港区 税理士法人 大沢会計
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相互適用排除の税制改正

2019/07/26

各種の配偶者の規定

 所得税法には、配偶者についての概念規定はありません。しかし、同一生計配偶者、
控除対象配偶者、老人控除対象配偶者、源泉控除対象配偶者についてはそれぞれ概念規定があり、随分と込み入った規定になっています。そして、各条文において、これらの言葉が使い分けられています。

それぞれの範囲の広狭

「同一生計配偶者」は合計所得金額38万円以下が要件ですが、「源泉控除対象配偶者」の要件は合計所得金額85万円以下です。「源泉控除対象配偶者」には、「控除対象配偶者」のほか、「配偶者特別控除」38万円が適用となる対象者を含むので、範囲が広くなっています。
 源泉徴収税額表の甲欄適用の条件として提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載すべき配偶者は「源泉控除対象配偶者」です。

共に38万円以下所得の場合

 ところで、夫婦とも合計所得金額が38万円以下だとすると、それぞれの配偶者を「同一生計配偶者」、「控除対象配偶者」、「源泉控除対象配偶者」とすることは、税額算定上の実質的な意味はないものの、原理的には可能です。

共に123万円以下所得の場合

 それに対して、夫婦それぞれの合計所得金額が123万円以下なので、それぞれ相互に「配偶者特別控除」の適用対象者として、配偶者特別控除の適用を受けることは可能かと言うと、この相互適用は法律上排除されています。扶養控除関係の相互適用は原理としてなじまない、との考えと思われます。

共に85万円以下所得の場合

ただし、夫婦それぞれの合計所得金額が85万円以下なので「源泉控除対象配偶者」として「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出することは可能か、と言えば、これには特に制限はありませんでした。
 ところが、今年の税制改正で、この「源泉控除対象配偶者」の夫婦相互での適用申告の場合には、源泉徴収でのその適用を排除するとともに、自ら年末調整や確定申告で相互適用を排除した場合を除き、配偶者特別控除の適用は認められないものとされました。
公的年金等の扶養親族等申告書の記載で源泉控除対象配偶者として確定申告不要とした場合も同じ扱いです。