港区 税理士法人 大沢会計
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2007年11月

2007/11/30

H19.11.30

費用計上できる交際費

年末のお歳暮商戦がスタートしているようですが、今年は、食品の賞味期限偽装の問題がクローズアップされたこともあり、例年よりも何を贈るのかを迷うこととなりそうです。

ところで、企業がお得意先にお歳暮を贈った場合、税務上は交際費等に該当することとなりますが、社名入りのカレンダーや手帳等であれば、広告宣伝に要した費用として広告宣伝費に該当することとなります。つまり、税務上の交際費等に該当することなく、一時の損金として費用計上が認められます。

ただし、お得意先に対して、贈答品を贈るほかに、忘年会等で接待をするような場合は、一人当たりの金額が5,000円以下であるか否かが、交際費等に該当するのか否かの判定で重要となってきます。
これは、18年の税制改正で、一定の要件を満たす1人当たり5,000円以下の飲食に要した費用であれば交際費等の範囲から除くことができると規定されたからで、5,000円基準として、企業では管理することが重要となります。

この交際費の5,000円基準の適用を受けるためには、領収書や請求書等からだけではわからない事項である、その会食の席に参加した人数や、接待の相手先の名称・氏名等、また相手先との関係等についても記録し、保存しておくことが必要とされています。
これらの措置に対応するため、経理の担当者はあらかじめ、交際費を使用する際に記入ができるような雛型等を用意しておくことが、後々のトラブルを避ける意味でも重要となってくるでしょう。

H19.11.29

2030年のあるべき雇用労働社会は

厚生労働省が主宰する雇用政策研究会はその報告書骨子をまとめつつあります。現段階で案として明らかになった点を整理してみましょう。

まず、前提としてあるのは、少子化を受けて人口減少が進むこと、そしてそれが本格化するのは2030年であるとのスタンスに立っています。そのため、2030年に向けて今から対策を講じる必要があるとしています。報告案ではあるべき雇用労働社会の姿として、「人材こそ経済社会の発展の礎であるとの基本理念の下、安定の確保とキャリア形成、多様性の尊重、公正の確保といった要件が満たされるような、質の高い労働を提供できる社会の実現を目指す」としています。

具体的な項目としては、(1)安定の確保とキャリア形成、(2)多様性の尊重、(3)公正の確保があげられています。

たとえば、企業間競争における横並び戦略から生じる24時間営業等の長時間営業の必要性の見直しや企業利益の労働者への適正な分配のあり方などについて検討する必要があるとしています。

H19.11.28

会計監査人の監査報酬は9割弱が原案通りで同意

10月(社)日本監査役協会はこのほど、「2007年度における監査役及び監査委員会制度の運用実態調査」結果報告書を公表しました。調査期間は本年7月4日から25日までで、監査役設置会社5,642社、委員会設置会社110社から回答を得ました。

調査は広範に及びますが、ここでは、会社法によって監査役に付与された監査報酬の同意権について見てみます。同意権とは、取締役が決定した会計監査人に係る監査報酬に対して、同意する権限のことで、監査役の同意がなければ、監査報酬の金額は決まりません。

調査時点で同意手続を行った会社は69.3%。このうち、担当取締役等から提案された当初案どおりに同意に至った会社は87.4%、監査役の指摘により調整を行い減額して同意した会社は3.3%、増額した会社は1.6%でした。

報酬の同意に際して、担当取締役等から説明や情報提供があった会社は88.7%、なかった会社は10.7%となっています。

なお、同意権制度については、実態と制度に乖離があるなど、問題点も指摘されました。

H19.11.27

中小公庫がアセアン進出企業の現地法人実態調査結果を公表

中小企業金融公庫は、このほど、東南アジア諸国連合(ASEAN・アセアン)エリア進出企業の現地法人実態調査結果をとりまとめました。

これは、アセアン域内5ヶ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)に進出している同公庫の取引先中小企業の現地法人644社を対象にしたもので、1996年より実施され、今年で12回目となります(回答企業数139社、回収率22%、調査時点6月末)。

