港区 税理士法人 大沢会計
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2008年1月

2008/01/31

H20.1.31

名目だけの管理職に注意

労働基準法第41条に該当する管理監督者に対しては労働時間や休憩、休日について同法の規制の対象外になることは周知の事実ですが、これを悪用する形で名目だけ管理監督者にして残業代の支払いを免れようとする企業も少なくありません。

入社間もない若年労働者に対して店長や部長などといった、実質を伴わない名目的な地位を付与すれば労基法41条該当者になるという間違った解釈をしているケースもあります。

先日、東京地裁は大手外食チェーン店に対してその店長に未払いだった残業手当を支給するよう命じる判決を下しました。裁判では同チェーンの店長は経営者と一体的立場ではなく、労基法により保護される対象であるとしています。

名目だけの管理職にすれば残業代を節約できるわけではなく、前述のようにその地位が「経営者と一体的立場」であるかどうかの実質が問われるわけです。

人件費カットを目的にした名目だけの管理職については慎重な対応が求められます。

H20.1.30

新入社員に期待するのは「社会人としてのマナー」

共立総合研究所が岐阜・愛知・三重県所在の企業を対象に実施した「企業が求める人材アンケート」結果(有効回答数605社)によると、新入社員に期待する知識・能力(特に重視する3項目選択)は、「社会人としてのマナー」との回答企業が60.4%ともっとも多く、以下、「基礎的な専門知識・技術」(48.3%)、「コミュニケーション能力」(46.7%)、「課題発見・解決能力」(36.4%)、「実用的な専門知識・技術」(33.3%)と続いた。

企業は新入社員に対して、ある程度の知識・技術も重要だが、まずは基本的な社会人としてのマナーやコミュニケーション能力を求めているという結果となった。従業員数の規模別でみると、規模が大きくなるにつれ「社会人としてのマナー」や「コミュニケーション能力」を重視する傾向がある一方、小規模企業では「実用的な専門的知識・技術」や「資格取得」などを相対的に重視する傾向がみられた。

人材の活用・確保に関して重視すること(3項目まで選択)は、「中途採用の実施」との回答が70.1%でもっとも多く、次いで「新規学卒者の採用」(50.8%)、「高齢者の継続雇用・定年者の再雇用」(41.3%)、「非正社員(パート・期間工)の活用」(36.8%)、「社外人材(派遣労働者)の活用」(17.2%)と続いた。従業員数の規模別でみると、「新規学卒者の採用」は、50人以下の企業は34.1%と、50人超と比較して低い結果となった。

なお、2008年度入社予定の新入社員の採用については、「新規募集をしなかった」とする企業が54.1%と、「新規募集した」とする企業(45.9%)を上回った。従業員数が多くなるにつれ、新規募集する割合が高まる傾向がある。また、新規募集した企業の採用状況の内訳は、「予定する人数を採用できた」が49.5%、「予定する人数を採用できなかった」が34.4%、「一人も採用できなかった」が16.1%という結果となった。

同アンケート結果の詳細は↓
http://www.okb-kri.jp/press/20080122.pdf

H20.1.29

国民負担率は初めて40%台を突破

国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。財務省は23日、2007年度の当初予算ベースでは39.7%だった国民負担率が、補正予算後の実績見込みでは40.0%、2008年度予算では40.1%となる見通しと発表した。これで5年連続上昇し、初めて40%を突破、過去最高となる。2008年度見通しの内訳は、国税が14.3%、地方税が10.7%、租税負担率が25.1%、社会保障負担が15.0%。

2008年度の国税と地方税を合わせた租税負担は2007年度当初予算に比べ横ばいだが、社会保障負担は0.4ポイント増となる。国民負担率上昇の背景には、少子高齢化に伴い社会保障負担が増えていることがある。諸外国(2005年実績)と比べた場合、アメリカ(34.5%)よりは高いが、スウェーデン(70.7%)、フランス(62.2%)、ドイツ(51.7%)、イギリス(48.3%)などほとんどの国より低い。

真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2008年度の国民所得(前年度に比べ7万1千円増の384万4千円)に対する財政赤字の割合は前年度から横ばいの3.5%となる見通し。この結果、2008年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、前年度から横ばいの43.5%となる見通しだ。

なお、租税負担率は、戦前の1934~36年度は13%程度だったが、戦後は45年代前半の混乱期を除いて20%前後で推移してきた。しかし76年度以降、次第に上昇し始め、89・90年度の27.6%をピークに、その後はほぼ20%台前半で推移している。累次の法人税率の引下げや所得税減税、低成長による税収減などの影響だ。しかし、今後は定率減税が廃止されたほか消費税率の引上げなどが予定されており、再度上昇するおそれがある。

