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30.11.30
H29年改正をおさらい
医療費控除いろいろ



提出書類等が変わった医療費控除
 平成29年の確定申告から、医療費控除の適用に書面提出の場合でも「医療費控除の明細書」を提出すれば、領収書の提出が不要となりました。また「医療費通知」の添付でも申告を受け付けるようになっています。さらに医療費控除のミニ版とも言える「セルフメディケーション税制」も開始されました。各種注意点を挙げてみましょう。

「医療費通知」の利用に注意
 保険組合等から送られてくる「医療費通知」、もしくは「医療費のお知らせ」と書いてある紙ですが、@被保険者等の氏名A療養を受けた年月B療養を受けた者C療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称D被保険者等が支払った医療費の額E保険者等の名称の全てが記載してある場合、申告書に添付する事により確定申告で医療費控除が受けられます。なお、医療費通知だけで医療費控除の内容を全て補完できる場合は内容記載の領収書等の保存義務はありません。
ただ、医療費通知は年末11月・12月の医療費について記載がないケースが多いようです。また、自費診療等の場合は医療費通知に記載はありません。よって医療費通知単体で控除申告する事は難しい年もあるでしょう。未記載の部分については「医療費控除の明細書」の提出が必要となります。併せて明細書に記載した内容の領収書は申告期限等から5年間は保存する必要があるので注意しましょう。

セルフメディケーション税制の注意点
 セルフメディケーション税制は、市販されている中で「スイッチ OTC 医薬品」に該当する医薬品を年間1万2千円以上購入している場合、最大10万円までの範囲で所得控除が受けられる制度です。つまり最大8万8千円所得控除が受けられる、医療費控除のミニ版とも言える制度です。
 ただし、この控除を受けるためにはセルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っているという証明が必要になります。一定の取組とは、健康診断や予防接種を受けているかどうかです。証明する書類が必要となりますので、健診結果や予防接種の領収書等はなくさないようにしましょう。







H30.11.29
GAFA課税逃れへの包囲網と
米国の不協調


GAFA(ガーファ)への課税
2018年の新語・流行語大賞にNo.06「GAFA(ガーファ)」がノミネートされました。GAFAとは、Google、Apple、Facebook、Amazonのことで、IT(情報技術)の四大巨頭です。
税の世界でGAFAは、「低課税国に利益を移して“課税逃れ”」と認識されています。

EU、英国は「デジタルサービス課税」
 2018年3月21日欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会はIT分野の国際的な巨人企業を主な対象とする「デジタル課税」の導入を加盟国に提案しました。
 英国のハモンド財務相は29日の予算方針演説で、大手IT企業を対象に、英国の消費者向けのデジタル事業で得た収入に課税する「デジタルサービス税」を2020年4月から導入すると発表しました。
日本の政府税制調査会も11月7日に開いた総会で、多国籍企業の課税逃れを防止する対策について議論し、英国政府のデジタルサービス課税に関連し、国内でも検討の加速を求める意見が出され、年明けに総会を再開することになりました。

日本でのアマゾン課税問題
アマゾン・ドット・コムの関連会社が、東京国税局の税務調査を受け、日本国内の事業をめぐり、2005年12月期までの3年間について、140億円の追徴処分を受けたことがあります。この時は、アマゾン側は不服として、日米の二国間協議に申請し、結局、ほとんどが課税されずに決着しました。

BEPS行動計画での課税包囲網
 グローバル企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用して節税し税負担を軽減している問題に対し、OECD租税委員会は、2012年6月より「税源浸食と利益移転」(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に有効に対処するためのプロジェクトを立ち上げ、行動計画を策定しています。
日本を含む67の国・地域(米国不参加)は、2017年6月7日、OECDがパリで主催した署名式典において、「BEPS防止を目指した租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」に署名しました。この署名により、本条約の署名国間では、二国間租税条約を改訂することなく、多国籍企業によるBEPSに対して防止措置を講じることができることとなっています。日本でのかつてのアマゾンの課税問題も、今後は逃れられなくなる包囲網が出来上がってきています。






H30.11.28
目標管理で業績管理

今日の経営では、「目標管理制度」が 主要な「業績管理」の手段として認識されていますが、20世紀に入る前は「業績管理」は財務会計・管理会計によってなされると考えられていたようです。

「業績管理」の本質的意義
業績を管理するには、経営努力の成果を「財務会計」や「管理会計」により、経済価値を数値で示し、業績の高さを測定することが必要不可欠ですが、「業績管理」の本質は「組織と社員一人ひとりが与えられた役割・責任・成果責任、または期待貢献に応じて目標を分担し、活力をもって達成すること」をマネジメントする点にあります。
 すなわち、「目標管理制度」によって巧みなマネジメントを行うことが即「業績管理」となっており、一方「財務会計」「管理会計」はそれを経済価値で評価する主要な手段という位置づけになり、目標管理制度の運用では目標達成基準や成果測定でしばしば活用されます。
 このように、「目標管理制度」は「人・物・金・情報」を含む経営全般を対象とする「業績管理制度」ということが出来ます。