今回調査によれば、素材など仕入価格の上昇により、前期に比べ増収となった企業割合は61%(前回73%)、増益となった企業割合は39%(前回51%)とそれぞれ低下しています。国別では、自動車関連に牽引されたタイ、並びに輸出・内需ともに好調なベトナムでは、売上増加、利益増加と回答する企業割合が比較的高い一方で、マレーシア、インドネシア及びフィリピンにおいては国内の消費不振や通貨高等が影響し、低調な結果となっています。

ただし当面の経営方針としては、現地事業の展開について「拡大」が50%、「現状維持」が43%となっており、「縮小」はわずか5%にとどまっています。売上・利益とも減少傾向にあるものの、大半の企業は拡大または現状維持を志向しており、アセアンは、中小企業にとって、依然重要な生産拠点の一つとして位置付けられているものとみられます。
※中小企業金融公庫HPhttp://www.jasme.go.jp/

H19.11.26

政府税調が中長期的な税のありかたで答申、「消費税引き上げ」の必要性に言及

政府税制調査会(香西泰・会長)は、このほど、平成18 年11 月の諮問に基づき、中長期的視点から、あるべき税制の全体像について基本的な考え方を示した答申──「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」をとりまとめました。答申は、中長期的課題とともに、平成20年度中に期限の到来する事項や新制度施行への対応が必要な事項等についても議論した結果が盛り込まれています。
そのなかで、注目の消費税については、「税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしい」との認識の下、「社会保障費に関しては、効率化・合理化努力を進めつつ、将来世代に負担を先送りするのではなく、消費税率を引き上げていくことによって賄うとの姿勢を明らかにすることにつき、選択肢の一つとして幅広く検討を行うべきである」として、「消費税の社会保障財源化」という文脈において、税率引き上げの必要性について明記しています。
また、低所得者層になるほど負担が増大するとされる、いわゆる“消費税の逆進性”については、税体系の抜本的改革により対応すべきであるとの考え方を示し、「所得再分配については、国民が広く公平に負担を分かち合うとの基本的考え方に立って、安易な歳出等を避けつつ、真に支援が必要な者にきめ細やかに社会政策的な配慮を行うこととすべきである」としています。
※政府税制調査会HPhttp://www.cao.go.jp/zeicho/index.html

H19.11.22

住民税の住宅ローン控除を受けるには市区町村への毎年の申告が必要

税源移譲により所得税の税率が下がる一方で個人住民税の税率が上がったことから、所得税から控除しきれなくなった住宅ローン控除額を個人住民税から控除するための特例である「住民税の住宅ローン控除制度」が今年度の改正で手当てされた。

この特例の適用を受けるためには基本的に納税者自らが所定の申告書を作成のうえ市区町村に提出しなければならないので注意したい。総務省は現在、これに関する申告書の雛型と記載要領を各自治体に通知するなど申告に必要な体勢の整備を図っている。また、納税者に手際よく申告書を作成してもらうためのソフトも開発中で、近々ホームページに登載される予定だ。

住民税の住宅ローン控除制度とは、税源移譲により平成19年分の所得税から控除しきれない額が生じた場合に個人住民税の所得割から控除することを認め、税源移譲の前後で納税者の控除額が変わらないようにする措置のこと。制度の対象者は、平成18年末までに入居等をし、所得税の住宅ローン控除を受けている者である。これに該当する者は基本的に、市区町村長に対して所定の申告書である「住宅借入金等特別税額控除申告書」を提出して初めて、住民税からの控除が認められる。

特に確定申告をしない給与所得者は必ず申告をしなければならず、具体的には来年の3月17日までに市区町村に対して源泉徴収票を添付して申告書を提出しなければならない。以後、毎年申告することが必要になる点にも注意が必要であろう。ただし、個人事業者など所得税の確定申告をする者は、その際に申告書を合わせて提出すれば、税務署から市区町村へ回される手はずになっている。

総務省は、夫婦・子二人で給与収入が700万円の世帯をモデルケースとして参考までに示している。この場合に、申告をすれば税負担の総額は住民税の19万6,000円のみで税源移譲の前後で変わらない。しかし申告をしないと、住民税からの控除がないことから所得税と合わせて総額で29万3,500円を負担しなければならないとしている。申告をするのとしないのとで、およそ10万円弱の負担増となる計算だ。

