港区 税理士法人 大沢会計
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2008年2月

2008/02/28

H20.2.28

18年度分申告における定期同額給与については19年度改正を加味

平成18年度の税制改正で一新され、翌19年度改正で取扱いの明確化が図られた「役員給与の損金不算入制度」。そのうちの特に定期同額給与については、18年度分の申告においても、物理的に無理な場合などやむを得ない事情があるときは19年度改正を加味した柔軟な取扱いをする方針であることが国税庁への取材によりわかった。その根拠は、19年度改正の趣旨が18年度改正を明確化したにすぎないということ。つまり18年度分申告においても19年度改正の趣旨は論理上生きているという解釈だ。

役員給与の損金不算入制度(法法34)における定期同額給与(法令69)は周知のとおり、平成18年度改正で導入され、翌19年度改正でその取扱いが緩和された。この19年度改正では、自社都合によらない「特別の事情」がある場合は期首から3か月以内でなくても役員給与を改定できることや、役員の職制上の地位変更や職務内容の重大な変更等の「臨時改定事由」があった場合には期中でも改定できることなどが手当てされている。

これらの緩和措置が平成18年度分の申告についても適用されるのか否か、実務家の間で疑問視されていた。法令どおりに解釈すればもちろん、18年度分申告は18年度改正の範囲内で取り扱われるべきであり、19年度改正も当然のことながら19年度分申告から適用されるべきであるという考え方はある。しかし、19年度改正が18年度改正の趣旨を踏まえた上で現実的対応を図った改正であるとすれば事情は異なってくる。その一つの証拠として、平成19年度改正の大綱では役員給与の改正について次のように記されている。「定期同額給与について、職制上の地位の変更等により改定がされた定期給与についても定期同額給与として取り扱うことを明確化する」。要するに19年度改正の趣旨は18年度改正を踏まえた取扱いの「明確化」であったのである。

国税庁もこの点については同様の説明をしている。このため、平成18年度申告について「物理的に無理な場合などやむを得ない事情があるときは」19年度改正に準じた取扱いをすべきであることを示唆している。特に、親会社の役員給与が決まらなければ、自社の役員給与を定められない子会社など、「特別の事情」がある場合は、たとえ期首から3か月以内に改定できなくても認められる公算は高い。臨時改定事由についても基本的には同様に理解してよいだろう。

平成18年度改正と19年度改正とはその趣旨において通底していると言える。税務調査等においてもこの考え方を基本に据えてしかるべく対応したいところだ。

H20.2.27

過年分の年金の支払で誤った源泉徴収のおそれ

社会保険庁から、発行した「公的年金等の源泉徴収票」の一部に誤りがあることが公表されました。

それによると、年金記録の訂正による裁定の変更により、既に年金を受給している方の年金額が遡及して増額し、過年分を一括して支払う場合、社会保険庁では、従来から一括支払いした年金をその年の公的年金等の収入金額として、源泉徴収税額を計算・徴収し、それに基づく源泉徴収票を受給者に発行してきましたが、遡及した各年分の公的年金等の収入金額として源泉徴収税額を計算・徴収することが、適正な取扱いであることが確認できたので取扱いを改めることにした、としています。

この内容について国税庁は、過去の年金記録の修正等により、支給もれ年金の一括支払を受けている場合は、誤って過去の年分の年金支払額を支払い時の年分に合計して作成されている場合があるとして、注意するように呼びかけています。

特に、誤った源泉徴収票を受け取っていると思われる方については、社会保険庁(社会保険事務所)で確認をして、誤りがあれば各年分の正しい源泉徴収票の再発行を受けた上で、平成19年分確定申告の手続を行うことと、必要に応じて平成18年以前分の修正申告又は更正の請求を行う必要があるとしています。

なお、源泉徴収票の再交付は、社会保険庁(社会保険事務所)に、源泉徴収票の誤りにより請求することを明確に示した「源泉徴収票再交付申請書」を提出することによって、修正後の公的年金等の源泉徴収票が郵送されます。

H20.2 .26

4月からパートタイム労働法が変わります

少子高齢化、労働力減少社会で、パートタイム労働者がその能力をより一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正され、4月1日から施行されます。

