港区 税理士法人 大沢会計
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2015年7月

2015/07/31

H27.7.31

勘定科目や償却期間に注意!
上下水道の負担金の会計処理

水道関係の支出金は会計処理や償却に注意
 建物を建築し、給水設備工事や排水設備工事を行う場合には、「建物附属設備(給排水設備)」として資産計上し、15年で償却することになります。
 これらの工事の際には、上水道については、水道事業者に対し「水道利用加入金」を、下水道については、市町村に対し「受益者負担金」を支払うことがあります。
 似たようなものに見える支出ではありますが、これらは、会計処理や償却期間が異なるため、キチンと区別したいところです。

上水道は無形固定資産、下水道は繰延資産
 上水道の加入金については、「無形固定資産」の「水道施設利用権」あるいは「工業用水施設利用権」として15年で償却します。
 この「水道施設利用権」とは、「水道事業者に対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して水の供給を受ける権利」とされています。他人(水道事業者)の所有する水道施設を利用することを目的とする「権利」であり、その金額は、メーターの口径で決められます。
 一方、下水道の「受益者負担金」は「税務上の繰延資産」となります。
 これは、市町村が所有・管理する下水道(=公共施設)について、法人・個人事業者自身が受けるメリットを反映するため費用配分を行うものであるからです(土地の地積に負担金単価を乗じて計算されます)。
 公共施設負担金の償却年数は、その施設の耐用年数の7/10とされていますが、現実に、その設備ごとに償却期間を定めると煩雑になることから、このような受益者負担金については、通達により一律に6年(公共下水道を使用する排水設備を新設・拡張するための負担金は15年)とされています。

分割納付の受益者負担金には要注意!
 なお、受益者負担金は分割納付を認める市町村が多く見られますが、繰延資産は原則として3年超の場合には、総額が確定していても、その総額を未払計上して償却することを認めていません。
 ただし、長期分割払いについては、①分割払いの期間が繰延資産の償却期間以上で、②分割支払額が概ね均等額であり、③徴収が工事着工後に開始される場合には、その支出日の属する事業年度において損金に算入することができるものとされています。

H27.7.30

最近よく耳にする小型無人飛行機
「ドローン」の耐用年数

「ドローン」(小型無人飛行機)とは?
 最近、よく耳にする「ドローン」。元々は英語で雄のハチ(drone)を意味する言葉ですが、転じて「小型無人飛行機」のことを指すようになりました。当初は、軍事・災害等の分野で用いられた比較的大型(10m超)のものでしたが、コンピュータ制御や遠隔操作の技術の発達により、小型で廉価のものも登場し始めると、民間にも急速に普及するようになりました。
 商用使用はもとより、ホビーとして、ドローンに小型カメラを搭載し、個人でも手軽に空撮を楽しむ時代となり、大きさ・形状・用途も様々なものが販売されています。
 その一方で、日本でも官邸や善光寺で落下する事故・事件が発生し、規制強化の声が上がっています。

「無人ヘリコプター」は10年又は7年?
 この「ドローン」を事業で用いる場合、耐用年数は何年になるでしょうか。かつて、国税庁ホームページには「類例」とよべるものが掲載されていました。(質疑応答事例「無人ヘリコプターの耐用年数」。平成20年の減価償却制度見直し前まで掲載)
 この質疑応答事例の公表時点では、無人ヘリコプターは航空法の適用はなく、耐用年数省令の「航空機」「ヘリコプター」に該当しないこととされていました。
(例1)測量用の無人ヘリコプター(航空写真撮影に使用。燃料:ガソリン。600万円)
一般の事業用減価償却資産として、規模・構造から「器具及び備品」「11前掲のもの以外のもの」「その他のもの」「主として金属製のもの」…耐用年数10年を適用
(例2)農業用の無人ヘリコプター(病害虫防除用の薬剤散布又は播種用等に使用)
農林業用の減価償却資産に該当するため、特殊の減価償却資産として耐用年数省令の(旧)別表第7を適用
 (旧)別表第7は平成20年に廃止されていますので、現行法では「機械及び装置」「25農業用設備」として耐用年数7年の適用が考えられます。

今後「ドローン」の航空法規制が入れば…
 ただ、今後「ドローン」の規制が厳しくなるならば、航空法の適用があるものになるかもしれません。その場合は、耐用年数省令の「航空機」「その他のもの」で耐用年数5年となる可能性も考えられますね。

H27.7.29

資本金も利益の一種です

複式簿記とは
 複式簿記は、現金で車を買った場合に、増えた財産(車)と減った財産(現金)を左右に併記することにより、平衡を保ち財産を管理しようと言うものです。
 しかし安く買った商品が高く売れたような場合、減った財産と増えた財産が平衡を破ることになり、そこで考え出されたのが、販売益や売上等の名目勘定(損益勘定)です。この名目勘定に対し、実際に存在する財産を実在勘定と言い、実在勘定と名目勘定の合計は、常に平衡を保っておりました。

資本の登場
 しかし一年でいくら儲かったのかとか、財産が増えたのか等、期間を区切って財産の増減が問題になると、実際にある資産と負債と言う実在勘定は期間を超えて存在しますが、収益・費用と言う名目勘定は、実在しませんので、次の期間では0からのスタートとなります。ここで左右のバランスが崩れます。
 そこで考えたのが、資本と言う概念です。

最初の利益が資本金
 会社をはじめる時も本来一緒です。最初に会社に1000万円を入れた場合、会社は1000万円の現金が増えるだけで、減る財産がないので、名目勘定である収益勘定を対応させて、以下の処理となります。

