港区 税理士法人 大沢会計
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2008年8月

2008/08/31

H20.8.29

振込め詐欺被害に税制上の救済は?

オレオレ詐欺の被害が広がっているお欺
「おれだよ、おれ。」と、電話をかけ「実は事故にあっちゃってお金が必要になった。すぐにお金を振り込んで。」などと言い、指定した銀行等の口座に現金を振り込ませるというのが「オレオレ詐欺」のやり口ですが、最近も高齢者をねらったオレオレ詐欺の被害は広がっているそうです。
家族を大切にする気持ちを利用した卑劣な犯罪であり、警視庁の調べによると、平成19年中の都内の「振込め詐欺」(還付金詐欺を含む)の被害件数は、3,497件(前年比+114件)で、そのうち「オレオレ詐欺」は2,072件となっています。

犯行の手口が巧妙になっている
・お金が必要な理由として、借金の返済・事件(他人にケガをさせた、高価な物を壊した)や交通事故の示談金、弁済費など様々です。
・警察官や弁護士、鉄道関係者を名乗って、痴漢による逮捕を免れるための示談金を請求する詐欺もあるそうです。
・最近は、税務署や自治体名等を名乗って、税金、保険料等の過払い分を還付するので「ATM」に行くように指示し、ATMを操作させてお金を振り込ませる還付金詐欺が増えています。
・銀行の振込みだけでなく、宅配業者や書留、小包、定形郵便物を利用させる場合もあります。また、家族の勤務先の同僚を装って所定の場所(最寄駅の付近など)を指定し、現金を受取りに来る大胆な手口もあるようです。

雑損控除の対象になるか?
災害(震災、風水害、火災等)盗難もしくは横領によって、資産について損害を受けた場合などには、所得控除が受けられる制度があり税負担は減少されます。
しかし、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
理由は、災害や盗難などは本人の意思に関係なく起きますが、詐欺や恐喝は本人も何らかの責任があるとみなされるためです。大変に気の毒ですが、これが税法の考え方のようです。

H20.8.28

扶養義務者相互間における所得・贈与課税の適用除外範囲

民法877条は、扶養義務者の範囲を定め、互いに扶養を義務付けています。条文では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と定めています。
そこで、贈与税及び所得税では、一定の条件を満たした給付財産については、所得税から除外し、贈与税の課税価格にも算入しない旨を定めています。

(1)所得税法上の取扱い
所得税法では、個人からの贈与により取得したものには所得税を課しませんが、さらに、「学資に充てるために給付される金品及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」も課税しないと定めています。この所得税法の規定は、「扶養義務の履行」に伴う財産給付は贈与にはあたらないため、そのことを考慮してこの規定を設けたものと思われます。

(2)贈与税の取扱い
贈与により取得した財産であっても、扶養義務者間の生活費及び教育費に充てられるものであり、かつ、通常必要と認められるものは、贈与税の課税価格に算入しないと定められています。
なお、子に十分な所得があるにもかかわらず、一緒に暮らす父が生活費の全部を負担し、また、孫(その子の子)の学資等の全部を祖父(子の父)が負担している場合にまで、課税の適用除外となることに疑問視する向きもあるようです。
そこで、問題となるのは、生活費及び教育費の意義とその取扱です。

(3)生活費及び教育費の範囲
生活費は、日常の衣食住に必要な費用のみでなく、治療費、養育費等も含むものと取り扱われています。また、教育費ですが、義務教育費に限ることなく、被扶養者の教育上、通常必要と認められる学資等を含むものとして取り扱われています。
以上のことから、前述した父(祖父)の負担が「生活費」、「教育費」に充てるためになされたものである限り、贈与税の課税価格に算入されないと考えられます。

(4)生活費及び教育費の取扱い
生活費、教育費として取得した財産を一時的に預貯金や株式等に運用した場合、「通常必要と認められるもの」以外のものとして取り扱われるおそれがあります。それ故、必要な都度直接これらの用に充てることが課税の適用除外要件と言えそうです。

H20.8.27

配当金の税務上の取扱い

平成13年旧商法改正前において配当は、利益からなされるものと法定され、資本からの配当は禁止されていました。ところが改正後は、金庫株の解禁と相まって、資本準備金の取り崩しによって生じた「その他資本剰余金」を配当の原資として認め、利益処分のよる配当に包含されました。それゆえ、税務においても配当受領側では配当課税を行なってきました。

