港区 税理士法人 大沢会計
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2009年7月

2009/07/31

H21.7.31

コーラへの肥満税

炭酸飲料水税

 炭酸飲料総消費量は米国に次いで世界2位、1人当たり消費量は年間152リットル(1日平均1本)という驚くべき量で世界1位、というのは日本のことではなく、メキシコのことです。メキシコ政府は原油販売の減収策としてコーラなど炭酸飲料への5%課税を開始したのは2007年でした。

アメリカでの肥満への風圧

 米国の成人の3人に2人は太りすぎで、肥満は成人病や生活習慣病とあわせて広義の病気の仲間になっており、健康のためのタバコ課税と同様に、清涼飲料への課税を行い、肥満対策の財源にするべきとの学者からの提案は以前からありました。
 米国での肥満への逆風は強くなる一方で、主要航空会社は最近、相次いで規定を変更し、隣の席に体がはみ出すほど太っている乗客に対し、2席分のチケットを買うことを求め始めました。

ニューヨークでの州税

 2008年12月にはニューヨーク州で高カロリー飲料に18%の州税を課す案が上程されたものの、飲料業界やニューヨーカーの強い反対にあい、撤回したと報じられています。
しかし、炭酸・果汁飲料の1人当たり摂取カロリーは1970年代後半に比べ約3倍に増加しており、肥満の元凶との見方をされております。

オバマ政権での「肥満税」

 2009年5月、上院の財政委員会は砂糖などを添加した高カロリーの炭酸・果汁飲料への課税案、通称「肥満税」を提案しました。肥満人口を減らすとともに、オバマ大統領が進める医療システム改革の財源にする狙いとされています。
 上院委の提案には飲料業界から、新税の導入で国内36,500人の雇用に影響が出ると反論されており、不況下の増税には国民の反対も予想されるものの、他方、禁煙と反肥満の社会潮流は確実にすそ野をひろげてもいます。

日本に飛び火してこないか

 米国社会動向は確実に飛び火してきますので、コーラなどへの「肥満税」課税が日本でもされるようになるかもしれません。
しかし、日本の代表的国民飲料たる緑茶はビタミンCやカテキンなどを含み、抗酸化作用や生活習慣病の予防効果も高いので、世論は逆に課税動向を支持するかもしれません。

H21.7.30

「普通株」って何 ?

ほんの十数年前までは、株式と言えば「額面株式」と「無額面株式」があるぐらいで、その株式にどんな違いがあるかと言えば、株券に券面額があるかないかの違いで、株式に内在する権利、①配当金をもらう権利(配当受領権)、②株主総会に参加する権利(議決権)、③会社が解散・清算した場合に残った財産をもらう権利(残余財産分配請求権)などには違いはありませんでした。あえて、株式の権利に違いがある株式が存在していたと言えば、それは、「譲渡制限株式」くらいです。しかし、その株式も譲渡の制限があるだけで、上記3つの権利は,欠けることなく持っていました。したがって、「普通株」という名の株式は存在しませんでした。

(1)普通株の存在

しかし、その後、旧商法時代においても権利の内容を異にする株式、優先株(配当を優先的にもらう権利のある株式)、劣後株(配当より経営権を優先する株式)、議決権制限株、拒否権付株(黄金株、全議案に拒否権)などの発行が容認され、会社法になってからは、さらに多様な権利の内容の異なる株式、いわゆる種類株式の発行が定款変更によっていつでも可能になりました。
そこで、普通株の存在は、上記3つの権利を何ら制約なく行使できる株式を「普通株」と呼び、それ以外の株式との違いを明らにすることにあったようです。株式市場で売買されている株、そして、未上場の中小企業の株の殆どがこの「普通株」です。

(2)種類株式発行の目的

上場会社にあっては、種類株式発行の目的はファイナンス(資金調達)です。
一方、中小企業にとっては、オーナー社長の相続対策、あるいは、後継者の経営権確保を目的に発行されます。しかし、議決権制限株、拒否権付株といった種類株を発行しなければ経営権がスムーズに移譲できないことの方が問題かもしれません。

(3)種類株式の相続・贈与の評価

 一定の種類株式については、5%相当額の評価減があります。しかし、減額したその5%相当額は、それ以外の株式(普通株を含む)の評価額に加算して評価しますので、株式全体の評価額は変わりません。なお、拒否権付株式(黄金株)は、普通株式とその評価に差異はありません。

H21.7.29

厚生年金加入期間が足りない時は

 昔務めていたころ、厚生年金に加入したものの、年金の受給資格を得るには加入期間が短く、また国民年金にも未加入や未納であった等という方は、65歳になっても年金の受給権が発生しない事があります。受給資格を得る方法はないのでしょうか?