現金 1000万円 / 収益 1000万円

 この収益勘定は、期間が変るとなくなり、資本となります。これを資本金と呼び、その後の儲け=利益と区分しております。
 実務ではプロセスを省略して最初から、(現金)1000万円(資本金)1000万円
としております。

H27.7.28

平成27年度税制改正
受取配当等の益金不算入制度の見直し

平成27年改正・受取配当等の益金不算入
 平成27年税制改正では、法人税率が引き下げられる一方で、課税ベースを拡大する改正項目が盛り込まれています。その中の一つが「受取配当等の益金不算入」制度の見直しです。今回の改正では、二重課税排除という制度の基本的な考え方を踏まえつつ、次の点が見直されています。
? 株式等の区分の改正
支配目的の株式等と支配目的の乏しい株式等(資産運用目的の株式等)との区別が一層明確化され、株式等の区分が次のように見直されました。
(改正後)株式等の区分と益金不算入割合
区分        不算入割合
①完全子法人株式等 100%
(保有割合100%) (負債利子控除なし)
②関連法人株式等  100%
(保有割合1/3超) (負債利子控除あり)
③その他の株式等  50%
(5%超・1/3以下) (負債利子控除なし)
④非支配目的株式等 20%
(保有割合5%以下)(負債利子控除なし)
? 負債利子控除の改正
 上記の区分改正に伴い、負債利子控除の計算が煩雑になることを考慮して、③と④については、負債利子控除の計算は行わないこととされました(改正後は関連法人株式等のみ負債利子控除の計算を行うこととなります)。また、負債利子控除割合の計算における総資産の帳簿価額から減算又は加算する金額の取扱いについて、「その他有価証券に係る評価益等相当額」又は「評価損等相当額」が除外されました。
? 株式投信の全額益金算入
 公社債投資信託以外の証券投資信託(株式投信)について、全額益金不算入(改正前は収益分配金の1/2)とされました。

適用初年度は「原則法」により計算
 また、関連法人株式等に係る負債利子控除額の簡便法における基準期間が、H27.4.1からH29.3.31に開始する事業年度とされます。簡便法に経過措置が設けられなかったため、適用初年度ではすべての法人が「原則法」により計算することになります。
 なお、この原則計算の場合、「当期末及び前期末の総資産の帳簿価額の合計額」、「当期及び前期の期末関連法人株式等の帳簿加価額の合計額」が計算で用いられますが、この「前期末」は改正後の規定で再計算したものを用いることとなります。

H27.7.27

3C分析と注意点

 「3C分析」は、外部環境(市場と競合)の分析からKFS(Key Factor for Success:成功の鍵となる要因)を見つけだし、自社の戦略に生かすフレームワークです。
この分析は、マーケティング戦略などで、よく活用されていますが、いくつかの陥りやすい問題もあり、注意が必要です。

“3C分析”の方法と注意点
 “3C分析”では次の分析を行ないます。
CUSTOMER 顧客ニーズの変化を知る。
COMPETITOR 競合が市場・顧客ニーズの変化にどのように対処しているかを知る。
COMPANY  自社が成功する要因を見出す。
調査・検討を行なう上で、注意を要する点と対処法は次の通りです。
①「顧客ニーズの変化」を知るには、好みが多様化している今日、対象市場で顧客の商品の使用場面に接して、“三現主義(現地で、現物を見て、現実に即して)”で詳細に観察する(“三現主義”は以下の調査検討でも同様に重要)。
②競合は、その顧客ニーズにどのように対応しているか“4P”の視点から観察し、情報を集める。
[4Pの視点]
視点     調査対象
Product   商品そのもの
Price    価格政策
Place    販売店・販売経路
Promotion 広告・宣伝・人的コミュニ
ケーション
③以上の調査、検討から、「4P」の視点で自社の成功要因を見出す。

経営者・管理者の留意点
 ここで、最も注意を要するのは、競合の「4P」対処策の真似をし、同様の対策で負けまい、とする結果、自社の独自性を薄めてしまうことです。自社の「4P」の対処策検討では、SWOT分析・クロスSWOT分析などを援用し、自社の強みを深掘りして差別化することが最重要です。
 社員の衆知を集めて、自社の実績に裏付けられた、販売上・技術上の強みを良く検討し、より強化することに徹すれば、競合を凌駕することに帰結するでしょう。

H27.7.24

平成27年5月「空き家対策法」施行
「空き家」に関連する税制

平成27年5月「空き家対策法」全面施行
 平成27年5月「空き家対策法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。日本の空き家の数は820万、空き家率は13.5%に上り、増加傾向にあると言われています。管理が不十分な空き家は、火災の発生や家屋の倒壊、衛生面や景観面の悪化等も懸念されます。このような状況を受けて登場した「空き家対策法」ですが、税金にもいろいろな影響を与えています。

固定資産税 特定空家の住宅用地特例除外
「空き家対策法」では「周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にある空家等」を「特定空家」と定義して、その所有者に対して必要な措置を取るよう市町村長が助言・指導・勧告・命令等をできることとなりました。これを受けて、同法の勧告の対象となった「特定空家」の敷地については、「住宅用地の特例」(価格に1/3~1/6の率を乗ずる特例)の対象から除外する措置が取られました。場合によっては、固定資産税が今までの6倍となる物件も出てくることが予想されます。

