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2010年3月

2010/03/31

H22.3.31

ホステス報酬の最終判決

ホステス報酬の源泉徴収
 キャバレーなどのホステスの多くは給与所得者ではなく事業所得者です。でも報酬を受け取るときには所得税を源泉徴収されることになっています。
徴収額は、1回に支払われる報酬額から、1日当たり5000円を控除した額の10%とされています。

1日当たりの意味
 法律の正式な文言は1日当たりではなく「計算期間の日数」となっています。
毎週払いだとして、出勤した5日分として10万円の報酬を支払うとしたら、
(10万円-5000円×日数)×10%
の計算式で徴収する源泉税を計算します。
 ここで日数は、7日と5日と、どちらであるかにつき、納税者は7日、税務署は5日を主張して裁判になっているものがいくつかありました。

納税者勝訴となった地裁高裁判決
○川崎南税務署長を被告とする裁判
平成18年 5月10日 横浜地裁判決
平成19年 3月27日 東京高裁判決
○立川税務署長を被告とする裁判
平成18年11月21日 東京地裁判決
平成19年 6月12日 東京高裁判決
この二つの裁判事案では、敗訴の国側は最高裁への上告を断念し、納税者勝訴となったまま高裁の判決で決着させています。

納税者敗訴となった地裁高裁判決
●大宮税務署長を被告とする裁判
平成18年5月24日 さいたま地裁判決
●杉並・武蔵野税務署長を被告とする裁判
平成18年 3月23日 東京地裁判決
平成18年12月13日 東京高裁判決
時期的には納税者勝訴事案と似ていますが、こちらは納税者敗訴判決となっています。
 大宮税務署の事案は地裁で敗訴したまま納税者はそれを受け容れ、控訴しませんでした。
杉並・武蔵野税務署の事案は、似た時期に納税者勝訴の判決を出している東京地裁・東京高裁が出した全く異なる結果の判決で、これは最高裁に持ち込まれました。

最高裁での最終決着
 最高裁小法廷は、「施行令にいう『計算期間の日数』とは、ホステスの実際の稼動日数ではなく、その期間に含まれるすべての日数を指す」と判決し、解釈の最終判断をし、納税者に逆転勝訴をもたらしました。

H22.3.30

納税管理人って何?

納税管理人とは
あまり聞きなれない言葉ですが、納税管理人とは、1年以上の予定で海外に出張したり、リタイヤして海外に居住している人を非居住者と言いますが、その非居住者に変わって、税務署からの通知を受け取ったり、確定申告を行う者を言います。
一般的には家族や親族が行いますが、税理士や税理士法人でもかまいません。
非居住者は原則として日本国内での納税義務はありませんが、国内源泉所得がある人で申告義務のある人は、納税管理人を選任しなければなりません。

国内源泉所得とは
日本国内に源泉すなわち収入の源のある所得と言うことです。
給料も国内の会社からもらっている場合国内源泉所得と思われそうですが、海外で仕事をしているわけですから、収入の源は海外での役務の提供と言うわけで、国内源泉所得には該当しません。ですから多くの海外出張サラリーマンは、納税管理人を選任する必要がありません。但し国内の会社の役員報酬は、国内源泉所得となりますが、非居住者の役員報酬は、源泉徴収され、課税関係が終了しますので、特に納税管理人を選任する必要はありません。

納税管理人を必要とする場合
一般的には国内に不動産を所有している場合です。日本国内の不動産から得る賃貸収入は、国内源泉所得となり申告義務が発生しますから、納税管理人を選任する必要があります。
自宅などの場合は収入が発生しませんから、通常の場合は、国税の納税管理人は必要ありませんが、売却した場合などは、必要となります。
国税の納税管理人としたのは、地方税の固定資産税の納税義務は、発生しますので、地方税の納税管理人は必要となります。
但し固定資産税の徴収に支障がない場合は特におかなくても良いとの規定がありますので、一般的に自宅などの場合は納税管理人を置くケースは稀です。

H22.3.29

役員も傷病手当金は受給できる?

傷病手当の支給要件は何ですか。
 健康保険の傷病手当金は、被保険者が病気やけがの療養のため働く事ができない場合に支給されます。労務不能の4日目以降が支給対象で、支給額は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額となります。但し、その間に会社から給与を受けた時は支給額が調整されて、減額されます。1日あたりの報酬額がこの傷病手当金の日額以上のときは傷病手当金が支給されず、又1日あたりの報酬の額が傷病手当金の日額より少ない時は、その差額のみが支給されることになります。
 支給される期間は支給開始日から1年6カ月です。この間、受給しない期間があっても原則、開始より1年6カ月経てば、同じ傷病では受給できません。

役員は傷病手当金の支給対象となるか
 役員であっても健康保険の被保険者であれば、通常の社員と同様支給対象者となります。
 但し役員の場合、報酬を変更するには、株主総会の決議が必要とされていますから、実際は傷病で短期間休んでも減額しないことがほとんどです。役員の場合は長期療養が必要な傷病で働くことができず、満額の傷病手当を受給する時には、療養の間役員報酬を一時的に不支給にすることで受給できます。

