港区 税理士法人 大沢会計
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2009年8月

2009/08/31

H21.8.31

在宅勤務と制度制約

多様な勤務形態

徒歩通勤者の職員に対して通勤手当を支給している自治体が274にのぼり、うち通勤距離が2km未満にも手当を支給している自治体が244と全自治体の約8%を占めているという調査報告があります。
公務員の勤務形態の多様化も検討されている折柄、在宅勤務になってもこの支給は続けられるのかと疑問がわきます。

在宅勤務化がトレンド

 NTT、NEC、全日空、Panasonic、富士通、特許庁などの大がかりな在宅勤務制度の導入情報が報告されています。
 在宅勤務者にはインターネットやFAX等の利用料金や電気代、さらには家賃の一部を会社が負担しているケースもあるようです。
ところで、これら会社負担が現物給与であるか否か、課税給与とされるか否か、社会保険の月額報酬に含まれるか否かについては、要検討事項です。

課税関係情報は揺れている

自宅兼事務所を所有している事業者の家事関連費の考え方と同様に、様々な明細書等をもとに業務に相当する費用であると証明できる場合には課税給与と取扱わなくてもよい、との情報があります。
 また、会社管理のパソコンやプリント用紙やインクなどが現物支給された場合は会社の備品消耗品の処理にとどまるが、電気代や通信費など現物支給ができないものについて金銭で補てんしたとすれば、給与扱いとなる、との情報もあります。

社会保険はもっと不確定

 標準報酬(給与)月額の対象となるものとしては課税情報の後者の扱いと同じと言って差し支えないだろうが、それ以前に、そもそも在宅勤務者は労働者か、と問われるようです。
 指揮監督、時間拘束、労働代替性、賃金労務対償性、機械・器具が会社より無償貸与、などを総合判断し、労働者性の濃淡の状況により被保険者になれない場合があります。

政策制度間の齟齬

 一方で、勤務形態の多様化を唱えながら、他方でそれに邪魔立てするような制度になっている、というこの実態は、珍しいことではなく、縦割り行政の硬直化として日本の中の普遍的現象ともいえます。
 政権公約で解消してほしいところです。

H21.8.28

企業努力で社会保険料削減

もう一歩進めて社会保険料の削減
 社会保険料の企業負担を減らすために、算定月(4,5,6月)に残業を減らす等の紹介はしましたが、さらにもうひと工夫して、保険料の削減を図ってみましょう。

①退職日は月末以外の日とする
 社会保険料は入社の日の月から退社した日の月までかかりますので、月末退社の場合はその退職月までかかる事となります。 社内規定で月末退職が規定されていれば別ですが、退職日を月途中とする事で、その月は保険料がかかりません。これは、賞与についてもいえる事で退職月に支払った賞与の保険料は月末退職でない限り、保険料はかかりません。

②非常勤勤務やワーク・シェアリングする
 企業で社会保険に加入しなければならない要件は、1日又は1週間の労働時間、又は1か月の労働日数がその企業の所定労働時間の4分の3以上働く人が対象となります。フルタイム勤務を要しない人に対してこの勤務時間の範囲内で勤務をしてもらい、又、正社員でもワーク・シェアリングを行った場合には利用できる方法かもしれません。

③実費弁済的な費用は賃金から除外する
 実際に支払った出張費等は賃金からはずし、別途実費弁済で精算します。

④個人事業主との委託契約等に切換える
 業務内容によっては、個人事業主としての契約に変えることができる業務もあると思います。企業負担を減らすとともに、本人にもメリットになる事もあるでしょう。

⑤育児休業者保険料免除制度を利用
 育児休業者がいる場合、免除申請が受理されれば、子が満3歳になるまで保険料免除されます。(長期の休業が企業にとってどうなのかは別として)保険料免除申請をして必ず適用をうけましょう。
 今日のような経済情勢の下では、経費の見直しをしている企業も増えているかもしれません。
社会保険料の負担軽減を意識することで、保険料節約ができれば、少しでも経費削減につながる事でしょう。

H21.8.27

給与の遅配、分割払と税金

給与を支払わないと税金は?

