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H30.1.31
留学生と資格外活動許可

有名ラーメン店で
 有名ラーメン店の「一蘭」で、留学ビザを持つベトナム人が違法に働いていたとし、関係先として大阪市の店舗と福岡市の本社が警察の捜索を受けたとのニュースがありました。
 そもそも留学生は留学ビザを持って日本に滞在しているわけですが、このビザでは原則的に就労が許可されていません。しかし、「資格外活動許可」というものを取得すると、1週間につき28時間までのアルバイトが許可されるため、留学生のほとんどがこの資格外活動許可を得てアルバイトをしています。
 許可を得ていればアルバイトができるはずなのに、なぜ今回のようなニュースに発展したのでしょうか。

資格外活動許可と留学ビザの関係
 留学生の資格外活動許可では、留学生が学校に在籍していることを前提に許可されるものであり、在学期間中のみアルバイトが許されます。つまり、何らかの理由で学校を退学したり、卒業したりすると、資格外活動許可は当然無効になってしまうのです。
 今回の「一蘭」の件でも、アルバイトをしていた留学生が専門学校を除籍処分になっていたにもかかわらず、その事実を申告せずに勤務し続けたため、不法就労状態になってしまったようです。

期間が残っていてもアルバイトはできない
 このように、たとえ留学ビザの期間が残っていても、学校に在籍しなくなった場合はアルバイトができないことになります。しかしながら、学校を卒業して就職活動を継続している場合など、他のビザに切り替え、改めて資格外活動許可を取得できるケースもあります。
 いずれにしても、学校に所属しなくなった以上、そのままの状態でアルバイト雇用を続けることはできません。雇用主としては、留学生が退学した、卒業したといったことが発覚した場合、速やかに出勤を停止するなどの対応が求められますので、注意が必要です







H30.1.30
個人情報の取り扱い

すべての事業者が個人情報保護法の対象に
 平成27年9月3日に成立した改正個人情報保護法が平成29年5月30日から全面的に施行されました。
改正前は、5000件以上の個人情報を取り扱う事業者のみが「個人情報取扱事業者」として同法の規制を受けましたが、改正法では1件でも個人情報を保有している限り個人情報取扱事業者として扱われ、同法の適用を受けることになりました。これにより、実質的にすべての事業者が個人情報保護法に則って個人情報を取り扱うことが求められます。これまで個人情報の管理にあまり留意していなかった小規模事業者も、今後は同法の内容をしっかりと把握しておかなければなりません。

利用目的の特定・通知
 個人情報保護法では、個人情報を取得する場面、保管・利用する場面、第三者に提供する場面など、企業が取るべき様々な規定を置いていますが、まず多くの企業にとって重要となる規定の一つが、利用目的の特定とその通知です。
 同法では、個人情報を取り扱うにあたっては、その利用目的をできる限り特定しなければならないと定めています。
 そして、個人情報を取得した場合には、事前にホームページなどで利用目的を公表している場合を除き、速やかにその利用目的を本人に通知・公表しなければならないとされています。なお、本人や第三者への身体・財産等の権利侵害のおそれがある場合など、例外もいくつか定められています。
個人情報取扱事業者は、原則として、本人の同意を得ない限り、特定・通知した利用目的以外のために個人情報を利用することはできません。

具体的に必要となる場面とは
 具体的には、顧客から契約の申込みを受ける際など顧客の氏名や住所の開示を受けた場合に、利用目的を記載した書面を手渡すことが考えられます。顧客が多く、毎回手渡すことが煩雑な場合には、事前に自社のホームページに利用目的を公表しておくことが有益です。個人情報保護委員会が発表している「個人情報保護に関する法律についてのガイドライン」
https://www.ppc.go.jp/personal/legal/では、推奨される通知・公表例が掲載されていますので、こちらも参照してみてください。






H30.1.29
労働者の募集・求人
申込みの制度変更

雇用保険法等の一部を改正する法律の施行
 昨年改正された雇用保険法の中の1つに今年の1月より施行された労働者の募集や求人の申し込みの制度の変更があります。どこが変更されたのでしょうか?

