブボーナス支払のウルトラC
 これまでは、ボーナス分は翌年の役員報酬に反映させて、12か月で「定期同額給与」として支払うしか方法がありませんでした。
 ところが、平成27年3月16日民商第29号通知(法務省)【代表取締役が日本に住所を有しない場合の申請に関する通知】により、取締役を国外親会社の役員だけで構成させることで、日本子会社社員にインセンティブボーナスを払える環境となりました。
 これはウルトラCともいえる方法ですが、子会社に日本在住の役員がいないという事態はビジネス上大きなマイナス要因ともなりかねません。親会社の経営判断ですが、慎重な検討が必要です。





H29.9.19
アフリカ進出時の留意点


アフリカ市場への期待、続く!?
 時事通信から「日本企業、アフリカに熱視線=大手から起業家まで」という記事が出ていました(JIJI.COM 2017/07/29)。
 2016年12月のジェトロ(日本貿易振興機構)「アフリカ進出日系企業実態調査」でも、「アフリカ市場への期待、続く 5割超の企業が事業拡大に意欲、市場の成長性が魅力」とされています。これは、ジェトロが2016年9月から11月にかけ、アフリカでの日系企業活動の実態を把握し、結果を広く提供することを目的に、南アフリカ、エジプト、ケニア等24カ国の進出日系企業を対象にアンケート調査を実施したものです。対象企業373社に回答を依頼し299社より有効回答(有効回答率80.2%)が寄せられました。主な質問項目は、業績・事業展開の方向性、現地経営上の課題、投資環境のメリット・デメリット等でした。

人口が増える発展途上地域としての期待
 2015年4月時点でアフリカには54の国があります。竃村総合研究所の報告書では、「アフリカの人口は、2010 年に10億人を突破し、2030 年には15.6 億人となり、中国(13.9億人)及びインド(15.2億人)を超過することが見込まれている。2030年以降も、アフリカの人口は増加を続け、2050年には21.9 億人に達する見込みである。一方、アジアの人口は2035年頃から頭打ちとなり、また、欧州の人口は2025年頃から減少局面に転じることが見込まれている。」と記されています。
 人口減少で市場が小さくなってきている成熟時代、「これからの海外進出はアフリカだ!」で大丈夫でしょうか?

アフリカ進出時の留意点
 大手企業の場合は、海外進出の長年のノウハウもあり、慣れていますが、そうでない場合には、十分な事前調査と計画が必要です。国際会計事務所で海外進出に関するアドバイス経験のある税理士によると、留意点の優先5項目は下記順番だそうです。
1)最重要:カントリー・リスク…政情不安の国は何が起きるかわからない。
2)市場・成長性…これがないと始まらない。
3)規制や法令の整備・運用…国によっては運用が不透明で機能しないこともある。
4)言語・駐在員の生活環境…言語(特に英語)・コミュニケーション上の障害の有無、生活環境は大丈夫等(家族帯同可?)。
5)現地従業員の雇用…雇いやすさ、定着率。
 ※税務や会計はそのあとの話だそうです。





H29.9.15
時間外労働の限度に関する基準

法定労働時間を超えた時間外労働の基準
 法定の労働時間を超えて労働させる場合、又は法定の休日に労働させる場合には、事前に労使間で時間外労働、休日労働に関する協定(36協定)を結び労働基準監督署に届出をしておく必要があります。36協定を定める時には労働時間の延長の限度に関する基準があります。
36協定は下記の基準に適合したものにするようにしなくてはなりません。
@業務区分の適合化・・・・業務の範囲の明確化、具体的業務区分が必要
A一定期間の区分・・・・1日を超えて3ヶ月以内の期間と1年間の両方を協定する
B延長時間の限度(法定の休日労働含まず)・・・・例)期間が1週間の場合、一般労働者は15時間、対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の適用労働者は14時間を超えないものとする