しかし、新会社法では株主総会決議等により期中いつでも剰余金の配当を行なうことが可能となり、定時株主総会における利益処分という考えがなくなりました。税務もこれに合わせる形で、これまでの利益処分という行為に着目した課税関係の分類を改め、その配当原資に着目して課税関係を整理するに至りました。

(1)税務の計算はプロラタ計算
前述したように、これまで、利益剰余金や資本剰余金からの配当は、全て受取配当金とされてきましたが、平成18年税制改正後は、利益剰余金からの配当は「受取配当金」とされ、資本剰余金からの配当についてはプロラタ(比例配分)計算により算出した一部の金額のみ「みなし配当」とし、その他の金額については「資本の払い戻し」として取り扱われることになりました。

結果、「みなし配当」部分は源泉徴収の対象に、配当受領側では「受取配当金の益金不算入」の対象になります。
また、「資本の払い戻し」部分については、有価証券の譲渡対価となり、有価証券売却損益を認識することになります。

(2)株主側(法人)の会計処理
設例で確認してみましょう。
①資本剰余金から配当100、配当を実施した会社側の②直前の資本金等の額200、③簿価純資産の額400、株主側 (100%保有)の④有価証券の簿価100としますと、純資産減少割合0.25(①÷③)「プロラタ計算」となり、みなし配当は50(①-②×0.25)、有価証券の簿価減少額25(④×0.25)となります。仕訳で示すと次のようになります。
現金預金97 / 有価証券   25
租税公課 3   有価証券売却益25 
受取配当金  50
※資本減少割合等については、配当支払法人側が通知する義務があります。また、租税公課は、7%の源泉徴収額です。個人株主においても取扱は同じです。

H20.8.26

前払費用を少し深掘り

企業会計原則における前払費用の規定
①一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価
②このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となる

税法通達での短期前払費用の規定
一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するもので、次のもの。
①その支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもの
②その支払った額に相当する 金額を継続してその支払った日の属する事業年度で損金経理しているもの
③次期以降の収益との個別対応関係にある費用ではないもの

両者の共通点と相違点
ともに支払を前提としているので、未払いの場合は前払費用にはなりませんが、支払いには手形支払いも含まれます。
通達での前払費用の規定は、「時間の経過とともに次期以降の費用となる」ということに触れていません。それでか、雑誌・新聞の購読料、インターネットのバナー広告代金、野球やボクシングのボックスシートチケット代金などについて、これらを短期

前払費用に含めている解説もあります。

通達規定①②③
税法でテーマになっているのは、損金算入可となる短期前払費用のみです。

通達①の意味は、前払期間は最長1年との要求で、2年分を支払った場合には、未経過分の全額を資産勘定に計上しなければならないということです。ただし、自賠責保険料は保険期間が最長3年ですが、少額不追求として取り扱われています。

通達②の意味は、会計処理の継続性の要求で、毎月払契約の家賃を年払い契約に改めることなく任意に年払いした場合などと不規則でも、常に支出時に費用処理をするということの要求です。なおこれは個別の項目毎への要求で、短期借入金利息は支払時損金、長期借入金利息は前払処理というようなことでもよいということです。

通達③の意味は、借入金を預金、有価証券等に運用するような場合には、支払利息と受取利息・受取配当金が個別対応関係になるので、期間の経過に応じた損金処理が要求されるということです。

H20.8.25

「ねんきん特別便」が届いたらどこを見る

年金記録問題と「とくべつ便」
年金は平成9年1月に基礎年金番号制度が導入され、以降は一人一番号で年金記録が管理されています。それ以前は就職や転職、結婚等で複数の年金番号を持っている方がいました。これらの時の番号が基礎年金番号に全部統合しきれず「宙に浮いた年金記録」となっているのです。「ねんきん特別便」は、すべての記録を照合し、整理・統合するために行われています。