労働条件明示について
 ハローワークへ求人の申し込みをする際やホームページで労働者の募集を行う場合は労働契約締結までの間、業務内容や契約期間、就業時間や賃金等の労働条件を明示することが必要ですが、改正では、労働条件に変更があった場合「可能な限り速やかに」、変更内容について明示しなければならなくなりました。面接などの過程で労働条件に変更があった場合には速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要になります。

最低限知らせなければならない労働条件
 労働者の募集や求人申し込みの際には書面の交付によって明示しなければならない労働条件が定められていますが、今回の改正で「試用期間」「裁量労働制(採用している場合)」「固定残業代(採用している場合)」、「募集者の氏名または名称」「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合)」の明示が追加事項とされました。

変更の明示方法
次のような場合は変更を明示する必要があります。
@ 当初の明示と異なる内容の労働条件を提示する場合の例・・・・当初:基本給30万円/月⇒基本給28万円/月
A 当初の明示範囲内で特定する例・・・・当初:基本給25万円から30万円/月⇒基本給28万円/月
B 当初に明示していた労働条件を削除する例・・・・当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月⇒基本給25万円/月
C 当初に明示がなかった労働条件を新たに提示する例・・・・当初:基本給25万円/月⇒基本給25万円/月、営業手当3万円/月
 なお、変更内容の明示について「変更前と変更後の内容が対照できる書面の交付」、「労働条件通知書で変更された事項に下線を引いたり、着色したり注釈をつけたりする」等、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。








H30.1.26
仕事でストレスを感じる人が6割

平成28年度労働安全衛生調査
 厚生労働省が平成29年9月に発表した平成28年の「労働安全衛生調査」(平成28年10月31日現在、常用労働者10人以上雇用する約14,000事業所と約18,000人の労働者が対象)によると、メンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合は56.6%で平成27年の前回調査を3.1ポイント下回りました。一方、仕事で強いストレスを抱える労働者の割合は59.5%と前回調査より3.8ポイント増加しました。
 過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者の割合は0.4%、退職した労働者の割合は0.2%でした。産業別にみると休業した労働者は「情報通信業」が1.2%と最も多く、退職した労働者は「医療・福祉」が0.4%で最も多くなっています。

メンタルヘルス対策
 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は56.6%(前回調査59.7%)ですが、取り組み内容(複数回答)は「労働者のストレスの状況等について調査票を用いて調査」(ストレスチェック)が62.3%(同22.4%)と最も多く、次いで「労働者への教育研修・情報提供」が38.2%(同42.0%)、「事業所内での相談体制の整備」が35.5%(同44.4%)となりました。
 また、メンタルヘルス対策の取り組み内容として最も多かった「ストレスチェック」についてその実施時期をみると「定期健康診断の機会」が26.1%「定期健康診断以外機会」が74.1%となっています。
 ストレスチェックの種類は「労働安全衛生法」(平成27年12月施行)に基づくストレスチェックが79.3%、事業所独自のストレスチェックが6.4%になりました。

仕事や職業生活に関するストレス
 現在の仕事や職業生活に関する事で、強いストレスを感じる労働者は59.5%(前回調査55.7%)でその内容(複数回答)を見ると「仕事の質・量」が53.8%(同57.5%)と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が38.5%(同33.2%)、「対人関係(セクハラ、パワハラを含む)が30.5%(同36.4%となりました。





H30.1.25
財産調査と納税通知書

相続と財産調査
 誰かが亡くなり相続が発生したときや遺言を作成するときなど、「相続」を考える際には財産の調査をしなければなりません。預貯金や不動産、株、保険など財産はさまざまですが、今回は不動産の調査方法について考えます。

不動産の財産調査方法
 どのような不動産を持っていたのかを調べる際は、たとえば次のような資料が参考になります。
 @固定資産税の納税通知書(課税明細書)
 A登記済証(権利証)・登記識別情報
 B名寄帳
 このうち、@Aは自宅にあるもの、Bは市区町村役場で取れるものです。多くの場合、不動産には固定資産税がかかりますので、毎年市区町村役場から送付される@固定資産税の納税通知書は比較的目にすることが多く、不動産を特定する足掛かりになります。