高齢任意加入被保険者となる
 厚生年金保険の適用事業所に勤めている人は、原則として70歳に達した日に被保険者の資格を失います。但し70歳に達しても老齢給付の受給期間を満たしていない人は、受給資格を満たすまで、任意加入する事ができます。
 高齢任意加入は社会保険事務所に資格取得の届出が受理された日に取得となり、老齢基礎年金等の受給権ができるまで、任意加入を続けることができます。ただし、保険料を滞納し、督促状に指定された日までに納入しない時は資格を失います。
 保険料は事業主負担分を事業所が負担し、給与から徴収するか、本人が本人分と合わせて全額負担するかを話し合いで決め、任意加入時に選択して申込みます。本人が全額負担する時は本人宛に請求書が届きます。

脱退手当金を受ける。但手続き前に要確認
 厚生年金の加入期間が短く、国民年金にも未加入や未納が長く、年金受給資格がない方は、昔勤めていた時の厚生年金加入期間の分を部分的に一時金で受け取る事も出来ます。支給要件は
① 昭和16年4月1日以前に生まれ
② 被保険者期間が5年以上
③ 被保険者資格を喪失していること
④ 厚生年金保険の受給資格がないこと
です。
 支給額は被保険者期間中の標準報酬月額の平均額に被保険者期間に応じて決められた支給率を掛けた額が支給されます。
 注意する事は脱退手当金を受けると原則として、その計算のもとになった期間は被保険者でなくなったものとされます。ですから、受給後に過去の他の厚生年金保険の加入期間が思い出され、合算したらもらえたのに等という事のないようよく確認することが大事です。

H21.7.28

任意調査なのに何故受けなければならないの?

一般の税務調査は任意調査と聞いておりますが、任意調査なのに何故受けなければいけないのでしょうか?

質問検査権と受忍義務
税務署には「質問検査権」と言うのがあります。それは各税法に「必要があるときは・・・質問し・・・検査することができる」と明記されているからです。
しかも納税者が、税務署員の質問に対して答弁しなかったり、税務署員の帳簿検査について帳簿を見せない等の拒否や妨害をした時は、「1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」と言う罰則が規定されています。刑事犯においてすら、自らの不利になることについての証言拒否など被疑者の不答弁が認められていますが、税務調査については調査受忍義務が課せられています。

「必要があるとき」とは何時?
ここで問題となるのは、「必要があるとき」です。「必要があるかないかは税務署が判断する」では納税者は何時でも何処でも一方的に調査を受忍するしかありません。   
ですから本来税務署は調査が必要な客観的理由を開示し、調査依頼をおこなわなければなりません。なお最高裁の判例でも「具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合」に質問検査権が許される、としております。

実際の調査では
よく言われる、調査理由としては、「暫く調査に伺っていないので」といった理由です。これは通常の更正処分の期間が5年と言う理由によっております。
税務当局としては、「申告が正しいかどうかを確認する為に調査をするのであって、調査以前に、申告の何処に誤りや疑問があるといった具体的な調査理由の開示は不要である。」という見解をとっております。
その意味では「調査の必要があるかないかは税務署が判断する」状況になっております。

H21.7.27

個人が所有の建物を売却したら消費税はどうなるの?

会社などの法人が所有していた建物を売却した場合は、すべて消費税の課税対象となりますが、個人の場合はどうでしょうか?
個人の場合、売却建物の用途によっては消費税の課税対象にならないケースがあります。
なお、法人は前々期、個人は前々年の課税売上高が1千万円以下の場合は消費税の納税義務が免除されています。

■個人が居住用の建物を売却した場合
消費税において課税対象となるのは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等とされますので、事業者でない個人が、事業とは関係ない居住用建物を売却した場合は、消費税の課税対象とはなりません。

■個人が別荘用の建物を売却した場合
個人が事業とは関係ない別荘を売却しても、消費税の課税対象とはなりません。

■個人が賃貸住宅用の建物を売却した場合
その物件が住宅の賃貸用である場合、家賃収入には消費税がかかりません。
そのため、その物件を売却しても非課税と思いがちですが、そうではありません。
住宅用に貸付けていた建物は、事業として使用していたものであるため消費税の課税対象になります。

■個人が賃貸事務所・店舗・工場用の建物を売却した場合
これらの賃貸収入には消費税が課税されていますので、売却収入が消費税の課税対象になることに違和感がないと思います。

■まとめ
①資産をどういう目的で売却するかは、消費税の課税に関係ありません
個人の生活用家財を購入するために事業用資産である建物や自動車などを売却しても消費税の課税対象になります。逆に、事業資金を捻出するために個人資産を売却しても消費税の課税対象にはなりません。
②売却資産の用途で判定することになります
個人の場合は、その建物を事業として使用していたものだけが課税対象となります。
税務上、この「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいうとされています。

H21.7.24

上場株式等の配当金の受取方法の追加

 平成21年からの株券電子化に伴い、上場株式等(ETF,REITを含む)の配当金の受取方法の選択肢が広がりました。
 従来は、発行会社から郵送された「配当金領収証」と引き換えに、ゆうちょ銀行等で配当金を受取るか(配当金領収書方式)、銘柄ごとに銀行等預金口座を指定して配当金を受取るか(個別銘柄指定方式)のいずれしかありませんでしたが、新たに「登録配当金受領口座方式」と「株式数比例配分方式」の2つの方法が選択できるようになりました。