H19.11.21

国際化の進展とタックスヘイブン税制

低税率国への所得移転による課税逃れを規制するためのタックスヘイブン対策税制が適用される事案は多く、国税庁の統計によると、平成18事務年度(平成18年7月~19年6月)に、81件が適用され139億円の申告漏れ所得金額が記録されています。

タックスヘイブン対策税制の適用を受けるとされる特定外国子会社等に該当する海外の子会社は、およそ5,000社とされており、その大部分はパナマ、香港、シンガポール、ケイマンに拠点が置かれています。

これらの国や地域は、税率が25%以下であるためタックスヘイブンになるわけですが、先般、26%の税率で納めた税金について、外国法人税に該当しないとの理由でタックスヘイブン対策税制の適用を受け、日本にある親会社の所得に海外子会社の留保所得を合算する課税処分が東京高裁で認められて話題になりました。

これは、ヨーロッパに所在するガーンジー島で納めた税金が問題になった事案で、ガーンジー島では税率を選択できることから、日本の法人税に該当する税ではないとの判断が行われています。
海外に進出する企業は今後も増加する傾向にありますが、その国で納めている税について改めて確認しておく必要があることを示している事案といえるでしょう。

もちろん、企業としての実体が伴っていれば、実際に合算課税を適用されるようなケースは稀ではあるものの、国際取引や国際進出の増加に伴い、税務調査が強化される傾向にあるだけに要注意となります。

H19.11.20

生命保険特約年金の所得課税をめぐる裁判で国側が逆転勝訴

年金払保障特約の付いた生命保険を相続し、相続税を課税された後に、その年金受給権に基づいて受け取った年金は所得税の課税対象となるのか否かが争われていた裁判で、このほど福岡高裁は、納税者の主張を全面的に認めた一審判決(長崎地裁平成18年11月7日判決)を覆し、国側が逆転勝訴をした(福岡高裁平成19年10月25日判決)。

納税者は、夫の死亡により死亡保険金4,000万円と、特約による年金受給権(230万円を10年間にわたり受け取る権利)を取得し、「みなし相続財産」として申告。実際に年金を受け取った際には、「一度相続税の課税対象となっているもの」として所得税の申告はしなかった。課税庁は、納税者が受領した年金230万円を雑所得と認定、更正処分を行ったところ、「二重課税だ」として裁判に発展したものだ。

一審の長崎地裁では、「相続税を課税された財産につき、これと実質的、経済的にみれば同一のものと評価される所得について所得税を課税することは、所得税法9条1項15号(非課税所得)によって許されないものと解するのが相当」と判示、年金への所得課税は二重課税に当たると結論づけた。

ところが控訴審では、本件年金は年金受給権とは法的に異なるものであり、被相続人の死亡後に支分権に基づいて発生したものであるから、所得税法9条1項15号の非課税所得には該当しない、と判断。
また、仮に納税者が自ら年金契約の定期金給付契約を締結して自ら掛け金を負担し、毎年年金を受け取る場合を想定した場合は、当然所得課税の対象となるのであり、本件年金とは区別することはできなくなる。よって、年金受給権の取得に相続税を課し、個々の年金の取得に所得税を課することは二重課税ではない、として納税者の主張を斥けた。

本事案の一審判決は実務界に大きな衝撃をもたらしたが、控訴審はきわめて常識的な判断に落ち着いた。納税者はすでに上告しており、最高裁での判決が今から注目される。

H19.11.19

中小企業庁が「中小企業生産性向上プロジェクト」をとりまとめ

中小企業庁は、このほど、「中小企業生産性向上プロジェクト」について、実施要領をとりまとめました。

同庁では、目下の人口減少社会の下での経済成長の実現に向けて中小企業の生産性向上が必要との認識の下、本プロジェクトを策定。いわゆる“ばらまき型支援”を廃し、予算・金融・税制等の政策資源の有効活用を通じ、経済社会システムの構造的な変化や、企業規模・業種・地域間のばらつきに対応しつつ、中小企業の生産性の向上を図る必要があるとしています。

具体的には、平成19年度から21年度の3年間にわたり、可能な限り数値目標を設定しつつ「付加価値の創造」「経営力の向上」「公正かつ効率的、合理的な事業環境の整備」「サービス産業の生産性向上」──の各施策の集中的な実施を目指し、合計80万社の中小企業において、生産性向上に向けた前向きな取組の創出を目指します。