議事録の作成も必要となる
 通常の傷病手当金の請求では、賃金台帳と出勤簿の写しを添えて保険者(協会けんぽや健康保険組合)に請求しますが、役員の場合は会社から報酬を受けない事を確認するため、療養中は一時的に役員報酬を不支給とすることが記載された株主総会議事録又は取締役会議事録の写しを添付する必要があります。
 役員の傷病による休職期間は一般社員より長く規定されている企業もありますので、このような事態の時は利用できるでしょう。

H22.3.26

アルバイト先へ行く時の通勤災害

休業中の人がアルバイト先へ向かう途中の事故
 昨今の経済情勢の中、業績が振るわず、従業員を休業させている会社も少なくありません。従業員側から見ると、休業し賃金カットがなされ、アルバイトをしたいという人も出てきます。会社でアルバイトを認めれば、アルバイトをする事もあるかもしれませんが、例えば全1日の休業でなく半日休業等で(午後だけ休業等)会社からアルバイト先へ移動中、事故にあった時には労災保険はどうなるのでしょう。届出はもとの会社かアルバイト先か、どちらにすべきでしょうか?

事業所の間を移動した時の通勤災害
 複数の事業所で雇用される労働者が、前の事業所から次の事業所へ移動する途中で事故にあった時でも労災保険は適用されます。この場合でも、自宅から事業所へ移動する間の事故と同様に「通勤」の要件を満たしている必要があります。「就業に関し、合理的な経路及び方法により」移動を行い、「経路を逸脱したり、移動の中断をしたりする場合は、日常生活上必要な行為(日用品の購入その他これに準ずる行為)でやむを得ぬ事由による最低限の範囲で行う」場合にその行為後の移動は通勤とみなされます。

労災保険の適用はどちらの事業所か
 二つの事業所間の移動中に被災した場合は第二の事業所の労災保険を適用します。この場合の移動は第二事業所で仕事に就くために行われている行為だからです。
 また休業補償給付を受ける場合、被災前3カ月間の平均賃金をベースに給付基礎日額が算定されますが、この場合の平均賃金は労災保険が適用される事業所から支給される賃金で算定されます。
ですからアルバイト先で労災保険が適用されると、本来勤務の第一事業所よりも低い賃金で計算されることになります。

H22.3.25

使途不明金と使途秘匿金

(質問)
取引相手からリベートを要求され、尚且つそのリベート相手を公表できません。本来キッパリとお断りするのが正しい選択だとは思いますが、そうもいかないのです。どうしたらよいのでしょうか?

(回答)
当然領収書はもらえないと思いますから、支出した金額は、使途不明金となります。科目としては交際費として全額否認することが妥当と思われます。しかし現金で先方に渡さず、必ず振り込むようにしてください。現金で渡した場合支出の事実が確認できませんから、本当はそんな事実は無かったのではないかと疑われます。
税務調査の折には、支出の事実(振り込み控え)を明確にしたうえで、事情を説明してください。
どうしても相手が現金でなければだめだと言う場合は、役員への渡し切り交際費すなわち役員賞与とすることが妥当だと思われます。役員への貸付とし、後で役員報酬を上げて一部返済に充てるという方法もありますが、事実が明らかになった場合は、使途秘匿金とされる可能性が残ります。

使途不明金とは、法人が交際費・機密費・接待費等の名目で、支出した金銭でその使途が明らかでないもの、または法人が使途を明らかにしないものをいいます。
 一方、使途秘匿金とは、使途不明金のように金銭の支出のうち、相当な理由なく、相手方の氏名、名称等を帳簿書類に記載していないものをいいます。
 更に、使途不明金は全額損金に算入されず所得に課税されるのに対して、使途秘匿金は全額損金不算入となるだけでなく、通常の法人税に加え、支出額の40%の追加課税が行われます。

使途不明金は経費処理が前提です。これに対して、使途秘匿金は経費処理を前提にしておりません。この点から貸付処理は危険です。ただ使途秘匿金は本来の趣旨からすれば、「違法ないし不当な支出」に対する追加課税ですから、経費処理だけを持って使途秘匿金とされるわけではありません。

H22.3.24

「まだ最高裁がある」とは本当か?

三審制とは言うものの・・・
 我が国の裁判では、いわゆる三審制が採られております。第一審が地方裁判所ならば、控訴審が高等裁判所、上告審が最高裁判所です。
しかし、民事裁判は特にそうですが、ほとんどの場合では、最高裁判所に至らずに決着せざるを得ません。

事実審と法律審
 それは、第一審・控訴審と上告審における大きな違いに由来します。
我が国の裁判では、第一審、控訴審が事実審、上告審は法律審と言われております。裁判の事実認定をするのは事実審だけであり、上告審は原審(事実審)の適法に確定した事実に拘束されるのが原則です。したがって、上告理由となりうるのは、憲法の解釈の誤りその他憲法違反があること、その他の特定の事由のあること、または判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違反があることであって、事実認定の誤りは上告理由とはなりえません。
 その一方、民事裁判での争点は、ほとんどが事実認定に関する争いです。例えば、貸金に関する裁判ならば返済約束の事実の有無、損害賠償請求ならば問題とされる行為自体の有無あるいは相手方の過失の有無といった事柄です。しかし、それらの判断に不服があっても、最高裁判所ではそれ自体を理由に上告を受け付けてもらえません。

あくまで第一審が主戦場
 因みに、民事裁判における控訴審は、第一審で集めた資料を前提として、その上に控訴審で集めた資料を積み重ねて判断するという方法が用いられています(続審制といいます)。すなわち、控訴審の口頭弁論は、第一審のそれの継続としてみられ、当事者は控訴審で第一審における資料を提出するとともに、新しい資料を提出することができます。
しかし、あくまで続きは続きであり、第一審で出てきた資料が前提となり、一度判決が下されていることの重みは大きく、第一審により重点が置かれます。
 したがって、実際裁判に遭遇した場合には、あくまで第一審こそが主戦場という心構えで臨むべきです。

H22.3.23

役員報酬は業績連動できないの?