年金記録が間違われやすい例
●生年月日を偽って入社して会社でそのまま手続きしたケースや、氏名の振り仮名を間違えて届出してしまったケース
●旧姓で厚生年金に加入していて、結婚退職した主婦が国民年金に変わったケース
●結婚や離婚などで氏名が変わったケース
●転職時に前の年金手帳を提出せず、新しい番号を取得したケース
●転職、脱サラ等で厚生年金、共済組合、国民年金等加入する制度が変わったケース
●学生が強制加入となった平成3年以降に学生であり、20歳を迎えた人が(当時学生納付特例制度がない時代)未納になっていたり、知らぬ間に親が保険料を納めていてくれたりと本人が覚えていないケース

あなたの加入記録、ここをチェック
●資格を取得した年月日 20歳から強制加入となった人は20歳の誕生日の前日、就職では入社日。加入制度は一般的に学生ならば国民年金、勤めていれば厚生年金や共済年金になります。
●資格を喪失した年月日 退職した日の翌日が資格喪失日となり、その日に転職していれば、転職先の資格取得日と同じ月日となります。加入月数、納付月数が合っているかをみます。
●加入記録に空白期間がある時はその間国民年金に加入していたのか、他に勤めていなかったかを思い出して見ましょう。

誤りがあった場合は「訂正がある」に○を付け正しい記録を記入し、訂正がない場合は「訂正がない」に○を付け返送しましょう。
今回の特別便では、標準報酬(給料を等級であらわしたもの)の記載はないので、疑問を感じた場合には確認してみましょう。

H20.8.22

年金控除と隠れ増税

後期高齢者医療保険料の年金控除
後期高齢者医療制度の導入に伴い、稼ぎ手家族の所得税や住民税が負担増となることがあります。従来は、家族分の国民健康保険料の実際支払者がその支払額を自分の社会保険料控除としていました。しかし、後期高齢者医療保険料は年金から控除されるので、年金からの控除額はその年金者からの社会保険料控除にしかならないと解説されています。新聞ではこれを「隠れた増税」などと指摘しています。

次は国保の年金控除
公的年金からの社会保険料の天引きは介護保険料にはじまり、今年の4月から75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の保険料に拡大し、さらに、この10月からは65~74歳が加入する国民健康保険料がその対象になろうとしています。(自治体によってはすでに4月から国保の年金天引きしているところがあります。)

国保の保険料の負担者
国民健康保険料の納付義務は世帯主にあり、保険料の通知書は世帯主宛に送られてきます。世帯主が主たる稼ぎ手でなくても、他の65~74歳世帯員分の国民健康保険料を含めた支払いを請求されます。そして、この世帯主に年金があると、そこからの天引きとなります。ここでも「隠れた増税」現象が生ずることになります。

急きょ選択制に変更された
「隠れた増税」は意図したところではなかった、ということらしく、政府は7月22日、後期高齢者医療保険料と65~74歳加入の国民健康保険料との納付の方法を年金天引きと口座振替との選択制とする政令改正をしました。本人または配偶者もしくは世帯主に該当する家族の預金口座からの振替に変更できるということです。現金納付という選択肢はなさそうです。

ちょっと考えてみたい
社会保険料控除は家族負担分を家族の誰かが支払えば、その支払者の控除とできるものです。天引きされたものは他の人からの控除にできない、というのは給与のみについてです。法律で給与のみ特別扱いしているからです。年金からの控除額は家族が補てんしたら、その家族の支払いと考えてもよいとする解釈的余地はあってもよさそうに思われます。

H20.8.21

返済能力って何?

保証力ありますか?
「当社は、一回だって返済を遅延したことがない。だから、金融機関には実績があり、信用もあるはずだから。」確かに実績は評価され、マイナスとはなりません。しかし借りたものは返すのは当たり前で、“これからも大丈夫”の保証にはなりません。

なにが保証・信用になるの?
金融機関にとって、直前期決算書の財務健全力が最大の保証であり、補足的に代表者の保証力、特に担保力が信用となります。
また、代表者に担保力があるか否かは、単に債権金額の正味を減らすというだけではなく、過去の歴史から学んだ“不動産所有の社長の方が、もっていない社長に比べて、バンザイ率が低い”という統計上の理由もあるからです。