このうち、「付加価値の創造」については、地域資源を活用した新商品・新サービスを都市・海外につなぐため、総額2,000億円以上の地域中小企業応援ファンドを、9割以上の都道府県で利用可能にし、かつ平成21年度までに600件、5年間で1,000件の新事業を創出したいとしています。また、有能な人材を都市部・大企業から地域中小企業へシフトすべく、平成21年度までに、団塊世代の企業OBについて、登録人材3万人のデータベースを構築するとしています。

※中小企業庁HPhttp://www.chusho.meti.go.jp/

H19.11.16

東京都が自動車税住所変更届の電子申請を開始

東京都では、このほど自動車税住所変更届の電子申請を開始しました。
自動車税は、毎年4月1日現在の自動車の所有に対して課税されるもので、自動車の主たる定置場所在の都道府県において課税します。対象となる自動車は、道路運送車両法の適用をうける自動車のうち普通自動車と三輪以上の小型自動車です。

この11月1日から、東京都内ナンバーの自動車(軽自動車を除く)の所有者で、転居等により住所を変更した場合、電子申請を利用して、自動車税納税通知書の送付先住所を変更できるようになりました。都主税局では、申請した個人情報は、税務事務等の法令で定める場合以外に使用することはないとしています。ちなみに、自動車税の住所変更手続きを行っても、車検証の住所は変更されません。別途、運輸支局等で、車検証(自動車検査証)の住所変更の登録が必要となるため要注意です。

自動車税住所変更届の申請に当たっては、まず「東京電子自治体共同運営サービス」の利用者登録を行い「利用者ID」と「パスワード」を取得する必要があります。取得したID とパスワードにより東京都のサイトからログインし、申請書を作成し送信します。申請書が当局に到達しましたら、その旨が電子メールにて返信されます。

※「東京電子自治体共同運営サービス」の利用者登録はこちらから

http://www.soumu.metro.tokyo.jp/13it/e-shinsei/shinsei-touroku.html

H19.11.15

20年3月末で期限切れとなる租税特別措置

臨時国会の会期が延長されるようですが、税制改正については、自民党や民主党の税制調査会が活動を開始し、審議が順調に進めば、12月中旬には「税制改正大綱」がとりまとめられて、平成20年度の税制改正の内容が明らかになります。
平成20年度の税制改正では、平成20年3月末に適用期限をむかえる租税特別措置法の取扱いが注目されています。

既に、経済産業省や中小企業庁は税制改正要望の中で、20年3月末が適用期限に定められている租税特別措置について延長を求めています。特に、中小企業を対象にしている優遇税制の適用期限は20年3月末と定められているものが多くなっています。

例えば、取得価額30万円未満の少額の減価償却資産を取得した場合に、取得価額の全額損金算入(即時償却)できる「少額減価償却資産の取得の特例」や、設備投資を行った場合に、30%の特別償却、又は7%の税額控除が認められる「中小企業投資促進税制」については、いずれも平成20年3月31日までに取得し、事業の用に供した資産が対象となっています。

また、情報システムのセキュリティ機能強化を支援する「情報基盤強化税制」は、平成20年3月31日までに取得等をし、事業の用に供した設備等を適用対象としています。さらに試験研究を行った場合の法人税の特別控除制度や、「人材投資促進税制」の適用期間も平成20年3月31日までに開始する事業年度となっています。

いずれも中小企業の事業活動に少なからず影響を与えることから、20年改正でこれらの特別措置がどのように取り扱われるのかが気になるところです。

H19.11.14

改正最低賃金法、一転成立へ

政局の停滞や野党民主党の党首辞任騒動などによりその成立が危ぶまれていた最低賃金法ですが、辞任騒動がかえっていい刺激になったのか、状況が一転し、改正最低賃金法案が衆議院を通過し、参議院に送付されました。

改正法案には民主党も賛成しており、また今国会の会期の延長も実現したことから、参議院でも可決されることは間違いなく、法律の成立は確実になりました。

経営者としては最低賃金がいくらに引き上げられるのかという点が気になるのではないかと思われますが、法案には「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる」水準を考慮するよう明記されているだけで、具体的な金額は明示されていません。