(質問)
当社は販売会社です、当社の経費の多くは人件費です。この厳しい経済情勢を踏まえ全社員の報酬を売上によって、変動させたいと思いますが、役員の報酬だけそのままと言うわけにはいきません。役員の報酬を動かすとことはできないのでしょうか?

(回答)
兼務役員はOKです。
平成18年の法人税法の改正で、役員の報酬は1年間定期同額が原則となりました。
役員と言っても様々ですが、ご質問の役員は取締役だと思います。取締役の主要な業務は、取締役会へ出席し、取締役会の一員として業務の意思決定を行うことです。
しかし多くの中小企業の場合取締役と言えども、毎日の多忙な業務に追われているのが実情です。
ですから、取締役としての報酬と、実際に日常業務をこなす管理職としての報酬を区分し管理職としての報酬を上下させる分には特に問題はありません。

代表取締役はカットだけで
但し業務執行権を持つ取締役、すなわち代表取締役や、常務・専務等に関しては、そうは行かないのが現状です。
部下の給与や報酬をカットしておいて自分の報酬だけそのままと言うのは、経営者としてどうかと思われますし、会社の士気にもかかわります。
方法としては社長等の報酬を想定できる範囲の最低の報酬までカットし、事業年度終了まではその報酬を維持することが最善の策だと思われます。
国税当局は、原則カットしても定期同額ではないので、否認するとの見解ですが業績が悪化し、やむを得ない場合は認めると、その判断を現場の実情に委ねています。

事業年度終了までは我慢してください
途中で業績が回復した場合にはカットを元に戻したい気持ちもわかりますが、現在の税法では、戻した報酬は確実に否認されますのでご留意下さい。

H22.3.19

資本金の額と法人税制

 資本金とは何か、そして、その金額は何処にあるのか、との素朴な問いの返答には苦慮します。
難しい資本金概念の通説的な解釈は別として、資本金の額は、一般的には、会社の事業規模、信用度等を現す主要な指標の一つであることには間違いないようです。
このことを考慮してか、法人税制(国税及び地方税を含む)では「資本金の額」によって税率や租税特別措置法等の適用範囲について異なる取扱をしています。
 主な項目について、「資本金の額」による税制上の取扱の違いを見てみましょう

法人税法・消費税法における取扱上の違い
1)法人税率
 資本金1億円以下の法人で年間所得金額
800万円以下の部分に対する税率は22%です(現在は時限措置で18%)。
2)交際費の損金算入限度額
 交際費の損金算入限度額は、①期末資本金1億円以下の場合は、年間400万円(現在は時限措置で600万円)但し、10%部分は課税、②期末資本金1億円超の場合は、ゼロです。
3)設備投資減税
 資本金1億円以下の法人で一定の要件を満たすものは、①取得価額30万円未満の少額減価償却資産については年間300万円まで取得時に全額損金(原則、資産計上の上減価償却)、②一定の機械装置及び器具備品、ソフトウエア、大型貨物自動車等の取得には、取得価額の30%の特別償却又は取得価額7%の税額控除が適用できます。
4)貸倒引当金の繰入限度額
 貸倒引当金は、原則、過去3年間に貸倒の実績がなければ繰入れることができませんが、資本金の額が1億円以下の法人の場合、法定繰入率による繰入れが可能です。
5)消費税の納税義務
 資本金の額1,000万円未満の法人は、設立当初の2年間は納税義務が免除されます。

地方税法における取扱上の違い
1)法人事業税の外形標準課税
 資本金1億円以下の法人には、外形標準課税(所得割額+付加価値割額+資本割額)の適用はなく、所得割額のみです。
2)法人県民税(都民税)の税率
 資本金の額1億円以下でかつ法人税額が年1千万円以下の法人は、税率が軽減されています。

H22.3.18

中小企業子育て支援助成金

初めて育児休業を取得させた事業所が対象
 最近の厚生労働省の調査によると、事業所において、従業員が出産・育児のため休業した時に育児休業を取得する率は2008年において初めて9割を超えたという結果が出ています。国や自治体でも育児関連の経済支援を企業又は本人に給付しており、この中で中小企業に向けて、従業員に初めて育児休業を取得させた場合に支給される助成金を紹介します。

助成金の概要は?
 中小企業の育児休業、短時間勤務制度の取得促進を図る事を目的として、期間限定で平成24年3月までに育児休業を取得させた場合または短時間勤務制度を利用させた場合、対象となります。
①平成18年4月以降に、1年以上雇用している従業員が子の出生後6カ月以上育児休業(産後休業含む)を取得し、職務復帰後6カ月以上、就業実績がある事。
②1年以上雇用している3歳未満の子を持つ従業員が6カ月以上短時間勤務の制度を利用した事。