今回の改正のポイントとして、まず挙げられるのが、事業主に、労働条件を文書などで明示することが義務付けられた点です(改正法第6条)。各事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、速やかに①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無の3点を文書の交付等により明示しなければならないこととされ、違反の場合は10万円以下の過料が科されることになります。改正法では、これら3つの事項以外のものについても、文書の交付等により明示するように努めることとしています。

更に、雇い入れ後、パートタイム労働者から求めがあったときは、その待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければならないこととされています(改正法第13条)。具体的には「労働条件の文書交付等」「就業規則の作成手続」「待遇の差別的取扱い禁止」「賃金の決定方法」「教育訓練」「福利厚生施設」「通常の労働者への転換を推進するための措置」が、説明義務の対象となっています。

説明に当たっては、例えば賃金の決定方法について、賃金がその仕事内容に応じたものであることについて中身のある説明が求められますが、パートタイム労働者が納得することまでを求めるものではありません。

H20.2.25

上場株式等の譲渡損失(赤字)の繰越控除制度

米国サブプライムローンの影響で、株価低迷が伝えられています。

一般に、個人投資家が株式等を売却して、税務上の“譲渡損失”(赤字)が生じたケースでは、そのマイナス金額は、他の株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額があれば、それとの間で通算することになります。その際、赤字が黒字を上回っており、控除しきれない赤字金額が生じても、給与所得など他の所得の黒字の金額から差し引くことはできません。

ただし、上場株式等については、証券会社を通じて売却するなど一定の要件を満たす場合、その譲渡損失の金額が生じた年の翌年以後3年間にわたって同じ株式等の譲渡による黒字金額から繰越控除することが認められています。この特例の適用を受けるためには、以下の手続きが必要となりますので、ご注意ください。

(1)譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき、上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書及び株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の添付がある確定申告書を提出すること。
(2)その後において連続して確定申告書を提出すること。
(3)この繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書及び株式等に係る譲渡所得等の金額がある場合にはその計算明細書の添付のある確定申告書を提出すること。

H20.2.22

加入健康保険組合の確認を

中小企業の従業員や家族が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の収支で厳しい状況が続いています。社会保険庁の試算では、最悪のケースで2011年度に4,400億円の赤字となることがわかっています。
政管健保の苦境を救いたい状況ではありますが、社会保障費の削減も行われており、政府管掌でありながらも政府からの追加援助は困難な状態です。

そこで、比較的財政状況のよい大企業の健康保険組合や共済組合に政管健保への国庫負担金1,000億円を肩代わりさせるという案が浮上、健保組合もこれを了承する流れとなりました。
結果的に全国に1,500ある健保組合のうち財政的に余裕のある700組合に750億円、共済組合に250億円の肩代わりをさせる法案が決定しました。

加入している健保組合次第では、平均で年間1人当たり1万円強の負担増となることが予想されており、現在加入している健保組合が財政基盤の強い組合かどうかで保険料負担が増える可能性があります。

H20.2.21

法改正の遡及適用を巡り分かれる司法判断

個人の土地や建物等の譲渡損と他の所得との損益通算を規制する改正が、平成16年度の税制改正により行われていますが、この改正がその年の4月からではなく、1月に遡り適用されたことの是非が裁判で問われ、1月29日に、福岡地裁は遡及適用を違法とする判断を示しました。

これは、改正された法律は平成16年4月から施行されましたが、損益通算を認めないとする改正により、土地や建物の価額が乱高下することによる経済の混乱を避ける意味から、法律の適用が16年1月に遡及されたことに対し、そのことを知らずにマンションを譲渡して、その譲渡損失が認められなかったことを不服として提起された訴訟です。

福岡地裁は、法改正が十分に周知されていたとは言えないとして、納税者の主張を認め、遡及適用を憲法違反とする判断を示しました。
国側はこれを不服として、高裁に控訴をしています。

ところが、その後の2月14日、同様の内容で争われた裁判において、東京地裁は、遡及適用を不服とする納税者の請求を棄却する判決を行いました。
先の福岡地裁と、その後の東京地裁では、相反する司法判断が示されたことから、東京地裁における事案において、納税者サイドが控訴するかが注目されています。

