港区 税理士法人 大沢会計
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2017年2月

2017/02/28

H29.2.28

現金商売以外は「現金を持つな」のススメ

現金の重要性
 現金商売の場合、終業時には現金を実際に数えて、レジの記録と過不足がないかを確認し、過不足がある場合その原因を突きとめます。その日に原因がわからない場合も、一定期間保留し、原因をできるだけ追求します。毎日の現金実査と帳簿との照合が経理の信頼につながる、大事な仕事です。

現金が動くとその都度の記帳義務がある
 ちょっとした支払いに備えて小口現金制度があったり、経費精算を営業マンの都合で適宜対応するために経理担当者に現金を持たせたりしている会社もあります。
 会社法432条1項(会計帳簿の作成及び保存)では、「適時」の帳簿作成が定められています。そのため、現金出納帳をまとめて記帳するということはできません。お金が動けば、遅くともその日の終業時には現金を数えて現金出納帳を記帳しなければなりません。これって経理担当者にとって結構な心理的負担であり、かつ、時間と労力の無駄です。現金商売でない限り、現金が必要という心の呪縛は捨て去りましょう。

こうすれば経理担当者はストレス・フリー
 現金を持たなければ、毎日の記帳義務はなくなります。定期的に決めた日程での記帳作業となります。また、仕事の途中で経費精算のために作業を中断させられるようなこともなくなります。こうすることで、経理担当者は仕事に集中することができることとなり、現金管理の精神的な負担や作業中断のストレスから解放されます。

立替経費精算制度で問題解決!
 小口現金や随時の経費精算がなくなれば、不都合が生じるのではないかという懸念を持つ方もいらっしゃるでしょう。しかし心配無用です。下記で問題なく運用できます。
(1)立替経費精算制度
 営業マンの交通費精算も含め全ての小口の経費精算は、定期的(毎月がベター)な報告書精算とし、支払は給料日にまとめて行います。経理担当者は確認作業をまとめて行なえ効率的な仕事ができます。精算する営業マンも提出期限に遅れると翌月まで返金されないので精算遅れが少なくなります。
(2)事前仮払金前渡制度
 入社時に平均的な経費精算額よりも少し多い金額を前渡しします。一種の定額資金前渡制度(インプレストシステム)です。
 なお、臨時の出張等でお金が必要になる際は、事前の仮払申請に都度口座振込で対応すれば解決します。

H29.2.27

組織開発の原点

 組織開発とは、組織に所属する人々が、進んで困難な課題・問題解決に取り組む主体性とチャレンジ意欲、様々な知恵と工夫を生かす創造性、問題・課題解決のベクトルを合わせ、強い信頼関係と協力関係をもつ共同で実行する組織を作ることで、業績管理を目的とする目標管理では不可欠であることは言うまでもありません。
 その原点を認識しておくと、組織開発の着手・推進・進化に有益です。

組織開発の原点とは
 組織開発の原点は次の4点にあります。
①関係者全員が参加する
②“三現主義”(現地で現物を見て、現実に即して状況事実をとらえる)
③関係者が重要な事実を共有する
④バーチカル・フル・ジョブ(Plan‐Do‐Check‐Actionのワンサイクル業務)で課題・問題解決に取り組む

4つの原点を生かす組織開発
 組織開発は、例えば目標管理における「共同目標の設定と推進」のような、具体的課題に即して展開すべきです。すなわち、
①目標設定のステップでは、上位目標を理解するには、その背景・ねらいなどについて理解すること(上位目標を対象とする三現主義の疑問点の理解・共有)が必要になり、その上で自分達の課題を明確化し、目標設定(数値化できない目標設定の創意工夫等)を行います。
②また、目標達成プロセスでは「障害事実の発見と共有・排除策の創意工夫」や「目標達成に有利な要因の把握と活用の工夫」が必要となり、全員による状況事実の発見・共有、複雑な問題の場合には、個々の問題の共通性・類似性を共同で発見してグルーピングしつつ共有し、5~6グループに集約した上で、根本原因から最終結果へ至る因果関係を把握、要約し文章化する方法をとります。

経営者・管理者の留意点
 このような、「共同目標設定、達成プロセスの問題解決、目標達成度の評価・反省・次期目標(Plan)への反映」のバーチカル・フル・ジョブを通じて、“三現主義”・事実の共有が全員参加の下で行われ、組織開発の四つの原点が生かされ、組織開発が進展することに留意して取り組みましょう。

H29.2.24

残業時間の上限規制

労働時間の原則
 労働時間は1週40時間、1日8時間の原則(労基法32条)がありますが、労使で時間外労働協定(36協定)を結びこれに定めた通りに時間外労働をする場合には労働時間の延長を認める事としています。しかし別途残業時間の上限時間の規制として「労基法36条1項の協定で定める労働時間の限度等に関する基準」が定められています。これにおいて通常の労働者は例えば1ヶ月45時間の時間外労働の限度基準が定められています。これは基準でありこれを超える時間外協定も許容はされています。さらに協定に特別条項を付けると残業時間の制限はなくなり、それが問題視されていました。
 人手不足の昨今、採用も思うようにならず在籍者で業務処理を進めて行かなければならず、結果として36協定の時間設定を長くせざるを得ない企業もあるようです。