受給額と申請時期
?育児休業の場合は一人目が100万円、2~5人目までは各80万円支給されます。
?短時間勤務の場合は、一人目は利用期間に応じて各40万円から80万円まで支給されます。
 申請時期は、前記①②の要件を満たした翌日から3カ月以内に、財団法人21世紀職業財団を通じて、各都道府県労働局へ提出します。

受給の注意点およびポイント
①従業員100人以下の中小企業が利用できる。
②平成18年4月1日以前に「育児休業取得者」「短時間勤務制度利用者」がいなかった事
③助成金を受給するには「一般事業者行動計画」を策定し、都道府県労働局長に届出しておく事。
④育児休業制度や短時間勤務制度について労働協約や就業規則に規定されている事。
⑤この助成金に限りませんが、労働保険料の滞納がない事。
⑥同じ労働者が連続して対象となっても2度目は対象とならない事等。

H22.3.17

支払督促をご存知ですか?

支払督促とは何か?
債権回収における法的手段の一つとして支払督促があります。支払督促とは、債権者の申立てに基づき、債務者に金銭の支払等をするよう督促する旨の裁判所書記官の処分をいいます。支払督促は、定義からお分かりのように、金銭請求にのみ使えます。

手続の概要
相手方の住所を管轄する簡易裁判所に申立書を提出すると、裁判所は申立書に不備がないか等を審査します。審査が通れば、裁判所より相手方宛に支払督促が送達され、2週間以内に相手方から異議申立てがなければ、更に仮執行宣言付支払督促の申立を裁判所に行います。そして、2週間以内に相手方から仮執行宣言付支払督促に対しても、異議申立てがなかった場合には仮執行宣言付支払督促が確定し、強制執行のお墨付き(債務名義といいます)が得られます。もし、上記で相手方から異議が出た場合には通常訴訟に移行されることになります。

支払督促の特長とは?
このように、支払督促は、通常訴訟のように相手方の反論も受けつつ、主張や証拠を応酬した末に判決を得る必要もなければ、公正証書のように相手方の協力を得て、公証役場で作成する必要もなく、書面審査だけで簡単に債務名義を得られます。また、裁判所への手数料も通常の裁判の約半分と大変安価です。支払督促は、いわば安い、早い、実効的な法的手段です。

支払督促も万能ではない
しかし、支払督促が向かない場面はあります。それは、債務者の方で支払義務自体を争っている場合です。この場合、相手方は支払督促に異議を出すのは確実であり、通常訴訟に移行するタイムラグが無駄となりますので、むしろ初めから通常の訴訟を提起すべきなのです。また、異議により移行される通常訴訟は、相手方の住所を管轄する裁判所で行われます。お互いが同一ないし近接した地域ならばともかく、相手方が遠隔地にある場合には、相手方の裁判所に出向いて弁論期日を重ねるという大きな負担を被ります。
このように、債権回収の手段に支払督促が有効な場面かどうかをよく検討する必要があります。

H22.3.16

「試して合点」で儲けよう!

企業が売上や利益を伸ばすために新しい製品アイデイアや営業のやり方などを考え出し、実際に試して見る必要が起ります。 つまり、「試して合点」する必要があるのです。このことを「仮説の検証」と言って、
やり方や留意点があります。

「仮説の検証」で大切なこと
 「仮説の検証」を行う時に重要な留意点が四つあります。

① 仮説の内容が具体的になっていること。
それには5W2Hで仮説の内容を具体的に記述しておく。
5W2Hとは
・なぜ・目的 WHY、
・何を WHAT、
・誰が・誰を対象にして WHO、
・いつ(又は期間)・WHEN、
・どこで(どこへ)・WHERE
・どのように・HOW、
・いくらで・HOW MUCH

② 検証では具体的に知りたいことと調査方法(データの収集・現地調査などの測定方法)を明確に決めておく。
成功・失敗の要因は仮説を実行したプロセスの細かい行動・処理の中にあるから、実行しつつ事実データや情報を収集する。

③ 仮説設定・検証計画、結果の評価は、社長が主催するアイディア委員会を設けるなど、立場・役割が違う担当者が集まって、意見交換しながら実施し、偏らないようにする。

④ アイディア評価・検証実績評価のチェックポイント、例えば「顧客満足度・売上高貢献度・利益貢献度など」を決め、点数で評価する。

重要な仮説になるほど、1回の検証では結果が明確につかめない場合があります。
その場合は、1次調査で「分かったこと、さらに知りたいこと」を検討し、さらに具体的な狙いを持って第2次調査を行い、徐々に成功要因・失敗要因を明確にする方法をとります。
社員が自社の新製品や改良品について様々なアイディアを持ち寄り、「仮説の検証」にも参加すると、事業発展への関心が高まり、自ら進んで新しいことに取り組む積極的な社風づくりに役立つでしょう。