 企業の業績が悪化し、資金繰りに窮するようになると、給与の未払や遅配を余儀なくされます。
そのようなときに気になるのが、税金や社会保険料です。

源泉所得税は給与対応分だけ

所得税法で給与の支払者はその支給の際に源泉徴収をする義務があるとされています。支給の際とありますので、支給がなされないかぎり源泉所得税も発生しないことになります。
また支給すべき給与の一部だけが支払われる場合には、分割支給の割合分だけの税額を徴収することになります。例えば支給すべき給与の額が30万円でそのときの源泉所得税額が6万円であるとした場合に、給与の3分の1の10万円が支払われるときは源泉税額も3分の1の2万円となります。
このように源泉所得税が徴収されるのは現実の支給に見合った分だけなのですが、年末調整や確定申告の際の所得金額計算では、給与の支給日として定められた日に収入があったものとして未払分も含みますので注意が必要です。

住民税は今の給料に関係ない

住民税においても、給与の支払者は特別徴収義務者として給与の支払時に住民税を徴収しなければなりません。給与の支払時にというのも所得税と同じです。
ただ、給与支給の際に徴収されている住民税は、前年の所得に対して確定した税額ですので、給与の支給がないことをもってその確定した税額が減免されることはありません。すなわち給与の支給者が爾後支給不能の状態に至れば、未徴収の住民税額分は本人が普通徴収の方法で支払わなければならないことになります。
所得があればこその税金が、所得がなくなるときにまでつきまとう、といったら言い過ぎでしょうか。

H21.8.26

コスト削減はトータルで!

涙ぐましい経費削減努力で満足感充足

 「1円を笑う者、1円に泣く」のことわざのとおり、利益は1円の積上げですから、工場や廊下果てには玄関入口まで消灯している経営努力に感服しながらも、同時に“大数管理は大丈夫?”とつい気になってしまうことがあります。

 大数つまり大きな数値、或いは重要な数値と解されていますが、小さな気配りに気を取られ、経営の全体像の中での目的達成のためのバランスの取れた行動になっているのか、成すことが判らないまま“せめてもの努力”に収まっていないのかということの目標管理の視点からのチェックが大切です。

大不況の中だからこそ基本動作に立ち返る

 売掛金の回収状況あるいは異変の確認や、在庫の不良化の可能性などにとどまらず、顧客先の製品・組織などの状況確認、取引先銀行の対応変化、自社の資金耐久力の仮説検証、同業他社の原材料仕入原価の情報分析、人件費負担率、家賃負担率など固定費全体の削減と他勘定へのお金のシフト化など経営戦略とは別に、内部チェックによって現状の確認や見直しをするところは多いにあります。

 このような時代に最も危険なコストは「貸倒と銀行金利の引上げ」となりますが、その意味においても不良債権には特に注意が必要です。大きな貸倒損失が出るとそれ自体が会社のダメージとなる上に、更には債権者である銀行の目からは、大いなるリスキーな貸出先と見られ、格付けの引き下げによる金利の大幅引上げというリスクが高まります。

 したがって、小さな努力も大切ですが、基本的なビジネス行為の中のプロセスを一つ一つ紐解いて大きなロスやリスクを未然に解消することは、“小さな節約による充足感”にも増して、重要且つ優先的な課題です。

H21.8.25

自社存続の為の健康診断

 己を知る意味で、自社の健康診断は大切です。最低でも、自社存続のためには、次の3項目の確認が必要かと思います。

(1)実質債務超過有無の把握
 決算で作成した貸借対照表(以下「BS」)は次の通りだったとします。
(決算書BS)
現預金     30
売掛金     250
棚卸(在庫) 350 
建物      350
土地      600
ゴルフ会員権 40
投資有価証券 50
買掛金     250
未払金     100
借入金     800
純資産    520