適用除外
次の事業又は業務には延長限度時間は適用されません。
@工作物の建設
A自動車の運転業務
B新技術、新商品の研究開発
C厚生労働省指定事業又は業務

特別条項付き協定
 臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合に特別条項付き協定を結べば限度時間を超えて時間を延長する事ができます。要件は次の通りです。
@原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定める事
A限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情を具体的に記す
B特別の事情とは一時的、突発的であり、一年の半分を超えないことが見込まれる事
C限度時間を超える労働時間の割増賃金率を定め、法定割増率を超えるよう努める
 特別条項付き協定には限度時間の上限が無いので長時間労働になりがちとの見解もあります。過重労働にならぬよう安全配慮義務を考えた上で行いたいものです。





H29.9.14
36協定はどんな場合に必要か

36(サブロク)協定とは?
 法定の労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合、又は法定の休日に労働(法定休日労働)させる場合には予め書面で労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出る事が必要です。この協定の事を労働基準法第36条に規定されていることから通称「36(サブロク)協定」と言います。

どんな時に締結・届出をするのか
 法定労働時間とは1日8時間、1週40時間(特例措置対象事業所は週44時間)とされています。特例措置対象事業所とは商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客業のうち常時10人未満の労働者を使用する事業場を言います。変形労働時間制を除いて、この時間を超えて労働させる場合は時間外労働となり36協定が必要になります。また、法定休日とは1週間に1回の休日(変形休日制を採用する場合は4週4日)と定められていますが、この休日に労働させる場合は休日労働となり協定が必要です。

36協定の締結と届出は
 36協定は事業場単位で届け出る必要があります。1つの会社で別々の場所に工場・支店等がある場合には各々が事業場となり各々の所在地を管轄する労働基準監督署に届け出します。

36協定の必要事項
 協定の内容は次の事項です。
@時間外労働をさせる具体的理由
A時間外労働をさせる業務の種類
B時間外労働をさせる労働者の数
C1日について延長する事ができる時間
D1日を超える一定の期間について延長する事ができる時間
E有効期限 原則1年間の定めをする

協定の当事者
 協定は会社と労働者の締結当事者間で行いますが、締結当事者とは事業場の過半数で組織する労働組合、又は労働者の過半数を代表する代表者を選出しその者と協定します。選出方法は投票、挙手のほか話し合いや持ち回り決議等でもかまいません。労働者の過半数がその人を支持していることが明らかな方法が必要で、会社側が特定の人を指名するのは無効とされています。
届出書は2部作成し受付すると1部が戻ります。有効期間の開始前に届出をします。





H29.9.13

えっ、納税まで クレジットカード対応?

給与の源泉税もクレジットカード払い
 平成29年6月12日(月)から、e-Tax(国税電子申告・納税システム)から「国税クレジットカードお支払サイト」へのアクセスが可能となりました。源泉所得税の申告・納付は、銀行に出向いて窓口で納付するよりも、インターネットバンキングで納付する方が楽ですので、税理士自身e-Taxを使い、関与先にも利用を勧めている方も多いでしょう。6月下旬に源泉税の納付の際に、いつもと画面が違い、「あぁ、クレジットカード納付がいよいよ始まったのだな」と気づかれたかもしれません。

クレジットカード払いの利便点
 出張の際の新幹線や航空券の購入、ホテルの宿泊代の支払いはもちろん、毎月の電気、ガス、電話代にいたるまでクレジットカード払いができるようになっています。
 クレジットカードの請求書に添付される「ご利用明細書」等は、@その書類の作成者の氏名又は名称、A課税資産の譲渡等を行った年月日、B課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、C課税資産の譲渡等の対価の額、Dその書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的ですので、消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。その意味で、会計帳簿の記帳の観点からも、クレジットカード払いには利便性があると言えます。

経理の本音(会社の電話代等一部のものの支払いにクレジットカードは使わないで!)
  このように利便性の高いクレジットカード利用ですが、経理担当の目から見ると(=経理をチェックする税理士もしかり)、支払に充ててほしくない使途先があります。具体的にいうと、電話代などの実際の利用に比べて支払いが2か月近く遅れる支払です。
 電話代の請求は、通常利用月の翌月に請求書が発行され、口座振替の場合は翌月末日等、大体はひと月遅れで精算されます。これがクレジットカード払いとなると、約ふた月遅れとなり、決算確定の最終金額の数字確認が遅れる場合もままあります。
 利用によるポイントが付いたり、資金の後払いとなったりと、お得感の大きいクレジットカード払いですが、実際の運用に際しては、経理担当者等の意見も聞いて、会社全体として賢く使ってほしいものです。
 そう言い忘れていました、国税のクレジットカード払いは、このシステムの受託業者への手数料が発生しますので、お得感はその分目減りします。