生活保護の支給額と最低賃金で働いたときに受け取る賃金が逆転している地域があることなどから、最低賃金を引き上げる気運が高まりましたが、現在、生活保護の水準を引き下げることも検討されており、その場合、予想よりも最低賃金額が引き上がらないのではないかという指摘もあります。いずれにしても額の決定が待たれます。

H19.11.13

最低賃金改定で給与体系見直し企業は2割弱~帝国データバンク調べ

今年10月に最低賃金が改定されました。今年度の改定は、最低賃金での収入が生活保護費を下回る逆転現象なども議論され、近年にない引き上げ幅となっています。

帝国データバンクでは、これを受けて、先月末に全国2万242社を対象に、給与体系の見直しなど最低賃金の引き上げに対する企業の動向について調査を実施、このほどその結果がまとまりました(有効回答企業数は9,891社/回答率48.9%)。

それによると、最低賃金改定後の給与体系について、「見直していない(検討していない)」企業は9,891社中6,846社(構成比69.2%)と7割近くにのぼった一方、「見直した(検討している)」企業は1,607社(同16.2%)にとどまりました。

給与体系を見直した企業を業界別にみると、『農・林・水産』『小売』などが多かった反面、『金融』『不動産』では1桁台となるなど、業界により対応が分かれています。

給与体系見直しによる企業への影響については、「総人件費が増加するため、経営圧迫要因になる」と回答した企業が「見直した(検討している)」と回答した企業のうち60.0%(964社)と、6割に達しました。規模別では、やはり中小企業で経営圧迫の懸念が強まっており、帝国データバンクでは「規模間格差が顕在化しているなか、最低賃金の引き上げは総人件費の増加を通じて中小企業の経営に圧迫感を与え、一層の規模間格差の拡大が懸念される」としています。

H19.11.12

日本とブルネイ・ダルサラーム国とが租税条約の新規締結交渉をスタート

日本政府は、このほど、ブルネイ・ダルサラーム国政府と租税条約の新規締結交渉を開始することとし、第1回目の正式交渉が11月5日(月)、東京で行なわれました。

現在、日本は、56カ国との間で45の租税条約を締結しています(国数と条約数のギャップは、旧ソ連・旧チェコスロバキアとの条約が分裂後の各国に承継されているため)。日・ブルネイ間に租税条約はなく、今後締結されると、フィリピン、インドネシア、中国、タイ、シンガポール、ベトナム、韓国、マレイシアに次いで、東南アジア地域では9カ国目の条約締結国となります。

財務省では、租税条約の締結・改正交渉の相手国選定に当たり、①両国間の経済交流の深度、②我が国企業が相手国で得る投資所得に対する相手国の税率の水準、③進出先国における我が国企業と他国企業との間の競争条件のバランス、④現行租税条約において是正すべき事項の有無──の4点を挙げていますが、ブルネイ国は潤沢な資源国として、日本との経済交流が親密で、去る6月18日には、貿易・投資の自由化等を図る、日・ブルネイ経済連携協定(EPA)が署名に至ったという経違があります。今後の交渉経過が注目されます。

※ブルネイ・ダルサラーム国の概要(外務省ホームページ)http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/brunei/data.html

H19.11.9

平成20年4月からXBRLで財務諸表作成し有報提出

平成20年4月は、金融商品取引法による内部統制報告制度や四半期報告制度、さらには金融庁の電子開示システム(EDINET)で提出している有価証券報告書(有報)について、財務諸表部分のXBRLによる作成が義務付けられ、まさに「2008年問題」です。

このうち、財務諸表のXBRLによる作成は、政府の方針により進められているEDINETの改善計画の一環として行われています。現在、HTML形式で提出されている有報のうち、財務諸表のみをXBRLにより作成し、提出することを予定しているものです。
XBRLは、財務報告用の情報を効率的に作成・流通・加工・利用できるようにした国際的に標準化されたコンピュータ言語です。

ただ、XBRLは、各社の比較可能性を高めるため、標準的な財務諸表の表示科目に統一する必要があります。企業側は、金融庁が示した統一的な表示科目の定義集(タクソノミ)に、自社独自の科目を追加して企業別のタクソノミを用意する必要があります。この辺の対応に手付かずの上場企業も多く、その対応は今後の課題となりそうです。