返済能力って何?
さて、「他行からの借入で当行に返済している」ことは、返済能力を査定する上では、意味を持ちません。借入金総額が税引き後の利益によって何年で完済できるかが返済能力であって、その期間が10年未満であるのが正常先債権ということのようです。
税引き後利益で10年未満の完済は、非現実的なレベルであることから、借入金圧縮は重要な課題とも言えます。

H20.8.20

駅ナカの隆盛と課税

駅ナカ
駅ビルとは異なり、鉄道会社が改札内の駅構内にお店を出している商業スペースのことです。
最近、JR各社も駅ナカビジネスに本格的に乗り出しており、大宮駅73店舗2,300㎡、品川駅46店舗2階建て1,600㎡、立川駅85店舗4階建て4,300㎡などを筆頭に、定番の飲食だけでなく、コンビニ・書店・スポーツグッズ・マッサージ・理髪店など多岐にわたる店舗を展開中です。

駅ナカと駅前の対立
駅ナカは駅そのものの活性化を促しはするものの、駅周辺の従来商店へ流れていた客を駅構内に留めてしまうと指摘されており、かつて訴訟問題が発生したこともあります。
都知事宛に経済団体から「鉄道の駅等につきましては、周辺の地域に比べ固定資産税の評価が5倍から15倍の格差があり、税負担の面で公平性を欠いている」との指摘のもと「鉄道会社に適正課税をせよ」との要望書が出されたこともあります。

東京都の駅ナカ課税強化の動き
東京都は民間要望書より前から駅ナカと固定資産税について関心をもっており、鉄道用地は隣接地に比べて3分の1で評価され、店舗の床面積が全体の2割未満なら全体が鉄道用地扱いされていることを見直して、一定規模以上の店舗がある駅や鉄軌道以外の用に供されている高架下を対象として課税を強化する方針を決め、各鉄道事業所に伝えていました。

昨年の税制改正
総務省は税制改正大綱に『鉄軌道用地の評価方法の変更を平成19年度に実施するため、所要の補正を講ずる』と盛り込み、法改正をしました。ただし、評価見直しが間に合わないので、決定や通知など半年うしろにずらしました。
東京都は23区内82駅につき見直し、平成19年10月10日に約22億円の追加課税の通知をしたと公表しています。

駅ナカの次は
国立大学が独立法人へ移行したことを受けて、企業等に賃貸する土地・建物が昨年度から固定資産税の課税対象になりました。都内にある国立大学の大部分はこの課税処分を受け入れましたが、東京大学だけが抵抗しているようです。

H20.8.19

銀行の態度がなぜかわるのか?

独財務改善を革命的に
急がなければならない理由があります。
「貸し渋り!もう十分に渋られているよ。」反対に、「借りてくれって煩いんだよ。」と会社によって大きな差があります。しかし、この差が広がるのはこれからが本番です。
「中小企業への貸し渋りはけしからん。金融監督庁の指導ではない」と当局犯人説を恐れてか、最近は査定強化の否定を宣伝していますが、事実は誰のせいでもなく先進国の潮流である“企業格付ルール”が浸透してきた為です。

企業格付とは?
「企業格付」には社長の人柄など定性要因も加わりますが、80%以上は財務数値です。各金融機関独自の機密扱いで評価は各行によって多少異なりますが、概ね同様です。
また、「企業格付」とは“倒産確率” をスコアにしたものですから、情緒的な判断を出来るだけ排除すべく、財務数値のうち“時価自己資本比率とキャッシュフローの返済能力”を特に大きな要素として融資の重要な判断基準とするものです。

今後の対応
格付が低く、“倒産確率の高い会社”に対して基準を超える融資をすることは、金融機関の内部統制上からもいっそう困難な時代に突入します。だから、財務改革は急務なのです。

p.all_date{H20.8.18
贈り物をもらったり接待を受けたら

贈り物をもらったり接待を受けた場合、課税されることがあるのでしょうか?