政府の残業上限規制原案
 政府は「働き方改革」として企業の残業時間を月60時間に制限する上限規制案をまとめました。規制の強化で長時間労働の慣行を変えるとし、協定も特別条項にも上限を設け月60時間までとする案になっています。企業活動を制限しないよう短期間であれば月60時間超も認め、繁忙の月と普通の月を年間でならし、月平均60時間を超えないように義務づける方向で検討しています。規制の対象業種もトラック運送業や建設業も猶予期間を持って対象にしてゆく、研究開発職等は医師との面談、代休等を義務付け上限は設けない方向で検討しています。

残業一律上限規制に懸念を示す業界も
 情報処理企業等が加盟する経済団体、新経済連盟では先の案に対して「一律的な規制強化だけでは国際競争力が低下する恐れがある」との意見書を提出しました。意見書の中で「人工知能、ロボットの代替等で産業が変わる中、働き方の多様性を確保し雇用の流動性を高める議論は必要」とし、「従業員の健康確保を前提としたうえで柔軟に時間管理できる環境を実現すべき」と主張しています。
 いずれにせよ企業は働く人の健康の上に成り立つのですから労働時間に配慮する事は必要でしょう。

H29.2.23

育児休業中に出勤した場合

育児休業給付金の取り扱い
 育児休業中であっても会社に出勤する必要が生じたり、一定の日数を勤務する事があった場合に育児休業給付金は支給されるのでしょうか?
 育児休業期間中に勤務をした場合には一定の条件付きで給付金が支給されます。平成26年9月までは支給単位期間中に11日以上就業した場合にはこの期間の給付金は支給されない事になっていましたが、同年10月より変更され、支給単位期間中に10日を超える就業をした場合でも、就業したと認められる時間が80時間以下の時は給付金が支給されることになりました。

支給条件と支給額
・支給単位期間中の就業日数が10日以下⇒支給される
・支給単位期間中の就業日数が11日以上で就業時間が80時間以下⇒支給される
・支給単位期間の就業日数が11日以上で就業時間が80時間超⇒支給されない
 育児休業給付金の額は支給単位期間ごとに計算されます。計算方法は休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)。
①休業開始から180日まで
・賃金が休業開始時賃金日額×支給日数の13%以下⇒67%支給
・13%超80%未満⇒80%相当額と賃金の差額支給
・80%以上⇒支給なし
②休業開始181日から支給率は50%に変わり、13%が30%となる

育児休業は休業期間である事が原則
 育児休業とは労働者が子を養育する為の休業と定義づけられ、養育する子が原則満1歳に満たない期間と言う制限はありますがそれ以上の詳細な定義はありません。
 しかし連続取得する事が休業と定義づけられていることから、80時間以内就業であれば育児休業給付が停止にならないとしても、休業に専念する観点からは常時就労する事が前提にあると言うわけではありません。労使合意に委ねられているものの、原則臨時的就業が前提と考えられるでしょう。
 又、社会保険の保険料免除については定期的に就労ともなれば復帰したと扱われ保険料が免除されなくなることがあります。

H29.2.22

源泉税は支払調書で確認を 一口馬主の確定申告

小口でもなれる!競走馬の「一口馬主」
 競走馬の馬主(うまぬし)といえば、昔からお金持ちのステータスですが、数十万円からの小口の出資で間接保有ができる「一口馬主」という制度があります。
 この制度は「愛馬会法人」「クラブ法人」という2つの法人と「匿名組合契約」を用いて組成されています。
一口馬主
→愛馬会法人・・・一口馬主が愛馬会法人に出資(匿名組合契約)。その出資を基に愛馬会法人が競走馬取得。
愛馬会法人
→クラブ法人・・・愛馬会法人の競走馬をクラブ法人に現物出資(匿名組合契約)。クラブ法人が法律上の馬主資格を有する。
 クラブ法人は競走馬をレースに出走させ、獲得した賞金を「JRA→クラブ法人→愛馬会法人→一口馬主」と順次分配していきますが、各段階で源泉徴収が行われます。
JRA
→クラブ(匿組)・・・(賞金-50万円)×10.21%を源泉徴収
クラブ(匿組)
→愛馬会(匿組)・・・匿名組合契約等に基づく利益分配金×20.42%の源泉
愛馬会(匿組)
→一口馬主・・・匿名組合契約等に基づく利益分配金×20.42%の源泉

なんでこのような形態になったのか?
 この制度は、匿名組合というパススルー事業体を用いた投資スキームとはなっていますが、もともと節税目的で作った仕組みという訳ではなさそうです。
 1971年、競馬法改正により名義貸し禁止が明文化され、共同馬クラブが解散の危機に陥りました。そのクラブの一つが存続のため、商法の匿名組合を使った運営手法を考案し、他のクラブもそれに続いたということのようです(このような経緯からか、十数年前までは業界独特の源泉徴収が行われていたようです)。

20万円超の場合には「雑所得」で確定申告
 「一口馬主」が受取る匿名組合の利益分配金は所得税法上、「雑所得」に該当します。この場合、給与所得者は、他の給与・退職所得以外の所得が20万円を超えるときには、確定申告が必要となります。
 収入金額(分配額のうち利益部分)から会費など必要経費を控除した金額が雑所得の金額となります。源泉徴収額は、愛馬会から送られてきた「匿名組合契約等の利益の分配の支払調書」を確認して下さい。

H29.2.21

条文では「ハマチ」でないとダメ? ブリの養殖は変動所得?

