港区 税理士法人 大沢会計
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2015年11月

2015/11/30

H27.11.30

「高齢者の地方移住」の支援へ
政府「住み替え税制」を検討中

家康の隠居先が「駿府」であった理由
 関ケ原の戦いで西軍に勝利した徳川家康は、慶長10年(1605年)に将軍職を子の秀忠に譲った後、駿府(現在の静岡市)に隠居しました。わざわざ「駿府」に隠居した理由については、家康が好んでいた富士山が見えて、鷹狩りの良い場所があり、好物の茄子(折戸茄子)があるからとも言われています(いくつかある「一富士二鷹三茄子」の由来の一つとなっています)。
 もっとも、駿府は、家康がその幼少期に今川家に人質として暮らしていた地でもあります(太原雪斎に12年学んでいました)。「引退後は気心が知れた土地で暮らしたい」という気持ちもあったのかもしれませんね。

現行ではマイホーム売却時に「5つの特例」
 家康と同じように「引退後は田舎に住み替えたい」という方がよくいらっしゃいます。このような場合、現在の居宅を引き払わなければなりませんが、マイホームを売却した場合には、所得税・住民税(土地・建物の譲渡所得)の5つの特例があります。
? 譲渡益が生じる場合の特例
 譲渡益が生じる場合の特例には、①3,000万円の特別控除、②居住用財産(10年超所有)の軽減税率の特例、③特定居住用財産の買換えの3つの特例があります。
 細かな要件がいくつかありますが、①と②は重複適用できます(③については、①や②との重複適用はできません)。
? 譲渡損が生じる場合
 譲渡損が生じる場合については、④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除と⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除(住宅ローンが残っているマイホームを売却)の2つの特例があります。

「住み替え税制」検討(地方居住を後押し)
 これらの所得税の特例は2015年12月31日に期限切れとなるものがいくつかあります。新聞報道では、政府はまず単純延長した上、ローンを組んでいなくても特例が適用できるなど内容を見直し、2017年度の税制改正で盛り込みたいようです。具体的には、高齢者がローンを組まずに地方の賃貸住宅に移り住む場合でも所得控除を受けることができる形を考えているようです。

H27.11.27

後見人の最後の事務報酬
債務控除の可否

 家裁から後見人(保佐人、補助人を含む)に選任されると、後見人は、毎年、家裁に被後見人(被保佐人、被補助人含む)の財産目録を作成し、かつ、後見等(監督)事務報告書を提出することが義務付けられます。事務報告書には、同意した事項(不動産賃貸借契約、保険金の受取等)や代理した事項(不動産の売買契約、施設への入所契約等)があればその旨も記載します。

後見人等の報酬
 後見人の報酬については、原則、家裁への申し立てが必要で、それには、報酬付与申立事情説明書に必要事項を記載し、さらに、付加報酬を求める場合には、申立書に後見人の同意・代理行為で被後見人が得た利益額(不動産の売買等)等を記載し、その資料を添付しなければなりません。
 報酬の額は、家裁が後見事務の内容及び被後見人の財産額などを勘案し、裁量により決定(報酬付与の審判を下す)します。
 被後見人の生存中は、以上の事務手続の繰り返しです。

被後見人等が死亡した場合
 被後見人が死亡すると、その時点で後見人等の権限及び義務は消滅し、後見事務の一切は終了することになりますが、原則、死亡後2ヶ月以内に上記事務手続を実施しその旨を家裁に報告しなければなりません。
 また、相続人に対しても財産の引継ぎをしなければなりません。そして、後見人のこの最後の事務報酬についても報酬付与の申し立てをすることになっています。

後見人の最後の事務報酬と債務控除
 ところで、後見人のこの最後の事務報酬が、被後見人(被相続人)の相続税の課税価格から被後見人の債務として控除できるかどうか、気になるところです。
 債務控除の要件は、①被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの、②確実と認められるもの、です。
 この要件を後見人の最後の事務報酬にあてはめてみますと、①被後見人の死亡時には、後見人に法律で定められた事務が既に発生していること、②当該事務について、報酬付与の申し立てがなされる限り、遅滞なく、家裁はその事務内容、被後見人の財産の状況を勘案して報酬額を決定する。
 以上のことから、要件は満たされていると思われますので、後見人の最後の事務報酬は、債務控除できるものと考えます(後見監督人も同様)。

H27.11.26

有形固定資産と無形固定資産 減価償却の取扱い !