「業績管理」のポイント
「目標管理で業績管理」を実施するポイントは、社員の「経営戦略目標に基づく主体的・挑戦的活躍を運用プロセス全般で引き出すことにあります。これを運用の始めに位置する「目標設定」のプロセスで示しますと次の諸点がポイントとなります。
@経営計画・経営目標をカスケードダウン(段階的順次細分化)により、組織・チーム目標・個人目標へ的確に配分する、
A役割・職務等級制度とリンクし、役割・成果責任・期待貢献に基づいて目標設定を行う。
Bより挑戦的な目標設定へ誘導するため、「チャレンジ度」を設定する。
C目標設定対象業務の性質に応じた目標達成基準を設定する。

経営者・管理者の留意点
「目標設定」に続く目標達成プロセス・貢献度評価・賃金・昇格・昇進など処遇への反映にも「業績管理」のポイントがありますが、それらのマネジメントの優劣は管理者のファシリテーション能力にあることに留意したいものです。







H30.11.27
戦略家中国のアフリカ経済支援と
租税条約網の拡大


 中国、アフリカに6.6兆円の経済支援を表明
 2018年9月14日、CNNが、「中国の習近平(シーチンピン)国家主席は3日、北京で開催した「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」の場で、アフリカ諸国への支援に総額600億ドル(約6兆6000億円)の資金を拠出すると表明した。・・・中国がFOCACで表明する経済支援はこれまで毎回拡大傾向にあり、前回の15年は12年の3倍に増えていた」と報道しました。
 中国は、アフリカに対し年々経済支援を増やし、その豊富な地下希少資源の開発を狙っています。また同時に、その潜在的な巨大市場を開拓するための中国企業の進出もサポートしています。

中国のアフリカ租税条約網
2018年11月現在、中国は102の国・地域と租税条約を締結しています。対アフリカ諸国では13か国と締結しています。一方、日本は、租税条約を61本71か国・地域と結んでいますが、対アフリカではわずか3か国(エジプト1969年*、ザンビア1971年、南アフリカ1997年)だけです(*は適用開始年)。
日本は20年以上前に南アフリカと締結したことを最後にその後増やしていないのに対し、中国は、近年戦略的に締結国を増やしています。
(注)租税条約は「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と〇〇国政府との間の条約(協定)」であり、二重課税調整や源泉税の軽減・免除で経済支援をするものです。

日本のアフリカ条約網拡大が遅れる理由
日本は、1997年に南アフリカとの租税条約を締結してから、新たにアフリカ諸国との租税条約の締結がなされていません。決して、日本政府がアフリカ諸国を軽視しているわけではありませんが、より経済取引の多い欧米諸国・アジア諸国との新規締結や改訂作業に追われ、限られた人材では結果的に後回しとなっているのが現状です。
 租税条約があるとないとでは、源泉所得税の減免措置が影響しますので、どうしても経済交流の活発度が違ってきます。その点、経済支援を両にらみでアフリカの租税条約網を増やしている中国は、やはり戦略家と言えます。







H30.11.26
103万円パート勤務時間の調整には
今年から適用の改正に注意


例年12月はパートの勤務時間の調整時期
 例年、12月になると、配偶者控除目的の勤務調整により、パートさんの休みが増えて、雇用者側ではその補充等の対応が大変でした。ところが、平成30年の税制改正で、その対応に変化が必要であるということについて、当のパートさん自身が十分に把握できていない状況にあるようです。

平成30年税制改正の配偶者控除・特別控除
(1)配偶者の所得が高ければ考慮不要
これまでは、配偶者控除を受ける人(以後、わかりやすいように“相方”と称します)の所得の多寡には関係なく、働いて所得を得た人(同じく、“本人”とします)の所得が38万円以下(=給与収入にして103万円以下)の場合に、相方が配偶者控除を受けることができました。そのため、この範囲内にパート勤務を抑える人が多かったことから103万円の壁と呼ばれていました。 
平成30年の税制改正では、相方の所得が一定額※以上の場合、そもそも配偶者控除が適用されないこととなっています。これは配偶者控除対象の本人が働いておらず、収入がゼロであっても、適用されません。
※本人の合計所得が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える場合に適用されません。所得が900万円超〜1,000万円以下(給与収入1,120万円〜1,220万円)では26万円か13万円の適用となります。
(2)パートの勤務調整は相方の所得次第
 相方の所得が高ければ、パート勤務の就業時間調整をしても「配偶者控除対策」という意味はないことになります。12月に勤務調整をしないで働き続けても問題はありません。一方で、相方の合計所得が900万円超〜1,000万円の人は、相変わらず、就業時間調整の要望は残るでしょう。

相方の勤務先の家族手当の基準等にも注意
 では12月の勤務調整はどうすればよいのでしょうか? 「相方の合計所得が900万円超〜1,000万円の人は、いままで以上にシミュレーションが必要」としか言えません。 
手取り額の損得で考える場合、@配偶者控除の額、A配偶者特別控除の額(相方の所得と本人の所得により1万円から38万円の控除)、B社会保険料の壁130万円(大企業の場合106万円)も、検討要素となります。また、相方の勤務先に家族手当の所得基準がある場合は、それも大きな検討要素となります。







H30.11.22
留学生と出席率の関係

留学ビザの期限と更新・変更
 外国人の方が日本に滞在するためのビザは、一定の種類を除き、滞在期限が設けられています。そのため、引き続き日本に滞在を希望する場合はビザを更新、あるいはビザの種類を変更することになります。
 留学生はいわゆる留学ビザという勉強のためのビザを持って滞在しているため、教育機関での勉強を続ける場合はこの留学ビザの更新手続きを、就職が決まり就労を開始する場合には就労可能なビザに変更する手続きを行います。この更新や変更の際、入国管理局が審査の判断材料に使用する要素のひとつに、「相当性」というものがあります。