納税通知書の注意点
 ここで注意したいのが、この納税通知書に載るのはあくまで「課税されている不動産」だけであるということです。認識している不動産が自宅の土地と建物しかない場合、納税通知書だけを確認すればよいと考えがちですが、そうすると課税対象ではない道路などを見落としてしまうことがあります。せっかく遺言で相続の準備をしたり、遺産分割を取りまとめて協議書を作成しても、一部の非課税不動産を見落として作成してしまうと、相続紛争の原因になったり、相続した不動産を売却するのが難しくなったりすることもあるため、注意が必要です。

財産調査は慎重に
 Aはいわゆる不動産の権利証のことですが、これも紛失している場合には不動産を特定することができません。そこで登場するのがBの名寄帳(なよせちょう)です。
これは、市区町村役場にある所有者ごとの不動産を、非課税不動産も含めて一覧にしたもので、自治体により「資産明細」「課税台帳の写し」など呼び方はさまざまです。現在の住所地や過去住んでいた場所、本籍地など、可能性のある市区町村役場で名寄帳を取ることで、所有していた不動産を確認することができます。少し手間ではありますが、財産の調査は慎重に行うことが肝要です。





H30.1.24
人財確保で経営基盤強化

 “企業は人なり”と言う概念は経営者としての常識であり、人材確保(人財確保)の重要性を認識していない企業は皆無と言えましょう。しかし、その取り組み方は、「教育研修プログラムの整備」を重点とするケース・経営戦略の一環として処遇制度・評価制度・能力開発プログラムを含めた施策を講じるケース等千差万別です。
 ここでは、M社が2014年度から取り組んでいる「人財力改革」を事例として、「人財確保」のあり方を解説しましょう。

M社の人財確保政策
 同社は、「人材」は最大、かつ育てることが出来る経営資源であるとの認識のもと、その価値向上を目指す観点から「人財」と呼称し、企業戦略とリンクして確保に取り組んでいます。
 そのため、まず、「求める人財像」を次の通り設定しました。
<求める人財像>
「感動」を生み出すプロフェッショナル人財
高い志と倫理観を持ち、果敢に挑戦する人財
自らの強みを発揮し、持続的に成長する人財
多様な価値観を尊重し、信頼の絆を深める人財
 その上で、「人事マネジメント・ポリシー」を基本方針として定め、それに基づく人事政策の実行を従業員に対して約束しました。

[人事マネジメントポリシー]
1.挑戦意欲にあふれ変革を実現する人財の支援
2.人財のプロフェッショナル化
3.役割発揮(成果)に応じた処遇
4.次世代のグローバルリーダーとなり得る人材の育成
5.多様な価値観に基づく自己実現と堅い絆
 これを踏まえて、一人ひとりの人財力底上げの取り組み施策を次のように構築・整備して推進しております。

[人財力底上げの取り組み内容]
人事評価制度をベースに、処遇制度の改正、育成体系の再構築およびダイバーシティ・マネジメント強化を含む多様な人財が生き生きと活躍する環境の整備
 
経営者・管理者の留意点
 M社の人財確保政策に見られるように、人財の活躍による経営基盤強化を中期経営戦略に組み込んで推進することの重要性に留意しましょう。





H30.1.23
AI革命と雇用

 昨年ころから実用化され始めたAI(人工知能)技術は、ブームとなっていきそうな勢いです。日増しに報道や出版物も増えていますが、AIが発達すると雇用との関係は今後どうなっていくのでしょうか。

労働者の半数が機械に仕事を奪われる?
 2016年に発行されたリクルートワークス研究所の機関誌「Works」No.137に「同僚は、人工知能」というAIと雇用についての記事が掲載され話題を呼びました。それによると日本では今後、労働人口の49%がAIやロボットにより代替される可能性が高いと言っています。労働者の半数が仕事を失うとなるとは驚きです。そのような未来が来るとすると企業では何が起こるのでしょうか。

仕事が減ったら配置転換で乗り越えてきた
 日本の労働の歴史では1980年代のME革命や1990年代のIT革命の際も業務が一新され、従前の雇用は大量に失われました。しかしMEやITに従事する新たな雇用が創出されたので日本型終身雇用に守られた労働者の再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかったという事です。
 但しAI、ロボット技術との違いは、
@技術の発達速度の速さ
A雇用創出にはそれほどつながらない
等が言われており、懸念されています。