海面養殖魚の主役は「ブリ類」「マダイ」
 魚が美味しい季節となりました。アナゴ、イシダイ、シマアジ、ヒラメ、ブリやタコなどが舌を愉しませてくれます。
 天然物は美味とされていますが、養殖物もよく出回っています。少し前の資料(H24農水省)ですが、ブリ類・マダイの天然・養殖の割合は次のとおりとなっています。
ブリ類 生産量・・・養殖61%・天然39%、生産額(価格)・・・養殖81%・天然19%
マダイ 生産量・・・養殖79%・天然21%、生産額(価格)・・・養殖80%・天然20%
 この2種類は、日本における魚の養殖の主役です。海面養殖業の収穫量(H27農水省)を見ると、魚類養殖24.5万tのうち約8割がブリ類(13.9万t)とマダイ(6.4万t)で占められています。
 一方、経営面では、これらの養殖は収支ともに大規模となり、漁労所得の変動が大きく、不安定な傾向があるようです。

所得税・平均課税の対象となる「変動所得」
 所得税は超過累進税率(高所得部分の所得について高税率)を採用しているため、収入の変動が大きい業種は、収入が少ない年は税額が少なくても、「大当たり」の年は高率の税率が課せられるため、年々安定した収入がある人と比べると税負担が高くなってしまうことがあります。これを是正する措置として「平均課税制度」が設けられています。この制度の対象となる「変動所得」に、一定の養殖業が列挙されています。
①漁獲やのりの採取による所得
②ハマチ、マダイ、ヒラメ、カキ、ウナギ、ホタテ貝、真珠、真珠貝による養殖による所得
③印税や原稿料、作曲料による所得
④著作権の使用料に係る所得

条文では「ハマチ」と記されてますが…
 これを見ると「ハマチ」とは書いてありますが、「ブリ」とは書かれていませんね。
 ご存じのとおり、「ブリ」は出世魚で成長するに従って呼び方が変わります。
 関西ですと40㎝ぐらいまでのサイズが「ハマチ」、80cmを超えると「ブリ」と呼ばれます。養殖業では飼料効率の面から大きくなりすぎてから出荷するとペイできないため、養殖ブリの多くが「ハマチ」サイズで出荷されます(そのため、「ハマチ養殖」とも呼ばれます)。魚類学上は同じ魚ですので、国税では、ブリ類の養殖は「変動所得」として取り扱われております。

H29.2.20

相互フィードバック

「相互フィードバック」は、目標管理制度の組織目標への貢献度評価を実施する方法として用いられ、評価の公正性・納得性が確保できるとともに、組織に所属する仲間の信頼関係を強化するメリットがあります。

相互フィードバックの必要性
 評価の公正性・納得性を確保するために役立ち、その要件は次の通りです。
①被評価者が公正であると感じ、評価の結果を納得できなければならない。
②そのためには、評価が真摯に、客観的な事実に基づいて実施されなければならない(管理者の好き、嫌いなどの感情に基づく恣意的な評価は、納得性を持たない)
③公正性・納得性の高い評価を実施するには、目標管理制度の運用で評価すべき事柄の事実を知っている、一緒に努力した仲間の真摯な相互フィードバックを評価の根拠とするのが適切である(管理者による評価も、この相互フィードバック情報を根拠とする必要がある)
④相互フィードバックの結果を利用して、組織のメンバーの総意として評価が決定される。
 このような「相互フィードバック」は、評価の公正性・納得性を確保するのに役立つのみならず、仲間が相互に高め合うことを通じて、信頼関係を強化します。

相互フィードバックの方法
 組織目標の完了都度、その組織目標からカスケードダウン(段階的順次細分化)した個人目標の担当者が集まり、次の評価の視点で、「評価に値する具体的事実」を端的に捉えた相互フィードバックを実施します。
1.目標達成状況
2.プロセスの創意工夫・能力発揮などの具体的な行動
3.組織目標達成に対する貢献度
4.仲間に対する影響度

経営者・管理者の留意点
 「相互フィードバック」は、面倒だと思われがちですが、信頼し合う組織づくりの価値は大きく、目標達成力の向上に貢献します。社員に対して前記要件・方法の繰り返し徹底を図り、浸透させましょう。

H29.2.17

どちらが正しい?「一丁目」と「1丁目」

最近よく聞く「一丁目一番地」
 最近、政治家が「一丁目一番地」という言葉を口にするのをよく耳にします。意味としては、「一等地」というより、「最優先事項」として用いられているようです。「一」「一」とリズムが良いので、スローガンとして使いやすいのかもしれません。
 また、昭和32年から40年にかけて、NHKラジオで放送されたドラマ「一丁目一番地」の明るい主題歌を思い出された方もいるかもしれません。若き日の黒柳徹子さんが出演されていました。