更新・変更の審査と「相当性」
 そもそもビザの更新や変更については、「法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可すること」とされており、この「相当性」があるか否かについては外国人の方の滞在状況、滞在の必要性など、様々な事項を総合的に判断して決定されます。代表的な例としては、下記のような事項が挙げられます。
 @素行が不良でないこと
 A独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
 B雇用・労働条件が適正であること
 C納税義務を履行していること
 D入管法に定める届出等の義務を履行していること

出席率は素行を示す重要なポイント
 留学生にとって、学校の出席率は素行の状態を示す重要なポイントです。留学生の本分は通学し勉強することですので、出席率が低い場合、素行が良好とは認められません。教育機関の種別にもよりますが、一般的には70%台を下回ってくると問題になるケースが増えてきます。
 更新だけでなく、変更でもこの「相当性」が審査の要素になっています。そのため、たとえば企業に内定した留学生の出席率が著しく低かった場合、就労ビザの変更が不許可になってしまう可能性もあるのです。出席率は更新や変更の時期に慌てても急には改善できません。留学生の採用を予定している場合は、事業主としても最後まで学業をおろそかにしないことを伝えていきたいですね。





H30.11.21
電子的控除証明書とQRコード付控除証明書



平成30年分からスタートするけど……

 今年の確定申告制度は個人の申告にとっては手続き的な改革が複数あります。スマホ向けの確定申告作成コーナーやQRコード付納付書、そして生命保険料等の電子的控除証明書とQRコード付控除証明書などです。ただ、この生命保険料等の電子的控除証明書とQRコード付控除証明書は、今年はほとんど使われる見込みはないでしょう。

申告の方法により使うものが異なる

 まず、生命保険会社のサイト等で、個人の生命保険料控除証明書の電子データを受け取ります。これが「電子的控除証明書」となり、確定申告をe-Taxで申告する場合に、そのまま添付書類としてオンライン送信が可能です。ただ、e-Taxの場合は以前から記載内容を入力して送信することで証明書等の提出は省略可能だったわけですから、この処理は必要ありません。
 書面での提出や年末調整に使うべく、「QRコード付控除証明書」を出すようになるのですが、ここにはもうひと手間必要で、国税庁ホームページの「QRコード付控除証明書等作成システム」に、生命保険会社から受け取った「電子的控除証明書」のデータを送る事によって作成をして、印刷する必要があります。

これからさらに使いやすく

 今までのように生命保険会社から送られてくるハガキと同様の扱いができるのが「QRコード付控除証明書」ですが、自分で印刷するわけですから、手間がかかります。ですがハガキを紛失してしまった時などは、再発行に時間がかからずにできて良いかもしれません。むしろ現状はこのくらいにしか使いどころがないと言えるでしょう。
 ただ、これが最終的な形ではありません。税制調査会の「税務手続きの電子化に向けた具体的取組」によると、2020年には「電子的証明書」データを個人がそのまま会社に送り、年末調整の資料提出とする事ができるようなシステムになる予定です。また、源泉徴収票をスマホのカメラで撮影して、自動で確定申告書等作成コーナーに反映できるような技術も検討中との事。
 税の分野は着実に電子化へと進んでいるようです。



H30.11.20
新たな定款認証制度がスタート

暴力団等への対策と新たな定款認証制度
 暴力団対策法や各自治体での暴力団排除条例など、暴力団に対する規制は年々厳しくなっていますが、今後は株式会社等を設立する際に行う定款認証の場面でも取り締まりを強化するようです。

「原始定款」と公証人の「認証」
 会社を新規に設立する際、まず必要になるのが「定款」と呼ばれる規則です。事業内容、商号、本店所在地、役員の数など、会社の根本的な事項を定めていることから、「会社の憲法」と呼ばれることもあり、設立時に作成する定款を特に「原始定款」と言います。株式会社や一般社団法人等、一部の法人の原始定款については、ただ作成するだけでは足りず、公証役場で公証人から正当な手続きにより定款が作成されたことの証明を受けなければなりません。これが定款の「認証」という制度です。
 この認証制度について、平成30年11月30日から改正公証人法施行規則が施行され、公証人に定款認証を依頼(嘱託)する際、設立する株式会社等の実質的な支配者になる者が、暴力団員等に該当するか否かを申告することが必要になりました。

改正の内容と対象法人
 今回の改正は、法人の実質的支配者、つまり、議決権の保有割合等により実質的に法人の事業経営を支配できる株主などを把握し、暴力団や国際テロリストによるマネーロンダリング等法人の不正使用を抑止することを目的とした措置です。
 申告された実質的支配者が、暴力団員等に該当する恐れがあると認められた場合には、公証人に対し必要な説明を求められることになります。申告がない場合、申告があっても設立行為に違法性があるとされた場合には、定款の認証を受けることができません。
 この改正の対象となる法人は、株式会社、一般社団法人、一般財団法人の3種類です。定款の認証には電子認証、書面による認証とありますが、どちらの場合も新たな認証制度の対象となりますので、暴力団員等に該当するか否かの申告が必要になります。