今後の時代に備えた雇用を考える
 労働法が現在の内容である限り企業はたとえAIによって自社の職務が削減されても社員の雇用を守るための努力は必要になるでしょう。それなしには整理解雇が有効になることはないかもしれません。
 もちろんAIが導入されても絶対雇用維持しなければならないと言う事にはならないでしょう。ここはAIと共存する為の知恵や工夫が必要となってくるのでしょう。
 前述の「Works」No.137でも生産性向上等、新しい働き方の提案がなされています。
 来るべき時代を意識しておく必要があると言う事でしょう。





H30.1.22
平成30年度税制改正 検討事項について

 大綱の最後の章第三に検討事項があります。この章には、(1)来年の31年度税制改正で実施を予定している項目、そして(2)近いうちに実施が予定される項目などがあります。今後の税制を予測する上で重要かと思いますので、主な項目についてその内容を確認してみます。

●来年度に実施が予定される項目
(1)医療に係る消費税について
 高額な設備投資にかかる負担が大きい、いわゆる損税について、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ、平成31年度税制改正に際し、税制上の抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得る、としています。
(2)婚外の子を持つひとり親対策
 子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の対応について、児童扶養手当の支給に当たって事実婚状態でないことを確認する制度等も参考にしつつ、平成31年度税制改正において検討し、結論を得る、としています。

●近く実施が検討されている項目
(1)小規模企業等に係る税制
 個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、引き続き、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」の在り方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する、としています。
 過って導入され、その後廃止された、特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度がかたちを変えて創設されるのでは、と気になるところです。
(2)個人事業者の事業承継に係る税制
 現行制度上、事業用の宅地について特例措置があるとし、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること等、事業継続に不可欠な事業用資産の範囲を明確にするとともに、その承継の円滑化を支援し代替わりを促進するための枠組みが必要であることを含めて総合的に検討する、としています。





H30.1.19
平成30年度税制改正 国際課税編


  改正の中心は、恒久的施設(PE)の見直し、外国子会社合算税制等の見直しです。その主な内容について概観してみます。

●恒久的施設(PE)の定義の見直し
 恒久的施設(PE)とは、事業を行う一定の場所(支店、工場、一定の代理人、一定の建設現場等も含む)で、国際課税のルールでは、原則、PEがなければ課税はされません。しかし、このPEの認定要件を人為的に外すことによって課税回避が行われてきました。
 そこで、今回、@代理人PEの範囲について、外国法人等の資産の所有権移転等に関する契約の締結に関する業務を反復して行う者を追加し、また、本来、PE該当外の独立代理人は、密接な関連を有する外国法人等に代わって行動する場合にはPEと認定する。A保管、展示、引渡し等の活動のみをする一定の場所に関して、その活動が外国法人等の事業遂行上の準備的・補助的な性格を有する場合にはPEと認定する。B建設現場は、PE認定回避を主目的として契約期間を1年以内に分割した場合は、当該期間を合計してPEを認定する。
 その他、租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備をしています。
 適用は、平成31年分以後の所得税及び平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税からです。

●外国子会社合算税制等の見直し
 この税制は、租税回避防止の観点から、一定の条件に該当する外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして合算するものですが、見直し案では、一定の株式譲渡益については合算の適用対象金額から控除するとしています。
 具体的には、日本の親会社が海外の会社を買収、それによって傘下に入った特定外国関係会社等(対象外国関係会社を含む、所謂ペーパーカンパニー)を整理、組織再編するにあたり、当該特定外国関係会社等が有する一定の外国関係会社の株式等を、一定の期間内及び一定の条件で当該特定外国関係会社等に係る外国関係会社等に譲渡した場合に、その譲渡により生ずる利益の額を、当該特定外国関係会社等の適用対象金額の計算上控除する、といったものです。
 その他、金融持株会社について、事業基準を満たすとする幾つかの改正がなされています。
 適用は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度からです。