上記、決算書上の資産の回収可能性等を吟味した結果、「含み損▲」は次の通り算定されたとします。
①売掛金▲50、②在庫▲160、③建物▲250、④土地▲400、⑤ゴルフ会員権▲30、⑥投資有価証券▲30、この「含み損▲」を前提に実態BSを作成します。

(実態BS) 
現預金   30
売掛金   200
棚卸(在庫)190
建物    100
土地200
ゴルフ会員権 10
投資有価証券 20
買掛金250
未払金100
借入金800
純資産▲400 

上記、実態BSからは、会社の財務状態は実質債務超過▲400となります。ここで問題となるのは、この状態で借入金800を返済できるかどうかです。

(2)過剰債務有無の把握
 償却前利益(減価償却+経常利益)の10倍を超える借入金は「過剰債務」と呼ばれています。損益計算上の経常利益が20、減価償却費30だとすると、年間の償却前利益は50です。この「50」は年間の借入金の返済財源で、その10倍、500を超える債務300(800-500)が過剰債務ということになります。過剰債務の存在は危険です。

(3)償却前利益と年間返済額の把握
 償却前利益が借入金返済の財源になりますので、償却前利益<年間返済額(運転資金を除く)では、返済財源が足りず、資金繰りが厳しくなります。

H21.8.24

○○○○にやさしい

最近、政府により実施された景気対策には、ある共通項があるようです。
いくつか概要を掲げますので、見つけてください。

一般住宅の住宅ローン控除
住宅ローンを利用して、今年及び来年中に住宅を新築等し居住した場合、年50万円、10年間で最大500万円所得税が減税されます。また、控除額を所得税から引ききれない場合は、残額を翌年度の住民税から年最大97,500円控除できます。

認定長期優良住宅の住宅ローン控除
建物の耐久性を高めるために建築コストがかさむと考えられることから、一定の条件のもと、一般住宅の住宅ローン控除より約20%割増で控除が受けられます。
ローンがない場合でも、最大100万円の税額控除が受けられます。

特定の長期所有土地等の所得の特別控除
今年及び来年中に、日本国内の土地等を取得し、その後5年超所有してから譲渡し、譲渡益が出た場合、所得から1,000万円の特別控除が受けられる制度です。

エコカー減税
最近、テレビCMでおなじみですが、例えば、平成17年排出ガス基準75%低減レベルで平成22年度燃費基準+20%達成のハイブリッド車を購入する場合、自動車取得税と自動車重量税が全額免除され、なおかつ、一定の条件で補助金が最大25万円支給されます。

エコポイント
エアコン、冷蔵庫、地上デジタル放送対応テレビのうち統一省ラベル4つ星以上のグリーン家電を購入するとエコポイントを取得でき、申請によりエコポイントと商品券などとを交換できる制度です。

共通するのは……
これらの制度を眺めていて感じるのは、「持つもの」だけがその恩恵を受けられるということです。つまり持つものにやさしい制度です。持たざるものは、定額給付金でガマンしろということでしょうか?
一億総中流時代が終焉した今、今は持てないが、あきらめず頑張れば持つことができると、このような層の人々に夢を持たせる税制や政策こそが、日本の将来を明るくするのではないでしょうか?

H21.8.21

守っていますか?申告書の自署押印

(1)申告書の「代表者自署押印」
法人税の申告書には、「代表者 自署押印」という欄があります。当たり前ですが、この欄には代表者が自署して押印することになっています。この「自署」と「押印」の正確な定義をご存知ですか?