H30.11.19
目標管理の運用方法

 目標管理制度の年間運用方法を俯瞰的に解説しますので、効果的な運用に活用して頂きたいと思います。

運用ステップとポイント
 目標管理制度の一般的運用ステップと、各ステップのポイントは次の通りです。

ステップ
 各ステップのポイント
目標設定
 ・年度経営目標達成を図る的確、かつ挑戦的な目標の設定
達成プロセス
 ・目標達成要因の把握と活用 
 ・障害の把握と排除
 ・体験を通じた人材育成
貢献度評価とフィードバック
 ・経営貢献度の的確・公正な評価
 ・相互フィードバックで納得性確保と相互信頼の形成
処遇反映
 ・評価に基づく賃金反映・昇格・昇進


効果的な運用を図る留意点
 上記の各ステップのポイントをクリアするための留意点について述べます。

@目標設定
 ・年度経営目標から、各部署の組織目標・プロジェクト目標、個人目標への的確、かつ挑戦的なカスケードダウン
 ・職種の特性に応じた目標達成基準の設定
A達成プロセス
 ・達成プロセスで現れる多様な目標達成要因・障害の発見・対処に当たって、担当者が自らの得意技を生かしたり、チームワークで問題解決を図ったりする修練の現場であることに注目し、絶好の能力開発・人材育成の機会として活用
B貢献度評価とフィードバック
 ・公正性・納得性の高い評価を行うための評価者訓練
 ・中間評価によるモチベーション向上
 ・「相互フィードバック評価」の活用による納得性向上、相互信頼の強化
C処遇反映
 ・処遇の基礎となる職種に応じた賃金体系・昇給インセンティブの整備
 ・昇格・昇進基準の整備
 ・経営戦略に伴う人材育成・活用計画の整備

 各ステップは、相乗作用を持ちますから、一つのステップが失敗すれば、関係するステップに不具合が生じます。全てを完全に実施する心構えで取り組みましょう。





H30.11.16
ついに決別!
保険料控除申告書・配偶者控除等申告書

年末調整の時期になりました
 年末調整とは、1月から源泉徴収で払ってきた所得税額と、年収が確定した時点で再計算した所得税額との過不足を精算する手続きです。例えば生命保険料の個人での支払いがあったり、年の途中で扶養する親族が増えたりした場合に、年末調整で新たに控除を適用してもらう事で、払い過ぎた所得税を戻してもらう処理です。

今年は書類に異変あり?
 平成29年までは「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」という長い名称だった書類の内容が2枚に分かれ「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」になりました。今までの書類は記載スペースがとても小さかったのですが、2枚になった事により、とても書きやすくなった印象があります。しかしながら、ただ書きやすくなっただけでなく、従業員が配偶者控除を受ける場合、提出すべき書類の数も増えたので注意が必要です。

配偶者控除の適用には提出が必要!
 今までは「扶養控除等申告書」に配偶者を書けば、それだけで配偶者控除の適用が受けられましたが、今年からは「配偶者控除等申告書」の提出が必要となります。
 これは、配偶者の所得金額だけでなく、控除を受ける本人の所得金額によって、配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が変動するようになったからです。「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、本人の所得や配偶者の所得について計算する欄が設けられています。

エクセルシートがお勧めです
 「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、本人の所得や配偶者の所得を計算しなければならないため、裏面の所得の速算表で算出する事になるでしょう。また、今までは「扶養控除等申告書」のみで対応していた配偶者控除の申請が、もう1枚必要になったので、会社の経理担当者は従業員に説明をする機会が多くなるはずです。
 そんな経理担当者の一助になりそうなのが、国税庁が配布しているエクセル版の配偶者控除等申告書(下記ホームページ)です。自動で給与所得控除と控除額の算出をしてくれるので、経理担当者への計算・入力の質問を減らしてくれるかもしれません。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71_nyuryoku.htm







H30.11.15
改正無視で差し支えない

平成13年の二つの改正
 平成13年に組織再編税制が導入されました。そのとき、法人税法には、適格分割等による資産移転が期中にあるときには2ヶ月以内の税務署への届け出を要件に「期中損金経理」により償却計算をしてもよいとの規定が置かれました。
 この規定の前提として、同じ平成13年に、減価償却費の規定の改正があり、それまで、「内国法人の減価償却資産につき」と表現されていた部分が「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき」と改正されています。所得税法も同じです。

素直な文理解釈では
 この二つの改正条文を素直に読むと、期末に存在しない資産については減価償却できない、しかし、適格分割・適格現物出資・適格現物分配が行われるのは期中なのに、償却計算ができないのは実務的に不都合、従って、特別に期中損金経理で償却費の計上を許す、と読むことになりそうです。

解釈通達での解釈の仕方
 ところが、この改正の直後、所得税の通達で「年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費の額については譲渡所得の取得費に含めないで不動産所得等の必要経費に算入しても差し支えない」としました。
 法人税でも当時、期中譲渡資産に係る圧縮記帳では譲渡時点までの償却費の計上をしても差し支えない、との情報を質疑応答事例として公開しました。
 また、グループ法人税制についての平成22年10月6日付公開情報でも、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。