H22.3.15

提案の効果は“急がば回れ”の上司の器力

 合意形成のプロセス間違いがコストアップに
 社内提案に対する社内協議を進めるときに、提案内容のメリット・重要性・緊急性・拡張性やリスクなどを検証して結論に至りますが、結論はプレゼンをする人の立場の強弱と秀でた説得力の強弱によって大きく左右されてしまいます。
 つまり、協議を開始する前から結論が決まっていると言い替えることもでき、立場の強い人がプレゼンすることにより、一方的に提案が確定してしまうケースでも、あたかも社内の合意形成が出来たことになります。その結果、確定した事柄を現場業務に落とし込もうとした時に、多くの実務的障害が発生し、問題が山積みとなって、コストが余分にかかってしまうことになります。このように協議の場と言っても、実態は上位下達的となってしまい、折角の意思決定が現場まで串刺しにならないということが、特に、中小企業ではよく見かけられる傾向と言えます。

 提案者は別人で現場に近い者から
 プレゼンティーションは、強い立場の人ではなく、現場の中間管理者以下の人に行ってもらうことができれば、“現場への意思疎通”と現場の業務となった後の“スムーズな実践化”に大きな役割を担ってくれる人を育むことが出来ますが、現実には、“その会社でリーダー的存在”の人が提案者であることが多く、他の社員は“指示待ち族”となっており、幹部会や営業会議といっても参加するだけの会議になってしまいがちで、協議や提案というクリエイティブな時間を現場化し、収益化させるチャンスを失うことにもなります。

プレゼン移譲は意見拝聴と能力開発を主眼とする
 そこで、発案者がリーダー的な人のケースでは、“提案のプレゼンを現場の中間管理者以下の人に移譲”し、若手も数人巻き込むことが現場の意見を引き出す上で、効果的なプロセスとなります。移譲する提案内容や趣旨などの説明の過程において、部下の意見拝聴を受けることで能力開発も引き出すことになりますので、“移譲した人を中心的”にし、尊重することに徹することが上位者の留意点となります。

H22.3.12

家事消費の税務

「家事消費」とは、
商品などをお客さまに売るのではなく、自分や家族のために消費することを「家事消費」と言います。魚屋さんが店先にある秋刀魚を夕食の材料にしたとか、ラーメン屋さんがラーメンを店内で家族に食べさせる、というようなことです。
 家事消費は、商品仕入が経費となっているのに対応して自分への売上という扱いになります。仕入価格又は販売価額の70%とのどちらか多い方の金額を売上金額としなければなりません。
 商品などの消費に対する特例なので、償却資産の家事使用の場合とか、サービス業での自己サービスの場合には出番のない規定と言えます。

消費税法での違い
 消費税法にも所得税法と同じく家事消費の規定がありますが、見比べると3つの違いがあります。
 消費税法では、消費だけでなく「使用」をも対象にしています。
 したがって対象資産も消費目的の棚卸資産等のみならず、使用目的の事業供用資産をも含みます。
 それから、売上金額とすべき金額は仕入価格又は販売価額の50%とのどちらか多い方の金額とされています。

「使用」を対象とするわけ
 商品その他の資産の購入だけでは所得や損失は発生しません。しかし、消費税の課税仕入は購入時に発生してしまいます。ここが所得税と消費税の異なるところです。
 所得税で償却資産を家事使用することにした場合には、減価償却費について家事部分の費用化を遠慮します。しかし、消費税では購入時に通常、全額課税仕入としてしまっているので、あとで家事使用した場合には過去の課税仕入の変更ではなく、その使用の時にその使用資産を譲渡したものとみなして対応するわけです。

家事使用の程度
 通達で、「事業の用に供している自動車を家事のためにも利用する場合のように、家事のためにのみ使用する部分を明確に区分できない資産に係る利用」というようなものは「使用」に該当しない、としています。
 そんなに神経質にならなくてもよい、との趣旨のように読めます。

H22.3.11

資本的支出と耐用年数

原則的な取扱い
減価償却資産について修繕等をして、資本的支出として損金の額に算入されなかった金額がある場合には、その金額を取得価額として、修繕対象資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに別途取得したものと扱われます。

翌年期首の選択事項
その事業年度の前事業年度において、修繕対象資産と資本的支出につき別個に減価償却している場合で、その資産が定率法を採用している平成19年4月以後取得資産のときは、その事業年度の期首の日付にて、修繕対象資産と資本的支出の期首帳簿価額の合計額を新取得価額とする一の中古の減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。

一の新取得とされた中古資産の耐用年数
中古資産に新たに付される耐用年数は、
(1) 資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%以下のときは、
① 使用可能期間としての見積年数
② 簡便法で計算した年数
のいずれかの方法により定められます。
(2) 資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%超のときは、上の①②の適用がないので、本来の法定耐用がそのまま付されることになります。
再取得価額とは、中古資産と同じものの新品を取得する場合のその取得価額をいいます。新品価額の50%相当額を超える資本的支出を行った場合には、その資産はもはや中古とは言えず、新品と同様に取り扱うべきとの考えで、先の(1)と(2)の区別がなされているようです。

当初からの中古資産への資本的支出
資本的支出をする対象となった資産がもともと中古資産で、見積法あるいは簡便法で耐用年数が決められていた場合、この度の資本的支出の額が新品再取得価額の50%を超えるような時には、一の中古の資産に対し旧来の耐用年数ではなく、本来の法定耐用が付されることになります。
このようなケースでは、冒頭の原則的取扱いのままの場合なら、もともとの対象資産の短い耐用年数が資本的支出にも適用になるので、選択の有利不利はよく検討しなければなりません。