(2)自署とは
 自署とは、自身で署名することですので、代表者が自らの手で申告書に氏名を書かなければいけません。やむを得ず代表者名入りのゴム印を押したり、予めワープロで印刷されているケースもあるかもしれませんが、これらによる氏名の記載は「記名」であり、自署ではありません。

(3)押印とは
押印とは、印鑑を押すことですが、法人税の申告書に押す印鑑はどのような印鑑でしょうか?税法では「自己の印」を押すとされており、自己の印とは、申告書に署名をした代表者個人の印鑑のことです。この個人の印鑑は実印である必要はなく、いわゆる「認印」でも構わないとされています。
実際には、会社の代表者が押印する印鑑であるとして、会社の代表印を押印するケースも多いのではないかと思われます。
会社の代表印が「自己の印」に含まれるかどうかは議論の余地があるかもしれませんが、本来は代表者個人の印鑑を押すことになっています。

(4)申告書の提出は認められないの?
 それでは、「自署」が「記名」であったり「自己の印」が「会社の代表印」であったりした場合には、申告書の提出が認められないのでしょうか?
 ご安心ください。「自署及び押印の有無は、法人税申告書の提出による申告の効力に影響を及ぼさない」とされておりますので、仮に自署押印が原則通りでなかったとしても、申告書の提出が無効になるようなことはありません。

 電子申告が普及すると、代表者の自署押印という作業もいずれ無くなってしまうかもしれません。社長にとって年に一度の重要な任務の一つが無くなってしまうのも寂しい気がいたします。

H21.8.20

延滞罰の損金性

源泉税の延滞
源泉所得税の期限後納付へのペナルティは厳しく、原則として1日でも納付額の10%、(ただし自主的納付なら5%)の不納付加算税が課され、その上、年14.6%(当初2ヶ月間は4.5%)の延滞税が課されます。

住民税の延滞
住民税の延滞金も年14.6%(当初1ヶ月間は4.5%)です。ただし、国税と異なり、住民税には不納付加算金というのはありません。

労働保険、社会保険料の延滞
 労災保険・雇用保険の労働保険料、厚生年金保険料、健康保険料の納付は、それぞれの法律で義務付けられていますが、税金と異なり、延滞があったとしても自動的にペナルティとなるわけではありません。
滞納につき督促したときに限り、保険料の額につき年14.6パーセントの割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収することになっています。

労災保険の場合
事業主が労災保険の加入手続を怠っていた期間中に労災事故が発生した場合、①未納部分の保険料を遡って(2年分+10%追徴金)支払うことに加えて、②労災保険から労働者等が給付を受けた金額の100%(行政機関から加入の指導を受けたにも関わらず手続を行っていなかった場合)、又は40%(行政機関から指導は受けてはいないものの1年以上手続を行っていなかった場合)を事業者が負担しなければなりません。

延滞金の損金算入
 上記の延滞金、追徴金、負担金などはすべて罰、ペナルティの意味を持つものなので、どれも税務上損金不算入では、と考えてしまいそうです。
しかし、 損金不算入とされるのは税法で限定列挙している延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、過怠税、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、延滞金(除社保)、罰金、科料、過料、課徴金のみです。
これらには労働保険、社会保険の保険料に係る延滞金、追徴金、負担金は含まれていません。したがって、損金に算入できることになります。

H21.8.19

滞納は横領か?

 こんな疑問が出された
 給与から源泉徴収あるいは特別徴収という名前で天引きしている所得税や住民税を会社が滞納している場合、会社は従業員から預かったお金を使い込んでいるという事になります。
従業員が会社のお金を使い込んだら、横領になり刑事処罰されるのに対し、会社が従業員のお金を使い込んだとしても何も処罰されないのですか?

横領にはならない
 税金を滞納することは刑事処罰の対象にはなりません。確かに源泉徴収所得税、特別徴収住民税は従業員の給料から天引きしたもので預り金の性質がありますが、従業員は税金の納税義務者ではありません。法律上の納付義務者は会社だからです。
納期までに正しく納めないと会社に不納付加算税や延滞税や延滞金などのペナルティーが発生します。督促されてもペナルティーを納めなければ会社の財産を差し押さえされることもあります。延滞の原因が従業員の故意や過失であったとしてもです。