H20.1.28

日本公認会計士協会等4団体、中小企業会計指針を改正へ

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4団体は1月18日、「中小企業の会計に関する指針」の公開草案を公表、意見募集を行った。今回の改正では、企業会計基準委員会が新たに策定した企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」及び同第13号「リース取引に関する会計基準」を受けて、これらに対応した会計処理の見直しを行っている。

とりわけ注目されていたのが棚卸資産の期末評価方法。棚卸資産の評価方法には「原価法」と「低価法」があるが、大部分の中小企業は原価法を採用している。ところが、新しい会計基準では棚卸資産の収益性が低下したと判定される場合、帳簿価額を時価まで切り下げることが求められている。中小企業会計指針でもこの方法が適用された場合、中小企業にとっては大きな事務負担を抱えることになる。

今回の公開草案では、「要点」として「棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とする」という一文が追加された。時価の下落という事実に加え、「金額的重要性」の観点から簿価を切り下げるか否かの判定を行うこととなった。

そして第27項では、具体的に簿価を切り下げなければならない「事実」として、①災害により著しく損傷したとき、②著しく陳腐化したとき、③上記に準ずる特別の事実が生じたとき――を挙げている。

さらに、この場合の「時価」とは、原則として正味売却価額(売却市場における時価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除した金額)であることを明示。税制においても、既に平成19年度改正で低価法を採用した場合の「時価」の意義を「再調達価額」から「正味売却価額」に改正。昨年末に公表された法人税基本通達でも、全く同様の通達が新設されている(新通達5-2-11)。

H20.1.25

海外贈与で国側が逆転勝訴

贈与を受けた時点の住所が日本国内なのか、国外なのかが争点となった裁判の控訴審で、東京高裁は、一審の判決を覆し、逆転で国の主張を認める判断を示しました。

これは、親から財産を贈与された人が、贈与を受けた時には香港に居住しており、また、贈与された財産は日本国外にあったことから申告をしなかったことに対して、財産の贈与があった時には日本国内に居住しており、贈与税の申告義務があったとして行われた国側の課税処分を不服として、争われた事案です。

一審の東京地裁は、日本と香港の滞在日数を比較し、その60%以上は香港に滞在していた等の理由により、贈与があった時には香港に生活の本拠があったとして、国側の課税処分を取消す判断を示しました。

この判決を不服とする国は控訴をし、今般、二審の東京高裁は、滞在日数等を考慮しても、贈与があった時に香港に生活の本拠があったとは言えないとして、逆転で国の課税処分を適法とする判断を示したわけです。

経済のグローバル化が進み、人やモノが一国に留まらない時代となった今日、生活の本拠がどこであるかが問われる事案が増加しています。

H20.1.24

中小企業会計指針の改正案公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会は1月18日、「中小企業の会計に関する指針」の改正案(公開草案)を公表しました。

今回の改正では、企業会計基準委員会公表の棚卸資産会計基準とリース会計基準に対応した会計処理の見直し等が行われます。2月1日まで改正案に対する意見を求めています。

まず、棚卸資産会計基準が公表されたことを受けて、棚卸資産の評価について、棚卸資産の期末の時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とすることとされています。なお、現行では、原価法または低価法の選択適用を認めています。

また、リース会計基準が公表されたことを受けて、リース取引に関する取扱いが新設されています。同基準では、現行で賃貸借処理が認められている所有権移転外ファイナンス・リース取引について、通常の売買取引に係る方法に準じた処理を行うこととされましたが、今回の指針も売買処理を原則としつつ、賃貸借処理も容認しています。

H20.1.23

2007年中小企業の賃上げ状況

大企業を中心に、景気回復・業績向上の声も聞かれる中、今年も春闘が始まろうとしています。
日本経団連会長は業績向上を受けて、賃上げを容認する発言を行っていますし、労働者側の連合も賃上げに加えて、格差是正の意味も込めた非正社員の正社員化などの処遇改善を訴えています。

しかし、多くの中小企業ではいまだ業績向上の見通しが立たず、賃上げ余力が乏しいとの声も聞かれます。年初に1バレル100ドルの値を付けた原油高に象徴されるように、原材料高が続いている上、発注側企業からの厳しい納期の要求や値引き要請などもあり、賃上げよりもまずは雇用の確保を考えるべきという企業も多いようです。