H29.9.12
役割貢献度賃金の設計

日本経団連が、2008年度に提唱した「仕事・役割・貢献度に基づく賃金制度」を契機として、日本の企業では、旧来の年功賃金から役割貢献度賃金へ転換するケースが目立っております。  
 
 役割貢献度賃金の設計方法
 この役割貢献度賃金では、仕事・役割に基づく貢献実績を評価した結果を賃金制度に反映しやすい設計としなければなりません。
 管理職のケースで、代表的な賃金体系を例示しますと、図の通りとなります。
@月例給の賃金体系を役割給と貢献給(業績による経営貢献度を反映する給与)に区分します。
A役割給は課長・次長(または副部長)・部長等、役職の役割・責任に対して支払う給与で、一般に役職別単一給とします。なお、M1級〜M3級を、所管部署の役割・責任の大きさ等からさらに細分化し、例えばM1級〜M5級に区分する場合もあります。
B役割給は、目標管理制度などによる経営貢献度評価の積み上げで、昇給、または降給します。
(たとえば、「2年連続して、経営貢献  度評価A以上、役割変更で昇給」。「2年連続して経営貢献C以下で降格・降給」)
[管理職の賃金体系例:月例給・単位万円]
貢献給は、管理等級別の重複型範囲給(各級別の給与額に範囲を設定、上位級と下位級の給与額が重複する設計)とし、各級に評価ランク別5段階の定額を設定、下表のように、毎年の経営貢献度評価に基づいて、級内で洗い替え(各級の範囲内で賃金の増額・減額)を行います。
[評価別適用貢献給例・単位千円]
評価 S A B C D 評価差
M3 600 550 500 450 400 50
M2 480 435 390 345 300 45
M1 380 340 300 260 220 40
 貢献給(業績給)の割合で、インセンティブが大きく変化します。





H29.9.11
なぜ手の内を教えなければならない!? BEPS行動計画12


 早い者勝ちの節税戦略
 国内・国際を問わず租税戦略計画(タックス・プランニング)は、いかに、合法的な範囲内で税法の隙間を見つけ、租税負担を少なくするかの頭脳勝負ともいえます。対戦するのは、納税者(+アドバイザーの税務専門家)と税務当局(=現行税法)です。
 先に税法の隙を見つけた者が合法的に節税し、それに対して後から国税側が税制改正で蓋をするという鼬ごっこです。典型的な例が、相続税法における贈与税の納税義務者の定義から外れるような(税法の)想定外の動きをして、約1,330億円の贈与税を回避し、最終的に最高裁で課税されないとの判決を受け、400億円の還付加算金まで受けた武富士贈与税事件です。

行動計画12:義務的開示制度
 OECD(経済協力開発機構)のBEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトの行動計画12は、租税回避を抑制するとともに出現した租税回避スキームに速やかに対処するため、プロモーター(=節税アドバイスをする専門家のこと)及び利用者が租税回避スキームを税務当局に報告する制度(義務的開示制度)の策定について検討しています。これって、平たく言うと、節税戦略の手の内を明かせということです。練りに練った租税戦略を開示すると、税法改正で蓋をされるまでの時間が短くなります。プロモーターの商売あがったりです。

企業への影響と経済界の意見、実現可能性
 日本の経済界は、「一部の多国籍企業によるアグレッシブ・タックスプランニング(ATP)を抑止し、税源侵食の防止、及び平等な競争条件の確保を図るとの行動12の趣旨は理解できる。BEPSを推進するプロモーター、それらスキームを利用・開発する濫用的納税者は厳しく取り締るべきである。」と評価しながらも、事務負担増の観点から消極的な意見を出しています。 
 国際租税戦略計画に詳しい税理士に聞いたところ、その人は税制調査会委員の某大学教授から「おそらく日本の経済界が反対して難しいだろう」という話を直接聞いたことがあると教えてくれました。また彼自身の見解でも、報告に際しての事務負担(納税者側かプロモーターかの問題を含む)の観点から、国内税法で近々に義務化されることには疑問を持っているようでした。