(1)登録配当金受領口座方式とは

 この方式は、ほふり(証券保管振替機構の略)に配当金の振込み先の銀行等預金口座を登録、そして、自分が保有している全ての株式の配当金をその登録した口座で受取る方法です。
但し、ゆうちょ銀行の口座は指定できまません。また、一部の銘柄だけ、別の銀行等預金口座に指定することはできません。
具体的には、N証券会社に甲会社の株式を1,000株、M証券会社に乙会社の株式2,000株を預け、甲銘柄に1万円、乙銘柄に2万円の配当があった場合、指定の銀行等預金口座に3万円(源泉税徴収後の金額)が振り込まれます。
この方式のメリットとしては、配当金受領の一元管理が可能となります。

(2)株式数比例配分方式とは

 この方式は、配当金を証券会社の口座で受取ることができる方法です。複数の証券会社に残高がある場合は、各証券会社の残高(株式数)に応じて、それぞれの証券口座に配当金が入金されます。
具体的には、甲会社の株式をN証券会社に3,000株、M証券会社に2,000株を預け、源泉税徴収後の配当金が合計5万円の場合、N証券会社の口座に3万円、M証券会社の口座に2万円が振り込まれます。
 この方式のメリットとしては、①株式と配当を一元管理することができ、さらに、
②証券口座が源泉徴収ありの特定口座なら、平成22年以降の取引は口座内で配当金と株式の譲渡損が自動的に損益通算される利点があります。
 いずれの方式でも、複数の証券会社と取引している場合は、どこか一社で手続きをすませれば、他の口座で保有している分の配当金も自動的に新しい方式で受取ることができます。

H21.7.23

通勤費をめぐる係争

 通勤手当がないから
通勤手当が給与明細項目として設定されていないけれども、それを前提として給与の総額が定まっている場合、給与収入のうち月々の定期券代相当分については給与収入から外して、通勤費補てん額として費用としての通勤定期券代の相殺項目に振り替えて、所得税の確定申告をすることは認められるでしょうか。

氾濫的に係争がおきている
 派遣労働者の多くが、収入項目に通勤手当のない給与明細を受け取っており、所得計算において通勤費をどう扱うかが社会問題となっています。非課税扱い申告をして、否認され、係争になっている事例が報道されるようになってきました。

形式論理の課税庁
課税庁は修正申告を勧奨しているようですが、納得しない申告者が沢山出現しているようで、国税不服審判所での非公表審判事例が増えていそうです。
当局の主張は、通勤手当が通常の給与と区分して支給されていないので、非課税に該当する所得はない、とつれない内容です。

審判所の苦悩
審判所には大岡裁きをする能力がないようで、当局の論理を是としつつ、通勤手当が分別支給されていないという理由だけで課税対象にするのは不当という納税者の主張は、法令自体の当否を訴えていることであり、そういうことは審判所の権限を超えている、と裁判への誘導を促しています。

法律をよく読むと
通常給与と分別されている通勤手当の非課税の法律規定には、(これに類するものを含む)との注書きがあります。
公務員や正社員が優遇され、非正規労働者が冷酷なあしらいを受けることのないようにと配慮するとしたら、この注書きを幅広く解釈することは可能なはずです。

通勤費訴訟のうごめき
通勤費訴訟がサラリーマンの底辺を構成する多数の派遣労働者により、サラリーマン内部の矛盾の告発として、起こされつつあります。
制度の矛盾と日本社会の大企業正社員主義が危機に瀕していることを表象しています。また、大岡裁きは可能でも、雇用主側の通勤費負担の制限強化等の社会反動になる可能性もあります。当局も予測しかねて臆病になっているのかもしれません。

H21.7.22

国民年金の受給額を増やすには?

 国民年金の被保険者は自営業者、個人経営者、フリーター等の方、主婦等の被扶養配偶者が対象者となります。老齢基礎年金を受給するのには、原則として25年以上の加入期間が必要ですが、さらに老齢基礎年金受給額を満額受給するには、40年間の保険料納付済期間が必要です。満額受給には加入期間が足りないとか、さらに上乗せして年金額を少しでも増やしたいという時には次のような方法もあります。

任意加入して増額する
 満60歳になって、65歳から満額受給するためには、納付月数が足りない場合、65歳になるまでの間任意加入をして老齢基礎年金を増額する方法があります。任意加入をした場合1年でどの位増えるでしょう。
792,100円(平成21年度)×12カ月÷480月≒19,802円となり、1年で約2万円弱が増額されます。

付加保険料で増額をする
 任意加入にプラスして、付加保険料(400円/月)を支払うという方法もあります。これは、あくまでも付加ですから定額保険料を納付している期間に対して上積みで納める事ができ、60歳未満の加入者でも申込めば納める事ができます。付加年金額は、
200円×付加保険料納付月数
となります。