厚生労働省が発表した2007年の中小企業(従業員数300人未満)における春季賃上げ要求・妥結結果をみると、全体の平均賃上げ率は1.55%となり、業種で見ると、情報通信業の1.96%が最高で、運輸業の0.83%が最低となっています。さて、今年の春闘はどのようになるでしょうか。

H20.1.22

サラリーマンの還付申告

会社役員・サラリーマン・OLなどの給与所得者などで、既に昨年中に源泉徴収された税金や予定納税をした税金が、改めて計算した平成19年分の所得金額に係る税額に比べて納め過ぎになっている場合は、還付を受けるための申告──還付申告によりその超過した税金相当額が還付されます。

この還付申告は、昨年中の所得が平成19年12月31日に確定したことにより、本年1月以降であればいつでも行えます。つまり、個人事業者などの確定申告の開始時期である2月15日(金)以前でも可能ということです。

還付申告を受けることができる主なケースは下記のとおりです。
(1)年の途中で退職し年末調整を受けずに源泉徴収税額が納めすぎとなっているとき
(2)一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき(いわゆる住宅借入金等特別控除等)
(3)多額の医療費を支出したとき(医療費控除)
(4)特定の寄付をしたとき
(5)配当所得があり配当控除を受けるとき

なお還付申告は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間有効です。従って、今回の還付申告では、平成15年分までさかのぼって申告することができます。逆にいえば、平成14年分以前で還付が生じており、かつ昨年までに還付申告を行っていなかったものは、期限切れ=権利消滅となります。

H20.1.21

執行役員就任時の一時金について通達の解説を公表

国税庁は昨年末、同庁のホームページに、所得税基本通達30-2の2「使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金」の取扱いについての解説と、通達に関連するQ&Aを掲載しました。

この通達は、昨年パブリック・コメントを募った後に公表されていましたが、今回公表された解説とQ&Aでは、通達の趣旨説明と事例解説を取上げています。

企業が任意に制度設計できる執行役員制度は、導入する企業が増加する傾向にある中、これまではその就任に伴う一時金について税務上の取扱いが明確にされてこなかった面もありましたが、通達が新設され、また今回、通達の趣旨説明も行われたことから、明確化が図られたこととなります。

執行役員就任に伴う一時金が退職所得として認められるためには、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないなどの「特別の事実関係」があると認められることがポイントとなります。

これは、最高裁判例で示されている内容ですが、通達では認められる要件を2つほど設けています。
また、通達の趣旨説明では、2つの要件を満たしている場合の事実関係を具体的に示しています。

企業は迅速な意思決定を行うために組織のスリム化を急速に進めており、執行役員制度はその代表的なものといえるわけですが、今般、その税務上の取扱いの明確化が図られたことで、執行役員制度を導入する企業の増加が加速することとなりそうです。

H20.1.18

原油高で8割以上の企業の経営に悪影響~帝国データバンク調べ

政府は帝国データバンクでは、このほど原油・素材価格の上昇が企業に与える影響について調査を実施、その結果がまとまりました(調査期間:2007年12月18日~2008年1月6日。有効回答企業数8,761社)。

それによると、自社が属する業界全体として、原油・素材価格の上昇を起因として仕入価格が「上昇している」と回答したのは、8,761社中7,113社、全体の81.2%を占めました。「上昇していない」という回答は、3年前の29.2%(2,650社)から今回は10.9%(955社)と18.3ポイント減少しており、大半の企業で仕入価格の上昇が認識される状況です。

企業経営への影響では、「危機的状況」と回答したのは1.6%(114社)で、「かなり圧迫」(22.8%、1,622社)、「多少圧迫」(61.1%、4,346社)と合わせて計85.5%(6,082社)が企業経営に悪影響を受けていると回答しています。特に、『運輸・倉庫』(91.5%、280社)と『農・林・水産』(90.9%、20社)では9割を超える企業の経営に悪影響がみられます。

具体的には、「原材料高騰が中小企業を直撃し大手との格差が拡大する」(飲食料品・飼料製造、愛知県)や「原材料値上げと円高の影響が各社の利益低下をもたらす」(機械・器具卸売、東京都)など、原油・素材価格の上昇が経営環境に及ぼす影響を深刻に捉えている声が目立ちました。
※帝国データバンクホーム頁http://www.tdb.co.jp/

H20.1.17

改正パート労働法施行間近 企業の実態は?