H29.9.8
単一税率を維持する方法

税理士会の消費税制建議
 税理士会は最近公表の税制建議書で、消費税について、インボイス方式導入反対と単一税率制度維持の主張をしています。
 税理士会のこの見解はよいとしても、平成28年の税制改正で、消費税10%増税と軽減税率導入・インボイス制度導入とはワンセットの制度となった以上、従来通りの主張をしても見向きもされないでしょう。

インボイス導入は国税の悲願
 国税当局は、マイナンバーに執着しない方向に転換しています。それに代わるものとして、インボイス番号制度が国税にとって極めて魅力的な権力の培養器として採用されました。だから反対は困難です。
 日税連は、インボイス制度による小規模事業者の排除が課題と考えるのなら、免税事業者制度をなくしての何十万円かの基礎税額控除制度創設の主張に変えるべきです。それなら、排除は起きません。

単一税率を維持する方法はある
 税率アップでも単一税率を維持する方法があります。逆進性の回避を制度として埋め込んだ、消費の総量に対する累進税率制度を導入すればよいのです。
 消費税の累進税率制度とは、消費者の消費税還付制度のことです。
 年間消費の総量は、
年初純財産-年末純財産+当年収入=消費
として計算できます。
 年間消費総額100万円まで(3%)、200万円まで(5%)、300万円まで(8%)、300万円超(10%)が累進税率制度だとすると、年間消費総額に累進税率を乗じて、累進消費税が算出できます。
 既払消費税から累進消費税を引いた額は確定申告により還付されます。
 既払消費税は、年間消費総額に単一税率(10%)を乗じて算出します。

消費税還付のための確定申告
 年間消費総額300万円だったら、(30万円−16万円)=14万円の還付です。この額が還付の最高額で、ここで頭打ちです。
 消費者の消費税申告は還付のためだけの申告です。ただし、還付申告をする人は、自らの年初と年末の財産総額を税務署に開示する必要があります。財産開示を忌諱して、還付を受けなくてよい、という人は、申告しなくてもよいのです。
 扶養家族単位申告にし、毎月申告の制度にするのでもよいかもしれません。







H29.9.7
退職後の競業禁止規定

退職後に競業を禁止することはできるか
 最近、退職者が同業他社に就職し、自社のノウハウを他社で使ったり、自社の顧客を奪ってしまったという相談が増加しています。
 また、そのような事態を防ぐために、就業規則や誓約書で、退職後、転職や独立により競業行為を行ってはならないという規定、すなわち競業禁止規定を置いている企業も多くなっています。では、このような規定により退職後の競業を阻止することはできるのでしょうか。

有効となるケースは限定的
 まず、在職中の従業員は、労働契約の付随的義務として、当然に競業禁止義務を負うと考えられています。
 これに対し、退職後については、就業規則や誓約書・合意書などに明確な規定がなければ競業を禁止することはできません。また、規定があったとしても、有効になるケースは限定されています。このような規定は、退職者について、憲法で保障された職業選択の自由や営業の自由を制限するという側面があるためです。

どのような場合に有効となるか
 では、どのような場合に有効となるのでしょうか。判例では、概ね以下の基準により合理性が認められる場合に限り有効となるとされています。
@ 守るべき企業の利益があるか
一般的知識ではなく、製造技術や顧客情報など重要な利益であることを要する
A 退職者の在職中の地位・職務内容
対象者は@の企業の利益を守るために必要な範囲の者に限定されていることが望ましい
B 競業が禁止される期間や地域
期間や地域が制限されているほど有効になりやすい。期間は1年以下にしておくことがお勧めである
C 十分な代償措置があるか
競業禁止により不利益を被る代わりに、代償金支給や退職金の上積みなどの代償措置があることも重要(在職中の給与も考慮される)
 以上のような視点で自社の競業禁止規定を見直すと、不必要に広範な内容となっていることも多いのではないでしょうか。いざというときに慌てないよう、この機会に是非自社の規定を見直してみてください。





