港区 税理士法人 大沢会計
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2015年8月

2015/08/31

H27.8.31

経理処理の留意点
キャンセル料

キャンセル料とは
 いわゆるキャンセル料といわれるものの中には、その解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとの二つがあります。
 前者は、解約手続き等の事務を行う役務の提供の対価だから消費税は課税取引となります。一方後者は、相手方が本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補てん金だから、資産等の譲渡等の対価に該当せず、消費税は不課税取引となります。両者の区分が無くて一括でキャンセル料となっている場合は、消費税は不課税取引として扱われます。

出張費を例にして、経理処理を見てみます
①予約及び支払い時
出張費 1,000   現預金 1,080
仮払消費税 80
②キャンセル時半額だけ返金された場合
現預金 540    出張費 500
仮払消費税 40
③キャンセル料の内訳が解約手数料108残りが損害賠償金の場合
雑損失 432   出張費 500
手数料 100   仮払消費税 32
 これでも概ね正しい処理ですが、③の取引だけを後で見るとなんで消費税が32円なのか等、処理がよく解らなくなります。

正しい処理は以下となります
①予約及び支払い時は前払金です
前払金 1,080  現預金 1,080
②キャンセル時半額だけ返金された場合
現預金 540   前払金 540
③キャンセル料の内訳が解約手数料108残りが損害賠償金の場合
雑損失 432   前払金 540
手数料 100   
仮払消費税 8

 予約支払い時は未だ出張に行っておりませんから、前払金あるいは仮払金です。当然行くだろうと出張費とすると後の処理が複雑になります。留意しましょう。

H27.8.28

65歳定年制

 厚生労働省の調査によれば、現状の定年制を60歳とし、61歳~65歳の労働者を定年後に嘱託として再雇用する企業が多くを占めております。
 65歳以上の定年制を定めている企業は14%と少数にとどまっていますが、周知の通り、労働力人口の高齢化、厚生年金財政の逼迫による支給開始年齢の高年齢化等から、高齢者の安定雇用が社会的に急務となっており、「65歳定年制」の導入は、企業の社会的責任の視点から、遠からず避けられない課題になると思われます。

現状の問題認識と「65歳定年制」
 近年、先進的に「65歳定年制」を導入した企業の代表例では、「60歳定年後、61歳~65歳の労働者を嘱託として再雇用する従来制度」の問題点を表に示したように認識し、改善に踏み切っています。

「65歳定年制」の課題解決策
 このような「65歳定年制」の背景には、高齢者雇用に伴って解決しなければならないいくつかの課題に対する次のような考え方があります。
① 高齢者雇用による人件費増加対策の考え方:単なる人件費の増加(コスト増)でなく、「投資と投資回収」の課題と考え、高齢者の能力経験を活用して業績向上を図るため。業績に連動した賃金体系とし、査定を実施してやる気を高める。
② 新卒者の採用抑制が必要か:高齢者雇用が、新卒採用抑制に直接的につながるものではなく、年齢等にかかわらず、全社員が報酬(投資)を十分に超える付加価値を上げる人材戦略を採ることが重要である。
嘱託・再雇用制の問題認識と65歳定年制
項目 60歳定年制、嘱託再雇用制の問題認識 65歳定年制導入による改善
年収水準 定年直前・60歳時の年収に比べて50%程度と報酬が低く、身分が不安定でモラールやロイヤリティーの維持が難しい 60歳~65歳の正社員化、年収水準を60歳時の60~70%へ引き上げ
賃金体系 固定的な嘱託給・賞与の支給で、業績査定が適用されず、モラールが維持できない 業績査定を実施、毎年の給与を洗い替え、業績連動型賞与の支給
③ 高齢者の増加による企業活力低下の懸念:活力は社員一人ひとりと組織の活性化を図る課題である。若年層の管理者就任遅れによるモラール低下が懸念されるが、それには例えば「65歳定年制」と「60歳役職定年制」をセットとする新陳代謝政策をとれば良い。
 このような積極的な人材活用戦略をお勧め致します。