4月から改正パート労働法が施行されます。各企業の実務担当者は自社で働くパート社員が正社員との差別的取扱いが禁止されるパート社員に該当するかどうか、該当しない場合でもどのような努力義務が課されているかなどの確認作業に追われているところではないでしょうか。

改正に先立ち、厚生労働省の調査が行われましたが、調査結果によると、実際の業務内容は同じなのに正社員とパート労働者の時間当たりの賃金に「格差がある」と回答した事業所は80%に達することが明らかになりました。実際に、会社に対する不満や、業務内容に対する不満を持っていたり、自身の雇用環境に対して不安を持つパート社員も60%を超えていることも明らかになりました。

この調査は2006年10月に行われたもので、約6,600の事業所と約13,400人のパート労働者を対象に実施されました。
現状のままだと、4月以降、改正法に抵触することも考えられますし、企業の実務担当者としてはなんらかの対応を講じる必要があるでしょう。

H20.1.16

金融庁が「監査報酬」の開示等で開示府令の改正案公表

金融庁は昨年12月26日、「企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)」の改正府令案を公表、1月28日まで意見を求めています。

開示府令は、上場企業等が提出する有価証券報告書(有報)等の記載方法や記載内容を定めている府令で今回の改正では、公認会計士等に対する監査報酬の開示、監査人交代時の開示、について定めることとしています。

このうち前者では、現行府令では記載事項の例示でしかない公認会計士等に対する「監査報酬」の記載について、その記載様式と記載方法を具体的に定めています。

監査報酬の記載は、公認会計士等に支払われる報酬について、①最近2連結事業年度において、②有報等の提出会社とその連結子会社別に(さらに両者の合計額も)、③監査報酬と非監査報酬に区分して記載することとされています。

また、監査人が交代した場合には、臨時報告書において、異動に係る公認会計士等の氏名や名称、異動の年月日などを開示することとされています。

H20.1.15

中小企業経営者の今年の景気見通しは急速に後退

信金中央金庫総研が実施した「2008年の経営見通しに関する調査」結果速報(有効回答数1万4139社)によると、2008年のわが国の景気見通しDI(「良い」-「悪い」)は▲57.3となり、1年前の調査(▲21.7)に比べ35.6ポイントの大幅な低下となった。景気見通しは、2002年見通しの▲91.6を底として2006年見通しまで改善を続けていたが、今回の結果で2年連続の低下。低下幅も92年見通し以降で最大となり、急速に後退している。

自社の業況見通しDI(「良い」-「悪い」)も、1年前の調査に比べ16.6ポイント低下して▲39.2となり、自社の業況についても慎重な見方が広がっている。従業員規模別にみると、1年前の調査でプラスだった100人以上の規模も含めて、すべての規模でマイナスとなった。さらに、小規模企業ほど慎重な見通しを持っており、従業員9人以下では半数以上の企業が自社の業況見通しを「悪い」と回答している。

自社の売上額見通し(伸び率)DI(「増加」-「減少」)は、1年前の調査に比べて13.4ポイント低下の▲9.8となり、3年ぶりのマイナス。従業員規模別にみると、20人以上でプラスとなった一方、19人以下でマイナスとなるなど、小規模企業ほど売上額の減少を見込む割合が高い。業種別では、「不動産業」(0.7)、「製造業」(▲0.5)では増減見通しがほぼ拮抗する一方、「小売業」(▲22.4)、「建設業」(▲20.8)ではマイナス幅が大きい。

自社の業況が上向く転換点については、「すでに上向いている」とする回答が10.9%と、2002年見通しから行っている同様の調査で初めて低下した。一方で、「業況改善の見通しは立たない」とする企業割合が、2年連続で上昇して30.4%となり、約3割の中小企業は、業況改善の見通しすら立っていない状況にある。従業員規模別にみると、1~4人規模では「すでに上向いている」が5.9%に対し、「見通しは立たない」が43.5%となった。

H20.1.11

逓増定期保険の節税規制

国税庁は、昨年の12月26日から1月31日までの期間、法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて、一部改正を行うに当たっての意見公募を実施しています。

この取扱いは、いわゆる「逓増定期保険(保険期間中に保険金額が逓増する定期保険)」について、過度な節税を規制することが主な目的とされています。

逓増定期保険は、保険期間の前半において支払う保険料に、多額の前払保険料が含まれていることから、その支払保険料の損金算入時期が問題視されていました。特に、保険契約の多くが解約を前提にしており、保険契約から一定期間が経過すると、急激に解約返戻金が増加することから、解約により役員退職金等の原資に用いることを前提にするものも見られ、これまでにも取扱いの適正化が図られた経緯があります。

今回の改正では、逓増定期保険の保険料に含まれる前払保険料の割合等に変化が見られることから、その実態に応じて取扱いの見直しを行うとされています。

改正案では、現行の「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)で、規制の対象とされている逓増定期保険の範囲を、「保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45 歳を超えるもの」に改めることとされています。