「一丁目」と「1丁目」どちらが正しい?
 さて、この「一丁目」。漢数字で書くのが正しいのか、算用数字(アラビア数字)で書くのが正しいのか悩まれたことはありませんか? 「地番」「本籍」「住所」のどれを記載するかにもよりますが、「住所」でいえば、実は「一丁目」と漢数字で表記されるものは、「住居表示に関する法律」(昭和37年施行)に基くもので、町名の一部(固有名詞)なのです。
 住居表示には、「街区方式」と「道路方式」の二つの方法があり、多くの自治体は「街区方式」を採用しています。この場合、「街区符号」と「住居番号」で住所を表示することとしています(町名は漢数字、街区符号・住居番号は算用数字が用いられます)。

 町名    街区符号 住居番号
〇〇一丁目 1番 1号

算用数字で表記されるケースとは?
 ただ、この住居表示の実施状況は市町村でもまちまちです。そのため、住居表示未実施の地区は、上記と表記が異なります。
 この場合、地番を住所として扱うことが多いのですが、地番でなく住所を表すことを示すため「番地」と表現されます(「号」は使用しません)。
 たとえば、横浜市の場合、古くから開発されていた都心部は、「住居表示に関する法律」以前に土地区画整理などで字界字名変更が行われた際に設置された字名を用いているため、算用数字で表記します。

【横浜市の場合】
町名 字丁目 番地
〇〇 1丁目 1番地
 
 どちらにしても、住民基本台帳法などの「特例扱い」で、算用数字で表現しても構わないこととなっていますので、市役所から発行される住民票などは算用数字で表示されることもあります。

H29.2.16

介護離職防止支援助成金

 育児介護休業法が平成29年1月より改正されましたが、それに先立ち昨年の10月に介護による離職防止の制度を設けた企業に支給される助成金が新設されました。

要件1 実施事項
 次の(1)すべてに該当し、(2)又は(3)に該当する人がいた場合。
(1)仕事と介護の両立の為職場環境整備① 労働者の仕事と介護の両立に関する実態把握の為のアンケート調査を行った。
② ①の調査結果を集計した日の翌日以降、厚労省の指定資料により自社の介護休業制度を見直し、改正育児介護休業法に沿った制度を導入した。
③ ②において導入した制度の施行日翌日以降、労働者に向け人事労務担当者による社内研修と仕事と介護の両立支援制度の周知のいずれも実施した。
④ 「介護に直面した労働者の支援」の為、仕事と介護の両立に関する相談室を設置し ②以降に周知した。
⑤ 介護支援プランにより介護休業の取得及び職場復帰並びに介護休業関係制度の利用を支援する措置をあらかじめ規定し、労働者へ周知した。
⑥ ①~⑤の実施後(2)の休業を取得し(3)の制度を利用する労働者に所定の措置を講じた。

要件2 対象者
(2)介護休業
① 介護休業を同一の対象家族について連続1ヶ月以上又は合計30日以上取得、職場復帰した雇用保険被保険者であり、介護休業開始日の1ヶ月以上前から申請事業主に雇用保険被保険者で雇用されている人。
(3)介護制度 
① 所定労働時間の制限制度、時差出勤制度、深夜業の制限制度を同一の対象家族に対して連続3ヶ月以上又は合計90日以上利用した雇用保険被保険者、当制度利用の3ヶ月以上前から申請事業主の雇用保険被保険者で雇用されている人。
(2)(3)共通事項
 対象家族の要介護の事実を把握後、制度利用開始の前日までに上司又は人事担当者と面談し介護支援プランを策定する。
 作成したプランに基づき制度利用日の前日までに引き継ぎや業務体制検討を実施。
 制度利用後に雇用保険被保険者で1ヶ月以上雇用、支給申請日も雇用している事。
 
支給額は中小企業で介護休業60万円、介護制度は30万円、各2人までです

H29.2.15

平成28年分確定申告 公社債等の利子所得の税務

●公社債等の区分
 平成28年1月1日以後における個人の公社債等の利子所得は、「特定公社債等の利子所得」と「一般公社債等の利子所得」に区分され、それぞれ税務上の取扱が変わりました。
 前者は、現行の上場株式等に係る配当所得等の中に包含され、「上場株式等に係る配当等に係る利子所得及び配当所得」となり、源泉徴収が行われたのち申告分離課税の対象となっています。
 一方、後者については、同族会社が発行した社債の利子で同族株主等が支払を受けるものは総合課税となりましたが、それ以外は原則、現行の源泉分離課税がそのまま存続しています。 

●特定公社債等の利子所得とは 
 ちなみに、特定公社債等の利子所得とは、①特定公社債(国債、地方債、上場公社債、公募公社債その他の特定の公社債)の利子、②上場公社債投資信託及び公募公社債投資信託等の収益の分配金等からなっています。
 個人投資家が運用対象とする大部分は、これらに属していると言っても過言ではありません。
 また、一般公社債等の利子所得とは、特定公社債等の利子所得以外の利子所得です。

●配当控除の適用はない
 特定公社債等の利子所得は、上場株式等の配当所得等に包含されたからといっても、申告不要か申告分離課税の選択のみで、上場株式等の配当所得と違って総合課税の選択は認められていません。したがって、配当控除の適用はありません。
 というのも、特定公社債等の所得の源泉は、原則、利子ですので当然の規定とも言えます。
 なお、確定申告する場合には、申告分離課税の対象となる上場株式等に係る配当所得と合算して所得金額を計算することになります。