H30.1.18
平成30年度税制改正 消費課税・納税環境整備編

  消費税と納税環境整備に関する主な改正項目を概観してみます。

●消費税について
 消費税に関しては、個別企業の課税実務に大きな影響を及ぼす改正はありませんでした。改正は補完的なものです。

@消費税における長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等について延払基準により資産の譲渡等の対価の額を計算する選択制度は廃止されます。但し、経過措置が講じられています。

A簡易課税制度について、軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業者を第2種事業とし、そのみなし仕入率を80%(現行:70%)とする。
 適用は、平成31年10月1日を含む課税期間からです。

B輸入に係る消費税の脱税犯に係る罰金刑の上限について、脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍(現行:脱税額)に引き上げる。
適用は、法律の公布日から起算して10日を経過した日以後の違反行為からです。

C外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充です。具体的には、「一般物品」と「消耗品」の合計で下限額の要件(5,000円以上)等を満たす場合には、外国人旅行者向けの消費税の免税販売を認める。
 適用は、平成30年7月1日以後に行われる課税資産の譲渡等からです。

●納税環境整備について
 改正の中心は、申告手続の電子化促進のための環境整備です。
 大法人の法人税、地方法人税、消費税、法人住民税及び法人事業税の電子申告の義務化です。申告書は、確定申告書、中間申告書、修正申告書が対象で、消費税においては還付申告書も含みます。
 上記の大法人とは内国法人のうち事業年度開始日の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社をいいます。
なお、消費税については、国及び地方公共団体も含みます。
 適用は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度からで、消費税に関しては、同日以後に開始する課税期間からです。
 なお、上記申告手続の電子化に伴って、法人税等の申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止するなど幾つかの環境整備がなされています。





H30.1.17
平成30年度税制改正 法人課税編2

 今回は、競争力強化のための税制措置を中心にその他の改正項目についても概観してみます。

●株式を対価とする株式等の譲渡(株式対価TOB)に係る譲渡損益課税の繰延べ
 現行の税制では、被買収会社の株主が買収会社の自社株式を対価とする買収に応じ、保有する株式等を買収会社に交付(譲渡)した場合、そこには金銭の交付はなく、実質は株式の交換であり、その交換は株式等の譲渡に該当するため、被買収会社の株主に株式の譲渡損益課税が生じます。
 この税制が、企業外の経営資源、技術等を取り込み、特定の事業の再編等を迅速に進めていく上で弊害となっていました。
 そこで、今回の改正で、特別事業再編(自社株式を対価とした公開買付けなどの任意の株式等の取得)による株式等の交付(譲渡)について、その交付に応じた株主に対する譲渡損益に係る課税を繰延べる、とする特例を創設しています。
 なお、この特例は、産業競争力強化法の特別事業再編計画(仮称)の認定を同法の改正法の施行の日から平成33年3月31日までの間に受けた事業者の株式の取得の対価として、保有する株式等を交付(譲渡)した株式等に適用されます。

●組織再編税制における適格要件の見直し
 スピンオフの実施円滑化のため要件緩和の改正が行われています。具体的には、完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定する、としています。
 また、事業再編を円滑にするため、当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間での従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち従業者従事要件及び事業継続要件を満たす、とする要件緩和の改正も行われています。
 その他、無対価組織再編成についても、適格となる類型の見直し、非適格の場合の処理方法の明確化を掲げています。

●その他の項目
(1)収益の認識基準等については法令上明確化する、(2)返品調整引当金制度及び長期割賦販売における延払基準の選択制度を廃止する。いずれも経過措置が講じられています。