所得税「空き家補助金」と所得税の関係
 また、「空き家対策法」施行前から、既に空き家の有効利用を進める観点から、空き家の取得・リフォーム・解体費用の一部を補助金として給付する自治体がありました。
 この補助金を一般個人が取得した場合には、一時所得として課税されます。ただし、空き家の取得・リフォームに伴い取得する補助金には「国庫補助金等の総収入金額不算入」(申告要件あり)、解体費用に伴う補助金には「移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入」(申告要件なし)の規定があり、いずれの「空き家補助金」にも課税されない制度が設けられています。
 また、金融機関から融資を受けて空き家を取得した場合の住宅ローン控除の適用については、取得対価から「空き家補助金」を控除して計算することとなります。

譲渡の場合「3,000万円特別控除」不可
 かつて居住していたが、一定の年数、空き家となっている物件を譲渡した場合には、譲渡所得(所得税)の「住宅用財産の3,000万円の特別控除」の特例の適用を受けることはできません。そのため、古い物件であっても「空き家」の処分時に譲渡所得が生ずることが免れないケースも増えてくると思われます。

H27.7.23

国外転出時課税の「1億円」判定
非上場株式の価額の算定方法

国外転出時課税の「1億円」判定方法は?
 平成27年7月からスタートする国外転出時課税制度は、有価証券等を1億円以上有する居住者に適用されます。
 この有価証券の価額「1億円」という判定基準は、上場株式など取引市場があるものについては、時価(終値)の情報を取りやすいのですが、非上場株式等については、取引市場がないため、その株価を算定しなければなりません。
 この場合、非上場株式の取引価額の算定によく用いられる「株式等を取得する権利の価額」や「株式等を贈与等した場合の『その時における価額』(みなし譲渡)」の通達規定を準用して算定することになります。

非上場株式の価額の原則的算定方式
 非上場株式の価額は、「株式等を取得する権利の価額」の通達の規定を用いて算出した価額が原則的な株価の算定額となります。
 この通達では次の①~④の順に従って、それぞれの金額で算定することになります。
①売買実例がある場合…最近の売買実例のうち適正なものの価額
②公開途上株式である場合…公開価格等を参酌した通常取引価額
③売買実例がなく、類似法人の価額がある場合…類似法人比準推定価額
④①~③に該当しないもの…1株当たりの純資産価額等を参酌した価額
 実際には、非上場株式の取引においては、売買実例があるものも少なく、類似する法人を見つけることも困難であることから、④の1株当たりの純資産価額を参酌した価額を採用する例が多く見られます。

財産評価基本通達を準用することも可能
 また、「株式等を贈与等した場合の『その時における価額』(みなし譲渡)」の通達規定により、相続税の計算で用いられる財産評価基本通達を用いることもできます。
 ただし、相続税の非上場株式の評価では「企業の清算価値」を志向するのに対して、所得税の評価では「継続企業」を前提とすること等があるため、次の3点の調整を加えて評価を行うこととなっています。
①「中心的な同族株主」である場合は、常に「小会社」で評価すること。
②土地と上場株式は相続税評価額ではなく、「時価」で評価すること。
③評価差額に対する法人税額等相当額(現行38%)の控除は行わないこと。

H27.7.22

H27.7「国外転出時課税」スタート
国外転出時課税と納税管理人の届出

平成27年7月「国外転出時課税」スタート
 平成27年7月1日から「国外転出時課税」制度がスタートしました。
 正式な名称は「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」。1億円以上の有価証券等を有する居住者が国外転出(日本国内に住所・居所を有しないこと)をした場合には、その有価証券等の譲渡をしたものとみなす―出国時に有価証券等の「含み益」に課税する制度です。富裕層の軽課税国移住による租税回避には、各国の税務当局も頭を悩ましており、今回の改正もOECDの公表した「BEPSプロジェクト」(税源浸食と利益移転)に日本側が対応したものでした。
 この「国外転出課税」の留意すべき事項はいくつもありますが、中でも「納税管理人の届出」を国外転出時までに行っているか否かにより、譲渡があったものとみなされる金額が異なってくる点は、その申告期限とあわせて注意したいところになります。

国外転出までに納税管理人届出ありの場合
 居住者が国外転出の時までに、所轄税務署長に「納税管理人の届出」を行っている場合には、「国外転出時の価額」で有価証券の譲渡等があったものとみなして、翌年の確定申告期限(3月15日)までに申告と納付を行うことになります。
 また、国外転出までに「納税管理人の届出書」を提出していれば、「納税猶予」の適用があります。この場合、確定申告書の提出期限までに担保を提供するとともに、その納税猶予期間中に「継続適用届出書」を所轄税務署長に提出することになります。

国外転出までに納税管理人届出なしの場合
 国外転出の時までに「納税管理人の届出書」を提出しない場合には、原則として「国外転出予定日から起算して3ヶ月前の価額」で有価証券等を譲渡したものとして国外転出時に申告することになります(準確定申告)。この場合には、「納税猶予制度」の適用を受けることはできないので、国外転出までに納付を行わなければなりません。
 なお、国外転出後に「納税管理人の届出」をし、申告するときは、「国外転出時の価額」で有価証券の含み益を計算することとなります(この場合においても、原則として「納税猶予」の適用はありません)。

H27.7.21

課題形成の方法

 目標管理制度で“課題形成”の位置付けを見ますと、「業務変革の目的認識―目的を追求する上での問題点把握―問題解決の方向性検討―“課題形成”―目標設定―以下略」と言う思考の流れの中で、問題点把握、問題解決の具体的方向性検討に基づいて課題形成を行ない、目標設定に直接結びつく重要性を持っています。
 すなわち、“課題形成”を誤れば、目標設定に失敗することになりますから的確な検討、決定が必要です。