H22.3.10

倒産にもいろいろな形がある

一口に「倒産」と言いますが・・・
 近時、事業会社では我が国最大の負債額による日本航空の会社更生手続申請による倒産が大きなニュースとなりました。どんな大会社でも倒産し得ることを今更ながら思い知らされます。もっとも、事業は継続し、飛行機は変わらず運行されております。
これに対し、同じ倒産でも事業を畳んで、財産を換価の上、債権者に分配して終結する形もあります。
このように、一口に倒産手続に入ったと言っても、具体的にどうなるかはケースバイケースです。

大別すれば、「清算型」と「再建型」
倒産処理の形は大別して清算型と再建型があります。
まず、清算型は、倒産状態になった債務者の財産をあまねく換価して現金化し、それを債権者に可能な限り弁済することを目的とします。この場合、債務者が法人の場合には、存続・再建を予定しておらず、解散へ向かいます。裁判所関与の下で行われる法的処理手続としては、破産、特別清算がこれにあたります。
これに対し、再建型は、倒産状態になった債務者の財産を直ちに換価・分配することは必ずしも予定せず、債権者らの権利を変更(債権額の全部又は一部のカット、分割弁済・期限の猶予等のリスケジュール)したうえで債務を軽くして、今ある財産を基礎にして収益を上げ、権利変更により軽くなった債務を弁済すること等で、債務者の事業又は経済生活の経済的再生を図ります。法的処理手続では、会社更生法、民事再生法がこれに該当します。
もちろん、裁判所が関与せず、債権者と債務者等の当事者の協議による私的整理でも清算型・再建型は存在します。

両者の区別は相対的
もっとも、両者の差異は相対的なものであることに注意が必要です。債務者が個人の場合には、清算型に属する破産手続は、これに付随する免責手続の存在により、再建型として事実上機能していることがほとんどです。また、再建型に属する民事再生手続又は会社更生手続でも、事業を他社に譲渡し、残った会社を清算を目的とした再生計画案又は更生計画案が作成されることもあります。

H22.3.9

「価値工学」で儲けよう!

 製品の開発・改良に長年活用されてきた「価値工学」と言う方法があります。

「価値工学」とは
価値工学の考え方は「価値(バリュー)=Function(ファンクション・機能)/Cost(費用)」と定義します。
分母のCostは製造原価(又は仕入れ価格)、分子の機能とは、顧客の満足度が決まる製品の基本機能(冷蔵庫なら冷却のコストパフォーマンスや使い易さなど)と付加機能(冷蔵庫のデザインの美しさなど)のことで、工夫すれば数値化できます。
「価値工学」を簡便に応用する場合、価値を上げる方法を次の5つのパターンをヒントにして改善します。
【価値最大化を図る5つの方法】

① F↑   ② F↑   ③ F→
   C↓      C→     C↓

④ F↑   ⑤ F↓
   C↑     C↓

① は製品の機能を上げ、同時にコスト (製造原価)を下げることによってこの製品全体の「価値」を上げるパターンで、最も理想的なパターン
② は製品機能を向上してコストを維持
③ は製品機能を維持してコストを下げる
④ は製品機能を大幅に向上し、コストをやや上げる
⑤ は製品機能を下げてコストを大幅に下げる
どのパターンも「価値」が向上しますが、
改善によってどのようなリスクが生じるか、注意深くチェックする必要があります。

 「価値工学」を生かそう!
「価値工学」を会社として生かすためには、社員のやる気を高めることが大切で、例えば次のような施策を打つと良いでしょう。
① 技術者に「価値工学」を学ばせ、製品の価値向上がもたらす経営上のメリットを示して、創意工夫を求める。
② 技術者の意欲を高めるために、毎年ベテランも若手社員も参加する価値向上・製品開発・改良アイデアコンテストを行って、評価・表彰を行う。
社長が、このような具体的方法で社員に働きかけると、社長のメッセージが的確に伝わり、利益確保へ向けて人と組織が活性化する企業改革が進みます。

22.3.8
マンション課税の歴史

 建物の区分所有等に関する法律は昭和38年から施行されていますが、固定資産税の課税はその後20年もの長きに亘り区分所有課税ではなく、共有者課税を続けました。

共有者課税と区分所有課税
 共有者課税とは、共有土地に対する固定資産税の課税方式で、共有者のうち任意の者に「甲ほか○○名」宛の納税通知書が交付され、甲が共有土地全体の税額を一括して納税する一括課税方式のことです。共有者間には連帯納税の義務があります。
 区分所有課税とは、各区分所有の戸別の持分に応じて課税する分割課税方式のことで、連帯納税義務が解除されています。

マンションでの共有者課税
 共有者課税のままだと、マンション区分所有戸数者170とすると、その中の1人甲に対し「甲ほか169名」宛の納税通知書が交付されることになります。甲は170戸分の固定資産税と都市計画税をそれぞれに不満の湧かないように按分し、徴収したうえで期限までに納付しなければなりません。エーッと思うようなことが強いられます。