●利子所得の損益通算と源泉税
 特定公社債等の利子所得は、特定の譲渡によって生じた上場株式等(特定公社債等も含む)の譲渡損失との損益通算(3年間の繰越控除も可)が認められたことから、申告分離課税を選択することで、場合によっては源泉税の還付を受けることもできます。
 なお、特定公社債等の利子所得についても、一定の手続を要件として、特定口座の源泉徴収選択口座に受入れができ、当該口座内での損益通算が行われます。

H29.2.14

平成28年分確定申告 公社債等の利子と源泉徴収

●利子所得も申告可能に
 公社債等の利子については、昨年までは特定の国外債を除き、支払時に「所得税及び復興税15.315%・住民税5%」による源泉徴収が行われ、この源泉徴収によって納税が完了でした(源泉分離課税)。
 しかし、平成28年1月1日以後、特定公社債等の利子所得については、申告分離課税による確定申告を選択することができるようになりました。
 また、同族会社が発行した社債で、その同族株主等が受領するものの利子については、支払時に「所得税及び復興税15.315%・住民税なし」による源泉徴収が行われたのち、当該利子所得は総合課税の対象となり確定申告を要することになりました。

●特定公社債等の利子とは
 ちなみに、特定公社債等の利子は、①特定公社債(国債、地方債、外国の国債及び地方債、上場公社債、公募公社債その他の特定の公社債)の利子、②上場公社債投資信託の収益の分配金及び公募公社債投資信託の収益の分配金等からなっています。個人投資家の運用対象の大部分がこれに該当します。
 一方、一般公社債等の利子とは、特定公社債等の利子以外の利子です。

●利子割と配当割
 住民税においては、昨年まで、利子については「利子割」、そして、配当(特定配当等)については「配当割」、という名称で特別徴収(源泉徴収)をしていました。 
 しかし、平成28年1月1日以後における特定公社債等の利子に対する住民税5%は、利子割ではなく、配当所得に対する住民税5%と同様に、「配当割」と定義されました。
 理由は、特定公社債等の利子が上場株式等の配当等に包含され、結果、申告分離課税が選択できるようになったことによるものと思われます。

●申告分離による源泉税の取扱い
 平成28年1月1日以後は、特定公社債等の利子所得と特定の譲渡により生じた上場株式等(特定公社債等も含む)の譲渡損失との損益通算が可能となったことから、申告分離課税を選択し確定申告をすることで、場合によっては源泉徴収された税金(配当割含む)を還付することもできます。
 なお、特定公社債等の利子等についても、特定口座の源泉徴収選択口座に受入れができ、その口座内での通算が可能です。

H29.2.13

個人型確定拠出年金の適用拡大

新たに個人型に加入できる人
 平成29年1月より個人型確定拠出年金(個人型DC)に加入できる人の範囲が広がりました。今まで個人型DCは企業年金の無い会社員と自営業者等が対象でしたが、新たに確定給付年金の制度がある企業の会社員、公務員、専業主婦も加入できるようになりました。
 個人型DCとは「老後資金を積み立てながら現在の税金を軽減する」制度です。愛称もiDeCo(イデコ)と名付けられています。

掛け金と所得控除
 掛け金は月額5千円からで全額所得控除、所得税や住民税の計算から除外されます。掛け金の上限額が各々の立場で異なります。例えば企業年金の無い会社員の上限額は月23,000円、年間276,000円です。この場合、所得税、住民税が20%(復興税除く)として、この掛け金額にかかる分の20%、55,200円が節税となり年末調整等で戻ります。企業年金のある会社員と公務員の上限額は年144,000円、専業主婦は276,000円。専業主婦は夫が保険料負担をしていれば夫側で所得控除ができます。自営業者は年816,000円(小規模共済等他の所得控除の制度の掛け金と合わせた額)です。

運用方法
 確定拠出年金は金融商品を運用するので対象は預貯金、投資信託、保険等の金融商品を選びます。運用益は非課税ですが、場合によっては損失が生じる事がないとは言えません。運用コストもあるので「個人型確定拠出年金ナビ」で調べてみましょう。預貯金ならリスクは少ないものの利回りは低く、期待利回りの高い商品もいろいろで選択はなかなか難しいものです。長い目で考えることが必要でしょう。
 口座を開くと金融機関によって違いますが、加入時の手数料3千円程度と管理費が年間1千円から7千円位かかります。

受給の時
 受給は原則満60歳からで原則中途引き出しはできません。受給時は一時金、年金、両方の併用が選択できます。一時金であれば退職所得控除の対象です。企業の退職金支給時と重なると控除枠を超えてしまうことがあるので注意が必要です。年金受給の場合も公的年金控除の範囲を超えると課税されます。一般的には一時金の方が節税効果は大きいと言われています。

H29.2.10

領収書の使い途(番外編)

社会保険診療報酬の必要経費は概算経費率でOK
 医院、歯科医院の事業所得を計算する場合、年間の社会保険診療報酬の額が5,000万円以下の場合には、租税特別措置法第26条の特例計算により、概算経費率を使って所得を計算することができます。社会保険診療報酬が2,500万円以下なら72%、2,500万円超3,000万円以下なら70%+50万円、3,000万円超4,000万円以下なら62%+290万円、4,000万円超5,000万円以下なら57%+490万円が必要経費とみなされます。
 もし収入が社会保険診療報酬だけ(=診断書作成料などがあるので自由診療報酬がゼロということは通常ありませんが、話を簡単にするためこの前提とします)で5,000万円以下であれば、経費の領収書がなくとも必要経費が計算されることになります。