“課題形成”のやり方
 課題形成のやり方として、次の方法を推奨致します。
①業務変革の目的を追求する上での市場、法律・技術動向等外部の問題点、社内の人材・保有技術・組織体制・財務状況等の問題点を“三現主義(現地・現物・現実)”で的確に把握する。
②問題点に基づいて次の課題形成の方法を選択し、課題を形成する。
ⅰ)直接法
問題点を裏返しする(問題点の解決が課題になる。問題点が単純明快に整理できた場合に適する)。
ⅱ)SWOT分析・クロスSWOT分析活用法
「自社の強み・弱み・機会・脅威を分析し、強みを市場にある機会に生かす方向性」を重視して、課題とする。
ⅲ)“ワークデザイン”活用法
「あるべき姿と現状の姿を具体的に定義し、そのギャップを埋めること」を課題とする。
ⅳ)組み合わせ法
ⅰ)~ⅲ)、その他任意の方法で課題形成する。

経営者・管理者の留意点
 “課題形成”のやり方が理に適っていても、目標を設定したり、達成のために努力する関係社員の挑戦意欲が伴っていなければ、力強い目標達成力は形成されません。したがって、冒頭で示した思考の流れ全体に関係社員を参加させ、また、問題点の集約、課題の検討、合意形成において、真に参加して決定したのだ、と言う実感が持てるよう、“衆目評価法”などを活用することが良策と言えます。

H27.7.17

東芝・不正経理問題で注目!
「工事契約会計基準」とは

東芝、不正経理の規模1,500億円か!?
 東芝の巨額に上る不適切経理問題が波紋を呼んでいます。当初はインフラ工事部門で3年間にわたり500億円の利益が前倒し計上されていたことが問題とされていましたが、その後、決算発表は延期され、テレビ・PC・半導体部門でも会計処理が適切でなかった疑いがあると報道されています。

「工事契約会計基準」とは?
 具体的には、インフラ工事部門では、「工事進行基準」の適用において、総原価が不当に過少であったということのようです。
 上場企業や会社法上の大会社は「工事契約に関する会計基準」(工事契約会計基準)が適用されます。この会計基準では、「成果の確実性」が認められる場合には、「工事進行基準」を適用し、工事の進捗に応じて売上・原価を計上し、「成果の確実性」が認められない場合には、「工事完成基準」を適用して、完成時に売上・原価をまとめて計上するものとされています。
「成果の確実性」がある場合とは、①工事収益総額、②工事原価総額、③決算日における工事進捗度が信頼性をもって見積もりができる場合をいいます。

「工事進行基準」における工事収益
 「工事進行基準」による工事損益の一例を上げてみましょう。
【設例】見積工事収益総額 1.5億円
見積工事原価総額 1.0億円 
(発生原価 第1期0.2億円・第2期0.5億円・第3期0.3億円) 進捗率 原価比例法
この場合、工事損益は次のようになります。
     第1期 第2期  第3期 合計
工事収益 0.3億 0.75億 0.45億 1.5億
工事原価 0.2億 0.5億  0.3億 1.0億
工事利益 0.1億 0.25億 0.15億 0.5億
 「工事完成基準」を適用した場合には、第3期目に工事収益1.5億円・工事原価1.0億円(工事利益0.5億円)をまとめて計上するのに対し、「工事進行基準」により損益を計上した場合には、決算日における工事の進捗(第1期20%、第2期70%、第3期100%)に応じて、収益が計上されるため、合理的なものと考えられます。
 ただし、それは「成果の確実性」が担保されている場合に認められます。見積工事原価が不当に過少なケースでは、より利益が前倒し計上されることになるからです。

H27.7.16

平成28年からスタート
「ジュニアNISA」とは

H28よりNISAの適用範囲が拡大されます
 平成28年からNISA(少額投資非課税制度)の適用範囲が拡大されます。
 まず、現行のNISA(20歳以上の成年者に適用)の「非課税口座」に設けられている各年分の「非課税管理勘定」に受け入れることができる上場株式等の限度額が100万円から120万円に引き上げられます。この改正により「毎月10万円の投資枠」が確保されることになりました。
 そして、これまでNISAの適用を受けることができなかった20歳未満の未成年者についても、待望の「ジュニアNISA」制度が創設されました。

「ジュニアNISA」とは
 この「ジュニアNISA」制度とは、未成年者の「未成年者口座」に係る「非課税管理勘定」又は「継続管理勘定」で管理される上場株式等に係る配当所得・譲渡所得は非課税とするというものです。この制度は平成28年1月1日以後に未成年者口座の申し込みがされ、同年4月1日から受け入れられる上場株式について適用されます(「非課税管理勘定」に受け入ることができる限度額は80万円。最長5年間)。
 夫婦と子2人の世帯を例とすると、改正前の非課税投資枠は夫と妻でNISA 100万円5年×2名=1,000万円であったのに対し、改正後は、(NISA 120万円×5年×2名)+(ジュニアNISA 80万円×5年×2名)=2,000万円と倍になります。これは子供を含む国民1人当たりの金融資産の平均額556万円×4人=約2,000万円に見合う数字となります(H25総務省家計調査)。

18歳なるまでは払出ができません
 成年NISAと異なる点は、18歳となるまでは非課税のまま払出すことができないという点です。一方で、「ジュニアNISA」は最終の口座開設は平成35年で、その運用は平成39年で終了します。この場合、平成39年の時点で18歳に達していない方もいるはずで、そのような方が非課税のまま払出ができないとなると制度として好ましくありません。そのため「ジュニアNISA」では、「継続管理勘定」というものが設けられました。この「継続管理勘定」には、「非課税管理勘定」から各年80万円まで移管することができ、その後、この「継続管理勘定」を用いることで、20歳になる前年まで非課税で運用を継続することが可能となります。