【 よくある事例 】
・レストランや料亭で接待を受けた場合
・ゴルフや旅行の無料招待を受けた場合
・盆暮れにお中元やお歳暮をもらった場合
・昇進祝いに記念品をもらった場合
・慶弔見舞金をもらった場合
・お世話になったお礼として商品券やビール券などをもらった場合

【 課税されるかどうか? 】
(1)仕事に関係ない友人・知人・親戚などの付き合いの中で贈り物をもらったり接待を受けた場合、これに課税することは社会通念上、適切でないため課税されることはありません。
ただし、社会通念を逸脱する贈り物等に対しては贈与税が課税される可能性があります。
ちなみに贈与税の場合、年間110万円の基礎控除がありますので、それを超えなければ贈与税は課税されません。(ただし、相続時精算課税制度の適用を受けている人を除きます。)

(2)役員又は従業員が、自分の勤務先の仕事に関連して取引先などから金銭や贈り物をもらった場合、雑所得として課税されると所得税の取扱通達では例示しています。
一方、飲食の接待やゴルフや旅行の無料招待などによる経済的利益の供与については、取扱通達では例示していませんが、課税の対象でないと解釈するのは早計と考えます。
この雑所得ですが、サラリーマンやOLで年末調整を受けている人は、20万円以下ならば確定申告しなくてもよいとされています。(ただし、勤務先からの年間給与収入が2,000万円以下の人に限ります。)
なお、税務当局にとって、接待・贈与の事実を補足するのは困難なことから、真面目に申告している人がどれだけいるのか分りません。

p.all_date{H20.8.13
機械装置の設備の種類の判定基準どの業種用設備に該当するのか

今年度の税制改正において、減価償却資産の耐用年数省令が改正され、機械及び装置を中心に実態に即した使用年数を基に資産区分が整理されるとともに、法定耐用年数の見直しが行われた。特に機械及び装置の資産区分は390区分から55区分に大幅に簡素化された。

新耐用年数は、日本産業分類の中分類に準じて、業種ごとの資産区分となっている。しかし、どの耐用年数を適用するのか判断に迷うケースも少なくない。

国税庁がこのほど公表した「耐用年数の見直しに関するQ&A」によると、機械及び装置が別表第二に掲げる設備の種類のいずれに該当するかは、基本的には、その設備がどの業種用の設備に該当するかにより判定することとなるとしている。新耐用年数は業種ごとの資産区分となっているが、業種ごとに一の法人について一の資産区分を当てはめて判定するものではないということだ。

例えば、自動車部品製造業者の法人であれば、耐用年数が9年の「輸送用機械器具製造業用設備」を適用する場合が多い。しかし、従業員の給食のため、通常、飲食店で使用されている設備と同様の厨房設備を購入して工場に設置した場合は、その耐用年数は異なる。

この厨房設備は、その構成や使用状況が、通常の飲食店業用の設備と同様であることから、別表第二の「48 飲食店業用設備」に該当し、「8年」の耐用年数が適用される。

p.all_date{H20.8.12
普段はPB商品、プレミアムで贅沢物価高で消費者にすみ分け現象

食品をはじめ急激な物価高が加速を続けている中、生活防衛色を強める消費者の購入パターンがはっきりしてきた。普段食べるものは割安感のあるプライベートブランド(PB)商品でまかない、「ちょっぴり贅沢したい」日には、付加価値のついた高価格のプレミアム商品を買うという「すみ分け現象」が起こっている。

プレミアム商品の発想の目的は、消費低迷の中での刺激剤として市場に投入し、同類商品群との差別化を図ることにあった。しかしスーパーの特売回数が減っていること、原材料高で日用食品の値上げが続いていること等が原因で、プレミアム商品とPB商品との価格差が縮小、消費者の割高感が薄らいでいる。

例えば食用油の場合、市場全体は3-4月に2%減に落ち込んだ。しかし健康系油は10%増を記録。通常のサラダ油を値上げしたので価格差は100円しかなく、「あと100円出せば買える」という価格戦略が功を奏した。原材料費のコスト吸収も考えてのことであろう、カレールー、食用油、菓子等にも同様の動きが見える。

スーパーは、特売する商品の価格差を埋めていたメーカー協賛金が減少または廃止の方向に進んでいるため、PB商品開発を急ぐ形となった。これを受けてメーカーは、自社商品の棚がなくなってきている。生き残りをかけて「メーカー品を買うならプレミアム」という消費行動を促す戦略を一層強めていくと思われる。