H30.1.16
平成30年度税制改正 法人課税編1

  法人課税は、(1)賃上げ・生産性向上と(2)競争力の強化等に重点を置いた改正内容です。今回は、前者の「所得拡大促進税制の改組」について、その内容を概観し、後者については次回に譲ります。
 改組の内容は、@設立事業年度は対象外とする、A基準年度ベースによる増額の廃止、B計算の基礎となる継続雇用者の範囲を見直し等(当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定の者)した上で、大企業と中小企業とで、要件及税額控除に差異を設けています。
 適用は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度です。
●大企業の適用要件と税額控除
 適用要件は、@平均給与等支給額が対前年度比3%以上の増加、かつ、A国内設備投資額が当期の減価償却費の9割以上であること。
 一方、税額控除は、法人税額の20%を限度として、@給与等支給額の対前年度増加額の15%、さらに、当期教育訓練費の増加額が前期・前々期の教育訓練費の平均1.2倍を満たす場合には、控除率を5%上乗せし、20%とする。
 なお、3年間(上記適用期間)の措置として、前年度の所得を上回っているにもかかわらず、@当期の平均給与等支給額が前年事業年度の平均給与等支給額を超えていない、かつ、A国内設備投資が当期償却費の1割の金額を超えていない場合には、研究開発税制その他一定の税額控除の規定を適用しないと、としています。
 なお、大企業とは、中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く)又は農業協同組合等以外の法人です。
●中小企業の適用要件と税額控除
 適用要件は、平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上の増加であること。
 一方、税額控除は、法人税額の20%を限度として、@給与等支給総額の対前年度増加額の15%、Aさらに、平均給与等支給額が対前年度2.5%増加し、かつ、教育訓練費増加(前年の1.1倍)等の要件を満たす場合には、控除率を10%上乗せし、25%とする。
 なお、教育訓練等(大企業・中小企業共通)とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための一定の費用です。





H30.1.15
平成30年度税制改正 資産課税編2

 今回は、特定一般社団法人等を中心にその他の主な改正項目を概観してみます。

●特定一般社団法人等への相続税の課税
 当該法人等の役員(理事に限る。以下同じ)である者(相続開始5年以内のいずれかの時において当該法人等の役員であった者を含む)が死亡した場合には、当該法人等が当該法人等の財産を同族役員(被相続人も含む)の数で等分した額を当該被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該法人等に相続税(既に課された贈与税額を控除)を課税する。
 なお、(1)特定一般社団法人等とは、公益・非利型法人その他の一定の法人以外の一般社団・財団法人で、次のいずれかの要件を満たす一般社団法人等です。@相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超えること。A相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。
 (2)同族役員とは、当該法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係にある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)を言います。
 この改正は、平成30年4月1日以後の当該法人等の役員の死亡に係る相続税について適用されます。
 但し、同日前に設立された当該法人等については、平成33年4月1日以後の当該法人等の役員の死亡に係る相続税について適用され、平成30年3月31日以前の期間については上記(2)Aの2分の1を超える期間に該当しない、となっています。
 しかし、平成30年4月1日から同族理事を2分の1未満に見直しておく必要があるかと思われます。

●その他の改正項目
 (1)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、@貸付けられた生産緑地その他一定の農地の貸付にも納税を猶予する。また、A三大都市圏の特定市以外の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行:20年)とする等幾つかあります。
 また、(2)相続税の申告書の添付書類については、戸籍謄本のコピー、法定相続情報一覧図の写しでもよくなります。
 前者の適用は、都市農地の貸借円滑化に関する法の施行の日以後、後者の適用は、平成30年4月1日以後に提出する申告書からとなっています。





H30.1.12
平成30年度税制改正
資産課税編1


 先ず、事業承継税制と小規模宅地等の特例の改正について、以下その内容を概観してみます。その他は次回に譲ります。

●事業承継税制の特例の創設
 現行の事業承継税制(非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予)に加え特例措置を創設しました。その内容は次のとおりです。
(1)適用要件の緩和
@全株式が納税猶予の対象となる。A猶予割合100%。B雇用要件は弾力化され、5年後に経営の悪化等で平均8割の要件を満たさなくなっても、一定の要件を充足すれば納税猶予の期限は確定しない。C代表者以外の者からの株式贈与も対象とする。D承継者が贈与者の推定相続人以外の者でも一定の要件を満たせば相続時精算課税の適用を受けることができる。E承継人は最大3人まで可、その全員が代表権をもつ。
(2)環境変化に対応した負担軽減
 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、5年経過後に非上場株式の譲渡、合併により消滅、又は解散を余儀なくされた場合には、その時の株式を相続税評価額で再評価して贈与税額等(贈与、相続、遺贈を含む)を計算し、当初の猶予税額を下回る場合には、その差額を、免除する(譲渡、合併の場合には制限あり)。
 この特例適用は、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間の贈与等です。しかし、適用可否の需要な点は、平成30年4月1日から平成35年3月31日の5年間に一定の承継計画を都道府県に提出、かつ、経営承継円滑化法の認定を受けていることが前提となっていることです。