H27.7.15

損金になるのか?ならないのか?「たま駅長」の社葬費用

「たま駅長」社葬に3,000人参列
 平成27年6月28日、和歌山電鉄・貴志駅の駅長待遇であった三毛猫の「たま」の社葬が、同駅コンコースで行われました。新聞報道では、最後の別れを告げようと3,000人の方が参列なさったそうです。
 「たま」は、もともとは同駅の売店の飼い猫。駅の利用者に大変親しまれていましたが、貴志川線が南海電鉄から和歌山電鉄に引き継がれることになり、居場所がなくなりそうになりました。相談を受けた社長の発案で、「たま」は駅長に任命され、引き続き、駅で飼われることとなったそうです。
 ところが、これがネットなどで話題となり、集客に大いに貢献。「たま電車」や「たまバス」を走らせる事態になりました。

「たま」の社葬費用は損金になるのか?
 「たま」の葬儀は、コンコース外に大型モニターを設置、祭壇に遺影が飾られ、駅近くの神社の神事が執り行われたそうです。
 そんな話を聞くと職業柄、「この社葬費用は、税務上損金に落ちるかしら…」と野暮な心配をしていまいます。
 法人税基本通達には「社葬費用」について、①法人の役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、②その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その社葬費用のうち通常要すると認められる部分は、その支出日の属する事業年度の損金算入を認めるとしています。これは「社葬費用」を「福利厚生費」として損金を認めるという通達ですので、人間ではない「たま駅長」には、ちょっとハードルが高そうです。
 一方、これを「記念式典」の類と見れば、「交際費」とも考えられますが、3,000人も参列されたとすると、もはや、会社の取引先などの事業関係者に限定されたものでなく、「一般の鉄道利用者」を巻き込んだイベントとも言えます。その方向で損金となるよう考えていくしかなさそうですね。

ペット葬式を挙げる側は「収益事業」!?
 お葬式の神事を行う宗教法人サイドでは、ペットの葬式が収益事業に当たるか否か真面目に裁判で争われた事例があります(平成17年「ペット葬儀料事件」)。この裁判では、パンフレット等の料金表に基づき役務提供の対価として支払われ、宗教法人以外の民間ペット葬儀社が行う事業と変わらないという事情の下では、法人税に規定する収益事業に当たるとされました。

H27.7.14

H27.10.1以後の課税仕入れに適用
リバースチャージ方式とは?

リバースチャージ方式とは?
 平成27年10月1日から「リバースチャージ方式」と呼ばれる新しい消費税の課税方式が導入されます。「リバースチャージ方式」とは、文字通り「納税義務が逆転」すること。消費税は原則として資産の譲渡を行った者・サービスを提供した者が納税義務を負いますが、「リバースチャージ方式」では、資産を購入した者・サービスの受益者が納税義務を負います。

新課税方式導入の背景
 ネットを通じて購入するデジタルコンテンツ(音楽・電子書籍・映画等)の取引は、今までの制度では国内事業者から購入する場合には、消費税は国内取引として課税され、国外事業者から購入する場合には、国内取引でないものとして消費税の課税対象外とされていました。このことが同種同様のコンテンツを購入する日本の消費者の税負担の公平や、事業者の競争条件を歪めているという指摘がありました。
 そこでネット経由の取引を「電気通信役務の提供」と定義して、新たな国内判定方式を設けるともに、「電気通信役務の提供」を「事業者向け」と「消費者向け」に区別した上で、前者の取引について「リバースチャージ方式」を採用することとしました。

具体的な課税方式
 具体的には、課税資産の譲渡等から国外事業者が行う「事業者向け電気通信役務の提供」を除くとともに、国内において行った課税仕入れのうち、「特定課税仕入れ」(「電気通信役務の提供」に係る消費税等)が納税義務の対象とされます。
 「リバースチャージ方式」により納税義務を負うこととなる役務の受益者(課税売上割合80%)の消費税の計算では、次のように、「特例課税仕入れに係る消費税」が「課税」と「控除」の両面で登場するイメージになります。
 (課税資産の譲渡等に係る消費税額+特定課税仕入れに係る消費税額)-(課税仕入れ等に係る消費税額+特定課税仕入れに係る消費税額)×80%=納付すべき消費税額

H27.7.13

幹部の仲

 「部長や課長の仲が悪い」と言う困った現象は、よく起こりがちな現実の経営問題のひとつです。
 そのような状況の下では、部署間の業務の進め方について部下同士も、どうやって上司の了解を取り付けたら良いか、と悩むことになり、業務の停滞が生じ、事業推進の障害になります。

仲が悪くなる原因
 このような、幹部間の人間関係が悪くなる原因は主として、
①部署間の仕事関係が悪い(例えば、販売部長が「商品が売れないのは、生産部門で不良品をつくるからだ」と主張し、生産部長は「商品が売れないのは、営業担当者に対する商品知識の教育が不足しているからだ」と憶測で他部署を非難し、責任のなすり合いが起きている)。
②幹部が自分の面子に拘って問題の事実を認めない、謙虚さを持たず、自分を省みない、など自浄作用が働かない。
③トップがこのような問題に気付いていないか、気付いていても放置しているため、悪い人間関係が改まらない。
④より本質的な問題は、経営理念・組織運営方針で、部署間・社員間のチームワークを重視する仕事の進め方や“三現主義”による問題解決の規範が示されておらず、経営戦略策定から目標管理制度の運用、評価に至る業務推進において、普段から躾けられていない実態がある。