概算経費率を使う開業医が領収書をもらう理由
 じつはちょっと前まで、「自分は措置法26条の特例計算で恵まれている」と公言している歯医者さんが、マメに領収書をもらっている行為が不思議でした。話をしていて合点が行きました。領収書をもらうことだけに意義があったのです。
 この歯医者さんにとって、その領収書が所得税法上で必要経費(=収入金額を得るために直接要した費用の額)になろうがなるまいが構わなかったのです。目的は、領収書を医院の経理担当者に渡して経費精算(=現金をもらう)できれば自分のお小遣いを減らさずに済むというところにありました。概算経費率を使うので、この領収書があろうがなかろうが、納税額に違いはありません。領収書をもらうのは節税目的だけではありません。まさに番外編的な使い方ですね。

何でもかんでも領収書をもらう行為
 領収書をマメにもらうことは悪いことではありません。領収書を保管しておくと、何にお金を使ったのかを思い出せますし、無駄遣いの反省もできます。事業用経費と家事費(=仕事に関係ない私的支払い)を峻別し、家事費を事業用経費に混入しなければ何の問題もありません。
 ただ気を付けなければならないのは、私的な食事でも屋号で領収書をもらう行為です。傍目から見てもスマートではないですからね。

H29.2.9

平成28年分の確定申告から!確定申告書へのマイナンバー記載

H28分から確定申告書にマイナンバー記載
 いよいよ、平成28年分の所得税の確定申告書からマイナンバーの記載が始まります。申告書の様式も少し変わり、マイナンバーの記載欄(12桁)が設けられました。
 所得税の確定申告書にはA様式・B様式の2つのタイプがありますが、A様式(給与所得者の医療費控除や住宅ローン控除の還付申告等で使用)のマイナンバーの記載欄は次の箇所に設けられています
【A様式】
第一表 ・本人のマイナンバー記載欄
第二表 ・控除対象配偶者のマイナンバー記載欄
・扶養親族のマイナンバー記載欄
(住民税に関する事項)
・16歳未満の者のマイナンバー記載欄

B様式には「事業専従者」の番号記載欄
 事業所得や不動産所得の申告を行う方が使用するB様式の申告書には、A様式の記載事項に加え、「第二表」に「事業専従者のマイナンバー記載欄」が設けられています。
なお、「第三表」(分離課税用)や「第四表」(損失申告用)、青色申告決算書や収支内訳書、住宅ローン控除の計算明細書にはマイナンバーの記載箇所はありません。

申告書には「本人確認書類(写し)」の添付
 また、番号確認(マイナンバーが正しい番号であるかの確認)と身元確認(なりすまし防止)のため、申告書に「本人確認書類(写し)」の添付が求められております。
 ただし、申告書に添付が必要とされるのは「本人分」の「本人確認書類(写し)」のみです(全員分を取らなくても結構です)。
【典型的な書類の添付例】
①マイナンバーカード(表裏両面の写し)
②通知カード+運転免許証・健康保険
 もし、通知カードを紛失されている場合には、個人番号付きの住民票を発行して頂く方が早いかもしれません。

税理士が代理送信する場合その他の申告
 本人確認書類は、当年分の「添付書類台紙」に貼付して申告書に添付するか、税務署窓口に「本人確認書類(原本)」を提示することになりますが、税理士がe-Taxによる代理送信をしている場合には、「本人確認書類」の添付は省略されます。
 所得税の確定申告ばかりでなく、消費税や贈与税の申告書も同様の取扱いを受けますので、ご注意ください。

H29.2.8

去年のふるさと納税の確定申告は必要?

確定申告が必要な場合があります
 自身の収入・所得・控除によって決まる控除上限金額以内の寄附ならば、自己負担が2,000円で済み、残りの寄附額は税金から引かれて、さらにお礼の品まで貰えるお得な制度として、かなりの認知度を得ているふるさと納税ですが、普段確定申告をしていない方でも、確定申告が必要になる場合がありますので、注意が必要です。

確定申告不要なのはこのパターンだけ!
①寄附先が5か所以内の自治体
②確定申告をする必要の無い方
③寄附ごとに「寄付金税額控除に係る申告特例(ワンストップ特例)申請書」を提出している
 この上記3項目をすべて満たしている場合のみ、確定申告が不要です。また、1月10日までに寄附先の自治体へ申告特例申請書が届いていないと、特例申請が認められません。期日を過ぎてしまった場合も、確定申告が必要となります。

医療費控除等、申告必須のものが出た場合
 申告特例申請書を提出していても、後から医療費控除等の確定申告が必要なものが出てしまった場合は、確定申告をした際にワンストップ特例が自動的に取り消されます。他に確定申告をする必要が出てしまった場合は、必ずすべてのふるさと納税を確定申告しましょう。