法人税法では、減価償却資産を定義し、「償却をすべきもの」、としています。
 しかし、その属性が減価償却資産であっても、当該資産を事業の用に供していなければ減価償却資産に該当しないこととしています。条文は、括弧書きで次のように規定しています。
(事業の用に供しないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く)です。

有形固定資産(土地を除く)について
 
そうしますと、例えば、一部の機械及び装置が生産調整のため操業を停止している場合とか、また、スキー場のリフトなど夏場に設備が停止している場合などはどうなるのか、減価償却ができないのか、といった疑問が生じます。
 条文を狭義に解せば、稼働を停止又は休止している資産は、原則、減価償却資産に当たらず、減価償却できないことになります。
しかし、課税実務(法令解釈通達)では、その稼働停止期間中に必要な維持管理等が行われている場合など、いつでも稼働できる状態に保たれているときは、減価償却資産に該当するものとして、すなわち、減価償却できるものとして取扱っています。

無形固定資産について
 では、無形固定資産についても同じ取扱いか、というとそうではありません。
 例えば、特許権を買取ったが、これを利用して生産を開始するのは翌々事業年だとすると、法人税法の規定から言えば、特許権の減価償却は、取得した事業年度からでなく、特許権を利用して生産を開始する翌々事業年度からになります。
 しかし、課税実務では、特許権などの無形固定資産の中には、その根拠となる法令においてその存続期間が定められているものについては、たとえ事業の用に供していなくても、時の経過によって減価することが明らかなので、その取得の日から減価償却することができるものとして取扱っています。
 ちなみに、それぞれの根拠法令に基づく存続期間は、漁業権10年又は5年(法定耐用年数10年)、特許権20年(法定耐用年数8年)、実用新案権10年(法定耐用年数5年)、意匠権20年(法定耐用年数7年)、商標権10年(法定耐用年数10年)となっています。

H27.11.25

人事賃金制度の高度化

 バブル期には職能資格制度が全盛で、年齢・勤続に応じて昇級しやすい実態があり、社員のモラールを維持・向上する効果を果たしていましたが、反面大いに業績を上げた者にとっては、業績を上げられなかった者も平等に昇級できることが「不公平」と感じられたり、実力のない「名ばかり管理職」が増えたりする等の問題が生じました。

管理職の人事賃金制度改訂動向
 2000年代に入ると、このような問題を回避するため、多くの企業で人事賃金制度の改定が行われました。
 その代表例を挙げますと、次の通りです。
① 管理職層を「組織業績に責任を持つマネジメント職群」と「個人業績に責任を持つ専門職・専任職群」に縦に区分、複線化し、それぞれの役割・期待貢献・能力要件を明確化する。
② 管理職の賃金体系を、役割給・成果給を中心に再編する。
③ 管理職へ昇格する関所として、業績を評価することと併せて、マネジメント能力を客観的に判定するマネジメント試験を実施する。
④ 管理職層を3階層に大ぐくりし、各階層をクリアするハードルを、業績・能力要件等で高くする。
⑤ 各階層内に号俸(例えば12号俸のサラリーポジション)を設け、年度の業績に応じて昇号数を増減する(毎年、給与の増減があるので、洗い替え制度と言う)
⑥ このような人事賃金制度の改定と併せて、「家族手当・勤続手当」等の属人的給与を廃止し、それらの原資は業績給に移し替える。
⑦ 従来、退職時給与に勤続年数を乗じて算定されてきた退職金制度を、「成果・貢献ポイントと勤続ポイントの積み上げに応じたポイント制」へ移行する。
⑧ 管理職の人事賃金制度改定は、その厳しさを緩和しつつ一般職の制度改定に適用され、波及している。

経営者・管理者の留意点
 このように人事賃金制度の高度化が進んできましたが、さらに会社の業績変動にかかわらず、定期昇給制度などで総額人件費が増え続ける人事賃金制度・目標管理制度になっていないか等、業績と人件費の連動性をチェックし、真の成果・貢献給の実現を図りましょう。

H27.11.24

タワマンの株式化

パブコメ評価通達改正は頓挫か
 11月3日、国税庁がタワーマンション利用節税の監視強化を指示、とのニュースが全国紙に一斉掲載されました。
タワマン節税には、財産評価方法を変えることで対応するのでパブリック・コメントを募る、との情報が7月半ばに報道されていたところなので、これが実現されれば、監視強化の指示など不要だったはずです。
法改正や評価通達の改正の目途が立たないので、個別事案で評価をめぐる係争に持ち込もう、という狙いと思われます。

昭和バブル対策と同じ発想
 自ら発遣した通達を自己否定し、前後の時期の取引による価格を評価額として採用する、として申告を否認して更正処分を濫発し、法改正を実現させたものの、多くの訴訟が起き、憲法違反改正との判決も出たのが、昭和バブルでした。
 当時は、全額借入金で不動産を購入することにより、相続税対策を行うというのが主流でしたが、バブル崩壊で資産価値が激しく暴落しながら、借入金はデフレ下で逆に過負担となったところでした。
マンションの評価額と売買価格
 マンションの各戸の相続税評価は、建物の相続税評価額と建物全体の固定資産税評価額と、に対する各戸の専有床面積比で決められています。
 でも、マンションの各戸の値段は、面積だけでなく、眺望の要素、日照の要素が大きな意味を持ち、高層階の好位置の物件ほど高く、1億円の物件でも相続税評価額2000万円程度というのが通常です。