経営者の留意点
 事業の発展を目指し、それを通じて自己の生活を豊かにする共通の目的を持った者同士が企業組織を形成した以上、経営者は次の点に留意して自社内の仕事を通じた人間関係づくりを指導するべきです。
①部署間の問題が起きた時、その機を逃さず、「憶測でお互いを非難したり、面子に拘らず、“三現主義”による問題の事実確認に基づき、協働して解決を図る」
よう関係者に働きかける。
②経営理念等を通じてチームワークとコミュニケーションを重視し、実践する組織運営の規範を示すとともに、幹部社員に自ら範となるように求める。
③経営戦略・経営計画の策定、目標管理制度運用(共同目標の設定・プロジェクトチームの編成など)全ての経営活動で、その規範に基づく実践を指導する。

H27.7.10

キャリアアップ助成金 有期契約労働者の職業訓練

 キャリアアップ助成金の人材育成コースは有期契約労働者等に以下の訓練を行った場合に支給されるものです。

人材育成コース
①一般職業訓練 Off-JT
②有期実習型訓練 「ジョブ・カード」を活用しOff-JTとOJTを組み合わせた3~6ヶ月の職業訓練
③中長期的キャリア形成訓練 Off-JT
④育児休業中訓練 Off-JT
 上記4種類の訓練のうち有期実習型訓練について説明します。

有期実習型訓練とは
 Off-JTとOJTの組み合わせで実施する職業訓練で正社員経験が少ない非正規雇用の労働者を対象に正規雇用への転換を目指すもので、管轄労働局長が訓練基準に適合する旨の確認を行った職業訓練。
・企業でのOJTと教育訓練機関で行われるOff-JTを組み合わせて行う
・総訓練時間が6ヶ月当たりの時間数に換算して425時間以上である
・総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下
・訓練終了後にジョブ・カード様式4(評価シート)により職業能力の評価を実施

対象労働者
 有期実習型訓練を実施する事業主に従来から雇用されている有期契約労働者等、又は新たに雇い入れられた有期契約労働者等で下記に該当する労働者。
①登録キャリアコンサルタントに職業能力形成機会に恵まれなかった者として有期実習型訓練に参加する事を認められ、ジョブ・カードの交付を受けた者
②訓練実施分野で過去5年以内、約3年以上正規雇用された事がない者
③上記②以外の者で過去5年以内に約3年以上休業していた者、過去に単純作業で職業訓練の受講経験のない者
④正規雇用労働者を約して雇い入れた者でない。但し職業訓練後に評価結果により正規雇用者への転換を予定する労働者を除く
⑤訓練の終了日、又は支給申請日に雇用保険被保険者である事

支給額 (中小企業の場合)
賃金助成 1人1時間当たり800円
Off-JT経費助成 1人当たり100時間未満10万円、100時間以上200時間未満20万円
200時間以上30万円

H27.7.9

キャリアアップ助成金 正規雇用への転換等

 キャリアアップ助成金は有期契約労働者等の非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを促進し、正規雇用への転換や人材育成、処遇改善等の取り組みを実施した場合に助成されるものです。

正規雇用等転換コース
 就業規則又は労働契約、これに準じるものに規定した制度に基づき、契約社員、パート労働者、派遣労働者などを正規雇用又は無期雇用に転換もしくは直接雇用した場合に支給されます。受給要件は下記の通り。
①次のア~ウのいずれかの該当者
ア、支給対象事業主に雇用され6ヶ月以上有期契約労働者又は無期雇用労働者である
イ、同一業務について6ヶ月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れている派遣先の事業所、その他派遣就業場所において当該同一の業務に従事している派遣労働者
ウ、支給対象事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者等
②正規雇用労働者として雇用する事を約して雇い入れられた有期契約労働者
③次に該当する労働者でない事
 正規雇用労働者に転換又は直接雇用される場合や無期雇用者に転換又は直接雇用される場合に、当該転換日又は直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所において正規雇用労働者、勤務地限定正社員、職務限定正社員、短時間正社員又は無期雇用労働者として雇用された事がある者
④支給申請日において離職していない者

支給額 (中小企業の場合)
ア、有期⇒正規雇用  1人当たり50万円
イ、有期⇒無期雇用  1人当たり20万円
ウ、無期⇒正規雇用  1人当たり30万円
 派遣労働者の正規雇用加算金  30万円
 母子家庭母等の転換加算金 アの場合1人当たり10万円 イとウの場合 5万円 

手続きの流れ
①キャリアアップ計画の作成、提出
②就業規則等に転換制度を規定する
③転換や直接雇用に際し規定した試験を実施、正規雇用への転換、直接雇用の実施
④転換後6ヶ月分の賃金支払後支給申請
 6ヶ月分の賃金支給(時間外手当も含む)した翌日から起算し2ヶ月以内に支給申請
 この他、受給には事業主要件もありますので事前確認しておきましょう。

H27.7.8

ワークスタイルの変革

ICTの普及によって、“ワークスタイルの変革”が進むと言われています。
 たしかにICTを活用することで、
・仕事の処理スピードが向上する。
・組織のフラット化が可能となり、上下のコミュニケーションが円滑化する。
・在宅勤務が可能となるなど、就労形態の多様化ができる。
などコミュニケーションスピード向上や業務処理の効率化が図られていることは事実です。しかしながら、パソコンやインターネットを活用したワークスタイルのみを重視した変革では、経営改革に対する貢献が十分果たせるとは言い難いのです。