通達等の解釈は理解可能か
 公開情報の文脈でわかるのは、適格分割等に係る「期中損金経理」の規定は、償却を可能にする有利規定なのではなく、2ヶ月以内の届け出をしない限り償却を認めない、という制限規定だと、ということです。
 国税庁は「通達」を法令解釈通達と、公開情報も法令解釈情報と表記しています。素直に読むだけでは反対の解釈になってしまいます。不利規定を置く趣旨と期中譲渡は「差し支えない」の間の解釈に一貫性があるとするのは、相当に困難です。





H30.11.14

住宅公的年金制度 今後の動向

高齢者人口増加と社会保障費の増大
 総務省によると65歳を超える高齢者の人口は3,557万人(2018年9月時点)。前年から44万人増加しています。総人口に占める高齢者の割合は28.1%で70歳以上が占める割合は初めて2割を突破しました。高齢者人口は2000年の2,204万人から18年間で6割も増加しています。それに伴い社会保障費が増大し18年度は約32兆円、国家予算の3割に当たります。今後も少子高齢化は進みます。今までのように「多くの現役世代が高齢者の保障を支える」賦課方式は継続が難しくなるので見直しをする事になるでしょう。

受給開始年齢は引き上げか
 1942年に現在の公的年金制度の基礎となる労働者年金保険法ができた時は受給開始年齢は55歳でした。何度かの制度見直しで86年に国民年金、厚生年金ともに65歳支給開始となりました。しかしそれから30年たち現在では65歳になっても再雇用等で現役を続ける人が増えています。今年の4月には総務省の財政制度審議会で受給開始年齢の68歳への引き上げが提言されています。自民党の総裁選挙討論会では安倍総理が「現在60歳から70歳の間で任意に変動させられる年金の受給開始年齢を70歳以降まで広げる仕組みについて「3年で導入したい」と述べたそうです。生産年齢人口減少を補うにも高齢者に継続就業してもらいたいという事でしょう。

高額所得高齢者に負担の波が来ている
 受給開始年齢の引き上げはすべての高齢者に影響がありますが、特に高額所得高齢者を狙い改定されるケースが目立ちます。8月にも高額療養費の上限引き上げ、介護保険料の自己負担額の引き上げ、年金以外の収入が1,000万円を超える人について公的年金控除の控除額が縮小される見通しもあります。また、給与所得控除が最低220万円認められていましたが195万円に縮小され、適用できる基礎控除も新たに所得制限ができました。
 また、在職老齢年金制度は廃止の方向で検討され、年金がカットされる事がなくなるかもしれません。カットされないのはいいのですが、支給開始が遅くなるならあまり変わりないかなとも思えます。今後の行方が気になるところです。





H30.11.13
相互フィードバック評価基準

「相互フィードバック評価」は、組織目標達成への相互の貢献について良く知っている仲間が、真摯にフィードバックし合うことにより、公正性・納得性の高い評価を行うために実施するものです。ここでは、その評価基準を例示して紹介致しますので評価制度の設計と運用に活用して下さい。

・上位目標の達成に貢献した度合い
ランク・判定基準 点数
S 極めて高い貢献であった。→5
A 高い貢献であった。 → 4
B 貢献した(高いと言えず
 低いとも言えない)。→3
C やや低い貢献に止まった。→2
D 極めて低い貢献しかできなかった。→1

・目標達成に貢献したプロセスの発揮能力・評価基準・評価点数
ランク・判定基準(組織の他のメンバーから指摘が
あった能力発揮行動事実に基づき、等級の標準発揮能力と対比して) 点数


S 上位等級に匹敵する極めて高い発揮能力を示し、目標達成に大きく貢献した。→5
A やや高い発揮能力を示し、目標達成に貢献した。→4
B 標準能力を発揮し、目標達成に貢献した。→ 3
C やや低い能力発揮に止まり、目標達成への貢献が少なかった。→2
D 低い発揮能力に止まり、目標達成に貢献できなかった。→1

・「組織の他のメンバーに対する影響力」の評価判定基準・評価点
ランク・判定基準(組織の他のメンバーから指摘があった行動事実に基づいて) 点数
S 極めて高い影響力を示し、組織の他のメンバーの目標達成意欲・活力向上に大きく貢献した。→5
A 高い影響力を示し、組織の他のメンバーの目標達成意欲・活力向上にやや大きく貢献した。→4
B 組織の他のメンバーに対して、ある程度の影響力を示した。→3
C やや低い影響力の発揮に止まった。→2
D 影響力を発揮することはなかった。→1
・「組織の他のメンバーに対する影響力」の評価判定基準・評価点
ランク・判定基準(組織の他のメンバーから指摘があった行動事実に基づいて) 点数
S 極めて高い影響力を示し、組織の他のメンバーの目標達成意欲・活力向上に大きく貢献した。→5
A 高い影響力を示し、組織の他のメンバーの目標達成意欲・活力向上にやや大きく貢献した。→4
B 組織の他のメンバーに対して、ある程度の影響力を示した。→3
C やや低い影響力の発揮に止まった。→2
D 影響力を発揮することはなかった。→1






H30.11.12
免税復帰届出の提出可能日

選択課税事業者の不適用届出と拘束期間

 インボイス方式の導入により、消費税の免税事業者の多くが課税事業者を選択すると予想されています。課税事業者になった場合、それを取り止めるには、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を免税事業者に戻ろうとする課税期間の前課税期間中に提出しておかなければなりません。ただし、選択課税事業者は、2年間は元の免税事業者に戻れないという拘束期間の定めがあります。