●小規模宅地等の特例の見直し
(1)持ち家に住んでいない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次の者を除外する。
 @相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者の同族会社等が有する国内にある家屋に居住したことがある者。A相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有したことがある者。
(2)貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業に供しているものを除く)を除外する。
 適用は平成30年4月1日以降の相続又は遺贈からです。なお、(2)は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等には適用されません。






H30.1.11
平成30年度税制改正
個人所得課税編

 平成29年12月14日、平成30年度税制改正大綱が発表されました。先ず、個人所得課税から主な改正内容を概観してみます。なお、これらの改正は、平成32年分以後の所得税からの適用となっています。

●給与所得控除等
 次の見直しがなされています。
(1)控除額を一律10万円引き下げる。(2)給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850万円、その上限額を195万円に引き下げる。
 また、特定支出控除の範囲も、次のような見直しがなされています。
(1)職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを加える。(2)単身赴任者の帰宅旅費1月4往復の制限を撤廃する等。

●公的年金等控除
 次の見直しが行われています。
(1)控除額を一律10万円引き下げる。(2)公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円を上限とする。(3)公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、上記(1)または(2)の見直し後の控除額からさらに一律10万円、2,000万円を超えると一律20万円、それぞれ引き下げる。

●基礎控除
 次の見直しがなされています。
(1)控除額を一律10万円引き上げる。(2)合計所得金額2,400万円を超える個人については、その合計所得金額に応じて逓減し、2,500万円を超えると適用できないこととする。

●所得金額調整控除
 この控除は、@給与等の収入金額が850万円を超える場合であっても、22歳以下の扶養親族や特別障害者控除の対象者が同一生計にいる場合には負担増とならないように、またA給与等と公的年金等の両方の収入がある場合、それぞれの所得計算の段階で控除額が10万円引き下げられると計20万円の引き下げとなり負担増となる、これらを調整するため新たに設けられた控除です。

●青色申告特別控除
 この控除は、55万円に引き下げられますが、次の追加要件を満たすことで現行の65万円控除が受けられます。
(1)電子帳簿の作成及び保存、又は
(2)所得税の確定申告書を電子申告していること。






H30.1.10
目的税と独身税騒ぎ

ちょっとだけ話題になった独身税
 ある市と財務省の意見交換会で出た「独身税」という発想が、「けしからん」とネット上で炎上しました。意見交換中の「子育て世帯は税負担が大変だから、独身者にお願いする事はできないですかね」「なかなか難しいですね」、という会話の一幕だったのですが、「独身者からお金をとったらますます結婚から遠ざかって少子高齢化が進み、結果さらにお金が集まらなくなる」という理性的な批判から「子育て世代が独身からカネをむしり取るのか」といった感情的な意見まで、様々な声が寄せられたようです。

自治体で税を新しく作る事ができます
 地方自治体は、地方税法に定める税目(法定税)以外に、条例によって税を新設する事ができます。「法定外税」と言われるものですが、石油価格調整税や、遊漁税、産業廃棄物税等、地方自治体が独自に制定しているものは意外と多くあります。
 最近で言うと国内外から大量の観光客がやってくる京都市で有識者委員会が宿泊税を導入すべきだとの答申を出しています。
 制定した税金は市の予算に組み込まれ、観光を支える環境整備や観光振興施策の源泉として使用される見込みです。
 このように「何かの目的の財源に使用する」税を目的税と言います。

独身税が目的税だったら?
騒動の発端である会話をネット上の字面だけで捉えたら「子育て世代のために独身者が税を払って」と聞こえて、確かに批判も多くなるでしょう。例えば自治体が「日本一既婚率が高い市にしよう!」と婚活施策を充実させて、その支援が目的の独身税であったならば、ネットが炎上するほどは批判が出なかったかもしれませんね。
 なお、実際にブルガリアでは独身税が存在した時期があります。1968年から89年まで独身税を導入していたものの、出生率は逆に低下して、成果を挙げているとは言えないものでした。