真のワークスタイル変革とは
 企業に利益をもたらす真の“ワークスタイル変革”のあり方は、その変革が事業目的を追求し、目標を達成するために重要な課題を効率的に解決し、投入時間当たりの利益など、成果を向上させるものでなくてはなりません。

ワークスタイル変革の視点
 したがって、ワークスタイル変革を図る視点は次のようにありたいものです。
①経営戦略目標・年度経営計画を策定するにあたって、経済環境・市場環境・社内環境などから問題点・課題を的確・スピーディーに判断する。
②経営目標を目標管理制度の活用によって達成するため、部署間で適正な分担に基づく目標の設定を的確・スピーディーに行なう。
③各部署ごとの目標設定・達成プロセス管理を効率的に行なう。
④①~③の結果、経営活動全体としての時間当たりアウトプット(利益などの成果)の向上を図る。
 このように、経営の全体と部分を対象として効率化するような働き方の変革が真の“ワークスタイル変革”と言えます。

経営者・管理者の留意点
 このような“ワークスタイル変革”は、社員が意欲を持って活躍するための人事賃金制度のしくみ・目標管理制度の運用における人的コミュニケーションの進め方・タイムマネジメント・ICTなど具体的手段の活用が相俟って生み出されるものです。
 特に人的コミュニケーション・タイムマネジメントの重要性がICT偏重によって見失われないように留意しましょう

H27.7.7

平成27年5年 消費税「Q&A」公表
「電気通信利用役務の提供」とは?

「国境を越えた役務の影響」Q&A公表
 平成27年税制改正を受け、国税庁から「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等のQ&A」が公表されました。
 今回の改正では電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電子通信利用役務の提供」と位置づけ、その役務の提供についての「内外判定基準」や「課税方式」が見直されています。Q&A問2には、新たに規定された「電気通信利用役務の提供」の具体例が示されています。

「電気通信利用役務の提供」の具体例
「電気通信利用役務の提供」には、対価を得て行われる次のような取引が該当します。
①インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含む。)の配信、
②顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス、
③顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス、
④インターネット等を通じた広告の配信・掲載、
⑤インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)、
⑥インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス、
⑦インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)、
⑧インターネットを介して行う英会話教室
 なお、「電気通信利用役務の提供」には、通信そのもの、又は、その電気通信回線を介する行為が他の資産の譲渡等に付随して行われる次のような取引は該当しません。
①いわゆる通信(電話、FAX、データ伝送、等)、
②ソフトウェアの制作、
③国外に所在する資産の管理・運用等(ネットバンキングを含む。)、
④国外事業者に依頼する情報の収集・分析等、
⑤国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行等、
⑥著作権の譲渡・貸付等

国内居住者に提供すれば「国内取引」
 「電気通信利用役務の提供」については、消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定を「役務の提供を受ける者の住所等」で行うこととされたため、今後は、居住者に提供される「電気通信利用役務の提供」は、国内・国外いずれから提供されても、「国内取引」となります。

H27.7.6

輸出物品販売場は半年で何と倍増!
「DUTY-FREE」と「TAX-FREE」は違う?

「DUTY-FREE」と「TAX-FREE」は違う?
 空港内の一部やアウトレットモール、一部の繁華街に店舗を構える「免税店」。一般的には、外国旅行者に対して、商品に課せられる税金(消費税、酒税、たばこ税、輸入品の関税など)を免除して販売する小売店を指します。これらの店舗は「DUTY-FREE」や「TAX-FREE」と表記されることが多いのですが、正確には意味が異なります。
 「DUTY-FREE」は関税が免除される店舗、「TAX-FREE」は消費税等が免除される店舗をいいます。本来の意味での「DUTY-FREE」は、実は、日本では国際空港と沖縄以外には存在しません。街中では、しばしば混同して表記されることが多いようですね。

「輸出物品販売場」が全国で増加中!
 「TAX-FREE」とされる免税店は、正しくは「輸出物品販売場」といいます。外国旅行者等のために消費税等を免除する小売店で、販売場ごとに事業者の納税地の所轄税務署長の許可を受けなければなりません。
 この「輸出物品販売場」は、昨年10月の改正により、取り扱う免税品目が増えたこともあり、販売場数が大幅に増加しています。観光庁の発表では、H27.4現在の輸出物品販売場数は18,779店で、前回発表のH26.10から約200%増、前年同月との比較では325%の大幅増となっています。

免税品目の改正
平成26年9月まで 平成26年10月より
(免税対象)
消費せず持ち出すことができる物品
(免税対象外)
化粧品・食品・飲料品・電池等・サービス料・修理代他 (免税対象)
原則としてすべての物品
(免税対象外)
サービス料・修理代
(持ち出すことができないもの)

増加する来日外国旅行者への対応が急務
 ここ数年間、外国旅行者数が増加し、東京オリンピックの開催も決定したため、あらゆる場面での来日観光客対応が必要となっています。「輸出物品販売場」制度の整備もその一環です。この平成27年4月から、第三者が運営する「免税手続カウンター」にまとめて免税手続を委託できる「手続委託型輸出物品販売場」制度や、「港湾臨時販売場届出制度」(外航クルーズ船の寄港時に埠頭へ免税店を臨時出店するための手続きの簡素化)もスタートしています。

H27.7.3

ふるさと納税の
ワンストップ特例とは?