H27.8.27

所得控除と税額計算の新方式

社会保険料の控除は課税時点の繰り延べ
 社会保険料控除が、課税時点の繰り延べの趣旨であるならば、収入控除が趣旨に適っているように思われます。
 その場合は、給与所得控除額は支払社会保険料を除いた給与収入を元にして計算すべき、ということになります。

支払保険料は年金の必要経費
 税法でいう所得とは利益のことで、収入から必要経費を差し引いた残額のことです。年金収入についても支払保険料を必要経費として差し引いて所得を算出するほうが理論的です。
 ただしその場合は、現在は本人負担していないとされている支払保険料の半分も給与収入として認識し、支払保険料の全額を本人負担とすることにすべきです。

年金負担は世代間助け合い
 社会保険料控除は課税繰り延べの趣旨などではなく、老人世代に対する、現役世代の政策的な扶養負担義務だと考えることとなると、社会保険料の実質負担額が
 支払社会保険料×(1-税率)
となるという事実から、高所得は高税率なので、所得逆進的負担という結果になるわけで、そこで所得逆進の制度はおかしい、という主張が出てくることになります。

逆進性の改善方法としての税額控除
 逆進性を改める方法として従来言われてきたものは、控除する場所を所得控除から税額控除に移せばよい、というものでした。
 税額控除方式を採用するとなると、
 支払社会保険料×一定率
という算式になるのだろうと思われます。これで、負担が、支払社会保険料額に比例的になります。

所得控除のままでの分離課税という改善策
 専門誌に載っていた近畿税理士会の提案なのですが、所得控除の制度のまま、最低税率部分から先に差し引く制度に改めるべきとしています。そうすれば、税額の減少額は所得金額の多寡にかかわらず原則として同一となる、としています。
 所得控除額の合計に総合課税の累進税率を掛けて税額を算出し、所得控除前の総所得に累進税率を掛けて税額を算出したものから差し引く、という考え方です。
 逆進性改善のための、なかなか、鮮やかな手法です。

H27.8.26

分掌変更退職金の分割払い

役員退職給与の確定総額と分割払い額
 役員退職給与の損金算入時期は、①株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度、②法人がその退職給与の額を実際に支払った日の属する事業年度、のいずれにするかを選択することができます。②の場合は、分割払いも想定されており、その分割払いする各事業年度が損金算入時期です。

分掌変更による退職金認容での未払金
 常勤→非常勤、取締役→監査役、代表取締役辞任で役員報酬の半分以下への激減、などに該当するときは、実質的に退職したと同様と認められるので、退職給与として法人が「支給した」給与は損金算入できる、との通達があります。
 ここでの、「支給した」との文言は、未払計上を否定する趣旨と解説されています。なお、未払分を未払計上せず、翌期以降の分割払いとしたときは、各支払時に損金算入が認められるかを争った事案があります。

審判所では負け地裁では勝ち
 国税不服審判所の裁決では、分掌変更退職金は一種の打切り支給特例としての在職退職金なので、弊害防止の趣旨から、債務の確定だけではなく、実際に金銭等の支給があることを要求しているので、未支給については余程の合理的な理由がある場合でない限り、認められないとして、納税者は敗訴となりました。
 地裁では一転して、中小企業での税法通達依拠経理は、一般に公正妥当な会計慣行の一つであるというべき、として分割払いを特別な例外取扱いにすることにつき、これを否定し、納税者勝訴としました。

裁判所の通達解釈
 企業が、税法通達を斟酌して、会計処理の方法を検討することは至極自然、特に中小企業においては、会計基準よりも、税務会計が一般に公正妥当な会計慣行であるというべきである、としつつ、他方、通達は、課税庁における税法の解釈基準や運用方針を明らかにするものであり、行政組織の内部において拘束力を持つものにすぎず、法令としての効力を有するものではない、と判決は言い切っています。

グレーゾーンがホワイト化
 分掌変更退職金の分割払いと分割支払時損金算入はいままでグレーゾーンで、容認と否認の見解が交錯していたところでした。
 これからは、あまり神経質にならずに、取り組めそうです。