社会保険料も同じ
 社会保険料が正しく納められていない場合、従業員に対し直接に納入督促がされることはありません。税金の滞納の場合と同じく保険料の納入義務は従業員にはありません。
社会保険の適用誤りなどにより長期間の徴収漏れが生じた場合、会社には過去2年に遡及した社会保険料の不足額全額納入が督促されますが、その支払い後の従業員との精算は社会保険料としての天引きにはなりません。会社が給与から天引きできるのは前月分・当月分の保険料に限定されています。それ以外の保険料は単なる金銭債権債務としての天引きとされます。

国会での珍奇な政府答弁
 横領罪が成立するためには、横領の対象となる「物」があることが前提で、保険料を滞納している事業主においては、資金繰りが悪化しているため、従業員に対して手取り分の給料を支払うために必要な資金をようやく調達しているだけであろうから、(そもそも、従業員給料より源泉徴収されることとなる被保険者負担分の保険料に相当する資金を当初から保有していないのが実態であるため)横領の対象となる物は存在していない、と説明しています。

H21.8.18

農地法等の改正と農地税制

 食糧の安定供給の確保から、農地法等が大きく改正(平成21年6月17日成立、24日公布)され、公布の日から6ヶ月以内の施行となりました。この改正農地法等は、農地法、農業経営基盤強化促進法、農業振興地域の整備に関する法律、農業協同組合法などを含みますが、何といっても、「農地法1条の改正」がすべてと言っても過言ではありません。
すなわち、農地の所有者が自ら耕作することが最も適当であるとしてきた制度を改め、農地の所有者と耕作者を分離し、農地の賃貸借をも前提にした農業の効率化と農業生産の安定、拡大化に転換したことです。
この農地法等の改正を前提に、平成21年度税制改正で、農地税制、つまり相続税・贈与税の納税猶予制度も改正されました。
その主なものは次の通りです。なお、改正法の適用は、原則、農地法等の施行日からです。

(1)納税猶予期間の改正
 従前は、①三大都市圏の特定市の市街化区域の農地で生産緑地の指定を受けた農地に関しては、納税猶予期間は終身で、②それ以外の市街化区域及び③市街化区域外農地では20年でした。しかし、改正では、
③の市街化区域外農地は終身となりました。この終身への改正は、農地法等の改正で一定の要件を満たす農地の賃貸も営農と認められたことによります。また、②の市街化区域農地は、従前通り20年です。これは、都市計画法で市街化区域農地は宅地転用を前提としていることから、据え置かれたものと推測されます。

(2)譲渡面積20%制限の廃止
 従来は、猶予期間中に特例適用農地の総面積の20%超を譲渡した場合には、猶予税額が全額打ち切られ、猶予税額に利子税を加えて納付しなければなりませんでした。しかし、今回の改正、農業経営基盤強化促進法の規定に基づき特例適用農地を譲渡した場合には、総面積の20%を超える場合でも、全額打ち切りの対象から外されました。但し、譲渡した割合に応じた猶予税額及び利子税は納めなればなりません。

(3)やむ得ない事情による営農
 身体障害等で営農が困難となり農地を貸し付けた場合にでも納税猶予の継続が認められるようになりました。また、疾病等で一時的に営農できない場合でも一定の要件を満たすものについては、営農を継続しているものとする取扱が明確化されました。

H21.8.17

売る為の“営業研修”をしていますか?

買う気にさせなくても売れるのは補充営業

 自社製品の特徴やベネフィットを簡潔に相手に伝える能力の向上は、営業マンにとって、最も大切な取組テーマの一つです。また、自社製品に限定せず、競合他社製品や代替近隣製品などについても広く知識も求められます。しかしながら、中小企業において、社内で“製品知識と周辺動向”等について、意見交換や発表会などを行っているのは稀なのが現状です。

社内のフォロー研修が絶対条件!