特に、納税者にとって、不利になるような税制改正を遡及適用することの是非が問われていると言える内容の裁判だけに、今後の税制改正にも影響があるとされており、控訴審における判断にも関心が集まっているようです。

H20.2.20

武富士事件で国側が逆転勝訴

消費者金融最大手の武富士・故会長とその妻が、海外に居住する長男に行った海外子会社株式の贈与は、日本の当局が課税できるのか否かが争われていた裁判で、東京高裁は1月23日、納税者の主張を全面的に認めた昨年5月の東京地裁判決(平成17年(行ウ)第396号)を取り消し、約1,300億円の追徴課税は適法とする判決を下した(柳田幸三裁判長・平成19年(行コ)第215号)。

事件の争点は、贈与当時の長男の住所が日本にあったか否か。国側は、①長男は香港滞在期間中も約26%は日本に滞在していること、②香港ではホテル同様のサービスが受けられるサービスアパートメントに起居しており、生活諸道具を運搬しておらず、その家賃も極めて高額であったこと、③長男の香港における業務(ベンチャーキャピタル業務等)には実体がなかったこと、④香港滞在期間中も武富士の取締役会に出席していること、⑤長男の資産はほぼすべて日本に所在すること――等の事実から、長男の香港滞在は贈与税の回避のみを目的とした一時的なものであり、生活の本拠は日本にあると認定した。

これに対し一審の東京地裁は、「香港に65%滞在していたのは事実であり、贈与税回避の目的その他の諸事情を考慮してもなお、長男が日本に生活の本拠を有していたと認定することは困難」と結論づけ、約1150億円の贈与税の決定処分及び170億円の無申告加算税賦課決定処分をすべて取り消した。

ところが控訴審では、上記国側の主張を取り上げた上で、「香港における滞在日数を重視し、日本における滞在日数と形式的に比較してその多寡を主要な考慮要素として香港自宅と日本の自宅のいずれが住所であるかを判断するのは相当ではない」、「本件滞在期間中の長男の生活の本拠は、それ以前と同様に、日本の自宅にあったものと認めるのが相当であり、他方、香港自宅は、長男の香港における生活の拠点であったものの、長男の生活全体からみれば、生活の本拠ということはできないものというべき」と判示。一審の判断を覆し、国側に軍配を上げた。

H20.2.19

今年から匿名組合契約分配金の源泉徴収制度が変わりました

「匿名組合」とは,商法上の組合をいい,「当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,その営業から生ずる利益を分配することを約すること」によって成立する契約形態です。

この匿名組合契約等の利益の分配で、居住者又は内国法人が支払を受けるものについては、従来は「事業者が10人以上の匿名組合員等と締結する契約等」に限り源泉徴収及び支払調書制度の対象とされていました。逆にいえば、組合員が9人以下であれば、源泉徴収&支払調書は不要だったわけです。

この点につき、平成19年度税制改正で、重要な見直しが行われ、「10人以下」という人数要件が撤廃され、人数に関わらず源泉徴収&支払調書提出が義務付けられることになりました。非居住者及び外国法人が支払を受ける分配金については、既に平成14年度税制改正においてこの人数要件が撤廃されており、遅ればせながら、これに歩調をそろえたかたちとなります。

この人数要件の撤廃は「平成20年1月1日以後に支払うべき匿名組合契約等に基づく利益の分配又は同日以後に提出する匿名組合契約等の利益の分配の支払調書」から適用がスタートしているのでご注意ください。

H20.2.18

再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)の取扱いは3月31日まで

国民金融公庫では下記要領にて「再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)」を実施しています。取扱い期限は「3月31日まで」となっているため、ご利用を検討されている方はご注意ください。