節税プランも巧妙になっているが
 1億円出資で会社設立、銀行から2500万円借入して1.25億円にて高層分譲マンションの部屋を購入、そのときの株式の相続税評価額はゼロ円(評価資産2500万円、負債2500万円)なので、子供に無償でその株式を贈与します。その後、そのマンションを1億円で譲渡し、借入金を返済すると、株式の価額はゼロから1億円に評価増となり、そこで、減資等による資本の分配を受けても課税はおきません。
1億円の現金だけを持った会社の株式を1億円で売却しても、株式の売却原価は親の取得価額を引継いでいるので、所得は発生せず課税はありません。
以上、ネットでの情報を整理しました。

H27.11.20

年末調整の留意点

 年末調整の時期となりました。年末調整は、給与の支払を受ける人の一人一人について、原則、毎月の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続きです。

昨年と比べて変わったところ
 平成26年度に改正された①給与所得控除額の上限額の引下げ、②給与所得者の特定支出の額の特例、そして、平成27年度に改正された③マイナンバー制度、④非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合の書類の添付等義務化は、平成28年以後の適用となっています。
 したがって、本年度の年調事務には、原則、改正はありません。以下、誤りやすい事項について幾つか確認したいと思います。

控除対象配偶者及び扶養親族等の判定時期
 判定は、年末調整を行う日の現況により判定します。判定の要素となる①合計所得金額は、年末調整を行う日の現況により見積もった本年分の合計所得金額により、②年齢は、本年12月31日(所得者本人やその親族が年の中途で死亡した場合、その死亡時)の現況により判定します。
 また、年末調整を行った後、本年12月31日までに控除対象扶養親族の増加などの異動があった場合には、翌年1月の「給与所得の源泉徴収票」を交付する時まで年末調整の再計算をすることができます。

合計所得金額38万円の範囲
 合計所得金額には、所得税法等の規定によって非課税とされる所得は含まれません。    
 したがって、非課税所得である遺族年金等がある場合には、当該金額を含めないところで合計所得金額を算定します。
 また、国外居住親族の控除対象配偶者及び扶養親族等については、判定要素の合計所得金額38万円は、国内源泉所得、つまり我が国で得た所得だけで判定し、国外での所得はカウントしません。

親族等が契約者になっている保険契約等
 妻や子に所得がなく、その妻や子が契約者となっている生命保険契約等であっても、所得のある夫がその保険料等を支払っている場合には、その保険料等は夫の生命保険控除の対象になります。
 但し、保険金等の受取人は、夫又はその配偶者その他の親族(個人年金保険契約等である場合はその配偶者)でなければなりません。

H27.11.19

役員変更登記の改正点

少し前になりますが、株式会社の登記手続を定めている商業登記規則の改正で2015年2月から登記実務が一部改正されています。今後の手続として知っておきたい点について解説します。

改正事項
①役員が新たに就任する場合、本人確認証明書を添付する。
②代表取締役の辞任届は個人の実印を押印し印鑑証明書添付か会社実印の押印が必要
③役員の氏名と共に婚姻前の氏も併せて登記する事ができるようになった

役員就任の際の本人確認証明書の添付
 従来は取締役等の役員が就任した際の添付書類は就任承諾書のみの場合がありましたが、登記の真実性向上の為、役員の実在を確認し、株式会社設立登記や就任登記、役員変更登記の際に新たに本人確認証明書の添付をする事になりました。再任の場合は不要ですから現在の役員が任期満了で再任された場合は対象にはなりません。

本人確認証明書の必要な役員とは
 取締役会設置会社においては、代表取締役以外の取締役、監査役、指名委員会等の設置会社の執行役に新たに就任する者。取締役会非設置会社は監査役に新たに就任する者。
本人確認証明書とは住民票の写し、戸籍の附表、運転免許証写し等です。

代表取締役が辞任する時の辞任届
 代表取締役が任期途中で辞任して変更登記をする場合に、辞任届の偽造で会社乗っ取りが図られる恐れもあると指摘がされていました。そこで不正防止の為代表取締役の辞任届には個人の実印を押印し印鑑証明書を添付するか、登記所に届出している会社の実印を押印する事が必要になりました。
 但し、任期満了で代表取締役が退任する時は辞任ではありませんし、辞任届は必要ありません。

役員欄への婚姻前の氏の記録
 今まで会社の登記簿の役員名は戸籍上の氏名が登記されていましたが、婚姻後も旧姓で活動する場合に支障を来す問題が指摘され婚姻前の氏も記録する方法が選択できるようになりました。登記簿に氏名が登記されている者が対象です。戸籍謄本や住民票を添付して申請します。