 ところで一般的な研修セミナーで最も賑わっている分野は営業スキル研修です。経営管理関連の研修とは比較にならないほど参加者が多く、オープン講座や低価格講座が開催されているため、気軽に参加できるが故に、研修会にいくら参加しても成果につながっていない場合が多いようです。

 しかし、効果性を飛躍的に高める方法があります。それは、“1回の外部研修に対して、社内のフォロー研修を実践的に複数回行う”ことです。その社内でのフォロー研修は、“外部研修と離れないよう”進めることが肝心です。

そのため、上司は外部研修の内容を事前に確認し、理解しておくことが重要なポイントとなります。共に外部研修に参加するか、少なくとも研修主催者側に事前に研修情報を頂き、検討した上で受講者本人を中心に発表させるなどの工夫は、管理者サイドの課題といえます。

上司はコーチングスタイルで聴きながら進める。

 社内のフォロー研修でも“つい”上司がティーチングプロとなって受講した部下に教授してしまう傾向があります。長年の知識や失敗や成功など、多くの体験を持っている先輩である上司の知識や知恵は、ここでは不要であり、必要なことは、「外部で学んできた部下の知識」を肯定しながら引き出し、決して否定せず更に学んできた知識を引き出せるように心のこもった“なるほど”という頷きで接することです。上司がティーチングプロになっては、部下は受身となり育たなくなりますから“なるほど”を繰り返しながら‘研修を受講させた自社の趣旨’に沿った方向へさりげなくリードすることが研修効果を高めることになります。

H21.8.7

再「された」は「すべき」

「記載された金額」
 「記載された金額を限度とする」との税法規定は、所得税法の外国税額控除、地方税法の利子割額控除、法人税法の受取配当等益金不算入、寄附金損金不算入、所得税額控除、外国税額控除などにあります。
 この記載金額限度の意味は、計算ミス、転記ミス、記載漏れなどどんな理由があったとしても、当初の確定申告書において書いてしまった金額が適用される金額の上限である、と説明されていたものです。

「された」は「すべき」の新解釈
 この説明を打ち破る判決が昨年の5月に福岡高裁で出され、今年3月最高裁で支持されました。タイ語で記載された文章の意味を誤認し、転記ミスをしたため、外国税額控除の適用金額が過少となり、納付すべき法人税額が過大となった事案です。
 判決の解釈による記載金額限度の意味は、ミスや漏れや計算誤りなどがなかったとしたら記載すべきであったろう正しい金額のことであるとしました。

さらに再び「された」は「すべき」
 そして、この7月10日、今度は所得税額控除について、最高裁は高裁の納税者敗訴の判決を覆し、再び「された」は「すべき」の判決を出しました。
この判決では、前回よりもさらに踏み込んで、利子配当に係る所得税額の全部又は一部について損金算入処理をする積極的な意思が確認できない以上、申告書に所得税額を過少に記載してしまったとしても、所得税額の本来の全部について税額控除する意思であったことは明らかである、として納税者を支持しています。

例外的でなくなった「された」は「すべき」
控除額の記載がないときの税務署長による裁量救済規定との均衡を図る意味で、記載金額と計算明細書の間に明らかな齟齬があり,転記ミスや計算ミスが明白なときにのみ,例外的に更正の請求が許される、というのが前回までの判断でした。
今回の事例では、例外と扱えるやむを得ない事情が認められなかったにも拘わらず、「記載された金額」を「記載すべきであった金額」に訂正することを容認しました。
これで、「された」は「すべき」の流れは、ほぼ確定したと言えそうです。

H21.8.6

エコ減税とエコポイントを試してみよう!