H20.8.11

共同託児所を開くという新発想

トヨタグループの5社(デンソー、豊田自動織機、トヨタ車体、ジェイテクト、トヨタ紡織)が提携して託児所運営会社を作り、愛知県刈谷市、三重県いなべ市に5カ所の共同託児所を開所して約1年。トヨタグループの好調な業績が慢性の人手不足を生み、トヨタ本体も“ママ社員”の本格的戦力化を目指していることもあり、グループ内に人材争奪の兆しさえ起こっている。豊田自動織機は女性社員だけの生産ラインを作るなど、各社ともママ社員戦力化は急務となっている。

共同託児所には、ママ社員(正社員・出向者)が5カ所から自分の通勤経路や好みで選択できること、午後8時30分まで営業し、祝日出勤や急な残業にも対応してくれるなどの利便性があり、上々の利用率を記録している。施設内では自動車通勤者にバック不要の駐車場を設け、電気のコンセントは幼児の手が届かない場所に配置する工夫など、安全配慮も行き届いている。

月の利用料金は他の専業の託児所よりも5,000円程度高いが、各社の稼働日に合わせた営業の時間割、追加料金なし、など、1社だけではできなかった利用者が得られる便益や安心感を高めることを可能にした。

このケースは自動車通勤の少ない都市部では難があるものの、企業同士が近隣地域に固まって交通手段も似通っている地方都市の中小企業にも参考になりそうだ。

H20.8.8

借名預金と言われて

相続税の税務調査
相続税の調査では、相続人名義の預貯金が、亡くなった被相続人のものではないかとの指摘を受けることがよくあります。
そんな裁決事例が最近公表されました。

納税者の主張
納税者の主張はよく聞くセリフです。
妻は婚姻後、被相続人了解のもと生活費をやりくりして紡ぎ出したヘソクリを貯め、自らの能力で運用等を行っていたのだから、妻に帰属する財産である。
子名義の預貯金は、子供の頃のお年玉や親戚からの祝儀等と、社会人となった後毎月、生活費として家計に入れていた金員が原資であるから、子に帰属する財産である。

税務署の主張
税務署の主張もよく聞くセリフです。
被相続人が記載した名義人ごとの預貯金残高表の記録をみると、被相続人の日記帳の筆跡と同一であり、被相続人が預貯金全体を掌握し、支配下に置いていたと判断するのが相当である。
子名義の預貯金には、被相続人の退職手当を原資として形成されたと考えられるものや被相続人の筆跡により預け入れられたものがあり、被相続人の預貯金と子の預貯金相互間で名義書換や同一日に取引している事実もある。
被相続人からの贈与との主張も、贈与の意思の証明が不明であり、贈与税の申告書を提出した事実もない。

国税不服審判所の判断
審判所の裁決も定番ものでした。
妻は婚姻時に持参金がない上、夫婦間において、家庭生活を妻に委任し、その費用を妻に渡すことや一定の預貯金の管理運用を妻に任せることはあり得ることであり、その事実をもっていわゆるヘソクリが任された妻の財産になるわけではない。
仮に妻が自らの稼得を、仮に子が家計に入れた資金を、全て預貯金としたとしても、名義預貯金の原資に足らず、不合理な主張といわざるを得ない。
また、贈与税の申告書の提出もしていないのであるから妻子に受贈の意思があったと認めることも出来ない。

学ぶこと
あとからケチを付けられるのは気分がよくありません。預金の出し入れは必ず本人筆跡ですること、預貯金管理は筆跡のないパソコンですること、贈与税の申告は毎年110万円ずつ行うこと、など留意点です。

H20.8.7

実質2文字の改正法

現民主党が廃止法案提出
民主党は、法人税法第35条に規定する特殊支配同族会社役員給与損金不算入措置を廃止する法律案をこの169回通常国会で参議院に提出していました。
法律案は極めてシンプルなもので、
「第35条を次のように改める。 第35条 削除」
というものです。実質2文字です。
会期は6月21日までだったところ、6月4日提出なので、審議なしの廃案でした。

立法の経過
平成18年度に立法されたときは、新会社法により個人事業者の法人成りが容易になり、法人化節税メリットが受け易くなったので、これを抑制するとしていました。
この理由では、税法は会社法の趣旨に反対していることになります。そして、それなら新規法人成りに制限を加えればよいものを、中途半端に成功している同族中小法人に重い負担を強いることをしています。
やっと年収1,600万円になれた社長の会社だと、100万円ぐらいの追加課税をされることになります。ひどい話です。