H27.8.25

65歳以降で退職した時の雇用保険

高年齢継続被保険者
 雇用保険の加入者(被保険者)の種類には一般、短期特例、日雇労働被保険者の他に65歳以上を対象とする高年齢被保険者があります。被保険者で65歳以上に達する日の前から同一の事業主に雇用されていて65歳に達した日以降も引き続き雇用されている人を言います。65歳前から雇用保険に加入していた人は届出の手続きもなく、自動的に被保険者の区分が切り替わります。

一般求職者給付との違い
 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある、高年齢継続被保険者の方が退職した時に支給されるのが「高年齢求職者給付」です。失業状態にあり、ハローワークに求職の申し込みをして確認を受けてから支給されます。
 この給付は一般被保険者の受給する求職者給付とは異なる点があります。
 一般の被保険者の求職者給付は離職理由や年齢で受給期間が違います。4週間ごとに失業の認定を受ける為、職安に出向く必要があります。また、65歳になるまでの間で老齢厚生年金を受けている場合、求職者給付受給期間は年金が支給停止されます。

高年齢求職者給付内容
 高年齢求職者給付の給付内容は離職理由にかかわらず、基本手当に代えて一時金が支給されます。
被保険者期間1年以上⇒基本手当50日分
被保険者期間1年未満⇒基本手当30日分
 求職の申し込み後、1回限りの失業認定で全額の支給が決定されます。
又、老齢厚生年金とも併給されます。
65歳まで雇用する継続雇用制度を設けている企業でも65歳以降継続して働く人も増えています。65歳以降に退職する場合は雇用保険の被保険者離職票の交付の申し出により、離職証明書を作成し、退職者の住所を管轄するハローワークに提出します。
 65歳以上で退職する場合には対象者になる人に区分変更の為、給付内容も変わる事を予め説明をしておきましょう。

H27.8.24

中小企業の人材不足
中小企業白書より

中小企業白書から見える人材不足の広がり
 政府は2015年版「中小企業白書」を閣議決定しました。それによると必要な人材を確保できていない企業が4割近くにのぼる一方で「人材の応募があっても、良い人材がいない」と言う声も強く、中小企業が質、量両面での人材不足に直面している現状が浮かび上がってきます。
 白書では高い離職率も人材不足に影響していると分析しています。新卒者の4割以上が3年以内に会社を辞めている事が不足の要因でもある事から、採用した社員の定着率を高める必要性にも触れています。

人材の採用
 中小企業にとって経営の中核となる人の不足感は強く、販路開拓(営業)、研究開発、製造、IT関連、経営等多岐にわたり中核人材の不足感が強くなっています。
 採用の方法ではハローワークや知人、友人からの紹介が多く利用されています。実際の採用実現率は、知人の紹介や取引先、銀行の紹介等が多くなっていますが、自社のホームページからの採用は低くなっています。顔が見える採用手段の重要性が確認できますが、人材確保の多様化は必要です。
 また、人手不足による関連倒産は2013年から増加してきています。最近は求人しても人が集まらない求人難による倒産の増加が目立ってきています。

人材の定着・育成
 中小企業・小規模事業者における離職率(3年目)は中途採用では3割、新卒採用では4割を超えています。小規模事業者では新卒採用の過半数が3年以内に離職をしています。人材育成を前提として社員の定着率を高める必要がありますが、育成をする能力のある人材の不足も現れています。

ベア実施中小企業は増えるが人件費は高騰
 今年度に入り中小企業でも景気回復の広がりや人手不足を背景に賃金のベースアップを実施する動きが広がっています。全国の財務局調査では中小企業で今春ベア実施したのは37%、ベアを含む何らかの賃上げを実施した企業は89.1%を示しました。賃上げによる人材獲得競争がコスト増を招き経営を圧迫する中でも、中小企業も雇用確保のため人件費を捻出しています。