H19.11.8

政局混乱で労働法制の成立も困難に

参議院の与野党逆転現象が政局の停滞を生んでいますが、ここにきて野党民主党の党首小沢氏が突然代表を辞任すると発表し、ますます政局が混乱しそうな気配となっています。
停滞する今国会ではいまだ重要法案が一本も成立しておらず、前国会からの懸案事項であった労働法制関連法案に関する議論も当然に進んでいません。

特に労働基準法改正、最低賃金法改正、労働契約法の新設などは企業側にとっても重要な法律であることから、その行方には注目する必要があります。
労働基準法改正案では一定の時間を超えた残業について、その割増率を引き上げる内容となっており、実現した場合、企業の負担は相当に増えることになります。最低賃金についても、引き上げる動きとなっており、パートやアルバイト労働者を雇用している企業ではこちらも負担増となる可能性が高い改正項目です。

今後の国会の行方は混沌としていますが、いずれにしても早期に議論が再開されることが望まれます。

H19.11.7

「非上場株の評価減特例の8割拡充は雇用確保要件が焦点に~政府税調はパス

政局が揺れる中、抜本的な改正は先送りにされ、20年度税制改正における中小企業の目玉は事業承継税制の拡充一色となりそうだ。10月には政府税調の議題に挙がり、実現のためのプロセスをパスしたことから、本決まりとなりつつある。
関心はその要件がどうなるかだが、当初からいわれた事業継続要件には「雇用確保」が含まれる見込みだ。もともと拡充を求める経済産業省・中小企業庁も「事業の継続・発展を通じた雇用の確保及び経済活性化の実現」を改正理由としており、事業承継計画に明記して提出を求めることとなろう。

ところで、欧米各国においても、90年代から事業承継税制は抜本的に強化されてきており、成長維持、特に雇用の確保を事業承継という既存事業の継続に担わせようとする意図がみられる。日本の参考となりそうなのは、ドイツが国会に提出している制度で雇用者数等をベースに事業継続要件を判断することとしている。

今回の「非上場株式の課税価格特例」の1割評価減から8割評価減への拡充においても、雇用者数の一定割合(8割以上が有力)の確保が要件になると思われる。雇用維持ではなく雇用確保としている点がポイントで、同一人物の解雇や退職を制約するものではない。ただ、従業員が少人数の中小・零細企業においては、従業員の退職には十分配慮する必要がある。要件を満たさなくなったことが分かれば、即座に軽減された相続税の納税義務が発生するからだ。
なお、これまでに判明している「事業継続要件」を整理すると、①事業承継者は一定期間、相続した株式を保有すること、②一定期間、代表者であるなどの経営に従事すること。これにプラスして③相続後一定期間、雇用を確保することが要件となる見込みだが、①から③の一定期間は同じ期間。欧米各国の例から推測すると、5年間が有力。農地の納税猶予特例の20年間までは求められない模様だ。

H19.11.6

基礎年金税金方式で企業負担は減る?

年金の財源やそのあり方を巡って、与野党や財界からさまざまな意見が飛び交っています。
それぞれの思惑はあるようですが、年金を受給する側としては一刻も早く長期に安心できる制度の再構築が望まれるところではないでしょうか。

経済界から要請のある基礎年金を全額税金方式に変更する手法は、一方で企業負担の軽減にもつながる発想となっているようです。この方式では基礎年金部分が税金でまかなわれることになります。現在、会社員の年金は厚生年金ですが、厚生年金には基礎年金部分も含まれます。
企業は基礎年金部分も含めて社員が負担する厚生年金保険料と同額を負担することになっていますが、基礎年金部分だけでも税金財源となれば、当然に社員が負担する保険料も企業が負担する保険料もともに減額されることになります。
基礎年金部分の税負担の問題は一方で消費税の税率上げに直結する問題でもあり、なお今後の議論の行方が注目されます。

H19.11.5

政府が「地域活性化統合本部会合」のサイトを開設(内閣官房)