繰下げ支給で増額する
 老齢基礎年金は満65歳から受給できますが、繰下げて受給すると年金額が増額されます。S16年4月2日以降生まれの方の場合、繰下げ受給額は1カ月繰下げる毎に0.7%増額します。
100%+0.7×繰下げた月数
 何歳からもらうのが得なのかを誰しも考える事と思いますが、上記生年月日以降の方は、公平感を出すための給付設計とされたので、どの年齢からもらい始めても77歳~80歳位での受給累計額はほぼ同額となります。
 自分のお金の価値観や長寿家系か否か、健康状態などを考えて決めるしかないのでしょうか。

H21.7.21

社長のタイムマネジメント

社長が週末になって、「今週はやたらと忙しかったが、大事なことはきちんとできたかな?」と思ったことはありませんか。
 「今週実行しようと思ったことの、半分も出来ていない!」と思ったことはありませんか。
 いつも意識して、自分のタイムマネジメントをしていないと、しばしばこのような残念な結果に陥ってしまいます。
 実際、社長は経営の先頭に立っているのですから、ご自分の意識・行動は「今、会社にとって重要度・緊急度が高い業務の処理」に向けられていなければなりません。
 そうでなければ、社員の意識・行動もゆるみがちになってしまうでしょう。

プライオリティー・マトリックスの勧め
 そこで、プライオリティー・マトリックス(通称Pマトリックス)によるタイム・マネジメントの方法をご紹介します。
 通常、月間・週間・日の単位で、なすべき仕事を重要度、緊急度の2軸で判断し、優先順位をつけて、大切なことから処理する方法です。
 月間Pマトリックスでは9象限を使いますが、週間・日では実用上4象限で十分です。

 週間計画を立てるときに、実施予定業務項目をマトリックスに割りつけて判断します。優先度1位は重要度・緊急度ともに高い業務・2位は重要度が1位ほどではないが、とにかく緊急に処理すべきクレーム処理等の業務、3位は重要度が高く、緊急度が1位ほどではない業務。これは、毎日の業務でも同じで「Pマトリックス」による整理・判断は、2~3分でできます。この効果は優先度の高い仕事の判断ができ、確信を持って仕事の処理に取り組めるため、社長の精神衛生上おおいに役立ちます。また、社員の動きも社長の業務優先度に合ってきます。

H21.7.17

通勤費をめぐる不合理

通勤費非課税規定

所得税法では通常の給与に加算して受ける通勤手当を非課税としています。実際、給与を得るのに従業員が何か仕事に不可欠な物・道具・その他の代金を負担するということはあまりありません。

例外は皆無

ただし、通勤費が10万円超のケースではその超過分は給与所得だとの規定があります。しかし、平均通勤費は1.6万円で、通勤費3.5万円以下で98%超、4.5万円以下で99.9%を占めており、通勤費10万円超該当者はほとんどいません。10万円規定はズルく利用されることへの予防線にすぎません。通勤費完全非課税という実態認識を変える必要はないと思われます。

社会保険は不合理

ところが、社会保険や雇用保険や労災保険では通勤費について、必要経費の補てん金ではなく、給与収入の一部という扱いにしています。それで保険料負担の対象になっています。
年金・健保・雇保からの給付金を受けるようなときは通勤することがなくなっているときなのですから、給付額の中に通勤費に相当する部分が入っている必要はないはずです。明らかな構造設計的論理矛盾です。
それに、能力が低いので給与も低い従業員だったとしても、遠距離通勤だったことにより、社会保険料の本人負担分、事業主負担分が増えて、その従業員の将来受給年金や雇用保険などの給付が多くなる、というのも納得し難いところです。

格差社会での派遣労働者は自己負担

 税の規定は所得の実質主義に基づいているかのようではありますが、税の規定も形式主義で、通勤費名目でないものは非課税にならないようです。
派遣労働者の多くは通勤費補助がない人です。しかし、彼らも通勤費を負担して通勤しており、その費用は受け取る給与によって償っています。同じ通勤費について、公務員や正社員は非課税、非正規労働者は考慮なしでは社会的差別の上塗りです。
通勤費非課税の規定の不平等取扱いを早急に改めるのは時代の要請です。それとともに、社会保険の不合理性も税との取扱いの一元化の方向で改められるべきです。

H21.7.16

幹部のコミュニケーション能力が低下している!!

 データ依存性の弊害は小さくない

 言うまでも無く、ビジネスは人の質で決まります。特に最大の味方である社員がどのような考え方で行動するのかは、組織が成果を得るための大きな要素であることから、社員の意思統一が重要視されています。

しかし、最近の経営では、“データ分析”の共有などが優先され、社員一人一人が考えて行動する機会が少なくなっているようです。

 データを得た社員は、知る前よりも知識戦術を前面に出すようになり、つい“人間臭さ”を忘れ、かえって交渉力を低下させてしまう傾向にあります。

社員をデジタルで管理したい誘惑との戦い

 数値化したデジタル情報は、「経営の方向性や戦略設計」には、最重要な武器になりますし、経営管理者にとって社員をデジタル情報で指示したり、管理することは最も合理的で楽な手法として誘惑されがちですが、その結果は単純思考な社員づくりとなりがちです。