H27.8.21

技術経営と留意点

 「技術経営」とは、「主に製造業がものづくりの過程で培ったノウハウや概念を経営学の立場から体系化したもので、技術を使って何かを生み出す組織のための経営学である」とされており、日本では一般にMOT(Management of Technology)と呼ばれています。その目的は企業が新しい技術を取り入れながらイノベーションを創出し、経済的価値を生み出すための戦略を立案・決定・実行することにあります。

技術経営の領域
 1990年代の米国経済の復興は技術経営の進展によるものと見られ、その代表は、IT・バイオ・ナノテクノロジー・知財・特許戦略が挙げられており、特にコンピュータシステム開発ノウハウ、その開発に用いられるプロジェクトマネジメントの手法は日本の企業経営においても広く応用されています。
 また、技術経営の目的から見ると、第2次世界大戦後アメリカから導入され、今日の経営にも活用されている品質管理(QC)・工程管理(IE)・日本独自に開発されたKJ法に代表される創造的発想法・“三現主義”による問題解決法・組織開発によるチームワーク化などの活用も技術経営の領域であると言え、特に“カイゼン”のコンセプト・手法は日本発で欧米に普及した実績をもつ技術経営の手法と言えます。

技術経営における経営者の留意点
 日本企業が技術経営の進展を図ろうとする場合、次の点に留意したいものです。
①技術経営の目的が「新しい技術を取り入れて経済価値を生み出すこと」にある点を再認識し、アメリカ等から学び、自己資本利益率を高めるなど経営効率向上に貢献することに帰結させる。
   特に日本企業の開発投資効率(投資対利益水準)は外国企業に劣る傾向があり、経営戦略の策定、技術経営において改善を図る。
②日本独自に発展しつつある目標管理制度運用の技術・チームワーク化技術と欧米技術をハイブリッドして活用することで、さらに日本企業の独自性を強化する。
③経営に技術活用を図る場合、特定の技術を偏重し、それ自体が目的にすり替わってしまう“手段の目的化”に陥らない。

H27.8.20

大家さんは日本人?

東京オリンピックが一因か?
 東京オリンピック開催を控えた都心部の地価上昇への期待を背景に、アジアの富裕層などが投資を目的に東京のマンションを買うケースが増えている(日経新聞、2014 年11月27日)。
 と言った記事が出るほど外国人(特にアジア人)の日本不動産への投資は増えています。
 また日本の多くのマンションデベロッパーも、台湾や中国に支店や出張所を設けて、投資マンションの販売に乗り出しています。

大家さんが外国人だとどうなるの?
 法人や個人事業者(士業の方々等)の源泉徴収義務を負っている者が、非居住者(国外に居住している者、所謂外国人)が所有する不動産の家賃を払う場合、20.42%の源泉税を徴収して支払わなければなりません。
 具体的に言えば、20万円の家賃を支払う場合概ね4万円を差し引いて支払い、4万円は支払った翌月の10日までに源泉徴収税額として国に納めなければなりません。
企業の寮は要注意
企業がオフィスビルを借りる場合、所有者が非居住者であれば、仲介する不動産業者も毎度のことなので、心得て留意してくれますが、問題は企業の寮として、マンション等を借りる場合です。
 通常、個人が住宅として非居住者所有のマンション等を借りる場合は、源泉徴収義務はありませんので、仲介する不動産業者も全く源泉徴収に関して留意しておりません。源泉徴収をせずに全額を支払っているような場合、数年後の税務調査で指摘されると、高額な追徴課税となります。
 その時になって、大家さんに返してくれと言っても、非居住者ですから交渉も大変です。既に契約を解除してしまっている場合などは、追徴された源泉徴収税額を取り戻すのは全く困難になります。

交渉は納税管理人を通して?
 非居住者が国内の不動産を賃貸する場合、必ず国内に居住者である納税管理人を置くこととされております。税金のことですから交渉するとなれば、納税管理人を通してと言うことになると思います。