実際のハードルも高い
 独身のみへの課税には懲罰的な意味合いも含まれることが懸念されるため、憲法の「婚姻の自由」を侵害する可能性もあります。仮に地方自治体が法定外税の制定決議を行っても、総務大臣や地方財政審議会の同意が無ければ制定できないため、独身税は「なかなか難しいですね」という事になります。






H30.1.9
難解な条文
定期同額給与の範囲等

  役員給与に関しては、原則として、「当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの(定期同額給与)」が、法人税法上損金の額に算入されます。
  また、給与の改定があった場合には、改定前後の各支給時期における支給額が同額であることも要件になっていますが、その範囲を定めている条文をどのように読むかが実務上のポイントのように思います。

給与改定があった場合の条文
 その条文は次のとおりです。
「当該事業年度開始の日」(A)又は「給与改定前の最後の支給時期の翌日」(B)から「給与改定後の最初の支給時期の前日」(C)又は「当該事業年度終了の日」(D)までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの、です(A、B、C、Dは便宜)。
 条文が「A又はBのC又はD」の場合、その読み方としては、たすき掛けに読むのが通例だそうです。そのように読むと次のような類型になります。
@ AからC:事業年度開始の日から改定後の最初の支給時期の前日
A AからD:事業年度開始の日から事業年度終了の日
B BからC:給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日
C BからD:給与改定前の最後の支給時期の翌日から事業年度終了の日
しかし、選択肢としてAとBは本条文の趣旨からして採用できないように思います。 
  なお、別の読み方として、「A又はBのC又はD」は、「A又はBにそれぞれ対応するC又はD」という意味で用いられることがあり、この場合には、「AのC」と「BのD」とのいずれかという意味であるとしています。読み方としては、後者に賛成します。

事例による条文の当てはめ
 3月決算法人、給与支給日毎月25日、改定前支給額100、給与改定の総会決議等5月27日、改定後支給額200である場合の事例で検討しています。
・事業年度開始の日(A)から改定後の最初の支給時期の前日(C):4月1日から6月24日⇒4月25日100、5月25日100
・改定前の最後の支給時期の翌日(B)から事業年度終了の日(D):5月26日から翌年3月31⇒6月25日200、7月25日200・・3月25日200
 事例の場合、改定前後の各支給時期における支給額が同額になります






H30.1.5
中小企業の賃上げ動向

 経済産業省より平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。この調査は大企業と中小企業とを分けて調査され、大企業は2,001社中364社が回答、中小企業・小規模業者30,000社のうち8,310社が回答しました。

中小企業7割近くが積極的に賃上げを実施
 平成29年度に常用労働者の賃上げを実施した大企業は89.7%(前年度90.1%)、正社員の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者は66.1%(前年度59.0%)となりました。前年と比較すると中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。

賃上げをする理由・しない理由
 中小企業・小規模事業者が賃上げを実施した理由についてベスト5は次の通りです。
@人材の採用・従業員の引き留めの必要性
 (49.2%)
A業績の回復・向上(34.3%)
B他社の賃金動向(21.6%)
C最低賃金引き上げの為(11.4%)
D業績連動型賃金制度のルールに従った(9.1%)
 一方で賃金を引き上げていない理由としては「業績回復、向上が不十分」72.6%が最も多く、賃上げを実施していない企業は業績が低迷している事がうかがえます。
 賃上げ額は、正社員1人当たり平均賃金の引き上げを実施した企業での年額をみると100,000円以上が最も多く、従業員規模が小さい企業ほど引き上げ額は大きくなる傾向にあります。引き上げ率は1%〜2%が最も多く、こちらも従業員規模が小さいほど引き上げ率が高くなっています。

月別賃金引き上げ方法等
 引き上げの方法は定期昇給時に上げた企業が約半数と最も多く、賃金表を含む賃金規定を採っている企業は61.0%でした。
 人員計画については人手不足を感じている企業は66.4%であり、正社員の非管理職74.5%、管理職29.1%が不足していると答えています。
 採用方法はハローワークが最も多く78.7%です。次いで従業員や知人の紹介、36.9%、求人サイト32.9%と続いています。