よって、改正案が実施されると、非保険者の年齢が45歳超の場合には、支払保険料の2分の1 に相当する金額は資産計上が必要となります。

H20.1.10

税源移譲に伴うローン控除救済措置──控除限度超過額を住民税から控除

平成19年から、地方分権を進めるため、国税(所得税)から地方税(住民税)へ税金が移し替えられています(3兆円の税源移譲)。この税源移譲によって、ほとんどの納税者は「所得税が平成19年1月から減り、住民税は平成19年6月から増える」こととなりました。

これにより、平成19年分以降の所得税(国税)の額が減少したことにより、所得税の額から控除できることとされていた「住宅借入金等特別控除額」も連動して減少するケースが生じます。

こうしたケースでは、市区町村(※各年の1月1日現在における住所の市区町村)へ毎年度申告することで、所得税額の減少により控除しきれなくなった部分の金額を、翌年度分(平成20年度分)の住民税から控除することができます。
この措置は「平成11年1月1日から平成18年12月31日までの間に入居した者」が対象です。
平成19年及び20年に入居した者については、所得税(国税)の住宅借入金等特別控除において、控除期間を15年とする特例が設けられており、こちらを適用することになります

なお、所得税の確定申告書を提出する場合には、住所地等の所轄の税務署長を経由して提出することができます。詳しくは、下記の総務省ホームページをごらんください。
※総務省ホームページhttp://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html

H20.1.9

会計基準委 工事契約会計基準を公表

企業会計基準委員会は昨年12月27日、「工事契約に関する会計基準」とその適用指針を公表しました。

現行では、請負工事について、工事完成基準と工事進行基準の選択適用が認められていますが、今回公表された会計基準では、選択適用ではなく、工事進行基準の適用要件を明示し、その要件に合えば、工事進行基準を適用すべきこととしています。同基準は、受注制作のソフトウェアにも適用されます。

工事進行基準は、工事の進捗部分について「成果の確実性」(工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度を信頼性をもって見積れること)が認められる場合に、工事進行基準を適用します。それ以外の場合には、工事完成基準が適用されます。

現行の会計実務では、税制に準じて工事進行基準を適用するケース(請負金額50億円以上、工期2年以上)が多く見られますが、20年度税制改正では、同会計基準に対応した見直しがなされる予定です。

適用は21年4月1日以後開始事業年度からですが、早期適用も認められます。

H20.1.8

有期雇用契約の解雇規制強化へ

期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)は契約期間が満了した場合、契約を終了するか更新するかの選択となります。一般の正社員などは期間の定めのない雇用契約となりますので、そのような手続きは発生しません。

有期雇用契約を巡っては、正社員よりも保護されていないという指摘もあります。契約期間満了に伴い、突然職を失う可能性があるからです。

従来、「使用者は、契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約(締結している労働者を1年を超えて継続して雇用している場合に限ります。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません」と規定されていましたが、これが企業が3回以上契約を更新した場合についても、契約を更新しないときには契約終了の30日前までの解雇予告を義務付けられることになる予定です。

厚生労働省では「有期労働契約の基準」を改正し、3月から新しい基準を適用する方針です。

H20.1.7

国税庁、逓増定期保険の課税強化案をパブコメで公表

企業の節税手法の一環として利用されてきた「逓増定期保険」がシャットアウトされる方向であることがこのほど明らかになった。

国税庁は昨年12月26日、「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部改正案をパブリックコメントで公表、1月末まで意見公募している。この中で国税庁は、保険期間中に保険金額が逓増する、いわゆる「逓増定期保険」に対する課税のハードルを大幅に引き上げる方針であることを明らかにした。

これまでの通達による逓増定期保険の適用対象は、①保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険で、②その保険期間満了の時における被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるもの――という複雑なしくみとなっていた。逆に言えば、この要件に当てはまらないように保険を設計すれば、支払った保険料を全額損金算入とすることも可能だったわけだ。

ところが改正案では、上記要件のうち②について、「その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの」と単純化するとともに、対象年齢を大幅に引き下げた。この要件をクリアして節税に利用することは極めて困難であることが予想される。

また、従来の通達では損金算入が制限される契約でも、保険期間満了時の年齢等により損金算入額を2分の1、3分の1、4分の1と区分していたが、上記の改正によりこの区分も微妙に変わってくる。
改正案の適用開始予定時期はいまだ明らかにされていないが、2月以降に正式発遣される通達を注目したい。