H27.11.18

忘年会費用の取り扱い

寒さが本格的になると忘年会の季節です。仕事がらみの忘年会にもいろいろなパターンがありますが、税務上どのように取り扱われるのでしょうか。
①全社員を対象として事業所ごとに行われた忘年会
②一部社員や役員だけで行った忘年会
③営業部の社員が取引先と行った忘年会
 これらに要した費用を会社が負担した場合を見てみます。

全社員を対象として行われた忘年会
 社員や役員を慰労する為に行われる忘年会費用で次に該当する場合には税務上福利厚生費として損金で取り扱われます。
①「社内の行事」として行われ、従業員等に「おおむね一律」に供与されるものであること
②「通常飲食に要する費用」であること
 これは必ずしも忘年会が全社員全部集まって行うということでなく、社内行事として部ごと等の単位で行われるものでも福利厚生費となります。
 通常に飲食に要する費用とは社会通念上
一般に供与される程度、常識範囲内の費用
ということです。また普通、二次会は任意
参加が多いので交際費として扱われます。

一部社員や役員だけで行った忘年会
 特定の者だけが参加する忘年会で参加者の費用を法人が負担した場合はおおむね交際費となります。忘年会に参加しなかった社員に現金の支給をするのであれば給与となります。

営業部の社員が取引先と行った忘年会
 普通、取引先を接待する目的で行われる忘年会費用は交際費になります。この場合1人当たりの飲食費用が5千円以下である時は交際費ではありません。
 飲食費用の交際費については、平成26年度の改正で資本金1億円以下の法人は1人当たり5千円を超える費用、並びに法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待費用の50%の損金算入、あるいは年800万円までの交際費の損金算入が認められています。

H27.11.17

目標達成のリーダーシップ

目標管理制度では、設定した目標を達成するためのリーダーシップのとり方が重視されますが、ここでは、どのような目標であっても普遍的に適用できるリーダーシップのあり方について述べます。

目標達成へのベクトル合わせ
 目標達成に関わるメンバーが、意欲を高めて取り組むためには、全員が集中できる目標達成時の姿を鮮明にし、意識のベクトルをその一点に合わせなければなりません。
 そのファシリテーションの方法を実務的に例示すると以下の通りです。
①参加者総数が10~30名程度の場合、担当専門分野別等2~6名単位のグループに分けてファシリテーションを行なう。
②各グループで、目標達成時の姿(成果物の具体的イメージ)を描き、ありありと可視化する(模造紙などに描く)
③全グループが描いた成果物のイメージを全員に発表する。
④発表後、グループ別に他グループへの質問点整理、3分間ミーティング(最も質問したい1グループに絞るのがコツ)
⑤各グループの代表者から質問(全グループの質問を出してもらう)
⑥質問に対する各グループの回答
⑦成果物のイメージがひとつにまとまるまで、複数の成果イメージの相違点を整理、質疑応答を繰り返して統合し、合意形成する(合意形成には衆目評価法を活用すると納得性が高まる)
 以上の①~⑦の方法で、全員が達成を目指す成果物の姿が浮き彫りになり、質問、討議に参加したことで、目標そのものが鮮明になり、相互の協力の必要性の理解と同時に是非とも達成したい、という意欲が高まって、ベクトル合わせが出来ます。

目標達成プロセス設計と一致協力
前項の作業に引き続いて、
①目標達成プロセスで必要な作業をリストアップし、協働作業・分担作業に区分して、処理日数等時間見積りを行なう。
②作業を1年間のなかで順序付け、時間的位置付けを行なう。
③上記①②の検討結果を可視化(模造紙、またはICTで共有)して、スケジューリングし、リーダー・メンバーがいつでも見られ、気付いたことを記載できるようにする。
 このように、成果物の姿を明確化することが、達成プロセスの的確化と相互協力につながり、目標達成を確実化します。

H27.11.16

消費税 課税売上割合の計算
利息 非課税売上とは限らない

 近年は、中小企業でも海外に子会社や合弁会社(子会社等)を設立したり、その進出の勢いは止まる気配がありません。
海外子会社等の事業が立ち上がるまでは、国内の親会社からの資金供給は欠かせません。子会社等への増資という手段もありますが、当面は、子会社等への資金供給は貸付金が多いようです。当然ですが、貸付金には利息の支払が伴います。

貸付金利息の課税区分
 利息を収受する親会社は、この利息を受取利息として計上しますが、この場合、この受取利息が消費税法上、非課税資産の譲渡等に該当するものとして、また、海外の子会社等(非居住者)からの利息であることから、国外取引として課税対象外となるものとして、それぞれ課税売上割合の計算において当該利息を分母に算入し、あるいは、分母・分子から除外して計算することもままあるのではないかと思います。