不合理を裁判に訴えたが
 不満がおきるのは当然で、共有者課税方式は、民法における連帯債務者のように、主観的連帯関係をもった者の間において適用されるべきで、共同住宅所有者のような、相互に面識もない、主観的連帯関係のない者の間においては適用されるべきではない、と主張した出訴がありました。
 しかし、判決は、共有土地については、一括課税方式によるべきであり、分割課税方式は、適法であるとはいいがたいとし、当時すでに分割課税方式を採っていた神戸市に対し、違法な課税方式というべきと断罪しました。

あきれた判決でようやく法改正
 法の定める税額徴収の要請に応えればよいのではないかとの関係者の観測に反した、裁判所のゴリゴリの形式的な法文解釈主義に遭遇して、自治省も重い腰をあげ、昭和58年の改正により地方税法には第352の2条が追加され、連帯納税義務が解除され、持分ごとに課税されるよう立法的解決が図られました。
 課税当局も無策なら、それ以上に裁判所も長い判決文を書くだけで問題解決能力がないことを暴露した歴史の一場面でした。

H22.3.5

定期借家契約の「更新」?

定期借家契約に「更新」はあり得ない
 定期借家契約を結んだが、借り手が賃料の支払もよく、利用態様も問題がないので、ずっと借りて欲しいという場合には、契約を更新することができるのでしょうか。
 そもそも、定期借家契約とは、契約の更新がないことを特約した建物の賃貸借契約ですので、定期借家契約を更新することはいわば概念矛盾となります。したがって、引き続き契約関係を継続しようとすれば、定期借家契約が終了する際に、当事者間の合意により同一内容の定期借家契約を結ぶことはできます。これは、あくまで更新ではなく、再契約ということになります。
そうである以上、期間満了後に同一内容の定期借家契約を締結するにあたっては、契約の手続を一からやり直すことになります。つまり、契約の更新がない旨の書面による事前説明を行い、さらに契約期間が1年以上の場合には、期間満了の都度、期間満了による賃貸借契約の終了を通知する必要があります。これを怠ると、定期借家契約は無効となり、通常の借家契約として再契約したこととされ、正当な理由がなければ期間満了による契約の終了ができず、自ずと立退料の支払いの問題も出てきます。

再契約を予定する契約書における注意点
ところで、実際の契約書には、あからさまに更新をしないことを示すことで生じる空室や賃料下落のリスクを避けるべく、契約書で再契約を予定する条項や再契約事由(あるいは再契約拒否事由)を設けるというパターンが見られます。
しかし、契約の内容や運用の実質が、定期借家契約から離れ、通常の借家契約に近づくと、当初目的としたはずの定期借家契約としての効力が生じない場合があります。
例えば、契約書に記載の再契約拒否事由に該当しない、あるいは、再契約事由に該当するのに更新を拒否する場合には、当然に再契約の効力が生じます。そして、再契約における契約更新がない旨の事前説明がないので、通常の借家契約となります。
そして、再契約拒否事由が限定的に書かれており、借り手に落ち度さえなければ再契約に応じるような契約書になっている場合には、更新がない旨との事前説明と矛盾するため、実質的には更新がない旨の説明がないのと同様だとして、定期借家契約は無効となり、通常の借家契約が成立すると解されることがあります。

H22.3.4

裁判負けて税法改正

居住用家屋と敷地への特例
 自己の居住用家屋とその敷地に対しては税制上いろいろな優遇特例があります。居住用土地建物の譲渡所得の特例とか、被相続人の居住の用に供されていた宅地に係る小規模宅地の評価減の特例とかです。

居住用家屋は二つあってはいけないか
 家屋を複数所有する人にとっては、居住用家屋が複数になることはありえます。
 それで、先に例示した、居住用土地建物の譲渡所得の特例の規定では、法律ではなく政令ではありますが、「その者がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限るものとする」としています。
 それでは居住用土地建物というとき、いつも「主として」を基準に「一つに限る」ということになるのでしょうか。

「一つに限る」の規定がない
 先に例示した、相続税に関する居住用小規模宅地の評価減特例の場合をみると、「主として」を基準に「一つに限る」との規定が、法律にも、政令にも、省令にもありません。
 そうすると、複数の家屋を自己居住用としていた被相続人の場合には、それら複数の家屋の敷地について、どれにも小規模居住用宅地の評価減特例が使えることになります。

税務当局はそう解釈しない
 この小規模居住用宅地特例は以前、通達で規定していましたが、このような特例を通達で定めることに異論があり、昭和58年に法律となったという経緯があります。
 そして、以前の通達では「相続開始時において被相続人が主として居住の用に供していた宅地をいうものとする」とされていたので、税務当局としては、現在の法律の解釈を、通達時代と同様「主として」を基準に「一つに限る」としていました。

敗訴して今年の税法改正に期す
 この解釈をめぐる争いが起き、地裁と高裁の判決がありました。いずれの判決も、税務当局の解釈をNOとしました。
 今年の税制改正大綱に「特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化します」とあるのは、この判決を承けたものでした。

H22.3.3

「SWOT分析」で課題発見!