 つまり、経営戦略レベルでは、データ分析を駆使しながらも、社員レベルでは対面による対話による、目的意識への社内コミュニケーションを深め、意思統一を図る。社内メールでは成し得ない社内の対面伝達や対面折衝はビジネスの最終交渉時のための日常のトレーニングにもなり、ネゴシエーション能力を高めるのに大いに役立つはずです。

H21.7.15

サッカープレーヤー型人材育成

 社内で何か問題が起きたとき、幹部が重箱の隅をつつくような、議論に終始し、どうも解決の仕方に大局観が欠けている、担当部門間で責任のなすり合いに陥っている、と言った悲しい現象が起きることはありませんか。
 特に現在の大不況下では、このような問題が起こりやすいのです。
 問題解決には、社員が力を合わせて取り組まなければならないのですが、いざと言う時に活躍できる人材が不足していると、社員の議論や行動が「全体最適のために、自分はどう考え、どう行動すべきか」と言う発想にならず、「全体を見ないで、部分ばかりに焦点を当てた議論」になりがちです。

サッカープレーヤー型人材とは
サッカーのミッドフィールダーは、自分のところにボールが来ると、ゲームの全体状況を一瞬のうちに判断し、ゴールに近い空きスペースと味方のストライカーがゴールに向かってボールを蹴り込む数秒後の未来を想定し、自分のなすべき役割と行動を判断してただちに実行します。
名プレーヤーほど、その判断が的確で、素早く、鋭い技を実行に移す訳です。
このような、全体と部分を同時に判断して、的確な判断を行うことを「リアルタイムの知の創出」と言います。
つまり、訓練された人間には、鋭い直観による「リアルタイムの知の創出力」が備わります。このような人材を「サッカープレーヤー型人材」と呼ぶことにしましょう。

サッカープレーヤー型人材育成の勧め
このような人材が必要なことは、サッカーでも仕事でも同じです。
問題が起きたときに、一瞬にして全体状況を的確に判断し、自らとるべき行動を決めて実行できる社員は、自立度が高く、チームプレーができる頼もしい人材であり、
幹部社員がこのように育てば社長の右腕になるわけです。
しかし、人材育成には時間がかかります。
正しい考えかた、行動の仕方を知り、場数を踏まなければならないからです。
社長にとって、問題が起きたときが人材育成のチャンスでもあります。ひとつの問題を全員の問題に置き換えて、解決法を考えさせ、サッカープレーヤー型人材を育てましょう。

H21.7.14

死ぬまで一緒にいたくない?

 税金昔話
昔々若い頃から頑張って一代で財を成したAさんとBさんと言う2人の若者が居りました。
AさんとBさんの苦労は大変なものでしたが、それにも増して、ご主人を支え子供を育てた奥様の苦労は大変なものでした。
 Aさんは終生奥様を愛し、死ぬまで添い遂げました。
一方Bさんは遊び人で、あちこちに愛人を作り、最後は奥様からも愛想をつかされ死ぬ直前に離婚してしまいました。
Aさんの奥様はAさんから莫大な財産を相続によって取得した為、大変な相続税を納めなければならず多くの財産を失うこととなり、今では細々と暮らしております。
一方Bさんの奥様は、離婚の際の財産分与で莫大な財産を取得した為一銭も税金を納めることなく、今では悠悠自適の生活をおくっております。

世の中どちらが幸せか判らないというお話でした。

財産分与とは
財産分与とは離婚の時に夫婦の協力で築いてきた財産を2人で分け合うことです。
ご主人名義の財産であれ、もともと2人で築いてきた財産であると言う考えに基づいて分けるだけですから、基本的に税金はかかりません。

相続とは
離婚しないでご主人がお亡くなりになった場合はご主人名義の財産は、奥様がご主人の財産を相続したとして相続税の対象となります。この場合にも、もともと2人で築いてきた財産であると言う考えに基づいて財産の半分までは奥様に税金を掛けないこととしています。

しかし財産に換金性があれば良いのですが換金性のない非上場株式などですと税金の支払は現金ですから大変な苦労となる可能性があります。

H21.7.13

通勤費の事業主負担

 居住、移転の基本的人権

国民の憲法上の権利の一つとして居住地選択の自由があります。そして、自由に選んだ住居からの通勤費については、スジからいえば自己負担すべきものですが、通常は雇い主が全額負担しています。素直に考えると変なことです。
別に、雇い主に通勤費負担の法的義務があるわけではありません。とはいえ、雇い主の通勤費負担は雇用に伴う単なる任意の給付というよりも、強制的社会慣行とでも言うべきものとなっています。

雇用主はつらいよ

だからでしょうか、従業員からは、負担してもらった通勤費について、当然のこととして何の感謝もされません。
従業員自身が引っ越しをしたり、工場移転をしたり、ということで従業員が遠距離通勤者に変わってしまった場合に、解雇にもできないし、通勤費の増える分を負担しないということにもなかなかできません。雇い主にとっては辛いところです。

通勤費の本来性格

労務の提供をするために事業場に赴くことが通勤であり、通勤そのものは労務の提供ではありません。労務の提供をできるようにするための条件整備行為に過ぎないからです。
その通勤に費用がかかる場合において、その費用を雇い主から補填されているのですから、雇い主の通勤費負担分の性格は、給与所得の必要経費を補填するもの、すなわち給与所得計算上の労務の対価としての収入ではなく、給与所得計算上の必要経費のマイナス項目とするべきものです。