意外と多いご質問
「税理士先生にふるさと納税の確定申告をお願いしたのだけど、寄附金受領証の原本が返ってきた。これは提出しなくていいの?」というお問い合わせをいただきますが、税理士事務所の場合、電子申告で確定申告を提出しているケースが多いのです。この場合は第三者作成書類として、添付を省略できるものに、ふるさと納税の寄附金受領書が指定されていますので、原本やスキャンデータを提出する必要がありません。これは個人でe-Taxにて申告をする場合も同様です。
ただし、調査や照会等で必要になる場合がありますので、原本は大切に保管しておいて下さい。

H29.2.7

意味構造の作成手順

「意味構造」とは、文章表現では説明が難しい複雑な問題・課題・提案について、意味する構造(因果関係)を分かり易く可視化する図解表示のことを言い、以下、その実務的な作成手順を解説致します。

意味構造の種類
 意味構造には、KJ法の問題・課題解決順序に従って、次の二つの種類があります。
1 現状把握ラウンド 問題・課題の背景、現状に関する情報(生データ)を収集し、検討、図解する
2 構想計画ラウンド 問題・課題解決の構想・具体策を発想し、図解する
 上記の1と2の順序を守ることが大切です。

現状把握ラウンドの実施手順
作業内容
1 ・問題・課題の背景や現状に関する情報(生データ)を、現場で収集する
・データを個別に名刺大のカードに書く
・データの“新鮮さ・生性”を確認。チームで理解、共有する
2 内容が似たデータをグルーピングし、各グループに表札(要約表現)をつける。グループの表札を生データとして扱い、5~6グループ(「島」という)となるまで実施する
3 ・各島間を矢印で結び、因果構造図解作成
(机上でシミュレーショナルに実施)
・「島」の重要性を各メンバーが5点法で評価し、合計点で重みづけする
4 図解から問題・課題の全体像を説明する要約文を作成

構想計画ラウンドの実施手順
実施内容
1 ・具体策データを発想し、カードに書く(現状把握ラウンドのデータの“裏返し”)
(注意)創意工夫し、かつ、すぐに着手可能な具体策を表現すること
2 ・因果構造図の確認(=現状把握ラウンド)
・「島」の重要性を各メンバーが5点法で評価し、合計点で重みづけする
3 図解から問題・課題解決策の全体像を説明する要約文を作成

検討、作成上の留意点
① 現状把握ラウンドで最初に収集する情報(生データ)は、“三現主義”で、現場をよく観察してカード化する。
② 現状把握ラウンド・構想計画ラウンドともチームワークを生かして作成すると、
メンバーの共創効果が生かされるとともに意欲向上が図れる。

H29.2.6

新日・独租税条約が発効しています

新日・独租税条約では使用料の源泉が免除
 2015年12月17日に署名された新日・独租税協定は、2016年10月28日に発効し、2017年1月1日以後に支払を受けるべきものから適用されています。
(新条約は旧条約に比べて減免等の規定が増えています。)
 2017年1月1日以降に支払う日・独間の著作権等の使用料は、日本の所得税では20.42%の税率で源泉徴収のところ、最初に支払を受ける日の前日までに「租税条約に関する届出(使用料に対する所得税及び復興特別所得税の軽減・免除)」を提出すれば、免除(=ゼロ%に減免)されます。すなわち、所定の手続きを事前にすることで、支払い側にとっては源泉所得税の申告・納付の手間がなくなり、受け取り側にとっては100%が手取り額となります。
特典条項に関する付表
 租税条約を濫用することを制限するために、受益者が所定の要件を満たす場合にのみ条約の恩典を与えるとするものが特典制限条項であり、新日・独租税協定も特典条項を有する租税条約となっています。そのため、租税条約に関する届出書の他に「特典条項に関する付表(様式17)」及び「居住者証明書(相手国における居住者であることを証明する書類)」が必要になります。
租税条約は強制適用のはず?
「条約は国内法より優先されるから、何も手続きしなくても、自動的に有利な租税条約の規定が適用されるはず」と考える方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、租税条約の文言の中には「租税の額は10%を超えないものとする(=この場合は0~10%の任意の税率)」などがあり、租税に関する「法」としては機能できません。そこで「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律」が、租税条約と国内法を結びつける「法」となっています。
「租税条約に関する届出」は、同法の省令第2条~第2条の5、第9条の5~第9条の9で定められているので、届出書を出して初めて適用されることになるわけです。
 なお、届出が間に合わなかった場合、事後に提出することで還付請求もできます。

H29.2.3

消費税「授業料は非課税と言っても」

学校の授業料は消費税が非課税
 消費税法では、学校教育につき、授業料・入学検定料・入学金・教科用図書の譲渡等を非課税としています。課税売上となるものは、事業収入や教室賃貸等の資産運用収入などに限られています。また、寄付金収入や補助金収入は不課税売上です。
 そのため、課税売上に対応する課税仕入れは、課税仕入れのうちの一部であり、大半の課税仕入れは非課税売上や不課税売上に対応するものと見なされるため、課税仕入れに係る支払消費税の大半が学校法人の負担となっています。

消費税率引き上げの影響
 消費税の税率が上がっても、主たる財源である授業料や補助金・寄付金などは消費税がかからない非課税売上や不課税売上であるため、税率引き上げにより収入額が増加するものではありません。
 一方、人件費や借入金利息等以外のほとんどの経費は課税仕入れであり、税率引き上げで支出額は増加します。このことが学校法人の経常的な収支を悪くします。