税理士会の主張していること
法人が役員給与を支給すると、資金が流出し、担税力が減少するにもかかわらず、
損金不算入にすることは、喪失した担税力に課税するものです。
一方、役員給与を受けた個人においては、役員給与額から給与所得控除額が控除されます。給与所得控除額が問題なら、個人所得税を見直すべきものです。

自民党の平成20年度税制改正大綱
自民党も動向を気にしており、大綱で「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度については、その適用状況を引き続き注視する」と書いていました。
しかし、給与所得控除の見直しだったらマスコミが騒然となるところ中小法人への代替課税にしているのでマスコミは取り上げません。それで積極性に欠けるようです。

秋の国会は?
民主党の法案提出にもなんとなく中小法人向けアリバイ工作的な匂いを感じますが、そうでないとしたら秋の国会では会期始めに再提出して是非議論をすすめてほしいところです。

H20.8.6

「ねんきん特別便」現役世代に送付

現役世代6,200万人に送付
「宙に浮いた年金記録」問題で、年金受給者を中心に「ねんきん特別便」が昨年末より送付されていましたが、ようやく現役世代の方々にも特別便の送付が始まりました。

「ねんきん特別便」は年金加入記録を個別に確認し、誤りがあれば本人の申し出により訂正されます。薄緑色の封筒で6月から10月までにすべての年金加入者に送られます。既に3月までに青色の封筒で特別便が送られてきた方は、年金記録に漏れのある可能性が高い方なので、特に注意をして確認する必要があります。まだ、返信をしていない方はもう一度確認をしてみましょう。

住所地か勤務先へ送付される
特別便は国民年金に加入中の方には直接ご本人の住所へ送付されます。厚生年金に加入中の方は、事前に会社で「全従業員に配布する」という回答を提出している事業所には一括して配布され、従業員に各々配布し回収も事業所が行います。それ以外のお勤めの方にはご本人の住所に送付されます。

「ねんきん特別便」を受け取るために
「ねんきん特別便」が住所地へ届くためには、正しい住所の届出が必要ですので、

会社でも従業員の方の住所変更届の漏れがないか確認してみてください。必要であれば、社会保険事務所で「住所一覧表」を受けることができます。

従業員の方も自分や家族に特別便が届いたら、過去の職歴について一緒に記憶をたどり、年金記録の漏れや間違いがないか確認をしてみて下さい。誤りのない場合でも「年金加入記録回答票」は必ず返信しましょう。あとで誤りを発見した場合でも訂正はできます。

尚、特別便に関するお問い合わせは、社会保険事務所の他下記でも行っています。
「ねんきん特別便」専用ダイヤル
0570-058-555
http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/tokubetsubin/index.html

H20.8.5

存亡の危機 端株のゆくえ

端株とは、1株に満たない株式(100分の1の整数倍にあたるもの)で、会社法では廃止されましたが、旧商法下において存在していたものはその存続が許されています。

ところが、2009年1月の株券電子化で1株に満たない「端株」の存在が認められなくなります。すなわち、1株に満たない株は、システムの対象とはならないことから原則、無効になるということです。

(1)株式の1000分割
数年前、IT関連会社が株式の100分割を繰り返し急成長しました。しかし幾つかの不祥事が発覚し結果100分割なる極端な株式分割は一種の錬金術のようなものだとして批判の目が向けられたこともありました。
ところが、昨年、三菱UFJフィナンシャルグループは、株式の1000分割を実施しました。過去においても、これほどの株式分割はありません。狙いは、①端株主の救済②投資単位を現在の1株から100株にくくり直し、最低売買額を10分の1引き下げによる個人株主の増加です。
すなわち、1株につき1000分割するということは、0.1株の端株主に、100株の株式が交付されることですから、端株主は株主となり、電子化の伴う無効から救済されることになりました。

(2)株式の無償割当
一方、みずほフィナンシャルグループは、「端株解消」及び「売買金額引き下げ」の手段として、株式の無償割当を実施するとのことです。基本的な効果は、株式分割と同じです。
具体的には、1株当たり999株の無償割当を実施することです。したがって、0.1株の端株主にあっては、99.9株の交付ということになりますので、結果的には、100株取得することになり、端株の解消になります。