1.エコ(省エネ)減税
①中小企業向け省エネ促進税制(法人事業税・個人事業税の減免)
 空調設備、照明設備、太陽光発電システムなどが対象設備です。減免額は設備の取得価額の1/2(上限1千万円)を取得年度の税額から減免します(当期税額の1/2を限度とし、減免しきれなかった額は、翌年度税額からも減免可)。対象期間は、法人がH22.3/31-H27.3/30までの間に終了する各事業年度、個人がH22.1/1-H26.12/31までの期間です。
②次世代自動車の導入促進税制(自動車税・自動車取得税の減免)
 電気自動車、ハイブリッド自動車(p.all_date{H21.4/1-H24.3/31の間に新車新規登録されたものに限る)などが対象となります。自動車税・自動車取得税について、課税免除、税率75%軽減などの措置があります。
また、自動車重量税について税額の減免の措置が講じられていたり、東京都独自の措置として適用期間がH26.3/31までとなっている取扱いもあります。

2.エコポイント
 環境省・経済産業省・総務省が所管するエコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業(エコポイント事業)があります。エアコン・冷蔵庫・地上デジタル放送対応テレビを購入した者に対し、一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするものです。
 必要書類は保証書のコピー、領収書(レシートの原本)、家電リサイクル券の排出者控えコピー(リサイクルした場合のみ)です。ただしこれらの書類は原則返還されません。エコポイントは1点=1円に設定され、例えばエアコンでは6,000-9,000点に換算されます。交換できる商品は商品券、プリペードカード、地域型商品券などです。

3.重複適用はできるのか。
環境省独自のエコアクションポイント(衣類、食料品などが対象で、限定商品や電子マネーと交換)と、2で述べたエコポイントは、ともに環境省が関わっているため対象商品が重複することはないようです。また、前述した1.①②とエコポイント等の重複適用はできるようです。ただし、いずれも適用期間、対象商品など細かく確認する必要があります。
このような政府の「エコ減税」には大幅な予算をとったり、まだ使える家電製品の買い換えを促進したりするなど、廃棄や環境コスト・CO2排出などの点で問題があると言えます。

H21.8.5

「還付加算金」って何 ?

専門誌等によれば、会計検査院は、納税者が税金の還付を受ける際に国が支払う「還付加算金」を減らすため、税務署での事務作業を改善するよう、国税庁に求めた、とのことです。
ちなみに、会計検査院の報告によると全国524の税務署が平成20年に支払った還付金は計4兆1,811億円、還付加算金は計338億円。その内高額還付金は合計2兆1,198億円、還付加算金は118億円だそうです。 
そこで、高額還付金につき、還付金の支払日数を短縮(現在は11日以上でこれを10日に)すれば還付加算金は計80億円に減り、約27億円を削減できるというものです。

(1)還付加算金の性質
還付加算金は、主に「源泉徴収税額(法人税では所得税額)」、「予定納税額(法人税では中間納付額)」、「消費税の中間納付額及び輸出免税等」による税金の過払い(確定申告によってその事実が判明)による返還金(このことを「還付金」と言います)で、この返還金(還付金)に対する一種の利息相当額です。還付加算金は、非課税ではなく、所得税法上は雑所得、法人税法上は益金(雑収入)を構成します。

(2)還付加算金の起算日
この還付加算金の起算日(利息相当額を計算する基準日)ですが、還付金の内容によって異なります(なお、過誤納による更正の請求等によるものは除きます)。
源泉徴収税額等による還付金にあっては、申告期限の翌日から(期限後申告の場合は、その申告日の翌日から)、一方、予定納税額等の還付金においては、予定納税額の納期限(中間納付額の納期限)の翌日からです。

(3)還付加算金の利率
還付加算金の額は、起算日より還付の日までの日数に応じて、年7.3%の割合を乗じて計算した金額ですが、平成12年1月1日以降の還付加算金の割合は、公定歩合に年4%の割合を加算した割合になっており、現在は4.5%です。
現行の金利を考えれば高利回りですので、業績が前年を大きく下回ることが予想されるのではあれば、減額申請、仮決算などを行なわず、税務署から送付されてきた予定納税額等をそのまま納付し、確定申告で還付を受けた方がお得です。もっとも、資金に余裕があることが前提です(この制度は地方税においても同様です)。