ワンストップ特例制度とは
 ふるさと納税制度は納税者が、住んでいる場所以外の自治体に寄附し、寄附金控除として後に税金を軽減する、つまり住んでいる場所の他に納税できるという制度です。
 しかしながら、確定申告をする必要の無い、給与収入のみのサラリーマンの方には、寄附金控除を申請する確定申告書の作成はハードルが高く感じられるかもしれません。そんな懸念を払拭すべく、今年の改正から確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が創設されました。

条件を満たせば確定申告不要
 確定申告が不要になる、というのは聞こえが良いですが、以下の条件を満たさなければ、ワンストップ特例は使用できません。
①確定申告の必要が無い方
②5カ所以内の自治体への寄附
③寄附する自治体毎に確定申告不要の申し出をして、自治体から送られてくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を返送する

こんな時はどうなるの?
 例えば「年の途中に医療費控除をする事になった」場合など確定申告をする必要が出た場合は、確定申告でふるさと納税の寄附金控除もあわせて申告する必要があります。もし寄附金控除を申告し忘れると、いつまでたっても税金の軽減は受けられませんので、注意が必要です。
 また、年の途中で引っ越しをして居住している自治体が変わった場合は、その旨を寄附した自治体に知らせなければ、いつまでたっても税金の軽減は受けられません。

実際は使いにくいかも?
 控除される上限の金額が引き上げられ、寄附して特産品を貰える数が増えたにもかかわらず「5カ所に寄附するなら5回書類を作って送る」という手間がかかってしまうのがワンストップ特例です。また、医療費控除等で申請が無駄になってしまう場合もあり、実際には非常に便利だ、と手放しで喜べる制度ではありません。
 税制改正大綱には「当分の間の措置として」と書かれています。おそらくは今後、マイナンバー制度と連動しもう少し使い勝手をよくするのではないかと思われます。

H27.7.2

税務調査で指摘される!
消費税の課税、非課税は慎重に

必ずチェックされる項目
 法人の税務調査で必ずチェックされる項目の一つは、消費税の課税仕入、非課税(または不課税)仕入の区分間違いの有無です。
 最近の税務調査では、この消費税申告の計算の基礎となる消費税区分集計表を、調査日より前に、あらかじめ提出するよう求められるケースもあります。

科目ごとのよくある間違い
 帳簿作成や会計ソフトの入力時に、消費税区分を間違えることがありますので、以下の項目は課税仕入れにならない(納める消費税から差し引けない)ということを覚えておくと良いでしょう。
①海外出張旅費
 消費税は日本国内の消費に課税されるものですので、国外での飲食費や宿泊費などは消費税がかかっていません。海外への飛行機代やその日当なども同様です。
②社宅などの家賃
 居住用の家賃支払いについて、消費税は非課税とされています。賃貸借契約書で使用目的に居住用と記載がある場合、消費税がかかっていませんので、注意が必要です。
③クレジットカード手数料
 飲食店などの小売業では、カード売上に係る手数料を引かれて、カード会社から売上金額が入金されます。この手数料は非課税とされておりますので、消費税はかかっていません。
④慶弔費、祝い金、見舞金
 従業員に対して支給するこれらの費用は「福利厚生費」、取引先に対しては「交際費」となりますが、やはり消費税はかかっていませんので、課税仕入にしないよう注意してください。
⑤同業者団体や組合の通常会費
 何らかのサービスに対して支払うものではなく、通常の業務運営のために支払う年会費などは消費税がかかっていません。

経理担当者と税理士のチェックで防げる
 これらの間違いがあると、修正申告によって消費税を後から納めることになってしまいます。日々の帳簿作成のときから税務調査で指摘されないよう気を付けましょう。

H27.7.1

成り行き管理

 “成り行き管理”とは、管理者が業務推進の場面に応じた有効な管理の視点や方法を持っていないか、目標管理制度のような管理手段を持っていても、有効に機能していないために生じる現象で、業務の推進を担当者任せにしており、その結果、業務の無駄が放置されたり、部門間のタイアップ業務がうまく進まず、関係部署・関係者に迷惑をかけるなどの不具合が生じて、企業全体の体力低下につながります。

“成り行き管理”の背景・原因
 このような望ましくない管理が起こる背景・原因は、管理者に「先が見えない仕事だから、計画を立てても始まらない」とする意識があるためで、そのような部署では、次のような現象が見られます。
①業務の優先度が明示されず、時期ごとに集中すべき業務が定まっていない。
②業務のゴールとプロセスが明確にされないまま、スタートを切っている。
さらに、その根本にある原因を探ると、
③管理者が担当部署の問題・課題を認識していないため、戦略目標が不明確で、挑戦すべき事柄が不明確である。
④したがって、所属社員の挑戦意欲も低い。
このような部署が放置される程、企業全体の事業推進力は低下し、実力を持った人材も育たないことになります。

経営者・管理者の留意点
“成り行き管理”を根絶することは、経営者・管理者が年度ごとの経済環境の変化を踏まえ、健全な緊張感を持続して、経営戦略とその実現を図る目標管理制度の運用に注力することと同義であり、以下のような対策が必要となります。
①経営者の事業意欲を経営戦略目標として設定し、現状とのギャップを明示する。
②各部署の戦略目標達成のために果たす役割・期待貢献と、その成果に応じた人事賃金制度上の処遇を明確化する。
③事業推進上不確実であっても重視すべきリスクと対応策を検討、目標設定する。
(例えば、商品クレーム対策は、不確実であるが、一度起これば製品回収など経営に大きな損失を与えるため、その予防策を品質管理上の信頼性目標として設定するなど)
④経営者が主導し、管理者に目標管理制度運用において生じている“成り行き管理現象”に注目させ、排除を図る。