H29.9.6
手付解除

手付解除とは
 不動産の売買において、売買契約後引き渡しまでの期間にその契約をやめたい場合に手付解除ができます。
 買主が解除する場合は、支払った手付金を放棄します。売主が解除する場合は、買主が支払った手付金と共に、更に同額を買主に支払います。
 手付解除は買い手の資金繰りの都合がつかないといった場合が多いのですが、往々にして、更に条件の良い買い手が見つかったとか、更に良い物件が見つかった場合に手付を放棄したり、倍返しをしても、解除したほうが有利と判断された場合にも起こります。

法人の場合
 通常は、支払った場合は費用でもらった場合は収入です。但し上記の例のように、更に条件の良い物件が見つかって別の物件を購入する為に、手付解除で手付金を放棄した場合などで、直接因果関係が明確な場合は、別の物件の取得価額とされます。
 また、不動産業者の棚卸不動産で、売却予定していた物件を手付解除で売却しなかった場合などは、棚卸不動産の取得価額に加算される場合もあります。特に手付解除の時期と不動産売却の時期が決算期をまたぐ場合は要注意です。

個人の場合
 売主買主を問わず、手付解除により手付金をもらった場合は、一時所得となります。
 買い手で手付金を放棄した場合は、購入物件が賃貸物件の場合は原則不動産所得の必要経費となりますが、上記例のような更に有利な物件を取得するための放棄の場合は、法人同様取得価額となります。
 賃貸物件でない場合は、次に取得した不動産の取得費となります。
 売り手で倍返しをした場合は、賃貸物件で、その後しばらくの間その物件が売れなければ、不動産所得の必要経費ですが、上記の例のように、有利な次の買い手がいるような場合は、譲渡所得の必要経費となります。
 賃貸物件でない場合は、次に売れた時期によりますが、不動産の取得費か譲渡費用となります。





H29.9.5
海外事業の人材確保

 我が国では、人口減少に伴って国内市場の縮小傾向が強まり、生産拠点・消費地として中国・東南アジアが大きな存在となっており、人材確保が重要課題となっております。

海外事業活動の変化
 経済産業省「海外事業活動基本調査」によれば、下表の通り海外事業が拡大しており、特に2008年以降の非製造業の現地法人数の増加が顕著で、04年比1.86倍に達しております。
海外現地法人数 現地法人従業員数
2014年 24,011 575万人
2004年比倍率 1.60倍 1.39倍
 また、国際協力銀行の調査によると、製造業の海外生産比率・海外売上高比率は大きく高まっており、2016年度(実績見込み)は4割に近づいております。さらに今後3年程度の中長期的な海外事業の見通しについて、80.5%の企業が強化・拡大すると回答しています。

海外事業展開を支える人事施策課題 
 海外拠点の増加に伴い、経営の現地化も視野に入れ、現地の幹部候補人材やナショナルスタッフの採用・研修・育成など、現地従業員のマネジメントを担う人材確保育成が課題となっており、特に中堅・中小企業において、本社の従業員を海外拠点に長期間配置するケースが増えています。

人材確保に関する経営者の留意点
 グローバルに活躍できる人材確保を図るには、次の施策が必要です。
@人材要件の明確化
事業推進上の知識・技術・語学力・マネジメント力・海外事業に取り組む意欲等は当然ですが、長期派遣の場合、見逃せない要件として、“現地適応力”、それも家族を含めた適応力を挙げておきます。
配偶者の語学や現地適応力が不足したため、本人の現地生活が成り立たなくなった、という残念なケースも存在します。
Aウエイティングリストによる人材確保
上記のような人材要件を組み込んだ、海外長期派遣人材のウエイティングリストを整備し、次々と必要な人材を選択・動機づけ・育成を図る中長期的施策をお勧めします。