拘束期間の延長の特例

 なお、課税事業者選択期間中に、単価100万円以上の課税仕入資産(調整対象固定資
産)を取得、又は単価1000万円以上の課税仕入資産(高額特定資産)を取得した場合は、その拘束期間は、それらの資産の取得に係る期を含めた3年と、伸びています。

不適用届出の提出のタイミング

 2年縛りでみてみると、課税事業者適用期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、免税事業者への復帰の届出書を提出できない、と定められています。
 提出のタイミングとしての、「2年を経過する日の属する課税期間の初日以後」とは、「2年目の初日以後」なのか「3年目の初日以後」なのか、通常の日本語の解釈としては、分かり難いところです。

「経過する日」と「経過した日」

 免税復帰への届出は、前課税期間中に提出しなければならないことから、「3年目の
初日以後」と解すると、4年目からしか免税復帰とならないので、ここは「2年目の初日以後」と読むべきところと推測されるのですが、それは、「経過する日」という規定に拠っています。「経過する日」と「経過した日」の中間の日は存在せず、両方に重複して該当する日も存在しません。
 経過する日は23時59分60秒で終わり、経過した日は0時0分0秒から始まります。
 3年縛りも同様の規定になっています。

経過日・経過の時

 「経過する日」と「経過した日」の解釈を間違えると、1年間の相違になってしまいますので、「経過日」というようなどちらなのか不明な規定はあってはならないことになります。ちなみに、「経過する日」と「経過した日」の中間としての「経過の時」と
いう23時59分60秒で且つ0時0分0秒を意味する規定は存在します。類似の表記では、「終了の時」があります。



H30.11.9
ふるさと納税
海外居住と納税管理人


ふるさと納税と海外居住の関係
 ふるさと納税が自己負担2,000円で済む寄附の上限金額は、今年の収入・所得・控除によって計算されます。ふるさと納税をすると、翌年6月の住民税が減額される仕組みなのですが、これから年末にかけて海外赴任をされる方は注意が必要です。

来年1月1日に住民税の課税判定
 住民税は原則として1月1日に居住地の市町村で課税されます。1月1日をまたいでおおむね1年以上海外で居住される方には、来年6月からの住民税は課税されない仕組みになっています。つまり、今年ふるさと納税をしていても、来年の住民税が課税されないという事は、ふるさと納税で本来控除される住民税分は、その役割が失われるため、結果的に純粋な寄附として扱われる事になります。

出国時は確定申告が必要
 サラリーマンの方が年の途中に出国し、非居住者となる場合は、勤務先以外の収入がある場合は確定申告が必要となります。また、勤務先のみの収入でも、当年にふるさと納税をしている場合は、非居住者となり、住民税が課税されず控除が効かない場合でも、出国時の確定申告では所得税の寄附金控除が受けられますので、申告書を提出するようにしましょう。

引き続き国内で所得がある場合
 非居住者でも、不動産賃貸等国内で発生する所得(国内源泉所得)がある場合、所得税は課税されます。対して住民税所得割額は課税されないので、ふるさと納税をしても住民税部分の控除は受けられません。
 なお、国内源泉所得がある非居住者の場合は、毎年確定申告をする必要があります。国内に納税管理人を定めて、書類の受け取りや確定申告や所得税の還付・納付、固定資産税の支払等を行ってもらう事になります。

納税管理人を定められなかった場合
 出国の時までに納税管理人を定められなかった時は、国内源泉所得が発生する場合、出国の年は出国前までの申告と、出国後から12月末までの申告をすることになります。1年に2回確定申告をする必要があります。2度手間となるので、納税管理人は出国前に届出を出しておきましょう。






H30.11.8
老後の生活費の目安


老後のお金と平均余命
 日本人の平均寿命は2017年では男性が81.09歳、女性が87.26歳で女性は世界2位、男性は世界3位です。
 老後に必要なお金を平均余命で考えますと60歳時点の平均余命は男性23.72年、女性は28.97年となっていて、定年後の期間の長さの想定が必要になります。
 老後の生活費は総務省の家計調査で高齢夫婦の無職世帯では月約23.5万円かかります。例えば60歳の夫と2歳年下の妻の例をみると夫が83歳で亡くなる23年間で約6,500万円、妻が残されて約7割の生活費で88歳までとして7年間は約1,382万円、両方合わせると約7,900万円程度です。
 上記のように平均寿命までずいぶんとかかると感じますが、人生100年時代となればもっと必要になるでしょう。またこの生活費でレジャーや旅行などを楽しみたい場合、月額34.8万円は必要とされています。

公的年金で賄う分は
 年金の受給額は夫が会社員、妻が専業主婦という今までの厚生労働省のモデル世帯では夫婦で月約22万円です。
 夫の年金受給は昭和36年4月2日以降生まれの方は全額65歳からですが、それ以前に生まれた方は特別支給の老齢厚生年金が生年月日により支給されます。65歳から年金支給される夫が平均寿命で亡くなり妻が夫の年金の4分の3の遺族年金を受けた時、夫婦の年金総額は約6,000万円です。別に医療費や介護費用、リフォーム等予備費も必要ですがここでは計算に入れません。