H27.8.19

ソフト開発は著作物

ソフトの開発は著作物です。
 パソコンやスマートフォンの普及で、ソフトの開発を手掛ける企業は多いと思いますが、1から10まで全てを自社で開発する企業は少なく必ず外注を使って開発を進めているのが現状です。
 そこで留意しなければならないのは、ソフト開発は単なる請負業務ではなく、著作権(厳密に言えば著作財産権)が絡むと言うことです。
 開発されたソフトは著作物です。よって外注に依頼したソフトの著作権は、特に取り決めがなければ、依頼者ではなく、依頼された外注にあります。

請負契約では不十分です。
 企画から仕様書までそろえて、その通りにソフトを作成するための請負契約を結んだとしても、著作権は請け負って作成した個人または法人にあります。ですから作成した外注先が、そのソフトを他社にも転売してしまったとしても文句は言えません。
 そこでソフト開発の請負契約には必ず著作権の譲渡を謳う必要があります。

海外でのソフト開発はもっと面倒
 国内の外注先では著作権の譲渡に税金は発生しませんが、海外の外注先との著作権の譲渡となると原則20%の源泉徴収義務(国によっては租税条約で15%から免税まであるが、概ね10%が多い)が、国内の依頼した企業に発生します。

契約金額は別々に
 請負契約に著作権の譲渡が盛り込まれておりますと、請負金額に対する源泉徴収義務が発生します。
 そこで海外企業との契約は、ソフト開発の請負契約金額と著作権の譲渡対価の額を明確に区分した契約書の作成をお勧めします。
 また契約書に源泉徴収義務が発生する旨も記載しておかないと後で海外外注先とのトラブルの原因となります。ご留意ください。

H27.8.18

マイナンバー制度 安全管理体制作りのポイント

会社が行うべき「安全管理措置」
 マイナンバーは厳格な管理が求められています。利用制限、提供の制限、収集保管の制限、廃棄削除、安全管理措置を実施する事となっています。個人番号を把握する前にマイナンバーの取り扱いに対する基本的な安全管理措置を決定する事が必要です。
従業員101人以上事業所では、
1. 基本方針の策定
2. 安全管理措置の実施
3. 組織的安全管理措置
4. 人的管理措置
5. 物理的管理措置
6. 技術的安全管理措置
が求められます。それぞれの措置にはガイドラインで具体的な内容が提示されていますので確認しましょう。
 また、就業規則作成義務のある事業所は変更事項に織り込む必要もあります。

中小規模事業者でも注意しておく点
 100人以下事業所でも特定個人情報(マイナンバーを含む情報)漏えいには罰則が適用されますので取り扱いには注意を要します。ガイドラインに基づいて基本的な安全管理措置として取得から廃棄の流れの例を挙げます。(紙で提供を受けた場合)     
取得⇒利用目的を告げ、直接受け取るか、書留で番号の提供を受け、記録しておく。本人確認が必要な場合は確認を行う。
管理・保管⇒取得した個人番号を確実に入力し、漏えいしないようにパソコンにIDを付けたり施錠できるキャビネット等で保管、記録を残す。入力後廃棄する場合はすぐに廃棄する。また、マイナンバー保存中のパソコンをインターネットにつなぐ時はウイルス対策ソフトを入れておく。
利用⇒マイナンバーを扱う社員を決めておき書類に誤りなく記載・入力する。官庁には持参又は書留郵送や電子申請手続をし、一連の流れを記録する。
法定保存期間がある個人番号記載書類⇒作成後は安全な方法で保管しておく。
廃棄⇒保存期間が過ぎたものは再現不可能なシュレッダー、完全なマスキングや切り取り、焼却等を行い廃棄の記録を残す。
 基本方針の策定は義務ではありませんが、従業員に対する教育や監督を行い、扱う場所や部屋は外から見えないようにする他、盗難・紛失にも注意が必要です。

H27.8.17

技術開発の取り組み方

技術開発とは、産業や生活を改善するための新しい技術を獲得する組織的活動のことを言い、製品開発、および生産技術開発(製法開発)のための新技術開発と、それが社会に受け入れられるための実用化を行なって行く過程を含むもので、近年日本企業の開発投資の効率性(開発投資に対する利益水準)の視点から注目されています。