H29.9.4
ふるさと納税上限規制で得する人

過熱する返礼品競争に総務省が待った
 過熱する一方のふるさと納税返礼品競争に対し、総務省が待ったを掛けました。「返礼割合の高い返礼品」や「金銭類似性の高いもの」そして「資産性の高いもの」を自粛するように、各自治体に対して、総務省が平成29年4月1日付で通知し、通知を通じて徹底を要請していくということです。 これまでは具体的な基準を示していませんでしたが、「返礼割合は3割以下」、「商品券などの換金できるものはダメ」、「家電品も転売できるのでダメ」といった通知です。
 ふるさと納税の返礼品は、知られていなかった地域の名産品を全国の人々に知ってもらう良い機会です。返礼品が気に入って、通信販売などで直接取寄せにつながれば、地域経済振興にもなります。
 その趣旨では意味があるので、国も平成27年4月から、限度額を2倍に拡大し、ワンストップ制度も導入しましたが、歯止めが必要になったということなのでしょう。

最近の過熱ぶりの一端も規制に影響?
 最近はそれまで年一回限りの返礼品を何度でもOKとしたり、人気のある品は前年から予約の寄附となったりしています。限度額に余裕のある高額所得者は、肉や野菜、その他生活必需品が定期的に送られてきて買い物に行く手間が不要となるような使い方をしている人もいるようです。

この上限規制で得をする人もいる!?
 「ふるさと納税は2千円の負担で限度額の範囲内であればタダでもらい放題!」という話は、間違いです。
ふるさと納税の返礼品は、「他の各種所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」なので、一時所得となります。(所得税法34条) ただし、課税所得の計算で50万円の特別控除があるので、ほとんどの方は課税されない結果となっているだけなのです。
 返礼率が5割の場合には、特別控除50万円を超えるには100万円超のふるさと納税であれば、一時所得の課税があることになります。(=他の一時所得ゼロと前提)
 今回の総務省の通知「返礼割合3割」の上限が守られている前提では、過去に確定申告で5割の返礼率で申告していた人も3割でよいことになります。今後は1,666,667円超のふるさと納税で課税され、課税される所得も5割から3割に減ります。







H29.9.1
海外に事業拠点を持つ会社は
要注意! BEPS行動計画7

 お礼海外事業拠点を持つ会社に影響する場合も
 OECD(経済協力開発機構)が推進しているBEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトの行動計画は15ありますが、もし、貴社が海外に事業拠点を持っているとしたら、「行動計画7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止」が影響してくるかもしれません。
 海外進出の形態はいろいろあります。まずは連絡事務所として駐在員事務所を設置する段階が初期段階ですが、最初から営業活動も行えるように支店登記する場合や、現地の法律に基づき現地子会社を作ることもあります。海外進出の理由(例:輸出売上を現地販売に切り替えて利益増を図る)や背景(例:元請先の海外進出に伴い渋々従う)によってもどんな事業形態なのかが違ってきますし、課税関係も変わってきます。
 また、現地に事業拠点を持たない場合でも、その国の代理店との事業契約の内容如何では、影響があるケースも考えられます。

行動計画7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止とは
 行動計画7は、代理人PEの要件に該当しない販売委託契約の利用やPEと認定されない活動のみを行うことによるPE認定の人為的な回避に対処するため、モデル条約のPEの定義の修正を検討しています。
 コスト削減や節税を目的とし、販売におけるサプライチェーンの再構築として委託販売に切り替える方法があります。これはコミッショネアと呼ばれるものですが、「自己の名をもって他人のために物品の販売を業とする者」であり、日本の商法551条に規定する「問屋(といや)」に相当するものです。いままで現地子会社の販売としていたものをコミッショネア形態に変更し、在庫リスクや保証リスク等の縮小を理由に利益を小さくする契約です。
 これに対処するために代理人PEの定義拡張や除外規定の制限を提言しています。

日本企業への影響と経済界の意見
 行動計画7は、今後、海外進出を拡大している日本企業にも大きな影響を及ぼす可能性があるものと考えられています。
 日本の経済界からの意見書では、基本的にはBEPS行動7の具体化に向けたOECDの取り組みを支持していますが、源泉地国における課税強化となり行き過ぎとなる懸念も示しています。