不足分はどうする?
 以上を差し引きすると2,000万円程度は足りない事になります。預金、退職金、再雇用等で収入を得たりするのが一般的です。
 老後の心配事でよく挙げられるのがお金、健康、生きがいの3つです。定年前の方にとってお金が最大の関心事です。昔より長生きできる時代となって必要額も増えています。支出は住宅ローンの繰り上げ返済、生命保険の見直し、現役時代から支出を減らし貯蓄に回す、その習慣づけが身につけば定年後の支出も抑えられるでしょう。この先の収入の柱は年金であっても、定年後の雇用継続をするか転職しないと60歳時点では年金は出ません。可能なら働いておいて健保や厚生年金に加入すれば年金額が増え健保の給付も受けられます。





H30.11.7
投資促進税制と2分の1簡便償却

リース税額控除とは

 中小企業の設備投資を促進させるために、「中小企業投資促進税制」として、機械や器具備品を新規に取得した場合にその取得価額の30%の特別償却か7%の税額控除のいずれかを選択適用で認めてきました。ただ資金に余裕のない中小企業の場合は新たな設備投資をリースで行う場合が多いため、リースの場合は税額控除だけを認めてきました。これが所謂「リース税額控除」です。

器具備品はダメ

 リース会社も大いに「リース税額控除」を宣伝し進めてきました。その中心となったのは、パソコンサーバーとコピーやプリンターFAXが1台で出来る複合機です。
 ところが平成29年の税制改正でこのパソコンサーバーと複合機が「中小企業投資促進税制」の対象資産から外されました。
 どういうことかと言うと、対象資産から「器具備品」が除外されパソコンサーバーと複合機は「器具備品」ということで除外されたのです。そうすると残るのは「機械装置」だけとなり、製造業以外の業種ではほとんど使えなくなりました。当然30%の特別償却も使えなくなってしまいました。

設備投資はいつ行われるのか?

 中小企業が設備投資を行う時期は、決算間際です。多くの中小企業は利益が出ることが明確になった時点で来期に向け設備投資を行おうとするのです。ところが現在の税制では決算間際に設備投資をしても減価償却が月数按分され1/12しかできず、節税効果が少ないため「投資促進税制」で30%の特別償却や7%の税額控除を認めてきたのだと思います。
 ところが、中小企業が必要とする設備投資は業種業態により様々です。それを行政がこれなら良くてあれはダメ等と口をはさむから「投資促進税制」と銘打っても投資が促進されないのです。

2分の1簡便償却の復活を

 かつて2分の1簡便償却という制度がありました。これは決算間際に購入したどんな資産(建物は除く)でも年間の償却額の半分は償却できるというものです。1998年橋本内閣の時に廃止され一気に景気が冷え込んだことがあります。中小企業の投資を促進するなら2分の1簡便償却の復活が望まれます。



H30.11.6
これからの管理者像


 管理者は所管組織の役割を果たし、組織業績向上を通じて、会社の業績向上に貢献することを使命としています。
 そのマネジメントの優劣は、組織業績に直接的影響を与えますが、そのあり方が世界的に、近年大きな変化を示しております。

いままでの管理者像
 これまでの管理者は「適時、的確な指揮・命令によって、部下を統率し、組織業績の向上を図ること」が求められてきました。
したがって、「指揮命令の巧みさ」や「統率力」が管理者の能力を評価する重要なポイントとなってきたと言えましょう。

これからのマネジメントのありかた
 近年、産業社会で「人は、命令に従って働くこと」を嫌い、「自らの意思に基づいて働くこと」で働きがい・働く満足が得られる、と言う認識が高まっており、著名な経営学者・心理学者もそれを支持しています。
 したがって、マネジメントのありかたも「指揮命令型」ではなく、「部下一人ひとりの主体性・挑戦意欲を引き出し、さらにそれをチームワークの発揮につなげるファシリテーション重視型」へ移行し、その結果として、業務プロセスでの能力発揮・業績向上に帰結させるマネジメントのありかたが重視され、管理者の能力評価のポイントとなりつつあると言えましょう。

働き方改革とマネジメント
 「働き方改革」の面からも、世界的消費財メーカーU社は「社員を信じる」ことが、「働く時間と場所を自由に選べる制度」を支え、同時に社員一人ひとり自主的な能力発揮に伴う働きがいと業績向上につながることを実証しています。
 これは、「業績は結果で評価し、プロセスでの能力発揮は社員の自主性に任せるマネジメント」の効果性を示し、「これからのマネジメントのありかた」が「働き方改革」にも有用であることを示しております。

経営者・管理者の留意点
 このような「これからのマネジメントのありかた」は、目標管理制度の運用においても、重視されつつあります。
 すなわち、目標設定・達成プロセスの問題解決・貢献度評価において行う、ファシリテーションによる「社員の自主性・挑戦意欲の喚起」は、「これからのマネジメント」を遂行することにほかなりません。





H30.11.5
平成29年度個別労働紛争 解決制度調査結果


個別労働紛争解決制度とは

 企業と労働者との間の労働条件や職場環境をめぐるトラブルを防止・解決する制度の一つとして「個別労働紛争解決制度」があります。この制度には3つの方法(@総合労働相談、Aあっせん、B助言、指導)があります。@は労働局、労基署などに設置される総合労働相談コーナーで専門の相談員が相談に応じるもの、Aは紛争調整委員会(労働局)のあっせん委員が間に入り解決を図るもの、Bは労働局長から紛争当事者に対して解決の方向性を示すものです。