●利用対象者:新たに事業を始める方または事業開始後おおむね5年以内の方で、次のすべてに該当する方
①廃業歴等のある方、②廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等がある方、③廃業の理由・事情がやむを得ないものである方(無許可営業の摘発など違法行為による廃業でない方)
●資金の使いみち:新たに事業を始めるためまたは事業開始後に必要とする資金
●融資額:2,000万円以内
●利率(年):固定金利型貸付は公庫基準利率。 実績連動金利型貸付は据置期間中は0.3%、期間満了後は1.05~5.55%。固定金利型貸付の場合は、返済期間によって異なる利率が適用されます。 実績連動金利型貸付 の場合は、据置期間満了前に売上高増加率によって営業状況を判定し、一定の区分に従って据置期間満了後の利率が決定されます。
●返済期間:原則として5年以内又は15年以内。
※詳しくは国民金融公庫ホームページhttp://www.kokukin.go.jp/index.htmlまで。

H20.2.15

福利厚生費、過去最高の月104,787円

(社)日本経済団体連合会(日本経団連)のまとめた2006年度の「福利厚生費調査結果」によると、一人当たりの福利厚生費は月平均104,787円(前年度比1.0%増)と過去最高であったことがわかった。8年連続の過去最高の更新である。

このうち、社会保険料等の企業拠出分である法定福利費は76,437円(同1.3%増)、企業が任意に行う福祉施策に要する費用である法定外福利費は28,350円(同0.2%増)であり、法定福利費の増加が目立つ。これは、厚生年金保険の料率引き上げの影響によるもので、この結果、法定福利費だけでなく福利厚生費全体でも、月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額の伸びを上回っている。

現金給与総額(587,658円)に対する比率は、福利厚生費全体で17.8%と前年度と同率。このうち法定福利費は13.0%(前年度比0.1ポイント増)、法定外福利費は4.8%(前年度同率)。
法定外福利費の増加がわずかな中で、「医療・健康」(同5.4%増)、「ライフ・サポート」(同3.5%増)などの伸びが目立った。

H20.2.14

管理監督者を巡って動き出す大手企業

マクドナルドの店長に残業代を支払わないのは違法であるとした東京地裁の判決が波紋を広げています。

判決では名目だけの管理職は管理監督者には当たらず、経営者と一体的立場でなければ管理監督者にはならないとしました。そのため、マクドナルドに未払いの残業代を支払うよう命じたというものです。

小売店や外食店などでは若年労働者でも店長などの肩書きを持つケースも少なくありません。その上で、管理監督者であるという扱いにして残業代を支払っていない企業も多く存在します。

しかし、先般の判決でそのような対応が違法と判断される可能性が高くなったことから、各企業では店長などで管理監督者に当たるとしていた従業員の実態を再確認し、経営者と一体的立場にあるかどうかなどの検討を始めているようです。すでにセブンイレブンで店長に対して、店長手当の支給に代えて実際の労働時間に見合う残業代支給に切り替えるなどの動きが出ています。各社で実態を確認して対応することが望まれます。

H20.2.13

半数近い企業は賃金改善へ~2008年度の賃金動向に関する企業の意識調査

帝国データバンクは、先に2008年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施、このほどその結果がまとまりました(調査期間:2008年1月22日~31日。有効回答企業数は1万49社)。

それによると、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある(見込み)」と回答した企業は、1万49社中4,520社で全体の45.0%となりました。前回調査の2007年度の44.0%を若干上回りました。

賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が1万49社中4,024社、構成比40.0%となり、「賞与(一時金)」は同22.1%(2,218社)。2008年度は、ベースアップが前回調査の36.5%から3.5ポイント増加している一方、賞与(一時金)は25.2%から3.1ポイント低下しており、賃金の上昇圧力が高まるなか、ベースアップによって賃金の改善要求に応えるように企業姿勢がシフトしてきている様子がうかがえます。賃金改善の理由は、「労働力の定着・確保」が4,520社中3,119社、構成比69.0%(複数回答、以下同)で全体の7割を占めました。

一方で、賃金改善が「ない」理由として最も多かったのは「自社の業績低迷」で2,792社中1,907社、構成比68.3%(複数回答、以下同)と、こちらも7割近くに達しています。企業業績の回復による賃金改善の動きがある一方で、業績の低迷によって賃金改善には至らない企業も多数にのぼっているのが現状です。
※帝国データバンクhttp://www.tdb.co.jp/