受取利息は輸出免税取引
 国内からの資産の輸出は、当然に、輸出免税取引に該当し、国内における課税資産の譲渡等として消費税ゼロ税率が適用され、課税売上割合の計算において、当該輸出取引は分母・分子にも算入されます。
 一方、海外子会社等の非居住者に対する貸付金のような役務の提供の対価たる受取利息に輸出免税取引が適用されるかどうかですが、結論は、輸出類似取引として輸出免税取引に該当するものとして取扱われ、課税資産の譲渡等として消費税ゼロ税率が適用され、当該利息は課税売上割合の計算において、分母・分子にも算入されることになっています。
 理由ですが、国内の親会社から直接海外子会社等への貸付金は、当該行為の事務所等所在地が国内であることから、当該取引は国内取引に該当し、その対価たる利息は非課税資産の譲渡等に該当しますが、外国の消費者に我が国の消費税を負担させることのないよう(国境税調整)、特例として、非課税資産の譲渡等などに要する課税仕入れについても、仕入税額控除を認めるということで、輸出免税の適用を受けると同様な結果になるようにした、ということです。
 なお、この特例によって仕入税額控除の計算上、輸出免税の対象とみなされる対価の額(受取利息)が、納税義務が免除されるかどうかの判定においては、基準期間における課税売上高には算入されません。

H27.11.13

ノーベル賞の賞金は非課税 ただし、経済学賞だけは別?

今年も日本人にノーベル賞が授与
 今年のノーベル賞が発表され、その中で物理学賞を梶田隆章さん、生理学・医学賞を大村智さんが受賞する事になりました。日本人が受賞するのは2年連続、通算23・24人目となります。暗いニュースが多い中で、明るい話題として、国内を盛り上げてくれましたね。

賞金は非課税です
 ノーベル賞の賞金額は1千万スウェーデンクローナ、日本円に直すと約1億5千万円という大金です。この賞金ですが、日本国内では非課税となっていますので、税金がかかりません。ちなみにこれは昭和24年、湯川秀樹博士が日本人初のノーベル賞を受けた際、「賞金に課税するのはどうか」という議論が浮上し、法律を改正したからです。「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」と所得税法に明記され、ノーベル基金から支払われる賞金は非課税となりました。
 ちなみにノーベル賞を受賞すると、文化勲章も授与されます。受勲した方は「文化功労者」に選任され、終身で年金が支給されますが、この年金に関しても非課税と所得税法によって定められています。

非課税は個別設定?
 非課税になるものは、各法によって定められていますが、賞金の類は、「これは非課税」といった風に個別指定されています。ノーベル賞以外ではオリンピック・パラリンピックで優秀な成績を収めた人に対する日本オリンピック委員会等からの賞金など、個々に所得税法に記載があります。

しかし、経済学賞だけは……
 ノーベル賞の内、経済学賞は1つだけ、スウェーデン国立銀行の働きかけで昭和43年に新設。賞金はノーベル基金からではなく、同行が運営する基金から支払われる事になっています。
 所得税法では「ノーベル基金からノーベル賞として交付される」と明記しているので、現行制度では経済学賞の賞金は一時所得として課税されてしまいます。
 今まで経済学賞を受賞した日本人はおりませんから、単に議論が起こっていないだけ、という事でしょうね。

H27.11.12

ファシリテーターの育成

育休 ファシリテーションは、目標管理制度の運用において、部署の目標設定・目標達成の中核的機能を持ち、その巧拙は、チャレンジングな目標設定や、効率的目標達成プロセスの推進に直結する重要性があります。

ファシリテーターの能力要件
 ファシリテーションを行なうファシリテーターの能力要件は、次の通りで、参加者をゴールへ誘導する志・信念を持ち、場数を踏んだ状況対応力が必要で、人間的にも幅と深さが求められます。
①取り扱う課題について、あるべきゴールの姿の具体的なイメージを持っている。
②課題を取り巻く外部環境・内部環境に通じ、広い視野と、細部の問題を理解して
参加者に問題認識や課題解決に関する発言の切り口やキッカケ・ヒントを提供することができる。
③自らのゴール・プロセスイメージを持ちながら、参加者の積極的発言を引き出し、的確な状況判断をして自分のシナリオを柔軟に脚色、合意形成に誘導できる。
④参加者が課題解決に貢献し、合意形成の結果について納得し、実行段階で協力する姿勢を引き出すことができる。

ファシリテーターの活躍効果
 各部署の目標管理制度運用において、ファシリテーターは次のように活躍することが期待され、その活躍に比例した効果が生まれます。
①戦略目標の達成に貢献するチャレンジングな部署目標、重要な共同目標・達成基準の設定、推進方法、スケジュール等における合意形成、目標達成意欲の向上。
②目標達成プロセスでの協力と効率的な推進、重要なハードル解除場面等で問題解決策の合意形成、ベクトル合わせ。