政府(内閣官房地域活性化統合事務局)はこのほど、今月9日に発足した「地域活性化統合本部」のサイトを開設しました。統合本部は、地方と都市の格差問題への対応として、地域から見て分かりやすく、より効果的な取組を実施するため、平成19年10月9日の閣議決定により、従来の①都市再生本部、②構造改革特別区域推進本部、③地域再生本部、④中心市街地活性化本部の、4つの本部の実施体制を統合し、総合的な戦略を取りまとめるために設置されたものです。
今回の統合本部発足に伴い、地域の再生に向けた戦略を一元的に立案し、実行する体制をつくり、有機的総合的に政策を実施していくため、4本部の事務局も統合され、「地域活性化統合事務局」が新たに設置されました。
統合本部では、地域の実情に応じた支援を立案・実行するため、地域リーダーの意見を直接聞き、「地方再生のための総合的な戦略」に地方の声を反映させるための場である「地方再生政策対話」を、10月18日(第1回)と24日(第2回)にそれぞれ開催しており、24日の第2回会合では「地域産業、コンパクトシティ、文化・観光・交流」をテーマに、佐々木誠造・青森市長ら4人から話を聞いています。
事務局では、11月中を目途に地方再生のための総合的な戦略を取りまとめていくとともに、雇用情勢が厳しい状況にある地方に対しては、平成19年度中に、地域の創意工夫あるモデル的取組について、追加支援を緊急かつ総合的に実施することで地域経済の下支えを図るため、「平成19年度地方再生モデルプロジェクト」を実施することとしています。

H19.11.2

国税当局が原告となった徴収関係訴訟事件の概要がまとまる

国税庁は、このほど、国税庁(局・税務署)自らが原告となって提起した徴収関係訴訟事件(いわゆる“原告訴訟”)の概要をとりまとめ公表しました。
国税の滞納残高は8年連続で減少してきているものの、なお高水準にあり、国税庁では、引き続き滞納者の個々の実情に即した厳正・的確な滞納整理を実施するとともに、長期滞納事案や財産を隠蔽するなどの悪質滞納事案などについては、法律知識や訴訟的手法(詐害行為取消訴訟、不動産等の名義変更訴訟)を活用した滞納整理を積極的に実施することとしています。また、差し押さえた債権の回収を図るため、債権取立のための民事訴訟も積極的に提起していく方針で、“原告訴訟”を、滞納整理の重要な手法として積極的に活用していく旨を明らかにしています。
原告訴訟事件の発生状況は、平成13年度までは年間100件前後で推移していましたが、上記方針の下、平成14年度以降増加傾向となり、近年、200件前後で推移しています。今回とりまとめられたところによると、平成18事務年度においては、163件(前年度186件)の訴訟を提起し、終結は158件(前年度194件)で、国税当局側の勝訴率96.2%にのぼっています(係属は60件)。
※国税庁ホームページhttp://www.nta.go.jp/index.htm

H19.11.1

65歳までの高年齢者雇用確保措置は着実に進展──厚労省まとめ

厚生労働省は、先に、企業による高齢者の雇確保措置の実施状況をとりまとめました。
高年齢者雇用安定法により、事業主は6月1日現在の定年及び継続雇用制度の状況等について、厚生労働大臣への報告が義務付けられていますが、厚生労働省は、今回、報告を提出した51人以上規模の企業8万8,166社について、高年齢者雇用確保措置の実施状況を集計、その結果がまとまりました。

それによると、雇用確保措置の実施企業の割合は、93%と前年同期比9ポイント増加し、中小企業についても92%(前年同期比10ポイント増)の実施率となっており、大半の企業で高年齢者雇用確保措置が実施されていることがわかりました。措置の内容として、「定年制の廃止」についてみると、「希望者全員が65歳以上まで働ける企業」の割合は37%(前年同期比4ポイント増)、「希望者全員70歳以上、基準該当者70歳以上継続雇用の企業」の割合は12%(前年同期比0.3ポイント増)となっています。

企業のこうした取組により、改正高年齢者雇用安定法施行前(平成17年)に比較して、60~64歳の常用労働者数は、約78万人から約100万人に27%増加し、65歳以上の常用労働者数については約27万人から約39万人に47%と大幅に増加しています。
同省では、高年齢者雇用確保措置を未実施の企業に対し、引き続き指導を実施するほか、50人以下規模企業に対する助言・指導を重点化していくこととしています。