(3)株式分割・無償割当と課税関係
株式分割・無償割当は、発行会社の会社財産や資本金に変動ありませんので、課税関係は生じません。
一方、株式の分割・無償割当で株式の交付を受けた株主は、原則として、課税関係は生じませが、株式の取得価額についての調整計算は必要です。
なお、多くの上場会社では、この端株対策として、株式分割、買い取りによる金庫株にと、いろいろ検討中のようです。

H20.8.4

先日付小切手

先日付小切手とは小切手をきる(発行する)ときに、振出日をその日より先の日付にして振り出した小切手を先日付小切手といいます。サキヒヅケコギッテあるいはサキビヅケコギッテと読みます。
実際の発行時には銀行の決済口座に残高はないけれど、振出日として記載した日までには資金手当が見込まれるような場合に、受取人が記載した日付以後に取立に回してくれることを想定して発行されます。

危険と隣り合わせ
先日付小切手は、振出日の前に受取人が銀行に持ち込まないという暗黙の合意が大前提です。手形と違い、小切手は銀行に呈示されると即決済(支払)ということになっているからです。手形の場合は、満期日前の呈示は効力がありません。
当事者間で振出日についての合意があったとしても、経理担当者がそれに気がつかずに銀行に持ち込んでしまうなどといった場合、決済口座の残高が不足していると不渡りになります。残高不足にはならないときでも相手の資金繰りに支障を及ぼしかねません。

さらに、当事者が信用のおける者同士であればまだしも、今はカネがないといって振り出される小切手の危うさ、その振出日の前に悪意をもって銀行に持ち込まれる恐れ、とにかく危険と隣り合わせであることは知っておく必要があります。

銀行に持ち込むと
実務的には、銀行に振出日前の小切手を持参すると、理由を説明のうえ振出日前日まで銀行で預かり、当日になったら入金処理をするというようなこともなされているようです。
法律とは違った扱いですが、不測の事態を考慮してのことでしょう。

H20.8.1

うっかり失念 源泉所得税の納期限

給与・退職金・報酬(以下「給与等」という。)の源泉所得税は、原則、これら給与等の支払った月の翌月10日まで国に納付しなければなりません。

なお、特例として、常時雇用者が10人未満の事業所等では、所轄の税務署に「納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、1月から6月までの期間分は7月10日、7月から12月までの期間分は翌年1月10日までとその納期限が延長されます。

さらに、この特例適用者が「納期限の特例に関する届出書」を提出すれば、7月から12月まで期間分は翌年1月20日までと納期限がさらに延長されます。

(1)厳しい罰則、不納付加算税
源泉税の納期限を失念した場合の罰則は、不納付加算税といい、この罰則はとても厳しいもので、原則、納付すべき税額の10%です。「正当な理由」があると認められる場合を除き、僅か1日遅れてもこの税率が適用されます。但し、納税の告知があるまでに自主的に納付すれば5%に軽減されます。

(2)緩和された「正当な理由」
従来、「正当な理由」には、「うっかり忘れていた」は該当しないとされていましたが、国税庁は、平成12年に「偶発的納付遅延等によるものの特例」を発遣し、「うっかり失念」も一定の条件を具備していれば、「正当な理由」に該当するものとして取り扱ってきました。しかし、この事務運営指針がどの程度徹底されていたかは疑問です。

(3)平成18年の税制改正で法令化
平成18年度の税制改正で、無申告加算税についての要件が緩和されたことに伴い、この不納付加算税の適用要件も緩和されました。その内容は、国税庁が平成12年に発遣した「事務運営指針」とほぼ同様なものです。具体的には、前提として、その直前1年分(特例適用者にあっては、今回の納付の目的となった最終月の直前1年分の月を含む納期に係る分)の国税について、①納税の告知を受けたことがないこと及び②法定納期限後に納付された事実がないことで、かつ、③当該納付係る源泉税が法定申告期限から1月を経過する日まで納付されたものであるとき、不納付加算税は適用しない、というものです。

やはり、手続規定は、公平性を担保する観点から運営指針ではなく、法律で明記すべきものと考えます。