H20.2.8

政府がパキスタン・オーストラリアとの間で新租税条約を“署名”

参議院の与野党逆転現象が政局の停滞を生んでいますが、ここにきて野党民主党の党首小沢氏が突然代表を辞任すると発表し、ますます政局が混乱しそうな気配となっています。
停滞する今国会ではいまだ重要法案が一本も成立しておらず、前国会からの懸案事項であった労働法制関連法案に関する議論も当然に進んでいません。

特に労働基準法改正、最低賃金法改正、労働契約法の新設などは企業側にとっても重要な法律であることから、その行方には注目する必要があります。
労働基準法改正案では一定の時間を超えた残業について、その割増率を引き上げる内容となっており、実現した場合、企業の負担は相当に増えることになります。最低賃金についても、引き上げる動きとなっており、パートやアルバイト労働者を雇用している企業ではこちらも負担増となる可能性が高い改正項目です。

今後の国会の行方は混沌としていますが、いずれにしても早期に議論が再開されることが望まれます。

H20.2.7

国税庁、逓増定期保険の課税強化案をパブコメで公表

企業の節税手法の一環として利用されてきた「逓増定期保険」がシャットアウトされる方向であることがこのほど明らかになった。

国税庁は昨年12月26日、「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部改正案をパブリックコメントで公表、1月末まで意見公募している。この中で国税庁は、保険期間中に保険金額が逓増する、いわゆる「逓増定期保険」に対する課税のハードルを大幅に引き上げる方針であることを明らかにした。

これまでの通達による逓増定期保険の適用対象は、①保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険で、②その保険期間満了の時における被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるもの――という複雑なしくみとなっていた。逆に言えば、この要件に当てはまらないように保険を設計すれば、支払った保険料を全額損金算入とすることも可能だったわけだ。

ところが改正案では、上記要件のうち②について、「その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの」と単純化するとともに、対象年齢を大幅に引き下げた。この要件をクリアして節税に利用することは極めて困難であることが予想される。

また、従来の通達では損金算入が制限される契約でも、保険期間満了時の年齢等により損金算入額を2分の1、3分の1、4分の1と区分していたが、上記の改正によりこの区分も微妙に変わってくる。
改正案の適用開始予定時期はいまだ明らかにされていないが、2月以降に正式発遣される通達を注目したい。

H20.2.6

震災被害者向けに雑損控除の簡便計算を用意

今回の平成19年分の確定申告においては、昨年3月の能登半島地震や同じく7月の新潟県中越沖地震で被害を受けた者などに対して、雑損控除の適用上必要となる損失額を算定するための簡便計算が用意されている。被害を受けた家屋や家財の取得価額等がわからなくても計算できるように配慮されており、ぜひ活用したいところだ。

災害等により生活に通常必要な資産について損害を受けた場合にその損失額を所得から控除し、納税額を軽減又は還付することが認められるのは周知のとおり。この雑損控除の適用を受けるには、損害額を算定することが求められるが、特に震災等においては家屋や家財等の取得価額が不明となっている場合が多い。そこで金沢国税局と関東信越国税局は、能登半島地震と新潟県中越沖地震、さらに台風9号によって損害を被った者を対象として、特別に簡便計算を用意して対応している。

例えば、家屋の取得価額が不明の場合には、「地域別・構造別工事費用表」により県別と構造別に1㎡当たりの工事費用が示されている。これに家屋の総延べ床面積をかけ合わせれば、その家屋の取得価額を算定することができるわけだ。この取得価額から被災時までの減価償却額を差し引いたものが被災時の時価ということになる。

また、家財の損失額については「家族構成別家財評価額」により、世帯主の年齢と夫婦か独身か、あるいは子の有無によってその評価額が即座にわかるようになっている。

このようにして、家屋と家財の被災時における時価を算定し、この合計額に被害割合をかけ合わせたものが、雑損控除の適用を受ける際の損害額ということになる。

例えば被害割合100%とは、全壊・流出・埋没・倒壊等をいい、具体的には「被害住宅の残存部分に補修を加えても、再び住宅として使用できない場合」などをいう。台風による浸水被害においては家屋について100%の被害割合はなく、平屋の家財については床上浸水1m以上の場合に100%となるなどとされている。