技術開発テーマの決定法
 技術開発テーマ決定の原点は、市場・顧客の生活場面で生じている現在、将来のお困り、利便性向上などのニーズと自社の経営理念(社会貢献)追求の視点から新規製品・サービスの開発によって顧客の生活やビジネスを改善、向上したいとするトップの意思決定にあります。
 したがって、その意思決定までの調査、検討プロセスにおいて次の取り組みを行なわなければなりません。
1“三現主義”による市場・顧客ニーズの調査と新規性の高い製品・サービスの発想
2技術上のSWOT分析等による保有技術、不足技術(新規技術開発ニーズ)の評価
3技術上の3C分析等による顧客ニーズの変化、競合の対処策調査と自社の強みとする新技術開発・生産技術開発テーマの検討
4新技術開発による「QCD(品質・コスト・リードタイム)」と利益確保の評価
5開発投資効率の評価:「開発価値=獲得利益/開発投資」の評価
6トップによる技術開発テーマの決定

経営者・管理者の留意点
 日本の企業は欧米企業に比べて開発投資効率が劣るので、技術開発に当っては、市場・顧客に従来にない新規性・利便性が高い製品・サービスを提供するとともに、開発効率の改善・向上を図る必要があります。
 したがって、技術開発を直接担当する研究・開発部門だけに任せるのではなく、市場・顧客に密着している販売部門、品質をつくり込む生産部門などによるプロジェクトチームの編成、共同目標の設定、目標達成プロセスの重点管理、関係部門の管理者・社員の参加と職位、年齢、性別などにとらわれない自由闊達なコミュニケーションにより、衆知を活用することが必要です。

H27.8.7

マイナンバー制度 従業員への通知文

 会社から従業員にお配りする通知文の例を作りました。参考にして下さい。
従業員の皆様へ ご協力のお願い

マイナンバー制度について
①マイナンバーとは何でしょうか?
 平成28年1月より開始されるマイナンバー制度は、赤ちゃんから大人まで国民1人1人に12桁の個人番号が振られ一生使用するものです。重要な個人情報ですので外部に漏れないよう管理してください。
②何に使うものですか?
 社会保障、税、災害対策の分野で使われます。平成28年1月以降、源泉徴収票や健康保険等、社会・労働保険、税金の手続きの際、関係機関に提出する書類に従業員の皆様や扶養親族の個人番号を記載します。
③自分の番号はどのように知るのですか?
 10月から11月にかけて、市区町村から皆様に簡易書留で「個人番号の通知」が送られてきます。送付先は住民票登録をしている住所地です。住民票異動が必要な場合は事前に手続きをしておいて下さい。個人番号の通知が届かない場合でも、住民票で確認する事が出来ます。
④通知後に何かする事はありますか?
 マイナンバーが届いたら会社へ番号をお知らせください。通知書の写しを封筒に入れ封をして提出してください。大切な個人情報ですので取り扱いに注意をして下さい。
 扶養親族のいる方は原則として扶養親族の個人番号もお知らせください。
 また、メールでお知らせいただく時はパスワードを別便で送ってください。郵送の時は簡易書留にして下さい。
④どんな届出に使用するのですか?
ア. 所得税関係…給与所得源泉徴収票、扶養控除等申告書、財形非課税住宅等申告書 イ. 健康保険、厚生年金適用事務…資格取得届・喪失届、育児休業関連 氏名や住所の変更届、健保の各給付の請求等
ウ. 雇用保険被保険者取得届・喪失届、氏名変更届、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付、労災保険給付請求等
に使用します。
⑤会社は厳重に管理します
 マイナンバーは重要な個人情報ですから漏えい防止の為、記載された書類は厳重に管理します。
 以上、不明な点がございましたら○○課○○までお問い合わせください。