経営者・管理者の留意点
 このように重要な役割をもつファシリテーターは出来るだけ多くの管理者・リーダーが担当できるようにすることが大切で、その人材育成は、体験を重視して次の点に留意すべきです。
①管理者・リーダー層に意図的にファシリテーションの実施を求め、場数を踏ませ、評価する。
②ファシリテーション社内研究会等の場を設け、ファシリテーター相互の体験、問題解決体験の交流、相互啓発を行なう。

H27.11.11

ストレスチェック制度 企業の対応

 2015年12月からストレスチェックの実施が企業に義務づけられる事になりましたが何をする事になるのでしょうか。
 ストレスチェックは労働者50人以上の事業場において1年に1度以上、実施をしなければなりません(50人未満事業場は当分の間努力義務)。職業性ストレス簡易調査票等を使い一般健康診断の対象者と同じく常時使用する労働者を対象に行う事になっています。実施に当たっては事業者自ら行う事はできず、産業医、保健師、研修を受けた看護師等に委託する必要があります。

ストレスチェックの意義
 ストレスチェックの結果は産業医から直接本人に通知され、一定の要件に該当した労働者から申し出があった場合には医師の面談指導が行われ、必要に応じた就業上の措置を講じる事も事業者の義務になっています。企業の実施義務はあるものの労働者に受検の義務はないとされています。これは既にメンタルヘルス不調で治療をしている者にとっては精神的負担になることもあると考えられたからです。
 労働者側からストレスチェックのその結果による不利益な取り扱いや、精神疾患があると診断されてしまう事への不安の声も聞きます。しかしこれは労働者自身のストレスへの気づきを促し、職場環境改善につなげると言う一次予防的意味合いを持った制度と言われています。もちろん不利益な取り扱いは禁止されています。

制度を有効に活用したい
 ストレスチェックが義務だからと言うより労働者には受検する意義や本来の目的を実施の前に説明すべきでしょう。
 企業は面接指導者の意見を聴き必要に応じた就業上の措置を講じる事が求められますが、事業場外の医師が職場の事情までを考えた意見を述べるのは難しい場合もあるでしょう。
 元々50人以上の従業員がいる事業場において産業医の選任が義務づけられているとは言え、形式的に受検させても時間も費用も労力も有効には生きません。実施する以上は産業医との連携を深め就業上の措置を行なったり、又医師以外の専門家等も利用して職場環境改善を促したりしてこそ意義があると言えましょう。

H27.11.10

IFRS導入で様々に?!
バランスシートの「配列法」

「流動性配列法」とは?
 貸借対照表の資産・負債の並べ方にはルールがあります。資産・負債を流動性の高い順から並べていく方法を「流動性配列法」、その逆を「固定性配列法」といいます。
 日本の会社では「流動性配列法」が一般的です。この配列法は、資産の換金性や負債の支払期限の長短から流動性の高い順に並べることで、支払能力を表現するには良い手法とされており、企業会計原則や財務諸表規則で採用されています。
 「支払能力」が着目される商社などには正にフィットする配列法です。例えば、三菱商事の貸借対照表(単体)は次のような配列になっています。

三菱商事単体BS(2015.3)(兆円)
資産             負債・純資産
 流動資産  3.5        流動負債  1.8
 固定資産  4.7        固定負債  3.7
                   純 資 産   2.7
 合 計    8.2       合 計     8.2 

「固定性配列法」とは?
 固定性配列法は、英国、香港、ドイツなどで用いられており、日本では固定資産が重要視される電気業やガス業で採用されている方法です。例えば東京ガスの貸借対照表(単体)は次のような配列になっています。

東京ガス単体BS(2015.3)(兆円)
資産            負債・純資産
 固定資産   1.4     固定負債    0.6
 流動資産   0.4     流動負債    0.4    
                  純 資 産    0.8
 合  計    1.8     合  計     1.8

上場企業の連結BSはIFRS導入で様々に
 近年ではIFRS(国際会計基準)を導入している上場企業の連結貸借対照表は、「固定資産・負債」は「非流動資産・負債」という区分になり、配列法もヴァリエーションが出てきました。例えば、日本硝子の連結貸借対照表を見てみましょう。

日本硝子連結BS(2015.3)(兆円)
資産                負債・資本
非流動資産    0.6        流動負債     0.3
流動資産      0.3        非流動負債   0.4
                      資 本      0.2
合 計        0.9        合 計      0.9
 資産は「固定性(非流動性)配列法」、負債は「流動性配列法」となっています。少し不思議な感じがしますよね。

H27.11.9

理解度向上法

 目標管理制度でチーム目標、部署目標などを達成する基礎的作業として、メンバーに、その目標の背景となっている問題点や課題をよく理解させることが重要です。

ファシリテーションで理解度向上
 そこで、ファシリテーションを利用して理解度を効果的に向上させる実務的方法を紹介させて頂きます。
① ファシリテーター(その問題、課題を良く知っており、ファシリテーション能力を有する管理者など)の選任
② 参加者総数が10~30名程度の場合、担当専門分野別等2~6名単位のグループに分けてファシリテーションを行なう。
③ 実施手順(例示)