非課税という奨励規定

実際日本では給与を得るのに従業員が何か仕事に不可欠な物・道具・その他の代金を負担するということはあまりありません。
所得税法では通勤手当や仕事における無償貸与物の給付を非課税としています。非課税としているのは、雇い主の従業員通勤費等の負担によって、労務の対価以上に従業員の手元に残る金銭が増えることはないからでしょうが、さらに、非課税とすることにより、働くための条件整備費用は、従業員自身ではなく雇用主負担とすることがよい、との考えを奨励しているともいえます。

H21.7.10

財産分与は離婚成立後

 財産分与とは
財産分与とは離婚の時に夫婦の協力で築いてきた財産を2人で分け合うことです。
ご主人名義の財産であれ、もともと2人で築いてきた財産であると言う考えに基づいて分けるだけですから、基本的に税金はかかりません。

不動産の財産分与は
しかし財産と言っても、日本の場合多くは不動産です。しかも不動産の財産分与は換金して分けるのではなく、名義を変更して分ける事が一般的です。
特にご自宅などは、換金せずにどちらかがそのまま住みつづける場合があります。

ご自宅はご主人名義
ご自宅を購入する場合、奥様が子育て等で専業主婦の時などは、奥様に収入がありませんから、住宅ローンが組めず、多くの場合はご主人名義となります。共稼ぎで、奥様にも収入がある場合は、共有名義で住宅ローンが組めます。

財産分与は離婚成立後
共有名義にしろ、ご主人名義にしろ、ご自宅を財産分与で奥様に分与する場合には、離婚が成立し、赤の他人になってからおこなってください。

譲渡所得が発生します
税務上、財産分与自体には税金はかかりませんが、ご自宅などの不動産を分与した場合は、一度不動産を売却して換金した後に分与したと考えます。ご主人にご自宅を売却したことによる税金がかかってきます。

離婚前では特別控除は使えない
ご自宅を売却した場合、売った値段から買った値段を引いた譲渡所得から3000万円の特別控除ができます。しかしこの特別控除はご夫婦や親族の間での取引では摘要できません。ですから離婚が成立する前に、財産分与による名義変更をおこなった場合には、特別控除が使えず思わぬ税金がかかってくることがあります。くれぐれもご注意ください

H21.7.9

裁判員制度と企業の対応

 裁判員は何をするの? その実務とは

 国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」が5月21日からスタートしました。
 対象となるのは殺人・強盗致死傷・傷害致死等の重大刑事事件で審理は裁判官3名裁判員6名、予備裁判員3名で構成されます。
 昨年末29万5千人に候補者として通知がされましたが、その中から面接やくじ引きで人員を選びます。選ばれる確率は試算によると1年間で5,500人に1人だといわれます。但、70歳以上の方は辞退できることとなっています。
 審理は起訴された対象事件の「公判前手続き」で争点整理の上、地裁で第一審のみを行い、量刑も決定します。評決は9人の多数決によりますが、たとえ裁判員全員が同判定でも裁判員のみの多数では認められません。拘束される日程は3日から5日というのが普通です。
 裁判員には守秘義務がありますが、その事だけでなく、心理的負担が大きい場合もあるでしょう。万一心理的外傷後ストレス障害で治療が必要となった時には国の労災保険で費用を負担、カウンセリングも行うとしていますが、刑事裁判に無縁であった一般国民がこのような経験でストレスを感じないということのほうが無理とも思えます。心のケアの問題は課題となるでしょう。

裁判員社員に対する企業の対応

 大手企業では裁判に参加する社員に特別休暇を設けたところが多いのですが、中小企業ではまだ多くが対策はしていないという調査結果が出ています。裁判参加日で休業した日の有給・無給は任意ですが、本人には1万円以下の日当が国から支給される事となっています。裁判員を務める事は労働基準法第7条に定める「公民権の行使」にあたり、休暇を申請されれば認めざるを得ません。単に仕事が忙しいという理由では辞退が認められない以上、休んだから勤務評価を下げる事等は裁判員法に触れることもあり、難しいでしょう。
 昨今の経済情勢を考えると中小企業や自営業者には負担が増える事にはなるのでしょうが一生に一度あたるかどうかと思うと長い目で考えていく事が必要なようです。

H21.7.8

クリック&モルタルで商売繁盛

ネット販売には二つの業態があります。ネット販売専業小売業(ビュアプレーヤー)と実店舗を持ちながらネット販売する小売業態(クリック&モルタル・Click and mortar)です。つまり、クリック&モルタルは、店売りとネット販売の相乗効果を狙うビジネス手法のことで、今アメリカではネット販売の主流になっており、例えば、大手小売業のウオルマート・JCペニー・ノードストロームなどがこの販売手法を取り入れています。
 このような商売の方法は、当然ネット販売と言うITを活用した販売方法が登場し、その技術革新を活用して、顧客のニーズに応える販売方法の革新を図ったところがポイントです。