授業料への価格転嫁も現実的には難しい
 理屈からすれば、価格転嫁(=授業料等の値上げ)できないことはありませんが、仕入税額控除できない消費税負担分を授業料の値上げに直結させることは大学教育の市場原理から難しいと思われます。結局、消費税負担の増加に対抗する収入増のやり方も個々の学校の個別事情により変わってくるのであり、単純に、価格転嫁すれば解決するということにはつながりません。
 医学部を抱える大学の場合、医療機関の非課税問題も併せ持つため、収入(=授業料・社会保険給付等)の大半が非課税であることにより消費税を仕入税額控除できず、控除対象外消費税(いわゆる損税)が発生する問題が、より深刻と言えます。

税制改正要望
 日本私立大学団体連合会は平成29年度税制改正要望で、消費税に係る負担軽減のための特例措置の創設を挙げていました。文部科学省からも、過去同様の要望がありました。
 家庭の教育費負担の一層の軽減を図ることを目的とすれば、現状の非課税扱いよりも、仕入税額控除可能なゼロ税率の導入の方がより趣旨に沿うこととなると言えます。

H29.2.2

国外収益から源泉税が控除されても必要書類が揃わなそうな時の事前対応方法

国非居住者である外国企業の課税は源泉課税
 一般的に、国内に拠点のない外国企業の自国内源泉所得に課税する方法として、支払い側に源泉所得税の控除・納税義務を課す方法が採用されています。
 たとえば、A社(ソフトウェア開発業)が恒久的施設(=支店など)を持たないB国でC社にソフトウェアを100で販売した場合、B国はC社に20(20%)の源泉徴収義務を課します。C社からA社へは80%である金額の80が送金されることになります。

二重課税の調整=まずは外国税額控除です
 A社が日本企業の場合、日本では全世界所得課税なので、国外収入も100%課税対象となります。すでに20%源泉徴収されている上に日本でも法人税が課税されますので、B国での収益に対しては二重課税されることになります。この二重課税の調整方法として、外国税額控除が使われます。
 外国税額控除を受けるためには、確定申告書等に控除を受ける金額及びその計算に関する明細を記載した「外国税額控除に関する明細書等」、外国所得税を課されたことを証する書類及び国外所得総額の計算に関する明細書などを添付する必要があります。しかしながら、外国所得税を課されたことを証する書類の入手が困難な場合が少なくありません。特にアジアの国では顕著です。

外国税額控除に必要な書類が揃わない場合の対処法(事前対応方法)
 こうした事態が予想される場合には、契約の段階で、受け取りたい金額(=100)を源泉所得税控除後の金額とした価格設定にすれば解決できます。A社がB国で販売した事例でいうと、手取りを100とするために契約金額を125(=100/(1-20%))にします。これで源泉税25(125×20%)が控除されても欲しい金額の100を確保できます。なお、外国税金の25は租税公課として損金算入(=経費扱い)として処理されます。
 もちろん、顧客との力関係(=いかにA社の商品をC社が欲しがるか)でこうした契約方法が採用できるかどうかも変わってきます。これは外国企業から日本企業が購入する際も使われることがあるので、貴社でも似たような経験があるかもしれません。
(注:日本では税務署から英語の納税証明書の取得は困難ではありません。相手側が自国での外国税額控除を面倒だとしているケースが多いようです。)

H29.2.1

在留資格「介護」がついに新設 介護現場と外国人の就労

介護現場からのニーズと外国人介護人材
 人材不足が叫ばれて久しい介護現場。高齢化が進む中、介護人材の確保・育成のニーズは年々高まっており、外国籍人材の受入についても長年議論が交わされていました。
 日本では外国人の就労について、日本人の配偶者や日系人など一定の身分である場合を除き、職務内容ごとに類型された在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取得しなければなりません。これまで外国人の介護人材については、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国から経済活動の連携強化を目的とした受入を行ってきたものの、これはあくまで日本における労働力不足への対応として行うものではなく、非常に限られた枠組みでのみ行われていました。そのため、現状は外国人が介護分野の職に就くため就労ビザを取得することは許容されていません。

就労ビザにいよいよ介護分野が新設
 根強いニーズがあるものの、言葉の壁や安価な労働力として扱われるのではないかという懸念事項も多く、外国人介護人材の受入についてはなかなか前進していませんでした。しかし、昨年11月28日に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」が公布され、新たな類型として在留資格「介護」が創設されることになり、ついに介護分野での受入が実現する見込みとなったのです。

対象は介護福祉士の資格を取得した人材
 新設する在留資格「介護」では、活動内容を「日本の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護または介護の指導を行う業務に従事する活動」とし、介護福祉士の資格を取得した外国人が日本で長期就労することができるようになる予定です。
 これにより、今後は留学ビザで来日した外国人留学生が、介護福祉士養成機関で介護福祉士の資格を取得し、卒業後、日本国内で就労するといった流れも想定されますので、留学生、介護福祉士養成機関、また介護・医療施設にとってこれまでにない就職への取り組みが検討できます。この在留資格「介護」に関する規定については公布の日から1年以内に施行される予定とされており、今後の動向に注目が集まります。