平成29年度調査結果

 このほど厚労省から「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されましたが、@ABとも一位は「職場のいじめ、嫌がらせ」に関するものがトップとなっています。「いじめ、嫌がらせ」は@の総合労働相談で6年連続トップとなっています。また、総合労働相談の件数は10年連続で100万件を超えています。
 総合労働相談に持ち込まれた相談のうち労働基準法違反の疑いがあるものが19万件あり、これらは労働基準監督署へ取次ぎされ行政指導が行われる事項となるので単なる相談の域は超えています。
 最近は解雇問題は半減し、雇止め問題は微増しています。AのあっせんやBの助言、指導のいずれも解雇に関する問題は平成20年をみても半分程度に減少しています。このところの雇用状況が改善している事と関係あるかもしれません。一方で雇止めは微増していますが、平成30年4月から労働契約法の改正で期間雇用者の継続雇用が5年を超えると無期雇用転換を申し込む権利を持つため、その前に解除をと考えた企業もあったかもしれません。

対策や素早い対処が大事 

 労使間のトラブル内容ではセクハラ、パワハラ、モラハラ等のハラスメントがキーワードとなっていて、問題が表面化していなくとも問題の芽がある場合があります。そのような事がないか日頃から注意が必要ですが、もし起きてしまった時は速やかな対応が求められるでしょう。



H30.11.2
来年には法規制?
ふるさと納税をめぐる動き


年末の恒例になりつつあるふるさと納税
 そろそろ年末の足音も聞こえてきました。来年は消費税増税・軽減税率導入・年号改正等、身近な税や制度について大きく変更がある予定となっています。
 その中の1つに「ふるさと納税」があります。ここ数年、大きなうねりとなってすでに国民の認知度は高くなっていますが、過剰な返礼品競争の末、ついには総務省が「来年より法規制をする」という方針を示しました。

今は「高すぎるもの」も見逃されている
 平成30年4月には、ふるさと納税は「返礼品の価値は寄附額の3割にしてください」という総務省の「要請」が出ていますが、法的拘束力がなく、逆に3割以上の返礼率を持つ自治体に人気が集まる結果となりました。総務省は調査を踏まえて「見直しが必要である自治体」を公表したのですが、「それだけお得な自治体」ということで逆に、拍車を掛けたという事は否めません。何故発表したのか疑問です。

来年法規制……という事は今年は?
 平成30年9月、総務省はふるさと納税の返礼品について、規定外のものを扱った自治体に対し、ふるさと納税制度から外す事も視野に入れ、来年度から制度の見直しを行うという発表をしました。
 これにより、来年4月以降はより一層ふるさと納税の規制が進むとして、現在駆け込み需要が過熱しています。ある自治体では、返礼率が高い上に使い勝手が良い「Amazonギフト券」を総務省の目に付きにくい土日祝日のみサイトに出す等、ゲリラ戦術の様相も呈しています。

配偶者特別控除絡みで上限にはご注意を!
 ふるさと納税は自己負担が2,000円で返礼品が貰えるお得な制度ですが、今年の自己負担が2,000円で済む寄附の上限は、今年の収入・所得・控除によって決まります。今年は配偶者特別控除の変更があり、去年と同様の収入・控除ですと控除限度額が下がる方もいらっしゃいます。計算シミュレーション等で確認しましょう。





H30.11.1
不足している40代社員とは


採用数の少なかった時代の影響が
 昨年、ある大手企業の幹部が「40代前半の社員が少ない」とコメントした事が話題になっていたそうですが、40代前半層とは就職氷河期世代に該当します。採用が極端に少ない時期で2018年の大卒求人倍率が1.78倍なのに対し、氷河期の底であった2000年は0.99倍(リクルートワークス調べ)だったそうです。その影響が今も引き続いているという事です。

企業が求める40代とは
 氷河期世代は採用人数が少ないため、出世もし易いと思うかもしれませんが企業の求める40代は例えば20代で経験を積み、リーダー職や係長職を経て30代後半では課長、40代で部長等上級ポストを担える人材で、氷河期世代の40代は採用の対象となりにくいと言われています。

賃金面から見る40代
 政府が主要産業に雇用される労働者について賃金を調査する「賃金構造基本統計調査」は、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別に実態を明らかにする事を目的としていて、毎年6月の状況を調査しています。
 それによれば、2018年6月に公表された賃金動向は2010年から12年、2015年から17年の比較では全年齢平均は31.0万円から31.9万円と増加していますが、40歳から44歳及び45歳から49歳の年長者では5年前の水準に比べて減少しています。また、常用労働者数100人以上の部長、課長級の役職比率をみると5年前より昇進が遅くなっているのですが、部長級、課長級の人数は比率が低下している中でもむしろ増加しています。役職者数の増加は45歳以上の課長級が中心であることから、上級ポストが空かないための待ちの期間が多く発生しており、生涯平社員で終わる社員の増加の可能性もあります。

労働人口を支える40代社員への対応
 バブル期の入社世代に当たる40代後半から団塊ジュニアに当たる40代半ばにかけては人数も多い層です。企業が求める40代にはなっていない層やポスト待ちの層等がモチベーションを持ち続けて活躍してもらうにはフォローやメンテナンスが課題となるでしょう。


会社港区 税理士・会計事務所/税理士法人 大沢会計/ミナトBizマネジメント株式会社/田町・三田