クリック&モルタルの利点

 この販売方法が持つ利点は
① 一定の知名度と信用があると会員を集めやすい。
② 広告宣伝は店舗の宣伝と一緒にやれるからコストがかからない。
③ 在庫や物流施設、システムが共用できる。
と言ったところにあるようです。

中堅・中小企業の活用

 この方法は、地域一番店の地位を得た中小企業・中堅企業にも応用が可能で、役に立つ商売の方法になる可能性があります。

経営革新の定石

 経営革新の定石は、自社の得意分野の商品やサービスを、巧みなやり方で有望な市場に投入することです。そのために、今までのやり方を変化させなければなりません。
 また、それを社長一人が着想したとしても、成功させるには社員の力を活かさなくては不可能です。
 つまり、経営革新のもう一つの定石は社員にそのアイディアへの参加を呼びかけ、知恵と力を出してもらえるように、社長が働きかけることです。
 三つ目の定石は、「新しいことはやって見なければわからない。」と言う事実にありますから、なるべくお金がかからない方法で試して見ることが大切です。何事も積極一貫で動くことが、革新の始動には重要です。

H21.7.7

裁判員制度はこうして生まれた

裁判員制度(陪審制度)の沿革

 裁判官が行ってきた刑事裁判に、一般市民が直接参加する裁判員制度がスタートしました。我が国にも戦前には裁判員制度があった事を知っている若い方は少ないでしょう。その歴史を振り返ってみます。

陪審裁判が開始されたのは昭和3年

● 明治初期 岩倉具視等欧州使節団が陪審制度を学び、導入を今後の懸案とした
● 明治43年 大逆事件(天皇暗殺を企てたとして、12名が死罪)を契機に立法化への動きが始まる
● 大正12年 大正デモクラシー思想の広がりもあり陪審法成立
● 昭和3年 大分で初めて陪審制による裁判実施
 重大事件を対象とし、一定額以上の納税者で30歳以上の選ばれた男子12人の陪審員が有罪、無罪の結論を出し、裁判官に「答申」した。
● 昭和18年 戦時色が強まり制度廃止
 開始から15年間に484件、無罪率は17%であった。
● 昭和38年~47年 返還まで沖縄で実施
● 平成2年 日弁連が再びの導入を提案
● 平成11年 司法制度審議会設置される
● 平成16年 裁判員法成立、5年以内に施行
● 平成21年5月 裁判員制度スタート

陪審制と参審制とは

  欧米では古くから陪審制度が行われていますが、陪審制とは事件ごとに市民から選ばれた陪審員が有罪、無罪を決め、裁判官は量刑や法解釈を担当する方法で、イギリスやアメリカで採用されています。
 参審制とは任期制で選ばれた参審員と裁判官がともに有罪、無罪を決め、量刑も判断する方法で、ドイツ、イタリア、フランス等で採用されています。デンマークやノルウェーは両制度を併用しており、我が国の場合も両制度を折衷していると言えるでしょう。市民革命を経験した欧米と異なり、我が国では国民の司法への参加は義務でもあり、権利でもあるという意識が根付くのにはしばらくかかるかもしれません。

H21.7.6

愛社精神の強化・育成

“愛についてさえ、企業が
教育しなければ”の現実と効果

 ある会社では、毎日のように幹部社員と一般社員が対話をしていて、時間ロスから見ると大変な損失であるにもかかわらず、この業界で一桁違いの高収益を10年以上続けている会社のテーマがなんと、「愛」です。
“なぜ、自分が働いているのか?”
“なぜ自分がこの会社で頑張る必要があるのか?”“なぜ自分を成長させることが社会に役立つのか?”などを真剣に議論し、そのテーマを自身の行動の仕方に、しかし理屈通りに行かない現実で、また対話に戻り、そこから、“何を頑張るのか”が具体的に生まれてくるので、皆いつも前向きな社員達であるのです。

厳冬の苦しい経営での
玄人づくりに向かう

 労働法の制限など、中小企業経営には厳しい現実がありますが、“仕事を尊ぶ人”という意味での玄人育成は、社員育成の重要な位置づけであり、“仕事を尊ぶ”原動力は愛すること、愛されることであり、会社の成果にも効果的であることが、この会社では検証されており、一つの改善事例といえます。

 一昔前デジタル情報やインターネット情報の無い時代に情報収集は、“人から学ぶ”しかなく、必然的に社内コミュニケーションが組成され、意思統一が図られたものですが、その根幹は自身の存在性と直結できるが故の帰属意識からくる愛社精神でした。

 今、このような帰属意識の希薄な時代には“愛社精神”に通ずる愛について教育する必要がそこにあります。また社内の情報伝達にはメールによるよりも“目的に添った対話と議論の尊重”による対面による対話の良さも見直してはどうでしょうか。

H21.7.3

売上60%ダウンでチャンス到来!!

 記録更新はオリンピックの
専売特許ではない!