 ファシリテーションの要領 注意点
1 目的説明(問題点・課題の共通理解を行ない、それをもとに、全員で協力して目標達成に向かう) 聞き手は、各自具体的な質問点を見つけ出す。
2 ファシリテーター(または適当なリーダー)が目標設定の背景にある問題点・課題等に関する説明 可視化された説明資料を配布、使用
3 説明後のグループ別質問点整理:3分間ミーティング(注)模造紙の使用等で可視化する。
グループ別に質問を具体的に箇条書きで、模造紙等へ書き出す。
4 各グループの代表者が模造紙で、質問内容を簡単に説明(全グループの質問を順に説明)。この間ファシリテーター(または手順2の説明者)は質問事項を整理し、回答内容を考えておく。 全グループの質問により、疑問点の全体像が明らかになり、相互に比較して理解が深まる。
5 手順2の説明者から、共通の質問は括って、全ての質問に回答。理解が行き届くように補足説明。 全員の理解度を確認、場合により追加質問・回答

理解度向上のポイント
 このように、メンバーが疑問点を抽出し、グループでそれらを整理して主体的な疑問を提起、さらに他のグループと交換し、疑問点を多角的に認識した上で、ファシリテーター(またはリーダー)の回答・補足説明を得ることで、仲間との共通理解向上、メンバーの協力による目標達成へのパワーが生まれます。

H27.11.6

デザインだけではない?
「マンホールの蓋」から分かること

21世紀の趣味?「デザイン・マンホール」
 最近「デザイン・マンホール」という言葉を聞くようになりました。日本の自治体では、マンホールの蓋に意匠をこらして、その地域のシンボルや特産品のデザインを施しています。そのため、鑑賞目的でこれらを写真に収める「収集家」が増えているそうです。映画「ローマの休日」で有名な「真実の口」も元々はマンホールの蓋という説がありますので、人間は今も昔もそう変わらないことをしているみたいですね。大都市比較統計年表(平成25年)によれば、東京都区部には約48万、横浜市には約53万のマンホールがあると推計されています。

「マンホールの蓋」の標高が分かる?!
 この「マンホールの蓋」の標高(海抜)が分かるということはご存知でしょうか?
 市町村は下水道法の規定により「下水道台帳」を作成しています。この「下水道台帳」では、下水管の埋設状況(下水管の位置・深さ・管径・管種・公共ますの位置等)が分かるようになっており、「マンホール情報」として地盤高(マンホールの蓋の標高)・施設番号・工事番号が記載されています。
 近年「下水道台帳」を、ネット上で公開している自治体もあり、「マンホールの蓋」の標高をミリ単位で確認することができます。

高低差のある土地の相続税評価額
 税理士もたまに、この「マンホールの蓋」の標高(地盤高)を参考にすることがあります。土地の評価の実務においては、「周辺の土地よりも高低差がある宅地」は「利用価値の著しく低下している宅地」として評価額を減額します。具体的には盛土をして擁壁を設ける等をしている「道路よりも高い宅地」や「坂の途中にある宅地」などです。
 このような宅地の「高低差」を知りたいときや、測量を行う前にざっと概況を知りたいときには、「こことここのマンホールの蓋の地盤高の差はこれくらいか…」と参考にするのです。裁決事例などでは①「評価対象地だけ」が周辺の土地よりも「1m以上」の高低差があるか、②路線価に高低差による減価が反映されているか、③高低差が評価対象地の一部だけの場合は、高低差のないところから通常利用できるかが評価減のポイントとなっているようです。

H27.11.5

新設法人と納税義務の免除

新設法人は原則として免税事業者
 新規設立法人には、消費税の納税義務を判定するための前期、前々期(基準期間)がないため、原則として設立1年目、2年目の事業年度における消費税の納税義務は発生しません。
 ただし、原則に対する例外があります。

例外1 資本金1000万円以上
 その事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上である法人については、その基準期間がない事業年度であったとしても、納税義務は免除されません。(平成9年の税制改正)

例外2 特定期間課税売上1000万円超
 上半期である半年間の課税売上高が1000万円を超えていた場合、その翌事業年度は納税義務が免除されません。その前年上半期のことを「特定期間」といいます。(平成23年6月の税制改正)

例外3 特定新規設立法人
 設立された法人の50%超を保有する法人・個人を含めた株主グループの中のいずれかが、新設法人の基準期間に対応する期間の課税売上高につき5億円超であったなら、その新設法人の納税義務は免除されません。この50%超の支配関係下にある新設法人のことを「特定新規設立法人」といいます。(平成24年8月の税制改正)