H21.8.4

社会保険料の掛かる仕組みを知って節約

社会保険料の負担を安くしたい

 このところの景気後退で、給料は昇給無かあっても少なめ、残業代も減り、働く人の給与額は一般的には増えていない、むしろ減っているという人も多いでしょう。一方で企業は社会保険料の面でも負担を軽くしたいところかもしれません。社会保険料は大きな意味では働く人の生活を守る役割を果たしていますが、企業にとってもその負担をできるだけ軽減するのは必要な課題でありましょう。ですから、次のような対策も一考の余地あるものと思います。
その方法をさぐってみます。

①厚生年金や健康保険料の上限に注目
 厚生年金保険料上限は月額605,000円、健康保険料の上限は月額1,175,000円となっています。賞与にも月額と同率の保険料がかかるので、賞与額が多い場合には、月々の給料に上乗せし、上限を超えた分には保険料がかからないようにすることで、軽減がはかれます。(しかし、このところは、賞与額がそこまで伸びるかが問題ですが。)

②社会保険料の改定月に注目
 社会保険の改定月は4,5,6月の給与で算定基礎届で定時改定され、1年間の保険料が決定されますので、可能ならその月はノー残業デーを設ける等して、残業時間の圧縮をします。もう算定期間はしばらく来ないという時期には随時改定がありますが、降給を伴う場合は、社員との話し合いが必要となるでしょう。

③固定給を減らし変動給を多めに
 営業職等は歩合給や売上連動型の営業手当等、変動給部分の割合が多ければ算定月は少なめに稼ぐという方法も考えられます。但、当月支払うべき賃金を後で払うということは、問題があります。又、給与額全体の中の歩合給の割合が多すぎても働く人の生活の安定が損なわれるようでは、本末転倒かも知れません。
 保険料削減は大切な課題ですが、そのあたりはバランスが大事なところでしょう。

H21.8.3

清涼飲料税

清涼飲料税が提案されるも見送られる

 アメリカの肥満税のことではなく、日本のはなしです。
清涼飲料(炭酸飲料)の課税問題が議会で取り上げられたので、全国清涼飲料課税反対同盟会は当局に対し課税反対の運動を起し、その功が奏したのか、課税法案の上程は見送られ、全国各地の業者は団体の力が必要であることの認識を深め1918年(大正7年)11月に清涼飲料水の同業者団体を設立しました。

清涼飲料税の再提案

 その後戦費調達のため再び清涼飲料税の創設問題が起り、全国団体が中心となった課税反対運動にもかかわらず、1926年(大正15年)1月帝国議会を通過し同年4月1日より施行されました。
酒税と同じ製造者課税で、出荷時課税です。対象品目は、瓶詰の玉ラムネ、サイダー、シトロン、タンサン水、ジンジャーエール等、タンク詰ソーダ水等です。業者は製造場1か所ごとに政府の免許を必要としました。

嗜好飲料への課税拡大

1937年(昭和12年)日中戦争の勃発により国費が膨張したので炭酸飲料以外の嗜好飲料にも課税することになり、戦時立法として1939年に物品税法が施行されました。牛乳又は乳製品酸性飲料、果実汁、果実みつ、コーヒー、シロップ及びこれに類するものが課税対象とされました。

両税の統合と廃止

1948年(昭和23年)製造者免許制度が廃止され、その翌年のシャウプ勧告による税制改革で清涼飲料税は物品税に統合されました。
嗜好飲料品課税としての物品税は、その後対象品目の変更や税率軽減をしながらも、年中行事のように業界要望されていた廃税には至りませんでしたが、平成元年4月消費税の導入により物品税そのものが廃止となりました。

再課税されるとしたら

最後の物品税の課税対象品は次のものでした。消費税複数税率や米国流肥満税が検討されるとしたら、これらがやり玉にあがるのかもしれません。
(1)果実水及び果実みつ
(2)コーヒーシロップ及び紅茶シロップ
(3)炭酸飲料
(4)コーヒー、ココア、ウ一口ン茶ほか