 「コストダウン10%実現では経営は成り立たない」というと今日では当たり前と軽く受け流されてしまいますが、一年前ならば、“これ以上のコストダウンは困難だ!何を言うのか!!”と言われたでしょう。
 今、世界的な非常事態だからと言えますが、もしも平常時に10%のコストダウンを実現できていたならば、どれほどの競争力を展開できたでしょうか。そのような企てが、“平時の非常時戦略”であり、勝つための企業活動といえます。

10%改善よりも30%改善の方が
実現しやすい!!

“大きな改善は困難”とは、限りません。小さな改善は、現状からの延長線上で【努力】を前提としてしまうため、かえって改善が難しい場合が多く、生きるか死ぬかの
非常事態であったり、改善が法外に大きい非常値であった方が、改善の実現性を飛躍的に高めてくれます。そのことが、“今日の10%コストダウンは当たり前”につながってきます。

売上60%ダウンの窮地を活かし
売上倍増の実現へ

 このように理屈では、今がチャンスと判っていても、そのような行動を出来る企業は大手、中小企業を問わず、ごく僅かな割合でしょうから、尚のこと世界不況の今日こそ、コストダウンに限らず変革の機会であり、新しいビジネスモデルの構築の時となります。60%売上ダウンに直面したある会社が、取らざるを得なくなった大改革が功を奏し、売上倍増を見込める一部上場企業の新規取引先の確保が実現するといった平時では、余り見られない変革の成果も形が違いながらもチラホラ見られています。

H21.7.2

太陽光発電への期待

 太陽光発電の状況

太陽光発電に関して日本の技術は世界トップクラスを誇りますし、導入量も2004年までは世界一でした。しかし、ドイツでは電力会社が太陽光発電でつくった電力を2倍以上の固定価格で買い取ることを義務づける制度を導入、国を挙げて強力にバックアップした結果、05年以降、太陽光発電の導入量で世界首位となりました。

今年、補助金が復活した

 1月からは、家庭用太陽光発電設備に対して国、自治体から補助金が出ることになりました。国は《7万円/ kW》、自治体では東京都の場合《10万円/ kW、上限は、100万円》、新宿区の場合18万円/ kW、上限80万円》です。
加えて経産省が2010年度に太陽光発電による電力を電気事業者が1kWh当たり約50円という高値で買い取ることを義務付ける仕組みを検討していると発表しています。

初期費用回収シミュレーション

標準的な3kW装置を設置したとすると、設備費に200万円以上かかりますが、新宿区でなら補助金で約半分補てんできます。
その上、年間約3000kWの発電とすると光熱費の約6割が節約となり、5年以内に初期費用を回収できる計算になります。

税制支援も登場

税制も今年から支援制度を創設しました。太陽光発電装置を設置する居住用家屋についてのリフォーム減税で、3種類あります。
一つ目は、一般の住宅ローン減税で、10年にわたり毎年ローン年末残高の1%が所得税及び住民税から控除されます。
二つ目は、特定の住宅ローン減税で太陽光発電装置の設置費用部分(300万円が限度)とその他の改修工事費用に係る住宅ローン年末残高(最高1千万円)につき、太陽光発電装置部分は2%、その他は1%を5年間にわたり所得税及び住民税から控除されます。
三つ目は、ローン不要減税で、太陽光発電装置の設置費用を含む省エネ改修工事費用(300万円が限度)の10%を所得税から控除できます。

こんなおまけも

三つの減税は選択ですが、公的補助金は減税の対象となる改修費用の額から控除することになっていませんので、補助の恩典は加重的です。

H21.7.1

リコンの母、ミコンの母

死別、離別で寡婦に

 寡婦(カフ)とは、広辞苑で「夫に死別した女。やもめ。未亡人。」とあります。一般に馴染みのない言葉ではありますが、後家、未亡人というよりは受け入れやすいと思われます。
所得税法では死別だけでなく、離婚してから結婚をしていない人で扶養親族又は生計を一にする子供がいる人なども寡婦とされています。
寡婦に該当すると27万円、特定の寡婦であれば38万円の所得控除の適用があります。子供がいるいないが寡婦や特定の寡婦の適用要件になっていますが、寡婦控除は寡婦に該当する本人に対するものです。子供に対する扶養控除は、別に適用されます。

扶養親族が寡婦に大きく影響

寡婦要件のうち生計を一にする子供の所得は38万円以下ですので、子供が所得を得るようになると寡婦に該当しなくなります。
しかし、子供が成人しても所得を得るようにならない限りその子は扶養親族のままですし、また親など他の親族を扶養している限り寡婦要件は充たしていることになります。
さらに死別であれば、500万円という所得制限があるものの、生涯にわたって寡婦要件を充たすことになります。

未婚では寡婦に無縁

寡婦は配偶者との死別や離婚が前提ですので、いわゆる未婚の母は寡婦になりえません。
戦後の寡婦支援を持ち出すまでもなく、寡婦控除が、配偶者との死別や離婚によってその後の生活が大きく変わってしまうことに対する措置であると理解できます。
それでも死別や離婚した人と、非婚で子育てや老親を扶養する人との違いについてどれだけ説得力を持つのか疑問です。