H27.8.6

マイナンバー通知間近!会社の対応スケジュール

マイナンバー制度への対応
 マイナンバーの個人番号は、今年10月より住民票の所在地に送付される通知カードにより通知されます。平成28年1月以降は希望すれば市区町村窓口で顔写真付き個人番号カードを申請することもできます。
 会社は来年以降の社会保険事務や源泉徴収事務のため、10月以降に個人のマイナンバーを収集し、その際通知カード+顔写真付き身分証明書の提出を以て本人確認をする事となっています。但し雇用関係があり本人に相違ない事が明らかな場合や個人番号カード提示時は本人確認書類は不要です。

今後、会社が行う事
①9月までに担当部署、担当者を決定する…マイナンバーの取り扱い部署、担当者、責任者を決める(経理部や人事部等)
 本社以外に支店等がある時は支店で収集窓口となる人も担当者となります。担当者以外は取り扱いしないようにし、また、秘密保持誓約書を取る場合もあります。
②取扱規定や就業規則を策定します。
③安全管理措置を策定します。
③社員説明会を開いたり、従業員にマイナンバー実施と収集の目的を示した番号報告の依頼書を通知したりします。
 扶養親族については年末に扶養控除等申告書に記載してもらう事で事務の簡素化になります。扶養親族の本人確認は従業員自身にあります。会社は国民年金第3号被保険者の手続き以外、扶養親族の本人確認は不要ですが、会社からの委任状で番号を提出してもらう方法もあります。
④10月以降マイナンバー収集の際は直接なら封筒に通知カードの写しを入れ、通信で行う時はメール(パスワード設定)か簡易書留で行います。マイナンバーを通知されたら授受の記録を残しておきましょう。

28年1月以降マイナンバーを記載する書類
 雇用保険資格取得届・喪失届、継続給付請求、労災の給付申請、退職者給与の源泉徴収票 年末調整事務等

29年1月以降の事務
 社会保険の資格取得届・喪失届、育児休業関連、療養費、傷病手当等の給付請求、氏名変更、住所変更等
 税分野では平成28年分の税務申告や給与支払報告書、法定調書、支払調書等
 マイナンバーを記載した書類は法定保存期限が過ぎたら確実な方法で廃棄をすることとなっています。

H27.8.5

ネット銀預金量が10兆円超に!
新たな形態の銀行

新たな形態の銀行
 金融庁の銀行分類の用語に「新たな形態の銀行」というものがあります。文字通り、都市銀行や地方銀行など伝統的な銀行にない新たな形態の業務を行う銀行を指します。
 主な業態としては、「インターネット専業銀行」「商業施設との連携を主体にする銀行」の2つがあります。

ネット銀行は預金量10兆円超に!
 インターネット専業銀行(ネット銀行)は、店舗を設置せず、インターネット取引に特化した銀行です。店舗を持たず、預金通帳が発行されない「無通帳取引」を行うなど運営コストを削減することで、手数料が安く、預金金利が高いことが特徴です。
 インターネット上の資金決済が広がる中、27年3月決算では、ネット銀行6行の預金量は10兆円を超えることになりました。
(預金量及び前年比増加率)
①住信SBIネット銀行 3.6兆円 +16.2%
②大和ネクスト銀行 3.5兆円 +27.0%
③ソニー銀行 1.9兆円 ▲0.6%
④楽天銀行 1.2兆円 +22.7%
⑤じぶん銀行 0.7兆円 +16.9%
⑥ジャパンネット銀行 0.6兆円 +4.8%
 取引はネットバンキングで行い、提携している他行やコンビニATMで入手金を行うこととなります。

小売主導のセブン銀行・イオン銀行
 商業施設との連携を主体にする銀行にはセブン銀行(コンビニATM)とイオン銀行(ショッピングセンター利用者が主な対象)があります。
①イオン銀行 2.0兆円 +14.4%
②セブン銀行 0.5兆円 +14.6%