H20.2.5

ペットの供養施設に課した固定資産税は違法

宗教法人の敷地内で、ペットの供養のために遺骨を収蔵保管しているロッカーに、固定資産税を課すことは違法である、との判断が東京高裁で示されました。

地方税法では、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」は、固定資産税の非課税の範囲に規定されています。

事案においては、問題となったロッカーがこの規定に該当するか否かが争われ、その宗教法人では民間のペット霊園が多数開業する以前からロッカー形式により動物の遺骨の安置を開始している等の理由から、民間業者との相違が認められるとして、固定資産税については非課税とする判断が示されています。

昨今のペットブームを反映して、ペットの埋葬事業を行う業者もみられるようになりました。このペットの埋葬事業は、法人税法上の収益事業に該当するとされた判例があり、今回の判決でも、宗教法人の行った遺骨の安置保管は法人税法上の収益事業に当たるとされています。

しかしながら、その宗教法人は江戸時代から動物の供養を行い、動物を供養することについて世間一般に広く受け入れられて社会的にも認知が得られており、動物を埋葬する民間業者と同様の営利的なものとすることはできないと高裁は判断しています。

また、高裁は、ペットの埋葬事業が法人税法上の収益事業に該当することについては、そのことが直ちに地方税法の非課税該当性を否定するものではないとの判断も示し、固定資産税を取消しています

H20.2.4

中小公庫が知的財産権(特許権)を担保とした事業融資を実施

中小企業金融公庫では、このほど、東京都内の2社の中小企業に対し、知的財産権(特許権)を担保として、特別貸付制度「新事業育成資金」を実施しました。

この融資制度は、高い成長性が見込まれる新事業に取り組む中小企業を支援するもので、今回対象となった両社とも、独自の優れた特許技術を新事業に活用しており、中小公庫ではその新規性・成長性を評価し、「新事業育成資金」の適用を決定したとしています。その際、両社に対して、これらの特許技術を活用した新事業が生み出すキャッシュフローの現在価値をベースに担保の評価を行い、新事業に取組む中で必要となる資金を融資したものです。

中小公庫では、今回実施した特許権のほか、プログラム著作権など知的財産権を担保とする取組みについて平成8年度より取扱いを開始しており、今回の両社への融資で累計11件の実施となっており、「今後とも知的財産権を担保とするなど、不動産担保に過度に依存しない融資の定着に向けた政策誘導機能を発揮していきたい」としています。また、知的財産権以外にも、従来から機械装置等を担保評価するなど、不動産担保に過度に依存しない融資を進めており、新たに「在庫担保融資」の取扱いにも取り組んでいるとのことです。

※「新事業育成資金」については中小企業金融公庫HPを参照。http://www.jasme.go.jp/jpn/search/01.html

H20.2.1

平成19年分所得税の確定申告の留意点

まもなく平成19年分所得税の確定申告がスタートします(今年は平成20年2月18日(月)~平成20年3月17日(月) )。そこで、今回の申告に係る所得税関係の主な改正事項をまとめてみました。

①定率減税が廃止され、所得税の税率構造が改められました。
②損害保険料控除が改組され、地震保険料控除が創設されました。
③住宅借入金等特別控除の控除額の特例が創設されるとともに、住宅借入金等特別控除の適用対象となる増改築等の範囲に一定のバリアフリー改修工事が加えられました。
④住宅ローン等を利用して居住の用に供する家屋について特定のバリアフリー改修工事(特定増改築等)を含む増改築等を行い、平成19年4月1日以後に居住の用に供した場合で、一定の要件に当てはまるときは、特定増改築等住宅借入金等特別控除が受けられることとされました。
⑤寄付金控除及び政党等寄付金特別控除の控除対象限度額が総所得金額等の40%相当額に引き上げられました(改正前:30%)。

なお、本人の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書を付して所得税の確定申告をe-Taxで行うと、最高5,000円の所得税の税額控除(電子証明書等特別控除)が受けられます(平成19年分又は平成20年分のいずれか1回のみです)。