 自社の「○○の強みを△△のチャンスに生かす。」など重要な経営課題を分析、検討し事業戦略を立てるために「SWOT分析」と言う手法があります。

「SWOT分析」とは何か?
S:Strength:強み
W:Weakness:弱み
O:Opportunity:機会
T:Threat:脅威
S(強み)とW(弱み)は内部環境・自社の内部にあるもの、O(機会)とT(脅威)は外部環境・市場・顧客や政府の政策・技術革新の動向・競合他社の動きなど外部にあるものである。

分析、検討の留意点
 「SWOT」の中で最も重要な課題分析の視点は「自社の強み」を「機会」に生かすことです。「強みと弱み」は、事業の実績や自分達の努力の結果から、客観的に見つけ出す努力が大切です。例えば過去数年の実績に裏付けられた強みと弱みを的確に評価するのです。「強み」を単なる「希望的観測」で記述しては、本当に活用できず、「弱み」を軽んじては克服できないからです。
「脅威」を見逃すと、その回避策が打てず、重大な損失を招く可能性があります。
 また「機会」は積極的な意識・行動から見つけ出さなければなりません。漠然とした意識で、チャンスが来るのを待っていても、チャンスをとらえることは不可能です。 
 自社の「強み」を生かせるチャンスはどこにあるのか、積極的に市場の現地・現場へ探しに出かけたり、自社にとって問題があれば、その「問題解決」がチャンスになる場合もある、と言う積極的意識で分析、検討することが大切です。しかし、積極的な社長ほど独りよがりになりがちです。どんな小さな会社でも、奥様とか社員等の他人の意見を取り入れることをお勧めします。

H22.3.2

外貨預金と為替差損益

円為替レートの推移
 今年に入ってからも、円相場は90円前後に張り付いたままで、円高基調が続いています。円高への傾向は固定し、強くなっているような気配です。
そうなると、外貨預金による為替差益を狙うことは期待できません。こういう現状では、むやみに外貨預金の取り引きを行うよりも、税務上の取り扱いを知っておく方が有益かもしれません。

外貨預金の利子
 外貨預金の利息は利子所得です。税額算出方法については、外貨利息そのものに直接税率をかけるのではなく、外貨利息をいったん円換算した上で、源泉分離課税として税率20%(所得税15%+住民税5%)をかけて源泉徴収することになっています。つまり、確定申告をする必要はなく、実際に受け取る利息額も税引き後のものです。円貨の預金利息の扱いと同じです。

為替差益の所得
為替差損益は総合課税の雑所得です。ただし、外貨建預貯金でその元本と利子を予約レートで換算して支払うこととされているものの差益だけは利子所得と一緒の源泉分離課税です。
サラリーマンで外貨預金をしていた場合は、給与所得以外の所得が20万円以下のときの確定申告不要については、源泉分離課税の預金利息や為替差益はその判定から除外されます。判定対象は予約レートに係らない為替差益の部分だけです。
とは言え、医療費控除などを受けるために確定申告を行うのであれば、為替差益が20万円以下であっても、その分も含めて確定申告する必要があります。

為替差損の所得
なお、為替差損がでた場合、ほかに雑所得に該当する所得がなければ、為替差損による雑所得は0円となります。雑所得の赤字は他の所得の黒字との損益通算ができないからです。
従って、年金所得とか原稿料とかFX店頭取引とかの雑所得がほかにある場合は、被った為替差損は、それらの雑所得とは損益通算できます。
 例外として、差金決済先物取引や株式売買取引で雑所得となるものがあったとしてもこれらの雑所得は分離課税なので損益通算対象外です。

H22.3.1

退職者の健康保険(親族の被扶養者)

退職者に伝えたい健保手続き②
 会社を退職した方が、次の健康保険制度に加入する方法としては、一般的には、会社を通じて加入していた健康保険を「任意継続」するか、市区町村が運営する「国民健康保険」に加入するかの二者択一になりますが、場合によっては、「親族が加入している健康保険の被扶養者」になるという方法もあります。

親族の健康保険に加入するには
 同居の親族の被扶養者となるには、本人の年収が130万円未満で、扶養する親族の年収が本人の2倍以上であることが要件です。ただし、本人の年収が親族の半分以上であっても、130万円未満でその親族の年収を上回らない時で、世帯の生計状況から総合的に考えて、その親族が生計維持の中心的役割を果たしていると認められる時は被扶養者になれます。
 年収130万円未満というのは、給与収入のみならず、退職した本人が雇用保険の基本手当を受ける場合は、1年に換算して、130万円以上になるか否かで、被扶養者としての判断をします。雇用保険の失業給付は非課税ですが扶養の認定の時は、その収入は判断材料の一つとされます。
雇用保険の基本手当の日額は、原則として退職前6ヵ月間の給与総額(賞与は含まず)を180で除した額を賃金日額、その5割が基本手当日額となります。一定額より低い場合は、賃金日額の5割から8割の範囲内で決定されます。(60歳未満の場合)。職安で示された基本手当日額を1年分に換算してみると判断ができるかと思います。

国民年金の手続きも併せて行う
 配偶者の被扶養者になる場合で本人が60歳未満の時は国民年金の「第3号被保険者」になることもありますので、配偶者の会社を通じて併せて手続きするのがよいでしょう。
 又、60歳以上の人が退職した場合は健康保険の被扶養者になれる年収は180万円未満となり、年収基準のハードルが低くなります。収入の中には雇用保険の失業給付と同時には受けられませんが、年金収入も対象となります。