例外4 新設合併消滅会社が1000万円超
 合併によってすべての会社が消滅し、新しく設立された会社が消滅会社を承継することを新設合併といいます。
 合併があった日の初年度では、消滅被合併法人のいずれかが、新設法人の基準期間対応課税売上高につき1000万円超の場合、2年目以降は、合併・各被合併法人の基準期間対応課税売上高の合計額が1000万円超の場合、では合併新設法人の納税義務は免除されません。

例外5 新設分割会社等が1000万円超
 会社分割・現物出資・事業譲渡による新設法人(新設分割等承継子法人)のその分割等があった日の初年度では、分割元等法人のいずれかが、新設法人の基準期間対応課税売上高につき1000万円超の場合、2年目以降は、分割・承継等の全法人の基準期間対応課税売上高の合計額が1000万円超の場合、では新設分割等設立法人の納税義務は免除されません。

H27.11.4

少額減価償却資産の判定

少額減価償却資産とは
 使用可能期間が1年未満のもの、取得価額が10万円未満のもの、が原則的な少額減価償却資産で、取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。
 そのほか、次の特例があります。
① 取得価額20万円未満の減価償却資産
一括償却資産として、取得し事業の用に供した事業年度を含む3年間での損金経理を認めています。
② 取得価額30万円未満の減価償却資産
中小企業者(資本金1億円以下の法人)の特例として年間300万円までについては取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。

少額減価償却資産の金額と消費税
 取得価額が10万円未満、20万円未満、30万円未満であるかどうかは、免税事業者である場合を除き、法人が採用している消費税等の経理処理方式に応じて算定した価額により判定します。
 つまり、税抜経理方式を採用している場合には、消費税抜きの価額が取得価額となり、税込経理方式を採用している場合には、消費税込みの価額が取得価額となります。

少額減価償却資産の金額と圧縮記帳
 資産が法人税での圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、取得価額が10万円未満、20万円未満、30万円未満であるかどうかの判定は、その圧縮記帳後の金額に基づいて行います。
 したがって、圧縮後10万円未満なら即時の費用、20万円未満なら一括償却資産の取扱いがあり、30万円未満なら、除外要件に該当しない限り、これも即時全額償却となります。

30万円未満即時償却の除外要件
 なお、少額資産に係る10万円と20万円の規定は法人税法の規定ですが、30万円の規定は租税特別措置法の規定なので、ここに異なる取り扱いが存在するので、留意すべきことがあります。
即ち、租税特別措置法には、租税特別措置法の規定の重複適用を原則排除するような規定が他方にあるので、圧縮記帳が租税特別措置法の規定に拠って行われている場合は、30万円未満即時償却の適用は、重複適用として、除外要件に該当することになり、適用することができません。

H27.11.2

こぼれ話
公募投資信託

 老後の備えとして、企業型の確定拠出年金が注目されています。その要因の1つは、マッチング拠出にあるようです。

マッチング拠出とは
 従業員が一定の範囲内で会社の掛金に自己資金を上乗せして運用する制度で、会社の掛金と同額まで上乗せでき、従業員の掛金は全額所得から控除されるので所得税や住民税が軽減され、かつ、運用益が非課税となる、といったものです。
 そして、この年金資産は、投資信託会社が組成した幾つもの投資信託商品(ファンド)によって運用されています。

投資信託の特徴
 この投資信託ですが、年金での運用のような税制上の特典がなくても、個人の資産形成に最も適した金融商品としての一面ももっていますので、その商品の特徴及び購入に当たっての留意点などを概観してみたいと思います。
・世界のマーケットに手軽に投資できる
 投資信託は、株式に投資する場合と違って、小口の自動積立ができ、しかも個人では直接投資できない地球上の殆どのマーケットにも手軽に投資ができます。
・投資信託の収益の源泉は同じ
 収益は、「基準価額の値上がり益」と「分配金」です。両者は、ファンドの買い手からみれば運用益の受取方法が異なるだけで、その源泉は同じです。というのも、分配金も基準価額の値上がり益の一部を受益者に還元しているからです。
 なお、基準価額は、ファンドに組入れられている株式や債券などの資産の時価総額を受益権口数で割って求められますので、組入資産が値上がりすれば上昇します。

投資信託を購入する際の留意点
・販売手数料や信託報酬が安い方がよい。
 特に、信託報酬は、運用財産から日々差引かれますので、年率1%以下のファンドを選択すべきでしょう(1.5%以上厳禁)。
・個人の財産形成ですので、分配金を再投資してくれるファンド(複利効果を狙う)、そして、長期運用ですので信託期間が無期限なものを選択する。
・純資産総額が増え続けているもので、その総額の残高30億円以上のものを選択する(ここが一番のポイント)。
・国際分散型(バランス型)ファンドを選択する。
 以上、こんなところでしょうか。