ユニークな支店名も特徴です!
 これらの銀行は店舗を有しないことが共通点ですが、全銀協システムでは「支店コード」がなければ取引を行うことができないため、便宜的に「支店名」を有しています。しかも個人口座では、どこもユニークな名称ばかり。住信SBI銀行は果物の名前(イチゴ支店、ブドウ支店等)、大和ネクスト銀行は七福神の名前(エビス支店、ダイコク支店等)、セブン銀行では花の名前(マーガレット支店、フリージア支店等)、イオン銀行では誕生石の名前(ガーネット支店、アメシスト支店等)が用いられています。

H27.8.4

製造業のV字回復は意外と簡単

V字回復の秘密
 一昔前、日産のV字回復が話題となり、社長となったゴーン氏は一躍話題の人となりました。
 確かにV字回復はリストラや構造改革等様々な難問を解決して成し遂げられたことでしょうが、製造業のV字回復は意外と簡単なのです。その秘密は制度会計の矛盾でもあります。

事例でみてみましょう
売価1万円の製品原価構成が以下の場合
材料費@1千円 外注費@2千円
製造経費年間5億円
年間売上10億円が5億円になった場合
10億円の時は毎年10万個作って1万個在庫にしていたと仮定しますと
例年の製造利益は以下となります。
売上10億円
材料費10万個×1千円=1億円
外注費10万個×2千円=2億円
製造経費5億円
期首在庫1万個×(1千円+2千円+5千円)=8千万円
期末在庫1万個で同様に8千万円
合計製造原価8億円
差引製造利益2億円
5億円しか売れなくなった年は以下です。
売上5億円
材料費4万個×1千円=4千万円
外注費4万個×2千円=8千万円
製造経費5億円
期首在庫1万個で8千万円でした
期末在庫4万個作って在庫も売ったので0
合計製造原価7億円
差引製造利益▲2億円
翌年も5億円の売上しかなかったとしても生産を元に戻して10万個生産した場合は
売上5億円
材料費10万個×1千円=1億円
外注費10万個×2千円=2億円
製造経費5億円
期首在庫0
期末在庫5万個×(1千円+2千円+5千円)=4億円
合計製造原価4億円
差引製造利益1億円
これでV字回復は達成です。

H27.8.3

日本企業の開発力

 平成26年度、一橋大学経済研究所・都留教授等の研究発表で、「世界の開発拠点としての機能を高めつつある東アジア」で日本・中国・韓国の企業の「製品開発プロセスにおける問題発生と開発担当者個人の解決行動」の比較研究結果が発表され、その内日本企業についての要約は次の通りです。

日本企業の開発担当者の特徴
 日本の従業員数200名以上の製造業、50名以上のソフトウェア業、合計72社について調査し、三国間を比較した結果、
中国・韓国企業の開発担当者と比較して、日本企業の開発担当者の特徴は
①担当者の業務内問題(不具合など)を現場レベルで解決しようとしている。
②担当者の業務外問題(部品間の不具合など)を協力して解決する能動性が高い。 
なお、三国とも
③担当外問題に対する能動性は、開発組織レベルでの開発成果に影響が大きい。
と発表されております。
 上記の①は日本企業では開発部門でも“三現主義”(現地・現物・現実に即して)が浸透しているからだと見られます。また、②は目標管理制度などにより共同目標の設定や担当業務外の問題解決におけるチームワークやコミュニケーションが訓練されているからだと考えられます。

日本の特徴的開発力の要因
 このように、日本企業の開発担当者が特徴的な開発力を持つに至った要因は、次の施策が役立っているためと考えられます。
①長期雇用により、企業内で様々な開発業務の体験、チームワークによる問題解決の体験を積ませながら専門人材を育成、確保している。
②役割等級制度・複線型人事賃金制度により、専門職の役割を明確化し、処遇を管理職と同等としてモチベーションを高めている。
③目標管理制度で共同目標の設定、開発目標達成へ向けたプロセスマネジメント、能力開発を巧みに行なっている。

経営者・管理者の留意点
 このように、強い開発力を保持しながら、一方で日本企業の開発効率(開発投資当り利益水準)には問題があるとされておりますから、今後は開発投資をより利益獲得に結び付ける経営戦略の策定に注力し、持てる開発力を有効に活用することが必要です。